ノンフィクションはこれを読め!

事件・事故

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289記事

『再生』加害者を赦せるか 書影

社会 / 事件・事故

『再生』加害者を赦せるか

読み終えたあとも、まだ消化できないものが残っている。こと読書では、これはマイナス評価ではない。たやすく消化できるものばかりが良い本とは限らないからだ。 この本の消化しづらい感じをどう説明すればいいだろう。とても大切なことが書かれているのに、それを著者と同じように理解するのは難しい、とでも言えばいいか。あるいはもっとわかりやすくするなら、次のような問いに言い換

『米特殊部隊CCT 史上最悪の撤退戦』これまであまり語られてこなかった戦闘管制員の物語 書影

教養・雑学 / 人物

『米特殊部隊CCT 史上最悪の撤退戦』これまであまり語られてこなかった戦闘管制員の物語

大英帝国の力がシーパワーに支えられていたとするならば、アメリカの覇権はそれに加えてエアパワーに支えられている。このエアパワーを支える存在のひとつが米空軍特殊部隊CCT(戦闘管制員)である。米軍の特殊部隊といえば陸軍のデルタフォースと海軍のネイビーシールズが特に有名であろう。これらの組織はハリウッド映画などを始め様々な娯楽作品にも登場している。しかし、本書の著

『絶海――英国船ウェイジャー号の地獄』訳者あとがき 書影

事件・事故 / 「解説」から読む本

『絶海――英国船ウェイジャー号の地獄』訳者あとがき

本書『絶海――英国船ウェイジャー号の地獄』は、2023年にダブルデイ社から刊行されたデイヴィッド・グランのノンフィクション、The Wager: A Tale of Shipwreck, Mutiny, and Murder の翻訳である。 原書は、刊行された2023年4月からこれまで40週以上連続でニューヨーク・タイムズのベストセラーリストにランクインして

『異常殺人 科学捜査官が追い詰めたシリアルきらーたち』「黄金州の殺人鬼」を追い詰めたCSI捜査官の捜査記録 書影

社会 / 事件・事故

『異常殺人 科学捜査官が追い詰めたシリアルきらーたち』「黄金州の殺人鬼」を追い詰めたCSI捜査官の捜査記録

本書に記載されている調査によると、現在アメリカ国内で活動中の連続殺人犯の数は2000人ほどだという。その多くは孤立者でもなければ社会ののけ者でもない。彼らはごく普通の社会生活を営み、友好的な隣人として振る舞うすべを知っている。一方で自分の行動が倒錯したものであることは理解しており、しばらくの間は犯行を止めることができるのだが、やがて殺しの衝動が逮捕へ恐怖を凌

『涙にも国籍はあるのでしょうか 津波で亡くなった外国人をたどって』東日本大震災13年目にあの人を思い出す 書影

事件・事故 / おすすめ本レビュー

『涙にも国籍はあるのでしょうか 津波で亡くなった外国人をたどって』東日本大震災13年目にあの人を思い出す

新聞や放送局といった組織に属する記者と、フリーランスのジャーナリストの立場は全く違っている。大手メディアを背中に負う取材陣は恵まれた立場にいることをもっと自覚すべきだろう。 思いもかけない不幸に見舞われた人たちが、取材に来たと言われてはじめて会う人を信用する担保は、出された名刺の○〇新聞、××テレビという肩書しかない。どんなに著名で優秀な書き手でも、どこの誰

『モサド・ファイル2』イスラエルを影で守る「モサド・アマゾン」たち 書影

社会 / 事件・事故

『モサド・ファイル2』イスラエルを影で守る「モサド・アマゾン」たち

前作『モサド・ファイル』でイスラエル建国以来、同国の「諜報機関モサド」が行ってきた秘密作戦の全貌を明らかにしたマイケル・バー=ゾウハーとニシム・ミシャルのコンビの新刊だ。今回はモサドの諜報員として活躍した女性工作員に焦点を当ててモサドの歴史を浮き彫りにしている。女性工作員というと色仕掛けによる「ハニートラップ」をすぐにイメージされる方も多いと思うが、モサドで

『狼煙を見よ』東アジア反日武装戦線とは何だったのか 書影

社会 / 事件・事故

『狼煙を見よ』東アジア反日武装戦線とは何だったのか

警視庁を担当する記者からの一報に驚いた。 「『東アジア反日武装戦線』のメンバー身柄確保との情報」 1974年から75年にかけて起きた連続企業爆破事件に関わった東アジア反日武装戦線のメンバーで重要指名手配犯の桐島聡(70)とみられる男が、警視庁に身柄を確保された。男は末期がんで、別の名前で鎌倉の病院に入院していたが、「桐島聡です」と名乗り出たという。本人と確認

『五輪汚職』巨大イベントの裏で行われていたこと 書影

アート・スポーツ / 事件・事故

『五輪汚職』巨大イベントの裏で行われていたこと

「東京五輪の招致は、僕でなければできなかった」 東京五輪・パラリンピックが閉幕して1年後の2022年7月、男は若い記者にそう胸を張った。男の名は高橋治之。世界的な広告会社「電通」で専務まで務めた後、コンサルタント会社代表に転じ、東京招致委員会では「スペシャルアドバイザー」の肩書を持っていた。「スポーツビジネスの第一人者」との呼び声も高い人物だ。 「まず僕が数

『映画館を再生します。小倉昭和館、火災から復活までの477日』奇跡の復活を追った胸アツのドキュメント! 書影

アート・スポーツ / 事件・事故

『映画館を再生します。小倉昭和館、火災から復活までの477日』奇跡の復活を追った胸アツのドキュメント!

2022年8月10日、北九州市小倉駅近くの旦過市場に隣接する「昭和館」という映画館が焼失した。もらい火ではあったが、創業83年の歴史を見てきた映写機もフィルムもスクリーンも、たくさんの映画スターのサインや小説家の手紙も何もかもが燃えて無くなってしまったのだ。 残ったのは「昭和館①②」というネオンサインとチケット売り場の表札だけ。 祖父が創業し、父から後を継い

『n番部屋を燃やし尽くせ』デジタル性犯罪を暴け! 書影

社会 / 事件・事故

『n番部屋を燃やし尽くせ』デジタル性犯罪を暴け!

本書を読み始めてすぐ、これは映画やドラマ化のオファーが殺到するのではないかと思った。映像化された際の宣伝文句はおそらく次のようなものだろう。 「韓国社会を震撼させた『n番部屋事件』。前代未聞のデジタル性犯罪の実態を暴いたのは2人の女子学生だった!」 卑劣な犯罪に立ち向かう女子学生のバディもの。さぞや痛快な物語に仕上がるのではないか。 だが、読み進むうちに考え

『触法精神障害者』精神障害者の犯罪について考える 書影

医学・心理学 / 社会

『触法精神障害者』精神障害者の犯罪について考える

4年前、東京・霞が関の家庭裁判所で、離婚調停のために訪れた女性が男にナイフで切りつけられ殺害された。逮捕された男は米国籍で、亡くなった女性の夫だった。 検察は鑑定留置の結果、責任能力に問題はないと判断し、殺人などの罪で男を起訴、懲役22年を求刑する。一方、弁護側は統合失調症による心神喪失を主張した。2023年10月20日、東京地方裁判所は、妄想や幻聴の影響で

『ルポ 国際ロマンス詐欺』犯人はアフリカにいた! 書影

事件・事故 / おすすめ本レビュー

『ルポ 国際ロマンス詐欺』犯人はアフリカにいた!

どう考えても胡散臭い話なのに、なぜか騙されてしまう人がいる――。そんな詐欺の代表格が「M資金詐欺」だ。M資金とは、GHQが占領下の日本で接収した莫大な財産を基にした(というフレコミの)秘密資金のこと。今も密かに運用されており、特別に選ばれた者だけがその恩恵にあずかれるという。 被害者は主に企業の経営者や実業家らで、「M資金から融資を受けられる」などと詐欺師に

『黒い海 船は突然深海へ消えた』船はなぜ沈没したのか、その真実とは 書影

事件・事故 / おすすめ本レビュー

『黒い海 船は突然深海へ消えた』船はなぜ沈没したのか、その真実とは

海難事故といえば古くはタイタニック号事件、最近だと韓国のセウォル号沈没事故を覚えている人も多いだろう。この船には多くの修学旅行生が乗船しており、緊迫の船内の様子が世界に発信された。日本では2022年4月に起こった知床観光船「観光船KAZU1」沈没事故が記憶に新しい。 『黒い船 船は突然。深海に消えた』は事故当時もほとんど報道されなかった日本の中型漁船沈没事故

『津久井やまゆり園「優生テロ事件」、その深層とその後』異常な犯罪者は異常な社会から生まれる 書影

社会 / 事件・事故

『津久井やまゆり園「優生テロ事件」、その深層とその後』異常な犯罪者は異常な社会から生まれる

読むのにとても時間がかかったのは、著者が巨大な問いと格闘しているからかもしれない。戦後最悪ともされる凶悪事件を通して、私たちの社会の奥底で起きている変化をとらえた力作だ。 本書は、神奈川県相模原市の障害者施設、津久井やまゆり園で、入所者と職員45名が殺傷された事件の深層に迫ったノンフィクションである。事件そのものを取材した本は他にもあるが、本書が類書と一線を

『ボーダー 移民と難民』『北関東「移民」アンダーグラウンド』 日本に住む“移民たち”の裏表 書影

社会 / 事件・事故

『ボーダー 移民と難民』『北関東「移民」アンダーグラウンド』 日本に住む“移民たち”の裏表

日本が難民の受け入れに厳しいことは知っていた。しかし生活圏内のコンビニや建築現場などに外国人がたくさん働いていて、いまやなくてはならない存在になっている。 日本人が普通に暮らしている限り、非正規滞在者を収容する出入国在留管理庁の施設、通称「入管」のことはほとんど知る機会がなかった。だが2021年3月、名古屋の入管で収容中のスリランカ人、ウィシュマ・サンダマリ

『ワグネル プーチンの秘密軍隊』謎の軍隊に属した元傭兵の回想録 書影

人物 / 社会

『ワグネル プーチンの秘密軍隊』謎の軍隊に属した元傭兵の回想録

膨大な死傷者を出しつつウクライナで存在感を示したPMC(民間軍事会社)ワグネル。プーチンの秘密の軍隊ともいわれ、2014年のウクライナ紛争やシリア内戦でも暗躍していたことが知られている。一方で2022年のウクライナ侵攻以前はその存在をロシア政府から公式に認められていなかった。それもそのはずで、ロシアでは法律により傭兵家業が禁止されているはずなのだ。著者マラー

『東京医大「不正入試」事件』特捜検察のシナリオ捜査が父と息子の人生を狂わせた 書影

事件・事故 / おすすめ本レビュー

『東京医大「不正入試」事件』特捜検察のシナリオ捜査が父と息子の人生を狂わせた

人の記憶にはバイアスがある。「文部科学省汚職事件」と総称される一連の出来事の中で人々の記憶に今も残るのは、おそらく東京医科大学医学部医学科で行われていた不正入試のほうではないか。 東京医大は一般入試で、女子受験生や4浪以上の男子受験生に差別的な扱いをしていた。3浪までの男子受験生に一定の点数を加える優遇装置を講じていたほか、OBの子供など縁故受験生にも寄付金

「家族という密室」に戦慄する『母という呪縛 娘という牢獄』 書影

社会 / 事件・事故

「家族という密室」に戦慄する『母という呪縛 娘という牢獄』

恐ろしいものを読んでしまった。 2018年、32歳の女性が母親の殺害と遺体損壊、遺棄の容疑で逮捕された。彼女の名前は高崎あかり(仮名)。あかりの母親は異様なほど娘の学歴に執着し、医学部を9年も受験させた。娘は浪人をしているその9年間ずっと母親の監視下にあり、執拗な虐待を受けていた。母親が医学部をあきらめたことにより、あかりは9年目に医科大学の看護学科に主席で

『母という呪縛 娘という牢獄』異常な母娘関係を描いた事件ノンフィクション 書影

社会 / 事件・事故

『母という呪縛 娘という牢獄』異常な母娘関係を描いた事件ノンフィクション

殺人はけっして許されない。人を殺せば刑事罰に処される。それがこの社会の当たり前のルールである。だが時に、その「当たり前」が揺らぐことがある。殺すのも無理はない、やむを得なかったのだと加害者に同情してしまうことがある。本書が描くのはそんな事件だ。 2018年3月、滋賀県・野洲川の河川敷で、女性の切断された遺体が見つかった。警察は同年6月、女性の長女を死体遺棄、

『黒い海 』 海の『エルピス』調査報道が明らかにする未解決事件の「真実」 書影

事件・事故 / おすすめ本レビュー

『黒い海 』 海の『エルピス』調査報道が明らかにする未解決事件の「真実」

興奮冷めやらぬままこれを書いている。すごいノンフィクションを読んだ。大晦日に読み始め、気がついたら年が明けていた。この本は読み始めたら途中で止めることができない。 ある未解決事件の謎に単身挑んだジャーナリストが、ファクトを丹念に積み上げ、真相に迫る。ところが、あらゆる可能性を吟味し、これしかないという仮説に辿り着くが、国の調査結果はこれを否定するものだった。

『Qを追う』〈名無し〉の集団の正体に迫る 書影

社会 / 事件・事故

『Qを追う』〈名無し〉の集団の正体に迫る

「ディープステートが、メディアも、判事も掌握した。証拠がない、なんて言うのは、見ようとしていないからだ。いいか。ここにバドワイザーの缶がある。でも、目を手で覆ったら『見えない』。あるにもかかわらず、だ。証明を拒否しているにすぎない。本当は、証拠はあるんだ」 ダグラス・スイート(58歳)はこう答えた。著者のインタビューを読む限り彼は特段、過激な人物ではない。

『遠い声をさがして 学校事故をめぐる〈同行者〉たちの記録』痛ましい事故はなぜ起こったのか? 書影

社会 / 事件・事故

『遠い声をさがして 学校事故をめぐる〈同行者〉たちの記録』痛ましい事故はなぜ起こったのか?

ときどき、書店で本に呼び止められることがある。棚ざしになっていても、手に取ってくれとアピールするのだ。本書『遠い声をさがして』は久しぶりにそんなふうにして出会った本だ。 2012年の夏休み、小学一年生の浅田羽菜ちゃんは彼女の通う京都市立叡成小学校で、低学年児童69人と一緒のプール学習中に溺死した。水を怖がらず、むしろプール学習を楽しみにしていた羽菜ちゃんに何

『人生はそれでも続く』22人の「時の人」のその後を追う調査報道 書影

社会 / 事件・事故

『人生はそれでも続く』22人の「時の人」のその後を追う調査報道

我々は連日のニュースの多くを娯楽として消費している。事件・事故・災害に憂い悲しみ、スポーツ選手の活躍に喜び、可愛らしい動物の映像に癒やされ、職場や飲み会、SNSにて好き勝手に意見感想を述べる。そして時が経つにつれてあっさり忘れられ、次の話題に移っていく。 しかし、当然ながらどのようなニュースにも当事者がおり、彼らの人生もまた同じように続いている。 あれから、

『遠い声をさがして』なぜ羽菜ちゃんは亡くなったのか 書影

社会 / 事件・事故

『遠い声をさがして』なぜ羽菜ちゃんは亡くなったのか

子供が巻き込まれた悲しい事故のニュースを目にするたびに胸が痛む。幼稚園バスに置き去りにされた子供たちはどれほど心細い思いをしただろう。そんなことを想像するだけで辛い気持ちになる。 いつものように送り出した我が子が、亡骸となって戻って来る。 あってはならないことだが、時にそうした悲劇が起きてしまう。 一冊の本を紹介したい。2012年、京都市内の小学校のプールで

『不自然な死因』ふだん知ることのできない法医学の世界 書影

医学・心理学 / 事件・事故

『不自然な死因』ふだん知ることのできない法医学の世界

医者という職業は私たちの身近に存在する。多くの人が何度となく医療機関を受診した経験があるだろう。しかし本書の著者であるリチャード・シェパードは私たちが想像する医者とは少し異なる。彼の患者は死者だ。リチャード・シェパードはイギリスの高名な法病理学者なのだ。不幸な事故や事件に巻き込まれた人々の遺体を解剖し、なぜ被害者が死に至ったのかを突きとめるのが彼の仕事だ。彼

『工藤會事件』史上最凶の暴力団の頭をとれ! 書影

社会 / 事件・事故

『工藤會事件』史上最凶の暴力団の頭をとれ!

私はふるさと九州をこよなく愛する人間だが、ひとつだけ、どうしても好きになれないところがある。ヤクザが幅を利かせているところだ。 九州は観光地も多い。「人と金が集まるところに暴力団あり」で、地元に根をはるヤクザが各地にいる。暴力団といえば、山口組や稲川会、住吉会などの指定暴力団を思い浮かべる人が多いだろうが、地場の暴力団の中には、そうした全国組織が容易には入っ

『キャッチ・アンド・キル』女性たちに「別の扉」を開いた画期的スクープの裏側 書影

社会 / 事件・事故

『キャッチ・アンド・キル』女性たちに「別の扉」を開いた画期的スクープの裏側

映画業界の性加害報道が相次いでいる。週刊文春の報道をきっかけに被害にあった女性たちが次々に声をあげ、業界にはびこる性暴力の実態が明るみにでた。一部の良識ある映画監督や原作者たちも性暴力に反対するアクションを起こした。この流れは止まらない。かつてアメリカの映画業界を変え、世界にも影響を及ぼしたあの動きが、ようやく日本にも波及したのかもしれない。 本書の著者ロー

『ベリングキャット』デジタルジャーナリズムの最前線 書影

社会 / 事件・事故

『ベリングキャット』デジタルジャーナリズムの最前線

ジャーナリズムの使命は、「人々が本当に知りたいこと」を伝えることである。 それが唯一にして最大の役割といっていいかもしれない。だが「本当に知りたいこと」は隠されていることが多い。国家や権力者にとって知られては困る不都合な事実だからだ。 いま世界でもっとも注目されている調査報道機関が〈ベリングキャット〉である。その成果は驚くべきもので、彼らは国家や権力者が隠し

『逢える日まで 3.11遺族・行方不明者家族10年の思い』心はあの時から地続きなのだ 書影

社会 / 事件・事故

『逢える日まで 3.11遺族・行方不明者家族10年の思い』心はあの時から地続きなのだ

“十年ひと区切り”と人は言う。時間的な里程標として、十年は目安になりやすいのかもしれない。 2021年3月、「震災から十年」という文字があちこちで躍った。 “もう”なのか“まだ”なのか、個人の気持ちを慮ることより、未曽有の天災に対して区切りをつけようという世間の思惑が垣間見えた。 本書は、宮城県を中心に東北6県を発行区域とする河北新報社が東日本大震災10年特

『二本の棘 兵庫県警捜査秘録』元捜査一課長が振り返る痛恨の未解決事件 書影

事件・事故 / おすすめ本レビュー

『二本の棘 兵庫県警捜査秘録』元捜査一課長が振り返る痛恨の未解決事件

「アマチュアは勝ちを語り、プロは負けを語る」という。 本書は、捜査のプロが負けについて語ったものだ。負けた記憶は、警察を辞めた今もなお、棘のように刺さったまま著者を苛んでいる。 刑事にとって事件は「解決して当然」のものであり、未解決はすなわち敗北を意味する。著者が捜査一課として深く関与した2つの事件は、いずれも未解決に終わった。その事件とは、警察庁広域重要指

『地方メディアの逆襲』共に生きて、共に歩む。これからのメディアのあり方 書影

社会 / 事件・事故

『地方メディアの逆襲』共に生きて、共に歩む。これからのメディアのあり方

記者の仕事は過程がそのまま表に出てくるのが魅力的だ。記者が何に問題意識を持ち、どう行動して、どんなメッセージを込めるのか。好きな報道や作品には、記者の怒りや悲しみ、執念さえも感じることが出来る。記者一人ひとりの存在自体が物語性を帯びていて面白い。 では、「地方紙」の記者はどうか。全国紙の記者と地方紙の記者の違いについて、私は本書を読むまで考えたことがなかった

『誉田哲也が訊く!警察監修プロフェッショナルの横顔』知られざるプロ集団「チーム五社」とは 書影

事件・事故 / TV・動画

『誉田哲也が訊く!警察監修プロフェッショナルの横顔』知られざるプロ集団「チーム五社」とは

他人にホラ話を信じさせるコツは、9割の嘘に1割の真実を混ぜることだという。これが刑事ドラマとなると、そうはいかない。合言葉は「3割のリアル」。7割の嘘に3割の本当が求められるのが刑事ドラマなのだ。そんな刑事ドラマのリアリティを支える知られざる職人集団。それが「チーム五社」である。 五社英雄といえば、時代劇におけるリアリティを追究した監督として知られる。肉を斬

『ばらまき 河井夫妻大規模買収事件 全記録』前代未聞の買収事件を総力を挙げて追う! 書影

事件・事故 / おすすめ本レビュー

『ばらまき 河井夫妻大規模買収事件 全記録』前代未聞の買収事件を総力を挙げて追う!

発覚は文春砲だった。2019年10月末、週刊文春は7月の参院選広島選挙区を舞台にした公職選挙法違反の記事を掲載した。 初当選した河井案里議員がウグイス嬢に対し法定上限額の倍を渡しており、選挙を実質仕切っていたのは夫で現職の法務大臣、河井克行衆議院議員だと報じたのだ。発売日の翌日、克行は安倍晋三総理大臣へ法相の辞表を提出する。 『ばらまき 河井夫妻大規模買収事

『金融庁戦記』「霞が関のジローラモ」の事件簿 書影

人物 / 社会

『金融庁戦記』「霞が関のジローラモ」の事件簿

本書の主人公は、「霞が関のジローラモ」と呼ばれた異色の官僚である。 ジムで鍛えた厚い胸板の上に派手なストライプ柄やカラフルな色のシャツをまとい、ピンクやパープルなどのネクタイを締める。肌は赤銅色に焼け、髪型は側頭部を短く刈り、頭頂部にふくらみをもたせたソフトモヒカンのようなスタイル。官僚のイメージからおよそかけ離れた外見のこの人物を、いつしか人々はイタリア人

『娘の遺体は凍っていた 旭川女子中学生イジメ凍死事件』無責任と人間性の欠落 教育現場の抱える闇 書影

事件・事故 / おすすめ本レビュー

『娘の遺体は凍っていた 旭川女子中学生イジメ凍死事件』無責任と人間性の欠落 教育現場の抱える闇

北海道旭川市の中学校に通っていた廣瀬爽彩(さあや)さんは、2021年2月13日夕方に失踪し、38日後に市内の公園で雪の中に埋もれ亡くなっているのを発見された。享年14、早すぎる死だ。 彼女は中学校に進学した19年からイジメを受けており、PTSDに悩まされていたという。彼女の身に何が起きたのか。文春オンライン特集班が一連の事件を取材、公開した記事に加筆修正のう

『ノーベル文学賞が消えた日』世界でいちばん有名な文学賞をめぐる醜聞 書影

社会 / 事件・事故

『ノーベル文学賞が消えた日』世界でいちばん有名な文学賞をめぐる醜聞

ある出来事が、後に振り返った時にあらためて歴史の大きな変わり目だったと気づくことがある。2017年10月5日という日付も、そのような歴史の分水嶺として後世に記憶されるかもしれない。 ニューヨークタイムズがこの日、ハリウッドのプロデューサー、ハーヴェイ・ワインスタインの性暴力を告発するスクープを放った。この記事をきっかけに#MeTooムーヴメントが爆発的に広が

『家族不適応殺』無差別殺人犯の「頭の中」をのぞく 書影

事件・事故 / おすすめ本レビュー

『家族不適応殺』無差別殺人犯の「頭の中」をのぞく

無差別殺人のニュースを目にするたびに、怒りという言葉だけでは言い表せない感情に襲われる。穏やかな日常生活を送っていた市民が突然凶行に巻き込まれるのだ。強い怒りや憤りをおぼえるのは当然だが、それだけではおさまらない感情がある。 いまから20年前、ラジオの生放送中に、大阪教育大付属池田小学校に男が侵入し児童を切りつけたという一報が入ってきた。その後、細切れに続報

『捕食者 全米を震撼させた、待ち伏せする連続殺人鬼』何百時間もの取材を基に未解決事件の犯人に迫る 書影

事件・事故 / おすすめ本レビュー

『捕食者 全米を震撼させた、待ち伏せする連続殺人鬼』何百時間もの取材を基に未解決事件の犯人に迫る

本書は米国における今世紀最初の「シリアルキラー」による連続殺人事件を追ったノンフィクションだ。その事件は、1件の殺人を除いてすべてが未解決に終わるという、FBI(米連邦捜査局)にとって不名誉なものでもあった。 発端となったのはサマンサ・コーニグ誘拐殺害事件。2012年2月1日の夜、アラスカ州のアンカレッジという小さな町のコーヒースタンドでアルバイトをしていた

『死者の告白』憑霊体験をめぐるノンフィクション 書影

事件・事故 / 民俗・風俗

『死者の告白』憑霊体験をめぐるノンフィクション

人は死んだらどこへ行くのだろう。 これは、人類が誕生以来、問い続けてきた究極の謎である。 先日亡くなった立花隆さんは、死後の世界が存在するかどうかは、「個々人の情念の世界の問題」と述べている( 『死はこわくない』 )。論理的に考えたからといって正しい答えが導き出せるような類いの問題ではないということだ。立花さんは自身の死すらも取材者の目で観察しようとしていた

そして、あの人身事故は起きてしまった『アーバン・ベア となりのヒグマと向き合う』 書影

生物・自然 / 事件・事故

そして、あの人身事故は起きてしまった『アーバン・ベア となりのヒグマと向き合う』

「ああ、ついに起きてしまった……」 そのニュースを知ったとき、思わずそうつぶやいた。今年6月、札幌市街地にヒグマが出没し、4人の方が襲われて負傷した。 数年前から札幌市街地でのヒグマの目撃情報は寄せられていたが、今年は異例と思えるほどヒグマによる人身事故が北海道各地で報じられ、複数の犠牲者も出している。 しかし、なぜヒグマは市街地に出没するようになったのか?