
『なぜ豊かな国と貧しい国が生まれたのか』 産業革命と国の「仕事力」
そもそものきっかけは、大学受験を控えて専攻が決まらない息子と書店巡りをしていた著者のアレン教授が、ショーウィンドウ越しにオックスフォード大学出版の「入門」シリーズを見つけたことだった。 本書の原題は「Global Economic History : A Very Short Introduction」だ。最初は『豊かな国と貧しい国』という題名にしたかったが
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そもそものきっかけは、大学受験を控えて専攻が決まらない息子と書店巡りをしていた著者のアレン教授が、ショーウィンドウ越しにオックスフォード大学出版の「入門」シリーズを見つけたことだった。 本書の原題は「Global Economic History : A Very Short Introduction」だ。最初は『豊かな国と貧しい国』という題名にしたかったが

本書の著者は、経営論で大変に有名なハーバードの先生だ。もちろん会ったことはないけれど、私にとっては、偉大な人である。著書『イノベーションのジレンマ』は、何十回、いやたぶん何百回も手に取った。卒業論文の題名にも入れてしまった。私だけではない。先輩は「英語の原著で読んだら、またちょっと趣が違った」と言った。ハリーポッターではない、経営学の本である。どれだけ情熱を
ビジョナリーであるということ 「ドクターV」ことゴヴィンダッパ・ヴェンカタスワミー博士が「アラヴィンド眼科医院」を開いたのは58歳の時だった。 インド南部のマドゥライ大学を定年退職したドクターは、自宅を抵当に入れ、父の代わりに世話をしてきた5人のきょうだいを集めた。彼らも、11床の小さな病院のために貯金をはたいた。それでも足りなくなると、代々受け継いできた宝
言語が違えば、世界も違って見えるわけ 話は、古代ギリシャの叙事詩から始まる。1858年のロンドン、ダーウィンの『種の起源』が発表される4カ月前、後に英国の首相となるウィリアム・グラッドストンが、叙事詩『イリアス』『オデュッセイア』についての研究結果を出版した。『ホメロスおよびホメロスの時代研究』は、全3巻1700ページの大著であったが、その終わりの3巻の最後
コケの自然誌 アメリカには「ネイチャー・ライティング」というノンフィクションのジャンルがあるそうだ。 その特徴は「自然科学系の客観的な観察とは異なり、個人的な思索や哲学的思考を含むということ」にあり、内容には ・博物誌に関する情報(natural history information) ・自然に対する作者のリアクション(personal reaction)

本書によれば、サンタクロースが日本に最初に登場したのは明治7年。裃(かみしも)を身につけ、大小の刀を腰に差し、大森かつらを頭にかぶった「殿様風」の装いだったという。その格好で一体何をしたというのか?善意かどうかはさておき、やっていること自体は忠臣蔵とほぼ同じだ。カマドから出てきてホウ!ホウ!などと言ったら怖いではないか。子供は喜ぶのか。その頃はきっと、サンタ
『ノンフィクションはこれを読め! – HONZが選んだ150冊』の出版記念トークイベント 「HONZ夜会デラックス」 のお知らせです。 11月2日20:00からビール片手に本が読める下北沢の本屋さん「B&B」で開催いたします。第1部の高村和久によるHONZをMBA的に分析するプレゼンテーションでは、HONZの「今まで」と「これから」について、楽しくざっくばら

私が東京で暮らし始めたのは予備校の寮に入った時で、服が詰まった大きなバッグ1つでやってきて、机とベッドが置かれた小さい部屋に入った(本は郵送だ)。あれから何年も、いや何十年も経ったけれど、この前あの建物がなくなったと聞いた時、やっぱりちょっと寂しかったのだ。当たり前だけれど、過ごした場所は思い出の一部になる。自宅はもちろん、学生時代のアパートとか、旅行先で泊

本書を改めて読み返した時、冒頭の「内戦前の高校時代の話」が「夢のような思い出」であったことがよくわかった。1990年にリベリアで内戦が始まった頃、彼女は、入学したばかりの大学生だった。将来は、医者になりたかった。そこから14年に及ぶ戦争が始まる。 本書は、シングルマザーとして内戦を生き延び、非暴力の平和構築活動による貢献によって昨年度のノーベル平和賞が与えら

例えば、「HONZでレビューする本」が予め誰かに決められていたら、 このレビュー のような、本当に書き終わるのかとハラハラする文章が書かれることは、多分無かった。また、例えば、サッカーの審判がレッドカードを出しまくって選手の自由な動きを止めてしまったら、そのゲームは大変つまらないだろう。おもしろい結果を出す組織は、最低限のルールと、ルールに従って自由に考える

「単純ヘルペスⅠ型」 ウイルス。 日本人の8割が既に持っているウイルスと言われており、風邪の時や、夏のレジャーで紫外線を浴びた時など、抵抗力が落ちた時に、唇の隅に小さな発疹ができるのが主な症状である。と、他人事のように書いてみたが、かく言う私も「持っている」一人だ。いやー、かゆいんです、これが。そうなった後には、病院で飲み薬や塗り薬が処方されて、友人から「ペ

『宗教とツーリズム』という題を見て、抜き差しならない何かがありそうな気がしたのだ。喩えて言うなら、ボランティアと偽善、とか、お金と愛、とか、処女より娼婦のほうが心は清純とか、そんな感じで、宗教なの?ツーリズムなの?どっち!という話ではないかと勝手に想像、よっしゃ、いってこい!とひっそりネット購入した。この本ベースにいろいろ無責任な事を考えたら、きっと楽しいに

アフリカで大草原を見たら、どんな気持ちになるのだろう。 視界一杯に広がるサバンナと、悠然と歩く4頭のキリンの親子。当たり前だが、家財道具を持つでもなく、バッグをぶら下げるでもない。それを車の屋根の上から眺める27歳の佐藤さん。そのまま2時間、目が離せなくなった。 本書は、アフリカで「ケニア・ナッツ・カンパニー」を創業し、マカダミアナッツ業界で世界第5位の企業

本書は、2009年から2012年5月までの間に、ブログ『奈良美智の日々』に掲載された記事と、奈良さんがtwitterに投稿したコメントを元に加筆・修正した本だ。表紙になっている奈良さんの絵、ちょっとどこかで見覚えがあるのではないだろうか。 先週末から奈良さんの個展が横浜美術館で開催されている。テーマは、“ 君や 僕に ちょっと似ている ” だ。ビートルズの、

本書によれば、誘拐事件は世界で毎年2万件以上報告されている。発生件数は過去12ヵ月で倍増した。今この時間にも、監禁されている人質が世界中に何百人もいる。そのうち当局に通報があるものは10分の1に満たない。70%は身代金の支払いによって解決する。力ずくで救出される割合は、わずか10%だ。身代金の要求額は5000ドルから1億ドルまで(1ドル80円換算で、40万円

本書は、2001年から2007年にかけて『コンティニュー』誌に掲載された、ゲームクリエイターたちへのインタビュー集だ。全16回、1回のインタビューにつき2万文字を費やし、2段組み432ページで2200円、非常に読み応えがある内容となっている「永久保存版」だ。 ゲームへの熱い想いが語られる本、であり、インタビューする人も、される人も、根っからのゲーム好きだ。ゲ

栗下が言った。 「テクいですよね…」 「読み易ければ、いいんだけどね、」 と、カフェラテ片手に東が言う。 ミッドタウンのオープンカフェは、初夏のいい天気だ。 「六本木にもスズメがいるんだねぇ」 「僕、今日はそろそろ失礼します。帰ったら、ちょっと高村さんにメールしてみますね」 「テク」とはもちろん「テクニック」のことであるが、著者の宮沢さんによれば「テク」と「

こんなふうに言ったほうがいいな。『ご主人は1950年3月に亡くなられました』と。このほうがいくらか侘しくなく響く。春が近づいていて、『雪がほとんどとけていた』とも言えるだろう。 幸運を祈る… 1949年10月29日、4年近くに及ぶ強制労働の後の、3年2カ月に及ぶ脱出行の始まりだ。クレメンス・フォレル(仮名)は第二次大戦中、ソビエト連邦において捕虜となり、シベ

敢えてたとえて言うなら、壁際に追いつめられた状態から、脚だけ横向きにして、さらに顔も同じ方向にしてみる、それが私にとっての古代エジプト(美術)だ。さらに言うなれば、ふと気づいたら狭い通路にいて、上から大きな丸い石が落ちてきて逃げる、というのが私にとっての古代エジプト(映画)である。 そんな妄想・オリエンテッドな私だが、古代エジプト3000年の歴史を紹介してい

本書の執筆を手伝ったスティーブン・ファーは、教え子だったフアンのことをよく思い出す。1993年にティーチ・フォー・アメリカのメンバーとしてメキシコ国境近くに赴任したスティーブンは、「コロニア」に住む移民のフアンの担任になった。賢くて才能がある生徒だったが、進学するにはかなり遅れをとっていた。なにしろ、最も初歩的な読解能力テストに合格するだけで皆が一苦労、とい

本書は、2050年における地球の状態を予測する本だ。現在のデータから将来の状態をシミュレーションする、ということで、ドライブにたとえて言うなら、「前方を見る」とか「地図を調べる」ことに相当するだろう。そして、本書に書かれているのは「ここから先の道は大いに曲がっています」という内容だった。今までまっすぐだったから、これからもまっすぐだ、という話ではない。「具体

1997年1月、成田空港。ここに1人の28歳の男がいる。彼の名前は濃野 平(のうの たいら)。出発前の混み合うロビーで、大勢の行き交う旅行者を眺めている。彼も日本を発つ目的があったが、他人に話せる自信がなかった。誰一人として、まじめに受けとってくれるとは思えなかった。家族や友人たちにさえ、数ヵ月ほどヨーロッパ旅行に行って来ると告げていた。要は、笑われるのが怖

毎度のことだが、原題が気にかかる。本書は " The Watchman's Rattle " , 副題が " Thinking Our Ways Out of Extinction " だ。「夜警の警笛」 「絶滅からの脱出の道筋について」 といったところだろうか。 著者は東京に生まれ、父親がCIAの工作員をしていた関係で、ヴェトナム戦争中はラオスのヴィエンチ

本書は12年前に刊行された本のリニューアル版だが、いろいろな意味でおすすめだ。まず、当然ながら内容が良い。前回出版時には予想外に教科書として採用されたらしいが、実際、入門本として適している。というか私には「入門本として適していることしかわからない」のだけれど、専門用語を使わずに、大変広い範囲をカバーしていると思う。また、フルカラーのCG画像がとても多く、見て

「世界を変えた発明」、と言うからにはそれまで世の中に無かったものを作り出したわけで、考えてみれば、それを発明した人は素人であるより他ない。「初恋ダイエットスリッパ」とか「めちゃかけラウンドハンガー」の話が書かれているのかと思ったけれど(それはそれで大変興味深い)、そうではなかった。本書が取りあげる人は、たとえば「グーテンベルグ」だ。確かに世界を変えた。まちが

「なにかを判断するとき、人はどのように考えがちなのか」ということが書かれている本だ。「HONZのケースにたとえるなら」と考えていったら、私自身が、ともすればこの本に書かれているような考え方をしがちだ、ということがよくわかった。原題は“Everything is Obvious - Once You Know the Answer”、適当に意訳するなら、「それ

「デザイン」と聞くと、 IDEO や フロッグデザイン を思い出す。いつからだろう?「ビジネスではデザインが重要」という話を聞くようになったのは。「デザイン」と聞くと以前は服や文房具やコカコーラのビンをイメージしたが、「ビジネスにおいてデザイン思考が重要です」と言う時の「デザイン」は、ちょっと違う印象になる。本書が扱う「デザイン」も広い意味をもっていそうだ。

NHKスペシャル 『ヒューマン』 が始まった。本書は、このシリーズと連動して発売された書籍だ。番組を担当した4人のプロデューサー・ディレクターが、それぞれの回の内容を書きおろしている。テレビのほうは、先週の日曜に第1回が放映された。本書における第一章の内容にあたるが、見事に互いに補完し合っている。テレビでは、本では表現しきれないインタビューやシミュレーション

美術館の作品にはそれぞれ物語があって、それを個々に全体に表現するというのがキュレーターの本来だろう。その場に行けば作品と空間を共有することはできる、しかし、時間は容易に共有できない。作品の生い立ちを紹介する方法によって、つまり、物語の表現によって、作品の見え方が変わる。私という個人を誰かが紹介するようなものだ。美術に限った話ではない。これからは、背景となる情

中国でお尻を手術。マル。 “ 中国でお尻を手術♪ ” ではない。そこまではんなり楽しい感じではない。 “ 中国でお尻を手術www ” は、一部に受けそうだがビミョーだ。 “ 中国でお尻を手術しましたが、何か? ” でもないだろう。やっぱりマルだ。思うに、マルには情熱が含まれている。今の日本(というか俺)に足りない情熱が。ポリープ切除の時に中国人看護師から挙が

2011年も、あと数日。年末の曲といえば?と訊かれても人それぞれだが、自分はユーミンの“A Happy New Year”が思い浮かぶ、そんな時代の人です。 昨晩お会いしましょう 。「第九」だったら誰しも異論がないだろう。不思議な日本の文化だ。年末恒例の「忠臣蔵」は、赤穂事件の討ち入りが12月14日だったことからテレビに登場するようになったらしい。本書によれ

フランク・キャプラが大陸横断鉄道で両親と共にロサンゼルス駅に到着したのは6歳の時だった。両親は、足下の地にキスをした。フランク少年はひどい旅に疲れ果て、迎えに来た兄に「アメリカなんか大嫌いだ!」と毒づいた。時は1903年、ロスアンゼルスは人口10万人、T型フォード車が登場する5年前であり、ライト兄弟が飛行実験に成功した年であり、エジソンが活動写真を発明した1

だだっぴろい風景を見るとなんだかスーッとするのは、きっと私だけじゃないだろう。空の写真を撮るのが趣味、という人もけっこういる。山登りが趣味とか、夜景が好きとか海が好きとか、そういうものにも同じテイストが含まれているに違いない。空を飛びたいというのは究極だ。この大空に、翼を広げ、飛んでいきたいよ。今では当たりまえに乗っている飛行機だけど、そこに至るまでに多くの

前々回、 『生物のなかの時間』 を紹介したあと、“ このまま終わってしまっていいのか、自分? 「スデモン」とか「カバさん」とか言っておわり、って、それはさすがにイカガナモノなのではないか?” という、そこはかとない秋の風情を感じたのだった。いや、季節のせいではない。もし万が一、私が安穏とした老後をむかえることになり、縁側でお茶なんぞ飲んで秋を迎えるようなこと

「よく壊れないでいてくれた。津波と火事に耐え、みんなの命を守ってくれた」 気仙沼に急行した丹野さんは、泥が流れ込んだ総局ビルの前で涙した。 「何やってんだ、俺。最低…」 ヘリからシャッターを切ることしかできない門田さんは、自分を呪った。 「奥さん落ち着いて。とにかく落ち着いて。」 販売部長の荒さんは、自分も取り乱しそうになるのを抑えて呼びかけた。 「ならこの

いくつになっても心は中2だ。生きてるってどういうこと?時間ってなに?僕はだれ?君はどこ?クマムシってクマ?それとも、ムシ?本書によれば、クマムシは「緩歩動物門に属する、体長1ミリ内外の小動物」だ。ユルく歩く動物モン。HONZメンバーもみんな大好きクマムシ。乾燥にさらされると、変身して呼吸も代謝も止めてしまう。そうなったが最後、真空・高温・低温・高圧・X線も大

本書は、1997年に刊行された本が文庫になったものだ。当時も話題になったらしいけれど、読んでいなかった。 プーラン・デヴィがビーマイ村の虐殺事件を起こしたのは1981年、今となっては30年前の話だ。場所はチャンバル渓谷付近、インドの北東部ウッタル・プラデシュ州にあり、古くから盗賊が拠点にしてきた辺境の農村地帯である。そんな、遠くの場所の、ちょっと昔の話だが、

もし、自分が大学の先生で、目がキラキラした学生に「人のつながりの研究」について語るとしたら、何を教えるだろうか?いや、目はキラキラしていなくてもいい。社会学を勉強する学生で、ミクシィやフェースブック、ツイッターは使っているけど、研究活動はこれからです。さあ、どうやって研究したらいいか、今までの研究の歴史について、これからの研究動向、みんな全部、ざっくり説明し

本書によれば、「民族」という単語は1900年頃日本から中国に輸入された和製漢語らしい。清末民初の政治家の梁啓超が、亡命先の日本から送った文章にこの表現があり、ここから「中華民族」という概念に繋がった。孫文が「民族之統一」と言った当初は、漢・満・蒙・回・蔵の5族を1つにすることを意味したが、その後、全ての少数民族を含めた「中華民族論」となった。この「少数民族」

ヌードルと言えばやっぱりラーメンだ。学生時代、研究室で煮詰まった時には皆でラーメンを食べに行った。時には先輩におごってもらった。自分が先輩になった時には、一緒にゲームをやってあげた。リラックスと言う意味では同じだ。それにしてもラーメンは随分とブランドになった。1000円くらいしても全然驚かない。ちょっとした贅沢っていうやつでしょうか。 著者のナイハードさんは