ノンフィクションはこれを読め!

成毛 眞

HONZ代表

元マイクロソフト社長。インスパイア取締役ファウンダー。元早稲田大学ビジネススクール客員教授。産経新聞、週刊新潮、日経ビジネスなどに書評寄稿多数。代表的著書に『面白い本』『大人げない大人になれ』。雅号は「半覚斎」

(2024年当時)

成毛 眞の記事

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583記事

『なほになほなほ』 書影

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『なほになほなほ』

竹本住大夫の自伝である。おなじみ日本経済新聞「私の履歴書」の書籍化だ。ちなみに近年「私の履歴書」で最も面白かったのは李香蘭すなわち山口淑子だった。本書は次点だが、経営者の自叙伝の何十倍も面白い。何万倍かもしれない。つまり経営者の自叙伝などはことごとく面白くない。そういえば佐野眞の『甘粕正彦 乱心の曠野』などは李香蘭の自伝を読んでからのほうがはるかに面白いはず

『ラテン語の世界』 書影

おすすめ本レビュー

『ラテン語の世界』

ラテン語についての入門書を読んでみようと買っておいた本だ。ラテン語を読めるようになりたいなどと、大それたことを考えているわけではない。本書はけっして難しい語学の教科書ではなく、読み物として非常によく書かれていると聞いていた。 「はじめに」ではラテン語がいかに現代でも利用されているかを説明するにあたり、「bit」を例示する。つまり「bit」は「binary」と

『明治のお嬢さま』 書影

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『明治のお嬢さま』

本書によれば、明治三七年に創刊された『婦人画報』の半分近くは光沢のある紙を使ったグラビアページだったという。そこに掲載されている写真の多くは上流階級の貴婦人とご自宅拝見だったらしい。編集長は国木田独歩だった。 じっさいに明治天皇の側室として大正天皇の生母になる柳原愛子や東伏見宮の写真が掲載されている。のちに大正天皇の后になる九条節子などの超セレブも堂々とポー

『人を殺すとはどういうことか』 書影

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『人を殺すとはどういうことか』

年が明けて間もないのに、驚くべき本が出てきた。というよりも驚くべき書き手が出てきたというべきであろうか。著者は2件の確信的殺人を犯した無期懲役囚である。もちろん服役中だ。 裁判では著者の性格鑑定が行われているのだが、その報告書において鑑定人は「当職は、30年の職歴の中でこのような奇跡的な知能レベルに遭遇するのは初めてであり、他の症例を調査しても前例がないこと

『モーセと一神教』 書影

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『モーセと一神教』

10年ほど前になるであろうか、エジプト考古学者である吉村作治先生の発掘現場にうかがったことがある。もちろんエジプトだ。発掘中の墳墓は公開中のものと違い、盗賊用の落とし穴を埋めていないし、照明も整っていないため、「インディ・ジョーンズ」そのままだった。その夜、エジプトビールを飲みながら吉村先生が不思議な話を聞かせてくれた。 紀元前14世紀ごろアメンホテプ4世が

『新説 桶狭間合戦』と『桶狭間・信長の「奇襲神話」は嘘だった』 書影

おすすめ本レビュー

『新説 桶狭間合戦』と『桶狭間・信長の「奇襲神話」は嘘だった』

両方ともに新書である。前者は2008年9月刊、後者は2008年12月刊だ。じつは両者、桶狭間の戦い以上に熱い戦いを出版物で展開中なのだ。前者の著者である橋場氏は本人のブログによれば40+α歳、後者の藤本氏は1948年生まれの60歳だ。桶狭間のときの信長は26歳、義元は42歳だった。年齢差も信長と義元に近い。 藤本氏は現在主力となっている「正面攻撃説」の提唱者

『描かれた技術 科学のかたち』 書影

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『描かれた技術 科学のかたち』

上等な科学の講義である。100枚ほどの目を惹く図像をつかい、その図像を読み解きながら、歴史的な背景を探るものだ。 デカルトといえば高校の教科書で読んだだけだから、「我思う、ゆえに我あり」であり『方法論序説』であり、すわなち哲学者なのだが、晩年に書かれた『人間論』には眼球を動かす筋肉や松果体などの細密な図像が使われていることを知り驚いた。じつは『宇宙論』にも『

『鵤工舎の仕事』 書影

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『鵤工舎の仕事』

正月中このあまり分厚くもないこの本にかかりきりになった。普段は気になるページの肩を折って印とするのだが、その箇所があまりにも多くなりそうなのでポストイットのブックマークを使った。肩を折っていては本の厚みがそこだけ2倍になりそうだったからだ。 著者は法隆寺最後の宮大工といわれる故西村常一氏を紹介した『木に学べ』などこの分野では多数の著書がある作家だ。読み手も宮

『遠い海からきたCOO』 書影

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『遠い海からきたCOO』

12月25日付けの『いま恐竜が生きていたら』の書評にあわせて紹介しようと思っていたのが本書である。若い人は著者の景山民夫を知らないかもしれないが、一時は売れっ子の放送作家だった人だ。より知的なテリー伊藤という感じだった。1998年に不可解な死をとげる。生前新興宗教に激しくのめりこみ、マスコミはいまも彼の存在を拒絶しつづけている。このブログでも紹介するべきか否

『すごい空の見つけかた』 書影

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『すごい空の見つけかた』

写真集である。しかも版形は小さく95ページで1600円もする。ページあたり単価が高すぎる。元日でなければ紹介しない本かもしれない。お屠蘇気分で眺めるとじつにおめでたい空の写真で満載なのだ。 まずは「飛行機雲」という写真がすごい。普通の白い雲の中を1機の飛行機が飛んでいる。その飛行機のあとにはオレンジ色と赤の2色の飛行機雲がきっぱりと引かれている。著者は高校教

『機密指定解除』 書影

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『機密指定解除』

本書を読み通すにあたり、目論見の何倍もの時間がかかってしまった。本書はアメリカに実在する機密文書を紹介する本だ。この場合の機密文書とはスパイ活動に関連する文書である。なにしろ国際スパイ博物館のエグゼクティブ・ディレクター、ピーター・アーネスト氏なる人が巻頭の推薦文を書いているほどだ。こころなしかチープな感じの名前の博物館だが本筋ではない。 本書で紹介されてい

『連邦刑務所から生還した男』 書影

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『連邦刑務所から生還した男』

「自称」FBIの囮捜査で罪を着せられ、カリフォルニアの重罪刑務所をふりだしに11年投獄されていたヤクザの組長の本である。アメリカの司法は日本の常識では推し量れないところがあるが、それを主張しているのはヤクザなのだから、あえて「自称」と紹介した。著者はプロのノンフィクション作家であり、筑摩書店の本である。本書の印税が主人公のヤクザの手に渡らないことを信じて紹介

『いま恐竜が生きていたら』 書影

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『いま恐竜が生きていたら』

A5版フルカラー191ページの本である。まさに「いま恐竜が生きていたら」というシミュレーションを合成写真でしてみせる本だ。 まずは草食恐竜の紹介だ。最初はウロポセイドンと象の群れである。人間が象の脚の間を通り抜けれるように、象が恐竜の脚の間を通り抜けれるほどの大きさだ。ピラミッドを背景にした砂漠ではラクダとオウラノサウルスが並んで暑さに耐えている。可愛い。空

『追跡・アメリカの思想家たち』 書影

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『追跡・アメリカの思想家たち』

本書をきちんと紹介できるだけの知識を持ち合わせていないが、現代アメリカを批判するためには読まなければならない本であることはわかる。アメリカのキリスト教原理主義の奇妙さとその戦慄するべき影響については、なかば面白おかしく書いた本が多数出版されているが、そのほかの主要な思想について網羅的・体系的に紹介しているのは本書だけだ。 ネオコン、リバタリアン、ファンダメン

『大峯千日回峰行』 書影

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『大峯千日回峰行』

まずは帯を引用する。「想像を絶する破天荒な荒行、大峯回峰行。断食・断水・不眠・不臥、死の極限の四無行。五穀断ち、塩断ち、炎の八千枚大護摩供。知られざる修験の超人的修行の実際と、その真実とは。」じつはこれで本書の紹介は充分である。以下は補足だ。 著者は大峯千日回峰行大行満大阿闍梨・塩沼亮潤師である。師は19歳のときにお坊さんになってから、今年で40歳である。本

『カバに会う』 書影

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『カバに会う』

えーと、日本全国のカバに会う本である。巻末の著者略歴をさらに略すと、俳人にして歌人、佛教大学教授、1944年生まれ、研究の対象は日本文学のほか、あんパン、柿、そしてカバとある。 「はじめに」の1ページ目からでいきなり、「総入れ歯そう嫌でない河馬の馬鹿」「河馬の馬鹿成功せずとも性交し」などの句の紹介がある。左党放犀という俳人の句集「河馬の馬鹿」からの転載だ。こ

『バチカン・エクソシスト』 書影

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『バチカン・エクソシスト』

エクソシストとは悪魔祓い師のことだ。そのエクソシストが現代イタリアに350人もいるらしい。この信じられない事実をロスアンジェルス・タイムズの記者が丹念に取材したのが本書である。 本書によればエクソシストたちは10年ほど前からその数を10倍にも増やしているらしい。ローマのエクソシスト長と呼ばれる人物が10年ほど前に国際エクソシスト協会を発足させたことに端を発し

「OilyBoy」創刊号 書影

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「OilyBoy」創刊号

「プレイボーイ日本版」が2009年1月号(2008年11月発売通算408号)で終刊となった。月刊「論座」は10月号で休刊。講談社の月刊「現代」も12月発売号で休刊。「ラピタ」も1月号で休刊。「広告批評」は来年4月号で休刊予定。週刊誌では「読売ウィークリー」も12月1日発売号で休刊となっている。 この中でなんとなく「プレイボーイ日本版」の終刊号だけ買った。本棚

『異形の惑星』 書影

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『異形の惑星』

現在進行中の天文学についての本である。1995年以来、太陽以外の恒星系での惑星の存在が続々と確認されているという。本書によれば、確認された惑星は太陽系のそれとかけ離れた類型もあるというのだ。 ホット・ジュピターという呼称がついた惑星の類型がある。ペガサス座51番星系で第二番目に発見された惑星は質量が木星の0.46なのだが、なんと公転周期は4.2日だ。当然、恒

『ノアの洪水』 書影

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『ノアの洪水』

『チェンジング・ブルー』の書評で黒海の汽水湖化とノアの洪水伝説に触れたが、本書がそれである。著者はコロンビア大学の海洋地質学の二人の教授だ。結論をいうと、紀元前5600年前後にノアの洪水は実際に起こったというものである。 今から11000年ほど前まで地球はヤンガードリアス期という亜氷期にあった。北半球は氷床で閉ざされ、その重みで現在のバルト海や黒海は窪みとな

『Romeo and Juliet』 書影

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『Romeo and Juliet』

たまに朝鮮日報オンラインの日本語版を覗く。そこで『Romeo and Juliet』を知った。朝鮮日報のロンドン特派員が昨今イギリスで流行るものとして紹介していたのだ。じつはこの本、イギリス人女性が書いたマンガである。驚くことに舞台は現代の東京。ヤクザのモンタギュ一家とキャピュレット一家が抗争している設定だ。名前は原作の英語名のままなのだが、登場人物の顔はす

『チェンジング・ブルー』 書影

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『チェンジング・ブルー』

このブログにおけるサイエンス・ノンフィクション部門で本年ナンバーワンの本である。しかも著者は日本人なのだ。日本人がこのような本格的なサイエンス本を書けるとは思ってもいなかった。英訳されれば外国でも間違いなく売れる本だ。スムーズな章立て、快適なスピード感、語り口のうまさ、膨大で正確な知識、非センセーショナリズム、過不足のない図版、丁寧な注釈と索引、どれをとって

『アメリカは、キリスト教原理主義・新保守主義に、いかに乗っ取られたのか?』 書影

おすすめ本レビュー

『アメリカは、キリスト教原理主義・新保守主義に、いかに乗っ取られたのか?』

クエッション・マークで終わる題名はいかにも安っぽいが、原題は『ハイジャッキング・アメリカ』である。あらかじめ断っておくが、読みにくい本だ。大量の情報が複雑なロジックで提供されていいるからだ。原書はフランス語だっただけのことはある。 第二章では一行目から読者に対し「自分がアメリカの新保守主義の高官かシンクタンクの一員であると想像してほしい。」という。そのつもり

『タイタニックは沈められた』 書影

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『タイタニックは沈められた』

典型的な外国発ノンフィクションの大書であり。イギリス人作家らしい網羅性と複雑な構造をもっていて、あまり読みやすい本ではない。全ページを読み通すことは難しい分量だ。アマゾンレビュアーの1人が言っているとおり、字も小さく頭が痛くなりそうだ。 タイトルはタイタニック号遭難に纏わる陰謀もののようにみえるが、読み終えるとその説こそが正しいという確信に変わる。そもそも、

『高島野十郎画集』 書影

おすすめ本レビュー

『高島野十郎画集』

生前は清貧を貫き、1975年に千葉県野田市の老人ホームで亡くなった画家の画集である。名前に心当たりはなくても、3センチ位の火のついた蝋燭の絵をご覧になった方も多いだろう。以下はwikiからのコピペである。 「第八高等学校を経て、親の説得で東京帝国大学でその年に発足したばかりの農学部水産学科に進学、同科を首席で卒業するも恩賜の銀時計を辞退し絵画の道を選び、以降

『チョコレートの真実』 書影

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『チョコレートの真実』

チョコレートの原料となるカカオの学名はテオプロマ・カカオ、すなわち「神々の食べ物」である。その「神々の食べ物」の世界生産の35%以上を占めるコートジボワールには多数の児童奴隷が存在する。 チョコレートを食べることでダイエットしている人びとがいる日本の反対側には、そのチョコレートを見たことも食べたこともない子どもたちが原料のカカオ豆を収穫するために強制労働させ

『ぼくは猟師になった』 書影

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『ぼくは猟師になった』

33歳の現役猟師による猟とその生活を語った本である。京都にある大学の築80年の寮に住んでいたというのだから、京大の出身であろう。現在は運送会社でアルバイトをしながら猟師として暮らしているらしい。「まえがき」の1行目を引用する。 『僕が猟師になりたいと漠然と思っていた頃、「実際に猟師になれるんだ」と思わせてくれるような本があれば、どれほどありがたかったか。』

『ハダカデバネズミ』 書影

おすすめ本レビュー

『ハダカデバネズミ』

漢字表記をすると『裸出歯鼠』である。出っ歯で鼠顔な変態オヤジの小説ではない。岩波科学ライブラリーの最新刊なのだ。この岩波科学ライブラリーは本書で151冊目なのだが、総じて価格が高い。本書も118ページで1500円もする。本当に読みたい人は図書館に今すぐゴー、という狙いがありありだ。 ところがこのシリーズには面白そうな本がいっぱいあるのだ。例を挙げてみよう。

『グラミン銀行を知っていますか』 書影

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『グラミン銀行を知っていますか』

ここ数年、日本では所得格差が拡大したという認識が広まりつつある。いわゆる「下流社会」の存在も実感できるようになった。しかし、日本の下流社会層は決して本物の貧困層ではない。 本書の舞台であるバングラデシュの最貧困層の所得は、一日二円五十銭という驚くべきものだ。これではいくら物価が安いといっても、子供を学校に通わせるどころか、安全な飲み水も手に入らないという。

『江戸の御触書』 書影

おすすめ本レビュー

『江戸の御触書』

本書はタイトルそのまま、江戸の御触書を紹介する本である。当時は多くの御触書が「○×をしてはまかりならん」という形式だったらしい。逆にいえば、禁令を出さなければならない状態になっていたということだ。いくつか本書から引用してみよう。 大酒は飲むな。奉公人に刀を持たせるな。江戸城付近で勝手に酒飯を売るんじゃない。好色本は禁止だ。当然、男色なんてするな。男女混浴もし

『アメリカの原理主義』 書影

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『アメリカの原理主義』

11月6日付けのクリスチャントゥデイを読んで驚いた。米国福音同盟の副会長がオバマの当選を受けて「福音主義者として私たちは私たちと同意をしない人々と協力していく方法を学んだ」と表明したとのことだ。本当にアメリカは変われるのかもしれない。本書はその福音主義について詳しい。 本書によれば2004年12月のニューズウィークの調査で55%のアメリカ人が「聖書にあるすべ

『銀座の達人たち』 書影

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『銀座の達人たち』

最近、表参道から足が遠のいた。表参道ヒルズができたからである。内部のデザインは面白いのかもしれないが、通りに面したファサードがいただけない。完成後も仮店舗のままかと思ったほどである。のっぺりとした画一的な間口はまさに街の面汚しである。 表参道に行く理由の一つは髪をカットするためだった。最近、そのヘアーサロンが銀座に店を出した。表参道で複数の店を展開している有

『用の美』 書影

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『用の美』

大正十四年、民衆の日常品の美に注目した三十六才の柳宗悦は、陶芸家の河井寛次郎らと共に「民藝」という新語を生み出した。宗悦らは日本中から陶磁器、木工、金工、染織、絵画、彫刻などの民藝品を収集、昭和十一年には駒場に日本民藝館を開設した。本書はそのコレクションの一部を紹介したものだ。 もちろん、この「民藝」とは観光地のみやげ物店で売られている「民芸品」ではない。本

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『ザ・シティ 金融大冒険物語』週刊エコノミスト連載中(10月21日号連載開始)

[rakuten:book:13061689:detail] 半分眠りながらテレビを見ていると、その存在感ゆえに気付け薬代わりになる女性が二人いる。横綱審議委員会の内舘牧子氏と同志社大学の浜矩子氏だ。二人とも風貌と語り口に凄みがある。 内舘牧子氏をグーグルで検索すると、「内舘牧子 妖怪」、「内舘牧子 ヨーダ」、「内舘牧子 顔」などが検索語候補として表示される

『貧乏するにも程がある』 書影

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『貧乏するにも程がある』

本書の著者は「文芸評論のかたわら歯科医」もしている。本書の著者紹介やウィキペディアなどでは「歯科医のかたわら文芸評論」をしているとなっているが、まだ四〇才台半ばで二〇冊以上の立派な著作があるのだから、順番が逆だ。歯科医は副業といってもよい。 しかし、この職業紹介の順番はいかにも歯科医のほうが評論家よりも立派な職業だといわんばかりである。実際には全国に十万人近

『ストラディヴァリウス』 書影

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『ストラディヴァリウス』

17世紀から18世紀にかけてイタリアのクレモナでアントニオ・ストラティヴァリウスによって作られた5挺のヴァイオリンと1挺のヴィオラの物語だ。600挺ほど現存している「ストラティヴァリウス」は現在でも最高の価格が付くヴァイオリンである。1994年に日本音楽財団が購入した「パガニーニ・カルテット」といわれる2挺のヴァイオリンと1挺のビオラ、1挺のチェロのセットの

『水の未来』 書影

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『水の未来』

イギリスには家畜に水を飲ませるため、夜露を集めた人工の水溜り「露池」がある。 琵琶湖の1.5倍の面積があり、カリフォルニア最大の塩湖である「ソルトン湖」は百年前の農地開発中に偶然生まれた。 パキスタンではリン酸などを多く含む都市下水を灌漑につかうと収量が多くなるため、下水で灌漑された農地の地価が高い。 「乾燥した大陸」だったはずのオーストラリアの一人あたりの

『アメリカ人の半分はニューヨークの場所を知らない』 書影

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『アメリカ人の半分はニューヨークの場所を知らない』

刺激的なタイトルのようだが、本当にアメリカ人の半分もニューヨークの場所を知っているのであろうか。もっと少ないような気がする。上澄みの何パーセントは別にして、平均してしまうと本当におバカな国民であることは間違いない。アメリカでは「ヘキサゴン」のような番組は受け入れられないはずだ。なにしろ惰性的テレビ視聴者の知性は「羞恥心」以下なのだ。 10年ほど前になるであろ

『表徴の帝国』 書影

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『表徴の帝国』

前掲の『日本の国宝、最初はこんな色だった』に触発されて『表象の帝国』を読んでみた。著者のロラン・バルトは1980年に没したフランスの記号学者である。と書いてみたが、記号学について全く知識がない。Wikiによれば「記号学は、言語を始めとして、何らかの事象を別の事象で代替して表現する手段について研究する学問を指す。」とのことだが、ますますわからない。しかたがない

『日本の国宝、最初はこんな色だった』 書影

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『日本の国宝、最初はこんな色だった』

これほど「はじめに」と「おわりに」の内容が異なる本もめずらしい。「はじめに」では筆者はデジタル復元の方法論について述べている。デジタルによる色彩再現法だけでなく、「美術的背景を専門的に把握し十分に考慮すること」を強調する。読者はデジタル復元の入門書だと暗示される。 ところが「おわりに」では「日本人は日本美術を美術とは思っていなかった」とし、ロラン・バルトを引