講演資料(2011年頃)
2011年ころに講演したときのパワポである。テーマは本の読み方なんだけど、前段の自己紹介が長い。さらに後段では本に全く関係がない運鈍根だのについて語っている。きっと聴衆はわけが分からなかったであろう。知ったことではない。いつでもオレ流なのだ。 講演内容をまとめてみよう。 聡明そうに見える子供だった(はずだ)が、小学校ではまともに座っていることができないので授
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2011年ころに講演したときのパワポである。テーマは本の読み方なんだけど、前段の自己紹介が長い。さらに後段では本に全く関係がない運鈍根だのについて語っている。きっと聴衆はわけが分からなかったであろう。知ったことではない。いつでもオレ流なのだ。 講演内容をまとめてみよう。 聡明そうに見える子供だった(はずだ)が、小学校ではまともに座っていることができないので授

読書に付箋は欠かせない。知らなかったこと、驚いたところ、心を動かされた箇所に貼っていく。内容に引き込まれるほどその数は増える。この本にもびっしり付箋がついた。初めて知ることがあまりに多かったからだ。初めて知ったこと。それは、在日ムスリムの素顔である。 世界には19億人を超えるムスリムがいるという。このうち在日ムスリムは推計18万3千人(2019年末時点)。世

一説によると人類は1万年以上前から酒を飲んでいたらしい。最も古いアルコール飲料はハチミツを主原料としたミードと呼ばれるものであったとも言われている。紀元前4000年ころには古代メソポタミアでビールが飲まれていたし、ワインは紀元前3000年頃から飲まれていた。人はかくも昔から酒を飲み酔っていたのだ。人が酒を飲む理由は様々だろうが、古代や中世の人々が酒を飲むのに

地球は今から46億年前に誕生したが、生命はそのうち後半80%もの長い時間に存在している。また40億年前には海が誕生したので、それ以降で見れば何と後半95%の時間が生物の世界だ。すなわち、地球の歴史は生物の歴史として捉えることはあながち的外れではない。 こうした長い歴史を「超圧縮」したきわめて面白い読み物が出た。本書はこうした地球環境とSDGs(持続可能な開発

魚を丸ごと買ったら無駄なく全て使いたいものですよね。先日、小さめの鯛を買ったので、アラで出汁を取り、さらに出汁を取ったあとのアラをほぐして砂糖醤油で味付けし、フレークを作りました。 フレークはご飯のお供にピッタリですが、オススメは鯛そうめんにすること。錦糸卵や葱と一緒に食べると絶品です。めんつゆはもちろん、アラで取った出汁を使ってください。 それでは今週献本

国会中、大臣や議員の背後で控えている人々。どこか厳めしく無機質で、原稿を読むときもぼかしたような言い回しをする。「官僚主義」といったネガティブワードに代表されるように、彼ら官僚に好印象を持っている人は少ないと推測する。近年はツイッター等で霞が関の人たちによる暴露が耳目を集め、そのブラックな労働環境に同情されると同時に忌避感も強まっているのは否めない。 そんな

日本が難民の受け入れに厳しいことは知っていた。しかし生活圏内のコンビニや建築現場などに外国人がたくさん働いていて、いまやなくてはならない存在になっている。 日本人が普通に暮らしている限り、非正規滞在者を収容する出入国在留管理庁の施設、通称「入管」のことはほとんど知る機会がなかった。だが2021年3月、名古屋の入管で収容中のスリランカ人、ウィシュマ・サンダマリ

球春到来!例年この時期は、野球やサッカーの選手名鑑が店頭を賑わしているものですが、今年はWBCの影響でさらなる盛り上がりを見せているようです。選手から監督まで多くの本が注目されています。その中で注目したい本といったらやはりこれ『アンビシャス 北海道にボールパークを創った男たち』でしょう。 『嫌われた監督』で各賞を総ナメした鈴木忠平さんの最新作、そして先日オー

超高齢者社会をひた走る日本では、親族に認知症がいるのは珍しくない。コロナ禍で人に会わなくなって発症者が増えたのか、街中で怒鳴る老紳士を頻繁に見るようになった。小さくなって周りに謝る夫人が不憫だ。 ノンフィクション作家の高橋秀実の父親、昭二が認知症と診断された。母が病死したのに、死んだことを認識していないようなのだ。 記憶障害、見当識障害、思考障害などいくつか

「秘伝のタレ」というやつが嫌いである。テレビで飲食店が紹介される際によく耳にするが、あまりにいい加減だと感じる。鰻のタレも焼鳥のタレも、基本は酒と味醂と醤油だろう。そんなものを「秘伝」などともったいぶる料理人は相手を舐めているし、そんなナレーション原稿でお茶を濁すテレビ局も手抜きもいいところだ。いずれにしても真摯に仕事と向き合っているとは思えない。 優れた料

小さい頃は、将来当たり前に結婚して、当たり前に子どもを産んで、当たり前に家族と幸せに生きていくものだと思っていた。でも、生まれ育った家族が「解散」したのをきっかけに外の世界を見渡してみたら、実はそうした「当たり前」のほうがマイノリティなのかもしれないと気づいた。じゃあ本当に私が選びたい道って……? 無意識に頭のなかに染み込んでいた像を取り払って考え直すうち、

膨大な死傷者を出しつつウクライナで存在感を示したPMC(民間軍事会社)ワグネル。プーチンの秘密の軍隊ともいわれ、2014年のウクライナ紛争やシリア内戦でも暗躍していたことが知られている。一方で2022年のウクライナ侵攻以前はその存在をロシア政府から公式に認められていなかった。それもそのはずで、ロシアでは法律により傭兵家業が禁止されているはずなのだ。著者マラー

二本足で立って走る猫がいるという話をネットで知った。ウソやろ…。即座に思い浮かんだのはもちろんあの猫である。往年の名作『じゃりン子チエ』に出てくる、後ろ足で仁王立ちになったりする小鉄とアントニオJr.だ。おもろそうやないか。 しかし、現実はマンガより奇なり。リアルの二本足猫は、二本の後ろ足ではなく、左側の足二本で立って走るという。ホンマですか?まだ仁王立ちの

旬でも少しお高めだったり、普段使い慣れないとあまり買わない食材ってありませんか?私にとってカリフラワーがそれだったのですが、先日、お値打ちなものがあったので試しに買ってみました。 初回は柑橘と刺身用のホタテと軽く茹でたカリフラワーをマリネにしたところ、とてもおいしかったです。また、家族に好評だったのは、カリフラワーのミルク煮でした。食べやすい大きさにカットし

この数か月私は、本はどうあるべきか。本屋はどうあるべきか、ばかり考えている。取次に25年もいて、そんな問いに意味がないことはわかっているのに、である。なぜなら、足元の売上減は顕著で、それに加えて光熱費・人件費・決済手数料の増大はあまりにも急激だからだ。本屋の明日に、これまでとはレベルの違う暗い影を落としている。 新しい仕組みへの置き換えが必要なのは誰の目にも

先日買った大量のマッシュルーム を贅沢に使った、レシピの第2弾をご紹介します。マッシュルームのオムレツです。オムレツの中身として、刻んだ玉ねぎ、薄切りにしたマッシュルーム、お好みでベーコンなどを炒め、軽く塩胡椒で味付けします(ソースを別途かけるため、味が濃くなりすぎないように注意)。 次に、ソースを作ります。刻んだマッシュルームをサッと炒め、少量の水を入れて

年々桜の開花が早まっています。今年も早い春が始まったようです。AIの急激な進化を目の当たりにし、これからの世の中について、人間の心と脳について考える本に注目が集まってきているようです。そんな中大きな話題になっている本があります。それが『くもをさがす』 直木賞作家の西加奈子さんが初めて描いたノンフィクション作品がこちら。そしてテーマは自らを襲ったがんとの戦いで

一見、ライトノベルを思わせるタイトルだが、本書は紛れもない実話である。ただし著者の半生は、まるでラノベの主人公のようにユニークだ。 著者は1992年千葉県生まれ。昔からどこまでも内向的で、考えすぎる人間だったという。そんな性格もあってか、大学受験や恋愛、就活の失敗などで心を壊し、大学を卒業した2015年からは、千葉の実家で引きこもり生活に突入。週一でバイトは

「こんなんじゃ売れない。全然ダメ」 初校になるかならいかというタイミングの原稿とタイトル案を見て、ある人はこう言った。 これは誰のための本なのか。知名度のない人がつけるタイトルとしては説得力がないのではないか。そんな趣旨だった――。 本書は、大阪の箕面高校で劇的な海外進学実績をあげ、現在は千代田国際中学校の校長として活躍する日野田直彦さんが、これまでの取り組

先週に引き続き、南部市場で買った食材紹介です。刺身用のアジが売っていたので4尾購入し、2尾は刺身として食べ、残り2尾はアジフライにしました。刺身用なのにフライにするなんてもったいない?と思うかもしれませんが、アジフライは1度ぜひ刺身用のアジで作ってみてください。おいしさが段違いです。 それでは今週献本いただいた新刊本のご紹介します。版元のみなさま、毎度ありが

先日、 横浜南部市場 へ買い物に行きました。市場ということで、素人には少しハードルが高く感じたのですが、お隣の ブランチ横浜南部市場 にはスーパーやドラッグストア、飲食店もあり、誰もが利用しやすい雰囲気です。 マッシュルームが1kg250円と夢のような価格だったので、日々贅沢に使っています。新鮮なうちは生で食べるのもオススメで、初日はマッシュルームとトマトの

すべてはつながっている ミクロからマクロ 闇から光 いつの日か銀河の理を 知ることができるだろう 現代アーティスト新井文月。新井は幼少より足の病気で非常に内向的な性格であった。生まれ育った群馬では、友人達が大自然の中で走り回る一方、ひとり黙々と広告のチラシ裏に鉛筆で絵を描いていた。不思議なことに原因不明の足の病は絵を描くことで治癒され、大人になるにつれ見えな

2月は上旬に発売された『安倍晋三 回顧録』が大ベストセラーになりました。日本では政治家の回顧録がここまで売れるのは珍しい事。ここからどのような動きになるのかが楽しみです。その他にも評伝が豊作で『同和のドン 上田藤兵衞 「人権」と「暴力」の戦後史』などがランキング上位を飾っています。 他にはどんな本が発売され、売れていたのでしょうか。 気になる作品をいくつか紹

日本の大学では恒例行事として、定年を迎えた教員が「最終講義」を一般公開する習わしがある。本書は2021年3月10日に、私が京都大学で行った最終講義をまとめた本である。 24年間の教授ラストの授業は、私と学生・院生たち、そしてネット上のClubhouse聴衆という三者の白熱した時間となった。当時はコロナ禍の真っ最中で、最終講義が成立するかどうか危ぶんでいた。そ

開業医さんの生活ってどんなんやろ。近所の医院の前を通りかかった時、あるいは、ちょっとした病気でお世話になった時、ふと思ったことのある人は多いだろう。といっても、たぶん、お金持ちなんやろなぁ、とか、気を遣うから大変やろなぁ、という漠然としたイメージしかわかないのではなかろうか。 医学部の出身なので医師の友人は多い。開業医の友人もたくさんいるが、その実態はよく知

日本酒、味噌、醤油。木の大桶で仕込む日本古来の伝統食材だ。 ここ数年、こだわりの食品を好む消費者が増え、ステンレスやホーローなど近代設備で作られた量産品ではなく、“本物”の味が求められているという。 それなのにその大もとになる木桶をつくる職人や工場がなくなっている。著者は食品管理の仕事をしていた20年前にその声を聞いていた。 高さ約2メートル、直径約2メート

「桶」である。はて、桶と聞いて何を思い浮かべられるだろう?ちょっと気になって広辞苑で調べてみた。こういうときはなんといっても電子辞書だ。さて、いくつヒットしたでしょう? 答えは、「閼伽桶」(あかおけ:仏に供える水を汲み入れる桶)から「四桶」(よつおけ:長野県筑摩地方で馬に負わせて運ぶ下肥桶。1駄に4個つけたからいう)まで、なんと97個もある。さすがに驚いた。

東京五輪直前の猛バッシングを覚えている人も多いだろう。世間から指弾されたのは、国際的にもその音楽性を高く評価されていたミュージシャン、小山田圭吾だった。だが彼は本当に悪人だったのだろうか? 本書は未曾有の炎上の背景に分け入り、子細な検証を重ねて、この炎上が理不尽な「インフォデミック」、すなわち誤情報のとてつもない拡散によってもたらされた災いだったことを明らか

2月に入り発売された『安倍晋三回顧録』がベストセラー街道をひた走り、ノンフィクション業界も賑やかになっています。国際社会が混沌としている中、不穏な動きを見せるのが北朝鮮です。2022年10月には、警察庁をはじめとした国家機関が名指し非難をしたとして話題になった「ラザルス」というハッカー集団をご存じでしょうか?その裏側に迫る本『ラザルス: 世界最強の北朝鮮ハッ

休日はお昼が遅めだったり、がっつり食べすぎてしまったりすることが多々あり、そんな時の夕飯は野菜や果物中心にします。先日はトマトのサラダと八朔とスナップエンドウのサラダを作りました。 トマトのサラダは、みじん切りにした玉ねぎ、白ワインビネガー、オリーブオイル、塩胡椒でトマトを和えるだけ。八朔とスナップエンドウのサラダは、さっと茹でたスナップエンドウと八朔、クリ

縁日やお祭りの日の思い出の風景といえば、寺社仏閣の境内・参道に立ち並ぶ露店である。焼きそば、お好み焼き、ベビーカステラ、チョコバナナ、等々。ちょっと強面のおじさんが調理してて近寄りがたいけど、周囲の喧噪に呑まれてつい買ってしまう。その後、風の噂で、あのおじさんヤクザらしいよと聞いて、幼心は震え上がる。 しかし、露天商――テキヤを暴力団と同一視するのは誤りであ

日本でエネルギーがここまで話題になるのは2011年の東日本大震災以来だろうか。ロシアによるウクライナ侵攻に端を発した天然ガス価格高騰、エネルギー価格を中心とするインフレ懸念、カーボンニュートラル取組と、ほぼ毎日のようにエネルギー関連情報がニュースの見出しを飾る日々が続いている。 そうはいっても「そもそもエネルギー問題ってなんぞや」「みな、何を騒いでいるのか」

人の記憶にはバイアスがある。「文部科学省汚職事件」と総称される一連の出来事の中で人々の記憶に今も残るのは、おそらく東京医科大学医学部医学科で行われていた不正入試のほうではないか。 東京医大は一般入試で、女子受験生や4浪以上の男子受験生に差別的な扱いをしていた。3浪までの男子受験生に一定の点数を加える優遇装置を講じていたほか、OBの子供など縁故受験生にも寄付金

新幹線で京都と東京を往復すると、晴れた日には三島駅の北側に富士山がよく見える。その中腹には大きな穴がポッカリと空いているが、江戸時代に大噴火した火口であることを知る人はそう多くない。 もし「こだま」で三島駅に下車する機会があれば、北側の改札を出たところにある溶岩の露頭(地層が見える崖)を見てほしい。三島溶岩と呼ばれる約11,000年前の噴出物で、この現象を現

連載の2回目は、いよいよ2022年に印象に残った本について熱く語り合います! APU活動記①は こちら 立命館アジア太平洋大学(APU)ライブラリーにやってきました。ウェルカムボードを見て、メンバー一堂のテンションが一段と上がります。様々な個性を持ったメンバーが一同に集い、やたらと熱い志で本を紹介する、HONZにとってはお馴染みのコーナー。テーマは「この数年

春の七草の1つでもある「せり」は、若芽が「競り合う」ように一箇所で生育することから名付けられたそうです。旬の時期にスーパーで並んでいるのを見ると、一度はせり鍋をしなければと思います。先日は こちら のレシピをもとに作りました。具材はシンプルな方がせりのおいしさをより味わえますが、上記のレシピにプラスして肉団子を入れるのはオススメです。また、〆は雑炊もいいです

こんにちは!元学生メンバーの刀根です。久しぶりの合宿レポートに胸が高鳴ります!2023年1月初旬、読売新聞読書委員として活躍された皆様の集まりにHONZもちょこんと乗っけていただき、はるばる大分県まで行ってきました。私、年末からとっても楽しみにしていたのです。だって普段読んでいる本の著者たちに会えるのだから! そして、今回の旅がさらに特別なのは、出口治明さん

注目の一冊がついに刊行された。巻末の人名索引まで含めると472ページだが、厚さはまったく気にならない。面白すぎて一気呵成に読み終えた。 本書はもともと1年前に出版される予定だったという。ところが、あまりに機微に触れる部分が多く、安倍氏本人から出版延期の申し入れがあった。その後、銃撃事件で亡くなってしまったため、昭恵夫人の同意のもと出版が決まったと聞く。ならば

スラッジ(SLUDGE)、直訳すると、泥、ぬかるみである。 煩雑な申請、長い待ち時間、何を書けばいいのかよくわからない書類など、摩擦が大きい故に、合理的に行動を阻むものである。ナッジを世間に広げた法学者が本書の著者である。スラッジとナッジは兄弟のような関係なので、まずはナッジの短い歴史をおさらいしよう。 1999年、アムステルダムのスキポール空港は経費削減を

昨今話題に欠かないテーマの本なので、まずは著者2人の紹介から始めよう。グレッグ・ルキアノフはアメリカの教育財団FIREの会長兼CEOで、進歩主義者(リベラル)。ジョナサン・ハイトはニューヨーク大学で社会心理学に精通する教授で、中道派。お互い共和党に票を投じたことはないが、保守派知識人の書物も多く読み学んできた、という。 その2人が問題提起するのは、2013年