
鈴木 葉月の記事
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『スエズ運河を消せ』
ときは第二次世界大戦、ところは北アフリカ戦線。イギリス軍の前に立ちはだかったのは、「砂漠の狐」の異名を持つ ロンメル将軍 率いる屈強のナチス・ドイツ軍であった。 そして、ここに愛国心に燃え上がる1人のイギリス紳士が立ち上がった。彼の名はジャスパー・マスケリン。名門奇術一家の出自にして、マジックの名手である。そう、566ページにも及ぶこの長編は、泣く子も黙るロ

『離婚式へようこそ』
あなたは「離婚式」をご存知だろうか? 何はともあれ、まずはこちらをご覧いただきたい。 旧郎・旧婦、入場 開式のご挨拶 離婚に至った経緯のご説明 ~司会者よりご報告~ 旧郎・旧婦よりご挨拶 ご友人代表によるご挨拶 旧郎・旧婦、最後の共同作業 ~結婚指輪をハンマーで叩き割る~ 旧郎・旧婦、参列者での会食 閉式のご挨拶 解散 進行は結婚式に沿ってはいるようだが、い

『お化け屋敷のつくり方』 & 不謹慎だが笑える3冊
正直なところ、私は相当なビビリである。子どもの頃、町内会の肝試しでは集合前に怖気づいてこっそりと家に帰ってしまったこともある。良い年になっても絶叫マシンとお化け屋敷が苦手な私にとって、いまだに遊園地は拷問場でしかない。 しかし立場が逆転し、ひとたび他人を驚かせる身になってみるとこれほどの快感もざらに味わえるものではない。実は、本書もホラープランナーのコンビ


『ごく平凡な記憶力の私が1年で全米記憶力チャンピオンになれた理由』
著者はサイエンス系のフリー・ジャーナリストである。ふだんは『ナショナル・ジオグラフィック』誌などに向けた記事を書いているが、思いつきから記憶術の取材を始めたところ、自身がそのトレーニングを受けることになる。本書では、トレーニングを重ねつつ、記憶術のメカニズムを探るべくその背景の歴史・科学を取材し続け、ついには全米記憶力チャンピオンにまで登り詰めてしまったとい


『ロボット創造学入門』
日本はロボット大国である。実に世界の7割のロボットを生産し、その7割を自動車など生産組立現場で活用しているという。著者の 広瀬氏 はロボット開発の世界的権威であり、本書でも 人道的地雷探知除去ロボット や ヘビ型ロボット など、独創的なロボットの開発秘話が語られている。 しかし本書の見どころは、後半、著者の語るロボットの未来の「形」と「心」についてのくだりで

『身近な雑草の愉快な生きかた』
どんな逆境でも、しなやかにしたたかに、私は私の花を咲かせてみせる―それが雑草魂。 耳タコの常套句「逆境の時代、だからこそ雑草魂で乗り切っていきます!」とは言うものの、雑草の生態を改めて顧みることなど、日常ではめったにない。しかし、ひとたび「名もなき草」の暮らしぶりを覗いてみると、そこではエゲツナイまでの適者生存競争が繰り広げられている。 例えば春の風物詩でも


最近のお気に入り実用書・入門書3冊
HONZ活動を通し、私の読む本も新刊ノンフィクションの割合が高まった。実は自分好みの(=書評を書きたくなる)本に巡り合う確率は1割程度なのだが、私の場合「入門書・実用書」であると打率がグッと高まるようだ。今回は、その中から最近面白く読んだ3冊をご紹介したい。 思い返せば子どもの頃、足が速い同級生はクラスのヒーロー/ヒロインだった。私は足が遅かったが、こんな本

『ご先祖様はどちら様』
著者の髙橋秀実(ひでみね)氏はノンフィクション作家である。かつてフリーペーパー『R25』でも巻末コラム「結論はまた来週」を担当しており、私も街頭で何気ないタイトルに気を取られて読み進めるうちに、いつの間にか橋ワールドに引き込まれてしまったこともしばしばあった。 「情報」を使いこなす弥生人に取り残された、行き当たりばったりの縄文人タイプの人間・・・・・・。本

『シャネルN°5の秘密』
畏敬を込めて「モンスター」と呼ばれ、30秒に1本、世界の何処かで買われる永遠の名香、シャネルN゜5。そのロングセラーの神話が、ココ シャネルの生い立ち・愛の遍歴を縦糸に、時代・文化のシンボルとなりうる歴史背景を横糸に解き明かされていくストーリー展開は、読み応え抜群。 お粗末な香水をつけている女性に、未来はないわ —— ココ シャネル シャネルN゜5はココ シ

『ハウス・オブ・ヤマナカ』
日本人は世界一の美術展好きである。2009年世界の美術展の入場者数ランキングでは、日本の施設が開催した特別展が、 上位4位までを独占 した。海外の有名美術館でも日本人観光客と遭遇するのはうなずけるが、なぜ欧米に日本・中国をはじめ東洋美術の名品が展示されているのか。メトロポリタン美術館、ボストン美術館をはじめ、そのコレクションはかなりの充実ぶりである。 そこで

『新版 家を買いたくなったら』
若くして「あこがれのマイホーム」も夢ではない。バブルの崩壊と少子高齢化・人口減少により地価の下落・不動産の供給過剰が進み、十分に時間をかけて家を選べる時代がついに到来したのだ。 そこで著者は、家は「がんばらないで」買うことを提案する。お金の面だけ見れば、持ち家と賃貸とで生涯の支払総額はほぼ同じ。家を買う方が得という時代は終わった。ならば家は自分の幸せや自己実

『かぜの科学—もっとも身近な病の生態』
残念ながら、風邪の特効薬は今もって存在しない。風邪はウイルスによって引き起こされる。しかし、それはウイルスのスーパーグループであって、風邪の原因には少なくとも200種の異なるウイルスが関与する。その代表格、風邪全体の半数の原因とされるライノウイルス属でさえも、異なる抗体に反応する少なくとも100種の遺伝学的に異なるウイルス株を含む。さらに風邪ウイルスへの免疫


『閃け!棋士に挑むコンピュータ』
人間の知的活動はアルゴリズム(問題解決の手順)ですべて表現できるという仮説から生まれたのが人工知能(Artificial Intelligence=AI)だ。日本における人工知能研究では将棋が題材とされ、人間の知能が持つ機能の中でも最も分かりづらい「直感」「ひらめき」のメカニズムを解き明かそうと研究が行われている。そして、松原仁(公立はこだて未来大学教授)ら

『パチンコがアニメだらけになった理由』
著者の安藤健二氏はノンフィクション作家である。パチンコにアニメとは、一見大衆誌のサブ・カルチャー特集のようなテーマではある。しかし侮ることなかれ、この本ナカナカ良くできている。パチンコ・宝くじ未経験はおろか、ラスベガスですら一度もギャンブルに手をつけなかった私が一気呵成に読破してしまった。 テレビではアニメのものと見紛うパチンコのCMを目にし、街ではアニメ・

