
鎌田 浩毅
(2024年当時)
鎌田 浩毅の記事
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『スケール 生命、都市、経済をめぐる普遍的法則』
地球科学者の私は一般市民とはかなり違う尺度で日常を暮らしている。衣食住は同じでも、頭の中で考えるスケールがいささか外れているのだ。 まず時間軸が異なる。地球は46億年前に誕生し、日本列島は2000万年前にアジア大陸から分離して島国となった。日本の歴史は2000年だが日本列島の歴史は2000万年で、同じ2000でも桁が違う。何億年や何千万年が当たり前になると、

『LIFESPAN 老いなき世界』
最近は横文字そのままのタイトルの翻訳書が随分増えてきた。LIFESPAN(ライフスパン) とは生物の寿命や生存期間のことで、転じて製品の有効期限や耐用期間に使われることもある。そして本書『LIFESPAN 老いなき世界』では、加齢研究の第一人者であるハーバード大学の遺伝学教授が「人の老化は決して避けられぬものではない」と論陣を張る。 巷では昨今「人生100年


『とてつもない数学』
ビジネスパーソンにとって数学を学ぶ意義は、世間に溢れる色々な 数値を正しく読み取ることにあるだろう。ネットやテレビや雑誌に 出された数字をパッと見たとき、そのまま鵜呑みにせず隠れたから くりを見抜くには、数学の素養が必要である。 その一方で、「数学」と聞くと顔を曇らせる人は少なくない。文系 一直線で会社を切り盛りしてきた部長が、夜半に数学の入門書をこ っそり

『交響曲第6番「炭素物語」 地球と生命の進化を導く元素』
題名にちょっとクラクラ来てしまったが、サブタイトルにあるように地球と生命に関する正統の科学書である。メインテーマは宇宙に大量にある炭素原子で、我々の身体を作る大切な要素でもある。「交響曲第6番」というのは炭素が6番元素で、地球を初めとして壮大な物質世界の豊かさを担っているからだ。 炭素は「地球温暖化問題」でも重要な物質である。人類は産業革命以降、石炭や石油を

『ノヴァセン <超知能>が地球を更新する』
昨年、国連の経済社会局は現在77億人の世界人口が2050年に97億人に達すると発表した。食糧も資源も底をつき現在の豊かな生活水準を維持することはとうてい不可能で、増えすぎた人類はさらに地球環境を破壊する恐れがある。 人間と地球環境の関係について、時をさかのぼってみよう。人が環境に対して影響を与え始めたのは、約1万年前からである。農耕と牧畜という新しい技術を得

『デジタルで読む脳 X 紙の本で読む脳 深い読み」ができるバイリテラシー脳を育てる』
20世紀後半に発達したデジタル技術は読書の形態を大きく変え、電子ブックを身近なものにした。では、紙の本から電子ブックへの転換は、人間の情報収集と脳の働きにどのような変化を生むのだろうか?そうした疑問に明快に答える啓発書が出た。 確かに電子ブックと紙の本の両方に長所・欠点がある。電子ブックはどこでも読めるし、蔵書のスペースも不要だ。だから一気に広まったが、紙の

『大陸と海洋の起源』
世界中で猛威をふるう新型コロナウィルスのため、評者が勤務する京都大学でも新学期は1ヶ月を超える休講から始まった。しかし、こんな時こそ部屋に籠もって科学の古典をじっくり読んでみたい。本書は世界で初めて「大陸移動説」を提唱した地球科学の古典で、後に「地球科学の革命」の起爆剤となった書物である。最初に大陸移動とは何かから説明しよう。 世界地図を広げると地球に関して

『FULL POWER 科学が証明した自分を変える最強戦略』
「意志の強さは成功するかどうかと無関係」と喝破するビジネス書が現れた。確かに仕事がうまくゆかないとき、「自分の意志が弱いから」と落ち込む人は少なくない。「意志力の不足」が一番の原因と考える経営者も多い。 しかし、気合いを入れても集中力が続かないことはよくある(恥ずかしながら私自身、しょっちゅうそうだ)。本書はそうした悩みを持つ人に一筋の光をもたらす優れた自己

『世界の起源 人類を決定づけた地球の歴史』グローバル経済を左右する地球環境のベースを正しく理解する
地球上の自然環境がそこに住む人々の生き方を決定する、という考え方がある。「環境決定論」と呼ばれる思想で、四季が織りなす大自然に囲まれてきた日本人には比較的身近な見方でもある。 本書はこうした立場から、地球の誕生からさまざまな変遷を経て人間がどのように現在に至ったかを克明に論じる。副題に「人類を決定づけた地球の歴史」とあるように、地質学・地理学・地球物理学を駆

『我々は生命を創れるのか 合成生物学が生みだしつつあるもの 』生命を司るメカニズムの「多様性」
生命の起源は現代科学の最重要テーマの一つである。地球上の生命は今から38億年ほど前に誕生し、幾多の進化を経て我々人類まで継続してきた。ところが、その発端がどうだったのかは長い間の謎で、世界中でいまだに論争が続く。 こうした根本的な疑問に答えるため、生命を実際にラボ(実験室)で作ってしまおうという企画が始まった。たとえば、飛行機がなぜ飛ぶかを知るには、まず紙飛

『アインシュタインの旅行日記―日本・パレスチナ・スペイン』天才物理学者が見た日本人と日本文化
ロケットが飛ぶのもエアコンを使えるのも大元の原理には物理学がある。現代社会の科学技術は全て物理で説明されるが、その根底を作った科学者の筆頭にアインシュタイン(1875-1955)がいる。 相対性理論を発表した物理学者としても有名だが、彼は1922年(大正11年)から翌年にかけて約1ヶ月半の間、妻エルザとともに日本を訪問したことがある。しかも彼は日本へ向かう船

『仕事の「ムダ」が必ずなくなる 超・時短術』不完全である勇気を持って、最低限で止める
仕事の「ムダ」をなくすには、まずムダな仕事をしないことだ。本書のエッセンスを一言で表せばこうなる。いたってシンプル。そして「整理術」系の全てのビジネス書は、同じ内容を説く。 と言って、「ムダな仕事をしないこと」は、決して容易ではない。というのは、何が「ムダな仕事」かが分からないからだ。誰しもムダだと分からないから、ダラダラ仕事を続けてしまう。 これは人ごとで

『プリンシピア 自然哲学の数学的原理』世界の大古典は、案外簡単に読めるもの
科学者ニュートンはだれでも知っているが、彼の著作を読んだ人はめったにいない。その理由は、300年以上も前に書かれた分厚い本で、内容が数学だらけで、翻訳してもとても読めたものではない、と信じられているからだ。 しかし、それは間違っている。このたび理工書の老舗、講談社ブルーバックスから日本語版(全3巻)が刊行され、何と意外に読めるのである。そこで「科学の伝道師」

『クロード・シャノン 情報時代を発明した男 』情報時代の本質とその未来を考えるために
私が中学生だった頃、数学の先生が1と0だけで数を表現する二進法を教えてくれた。この1と0を電流が流れている状態、または切れた状態に対応させると、全ての数を電流のオンオフ組み合わせで表せるという。これを利用したのがコンピュータだと聞いて、私はいたく感動した。 その考え方を世界で初めて提示したのが、本書の主人公シャノンである。現代社会に不可欠のパソコン、携帯電話

『流れといのち 万物の進化を支配するコンストラクタル法則』生命の知恵の結晶
空や川など自然界には美しい流れがあり、多数のいのちが宿っている。本書は自然や社会現象などを含む万物がどのように、なぜ進化するかを明らかにした、極めて意欲的な科学書である。 著者は米国デューク大学特別教授の機械工学者で、米国版ノーベル賞といわれるベンジャミン・フランクリン・メダルを2018年に受賞した。 副題にある「コンストラクタル法則」とは、物質と非物質を問

『富士山はどうしてそこにあるのか』 美しい地形には、賞味期限がある
HONZが送り出す、期待の新メンバー登場! 鎌田 浩毅は言わずとしれた京大の人気教授にして、火山学者。専門の地球科学のみに留まらない読書量や、その深い教養から、”HONZのイニエスタ”の異名をとる。いや、見た目とかじゃなくて…。今後の彼の活躍にどうぞ、ご期待ください!(HONZ編集部) 新幹線の車窓から見る富士山は美しいが、これがいつ噴火してもおかしくない活