ノンフィクションはこれを読め!

成毛 眞

HONZ代表

元マイクロソフト社長。インスパイア取締役ファウンダー。元早稲田大学ビジネススクール客員教授。産経新聞、週刊新潮、日経ビジネスなどに書評寄稿多数。代表的著書に『面白い本』『大人げない大人になれ』。雅号は「半覚斎」

(2024年当時)

成毛 眞の記事

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583記事

『レオナルド・ダ・ヴィンチの食卓』 書影

おすすめ本レビュー

『レオナルド・ダ・ヴィンチの食卓』

御年80歳の料理評論家による上質なエッセイだ。レオナルドのファンはもちろん、趣味でイタリア料理を作る人や、フィレンツェ旅行者も、この夏休みにじっくりと楽しめるであろう。本書が書かれた契機は25年前に遡る。レオナルド研究の第一人者である裾分一弘から奨められたというのだ。イタリア料理の専門家である著者に対して、レオナルドの食事について調べるようにと言われたらしい

『私が見た21の死刑判決』 書影

おすすめ本レビュー

『私が見た21の死刑判決』

http://d.hatena.ne.jp/founder/20090612/1244765615 『日本の殺人』の書評でとりあげたように、日本における実質的な殺人数は年間700件程度だという。統計上は1400件なのだが、これには死亡者がでていない殺人未遂と殺人予備が含まれている。なぜか統計上では強盗致死は殺人には含まれていないので、これを加えると死亡者がい

『自然界の秘められたデザイン』 書影

おすすめ本レビュー

『自然界の秘められたデザイン』

あえて表現すると自然界における対称性についての本である。著者は雪の結晶がなぜ6角形なのかという問いを読者に与え、それに対する解答が得られるように、論を進めていく。いや、論を進めるというよりは、森羅万象について数学的な見方があるということをぶちまけるという感じなのだ。 第1章(雪の結晶にひそむ謎)では天文学者ケプラーが、雪の結晶が6角形であることを数学的に表現

『自分探しが止まらない』 書影

おすすめ本レビュー

『自分探しが止まらない』

本ブログは文学や現代社会関連の書籍の紹介は得意ではない。賛否両論が必然し、ひとそれぞれに価値感が異なるものについては臆病なのだ。本質的に結論のでない議論からは遥かに遠ざかるのみだ。本書も賛否両論があろうことは想像に難くないのだが、「気づき」があったので敢えて記しておこう。 ボクはそもそもビジネス書を好きではないのだが、本書を読んで自分が嫌っていたのはビジネス

『ALMA電波望遠鏡』 書影

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『ALMA電波望遠鏡』

ALMAとは「アタカマ大型ミリ波サブミリ波干渉計」の略である。英語ではAtacama Large Milillimeter/submillimeter Arrayだから、干渉計とはArray(配列)の略ということになるのだが、ひとことでいうと電波望遠鏡のことだ。 ALMAはチリ北部にある標高5000メートルのアタカマ高地に建設されつつある。直径18キロメート

『日経サイエンス2009年9月号』 書影

おすすめ本レビュー

『日経サイエンス2009年9月号』

手元に届いたばかりの号で興味を持った記事はNEWS SCANという巻頭コラムのなかから、「過去からの衝撃」と「磁石で病気を吸い出す」の2本、記事からは「サイドチャネル」だった。 暴動を受けてなのであろうか、「過去からの衝撃」は1964年から1996年までの間に、新疆ウイグル自治区のロプノール実験場で中国が行った核実験の放射能によって、数十万人の市民が死亡した

『特務艦「宗谷」の昭和史』 書影

おすすめ本レビュー

『特務艦「宗谷」の昭和史』

初代南極観測船「宗谷」のいわば伝記である。今年2月に「船の科学館」で古希を迎えたこの船の人生は、じつに波乱に富んだものであった。本書から略歴をまとめてみよう。 昭和13年に進水したときの船名は「ボロチャエベツ号」だった。ソ連が耐氷型貨物船として発注したのだ。しかし、戦争直前であったためソ連に売り渡されることはなく、竣工時には商船「地領丸」となった。開戦前の昭

『闘うプログラマー 新装版』 解説 書影

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『闘うプログラマー 新装版』 解説

《この原稿は書評ではありません。本書に付属している解説です。》 マイクロソフトはベルビューなどシアトル近郊で賃貸ビルを転々としたあと、1986年、レッドモンドに現在の本拠地を構えた。当初のキャンパスは2階建ての建物を4棟建てただけのこじんまりとしたものだった。ビルディング2はそのうちの1棟である。内部は銃の撃ち合いに備え、短くて何重にも折れ曲がった廊下を作っ

『祇園のしきたり』 書影

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『祇園のしきたり』

本書は祇園町の入門書だ。とはいえ、本書を読んだからといってお茶屋さんに上がれるわけではない。祇園町は一見さんお断りだから、知り合いに常連がいないと、お客になることは不可能に近い。 第1章は祇園町の1年間のイベント、第2章は「祇園のしきたり」として舞妓の話、第3章は祇園町の遊びという章立てだ。おそらく編集プロダクションが用意した原稿を、江戸文学者が監修したので

『飛行機グラフィティ』 書影

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『飛行機グラフィティ』

3巻とも2006年に出版された飛行機イラスト本である。『丸』という軍事雑誌に連載されていたイラストを3冊にまとめたものだという。さすがに書店でも『丸』を立ち読みすることはなかったので、今週まで存在を知らなかった。 本書のイラストは飛行機であれば前後を圧縮し、人物であれば上下を圧縮したデフォルメが特徴だ。つまり全てが丸くなっていて、戦闘機や爆撃機の兵器としての

『名言力』 書影

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『名言力』

名言集の書評を書くほど簡単なことはない。パラパラっとめくって、気に入った名言を紹介したうえでなかなかの本だった、と言えばよいのだ。さて、本書から気に入った名言を抜き出してみよう。 松下幸之助:「こけたらたちなはれ。」 と、言いながら通り過ぎる幸之助・・・ 伊達正宗:「朝夕の食事はうまからずともほめて食うべし。」 戦国時代は1日2食だったのだ。 クリスチャン・

『暮らしを支える「ねじ」のひみつ』 書影

おすすめ本レビュー

『暮らしを支える「ねじ」のひみつ』

タイトルは『「ねじ」のひみつ』だが、「秘密」はさほど語られていない。内容はもっぱら『「ねじ」の基礎』だ。とはいえ、この本に書かれている以上に「ねじ」に関する知識をお持ちの方は、「ねじ」で飯を食っている人であろう。普通の人はこの本1冊で一生分以上の「ねじ」の知識を得ることになるであろう。別の言葉でいえば、本書で書かれている「ねじ」の知識が持たなくても、普通の人

『海辺の漂着物ハンドブック』 書影

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『海辺の漂着物ハンドブック』

ネット通販で買い物をすると信じられない失敗をすることがある。想像していたものと全く違うものが届いたりすることがあるのだ。『海辺の漂着物ハンドブック』もその1つだ。フルカラーとはいえ変形新書版で、わずか80ページである。 ビーチコーミングをするときに持ち歩きやすいようにとの配慮だろうが、薄すぎる本なのでメインであるはずの貝の種類もごく少ない。海遊びでおきまりの

『永遠の都ローマ物語―地図を旅する』 書影

おすすめ本レビュー

『永遠の都ローマ物語―地図を旅する』

とんでもなくお買い損の本を紹介したので、つぎはとんでもなくお買い得の本を紹介しよう。本書はこれまでで買ったどの本よりもお買い得感がある本だ。大判で本文は209ページ、フルカラーである。古代ローマ遺跡のガイドブックに掲載されているであろうほとんど全ての遺跡が写真と文で紹介されている。しかし、本書の目玉はもちろん観光ガイドではない。8000時間をかけて502mm

『宮本常一が撮った昭和の風景』上・下 書影

おすすめ本レビュー

『宮本常一が撮った昭和の風景』上・下

1989年、津本陽が『巨人伝』を発表した。南方熊楠を世に知らしめた書だ。近代日本にはこんなとんでもない人物が実在していたのかと愕然としたものだ。明治維新以来、欧米に学ぶためには読書を中心とした座学こそが学者の姿だった。しかし、南方熊楠は常軌を逸した読書家であり、とてつもない酒豪であり、和歌山の山野や大英博物館において不眠で研究をし、19ヶ国語を理解した天才そ

『ダ・ヴィンチ 天才の仕事』と『ダ・ヴィンチが発明したロボット!』 書影

おすすめ本レビュー

『ダ・ヴィンチ 天才の仕事』と『ダ・ヴィンチが発明したロボット!』

2冊とも考えようによっては安い本だ。豪華な装丁でフルカラー、『天才の仕事』は238ページで2300円、『ロボット』は359ページもあって3500円だ。2冊とも中心となるのはCGによるダヴィンチの発明の再現だ。 ダ・ヴィンチは数万ページの手稿(CODEX)を書いていたといわれ、現在までに8000ページほどが発見され、保存されている。もっとも有名なのはアトランテ

『ヴァチカンの真実』とThe Economist June 27th-July 3rd 書影

おすすめ本レビュー

『ヴァチカンの真実』とThe Economist June 27th-July 3rd

映画「天使と悪魔」のヒットを期待したのだろう、バチカンをテーマにした本がこの上半期だけでも何冊か出版された。かろうじて最後までページをめくったのは本書だけだ。残りの本は時間とお金の使い方としてはあまり有効ではないであろう。 そもそも本書も1991年に英語版が出版されたあと、今年になって20ページばかりを追加した増補版である。本書は写真集であり、永久不滅ともい

『馬車が買いたい!』 書影

おすすめ本レビュー

『馬車が買いたい!』

またまたこの忙しい時期に、とんでもなく面白い本を見つけてしまった。本書の初版はいまから19年前の1990年である。この6月に6篇のエッセイを付け加え新版として出版された。 まずは本書を簡単に紹介してみよう。バルザック、フロベール、ユゴー、スタンダールなどの19世紀のフランス小説から風俗描写を抜き出し、当時のパリという街のディテールや、金銭感覚などを纏めたもの

『江戸蕎麦通への道』 書影

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『江戸蕎麦通への道』

狙っている読者層が広すぎる。けっして悪い意味ではない。蕎麦好きも、蕎麦屋通いも、趣味の蕎麦打ちも、プロの蕎麦屋も、江戸趣味人も、うんちく好きも、単なる本読みも、間違いなく満足できる本である。新書にこれだけの薀蓄を江戸情緒たっぷりに詰め込めるとは信じがたい。 薀蓄本のたしなみで、テーマである江戸蕎麦の歴史から本をはじめるのだが、その内容と分量に過不足がない。ま

『ボクがワイナリーをつくった理由』 書影

おすすめ本レビュー

『ボクがワイナリーをつくった理由』

ワイン作りは人類にとって最古の仕事の一つである。すでに紀元前6000年ころのメソポタミアで計画的に作られていたといわれる。いっぽうでワインは壮大なベンチャービジネスでもある。1960年台後半にロバート・モンダビが高級ワインを作り始めたことで、いまではワイナリーはカリフォルニアの代表的な産業となっている。お洒落で儲かるビジネスになったのだ。 もちろんワイン作り

『アメリカ大統領-その権力と歴史』 書影

おすすめ本レビュー

『アメリカ大統領-その権力と歴史』

「知の再発見双書」の最新刊だ。この双書はフランスのガリマール出版社が1986年から出版を開始した「Gallimard's Decouvertes」の一部を翻訳したものである。本国では530を超えるタイトルが出版されているのだが、創元社が翻訳したのはそのうち本書をもって144冊目だ。 ガリマール出版社は老舗出版社であり、フランス版の文藝春秋というところであろう

『日本故事物語』 上・下 書影

おすすめ本レビュー

『日本故事物語』 上・下

とてもまずいことになった。株主総会など忙しいシーズンであるにもかかわらず、とんでもなく面白い本を買ってしまった。本書のもとになったのは同じ著者によって1958年に刊行された同書名の『日本故事物語』だ。その後、数回の改訂と増補を行われ、1972年に現在の版が確定した。そして、橋本治が解説を引き受ける形で2009年版が出版された。 橋本治が再版を提案したのだろう

『サルコジ』マーケティングで政治を変えた大統領 書影

人物 / おすすめ本レビュー

『サルコジ』マーケティングで政治を変えた大統領

本書の前半は現フランス大統領、ニコラ・サルコジを主役にした、ロマンスと陰謀が渦巻くドタバタ喜劇だ。1996年、サルコジはW不倫の果てに前妻と離婚した。新しい妻、セシリアは内務相となったサルコジの仕事に口を挟むどころか、省内に執務室を構え、人事にまで介入し始める。国庫から直接引き落とされるクレジットカードまで作っていたという。 ところが、その妻とは不倫を理由に

『日本の殺人』 書影

おすすめ本レビュー

『日本の殺人』

著者が本書を書きはじめたときには、殺人事件と殺人者の実像を細かく区分し、定量的に分析したうえで、罰則の厳罰化や捜査法など、進行中の社会的な議論に思考材料を提供したいと考えたと思われる。しかし、裁判員制度に関する書籍が売れ始めたため、無理やり「社会的大転換の裁判員制度」という終章を付け加えたように見える。本の作られ方の憶測はともかくとしても、本書の価値は全27

『日本人なら必ず誤訳する英文』 書影

おすすめ本レビュー

『日本人なら必ず誤訳する英文』

帯に「英語自慢の鼻をへし折る!」とある。以前から単語こそが英語において最重要であると主張してきた評者だが、この本を読んでみて、それは言いすぎだった反省した。まさに鼻をへし折られた。 外資系IT会社に勤務している間は、英語といってもいわゆるビジネス英会話と日常会話、メールだけで暮らしていけた。会話では理解が怪しい場合は、聞き返せすことができた。こちらがあいまい

『クリエイティブ都市論』 NODE #7 掲載 書影

おすすめ本レビュー

『クリエイティブ都市論』 NODE #7 掲載

著者の理論を2行でまとめてみよう。芸術家やゲイが好む都市はイノベーションや起業風土にあふれており、結果的にその都市の不動産価格は上昇する。居住用としても不動産投資用としても、そのような都市を選ぶべきだ。米国での原書の出版はリーマンショックの半年前なのだから、この結論に違和感を持ってしまうのは仕方がない。 じっさい著者は、米国主要都市の1950年から2000年

『レクイエム』 書影

おすすめ本レビュー

『レクイエム』

本書の序文は『覇者の驕り』の著者であるデイビッド・ハルバースタムである。『覇者の驕り』は1986年に出版された自動車産業興亡史だ。この本以降、経済学者たちによる比較経営論や競争戦略論など、特定の産業にフォーカスした研究が増えてくる。フォードと日産の興亡なのだが、GMはこの本からなんら学ぶことができず破滅へと突き進んだ。 ところで本書は、ベトナム戦争で戦死また

『サルコジ』 2回目 書影

おすすめ本レビュー

『サルコジ』 2回目

昨日に引き続いてサルコジである。第4章以降はいよいよ政治家としてのサルコジについてだ。著者は最終章で作家クリスチャン・サルモンの言を引用しながら、戦後を政治家の属性によって3時代に分類する。「国を担う政治家の時代」「エキスパートの時代」「ストーリーテラーの時代」だ。 国を担う政治家とはドゴール、チャーチル、ルーズベルトであり、日本では吉田茂がそれにあたる。エ

『サルコジ』 1回目 書影

おすすめ本レビュー

『サルコジ』 1回目

本書は8章だて223ページの選書である。そして本稿は本書の第3章まで読んだところで書いている。第3章まででも、充分に紹介に値する本なのだ。あまりに面白い。残りはじっくり読みたいので、ひとまず第3章までをご紹介しよう。 とはいっても、具体的なエピソードを紹介するのは野暮すぎる。少なくとも第3章までについては、映画のストーリーを紹介するのに匹敵するからだ。第1章

『「人工冬眠」への挑戦』 書影

おすすめ本レビュー

『「人工冬眠」への挑戦』

タイトルとサブタイトルが逆だったら、もっと早くに売れはじめたかもしれない。サブタイトルは『「命の一時停止」の医学応用』だ。「人口冬眠」に興味を持つ人が多いとは思われない反面、「命の一時停止」にはピンとくる人は少なからずいるのではないか。本書を読んでみてはじめて、いかに「冬眠」が面白いか判るのである。 本書は最新の冬眠の生理学を丁寧に説明したうえで、医学への応

『意外と知らない「社名」の話』 プレジデント6月15日号掲載書評 書影

おすすめ本レビュー

『意外と知らない「社名」の話』 プレジデント6月15日号掲載書評

高校を卒業してすぐ、札幌の実家の近くに小さな居酒屋ができた。悪友連中と良く通ったものだ。狙いは当時でもずば抜けて安い1杯250円の毛蟹だった。いつの間にかその居酒屋は全国チェーンの立派な会社になっていた。その店の名前は「つぼ八」。まさに8坪の居酒屋だった。 本書にはこのような社名の薀蓄が詰め込まれている。ビジネスマンにとって身近な話題であるだけに肩が凝らない

『アンティキテラ 古代ギリシャのコンピュータ』 書影

おすすめ本レビュー

『アンティキテラ 古代ギリシャのコンピュータ』

文藝春秋翻訳出版部の『ハチはなぜ大量死したか』につづく快挙である。科学ノンフィクション翻訳部門2連勝だ。担当の下山進さんから会社に送っていただいていたらしいのだが、自宅でも当然買っていた。装丁デザインも本文の図版も素晴らしい。とりわけ書名のセンスは原書のそれを上回る。 2000年前のこと、ギリシャからの財宝を積んでローマに持ち帰る船が沈没した。その船の積荷の

『科学的ゴルフの極意』 書影

おすすめ本レビュー

『科学的ゴルフの極意』

著者は非科学的なものに対して攻撃を続ける物理学者だ。著者のエセ科学やオカルトに対しての攻撃姿勢については大いに感心するが、反論することそのものに夢中になるあまり、自身も突っ込まれることが多い人だ。。 本書は力学と幾何に基づいて、ゴルフのショットについて考察した本という設定だ。おおむね正しいと思うのだが、ところどころ突っ込みを入れたくなる。 本書では前上がり斜

『ゴルフの楽しみ方』 書影

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『ゴルフの楽しみ方』

著者はキャロウェイ社の技術トップである。ビッグバーサやヘブンウッドを開発した張本人である。キャロウェイ社とは世界最大のゴルフ用品メーカーであり、ビッグバーサやヘブンウッドとはキャロウェイを飛躍させたヒット商品のゴルフクラブである。 キャロウェイ社の設立は1981年。イリー・キャロウェイがその創業者だ。イリーは米国最大の繊維メーカーであるバーリントンの社長をつ

『数学の20世紀』 書影

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『数学の20世紀』

いささか咀嚼不足なのだが、これ以上読み込んでも理解がさらに深まるわけでもなさそうなので、ここらで紹介してみよう。本書はイタリア人数学者によってイタリア語で書かれた現代数学入門書だ。訳者によれば原文はイタリア語らしく飾りのない簡潔な文章だという。それゆえか、この訳者にしては非常に読みやすく仕上がっている。 「数学基礎論」「純粋数学」「応用数学」「数学とコンピュ

『Chinglish』 書影

おすすめ本レビュー

『Chinglish』

中国人の英語の間違いを取り上げた本なのだが、二つの意味で笑うに笑えない。第1の理由は中国語に併記された英語を見て、少なからずその意味を理解してしまうからだ。英語だけみれば笑えるのだが、漢字と同時にみると違和感がなかったりする。たとえば「取水処」の看板に「Take Water Place」と英語が併記されている。日本であれば「飲料水」と表記するだろうな、などと

『宇宙から見た日本』 書影

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『宇宙から見た日本』

初版は2006年12月なのだが、先週末に吉祥寺の書店で見つけた本は2008年6月で第6刷だった。100ページ弱の衛星写真集なのだが売れているらしい。掲載されている写真は1990年代にLandsat/TMやTerra/ASTERの衛星画像データをコンピュータで処理して作られたものだ。コンピュータ処理といっても、各種センサーのデータを可視光化し、それをもとに鳥瞰

ゴールデンウィークに読むべき本 『エコノミスト 5/5・12合併号』掲載 書影

おすすめ本レビュー

ゴールデンウィークに読むべき本 『エコノミスト 5/5・12合併号』掲載

世界同時不況のなか、中国が一人勝ちの様相を見せ始めた。上海総合指数は昨年10月に大底を打ち、最近では人民元を組み込んだSDR構想を持ち出すなど、強気そのものだ。悪い冗談だと思っていた「21世紀は中国の世紀」が現実性を帯びてきた。このあたりで中国について改めて知識を深めておきたい。 数多くの中国関連本がある中で、ゴールデンウィークに読むには『大地の咆哮』がぴっ

『日経サイエンス 2009年06月号』 地球に日よけ 書影

おすすめ本レビュー

『日経サイエンス 2009年06月号』 地球に日よけ

今月号のトップ記事は「量子もつれが相対論を脅かす」だが、これはもうボクにはとても難しい記事だった。ポピュラーサイエンス的に面白かったのは地球工学の記事「地球に日よけ」だ。温暖化対策として地球規模の日よけを作るという思考実験だ。 1番目のアイディアは成層圏に硫黄を撒くというものだ。航空機や気球で硫黄を撒くと硫酸塩の粒子ができて、これが太陽光を跳ね返すというのだ

『『こころ』は本当に名作か』 書影

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『『こころ』は本当に名作か』

あまり文学好きではないボクが、本書を買ったのは「あとがき」が気に入ったからだ。水村美苗の『日本語が亡びるとき』をとことん批判しているのだ。まったく同感だ。この「あとがき」を読むまでは、文学者という人びとは水村のように現実離れした仙人のようなものだと思っていた。この人が書いた文学案内ならば読めそうだと思った。 水村は『日本語が亡びるとき』のなかで、英語が世界語