ノンフィクションはこれを読め!

澤畑 塁

1978年生まれ。専門書出版社に勤務。営業職。大学では哲学を専攻していたものの、最近の読書はもっぱらサイエンス系。2021年よりスプラトゥーンにドハマリしていて、読書とレビューが疎かになりがち。なんだかもう人としてWIPEOUT。

(2024年当時)

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『フンボルトの冒険 自然という<生命の網>の発明』 多事多難な探検と、そこから芽生えたアイデアの数々 書影

サイエンス / 生物・自然

『フンボルトの冒険 自然という<生命の網>の発明』 多事多難な探検と、そこから芽生えたアイデアの数々

偉大な探検家にして傑出した博物学者。壮年の文豪ゲーテに再び情熱の火を点し、その著書によってダーウィンをビーグル号乗船へと促した男。ジェファーソン米大統領に「現代を代表する最高の科学者」と評され、当時のヨーロッパにおいてナポレオンに次いで知名度があったともいわれる人物。それが、アレクサンダー・フォン・フンボルトであり、この伝記の主人公である。 フンボルトを一躍

『脳はなぜ都合よく記憶するのか 記憶科学が教える脳と人間の不思議』 創造的能力の副産物としての記憶違い 書影

医学・心理学 / おすすめ本レビュー

『脳はなぜ都合よく記憶するのか 記憶科学が教える脳と人間の不思議』 創造的能力の副産物としての記憶違い

記憶がえてして頼りないものであることは、いまではよく知られている。その象徴的かつ重大な例としてすぐに思い浮かぶのは、記憶違いにもとづく冤罪事件だろう。国際的な非営利団体の報告によると、2015年にDNA鑑定によって受刑者の無実が証明された事件は325件あった。そしてそのうち、じつに235件もの事件で目撃者の誤認が関わっていたというのである。 記憶違いの問題は

『マイクロバイオームの世界 あなたの中と表面と周りにいる何兆もの微生物たち』 研究の全体像を見渡せる概論的読み物 書影

サイエンス / おすすめ本レビュー

『マイクロバイオームの世界 あなたの中と表面と周りにいる何兆もの微生物たち』 研究の全体像を見渡せる概論的読み物

近年、わたしたちの体内や体表面に驚くほどの微生物がいることが明らかになってきた。人間の体にある細胞のうち、なんと90%が微生物のものであるというし、また、人体の内部や表面には1万種を超える微生物が棲息しているという。 そのような、「私たちの体の内部や表面のほか、家庭や学校などの生活の場のそれぞれに存在する微生物の集まり」は、「マイクロバイオーム(microb

「ビッグマック」を食べよう 『腸科学 健康な人生を支える細菌の育て方』 書影

サイエンス / おすすめ本レビュー

「ビッグマック」を食べよう 『腸科学 健康な人生を支える細菌の育て方』

100,000,000,000,000。わたしたちひとりひとりの腸内にはそれだけの数の細菌がいるという。そうした細菌たちの集まりは「マイクロバイオータ」と呼ばれ、近年その研究が脚光を浴びている。本書は、マイクロバイオータとわたしたちの健康の関係について、微生物学者の夫妻がわかりやすく紹介するサイエンス書である。 マイクロバイオータと健康の関係については、すで

『超予測力 不確実な時代の先を読む10カ条』 一番大事なのはものの考え方 書影

サイエンス / 医学・心理学

『超予測力 不確実な時代の先を読む10カ条』 一番大事なのはものの考え方

今年のアメリカ大統領選挙で勝利するのは誰か? 豊洲新市場は来年3月までに開場する? 消費税は2019年10月に10%へ引き上げられるだろうか? わたしたちはそうした事柄について日々自分なりの予測を立てている。「大統領選挙では間違いなくヒラリー・クリントンが勝利するだろうが、豊洲市場の開場にはおそらくもう少し時間がかかるだろう」という具合に。そうした予測がえて

『身体はトラウマを記録する 脳・心・体のつながりと回復のための手法』 世界的第一人者による記念碑的大著 書影

医学・心理学 / おすすめ本レビュー

『身体はトラウマを記録する 脳・心・体のつながりと回復のための手法』 世界的第一人者による記念碑的大著

戦場体験、交通事故、家庭内暴力、性的虐待、ネグレクト…。人はそうした恐ろしい経験によって、絶望的なまでに過去に囚われてしまうことがある。もともとの体験はもう何年も前のことだというのに、いまだに悪夢やフラッシュバックに襲われたり、爆発的な憤激や感情の麻痺に陥ったり。しかし、そのようにトラウマを負っている人は、正確に言ってどのような状態にあるのか。また、そうした

『触れることの科学 なぜ感じるのか どう感じるのか』 めくるめく触覚の世界とその裏側 書影

サイエンス / 医学・心理学

『触れることの科学 なぜ感じるのか どう感じるのか』 めくるめく触覚の世界とその裏側

触って、触られて――。他人とのそうした身体的接触を、人生最大の愉しみと考える人も少なくないだろう。しかし、「なぜ感じるのか」「どう感じるのか」という問いに何かしらの答えを与えられるという人は、おそらくほとんどいないのではないか。本書は、そのようなめくるめく触覚の世界とその裏側に、 『快感回路』 などの著書でも知られる神経科学者がやさしく案内するものである。

集団はどうして愚かな結論に至ってしまうのか 『賢い組織は「みんな」で決める リーダーのための行動科学入門』 書影

サイエンス / ビジネス

集団はどうして愚かな結論に至ってしまうのか 『賢い組織は「みんな」で決める リーダーのための行動科学入門』

「三人寄れば文殊の知恵」という。たしかに多くの場合、何人かでアイデアを出しあえば、ひとりで考えるよりいい決断に至ることができる。しかしその一方で、いつもそうとはかぎらないこともわたしたちはよく知っている。みんなで考えたのに愚かな結論に至ってしまった、いやむしろ、みんなで考えたからこそ愚かな結論に至ってしまった――そんなケースに誰もが思い当たるふしがあるのでは

『あなたの体は9割が細菌 微生物の生態系が崩れはじめた』肥満も腸内細菌のせい!? 書影

サイエンス / おすすめ本レビュー

『あなたの体は9割が細菌 微生物の生態系が崩れはじめた』肥満も腸内細菌のせい!?

ここ数十年で劇的に増加している慢性的な疾患(あるいは不健康な状態)が存在する。たとえば肥満。アメリカでは1950年代から体重の増加が顕著となり、1960年代の初めての全国調査では、成人の13%が肥満(BMI値が30以上)、30%が過体重(BMI値が25~30)とされた。そして1999年の調査では、その傾向に拍車がかかり、肥満率は倍増の30%、過体重の人も34

『医師の感情』医師たちは現場で何を感じているのか 書影

医学・心理学 / おすすめ本レビュー

『医師の感情』医師たちは現場で何を感じているのか

どんなときでも冷静で、感情的になることはけっしてない――医師に対してそうしたイメージを抱いている人は少なくないだろう。だがもちろん、彼らも人の子であり、そうしたイメージそのままであるわけがない。ふだんはどんなに冷静な医師であっても、ときとして強力な感情に圧倒されてしまうことがあるはずだ。それならば、医師は現場で実際にどんな感情を抱いているのか。そして、そうし

『脳はいかに治癒をもたらすか 神経可塑性研究の最前線』驚きの治療法と回復事例 書影

医学・心理学 / おすすめ本レビュー

『脳はいかに治癒をもたらすか 神経可塑性研究の最前線』驚きの治療法と回復事例

HONZが送り出す、期待の新メンバー登場! 澤畑 塁は某大学出版会に勤める、爽やかな営業マンである。HONZメンバーの誰よりもHONZらしい選書と、驚きのスピードでレビューを量産していくことだろう。今後の彼の活躍にどうぞご期待ください!(HONZ編集部) 人間の脳は宇宙のなかで最も複雑かつ精巧であるとよく言われる。そして、それほど複雑かつ精巧であるゆえ、一見