
『庭煙鉄道趣味 庭蒸気が走る毎日』
森博嗣の「本業」である模型の本だ。ご本人のサイトによれば「10年ほどまえ、5インチ鉄道模型のエンドレスの線路がとうしても欲しいと思った森先生、敷地を手に入れるためには資金が必要である。『夜でもできるバイト』はないかと考え、小説の執筆を思いつかれたのだ。」とある。つまり、小説は資金を得るための手段でしかないというわけだ。 とはいえ、一般的には『スカイクロラ』の
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森博嗣の「本業」である模型の本だ。ご本人のサイトによれば「10年ほどまえ、5インチ鉄道模型のエンドレスの線路がとうしても欲しいと思った森先生、敷地を手に入れるためには資金が必要である。『夜でもできるバイト』はないかと考え、小説の執筆を思いつかれたのだ。」とある。つまり、小説は資金を得るための手段でしかないというわけだ。 とはいえ、一般的には『スカイクロラ』の

模型関係の本が続くようにみえるが、本書で紹介されている「モノ」は模型というよりはオモチャ系美術品といっても良いかもしれない。本書は今年2月に亡くなった西田明夫の作品集であり、その考え方や作り方の解説と、実例集を兼ね備えた本である。 オートマタとは「からくりおもちゃ」のことだ。西田明夫はそのからくりおもちゃの現代作家であった。いまだに生前のままに残されているブ

御年80歳の料理評論家による上質なエッセイだ。レオナルドのファンはもちろん、趣味でイタリア料理を作る人や、フィレンツェ旅行者も、この夏休みにじっくりと楽しめるであろう。本書が書かれた契機は25年前に遡る。レオナルド研究の第一人者である裾分一弘から奨められたというのだ。イタリア料理の専門家である著者に対して、レオナルドの食事について調べるようにと言われたらしい

http://d.hatena.ne.jp/founder/20090612/1244765615 『日本の殺人』の書評でとりあげたように、日本における実質的な殺人数は年間700件程度だという。統計上は1400件なのだが、これには死亡者がでていない殺人未遂と殺人予備が含まれている。なぜか統計上では強盗致死は殺人には含まれていないので、これを加えると死亡者がい

あえて表現すると自然界における対称性についての本である。著者は雪の結晶がなぜ6角形なのかという問いを読者に与え、それに対する解答が得られるように、論を進めていく。いや、論を進めるというよりは、森羅万象について数学的な見方があるということをぶちまけるという感じなのだ。 第1章(雪の結晶にひそむ謎)では天文学者ケプラーが、雪の結晶が6角形であることを数学的に表現

本ブログは文学や現代社会関連の書籍の紹介は得意ではない。賛否両論が必然し、ひとそれぞれに価値感が異なるものについては臆病なのだ。本質的に結論のでない議論からは遥かに遠ざかるのみだ。本書も賛否両論があろうことは想像に難くないのだが、「気づき」があったので敢えて記しておこう。 ボクはそもそもビジネス書を好きではないのだが、本書を読んで自分が嫌っていたのはビジネス

ALMAとは「アタカマ大型ミリ波サブミリ波干渉計」の略である。英語ではAtacama Large Milillimeter/submillimeter Arrayだから、干渉計とはArray(配列)の略ということになるのだが、ひとことでいうと電波望遠鏡のことだ。 ALMAはチリ北部にある標高5000メートルのアタカマ高地に建設されつつある。直径18キロメート

手元に届いたばかりの号で興味を持った記事はNEWS SCANという巻頭コラムのなかから、「過去からの衝撃」と「磁石で病気を吸い出す」の2本、記事からは「サイドチャネル」だった。 暴動を受けてなのであろうか、「過去からの衝撃」は1964年から1996年までの間に、新疆ウイグル自治区のロプノール実験場で中国が行った核実験の放射能によって、数十万人の市民が死亡した

初代南極観測船「宗谷」のいわば伝記である。今年2月に「船の科学館」で古希を迎えたこの船の人生は、じつに波乱に富んだものであった。本書から略歴をまとめてみよう。 昭和13年に進水したときの船名は「ボロチャエベツ号」だった。ソ連が耐氷型貨物船として発注したのだ。しかし、戦争直前であったためソ連に売り渡されることはなく、竣工時には商船「地領丸」となった。開戦前の昭

《この原稿は書評ではありません。本書に付属している解説です。》 マイクロソフトはベルビューなどシアトル近郊で賃貸ビルを転々としたあと、1986年、レッドモンドに現在の本拠地を構えた。当初のキャンパスは2階建ての建物を4棟建てただけのこじんまりとしたものだった。ビルディング2はそのうちの1棟である。内部は銃の撃ち合いに備え、短くて何重にも折れ曲がった廊下を作っ


3巻とも2006年に出版された飛行機イラスト本である。『丸』という軍事雑誌に連載されていたイラストを3冊にまとめたものだという。さすがに書店でも『丸』を立ち読みすることはなかったので、今週まで存在を知らなかった。 本書のイラストは飛行機であれば前後を圧縮し、人物であれば上下を圧縮したデフォルメが特徴だ。つまり全てが丸くなっていて、戦闘機や爆撃機の兵器としての


タイトルは『「ねじ」のひみつ』だが、「秘密」はさほど語られていない。内容はもっぱら『「ねじ」の基礎』だ。とはいえ、この本に書かれている以上に「ねじ」に関する知識をお持ちの方は、「ねじ」で飯を食っている人であろう。普通の人はこの本1冊で一生分以上の「ねじ」の知識を得ることになるであろう。別の言葉でいえば、本書で書かれている「ねじ」の知識が持たなくても、普通の人

ネット通販で買い物をすると信じられない失敗をすることがある。想像していたものと全く違うものが届いたりすることがあるのだ。『海辺の漂着物ハンドブック』もその1つだ。フルカラーとはいえ変形新書版で、わずか80ページである。 ビーチコーミングをするときに持ち歩きやすいようにとの配慮だろうが、薄すぎる本なのでメインであるはずの貝の種類もごく少ない。海遊びでおきまりの

とんでもなくお買い損の本を紹介したので、つぎはとんでもなくお買い得の本を紹介しよう。本書はこれまでで買ったどの本よりもお買い得感がある本だ。大判で本文は209ページ、フルカラーである。古代ローマ遺跡のガイドブックに掲載されているであろうほとんど全ての遺跡が写真と文で紹介されている。しかし、本書の目玉はもちろん観光ガイドではない。8000時間をかけて502mm

1989年、津本陽が『巨人伝』を発表した。南方熊楠を世に知らしめた書だ。近代日本にはこんなとんでもない人物が実在していたのかと愕然としたものだ。明治維新以来、欧米に学ぶためには読書を中心とした座学こそが学者の姿だった。しかし、南方熊楠は常軌を逸した読書家であり、とてつもない酒豪であり、和歌山の山野や大英博物館において不眠で研究をし、19ヶ国語を理解した天才そ

2冊とも考えようによっては安い本だ。豪華な装丁でフルカラー、『天才の仕事』は238ページで2300円、『ロボット』は359ページもあって3500円だ。2冊とも中心となるのはCGによるダヴィンチの発明の再現だ。 ダ・ヴィンチは数万ページの手稿(CODEX)を書いていたといわれ、現在までに8000ページほどが発見され、保存されている。もっとも有名なのはアトランテ

映画「天使と悪魔」のヒットを期待したのだろう、バチカンをテーマにした本がこの上半期だけでも何冊か出版された。かろうじて最後までページをめくったのは本書だけだ。残りの本は時間とお金の使い方としてはあまり有効ではないであろう。 そもそも本書も1991年に英語版が出版されたあと、今年になって20ページばかりを追加した増補版である。本書は写真集であり、永久不滅ともい

またまたこの忙しい時期に、とんでもなく面白い本を見つけてしまった。本書の初版はいまから19年前の1990年である。この6月に6篇のエッセイを付け加え新版として出版された。 まずは本書を簡単に紹介してみよう。バルザック、フロベール、ユゴー、スタンダールなどの19世紀のフランス小説から風俗描写を抜き出し、当時のパリという街のディテールや、金銭感覚などを纏めたもの

狙っている読者層が広すぎる。けっして悪い意味ではない。蕎麦好きも、蕎麦屋通いも、趣味の蕎麦打ちも、プロの蕎麦屋も、江戸趣味人も、うんちく好きも、単なる本読みも、間違いなく満足できる本である。新書にこれだけの薀蓄を江戸情緒たっぷりに詰め込めるとは信じがたい。 薀蓄本のたしなみで、テーマである江戸蕎麦の歴史から本をはじめるのだが、その内容と分量に過不足がない。ま

ワイン作りは人類にとって最古の仕事の一つである。すでに紀元前6000年ころのメソポタミアで計画的に作られていたといわれる。いっぽうでワインは壮大なベンチャービジネスでもある。1960年台後半にロバート・モンダビが高級ワインを作り始めたことで、いまではワイナリーはカリフォルニアの代表的な産業となっている。お洒落で儲かるビジネスになったのだ。 もちろんワイン作り

「知の再発見双書」の最新刊だ。この双書はフランスのガリマール出版社が1986年から出版を開始した「Gallimard's Decouvertes」の一部を翻訳したものである。本国では530を超えるタイトルが出版されているのだが、創元社が翻訳したのはそのうち本書をもって144冊目だ。 ガリマール出版社は老舗出版社であり、フランス版の文藝春秋というところであろう

とてもまずいことになった。株主総会など忙しいシーズンであるにもかかわらず、とんでもなく面白い本を買ってしまった。本書のもとになったのは同じ著者によって1958年に刊行された同書名の『日本故事物語』だ。その後、数回の改訂と増補を行われ、1972年に現在の版が確定した。そして、橋本治が解説を引き受ける形で2009年版が出版された。 橋本治が再版を提案したのだろう

本書の前半は現フランス大統領、ニコラ・サルコジを主役にした、ロマンスと陰謀が渦巻くドタバタ喜劇だ。1996年、サルコジはW不倫の果てに前妻と離婚した。新しい妻、セシリアは内務相となったサルコジの仕事に口を挟むどころか、省内に執務室を構え、人事にまで介入し始める。国庫から直接引き落とされるクレジットカードまで作っていたという。 ところが、その妻とは不倫を理由に


帯に「英語自慢の鼻をへし折る!」とある。以前から単語こそが英語において最重要であると主張してきた評者だが、この本を読んでみて、それは言いすぎだった反省した。まさに鼻をへし折られた。 外資系IT会社に勤務している間は、英語といってもいわゆるビジネス英会話と日常会話、メールだけで暮らしていけた。会話では理解が怪しい場合は、聞き返せすことができた。こちらがあいまい

著者の理論を2行でまとめてみよう。芸術家やゲイが好む都市はイノベーションや起業風土にあふれており、結果的にその都市の不動産価格は上昇する。居住用としても不動産投資用としても、そのような都市を選ぶべきだ。米国での原書の出版はリーマンショックの半年前なのだから、この結論に違和感を持ってしまうのは仕方がない。 じっさい著者は、米国主要都市の1950年から2000年


昨日に引き続いてサルコジである。第4章以降はいよいよ政治家としてのサルコジについてだ。著者は最終章で作家クリスチャン・サルモンの言を引用しながら、戦後を政治家の属性によって3時代に分類する。「国を担う政治家の時代」「エキスパートの時代」「ストーリーテラーの時代」だ。 国を担う政治家とはドゴール、チャーチル、ルーズベルトであり、日本では吉田茂がそれにあたる。エ

本書は8章だて223ページの選書である。そして本稿は本書の第3章まで読んだところで書いている。第3章まででも、充分に紹介に値する本なのだ。あまりに面白い。残りはじっくり読みたいので、ひとまず第3章までをご紹介しよう。 とはいっても、具体的なエピソードを紹介するのは野暮すぎる。少なくとも第3章までについては、映画のストーリーを紹介するのに匹敵するからだ。第1章

でかすぎるイメージを持たなければ一歩踏み出せる 都心にでかいオフィスを持つ起業って大変だよね。たぶん自分の金じゃ出来ないです。出資者のところを事業計画書を持って回って、人に何百万円も出資してもらうなんて、とてもじゃないけど俺はできない。 だって、自分しか信用できないことにこそ賭けたいから起業するんでしょ? ぱっと説明して、人が賛同してくるようなアイデアっても

タイツくん 哀愁のジャパニーズドリーム 週刊SPA!などの雑誌メディアでおなじみの タイツくん 。名前を知らなくても、一度見たら忘れない全身タイツ姿のイラストに、仕事や恋愛の本質をピンポイントで突くひと言が添えられた励行カードを覚えている人は多いと思います。 本書は、イラストレーター高橋潤と共にタイツくんを生み出した、松岡宏行さんの起業の経験を語ったもの。

タイトルとサブタイトルが逆だったら、もっと早くに売れはじめたかもしれない。サブタイトルは『「命の一時停止」の医学応用』だ。「人口冬眠」に興味を持つ人が多いとは思われない反面、「命の一時停止」にはピンとくる人は少なからずいるのではないか。本書を読んでみてはじめて、いかに「冬眠」が面白いか判るのである。 本書は最新の冬眠の生理学を丁寧に説明したうえで、医学への応

高校を卒業してすぐ、札幌の実家の近くに小さな居酒屋ができた。悪友連中と良く通ったものだ。狙いは当時でもずば抜けて安い1杯250円の毛蟹だった。いつの間にかその居酒屋は全国チェーンの立派な会社になっていた。その店の名前は「つぼ八」。まさに8坪の居酒屋だった。 本書にはこのような社名の薀蓄が詰め込まれている。ビジネスマンにとって身近な話題であるだけに肩が凝らない

文藝春秋翻訳出版部の『ハチはなぜ大量死したか』につづく快挙である。科学ノンフィクション翻訳部門2連勝だ。担当の下山進さんから会社に送っていただいていたらしいのだが、自宅でも当然買っていた。装丁デザインも本文の図版も素晴らしい。とりわけ書名のセンスは原書のそれを上回る。 2000年前のこと、ギリシャからの財宝を積んでローマに持ち帰る船が沈没した。その船の積荷の

著者は非科学的なものに対して攻撃を続ける物理学者だ。著者のエセ科学やオカルトに対しての攻撃姿勢については大いに感心するが、反論することそのものに夢中になるあまり、自身も突っ込まれることが多い人だ。。 本書は力学と幾何に基づいて、ゴルフのショットについて考察した本という設定だ。おおむね正しいと思うのだが、ところどころ突っ込みを入れたくなる。 本書では前上がり斜

著者はキャロウェイ社の技術トップである。ビッグバーサやヘブンウッドを開発した張本人である。キャロウェイ社とは世界最大のゴルフ用品メーカーであり、ビッグバーサやヘブンウッドとはキャロウェイを飛躍させたヒット商品のゴルフクラブである。 キャロウェイ社の設立は1981年。イリー・キャロウェイがその創業者だ。イリーは米国最大の繊維メーカーであるバーリントンの社長をつ


中国人の英語の間違いを取り上げた本なのだが、二つの意味で笑うに笑えない。第1の理由は中国語に併記された英語を見て、少なからずその意味を理解してしまうからだ。英語だけみれば笑えるのだが、漢字と同時にみると違和感がなかったりする。たとえば「取水処」の看板に「Take Water Place」と英語が併記されている。日本であれば「飲料水」と表記するだろうな、などと