
一気読み不可 『シャーロック・ホームズの思考術』
ネットで短文を読むことに慣れている方は、きっとイライラさせられるだろう。繰り返しが多く、読むのに時間がかかる。一気読みができない本だ。それでも私は、本書をお薦めする。人によっては、人生のバイブルになる可能性すらあると思うからだ。私は「くどいと感じた言い回しには、別の意味があったのではないか」と思い直し、さらに一ヶ月かけて読み直した。それくらい、私は本書にひき
(2024年当時)
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ネットで短文を読むことに慣れている方は、きっとイライラさせられるだろう。繰り返しが多く、読むのに時間がかかる。一気読みができない本だ。それでも私は、本書をお薦めする。人によっては、人生のバイブルになる可能性すらあると思うからだ。私は「くどいと感じた言い回しには、別の意味があったのではないか」と思い直し、さらに一ヶ月かけて読み直した。それくらい、私は本書にひき

これは、日本発の新しいアートの本だ。いま、“コロリアージュ”というフランス発のぬり絵がブームになっているが、“NuRIE”は日本一大きなぬり絵商材なのである。吉水卓さんというアーティストが絵を描き、マルアイさんという山梨県の企業が生産、販売している。2014年3月の発売以来、好評を博し、新作を続々と発表。現在すでに7作品を発売中。日本のみならず海外の展示会な

本書は、シーボルトが長崎滞在の土産として持ち帰り、今やヨーロッパなどで侵略植物の代名詞となっている「イタドリ」という日本の在来植物の数奇で皮肉な運命を、10年の歳月をかけてまとめた異色の写真集である。この本を手にとるまで私は、この植物の存在も、それが世界に広がった経緯も、その忌まわしい現状も知らなかった。イタドリ。どこにでもある雑草である。表紙のハート型の葉

いま、世の中には「ほめて伸ばす」ことを標榜した子育て本があふれている。本書は、それを実践している親御さんにこそ、読んで欲しい一冊だ。子育てに答えはない。同じ主張の本ばかり読むよりも、違う意見に耳を傾ける余裕こそが大切だと私は思う。最悪なのは、入れ知恵されて子供を操縦しようと考えることだ。おそらく本書には、ほめる子育てを実践中の方をニュートラルに戻す効用がある

初詣くらいはスーツでビシッと決めようかと思ったものの、仕事で着るものしか持っていない。若い頃は、小遣いの何倍もするブランドもののシャツを買うためにバーゲンに並んだものだが、いつしか私は、高い服を買うのに罪悪感を抱くようになってしまっていた。 ところが、本書で紹介されている男たちときたら、50歳を過ぎても、月収の何倍もするスーツを着て良い気になっている。日本で

この12月に労働安全衛生法が改正され、50名以上の事業所について、全従業員へのストレスチェックが義務化される。本屋さんでは、日記・手帳商戦の真只中である。これは、偶然ではあるまい。いや、偶然か。いやいや、そんなことはどちらでも良い。これまでの日記・手帳は、成功や効率を追い求めるものが多かったが、最近はそのトレンドがやや変わりつつある。ここが重要である。 ご存

本書の舞台は、ミクロネシアである。ただ、そういわれても、茫洋として掴みにくい。だから副題に「南洋パラオ」と入っているのだろう。観光地パラオなら少しはイメージできる。実際に私は、この副題で興味が湧いた。メインタイトルだけだったら、手に取ることさえなかっただろう。そういう類の本は山ほど出ているからだ。私は、この副題に惹かれて本書を手に取り、そして、次の一文を読ん

本書は、アイルトン・セナの人間性に惹かれ親交を深めたイタリア人ジャーナリストが、ユニークな切り口で、その人物像をまとめたノンフィクションである。伝説のF1ドライバー・セナを一方的に礼賛した回顧録は世に数多あるが、本書は、敬意と友情を交えつつ、神格化されたセナの“あまりにも人間的な側面”を描くことで、逆にその魅力を最大限に引き出すことに成功している。セナ没後2

本書は、精神を病んだ人を説得し医療につなげる「精神障害者移送サービス」に従事する著者がまとめた本だ。生命の危険を伴う仕事であろうことは想像に難くないが、全体の半分以上をしめる第1章「ドキュメント」では、想像をはるかに上回る壮絶な事例が多数紹介されている。その文章は、第三者によって安全な所から書かれたものとは違い、対象者の回復を願い行動を共にしている著者の目線

読みどころ豊富なビジネス書である。ひとつのメッセージだけをパッケージにした軽い読後感のビジネス書とは、一線を画している。その読みどころはどれも質が高く、どれから紹介するか迷ってしまうほどである。でも、それを統べるのが「ドラマ思考」というキーワードだし、おそらく皆様もそれが何かを知りたいと思うので、まずは、そこから説明したい。 少し前に「プラス思考」が流行した

サクラは、なぜ春になると花が咲くの?など、本書は、身近な7種の植物に潜む不思議について書かれた本だ。読み手は、その不思議の裏に潜む植物の知恵の深さに何度も驚かされる。そして読後には、道端の植物を敬意のまなざしで眺めるようになるに違いない。多少大げさな表現をお許しいただけるなら、読み手にとってその後の人生の景色を変える可能性を秘めた1冊なのである。本書は、ベス

本書は、自由律句のふたりの巨人の足跡をたどり、人生の真実を読み解いた評論である。だが、評論というには余りに美しく、写実性に富み、まるで読者を旅に誘うようだ。旅行記を読んでいるように、現代人の緊張を優しくほぐしてくれる快著である。本書には、尾崎放哉と種田山頭火の代表的な句が、多数紹介されている。長く手元に置いて、折に触れてページをめくりたくなる本だ。自由律句そ

本書は、ミリオンセラー絵本『ぐりとぐら』の作者、中川李枝子さんが書いた教育エッセイだ。著者は、17年間保母として勤務したのち、絵本作家になった。ここには、主にその17年間に著者が感じたことがまとめられている。子を持つ親たちにとって、子供たちが保育園でどのように過ごしているのかを思い浮かべるのは、文句なしに楽しいことだ。私も読みながら、思わずニヤニヤしてしまっ

西部開拓時代のアメリカの酒場には、ケンカ騒ぎの殺し合いからピアニストを守るために、「ピアニストを撃たないでください」と貼り紙がしてあったという。経済戦争などという言葉がある現代にも、同じことが言えると私は感じている。経済優先の社会から、芸術やスポーツなど、祝祭の能力をもった人を守らなければならない。本書は、長らく銀行員として働いたあと、現在は武蔵野音楽大学の

副題にある「団塊シニアと子育てママ」は、ご存知の通り、消費の大票田である。その実態を見誤ってしまったら、ビジネスの成功などおぼつかない。定量的マーケティングで一般的にいわれている「若い母親(ヤンママ)の料理は手抜きだらけ」とか、「シニア層の散歩は健康目的」という情報を鵜呑みにしていないだろうか。本書は、その嘘を明らかにしながら、たった一人のサンプル調査で絶大

最近、戦争を身近に感じる出来事が続いている。本書は、国家が“国民を戦争にかりたてるために”どんな嘘をついてきたかを、歴史上の事実を列挙してつまびらかにした本だ。ベースにあるのは、1928年にロンドンで出版された名著『戦時の嘘』。この比較的薄い文庫本は、私たち日本人が今まさに見つめ直すべきテーマについて、考えを深める契機をたくさん与えてくれる。ぜひ、ともに過ご

本書は、多くの人を勇気づける、まっすぐな力をもった生き方エッセイだ。堀江貴文氏の推薦文にあるように、私も本書を読んで元気になった。若いころ喧嘩に明け暮れアウトローだった著者が実体験をもとにまとめた迫力に富んだ言葉が、読む人の心を動かすのだろう。そもそも生き方エッセイは、自分と同じような人生を歩んでいる人のものを読んでも大抵つまらない。本書のように、破天荒な人

作家の故丸谷才一さんは、書評を書くとき「最初の3行で読む気にさせる」ことを目指したそうです。私のものはまだ書評という芸域に達してませんが、ついつい皆さまに「読んでいただく」ことを忘れ、冒頭部分をダラダラと書いてしまいます。 先日亡くなられた高倉健さんの手記の言葉が、胸に響きました。「往く道は精進にして、忍びて終わり悔いなし」私はこのコーナーの原稿を書くとき、

社会に出ると「もっと儲けたい」という月並みな思いが、多くの人の心の中心にデンと居座るようになり、私は本当にもったいないと思ってきました。最近、世界的な経済学者の宇沢弘文氏が亡くなり、経済学に幸福という観点を持ち込んだ氏の著作に再びスポットが当たるようになりました。私は勤労学生でしたが、大学4年生の頃、氏の名著『 自動車の社会的費用 』を読んで「自動車は運転し

今だけは、我が家のチャンネルの主導権を私が握っています。大変恐縮ながら、イチ阪神ファンとして胸の高鳴りが抑えられません。イチ野球ファンとしては、日本シリーズは優勝したチーム同士でやって欲しいという複雑な思いもあるのですが。さて、ファーストステージ初戦で福留選手が放ったホームランは、その後の良い流れを作る「値千金」の一発でした。この「値千金」という言葉、使い古

先日、テレビで偶然、青いバラを目にしました。番組は、たしか・・・ドラマ「金田一少年の事件簿」でした。「じっちゃんの名にかけて」というアレです。その時、私の中で何かがカチリと音を立てて「今月のHONZの1冊目は、『美酒一代』でいこう!」と決まりました。 音楽の殿堂・サントリーホールには、ブルーローズというホールがあります。数年前に私が行ったときも、とても自由で

ブラック企業や鶏肉の問題で、利益優先の法人組織から、食べ物を買うことに不安を覚えるようになりました。そういう店から少し足が遠のくようになりました。これらの事件の背後に、飲食チェーンが利益を獲得するためのフロンティアがなくなり無理をしている状況があり、問題の根っこが深いと感じたからです。 ことによるとそれは、資本主義全体の問題なのかもしれません。利益を投資にあ

若い頃は、正しさに近づきたいという想いが強く、何かを断定するような本が好きでした。でも年を重ね、より考えるようになったのは「正しさ」よりも目の前の「相手」のこと。最近、私が心を揺さぶられるのは、決まって、少し優しかったり曖昧だったりする本が多いです。「相手」が何を考え、何を求めているのかを本気で考えている本。今月は、そんな定義で私なりの「優しい本」をいくつか

今日も、外は雨。でも、私の心の中は晴れています。ネットから書店様の担当に変わったとき、心の中に朝日のような光がありました。それは、ITよりもお客様への敬意を中心にして仕事を進めたい、という希望の光でした。たとえ全体がITを武器に進むとしても、私はそのハンドルの「あそび」として存在していたいと思ったのです。長い間、システムの開発と運営に携わりながら、お客様個々

14年前、 オンライン書店e-hon の商材担当になり、毎日100冊を超える新刊を1点1点、手にとって吟味するようになりました。30代始めの5年間。とても貴重な経験でした。そこから、自分のキャリアは始まったようなもの。当時の上司には、心から感謝しています。以来、本と読み手の幸せな出会いを生み出すため、仕事を続けてきました。 人前に出て恥ずかしくない知識は蓄積

私は、犬嫌いです。犬の存在を初めて意識したのは、小学生のころでした。「タスケテーッ!」と叫ぶ妹の声が、私と母の耳に届きました。声のほうに急ぐと、犬に追われてガケ下に落ちた妹の姿がありました。幸い大事には至りませんでしたが、以来犬のことを憎々しく思って過ごしてきたので、良い想い出がないのです。ある年の桜のきれいな季節のサイクリング中に、赤信号で停車しました。そ

皆さんは、昭和ときいて、何を思い浮かべられるでしょうか。私が真っ先に思い浮かべるのは、家族と過ごした日々の「温かくて頼もしい質感」です。それは、少年期特有なものかもしれませんし、昭和という時代特有のものだったのかもしれません。厳しい父と優しい母、そして妹との4人暮らし。裕福ではありませんでしたが、少しづつ豊かになっていく喜びを実感していました。 昭和の終わり

STAP細胞の小保方さんの話題に、私もワクワクさせられました。ニュースでは、人にスポットがあたったり、研究自体にスポットがあたったり様々でしたが、私が注目したのは世に出るまでの経緯でした。一度「長年の研究の歴史を愚弄する論文である」と否定された点です。苦労して研究者としての常識を身にまとい、内向きの努力をして立身出世を目指している人から見ると、おそらくカチン

今年のお正月は「何もしないをする」という言葉が、ずっと頭をめぐっていました。例えば、頭を空っぽにして「子供と過ごす」なんていうのは、私的「何もしないをする」です。日がな一日「競馬場で過ごす」というのも、そう。そして、同じく「釣り糸をたらす」のも、そうです。最近のビジネス書には、トラウマを否定するものがあり前向きで実に素晴らしいのですが、結局私は気がつくとクヨ

暮れも押し詰まってきました。皆さま、いかがお過ごしですか。政党再編がらみのニュースで読まれる「江田氏ら」というフレーズが、どうしても「江頭(えがしら)」に聴こえてしまい、何度も顔をあげてしまう私です。好きなんですよね、江頭2:50さんの芸風。でも残念ながら中学2年生ぐらいから、自分ではそういうことを出来なくなってしまいました。何度か挑戦しましたが、やっぱり恥

やなせたかしさんの「アンパンマンのマーチ」がとても好きです。10年以上前に姪っ子と一緒に何度か聴いているうちに、その歌詞の凄さに気づいたのです。「なんのために生まれて なにをして生きるのか こたえられないなんて そんなのはいやだ!」私はチャップリンの映画『モダンタイムス』を想い出しました。こ、これが、子どもの歌!? 発展した社会においては、自分が何のために汗

統計学の本が良く売れています。あみだくじは真ん中が当たりやすいなど、新しい発見がたくさんあり、仕事にも活かせそうです。ただ個人的には、確率・統計というと(少しズレますが)、中学のころ友達の家で麻雀に溺れていた日々を想い出します。勿論、そんなことができたのは、部活が休みになる定期テスト前だけでしたが。。。 愉快な仲間たちとビートルズを聴きながら、「カンパーピン

HONZをご覧のみなさま、こんにちは。先日、本屋さんにイベントをご提案するため、バスについて調べることになりました。こういう場合は、ググっても限界があるので、仕事が終わってから、本屋さんを何軒かまわることにしました。鉄道と自動車の中間のような存在で、なんとなくユルくて大らかな印象がある、バスという乗り物。いくつかの本を手に取りながら、気づくと、バスの魅力に引

この夏の暑さはあまりに異常で、気づくと頭がおかしな回転を始めていることが度々ありました。それはいわば、「ひと夏の妄想」とでも言うべきもので、世の中の先行きや私という人間の将来について、次々に連想がつながり、思いもよらない帰結に至るというものでした。過去にも、そんな夏の日があったのを思い出します。将来の進路を考えた、若き夏の日です。 ちょうど、環境問題が声高に

はじめまして。トーハンの吉村と申します。私が働いているのは、書店ではなく取次です。でも実は13年間、オンライン書店e-honという「本屋さん」でお客様に本をオススメしてきました。方法はもっぱらメールでしたが、配信数は延べ1億通にものぼります。本を選び、ご案内する日々。最初の5年は、新刊全点を手にとって商品知識を養いました。現在は、全国の本屋さんに商品提案をさ