
『夫のちんぽが入らない』不通の私と、みんなの普通
このタイトルだけに色物系かと思われるかもしれないが、奥深いメッセージが込められた、笑いあり涙ありの痛快エッセイである。 冒頭、このような一節から始まる。 いきなりだが、夫のちんぽが入らない。本気で言っている。交際期間も含めて20余年、この「ちんぽが入らない」問題は、私たちをじわじわと苦しめてきた。周囲の人間に話したことはない。こんなこと軽々しく言えやしない。
HONZ編集長
326記事

このタイトルだけに色物系かと思われるかもしれないが、奥深いメッセージが込められた、笑いあり涙ありの痛快エッセイである。 冒頭、このような一節から始まる。 いきなりだが、夫のちんぽが入らない。本気で言っている。交際期間も含めて20余年、この「ちんぽが入らない」問題は、私たちをじわじわと苦しめてきた。周囲の人間に話したことはない。こんなこと軽々しく言えやしない。

テクノロジーが進化し、世界中の人たちは密接につながりだした。人類には、太古からのナレッジだって十分に溜まっている。それでも世界情勢は安定せず、中東をめぐる問題は予断を許さない状況が続いている。 とりわけ深刻なのが、大量の難民が雪崩をうったようにヨーロッパへ流入し、深刻な社会問題を引き起こす可能性が高いということだ。驚くべきことに、このヨーロッパへ流入した難民

今年2回目を迎える「ビジネス書グランプリ」。昨年からグロービス経営大学院と本の要約サイトflierの主催で始まっておりましたが、今年から主催者の中へHONZも名を連ねることになりました。グロービス経営大学院、Forbes JAPAN、flier、HONZでの共同開催です。(※ちなみに昨年のグランプリの模様は こちら ) このアワードのコンセプトは「 ビジネス

佐々木俊尚さんといえば、これまでの著書において新しい潮流を描き出すとともに、旧態依然としたものを片っ端から斬ってきた遍歴を持つ。ターゲットは時に新聞・テレビであったり、日本のリベラルであったり、民主主義だったりと様々であった。そして本作ではその対象が「ジャーナリスト像」のようなものへ向かったのではないかと感じる。 とは言っても、本書は別にジャーナリズムについ

本書は『最古の文字なのか?』がメインタイトルで、サブタイトルが「氷河期の洞窟に残された32の記号の謎を解く」。一瞬、メインとサブが逆なのではないかと思ったほどであるが、これこそがまさに「名は体を表す」であった。 洞窟に入って壁画を見れば、誰だって巨大な牛やウマの絵に目が向くことだろう。たしかに絵のような芸術品は、太古の人々の生活を具体的なイメージとして捉える

本書が発売されるにあたり、本人はこう言ったそうだ。 買うな! 退屈な本だ! しかしこの発言こそが、より一層の好奇心をかき立て、最強の宣伝文句になってしまう。今、世界で最も耳目を集め、あらゆる面で逆説的な男、それがドナルド・トランプだ。 先日行われた、大統領選の2回目のテレビ討論をご覧になられた方も多いことだろう。人の質問にきちんと答えない、 変なところに立つ

大学に関するノンフィクションは数あれど、藝大がテーマというのも珍しいなと思い読み始めたのだが、中に登場する人物たちは、もっと珍しかった。まさに珍獣、猛獣のオンパレードである。 舞台となる東京藝大は上野にキャンパスがあり、芸術家を志すものたちにとっての最高学府である。上野駅を背にして左が美術学部で、右が音楽学部。美術と音楽、二つの芸術がまさにシンメトリーのよう

タイトルだけを見れば、自分には理解できない種類の人たちが、目を覆いたくなるような行為ばかり繰り広げる内容と思われるかもしれない。だがその予想は、大きく裏切られることになるだろう。最初はよくある感情の行き違い程度なのだが、それが引き寄せられるようにいくつも重なり合い、気付けば取り返しのつかないことになっているーーそんな印象だ。 本書『「鬼畜」の家 わが子を殺す

「未来を予測する最善の方法は、それを発明してしまうことだ」とは、かの有名なアラン・ケイの言葉である。確かにそれは正しいかもしれない。しかし、この言葉が本当に説得力を持つのは、偉大な発明を成し遂げた人物によって語られた時だけである。 本書の著者ケヴィン・ケリーなら、このように言うだろう。「未来を予測する最善の方法は、それを発見してしまうことだ」と。ならば、未来

鋭利な刃物を手にした黒装束の男と、オレンジ色のジャンプスーツで手を縛られた人質。ネットを通して瞬く間に拡散した、あまりにも残忍な光景を多くの人は忘れることなどできないだろう。 その後、凄惨な行為はフランスを始めとする世界各地へと飛び火し、さらに多くの犠牲者を出すことにもなった。まさにテロの連鎖というべき状況を断ち切っていくためには、我々は何をするべきなのか?

今、多くのビジネスマンは、二つの戦いに追われているかもしれない。一つは勝手知ったるライバル企業との戦い、そしてもう一つは今はまだ視界に入ってきた程度だが、次世代において大きな脅威になりうる新たなライバルとの戦い。現在と未来、二つの時間軸での戦いを同時並行に行わなければならないのは、変化の速い現代社会の宿命である。 もちろん数字的なインパクトが大きいのは前者の

SNSに功罪はあれど、「共感をベースにした評判社会」という言葉には何か否定できないものがある。他人の喜びや悲しみといった感情に寄り添うことができ、周囲からどのように思われているか可視化される状態であれば、さぞかし理想的な社会になるはずだ。 しかし、実態はどうだろうか。人々のつながりは誹謗中傷や負の感情を運ぶ時の方が勢いが強く、よりスキャンダラスな方向へと向か

中国の報道はプロパガンダ一色だから、人々は真実を知らないーーそう思われている方も多いかもしれない。だがそれは、ある意味では正しく、ある意味では間違っている。 微博(weibo) で活躍する知識人たちが当局から狙い撃ちされ、新聞記事は編集部も知らぬ間に校了後に差し替えられる。そんな締め付けが露骨に行われる一方で、高速鉄道事故の様子が微博で生中継され、テンセント

ある時をきっかけに、食べ物のイメージがガラリと変わることがある。個人的に最も驚いたのは、はじめて四川料理の店で辛い麻婆豆腐を食べた時のことだ。俺は今まで何をやっていたのだろうかという激しい後悔と同時に、麻婆豆腐というものへの理解が革命的に変わっていくことを実感した。 高野秀行にとっては、それが納豆であったのだろう。ある時、ミャンマー北部のカチン州での取材中に

右にせよ、左にせよ、極端に意見が偏っている人ほど声がでかい。おそらく正解はその中間のどこかにあるはずだが、そこに位置するマジョリティ達は、自ら多くを語ろうとはしない。いずれにしても、両極のどちらが正しいのかという観点からは、何も生まれぬままに終わるケースが多いだろう。 近代以降の歴史を振り返ると、この手の問題はあらゆる領域に蔓延していた様子が見てとれる。そし
今月より、『 COURRiER Japon(クーリエ・ジャポン) 』への記事配信がスタートしました。 世界の情報を貪欲に取り入れる『COURRiER Japon』読者においても、書評へのニーズは高く、より幅広い読者の方にノンフィクション書籍の面白さを伝えていければと、考えております。月1回のペースで、翻訳書の厳選したレビューを提供して参りますので、HONZサ

ビジネス書の中でもリーダシップやコーチング論に属する王道のテーマなのだが、着眼に斬新さがある。まさに既知の領域に、フロンティアを見出したような内容だ。 著者はリーダーシップ論の大家として知られるシドニー・フィンケルシュタイン教授。彼はある時、様々な分野における「才能の系図」を辿っていくなかで、重要な事実に気付く。どの業界においても、一流と呼ばれる50人のうち

中国大陸の南西部を中心に定住する少数民族・ミャオ族。かつては稲作の民として知られたが、気象変動や土地争いなどにより今は山の民として暮らしている。 そんなミャオ族には日本人のルーツではないかという説があったり、自然を崇拝していたり、納豆を食べていたりと、知れば知るほど親近感のわく存在なのだが、刺繍・染め・織といった女性たちの手仕事にも定評があり、そのレベルの高

尼崎事件は兵庫県尼崎市を中心に複数の家族が監禁・虐待され、死へ追いやられた連続殺人事件である。首謀者の角田美代子は、長年に渡り、様々な家族を乗っ取り、金を脅し取ったうえで、崩壊させていった。その過程では、少なくとも9人が死へ追いやられており、しかも角田美代子が直接手を下すのではなく、取り込んだ家族を意のままに操り、家族同士で暴力を振るわせ壊滅させたことが特徴

一晩で一気に読み終えたのだが、背中からは嫌な汗が流れていた。とても、他人事ではいられない。こんなことが起こりうるなら、普通に暮らしている人がある日突然、殺人犯に仕立てられても、全然不思議ではないだろう。自分の中で想定していた、世の中に対する前提条件が、もろくも崩れ去っていくような印象すら受けた。 「丸子実業高校バレーボール部員自殺事件」は、2005年にバレー

ビジネスのことであれ、社会全体のことであれ、誰だって正しい方向へ努力したいと思っているはずだ。だがその努力は果たして全体最適へと向かっているのか、それとも部分最適に過ぎないのか。分からぬところに問題がある。 判別を難しくさせているのは、多くの人がいとも簡単に専門領域にとらわれ、視野の狭い状態へ陥ってしまうためだ。先の金融危機など、その顕著な例と言えるだろう。

タイトルが秀逸。「1998年の宇多田ヒカル」という単語を目にしただけで、様々な情景が昨日のことのように蘇ってくる。だが皮肉なことに、それは音楽に心を躍らせるという経験が、その時から更新されていないことを意味するのかもしれない。 1998年が、いかにエポックな年であったかを示す事実はいくつもある。1つは日本の音楽業界史上最高のCD売上を記録した年であるというこ
HONZ×新潮文庫のフェアが始まります。 2月1日頃から全国約1100の書店において、新潮文庫の中でも特にHONZが偏愛した最強・最凶のノンフィクション作品たちが店頭を飾ります。対象書目は以下の通り。HONZにレビューが掲載されたもの、解説記事が掲載されたもの、それ以外のものと、幅広くセレクションしました。 HONZ厳選の「読まずに死ねない!」珠玉のノンフィ

大自然に囲まれた北欧・アイスランドには、世界で唯一と言われる博物館が存在する。驚くことなかれ、それはなんと哺乳類のペニスだけをチン列した「ペニス博物館」なのだ。 豚、馬、羊、トナカイ、ホッキョクグマ、セイウチ、アザラシ、クジラ、シャチ、イルカ、キツネ、ミンク、ハツカネズミ、クマネズミ、ドブネズミ...。そこには、ありとあらゆる哺乳類のペニスが一堂に会す。 4

冒頭の一文から引き込まれる。「あなたは性的に逸脱している。まったくの倒錯者だ」ときたものだ。 そして息もつかせぬ間に「手始めに僕から行こう。」と、自身の性遍歴を語り始める。思春期の頃にネアンデルタール人の裸に興奮を憶えたこと、高校生の時に想いを寄せていた男子が捨てたコーラの空き缶に興奮したこと、初体験の相手が足フェチのゲイであったこと...。 著者が、前著『

昨年の山口組分裂騒動を受け、多くのメディアを賑わせた極道の世界。その一方で、ヤクザの総数は今や全国で6万人を切ったとも言われる。もはや絶滅危惧種とも言われ、岐路に立たされるヤクザ達だが、その実態はどのようになっているのだろうか? 報道やフィクションでは目にすることの多いヤクザの世界を、地上波のドキュメンタリーという形で映し出したのが、本作『ヤクザと憲法』であ

毎年元旦になると、それなりに新たな決意を胸に秘めており、ここ数年のテーマは料理と経済学である。おそらく来年の今頃も同テーマで決意を新たにしている姿が早くも脳裏に浮かぶが、本書を読むことで少しでも膠着状態を打開したいと思い、手に取った。 現在、食の分野では多くの専門家たちのミスリードにより、以下の3つの通説がまかり通っている。 ・最良の食べ物には、より多くのお

2015年、最高の一冊を決める! さっそく意気込んでみたものの、なかなかの難題である。何をもって最高とするのか。今年最も注目を集めた一冊なのか? それとも最も売れた一冊なのか? どちらでもないだろう。我々が本に求めているのは、マスメディア的なものではない。それなら、どのような本を求めてきたのか? 情報の送り手としての立場ではなく、今一度、読書人としての基本に

「面白そう!だけど買えないっ!」でおなじみの このコーナー 。年内最後の登場です。年の瀬にふさわしく、今週のテーマは「メロスとエロス」。それではさっそくSOLD OUTになった書籍を紹介していきましょう! 関東大震災の時、横浜刑務所では何が起こっていたのか? 史実に隠された真実を、気の遠くなるような時間をかけて掘り起こした、 知られざる刑務所の物語 。レビュ

1923年、近代化へ邁進する日本を直撃した関東大震災。帝都・東京を中心に関東一円へ大きな被害をもたらし、死者・行方不明者は10万人強にも及んだ。このような自然災害の理不尽さは、時や場所を選ばぬことにある。 被害は平穏に暮らしていたはずの一般市民のみならず、囚人たちを収容する刑務所にも襲いかかった。なかでも壊滅的なダメージを受けたのが、震源地にほど近かった横浜

2015年のHONZが、全力でレコメンドする『冒険歌手 珍・世界最悪の旅』。あらためて冷静に振り返ると、この本に関しては何から何までヘンである。 真っ先にレビューを書いた 塩田春香は、 朝会で紹介した時 から様子がヘンだったし、続いて レビューを書いた仲野徹 はいつもと変わらぬように見えるが、元々ヘンな人である。強烈なキャラクターを誇る藤原隊長、そして若き日

本に関する記事を毎日のように送り出しながら面白さを感じるのは、ネットのニュース記事などと比べて時間の流れ方の異なる点である。 予期していたかのようにタイムリーに出されたものもあるが、少し時間を経たからこそ全貌の見えてきたもの、社会的な関心事ではないが特定の層にはズバッとささるもの、時代の流れを全く読まなかったから生まれてきたものも、大半を占める。 時宜を得た
本日12月1日より、 JBpress への記事配信がスタートしました。 地頭に響くビジネスサイトとして知られる「JBpress」においても書評へのニーズは高く、より幅広い読者の方にノンフィクション書籍の面白さを伝えていければと、考えております。 毎週火曜日、週1回のペースで厳選したレビューを提供して参りますので、HONZサイトと併せてご活用ください。 >>記

インタビューも後半に差し掛かるにつれ、ずいぶんと熱気を帯びてきた。実は序盤の頃は顔のパーツの彫りの深さや、青き瞳の鋭い眼光にばかり目を奪われていたのだが、話し込んでいくとずいぶんと分かり合えるポイントも見つかってくる。そして、HONZ読者の多くの人が悩んでいるであろう「読書習慣」にまで話は及んだ。(インタビューの前半は こちら 、書評は こちら ) 内藤 :

かつて「デザイン」という言葉は特定の才能を持つ限られた人だけのものであり、かつキャンバスの中に閉じられた言葉であった。だが「デザイン」の概念は、次第にキャンバスの外にも適用され出し、今では多くの人に「計画する」ことや「構想する」ことを指す言葉として使われるようになっている。 同じように、ここ数年で急速に変化を遂げている概念として、「ゲーム」という言葉があげら

「ゲームばっかりやってたらダメでしょ!」そう子供の頃に言われた経験を持つ方も多いだろう。多くの人に愛されながらも、長らくゲームというものは日陰者の存在であった。 しかし、VR元年とよばれる2016年を目前に控え、このようなゲームの位置づけが大きく変わってきているという。一つはテクノロジーの進化によって、バーチャル領域の精度が飛躍的に向上してきていること、そし

「面白そう!だけど買えないっ!」でおなじみの このコーナー 。満を持しての登場です。今年も残すところあと少し、そのカウントダウンとタイミングを合わせるかのように、今年最高の一冊が登場しています。それではさっそくSOLD OUTになった書籍を紹介していきましょう! 塩田 春香がレビューを公開するやいなや 、ものの1時間でSOLD OUT。さらに在庫がないにもか

FIFAの汚職については既にニュース等で何度も見聞きしているし、多かれ少なかれ「この手の組織」に黒い側面があることも想像に難くない。だから腐敗があったこと自体、それほど驚くようなことではないのかもしれない。 だが本書を読んで本当に驚いたのは、なぜこれほどまでの長期間、腐敗を止めることが出来なかったのかということである。そこには地下組織のような腐敗の構造と、世

ここ数年、買い手としての自分と売り手としての自分との間に、上手く折り合いをつけられずにいる。一消費者としての立場から考えると、様々なコンテンツが安く、便利に手が入るようになったことは間違いなく喜ぶべき状況である。だが、広告屋としての売り手の立場から考えるとコンテンツが安くなる状況というのは、決して喜ぶべき状況ではない。 ただ喜ぶべき、もしくはただ憂うべきだけ