ノンフィクションはこれを読め!

高村 和久の記事

AUTHOR

100記事

『悲しんでいい―大災害とグリーフケア』 書影

事件・事故 / おすすめ本レビュー

『悲しんでいい―大災害とグリーフケア』

「「ケアをする」というと何か具体的な処置を施すものと思われがちですが、心のケアとは、あれこれ世話を焼くことではありません。必要なのは言葉や行為ではなく、相手の方と時間と空間を共有することです。」 著者の高木さんは、神戸の修道院の修道女さんで、上智大学グリーフケア研究所の代表でもある。ターミナルケア(終末期ケア)・グリーフケア(悲しみのケア)に携わって23年、

NO PHOTO

民俗・風俗 / おすすめ本レビュー

『花火のふしぎ』

花火のふしぎ 花火の玉数は数え方しだい?美しい花火の基準とは? ソフトバンククリエイティブ 2011/7/21 今年も、花火の季節がやって来た。本書は「 ハナビスト 」こと花火写真家の 冴木一馬 さんによる花火解説本である。 冴木さんは、講演会などで必ず「花火は平和の象徴である」と言っているらしい。本書にもその記述がある。2011年現在、国連加盟国は192カ

NO PHOTO

教養・雑学 / 人物

『百年の孤独を歩く』

百年の孤独を歩く --- ガルシア=マルケスとわたしの四半世紀 河出書房新社 2011/4/9 かなりさみしい題名だが、 ヒロシ の新作ではない。孤独じゃないし歩いてもない、伝説の小説の舞台を巡り、コロンビアを疾走するエッセイである。 それでもって本書は、その『百年の孤独』をベースにしたコロンビア紀行の本だ。ものすごくテイストが違うけれど、敢えて喩えれば「伊

NO PHOTO

サイエンス / おすすめ本レビュー

『パラダイムでたどる科学の歴史』

パラダイムとは、「一定の期間、科学上の問い方と答え方のお手本を与えるような古典的な業績」という意味だ。例えば「天動説」や「ニュートン力学」などが該当する。満月はいつですか?という問いに、天動説に基づいた計算で答えていた時代があったのだ。通常の研究活動はその時のパラダイムをベースに行われるが、ある時、どうしても解けない問題が発生する。そうすると、そのパラダイム

NO PHOTO

人物 / おすすめ本レビュー

『ミドリさんとカラクリ屋敷』

映画になりそうな本だ。 私だったら、オープニングは、ミドリさんが病院に入ってきて「女の水戸黄門だ」と言われているシーンにする。その後、時代を遡り、女子高生が自転車でカラクリ屋敷の前を通る場面に切りかえる。 高校生の頃、作者の鈴木さんは、電信柱が屋根から突き出している不思議な家を見つけた。そして大学進学と引越しが決まった時、思いきってその家を訪問した。出てきた

NO PHOTO

事件・事故 / おすすめ本レビュー

『現地発 エジプト革命』

ムバラク大統領が辞任した日は、日本もツイッターが騒がしかった。最初の一報は、New York Timesの記者のつぶやきで知った。もちろんアルジャジーラは数日前からお祭り騒ぎだ。タハリール広場は群衆で埋め尽くされていた。ネット生中継を見ながら、よくわからないけどすごいことになった、と思った。「まるでワールドカップで優勝したかのようだった」と書かれているが、画

NO PHOTO

民俗・風俗 / おすすめ本レビュー

『ご先祖様はどちら様』

自称・根無し草の私が思いますに、高橋さんはプロフェッショナル・根無し草の薫りがします。 おそるべきフットワークの軽さ。ご先祖様の話だけじゃなかったのか。まずは手始めに古墳について調べ、「自宅が古墳の上だった!」と感動する。ここで言う高橋さんの“ご先祖様”って縄文人だ。雰囲気が縄文人ぽいと言われたからだ。随分遡った。そうかと思えば、奥さんに「女の人って、前世と

NO PHOTO

人物 / 世界史

『ハウス・オブ・ヤマナカ』

歴史はあまり詳しくない。高校の頃、授業中は寝ているか、図書室でアルバムを見ていた。おばちゃんがいつもピーナッツをくれた。もしくは部室でトランプなどをしていた。冬になり“近現代”まで来た頃には仲間も増えた。先生には当然見つかった。確か 『To-y』 を読んでいた時だったか、体育の先生が巡回にきて、気付かずにいた私から本をとり上げ、数ページ読み、「接吻ですか」と

NO PHOTO

教養・雑学 / おすすめ本レビュー

『ハーフ・ザ・スカイ』

希望には二種類あると思う。 こんなことを言い始めるのはもちろん 『まどかマギカ』 を見たからだが、友人に子供が産まれた時にも同じことを考えた。「とにかく、なんでもいいから普通に元気に育ってください」 自分がなりたいと願う「希望」と、周りの人が誰か(何か)の将来について願う「希望」があるなあと思う。後者は、利他的であれば「祈り」に近い。 本書は人身売買、暴力、

NO PHOTO

サイエンス / おすすめ本レビュー

『かぜの科学』

きれいな装丁の本書。現題は「AH-CHOO!」だ。読み方がわからない。洒落気のある著者なのは間違いない。章のタイトルも 「風邪(コールド)の赤裸々(コールド)な真実」 ・ 「ひかぬが勝ち」 という勢いだ。 「ひかぬが勝ち」 は 「don't catch me if you can」 の訳。うまい。 中身は風邪に関する情報が満載で、とりあえず、自分が風邪につい

NO PHOTO

民俗・風俗 / おすすめ本レビュー

『日曜日のアイデア帖』

本書は、季節のイベントを豊富なイラストとカラフルなページで紹介する、とてもカジュアルな本だ。季節のイベントの話や、由来が書かれていておもしろい。 例えばエイプリルフールは、「起源は、聖書説、十六世紀のフランスの新暦制定時のトラブル説、インドの仏教修行説などいろいろある。日本では、江戸時代から不条理の日と言われ、日頃の不義理を詫びる日とされていた」ということだ

NO PHOTO

事件・事故 / 世界史

『エンデュアランス号漂流』

3月25日、今日は本来であれば2年間通った早稲田ビジネススクールの卒業式であった。 式は震災を考慮して中止となったが、卒業という一区切りを記念して、 恩師の内田教授がおすすめの本 をベースに書こうと思う。絶版という噂もあるが、そんなの誰も気にしないだろう。 本書は、南極横断に挑戦した英国人探検家シャクルトンと28人の隊員の、1914年から17ヶ月以上にわたる

NO PHOTO

教養・雑学 / おすすめ本レビュー

『上手な愛し方』

たまには気軽にこんな感じの本も。 日本ぽい名前のテンプラーさんという著者は、実はイギリス人で、「Rules」というシリーズを出している出版社の人らしい。この本もその一冊だ。以前に書かれた『人生のルール』は、27カ国24カ国語で訳されたベストセラーみたいだ。 まあでも、そんなことはどうでもよい。本書には瞠目すべきポイントがある。テンプラーさんが男性なのだ。 見

NO PHOTO

サイエンス / おすすめ本レビュー

『閃け!棋士に挑むコンピュータ』

人生で最初に将棋が流行ったのは小学校時代だった。その頃には生存本能をフルに発揮できるようになっており、自分が将棋できっと負けるであろう事が事前に察知できた。そこで「4八金」と「4九金」を交互に打つ「金上げ下げ」という新技を編み出したりしたが、そのような無駄の美は理解されず、私の将棋人生は現在に至るまで不遇なのである。最近の人はパソコンが相手してくれるからいい

NO PHOTO

サイエンス / おすすめ本レビュー

『天才が語る』

本書、原題は「Embracing the Wide Sky」という。こちらのほうがしっくりくる。 天才が語るなどと言うような作者ではない。脳に青空が入るように書かれた本である。 できたら、前作 『ぼくには数字が風景に見える』 から読んだら良いのではないかと思う。こちらの原題は「Born on a Blue Day」だ。 ダニエル・タメットはサヴァン症候群・ア

NO PHOTO

教養・雑学 / おすすめ本レビュー

『デカルトの骨』

ラッセル・ショート(著) 松田和也(訳) デカルトが生まれたのは1596年、関ヶ原の戦いの4年前、江姫23歳の時だ。 ヨーロッパは宗教改革、日本ではルイス・フロイスが布教している。自分の理性を重んじよう、と言ったのはそのような時期であった。本人は敬虔なカトリックであったが、世間では異端扱いである。本は禁書目録入りした。 なにしろ、世の中では本気で魔女や悪魔の

NO PHOTO

教養・雑学 / おすすめ本レビュー

『切りとれ、あの祈る手を』

シュノーケリングするように読む人もいれば、深海ダイバーのように読む人もいる。私はシュノーケラーだが、著者は、断然後者である。読むという事は命を懸ける事だ。 思想系の本で感動するとは思わなかった。最後の10ページくらいまでは普通だった。なので、今更ながら、本書である。本書はきっと、市井に暮らす人も勇気づける。 以前、仕事が異様に暇だった頃、図書館で小林秀雄全集

NO PHOTO

教養・雑学 / おすすめ本レビュー

『飽きる力』

河本 英夫 全国一千万の飽きっぽい皆様、こんにちは。高村です。 書評も二回目ともなると疲れてきますね。フー。 私の飽きっぽさは折り紙つきだ。どれくらい飽きっぽいかを説明するのは、めんどくさいからやめておく。 会社の先輩は、あっちこっちフラフラしやがって、と言った。実に言い得て妙である。 母親に至っては「この子はくせ者なのよ」と言った。誰の教育の賜物だ。最近は

NO PHOTO

教養・雑学 / 世界史

『警察の誕生』

菊池 良生 警察が、司法と分離している必然性はない。 過去には捕まえた時点でその人を裁く事が出来た時代もあった。恐ろしい話だ。 中世ゲルマンは最も恐ろしい。正々堂々と闘いを挑んで殺した分には「障害致死罪」であった。 自分を守るのは自分、極めてシンプルである。警察は、体制の転覆を防ぐ公安でしかなかった。 そこから見たら、むしろ現代の警察が奇跡である。警察はなぜ

NO PHOTO

人物 / 世界史

『マニ教』

青木 健 昨年、 日本で「宇宙図」が発見されて ニュースとなったマニ教。 3世紀に中東パルティアで創始され、一時はアジアからヨーロッパまで勢力を広げ世界的な宗教となったマニ教であるが、徐々に勢力を失い、1600年頃には歴史から消滅した。現存する文献が少ないというハンディをものともせず、本書はそのような幻の宗教を多方面から色彩豊かに描写している。 妊娠中に「女