
『悪の引用句辞典』 三段活用のススメ
フランス文学の碩学・鹿島茂先生の手によるエスプリの利いた引用句辞典の登場だ。いざスピーチ原稿や文章をしたためようと思い立ったものの、なかなか筆が進まないという経験はないだろうか。そんなときも引用で万事解決。シェイクスピア曰く、ゲーテ曰く、と名著から一節をちょいとばかり失敬し、「そう、自分もそれが言いたかった」と思いの丈を後に続けて綴っていけばよい。引用とは、
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フランス文学の碩学・鹿島茂先生の手によるエスプリの利いた引用句辞典の登場だ。いざスピーチ原稿や文章をしたためようと思い立ったものの、なかなか筆が進まないという経験はないだろうか。そんなときも引用で万事解決。シェイクスピア曰く、ゲーテ曰く、と名著から一節をちょいとばかり失敬し、「そう、自分もそれが言いたかった」と思いの丈を後に続けて綴っていけばよい。引用とは、

あらためて、「侘び」とは何かと問われると難しい。裏千家十五代の千玄室は、侘びの英語訳として「imperfect beauty」「beauty of imperfection」という表現を用いている。ふつうは完全なものと考えられているヨーロッパ的な美とは対照的に、「不完全であるところに宿る美というものがあるのだ」というのが日本文化の偉大な発見、かつ偉大な創造で

『プラトーン』、『7月4日に生まれて』、『JFK』をはじめ数々の名作を世に送り出し、2度のアカデミー賞に輝いた巨匠オリバー・ストーンが、ドキュメンタリー制作を通じてアメリカの現代史を問い直した成果がここに結実した。本シリーズは、最新資料による裏づけをもってアメリカの黒歴史を暴いた歴史大作である。 人類の歴史を振り返ってみても、現在のアメリカの軍事力は圧倒的で

「概説を書くことが、学者の最大の義務である」という、著者があとがきで掲げた日本建築史の泰斗・太田博太郎先生の言葉がかなえられた、すばらしい一冊だ。日本彫刻史の研究に携わることおよそ40年という著者の山本氏。長年にわたる仏像研究の成果がまとめられている。説明も平易な記述で読みやすく、長年培われた仏教芸術や日本美術史への深い考察も随所にうかがえる。 ぜひ一度、本

ガウディー、サグラダ・ファミリア教会、サッカーのバルサ……。「それってみんなスペインのものじゃないの」と思った人や、ヨーロッパ観光旅行でバルセロナを訪れただけなのに「スペインを旅行した」と思い込んでいる人は要注意。それは100パーセント正確な認識とは言えないようなのだ。 スペインであって、スペインでない(かもしれない)独自の文化が花開く「奇跡の土地」カタルー

健康のために気をつけたい食生活。毎日手作りでバランスのよい食事が食べられれば理想的だが、忙しさのあまりついついコンビニ食が続いてしまう、もしくは、バラエティに富んだ外食の誘惑には勝てないという方も多いだろう。 しかし、もう罪悪感を感じることはない。コンビニ食や外食だって、ちょっとしたコツやノウハウがあればカラダを健康に保つことはできる。本書は栄養士による「一

資源、食糧問題、企業の成長戦略、いずれもグローバルの政治経済を語る上での最重要課題である。アフリカは、そうした21世紀の国際政治経済の縮図そのものである。 本書のアプローチは特徴的だ。アフリカを語るのにアフリカ自体から説き起こすのではなく、外から視線を注いでその輪郭を描いていく。読者は現在のグローバルイッシューである資源、食糧問題、国際開発といった多角的な切

いかなる分野の議論においても、データを集めて分析することで最速で最善の答えを出すことができる。それが、統計学が最強の武器たりうる所以である。 本書では、医療や企業経営などの分野でデータ分析・活用の経験を有する著者による領域横断的な解説を通じ、統計学の世界を俯瞰できるようになっている。統計リテラシーを身につけたい方の入門書としてもおススメの一冊だ。 「疫学」と

いったい自分はどうすればモテるようになるのだろうか。世の中には、そんな人類の究極命題とも言える恋愛のメカニズムを科学的に解き明かすことを使命とした「恋愛学」という学問が存在する。本書では、そんな恋愛学の専門家が恋愛のメカニズムを人間の五感から解き明かす。恋愛にまつわるタブーや迷信にも容赦なしで切り込む語り口は小気味よく、新感覚の恋愛論としても楽しめる。 そも

日々の食生活から近未来の新エネルギー問題まで、我々の暮らしと熱量とは切っても切れない関係にある。それでは試みに、思いつく限りのエネルギーにまつわる問題をカロリー数値に置き換えて見てしまおうというのが本書だ。 まずは人間の体をカロリー計算してみよう。様々な実験によれば人間の仕事率は100ワット程度。直感的に言えば、われわれが朝起きて職場や学校へ行き、仕事をし、

ヒット商品にはワケがある。息の長いおなじみ商品から最近の流行商品まで、本書では「パッケージ」という切り口からそのヒットの理由を説き明かす。「日経デザイン」編集だけあって紙面の構成も見やすく、カラー写真や図版も豊富で手にとってページを繰るだけでも楽しい一冊だ。 パッケージには、消費者に訴えたい商品イメージのみならず意外な機能も備えられている。例えば缶コーヒー。

デパートでは恒例の冬物バーゲンが真っ盛り。しかしよくよく考えてみると、毎年服を買い足しているはずなのに、今年着るものがないとはどういうわけだろう。昨年・一昨年に買ったシャツやセーターはどことなく古ぼけて見える。結局、衣類を毎シーズン買い続けてもタンスの肥やしが増えるばかり。 そんな悩める自分にぴったりの本が見つかった。コーディネートのレベルアップとタンスの”

表紙は3本の干し昆布を並べただけという何とも飾り気のない本だが、なかなかどうして読ませる一冊。さながら、140年を誇る昆布商の主人が語る「昆布民俗学」の決定版と呼べるほどの充実した内容だ。 この黒くて地味な昆布、実は日本の近代化にも一役買っている。古くから蝦夷地で食されていた昆布がポピュラーになったのは江戸時代後半。松前(北海道)と大坂を往復しながら物資の売

美術館で目にする名画はどれも個性的だ。セザンヌならリンゴ、ピカソなら女性(美女?)とお決まりのモチーフが複数の作品に繰り返し登場する。単に写実的かという観点から見ると、素人目には必ずしも上手いとは言いがたいものも見受けられる。 言わば「ヘタウマ」の彼らの作品だが、決して他人は真似できない。そして、じっと見ているとなぜか感銘を受けてしまう。一体その感動の源泉は

大相撲の白鵬関が真の横綱相撲の理想を示すものとして語った「後の先」(ごのせん)が、ひと頃メディアでも話題になった。一見、相手の攻撃を許しているかのように見えて、実はその攻撃を受ける中で巧みに相手を制する形に持っていくという、高度な技の体系だ。 相手にどんな仕掛けを打たれてもいつの間にか自分の型に持ち込み、当たり前のように勝つ。常勝の秘訣はカウンターアタックに
統計データはためになる! ~棒グラフから世界と社会の実像に迫る~ 世の中には様々なデータがあふれているが、数字だけではピンとこないものだ。しかしグラフ化した途端にメッセージが浮き彫りとなり、直感的にこれに納得できたといった経験はないだろうか。 たとえば、 「老舗企業創業年次ランキング」 をご覧いただきたい。 イオン、高島屋、新日鐵、伊藤忠商事といった江戸・明
京のわる口 (平凡社ライブラリー) ゆっくりと、余韻に浸りながら読み進めたい一冊だ。本書では、京都出身で太宰治賞の受賞作家でもある著者によって、題名にもある「京のわる口」が一つずつエッセイに綴られている。陰陽で言えば陰、「批判語」というネガティブなテーマであるにもかかわらず、全編、懐かしくも雅な雰囲気が漂う。何とも不思議な一冊だ。 私の感覚では「ちょっと羽目

眠るという行為にはどうしてもサボる・不謹慎といったマイナスイメージが付きまとうようだが、はたしてそれは正しいのだろうか。眠りとは、自分が生産的であり続けるための創造的行為なのだと、今こそ声高らかに叫びたい。そんな私の心境に科学的見地から応えてくれる一冊が見つかった。 睡眠にはレム睡眠とノンレム睡眠の2種類があることは広く知られている。レム睡眠というのは、閉じ

てっきり書名からレアメタルの産業利用や資源開発がメインテーマかと思っていたが、本書で主に扱うのは生命科学の分野である。身内の第一人者を出し抜くようなテーマで僭越ではあるが、これは神秘的かつ深刻な内容に富んだ相当な力作。新刊本ウォッチャーの端くれとして、この一冊を見逃すわけにはいかない。 意外と知られていない事実ではあるが、重金属は人類の生活や科学技術に必須で

俳句と言えば何を思い浮かべるだろうか。年寄り趣味の代表格、自分のメッセージや感動の自己表現、五七五や季語を入れるなどルールが多そう……。そういった先入観をいったんチャラにして、俳句を「自分の外に出るためのゲーム」として捉えなおそう、というのが著者の提言だ。 その第一歩は「俳句は自己表現の手段」という考え方を否定すること。そもそも人間の「言いたいこと」なんて高

ロンドン五輪の熱狂覚めやらぬ中、銀座で行われたメダリストのパレードには50万の観衆が駆けつけた。史上最多の38個のメダルを獲得した五輪のヒーロー・ヒロインたち、真剣勝負の険しい表情も凛々しいが、晴れやかな笑顔も見ていて気持ちが良いものだ。 栄光の勝利、そして歓喜の渦の中にあっても、天才アスリートは自分を支えてくれた人々への感謝の言葉を欠かさず口にする。彼らは

ブラジルのサッカーW杯代表選手、あるいは日本の柔道オリンピック代表に対し、「2番じゃダメなんでしょうか?」と面と向かって問うこと自体、ナンセンスではある。が、ことスーパーコンピューターに関しては、”発言者”の意図はさておき、この質問が一般人のみならず、専門家、国策を担う政治家・官僚にとっても大きな一石を投じることになった。 本書の著者・ 金田康正 氏は、計算

暗記科目の歴史が苦手というアナタに朗報。とにかく、東京大学の日本史の入試問題がたまらなく面白いのだ。 そこで問われるのは詰め込みで得られた知識でも、通り一遍の模範解答でもなく、ズバリ"考える力"。「選りに選りすぐったこの問題に、真っ向からかかってこい。」 「自分の頭で考え、自分の言葉で見事論破してみろ。」 どの設問からも、そんな出題者の声が聞こえてきそうな良

先日何気なくつけたテレビで目にしたNHK番組「 仕事ハッケン伝 」には心底参った。職場体験者である芸人ザブングル加藤のミッションは、女子中学生向けのファッション誌「ニコラ」の編集を担当するというものだった。 加藤はいつにも増してカッチカチの険しい表情で、不慣れな仕事に懸命に取り組む。企画のネタだし、少女モデルへ流行の話題の聞き込み、写真撮影に誌面の割り付け検

内村鑑三の著作に「デンマルク国の話」という短いエッセイがある。ドイツ・オーストリアとの戦いに敗れ、肥沃な土地の割譲を強いられた小国デンマークは、植林によって荒野を沃野に変え、自国を平和的な国家として再建することに成功する。善き宗教、善き道徳、善き精神により、国が戦争に負けてもいかに衰えなかったか、という趣旨で語り継がれている感動的な話である。 デンマークの国

その記念すべき初プロジェクトである「マジンガーZ」の地下格納庫建設など、本書では歴史記念碑的建造物のクフ王ピラミッドから空想世界にある正義の味方の秘密基地、未来の宇宙エレベーター建設まで、人類が思い描いた「夢プロジェクト」をガチで検証。日本を代表するゼネコン三社の本気の「技術力」と「遊び心」がぎっしり詰まった一冊だ。 「マジンガーZ」は1972年に発表された

これぞ逆説の魔術。どこかおかしい、でも、どこに間違いがあるのか、答えが出そうで出ないのがパラドクスの魅力だ。バラエティに富んだパラドクスが、12章にわたってこの一冊にギュッと濃縮されている。 まずは、予測のパラドクスの中で有名な「抜き打ち試験のパラドクス」にちなんだ、こちらのエピソードから。 ----------------- とある中学校でのお話。週末の休

外見・性格、自分が周りからどう思われているのか。日頃ズバリと指摘されるような機会もナカナカないが、実際言われるとイラッと来てしまうのが人情というもの。そんなときは本書を取り出し、指差し確認も悪くない。自己啓発書も使い様、読んで楽しく使い手もあるこの一冊をご紹介したい。 おじさん臭く見えてしまう髪型と、若々しく見える髪型の違い、それは、 頭頂部(トップ)と横の

著者の 遠藤雅伸 氏はゲームクリエイター。代表作には 「ゼビウス」 「ドルアーガの塔」 「ファミリーサーキット」 など、ファミコン世代の我々が幼少の砌(みぎり)お世話になった往年の名作が、ズラリと顔を揃える。 その遠藤氏、最近ではモバイルゲームも手がけている。東京大学大学院や宮城大学ではゲームデザインについての講義を担当し、本書は好評を博したその集中講義録。

野球についての客観的・統計的な研究。ビル・ジェイムズという一人の野球ファンによって提唱され、アメリカ野球学会の略称であるSABRと測定を意味するmetricsからその名がつけられている。当初は好事家の間の趣味として広まったが現在ではMLBの多くの球団が専門家を雇い入れ、チームの運営に活用している。 ところ変わって日本プロ野球。本書はセイバーメトリクスを日本プ

変化の激しい今の世の中。なればこそ、転ばぬ先の定点観測。将来を先読みするには特定の指標を定期的にチェックし、その変化やトレンドを追ってみるべし。すると社会や経済の今後が浮き彫りになってくる。 数字はウソをつかない。しかし、どの数字を選んで、どう読み解いていったらよいのか、そこにはちょっとしたコツが必要だ。本書は、初心者でも楽しみながら、マーケットのプロは知識

この本には力がある。写真家・白尾氏の仕事はすばらしく、大判ページを繰ると世界の露頭が眼前に立ち現れる。そこに広がるのは生(=き)の地球の姿だ。厳然と切り立つ崖に荒々しい岩肌―元来の地球は「自然」すら超越した存在であり、本来は「惑星」なのだということに気付かされる。九州大の清川准教授による巻末の解説も充実し、感銘は一層深いものとなる。 微惑星は理論的に導かれた

夜更かしと言えば深夜番組と相場が決まっている。中でも「 たけしのコマ大数学科 」はお気に入りの深夜番組の一つだ。 番組では、ビートたけし・東大生(女子大生)・コマ大(芸人軍団)の3チームが数学の問題に取り組む。そのアプローチは三者三様だ。本書の対談者の一人で同番組の講師を務める竹内氏に言わせれば、コマ大チームは体育会系の実験型。体を張って問題を解いてゆく。コ

一流アスリートのパフォーマンスかと見紛うばかりの ピアノ超絶技巧 。あるピアニストは、最速度の演奏でリズムの正確さを保ちながら1秒間に平均で10.5回打鍵するという。またピアノを毎日4時間弾いたとすると、その手は1年間で490キロメートルほどの距離を移動する。東京と大阪を「手で」移動し、年間10回以上フルマラソンに出場しているようなものだ。 本書は、ピアニス

この本に収められているのは、日仏の文豪12名のラヴレターを巡る物語である。 「私はこれまでほかの女性に一度たりともこんな言葉を書いたことがありません」 たとえそれが真っ赤な嘘だとしても。 本書が『恋愛書簡術』を謳っているのは、「ラヴレターとは純粋な愛の告白などではなく、相手に向かって自分の愛が本物だと説得する技術的な作文」との見地による。それは誘いであり、駆

新年早々、目出度がってばかりいられない方も多いのではないだろうか。旧年末の忘年会に正月休み、重ねに重ねた暴飲暴食・不摂生。このまま新年会シーズンへとなだれ込まんとする今この瞬間、頭をよぎる一抹の不安……。 風呂場の姿見と向き合って、腹に手を当てて一思案、「今年こそ健やかな一年を」と思い立った方におススメしたいのが本書だ。栄養士の観点から、食事が身体や仕事のパ

気のおけない仲間との音楽談義は楽しいものだ。知人の部屋に上がり込んで自慢のコレクションを物色しつつ、あるいは銘々がとっておきの名盤や珍演奏を持ち寄り、聴き比べては悦に入る幸福。 音楽は万人の前に等しく微笑みかける。本書で小澤征爾と村上春樹がくつろいで語らい合う様子からも間違いなく言えるのは、二人もマエストロと小説家である以前に、我らと同じ音楽愛好家だというこ

今年も気がつけばもう師走。ムードある電飾のイルミネーションや精緻なCGアニメーションも良いが、素朴な手作りおもちゃも温もりがあって飽きが来ないものだ。 Eテレの番組 でもおなじみのピタゴラ装置は昔から私の大のお気に入りで、ボールが転がり始めるとついつい見入ってしまう。 本日はちょっと気分を変えて右脳系ブックレビュー。目に楽しく斜め読みでもくつろげる、こちらの

HONZが発足してから11ヶ月、メンバー間で本代とともに右肩上がりで増え続けているのは酒量であろう。毎月の定例会、新刊本を持ち寄る 朝会 に加え、気付けば本を肴の夜会も恒例となり、こちらも今後ますます盛況となる気配。 さらに一同相当の飲み手だ。(甘党・下戸の内藤順は唯一の例外。) 私自身は晩酌の習慣もなく今まで付き合いでたしなむ程度、「このままではマズイ、何

社会人の皆様は今、仕事に燃えているだろうか? 学生の皆様は、将来への希望に満ち溢れているだろうか? ビジネス書を手に取ってフレームワークを学んだり、自分探し・自己啓発で異業種交流・外部セミナーに参加する前に、なすべきことがあるはずだ。それは、今この瞬間を生きること。与えられた仕事をトコトンまでやり切ってみろ。目の前の仕事に全身全霊ぶつかっていけ! ― ページ