
『Liquid 液体 この素晴らしく、不思議で、危ないもの』
すぐそこにある日常の中にこそ驚異がひそんでいる。材料科学という魔法の杖で著者が触れると、なじみ深い液体も、なんと魅惑的で不思議な姿を現すことだろう。 固体と気体のあいだにある「液体」という状態は、なるほど謎めいている。たとえば、スマホやテレビのディスプレイなどに使われる液晶。その名のように、液体と結晶(固体)の性質を併せ持つ。この奇妙さと電圧をかければ分子の
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すぐそこにある日常の中にこそ驚異がひそんでいる。材料科学という魔法の杖で著者が触れると、なじみ深い液体も、なんと魅惑的で不思議な姿を現すことだろう。 固体と気体のあいだにある「液体」という状態は、なるほど謎めいている。たとえば、スマホやテレビのディスプレイなどに使われる液晶。その名のように、液体と結晶(固体)の性質を併せ持つ。この奇妙さと電圧をかければ分子の

いまやGPSのおかげで道に迷うことも少なくなった。とはいえ、こうした利便性と引き換えにわたしたちは大切なものを失いつつあるのではないか? 本書はそんな問いかけからはじまる。 ナビゲーションは、「海馬」という脳の領域が主に担っている。海馬にある場所細胞・頭方位細胞・格子細胞などが、脳のなかに認知地図をつくり出しているのだ。 興味深いのは、海馬は記憶の構築にもた

遠い未来の地質学者が、私たちの生きる時代を調査したら、こんな結論に至るだろうーー「人類の影響による惑星規模の変化があった数々の痕跡が見つかる」。ノーベル化学賞を受賞したパウル・クルッツェンらは、こうした大転換に、「人新世」という新たな地質年代を名づけることを提唱した。 本書は、人類の及ぼす惑星規模の変化を、テクノロジーの面から探究する。今や人類は、自然の仕組

私たちは、いま「読む脳」の歴史的な大転換期に生きている。それは文字の発明や、グーテンベルクの印刷革命にも比肩しうる出来事だ。こうした変容を目の当たりにするには、電車に乗るだけで十分だろう。多くの人が(きっとあなたも)、読んでいる(見ている)のは、スマホやタブレットなどのデジタル機器に違いない。実際、さまざまな統計でも、パソコンを含めたデジタル機器への接触時間

日頃からなじみのある食べ物でも、進化のレンズをとおして見ると、思いがけない事実が浮かび上がってくる。たとえば、パンケーキ(ホットケーキ)……おもな材料は、卵・小麦粉・ミルクだ。これらの共通点はなんだろう? その答えはすべて生命進化の大いなる分岐点にあることだ。 「卵」は、もともと海から陸へと移った両生類が発明したものだが、ぷにゅぷにゅしたゼリー状で、これでは

歴史が未来を映し出す鏡であるなら、20世紀は私たちに何を見せてくれるだろう? 本書はとくに人類の意識・精神が、この激動の世紀にどのように変容したのかを描き出す。 かつてない破壊と解放をもたらした20世紀ーー科学・アート・文化などを横断しつつ、知られざる歴史の分岐や小径も見逃さない旅。ロックミュージックやビデオゲーム、SFや魔術思想などが、経済や政治の大きな転

「オギャー」と産声をあげて母乳を求めたことなどとんと思い出せないように、わ たしたちは自分が哺乳類であることも日頃すっかり忘れている。でも、紛れもなく 哺乳類の一員で、だからこそ人生は“哺乳類生”でもあるのだ。わたしたちの生命 の大きなサイクルは、そのまま哺乳類のスタイルに深く根ざしている。 それなのに、わたしたちは哺乳類が「どこから来て、どのように今の姿に

想像してみよう。「もし、この世界から<空間>が消えてしまったら?」・・・。空間がなければ、距離もない。こちらもあちらもない世界ーーあらゆるものは宇宙の果てまで離れていても、つながっているだろう。当然、あなたとわたしもなく、モノ固有の境界も性質もなくなる。光速の壁は超えられて、時間すら反転可能かも知れない。ごった煮の超高エネルギーの闇鍋のような世界だ。 こんな

いま、さまざまな分野でアナログの魅力が再注目され、ヒットしている。たとえば、音楽でもCDの売上は落ち込む一方なのに、アナログ・レコードは世界的に人気が高まっており、売上も大きく伸びている。 こうした現象が興味深いのは、アナログ人気がけっして過去を振り返るノスタルジーではないことだ。今日のアナログ・ブームを牽引しているのは、幼い頃からデジタルに慣れ親しんでいる

若い頃は駅の階段をスタスタ上がり、重い荷物も平気で持てていたのに、いつの間にやらエスカレーターを利用し、「よいしょっ!」と気合いを入れて荷物を持ち上げている自分がいる。そしてお気に入りだったジーンズのウエストが、もう合わなくなっている…… 筋肉から脂肪へーーこうして、男たちは我が身にも老化の波が押し寄せてきていることを実感するだろう。筋肉が落ち、胴回りが増す

ある日、玄関の呼び鈴が鳴り、ドアを開けると警官が立っている。 「警察はあなたを監視しているので、気をつけるように」 そう告げられるが、これまで犯罪をおかしたことなどない。だが、ビッグデータを活用した「犯罪予測システム」によって、要注意人物として指定されたという。ソーシャルネットワーク解析によって、知り合いに犯罪者のいたことが、その理由の一端らしい。 ・・・・

動物たちは人間の五感を超えた世界を生きている。 たとえば、私たちの目には美しく見える花々—— でも、花は人間に鑑賞してもらいたくて咲いているわけではない。虫などを誘惑して、花粉をつけてもらい、受粉を果たすために、咲き匂っているのだ。 花の紫外線写真を見れば、このことがよくわかる。人間の目で見るより、花粉や蜜のある中心部が大きく派手に目立っている。紫外線が見え

「猫が地球を征服した?」……本書のタイトルを見て、「うちの可愛い猫ちゃん一族が、地球なんて征服できっこない!」とおおかたの読者は思われるのでは? でも、これは決して誇張ではない。一見、ひ弱で愛らしい猫たちが、いまや人の脳から、インターネット、各地の生態系まで席巻しつつあるのだ。 その制覇のきっかけは、まずは私たち人間の心を奪ったことだった。猫と人との関係は、

生きることは問題だらけだ。 仲間との競争あり、食べ物にありつけなければ明日はなく、絶えず捕食者に狙われ、もちろん愛のお相手も見つけなくちゃ...... いま地球上に棲息している生きものは、こうした問題を、進化の途上で解決してきた「つわもの」揃いだ。——(といっても、生きもの自らの意思によって解決したわけではなく、 たまたま変異によってうまくい

「さあ、今夜はごちそうにしよう! 何が食べたい?」 こう聞かれて、野菜料理を挙げるひとはまずいないだろう。ごちそうは肉料理に決まっている!(ベジタリアンを除いて) レストランでも、メインディッシュと言えば、肉か魚料理——つまり広義の「肉」料理——である。 肉(とくに赤身の)を多く摂れば健康に良くないことは、すでに数々の研究で知られている。また、地球環境への影

あなたの性格や行動が知らないあいだに、腸内や脳などに住む寄生生物によって操られているとしたら? 「まさか、そんなことは!」と思うだろうか。近年、「神経寄生生物学」と呼ばれる分野の研究が明かしているのは、まさにそんなことが起こっている、しかもごく日常的に!である。 たとえば、世界中で3人に1人が感染していると言われるトキソプラズマ原虫。この微生物は主にネコから

こんな心理学の実験がある。 ある女性が売春の罪で起訴され、留置所から保釈されるのを待っている(という架空の裁判事例の実験だ)。この実験に参加した実在の判事たちは、2つのグループに分かれていた。一方のグループは、売春婦に標準的な保釈金を課したが、もう一方のグループはその9倍以上にもなる高額な保釈金を求めた。 判事とは公正で理性的な判断を

もし世界からニワトリが消えたなら? きっと各地でパニックが起きるに違いない。鶏肉は牛肉・豚肉などと比べて国際的な生産・消費量が急増しており、とりわけ新興国・途上国での需要がぐんと伸びている。安価で栄養価の高い肉や卵は、多くの庶民の健康を陰で支えてきた。 その膨大な加工食品も含めて、人類にとってますます不可欠な食材となり、成長する巨大都市のエネルギー源にもなっ

人工知能のめざましい進展は、人間の能力に迫り、さらに超えつつあるようにさえ見える。やがて、心や意識をもったAIも生まれると予測する研究者も少なくない。私たち人間と区別のつかないようなアンドロイドが、未来に登場するのだろうか? だが、想像の翼を広げる前に、あたりを見回してほしい。いまあなたの周りにいるひとたち、そしてあなた自身ですら実はアンドロイドだったとした

「気のおけないつながりは150人まで」というダンバー数などでおなじみ、 ロビン・ダンバー氏待望の新刊が今月下旬に発売される。前著『 友達の数は何人? 』から実に5年ぶりとなる本作は、人類進化の謎を「社会脳」と「時間収支」から解き明かす一冊。その読みどころを一足早く、版元の編集部に解説いただきました。(HONZ編集部) 人類進化の道筋は、穴ぼこや断層だらけだ。

知能は上げられない――それは生まれつきの能力であり、大きく伸ばすことは難しい。研究者も、多くのひとびとも、そう考えていた。ところが、近年、「知能は短期間で上げられる」という研究成果が続々と発表され、大きな注目を集めている。こうした成果に基づいた<頭をよくする>脳トレや認知能力を高めるメソッドもいろいろ開発されている。また、米国では政府系機関も関心を寄せ、積極

「なぜ私たちは老いて死ぬのか?」――本書はこの問いかけに進化論によって答える。そこから見えてくるのは、私たちの生―老い―死(寿命)が、矛盾、パラドックス、トレードオフに満ちあふれているという実態だ。 もともと老化や死は有性生殖に伴って登場し、多細胞生物において広まった。では、単細胞生物から複雑な多細胞生物へと進化したメリットは何なのか? 多細胞生物のメリット

私たちの脳は、眠っているあいだも休むことなく活動している。それはたんに疲れをとるといった消極的な働きではなく、むしろ私たちの生活に(とりわけ脳自身に)欠かせない積極的な役割を担っていることが解明されつつある。本書はこうした睡眠と脳、記憶や夢とのかかわりを、最新の研究成果を踏まえて紹介した格好の入門書だ。と同時に、「快眠」から「活眠(脳を活かす眠り)」

いまやゾンビは世界的なブームになっていて、映画やゲーム、小説、コミックはもとより、経済学、政治学などの本としても徘徊している。ネット上には「 Zombie Research Society 」なるサイトまであり、数十万人の会員が集う人気だ。もちろん、ここには「ゾンビ・サイエンス」のコーナーもある。 そう、「ゾンビの科学」は、最も旬な研究テーマのひとつであり、