
週刊朝日11月13日号「ビジネス成毛塾」 『世紀の新薬発見』
『世紀の新薬発見 その光と影の物語』は二つのまったく異なる自伝をまとめた本だ。ひとつは結核の特効薬ストレプトマイシン発見の物語。もうひとつはナチによるホロコーストの幼児生存者の物語だ。今回はその前半を取り上げてみたい。 ストレプトマイシンが発見されるまで肺結核は死の病であった。1950年までは日本においえる死亡原因の一位である。 数億人もの人類を救うことにな
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『世紀の新薬発見 その光と影の物語』は二つのまったく異なる自伝をまとめた本だ。ひとつは結核の特効薬ストレプトマイシン発見の物語。もうひとつはナチによるホロコーストの幼児生存者の物語だ。今回はその前半を取り上げてみたい。 ストレプトマイシンが発見されるまで肺結核は死の病であった。1950年までは日本においえる死亡原因の一位である。 数億人もの人類を救うことにな

今月号はお買い得だ。これで1400円は安い。素晴らしい写真と文章による冷泉家と家宝についての特集だ。現在、東京都美術館で開催されている「冷泉家 王朝の和歌守展」とリンクした特集なのだが、東京在住の人にとってもこの号を読むだけで満足してしまいそうだ。 ともかく美しい。定家の「拾遺愚草」も美しいが、俊成の「日野切千載集」には圧倒される。まさに「仮名のきわみ」だ。



福田和也が雑誌『ダ・ヴィンチ』に連載していた「ろくでなしの歌」を収録したものだ。昨日のブログで紹介した『アスペルガー症候群』では、取っつきにくいがオタク的な才能があるという、いわば理系な変人が紹介されているのだが、この本は「ろくでなし」の小説家ばかりを取り扱っている。彼らは普通に考えると変質者だ。知り合いにも隣人にもなりたくない。 たとえば永井荷風について最

以前、ある有名大学で自分のビジネス体験について講演した。具体的なエピソードのひとつとして、ビル・ゲイツがアスペルガー症候群である可能性があり、それゆえの常人ならざる仕事ぶりを紹介した。授業後のアンケートを読んでみたところ、ある学生が「自分の上司だった人の病気をあからさまにすることに気分が悪くなった」というのがあった。 なるほど、世の中には若くても狭量な人もい
書評といってもまだ書店では売っていない本である。ダイヤモンド社から11月に出版される本だ。著者はボク自身である。やっとゲラまで漕ぎつけた。このために本ブログの書評が滞っていた。明日からブログはまた通常運転です。

京都旅行中に発見した本だ。副題にあるように「小林かいち」は京都においてアール・デコ様式のデザイン画を描いていた画家だ。生まれは明治29年、昭和43年に72歳で亡くなっている。亡くなる直前まで着物の図案家として染物屋に勤務していたらしい。その「かいち」が本書のテーマであるアール・デコ調のデザインをしていたのは27歳から45歳までのことであるらしい。 本書の構成




○『菜根譚』洪自誠 味わうほどに深みがわかる「生き方」本の決定版 ○洪自誠 生没年は不明。明の万暦年間(1573~1619年)の人といわれる。儒仏道の三教に精通した博学高識の士で、晩年は閑居し、世俗を超越した心境をもって隠君子として生きたといわれる。つねに困苦に耐えて人格を磨き、『菜根譚』を記した。 ○あらゆる世代の共感を呼ぶ随筆集 『菜根譚』は、中国明代末

○『雇用・利子および貨幣の一般理論』ケインズ 20世紀初頭の世界恐慌に解決策を示した、近代経済学の出発点 ○ジョン・メイナード・ケインズ 1883~1946年。イギリス、ケンブリッジ生まれの経済学者。ケンブリッジ大学で教授を務めたほか、大蔵省、イングランド銀行などで活躍しながら研究を重ねた。『貨幣論』『平和の経済的帰結』など、著書も多い。20 世紀最大の経済

先ほど届いたロンドンエコノミストはいつもになく妙な特集だ。それはともかく、慌てて日本の民主党についての一般記事を読んでみた。 「慌てて」というのは、ボクは組閣以来の鳩山内閣のすべてに本当にワクワクしているのだ。生まれてから初めて、大臣になって浮かれているバカの集合ではなく、チームで運営されている内閣を見たのだ。おそらく手錬の外資系ビジネスマンなどは皮膚感覚で

○『法の精神』モンテスキュー 体制批判の書が世界の政治システムを変えた ○シャルル・ド・モンテスキュー 1689~1755年。フランス生まれ。啓蒙思想家、歴史家。膨大な数の資料に基づいて1748年、20年をかけたライフワーク『法の精神』を刊行、その思想はのちに「アメリカ合衆国憲法」や「フランス人権宣言」にも影響を与えることになった。 ○体制批判が大ベストセラ

長い書名の本の監修を引き受けた。『図解仕事力が身につく 必読の「古典」50冊』だ。B5版95ページ2色刷り本体1080円である。本書の作りは右ページに本文、左ページは図解だ。シルバーウィーク中に何点かの本文を掲載してみることにする。

○『資本論』マルクス 資本主義の矛盾点、「労働と賃金」について考え直す ○カール・マルクス 1818 ~ 1883 年。プロイセン領ライン州トリール生まれ。ボン大学、ベルリン大学で法学、哲学、歴史学を学ぶ。科学的社会主義、マルクス主義を構築し、のちの経済や社会、思想に大きな影響を与えることになった。『共産党宣言』『経済学批判』など、著書多数。 ○哲学書でもあ


ヤマネとは齧歯目ヤマネに属する1属1種の小動物だ。体重は鶏卵の半分くらいしかなく、ネズミとは違い尻尾には毛が生えていて、背中には黒の一本縞があるのが特徴だそうだ。天然記念物だ。本書はそのヤマネを撮りつづけて30年になる自然写真家のエッセイである。 本書をもってヤマネの生態を知るというものではない。むしろヤマネを撮り続ける著者の目から見た日本の山の物語だ。第1

高校の現代国語の授業で西脇順三郎という詩人を知った。「天気」という詩が教科書に載っていたのだ。いまにいたるまでの大きな影響を受けた。教室の片隅でそのとき一瞬にしてボクの心はギリシアの白き坂道の家の前に移動したのだ。詩はこうだ。 (覆された宝石)のやうな朝 何人か戸口にてささやく それは神の生誕の日。 2003年にこの詩が載っている『Ambarvalia あん

![「週刊現代 9月19・26日号」掲載 『夏への扉 [新装版]』 書影](/assets/recovered-covers/eaa49b335b3357702a524b860015c9ab5d61ba8d844409fb79b1a2eeb9500261.jpg)
本書が発表されたのは、ソ連が人類初の人工衛星スプートニクの打ち上げに成功した1957年だ。この年、レーザーが発明され、IBMは科学技術用のフォートランを発売した。アメリカで日本からの輸入車第1号であるクラウンが発売された年でもある。 全世界が第2次世界大戦のダメージから回復しただけでなく、はからずも戦争によって進歩した科学技術の果実を受けとりはじめたのだ。人

鹿島出版会は鹿島建設の関係会社だが、じつは非常に興味深い本を出版していることで好事家には知られていると思う。あえて好事家と書いたのは、書店では建築関係のコーナーに置かれていることが多いために、建築関係者以外の目に留まりにくいのだ。土木建築コーナーまでパトロールしにいく本好きはかなりの数寄者であろう。 本書以外にもこの6月に『水の匠・水の司』「米将軍徳川吉宗の

いうまでもなく、斉藤孝の『声に出して読みたい日本語』のもじりだ。だから、必ずしも「声に出して笑える日本語」が収録されているわけではない。むしろ、現代日本語論のようなものに仕上がっている。「のようなもの」としたのは、やはり大笑いできるところもあるからだ。ビミョーだ。 王監督がハンク・アーロンを抜く756号ホームランを打ったときの解説者が「これは立派なカネジトウ

http://www.economist.com/printedition/ いま、届いたエコノミストの最新刊の表紙がスゴイ。冨嶽三十六景にマンガ調のふき出しがあり、富士山が「ドッカーン」と噴火している。タイトルは「The vote that changed Japan」で久しぶりの日本特集だ。巻頭コラムでは「鳩山次期総理は官僚機構をどのようにやる気を引き出

あらかじめお断りしておくが、ボクにはその趣味はまったくない。昨日、本屋で買うときにレジで変な目で見られないかドキドキした。男子の制服フェチのおじさんなんて、目もあてられない。 とはいえこの写真本、チョーきれいだ。登場する男の子たちと男たちが、チョーかっこいいのだ。もちろん制服はチョーおしゃれだ。ページをめくりながらチョーチョーいっているおじさんは、やはりやば

9月3日に紹介した『僕は人生を巻き戻す』の書評を読んだ知り合いからメールをいただいた。この障害を克服するために何か良い本はないかというのである。幸いなことにボクはこの障害に悩んでいない。そこで他の知り合いに聞いてみたところ、本書を推薦してくれた。 著者はこの障害に悩んでいた一般人であり、精神科医などの専門家ではない。しかし『僕は人生を巻き戻す』においても、本

大人になってゆったりと夏休みを過ごすようになり、クラシックホテルを利用することが多くなった。箱根富士屋ホテル、軽井沢万平ホテル、日光金谷ホテル、伊豆川奈ホテルなどがそれだ。落ち着いた建物や心地よいサービスを楽しみに行くだけではない。過去にここで時間を過ごしたであろう人々とその時代を想像して楽しむことができるのだ。 そのようなクラシックホテルのサンルームやティ

今年のベスト3に入る翻訳ノンフィクションであり、精神スペクトラム障害に関する啓蒙書だ。じつは冷静に読むことができず、途中で何度も目を拭ってしまった。主人公のエド・ザインは重度の強迫性障害患者だ。現在は二人の女の子を持つ40歳代の男性である。 エドは11歳のときに母親をガンで喪う。軍人だった厳格な父親は、そのときのエドの様子を誤解して激しく殴りつける。エドは心

日頃もっぱら手に取るのは科学読み物などのノンフィクションである。純文学も推理小説も子供の頃に読んだだけで、大人になってからは書店でも専門コーナーから足が遠のいた。純文学を読むには感性が鈍磨してしまったし、推理小説を読むにはトリックの伏線すら気づかなくなってしまった。 いっぽうで歴史小説は蓄積した知識や経験の量に比例した楽しみ方ができるし、新たな薀蓄も得ること


最近サイエンス・アイ新書が面白い。月に最低1冊は買ってしまう。7月に『暮らしを支える「ねじ」のひみつ』を紹介したが、8月は本書だ。6月には『ヘリコプターの最新知識』を買っている。 この新書の特徴は写真がふんだんに使われているということだ。つまり大量の著作権処理を商業的に行っているということであり、これがwikiなどのネット百科への対抗手段にもなっているようだ

久しぶりに「芸術新潮」を買った。ここ1年の特集は「手塚治虫」「運慶」「阿修羅」「トーヴェ・ヤンソン」=ムーミンの作家「トミ・ウンゲラー」=絵本作家とかだったから、ぜんぜん興味を持てなかった。今月号は東京都美術館で開催中の「トリノ・エジプト展」にちなんで「エジプト美術」特集だ。エジプト美術を所蔵する世界のミュージアムを旅するという企画になっている。 カイロ・エ

傷を乾かすのではなく、湿潤状態にして治療するほうが効果的であるということは、本書を読む前から知っていた。バンドエイドの新製品キズパワーパッドの宣伝文句にあったからだ。すでにゴルフのキャディバックにも何枚か入れてある。幸いまだ使う機会はないのだが、経験者によると今までのものとは劇的に違うらしい。 本書はその理論を編み出し、実践を行っている医師による最新刊だ。め



きたやまおさむ(38)、小柴昌俊(28)、養老孟司(56)、日野原重明(32)、海堂尊(28)、隈研吾(39)の各氏に英語の秘訣を聞いた本だ。カッコ内の数字はもちろん年齢ではない。インタビューの再現に費やしたページ数だ。 やはり養老孟司氏がもっともインタビュー慣れしているのか、他の先生の倍のページ数を稼いでいる。インタビュアーに答えるというよりも、強引にお得