
あれから10年。『「笑っていいとも!」とその時代』が示す未来。
あれから10年です。 国民的人気番組だった『笑っていいとも!』が約32年間の歴史に幕を閉じた日から、きょう(2024年3月31日)で、ちょうど10年です。 社会学者として、これまでに多くのテレビ論、アイドル論をものしてきた太田省一さんの最新刊は、あの番組を、ただ懐かしむだけではありません。 タモリとはどんな存在なのか。新宿とはどんな街なのか。そして、テレビの
社会学者
(2024年当時)
14記事

あれから10年です。 国民的人気番組だった『笑っていいとも!』が約32年間の歴史に幕を閉じた日から、きょう(2024年3月31日)で、ちょうど10年です。 社会学者として、これまでに多くのテレビ論、アイドル論をものしてきた太田省一さんの最新刊は、あの番組を、ただ懐かしむだけではありません。 タモリとはどんな存在なのか。新宿とはどんな街なのか。そして、テレビの

社会学者、と聞いて、誰をイメージするでしょうか? 古市憲寿さん、岸政彦さん、宮台真司さん・・・。 世代などによって、かなり異なるかもしれません。 今回、わたしが書いた加藤秀俊先生は、どうでしょう(個人的に教えを受けたので「先生」と呼びます)。 この本を校正していた昨年9月に93歳で亡くなりました。最晩年には『九十歳のラブレター』が広く読まれていたので、そのお

あつい。 この夏の「暑さ」に負けない「あつさ」を『昭和の参謀』は持っている。 444ページという新書には破格の「厚さ」、テーマにたいする著者の「熱さ」、そして、取材相手への真摯な「篤さ」、この3点を、読者は、じゅうぶんすぎるほど堪能できるにちがいない。 陸軍で、その名をとどろかせた7人の参謀(石原莞爾、服部卓四郎、辻政信、瀬島龍三、池田純久、堀栄三、八原博通

「ねえねえ、ちょっと聞いて。おもろい話が、あんねんけど」。そう話しかけられたような、「京都の下町」での上質な、極上の、世間話を聞いているような、そんな親しみの湧く本です。 著者の通崎睦美さんは、1967年京都市生まれの「クラシック音楽の分野で世界唯一の木琴奏者」であるだけではありません。 木琴の巨匠・平岡養一さん(1907~1981)の評伝『 木琴デイズ 平

ありのままに書く。むずかしさと尊さ、2つを見事に両立させた著者に敬服するほかない。 朝日新聞記者である著者は、妻の、そして、みずからの20年を記録する。みじかくない年月は、彼女が、摂食障害にはじまり、性被害、アルコール依存から水中毒、そして、40代での認知症にいたる時間だった。 語弊を承知のうえでいえば、この夫婦は幸せなのだと思う。 著者を、妻を、「大変」と

もしも、あなただったら、どのように書くだろうか? 児童養護施設で暮らす、その体験を、どうやってことばにするだろうか? 『児童養護施設で暮らすということ』の著者・楢原真也は、200ページにわたる文章で、いっかんして慎重さを失わず、「恥」や「闇」とされかねない部分に踏みこむ。 十数年前に、それまで深く知ることのなかった施設という現場に入ってから、思いもよらないよ

「不要不急か――不要不急です」。 得体のしれないことばに、わたしたちは振りまわされてきた。そんなことばを2年間使いつづけている日本医師会、その建物そばの書店「BOOKS青いカバ」の店長・小国貴司さんは、2020年3月、つぶやいていた。 それからおよそ2年、東京の古本屋では何が起きていたのか。 ライターの橋本倫史(はしもとともふみ)は、10軒の古本屋に3日間ず

あなたは、信じるだろうか? 空中浮遊を30分もするなんて、迷信、ウソ、見まちがい、やらせ・・・そう言って、はねつけるだろうか? この精神科医は、信じている。悪魔は実在し、多くの人が、いまもなお闘っていることを、信じている。 「精神科医のなかには、おかしな人もいる」、読み始める前のわたしは思いこんでいた。 本書の版元・国書刊行会が、この本をウェブサイトで「オカ

この人を見よ!。本書の紹介としては、それ以上、なにもいらない。 著者略歴から、映画がいくつでもできる。最終学歴は小学校卒業、13歳でストリートチルドレンに、奇病、二度の癌、4度の結婚離婚、と、経歴だけで圧倒される。1971年生まれの著者の半生は、2016年に出版した『 不死身の花 夜の街を生き抜いた元ストリート・チルドレンの私 』(新潮社)に語られている。

みんな道楽だ、と三中信宏は言う。 タイトル『読む・打つ・書く』は、もちろん「飲む・打つ・買う」からくる。大酒、ばくち、女、いずれも、このご時世、止められこそすれ、すすめられるものではない。 だからこそ、三中は書名にしたにちがいない。 読書も書評も執筆も、みんな道楽であり、本の章立ては「楽章」としてあらわされる。いまこそ、この道楽に溺れようではないか! 溺れる

親を否定できない。 本書で考えたかったのは、この点です。 生き物である以上、親がいることを誰も否定できない。それだけではなく、父親と母親は、誰にとっても否定できない。否定しようとすればするほど、コンプレックスや負い目を、わたしたち自身が感じます。 わたしの場合、父親は、医者として成功し、古希を超えて筋力を鍛えつづける元体育会ラグビー部員で、母親は、子育てから

近田春夫を知っている人は、すでに読んだにちがいない。知らない人は、いますぐ読んでほしい。音楽で生きる、東京で生きる、その2つを味わえる。日本のロック、パンク、ヒップホップ、さらにはJ-POPやCM音楽まで網羅した音楽史であり、東京でクールに生きてきた大人の足跡を体感できるだろう。 タイトル「調子悪くてあたりまえ」は、ビブラストーンの名曲からとられている。ご存

4人の女性が、顔と名前をあかし、before・afterの写真とともに整形体験を語る。いつもHONZに掲載されるノンフィクションと、傾向はちがう。けれど、これも現実、という読後感を持つだろう。 タイトルどおり東京に来たことこそ、彼女たちの転機だった。「東京はデカい、強い、カッコいい!」。華やかで刺激の多い街で生きる。そのためには綺麗になるしかない。 整形なん

笑えなかった。あなたも、「ガースーです」と自称した菅義偉総理を笑えなかったのではないか。世の中の空気を読みまちがえただけではない。イントネーションもちがう。寿司をひっくりかえした「シースー」のように、平板に言わなくてはならない。 「鬼滅の刃」にあやかって「全集中の呼吸で」を国会答弁でつかったときも、菅総理は「すべった」。つまらないから、だけではない。「202