
『巨大おけを絶やすな! 日本の食文化を未来へつなぐ』を読む:サイエンス&テクノロジーの面で考えさせられる好著
たまたま知り合いのSNSを通じて、木製の桶に関する本が出ることを知りましたのです。わたしは木材加工の技術史や、微生物による発酵の科学にもちょっと興味があったもので、さっそく読んでみました。結果、最後のほうは思いもよらず感動してうるうるしてしまいました。 とはいえ、最初からそれほど期待していたわけではありません。タイトルだけ見たときには、ぼんやりと二つぐらいの
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たまたま知り合いのSNSを通じて、木製の桶に関する本が出ることを知りましたのです。わたしは木材加工の技術史や、微生物による発酵の科学にもちょっと興味があったもので、さっそく読んでみました。結果、最後のほうは思いもよらず感動してうるうるしてしまいました。 とはいえ、最初からそれほど期待していたわけではありません。タイトルだけ見たときには、ぼんやりと二つぐらいの

「春を巻く」と書いて春巻きですが、先日我が家で大ヒットだったのは山菜の春巻きです。うるい、こごみ、ばっけ味噌を巻いて揚げました。春巻きの皮は冷凍保存できるので、余った時は冷凍しています。また、小さめの皮はちょうどつまみにピッタリのサイズで作ることができるため、おすすめです(大きなものしか手に入らない時は、半分に切って使っています) ばっけ味噌は、ふきのとうを

「行旅死亡人」とは病気や行き倒れ、自殺等で亡くなった身元不明の死者を表す法律用語である。死亡人は身体的特徴や発見時の状況を官報に公告される。 映画やミステリー小説でも良く登場する”誰かわからない”遺体。その身元を新聞記者が突き止める過程を記したのが『ある行旅死亡人の物語』だ。 共同通信大阪社会部の遊軍記者、武田惇志は記事のネタ探しのため官報に掲載されている「

2023年のスタートの月は全国的に荒天に苦しめられた月になりました。とはいえ、芥川賞・直木賞が両方ともダブル受賞になるなど業界にとってはプラス要素も。ノンフィクションジャンルでは大物作家が続々と本を出しています。そんな中、『ネット右翼になった父』という新書が話題を呼んでいます。老いとともに「ネット右翼」のような発言を繰り返すようになった父。そのまま親子は分断

身近な人が豹変してしまうのを見るほど辛いことはない。家族が認知症になったとか、カルトに入信したとか、そんなハードな話なら聞いたこともあるが、著者の場合はいささか変わっている。父親が「ネット右翼」になってしまったのだ。 父親は令和元年(2019年)、改元の4日後にこの世を去った。77歳だった。晩年の父親はネトウヨ的な言説に染まっていたという。近隣諸国や左翼、生

最近、肉より魚を食べたいと思うことが増えたので、これまで肉で作っていたレシピを魚でアレンジしています。先日、作ったのはメカジキのトマト煮です(元のレシピは豚ロースを使用)。 メカジキは塩を振って少し置き、水気をキッチンペーパーなどで取り、フライパンで両面をさっと焼きます。メカジキを一旦取り出し、みじん切りにした玉ねぎ、ニンニクを炒め、白ワインをなみなみと浸る

恐ろしいものを読んでしまった。 2018年、32歳の女性が母親の殺害と遺体損壊、遺棄の容疑で逮捕された。彼女の名前は高崎あかり(仮名)。あかりの母親は異様なほど娘の学歴に執着し、医学部を9年も受験させた。娘は浪人をしているその9年間ずっと母親の監視下にあり、執拗な虐待を受けていた。母親が医学部をあきらめたことにより、あかりは9年目に医科大学の看護学科に主席で

あなたは死刑に賛成ですか? 賛成、反対、あるいは、どちらでもない or わからない。 はたして即答できるだろうか。決して身近な問題とは言いにくいので、普段から考えている人は多くないだろう。しかし、とても重要な問題だ。この問題を考えることは、生きるとはなにか、人権とはなにかという大きな命題に思いを巡らせることになるのだから。 作者の宮下洋一はスペインに根拠を置

最近、仕事中のほとんどの時間は何らかのゲーム配信(最近はLeague of Legends)を垂れ流していることが多い。人気のストリーマーは数千、数万といった視聴者を集める。そうすると、一人用ゲームではない対戦系ゲームを配信で行っている配信者は、少なからぬ「嫌がらせ」行為に遭遇するものだ。 たとえば、配信者がゲームのマッチングを開始したのにタイミングを合わせ

ヘンリー英王子の回顧録『スペア』の発売は世界的にも大きな話題になっています。発売1週間で320万部を突破など勢いはまだまだ途切れなそうです。今のところ日本での発売は発表されていませんが、いつ、どのようなタイミングで登場してくるのか気になります。日本では2月には『安倍晋三 回顧録』という大きな回顧録が発売になります。 凶弾に倒れた、憲政史上最長の在任期間となっ

殺人はけっして許されない。人を殺せば刑事罰に処される。それがこの社会の当たり前のルールである。だが時に、その「当たり前」が揺らぐことがある。殺すのも無理はない、やむを得なかったのだと加害者に同情してしまうことがある。本書が描くのはそんな事件だ。 2018年3月、滋賀県・野洲川の河川敷で、女性の切断された遺体が見つかった。警察は同年6月、女性の長女を死体遺棄、

アフリカ中部に位置するコンゴ民主共和国(旧ザイール)は地下資源に富んだ国だ。1970年代、日本企業はこの地に進出し鉱山を開設、多数の日本人労働者が就業していた。 2016年、朝日新聞のアフリカ特派員だった著者にツイッターを通じてメッセージが送られてきた。当時、コンゴでは日本人労働者と現地女性の間に生まれた子を、日本人医師と看護師が毒殺していた、と報道したこと

お正月明けは何となく胃が重く(ごちそうを食べ過ぎ)、最近はあっさりとしたものを作ることが多いです。旬の野菜を使ったおすすめは、菜の花のオイル蒸しです。 オリーブオイルで菜の花をサッと焼き付け、水を入れて蓋をして蒸し、塩で味を整えてできあがり。柚子をちょこっとのせると、格段においしくなります。 それでは今週献本いただいた新刊本のご紹介します。版元のみなさま、毎

地球科学には「過去は未来を解く鍵」と言うフレーズがある。過去に起きた現象を詳しく分析し、その中で働いているメカニズムを明らかにし「物理モデル」を立て、未来に起きる現象を予測する。 未来を予測・制御するのは自然科学が持つ基本的な機能で、理学も工学も医学も基本的には同じ原理で動いている。ところが地球科学だけは他の理系分野と異なり、過去に起きた現象が138億年にわ

この本は面白かった。専門知と世間知の間で葛藤する臨床心理士の「現代版赤ひげ先生」が、自慢のヒゲを撫でながら捻りだした一冊だ。わかりやすい言葉、アカデミズムの知識、日常生活人としての思い。その三者が融合し、骨太な大変価値ある本にしあがっている。 タイトルをみればわかるとおり、本書のテーマは情報の交換だ。人類が高度な文明を持つ万物の霊長になり得たのは、卓越した情

あけましておめでとうございます。今年もどうぞよろしくお願いいたします。 数日前から仕事始めという方も多いと思いますが、冷蔵庫の中はまだお正月の気配が残っていたりしませんか。我が家は残ったお餅をお汁粉にしたり、なますは肉系のおかずとパンに挟んでチリソースをかけてバインミーにしたりしています。また、いくらが残っていたので、鮭を買ってきてはらこ飯にしたところ、年末

興奮冷めやらぬままこれを書いている。すごいノンフィクションを読んだ。大晦日に読み始め、気がついたら年が明けていた。この本は読み始めたら途中で止めることができない。 ある未解決事件の謎に単身挑んだジャーナリストが、ファクトを丹念に積み上げ、真相に迫る。ところが、あらゆる可能性を吟味し、これしかないという仮説に辿り着くが、国の調査結果はこれを否定するものだった。

12月は国内ノンフィクションの意欲作が次々と発表された月となりました。年末年始にかけて話題になった本も多数。その中でも 先日レビューでも取りあげられた『国商』 などが好調に動いています。 年末になって発売され注目を集めている1冊が『黒い海 船は突然、深海へ消えた』です。2008年に太平洋上で起きた漁船転覆事件、原因不明ながら17人もの犠牲者を出す事故となった