
『超一流のサッポロ一番の作り方』料理をワンランク美味しく食べるために
タベアルキストのマッキー牧元さんは、食レポの天才です。日本のグルメ界を代表するマッキーさんの文章には、食している光景が目の前に一気に立ち現れてくるような臨場感があり、思わず唾液がこみ上げてきます。 文才はもちろんですが、多分、それ以上に、マッキーさんが心から食を愛しているから、その気持ちが読者の心に素直に伝わるのだと思います。 昨年末、そんなマッキーさんたち
(2024年当時)
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タベアルキストのマッキー牧元さんは、食レポの天才です。日本のグルメ界を代表するマッキーさんの文章には、食している光景が目の前に一気に立ち現れてくるような臨場感があり、思わず唾液がこみ上げてきます。 文才はもちろんですが、多分、それ以上に、マッキーさんが心から食を愛しているから、その気持ちが読者の心に素直に伝わるのだと思います。 昨年末、そんなマッキーさんたち

エバレット・ケネディ・ブラウン氏は、現代では極めて稀な湿板光画を使ったフォトジャーナリストである。湿板光画とはガラスに感光溶剤を塗布した板で写真を撮影する技法で、1850年代から普及し、乾板写真が発明される1870年代までの短い期間使われていた。日本にも、江戸幕末期の安政年間(1854-1860年)の初めに輸入され、墨絵のような表現力で味のある世界を数多く映

本書『the four GAFA 四騎士が創り変えた世界』は、Google、Apple、Facebook、Amazon(GAFA)という巨大テクノロジー企業4社を、それぞれが地上の4分の1を支配し、剣、飢饉、悪疫、獣によって「地上の人間を殺す権威」を与えられた、ヨハネの黙示録に登場する四騎士になぞらえている。 そして、神にも擬せられるほどの力を持つようになっ

この『ゲンバクと呼ばれた少年』は、さながらギリシャ神話の最高神ゼウスが人類最初の女性パンドラに与えた箱の中からあふれ出た、戦争、貧困、疫病、憎悪といった人類を取り巻くあらゆる災禍と、それでも箱の底に最後に残されたかすかな希望の物語のようである。 本書は、昨年8月に放送されたNHK・ETV特集「原爆と沈黙〜長崎浦上の受難〜」の内容を、子ども向けに書籍化したもの

本書は、アメリカを代表するエンジェル投資家のジェイソン・カラカニスによる、スタートアップ企業への投資のための指南書である。ベンチャーキャピタルに関する本は多く出版されているが、それより一段早いステージで出資するエンジェル投資家について書かれたものは極めて珍しい。 カラカニスは、ライドシェアのUberがまだスタートアップ企業で、500万ドルの企業価値しかなかっ

経済学者のジョン・メイナード・ケインズ(1883-1946年)は、 1930年に”Economic Possibilities for our Grandchildren(孫の世代の経済的可能性)”というエッセイの中で、イギリスやアメリカのような先進国では、テクノロジーの進化によって20世紀末までに週15時間労働が実現しているだろうと予言した。(”Essay

秋元雄史氏の『直島誕生』は、現代アートに関わる全ての人々にとって必読の書である。 直島を舞台に、日本における現代アートがどう生まれ、どう育ってきたのか、そしてそれは世界のアートとどう繋がっているのか。その全貌が、直島プロジェクトの始まりから地中美術館の立ち上がりまで、15年間もの長きにわたってこのプロジェクトを率いてきた秋元氏自身の言葉によって語られている。

以前、 HONZでも書評を書かせて頂いた (『宇沢弘文 傑作論文全ファイル』)、経済学者の故宇沢弘文氏の旧宅「宇沢国際学館」に夜ごと集まって、経済や医療や国際関係などの話をする不思議な会合がある。 本書の著者の合田真氏とはその席で隣り合わせて、日本植物燃料という会社を経営しているというから、今関わっているリゾート施設のバイオマス発電の話でもしようかなと思った

「これからは宇宙ビジネスの時代だ」と言うと、大抵の人は何のことだか分からず困惑するようだ。日本では下町企業のロケット打ち上げが感動物語として映画になってしまうくらいなので、宇宙ビジネスと言われても余り実感が湧かないのかも知れない。 そもそも、普通の人が宇宙空間をどこまで正確に理解しているかも怪しいので、まずこの点の整理からしておきたい。 宇宙ビジネスの対象と

ZOZOTOWNを運営するスタートトゥデイの前澤友作社長が、昨年5月に行われたサザビーズ・ニューヨークのオークションで、ジャン=ミッシェル・バスキアの『Untitled』を約123億円で落札して話題になった。これはバスキアのオークション史上最高額である。 それ以前にも、一昨年5月にバスキアの作品を62億円で落札したら、世界のトップ100コレクターにも選ばれて

去る3月14日、著名な宇宙物理学者のスティーヴン・ホーキング教授が亡くなった。ブラックホールや宇宙の始まりについての研究で、数多くの功績を残した巨星の逝去に大変ショックを受けた。平易な文章で、一般読者にも分かりやすく宇宙を語ってくれた『ホーキング 宇宙を語る ビッグバンからブラックホールまで』を始めとした多くの著書を、興奮しながら読んだものだ。 個人的に宇宙

本書は、ナショナルジオグラフィックの人気シリーズ、「絶対に行けない 世界の非公開区域99」「絶対に見られない 世界の秘宝99」「絶対に明かされない 世界の未解決ファイル99」に続く、「世界の謎99」シリーズの第4弾である。 古代文明から超常現象、宇宙、生命までも含む未解明ミステリーのうち、世界の謎を99個を集めて、現代科学で何がどこまで分かっているのかを、写

昨年末にアップされた、サイボウズの青野慶久社長のこのツイートを読んで衝撃を受けた若者も多いのではないだろうか。 本書はこの文章から始まる、これからのあるべき働き方の指針となる啓蒙書である。ここに書いてあることはほぼ正しい。そして、それは心ある人なら誰でも薄々分かっていることである。我々は皆、もう旧来の日本型会社システムがワークしなくなっていることに気づいてい

「日本画とは何なのか?」、この問いに正面から答えられる人がどれだけいるだろうか。 日本画という芸術を成り立たせているのは、膠や墨や顔料などの日本画材(グルー・ペインティング Glue painting)なのか、日本画様式(ジャパニーズ・スタイル・ペインティング Japanese style painting)なのか、或いはその両方なのか、若しくはそれ以外のも

本書は、東京大学で西洋経済史の教鞭をとり、東大EMP(エグゼクティブ・マネジメント・プログラム)の講師も務める小野塚知二教授のこれまでの研究活動の集大成であり、学生の教科書としても、研究者の参考書としても、社会人の教養書としても、様々な切り口で読み、使うことができる、経済史の決定版である。 本書において小野塚氏が最初に立てた仮説が、「人とは際限のない欲望を備

「マネーの代理人」という言葉から何を連想するだろうか。恐らく、ウォール街を跋扈するハゲタカファンドのような肉食系の投資家を思い浮かべるのではないだろうか。 ところが、本書に映画の『ハゲタカ』や『ウォール街』に見られるような劇的なストーリーを期待すると、肩透かしをくらうことになる。本書は、巨大機関投資家の中で働くサラリーマンは、何を考え、どのような行動原理に従

久しぶりに画期的な組織論の本に出会った。 この『ティール組織 ― マネジメントの常識を覆す次世代型組織の出現』は、単なるビジネス書ではなく、インターネットなどテクノロジーの進歩により可能になった個人の自律を前提とした会社のあり方、即ち、自己組織化する組織「ティール(Teal)」を提唱する、進化論と発達心理学を基礎とした社会変革の啓蒙書である。 本書の原著"R

「東日本大震災当時、自衛隊トップの統合幕僚長を務め、映画『シン・ゴジラ』の財前統合幕僚長のモデルとされる伝説の自衛官が、アカデミズムが取り上げない戦史研究の意義、危機の現場で人と組織を動かす極意、地政学を超える地経学の重要性、戦略の成功確率を上げるための戦力回復の真髄まで、ビジネススクールでは教えてくれない戦略の本質を明らかにする。」 こんなうたい文句の本が

ブロックチェーンとは何かを正確に理解するのは難しい。 ブロックチェーン と ビットコイン や イーサリアム の関係、ビットコインというのは一般名称なのか固有名詞なのか、電子マネーと仮想通貨の違いは何なのかなど、個々に考えてみるとよく分からないことだらけである。 冷静になってみればそれも当然で、ブロックチェーンは生まれたての技術であり、AI(人工知能)と同じよ

本書『結論は出さなくていい』を一言で言い表すなら、現代を支配する浅薄でしかも強固な固定観念を打ち破るための、知的誠実さによって貫かれた、「脱構築」の指南書である。 ここで言う「脱構築」とは、著者曰く、「自らの拠って立つところを自覚し、その足場を相対化し続けること」であり、もう少し分かりやすく言えば、本書は、資本主義社会を前提とする一元的な価値観によって自縄自

最近、静かな猫ブームである。私は元々、猫派で、知る人ぞ知るNHK BSプレミアムの『 岩合光昭の世界ネコ歩き 』も密かに楽しんでいるのだが、飼育のしやすさもあってか、特に都会では猫の人気が急上昇のようだ。「なめネコ」や「ネコ鍋」のように、これまで何度か猫ブームというのはあったが、今回は”This Time Is Different”のような気がする。 ところ

本書『アメリカンドリームの終わり あるいは、富と権力を集中させる10の原理(Requiem for the American Dream: The 10 Principles of Concentration of Wealth & Power)』は、ノーム・チョムスキーへのインタビューによるドキュメンタリー映画『 アメリカンドリームへのレクイエム(Requ

本書は、マッキンゼーの日本支社長からカーライル・ジャパンの共同代表を経て、現在、早稲田大学ビジネススクールの教授を務める平野正雄氏の最新刊である。 平野氏がコンサルタントとプライベートエクイティファンド経営者としての経験を通じて学んだ、過去30年の間に日本企業の経営が世界からどう乖離してきたかという歴史と今後の処方箋が丁寧且つ論理的に語られている。 本書のポ

『仕事と家庭は両立できない?-「女性が輝く社会」のウソとホント』(原題:Unfinished Business: Women Men Work Family)の元になった、The Atlantic誌2012年7-8月号の論考『 女性は仕事と家庭を両立できない!? 』(原題:Why Women Still Can't Have It All)の中で、アン=マリ

我々はなぜ芸術に心惹かれるのだろうか。人間の心が脳の活動から生まれているのは間違いないが、芸術作品を鑑賞する時、我々の脳の中では何が起きているのだろうか。 本書の表紙にもなっているクリムト(1862-1918年)の『アデーレ・ブロッホ=バウアーの肖像 I』の背景に溶け込んでいる人物の輪郭が分かるのはなぜか。ココシュ(1886-1980年)やシーレ(1890-

本書を一言で表現するなら、「21世紀のユーザーズ・マニュアル」である。 本書の内容紹介に、「ビジネスの「ゲームのルール」の激変ぶりに、イノベーションの恐るべきペースの速さに、むち打ち症(whiplash)にならずついていくために不可欠な、『9の原理(ナイン・プリンシプルズ)』」と書かれているように、我々は、今、世界を動かすオペレーティングシステム(OS)が一

今、第二次大戦後に世界が築き上げてきたありとあらゆる既成概念が崩壊し、これまでのルールが全く通用しなくなる中、それに代わる新しい秩序やルールが立ち上がって来ているかと言えば、それもない。 今後とも新しい秩序の姿は見えないようだという不透明で垂れ込めた感覚こそが、今の時代を覆う漠然とした不安の正体であり、その裏返しが、AIのシンギュラリティがもたらすユートピア

去る6月19日、東京大学の伊藤国際学術研究センターで行われた、東京大学政策ビジョン研究センター主催の『 文化を基軸とした融合型新産業創出研究ユニット キックオフシンポジウム「日本の文化政策の新たな姿を探る」 』に参加して来た。 その基調講演がデービッド・アトキンソン氏で、日本の観光政策についての中身がある非常に良い講演だった。アトキンソン氏のポイントは幾つ

本書を読んで、金沢21世紀美術館について長年抱いてきた素朴な疑問が氷解すると同時に、過去10年間にわたり、金沢という場を巡って、伝統工芸と現代アートの世界で稀に見る革新的なことが行われてきたのだというのを初めて知った。 これまでずっと疑問に思っていたのは、「なぜ金沢21世紀美術館が作られたのか?」「金沢の伝統工芸と現代アートの関係はどうなっているのか?」とい

"If people aren't calling you crazy, you aren't thinking big enough." (もしまわりの人から「クレイジー」と言われていないのなら、あなたは"まだまだ大きく考えていない"ということだ。) この『THINK WILD あなたの成功を阻むすべての難問を解決する』(原題:Crazy is a Com

「モバイルボヘミアン」という言葉を聞いて、最初はきっと、モバイルフォンを駆使してノマド的な生活をしている人のことなのだろうと思っていた。私の食べ友達が本書の共著者の一人である本田直之氏と世界を食べ歩いているfoodie仲間で、facebookを通じて本田氏の生き方を拝見していて、勝手にそのような想像をしていた。 ところが、著者の二人は既にノマドというフェーズ

TED(Technology Entertainment Design)はどんなテレビ番組より面白いので(但し、NHK『BS世界のドキュメンタリー』は除く)、iPadでテレビ代わりによく見ている。テレビドラマや映画だと英語が分からないことが多くて字幕がないと辛いが、TEDトークはプレゼンテーターの思考が冴えていて、話もロジカルなので、英語がすごく分かりやすく

先般HONZで紹介した冨山和彦氏の『 AI経営で会社は甦る 』では、AI(人工知能)がこれからのビジネスに与える影響が分かりやすく示されていたが、この『人工知能はどのようにして「名人」を超えたのか?』は、AIの研究者自身によるAIの解説本である。 チェスと将棋と囲碁を例に取り上げ、AIにおいて最も重要な技術である「機械学習」「強化学習」「ディープラーニング(

「日本の観光をヤバくする」 というのが星野リゾートのミッションだと知っているビジネスマンは少なくないだろう。観光カリスマである星野佳路社長率いる星野リゾートは、リゾート施設運営におけるイノベーションと独自性のある戦略が評価され、2014年度の ポーター賞 を受賞している。 本書で取り上げられる中川政七商店は、工芸分野における星野リゾートとも呼ぶべきユニークな

本書はコーネル大学の人気教授で、ニューヨーク・タイムズの人気コラムニストでもあるフランク教授の著書ということで、よくありがちなアメリカ的な成功指南書なのかと思って読み始めた。 特に、邦題が『成功する人は偶然を味方にする』となっているので、偶然さえも自分の力でコントロールできるという意味なのかと誤解しそうだが、実際には成功者に自分の成功をもっと謙虚に受け止める

ゲーム理論の専門家で大阪大学准教授の安田洋祐氏がナビゲーターを務める NHKドキュメンタリー『欲望の資本主義〜ルールが変わる時〜』 の内容をまとめた本書は、およそ経済活動に関わる全てのビジネスマンにとってmust readの一冊である。 番組の中では、コロンビア大学教授のジョセフ・スティグリッツ氏、スタンフォード大学教授のアルヴィン・ロス氏、『善と悪の経済学

冨山和彦氏の本は殆ど読んでいるが、本書は単にAI(人工知能)が関わるビジネス領域に留まらず、教育から地方創生から働き方論まで、今我が国が取り組むべき社会問題を全て網羅した、これまでの著書の中で最も包括的な内容の、全ビジネスマン必読の書である。 コンサルタント→企業再生実務家→社会変革者へと進化を遂げる冨山氏の行きつく先は、ピーター・ドラッカーのような経営思想

本書の帯に、「英タイムズも絶賛!22ヵ国刊行の世界的ベストセラー、ついに日本に上陸!」とあるので、その言葉に釣られて買ってみたが、確かにその通りの素晴らしい内容だった。 『失敗の科学』というタイトルからは、直ちに「失敗学」を連想する。これは、『失敗学のすすめ』 で有名な東京大学の畑村洋太郎名誉教授が提唱した新しい学問分野で、起きてしまった失敗に対し、責任追及

久し振りに本を読んで感動した。 本を読む理由というのは人によって、また場合によってまちまちだと思うが、自分の場合は知識欲に駆られて読むことが多い。自分が知らなかったことが分かること、世界の広さと深さを知ることがたまらなく楽しいのだ。 だから、小説は殆ど読まない。本当か本当でないか分からないような文章に興味がないから。学生時代から、先生に指定された課題図書を読

日米戦争(太平洋戦争)とは何だったのか?なぜ今日に至っても歴史的評価が定まらないのか?そもそも日本は何のためにアメリカと戦争したのだろうか? 著者が指摘しているように、過去の出来事を知っている我々は、歴史に対して神の立場に立っている。全ての結末を知っている現在から、過去の人々の判断や行動を後講釈で説明しても意味がない。 「ルーズベルト大統領は真珠湾攻撃を知っ