ノンフィクションはこれを読め!

久保 洋介

1985年、大阪生まれ。幼少時代を大阪・長崎・ニューヨークで過ごす。京都大学法学部在学時には、日本文化を紹介するイベントを企画し、「京都大学総長賞」「京都学生人間力大賞」を受賞。現在は総合商社にてエネルギー担当。好きなジャンルは、評伝、世界史、サイエンス。

(2024年当時)

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128記事

『半導体戦争 世界最重要テクノロジーをめぐる国家間の攻防』 書影

世界史 / ビジネス

『半導体戦争 世界最重要テクノロジーをめぐる国家間の攻防』

本書は、軍事・経済・生活に欠かせない戦略物資、半導体をめぐる国家や企業の攻防をいきいきと描いたノンフィクションだ。半導体業界の興亡を、個人や企業のミクロなエピソードで紡ぎ、マクロな経済史・産業史へと昇華させる。『石油の世紀』でピューリッツァー賞を受賞したダニエル・ヤーギンをして、「21世紀を理解する上で読むべき一冊」と言わしめた。 著者であるクリス・ミラーは

『武器としてのエネルギー地政学』エネルギーの超基本を徹底解説 書影

社会 / 世界史

『武器としてのエネルギー地政学』エネルギーの超基本を徹底解説

日本でエネルギーがここまで話題になるのは2011年の東日本大震災以来だろうか。ロシアによるウクライナ侵攻に端を発した天然ガス価格高騰、エネルギー価格を中心とするインフレ懸念、カーボンニュートラル取組と、ほぼ毎日のようにエネルギー関連情報がニュースの見出しを飾る日々が続いている。 そうはいっても「そもそもエネルギー問題ってなんぞや」「みな、何を騒いでいるのか」

『THE WORLD FOR SALE 世界を動かすコモディティー・ビジネスの興亡』国際政治経済を動かす商社 書影

世界史 / ビジネス

『THE WORLD FOR SALE 世界を動かすコモディティー・ビジネスの興亡』国際政治経済を動かす商社

2021年に原著が発行されて以降、フィナンシャルタイムズ紙や英エコノミスト誌のブックオブザイヤーなど、数々の経済書賞を総ナメにしてきた一冊が翻訳され、遂に日本語でも読めるようなった。 私たちの生活を支えるエネルギーの物流面でなにが起きているのか。メディアではなかなか取り上げられず、業界人ですら知らないことの多いエネルギー物流マーケットの深層が本書では語られる

『プーチンと習近平 独裁者のサイバー戦争』サイバー空間での米中ロ覇権争い 書影

社会 / 世界史

『プーチンと習近平 独裁者のサイバー戦争』サイバー空間での米中ロ覇権争い

生々しいロシア-ウクライナの攻防が日々ニュース映像を通して伝わってくる。ただ、今回の戦争はそれが全てではない。目に見えない攻防が今まで以上に激しさを増している。 今回の戦争が一線を画すのは、両陣営ともにサイバー空間を多用し、「ハイブリッド戦」というサイバー攻撃と武力攻撃を組み合わせた戦いを繰り広げていることである。ハッキングなどのサイバー攻撃だけでなく、スパ

エネルギー問題から読み解く『新しい世界の資源地図』 書影

世界史 / ビジネス

エネルギー問題から読み解く『新しい世界の資源地図』

2022年2月、ロシアによるウクライナ侵攻を目の当たりにし、世界に激震が走った。そしてその傍ら、エネルギー市場も世界的なショックの渦中にある。 戦時においての戦略物資、石油・天然ガスの重要性に私たちは改めて直面している。第二次世界大戦から80年がたつが、エネルギーを巡る地政学のダイナミズムという本質は、21世紀も変わっていない。 そんな絶妙なタイミングで「ピ

エネルギー問題の道標『エネルギーをめぐる旅』 書影

教養・雑学 / 世界史

エネルギー問題の道標『エネルギーをめぐる旅』

帯には赤字で「驚嘆必至の教養書」「エネルギーがわかると世界がわかる」、これは面白そうだ。しかもAmazon Audibleで聴けるとあって、移動中や家でくつろいでいる時に読みすすめられるのもうれしい。 著者はJX石油開発でオイル事業に長年携わってきた古館恒介さん。帯文にもあるとおり、エネルギーを軸にこれからの世界を理解するための必読の書だ。 正直、日本人でエ

英国コメディアンによる『税金の世界史』 書影

社会 / 世界史

英国コメディアンによる『税金の世界史』

金融所得課税や経済政策の財源論など、2021年10月の衆議院選挙でもなにかと話題になった税制度。日常生活にも、国家運営にもかかわる、大事な論点である。一方で、ひと口に税金といっても、制度は複雑怪奇で分かりづらく、とっつきにくい。税金と聞いただけでアレルギー反応を示してしまう人もおおいだろう。 ムズかしい問題に分かりやすい切り口をあたえてくれるのは、『歴史』だ

地球温暖化問題を考えるヒント『地球の未来のため僕が決断したこと』 書影

サイエンス / 生物・自然

地球温暖化問題を考えるヒント『地球の未来のため僕が決断したこと』

気候変動メカニズムやその対応策についての議論は、抽象論から枝葉末節まで玉石混淆に陥りがちだ。「脱炭素」「EVの普及」「エコバック」など、毎日のようにメディアでキーワードが飛びかっているが、結局なにから手をつけるべきなのか分かりづらい。地球温暖化問題に対して、どのような視点からアプローチしていけばいいのか分からないと悩む人は少なくないはずだ。 今回、この問題を

『日本美術の冒険者』世界屈指の日本美術コレクションをつくった鉄道王 書影

アート・スポーツ / 日本史

『日本美術の冒険者』世界屈指の日本美術コレクションをつくった鉄道王

チャールズ・ラング・フリーア。知る人ぞ知る世界有数の日本美術コレクターだ。大富豪ロックフェラーとならぶ美術蒐集家で、世界有数の東アジア美術を収蔵する美術館が彼の名を冠して建てられている。 なかでも日本美術への思い入れが強く、数多くの日本美術をあつめている。コレクションは遺言にもとづき米国連邦政府に寄贈され、今ではワシントンDCのフリーア美術館としてアジア文化

国際政治経済を動かすコモディティ商社『The World For Sale』 書影

世界史 / ビジネス

国際政治経済を動かすコモディティ商社『The World For Sale』

日本語翻訳版が待ち遠しい一冊だ。 ESG意識の高まりから、CO2を排出する従来型エネルギーへの風当たりはつよく、石油や石炭といったエネルギー資源は苦境にたたされている。そんな悪環境下でも最高益をたたき出しているエネルギー関連企業群がいる。今はやりの再エネ企業ではない。コモディティ商社という業種だ。 ウォールマートやアマゾンが消費材を人びとに届けると同じように

贋金つくる『薩摩という「ならず者」がいた』 書影

日本史 / おすすめ本レビュー

贋金つくる『薩摩という「ならず者」がいた』

明治維新とはこんなヤンチャだったのか! 本書は従来型の明治維新史観をくつがえしてくれる。明治維新というと、日本が独自に近代化をはたした成功体験として語られるのが一般的だ。志や行動力で時代を切り開いていく若者たち、との司馬遼太郎史観ストーリーで描かれることが多い。著者はこれを「日本人を元気にする歴史観」といい、高度成長期の日本人に響いた歴史観だったと評する。

『サイバー戦争の今』見えない戦争は既に始まっている 書影

社会 / 事件・事故

『サイバー戦争の今』見えない戦争は既に始まっている

東京オリンピックが狙われている。サイバー攻撃に。 1-2年前から密かにサイバー攻撃の準備がされており、分かっているだけでも日本人4万台ほどの個人パソコンがのっとられている。主導しているのはアジア大国の政府系ハッカーというのがもっぱらの分析だ。具体的に何を仕掛ける予定かはまだ分からないが、経済的な損失よりも東京オリンピックの評判を貶めることを目的にしている可能

『Learn or Die 死ぬ気で学べ』最先端AI企業の挑戦 書影

サイエンス / ビジネス

『Learn or Die 死ぬ気で学べ』最先端AI企業の挑戦

第三次AIブームにのって有象無象のスタートアップベンチャーが立ち上げられた。一次は玉石混合の状態だった中、ここ数年で真に社会課題を解決しそうなベンチャーが生き残るようになってきている。その中でもユニコーン(企業価値10億ドル以上の非上場企業)まで評価されるようになったのがPreferredNetworksという会社だ。 同社は、2020年初時点では日本最高の

第三次産業革命の根幹資源『レアメタルの地政学』 書影

社会 / ビジネス

第三次産業革命の根幹資源『レアメタルの地政学』

人類は化石燃料に支えられた世界からの脱却を試みている。石炭や石油といった過去2度の産業革命を支えた燃料から、再生可能エネルギーへと舵を切っているのだ。ただ、この流れには落とし穴があるとフランスの新進気鋭ジャーナリストが警鐘を鳴らす。 地産地消型の再生可能エネルギーの普及は、化石燃料由来の温室効果ガスの抑制と中東など一部地域に偏重する資源から脱却できると信じら

世界の石油市場を動かす『ロスネフチ-プーチンの巨大石油会社-』 書影

社会 / ビジネス

世界の石油市場を動かす『ロスネフチ-プーチンの巨大石油会社-』

2020年3月、原油価格は暴落した。年初、原油の代表指標であるBrentは60~70$/bblで推移していたが、3月6日以降に急降下。一時、20$/bblを割り、その価値は60%以上下がった。別の代表指標であるWTI原油は、特殊要因あったとはいえ、史上初のマイナス価格まで値下がったことも大きなニュースとなった。エネルギーアナリスト岩瀬昇の言葉を借りれば『海図

『クリーンミート』パンデミック防止の救世主!? 書影

サイエンス / ビジネス

『クリーンミート』パンデミック防止の救世主!?

生きている動物ではなく、生物の細胞を使って食肉を生産する研究が進んでいます。この食肉生産方法は「培養肉」と呼ばれる新技術で、10年後までには店舗で販売される見込みです。培養肉はまぎれもない動物の肉ですから、既存の植物由来のフェイクミートと混同しないようにしてください。昔ながらの肉と同じ味の培養肉の安全性が長期にわたる調査で確認され、手ごろな価格で販売されたと

『LNG』巨大ビジネスの誕生秘話 書影

世界史 / ビジネス

『LNG』巨大ビジネスの誕生秘話

50年前の1969年11月、日本は初の液化天然ガス(LNG)の輸入を成功させた。日本初の輸入LNGは米国アラスカから出荷され、太平洋を渡って日本へやってきた。購入したのは東京ガス・東京電力の連合で、三菱商事が交渉を取りまとめた歴史的快挙だ。 1969年時点では未知のエネルギー源であり、価格競争力もなかったLNGであるが、50年経った今では日本の一次エネルギー

無名科学者の挑戦から読み解く『エネルギー400年史』 書影

サイエンス / 世界史

無名科学者の挑戦から読み解く『エネルギー400年史』

『原子爆弾の誕生』でピュリッツァー賞を受賞したリチャード・ローズの最新作だ。薪が主要エネルギー源だった16世紀後半から、気候変動対策を気に留めながらエネルギーのベストミックスを追及する現在まで、という400年超にわたる人類のエネルギー変遷史を描く。 有名無名の人物の物語を大きなテーマへと昇華させていく著者の手法は本書でも健在で、今回も科学者や技術者など個々人

思わず二度見してしまう『おならのサイエンス』 書影

サイエンス / 教養・雑学

思わず二度見してしまう『おならのサイエンス』

誰もが少しは恥ずかしい経験あるであろう「おなら」。力を入れた時、油断した時、大事な時、突然とやってくる私たちの生理現象だ。まだ音が出るだけなら笑ってごまかせるが、クサい場合は本当に恥ずかしく、目も当てられない。 生理現象にもかかわらず、恥ずかしいものとしてある意味避けられている「おなら」。これまで、「おなら本」があったとしても、どちらかというと健康よりの本で

植物プランクトンが地球温暖化を解決する!?『海と陸をつなぐ進化論』 書影

サイエンス / 生物・自然

植物プランクトンが地球温暖化を解決する!?『海と陸をつなぐ進化論』

地球温暖化の原因とされる二酸化炭素(CO2)の増加。従来はその排出を抑えることに注目が集まっていたが、最近では排出削減だけでなくCO2の吸収も注目されつつある。CO2の吸収といえば、森林などの陸上植物を想像しがちだが、実は陸上植物と同じくらいCO2を吸収し、大気中にもどしてくれている場所がある。海だ。 森林など陸上で吸収されるCO2は年間22億トンに対し、海

楽しくてためになる『胎児のはなし』 書影

サイエンス / 医学・心理学

楽しくてためになる『胎児のはなし』

胎児の神秘。人類誕生過程の最先端であり、生物学的にも面白いトピックであるにも関わらず、いまだ多くがベールに包まれています。女性の体の中で受精卵がどのように胎児に発育していくのか、羊水はどのような役割を果たしているのか、多くの謎が残されたままです。 そんな胎児を知る上で、我々人類が編み出したのが、「子宮の中を見る」ことと「遺伝子を分析する」という手段でした。た

アメリカ特殊部隊の戦い方を変えた『ドローン情報戦』 書影

事件・事故 / 世界史

アメリカ特殊部隊の戦い方を変えた『ドローン情報戦』

アメリカ陸軍には「デルタフォース」という対テロ特殊部隊が存在する。アメリカのIS掃討作戦の最前線で戦っているのもこの部隊であり、陸軍の最強特殊部隊だ。 秘匿性が高く、その実態はベールにつつまれていたが、同部隊に所属していた元情報分析官による本書によって、その最先端の戦い方が明るみになった。無人航空機、通称ドローンが同部隊の情報収集及び攻撃に多大な貢献をしてい

『海の歴史』未来は宇宙よりも海 書影

サイエンス / 生物・自然

『海の歴史』未来は宇宙よりも海

海から眺める人類史を一冊にした本で、海好きにはたまらない内容だ。海については、生活・科学・文化・物流・軍事などの様々な視点から数多くの書籍が出版されているが、これまで海の歴史を網羅的かつ包括的にまとめた書物はほとんどなかった。今回その壮大な歴史をまとめあげたのが、知の巨人ジャック・アタリ。壮大な世界観の歴史書を書かせれば彼ほどの適任者はいない。 本書は、13

地球儀外交のための『超エネルギー地政学』 書影

ビジネス / おすすめ本レビュー

地球儀外交のための『超エネルギー地政学』

原油価格が上昇傾向だ。2014年後半に大暴落して以来4年ぶりに高値圏に戻りつつあり、注目を集めている。価格上昇の主要因としてよく話題にあがるのは、トランプ米大統領の発言やイラン制裁など政治的要因だ。現代の国際情勢では、エネルギーを題材に駆け引きが繰り広げられており、政治とエネルギーが密接に絡み合っていることを物語っている。 この一般的には馴染みの薄い政治とエ

『中国の「一帯一路」構想の真相』を知る上で不可欠なガイド本 書影

社会 / 世界史

『中国の「一帯一路」構想の真相』を知る上で不可欠なガイド本

本書は今日の中国の外交・経済財政政策を理解する上で必読の一冊だ。今後、歴史に残るであろう中国の壮大な構想と、その背後にある哲学を理解することができ、また、この構想がアジア域内にもたらす波紋をあたかも現場にいるかのように感じることができる。中国の壮大なビジョンを理解する上で不可欠なガイド本といえよう。 この中国の壮大な構想こそが『一帯一路』または『新シルクロー

生物から生まれるイノベーション『生物模倣』 書影

生物・自然 / おすすめ本レビュー

生物から生まれるイノベーション『生物模倣』

このように、近年、生物に着想を得たテクノロジーが増えてきている。「生物模倣」(ビオミミクリーやバイオロジカリー・インスパイアード)と呼ばれる、現在注目集める新たな分野だ。 イカの皮膚機能に似た軍事迷彩服の開発、ナマコの硬軟接続を真似したインプラント開発、トカゲ型ロボットなど、奇抜なテクノロジーが本書では数多く紹介されている。 私たち人類は自分たちがついつい動

日本の原子力政策のドラマが詰まった『電力と政治』 書影

社会 / 事件・事故

日本の原子力政策のドラマが詰まった『電力と政治』

再生可能エネルギーの躍進で世界中の電力構造は大きく変わろうとしている。太陽光をはじめとする再生可能エネルギー分野で技術革新がすすみ発電コストが大きく下がったことにより、供給量が大きく伸びてきた。 2000年代にも同じように電力構造の変化が起きており、その頃の主役は原子力だった。CO 2 を輩出しない電源として地球温暖化対策の救世主としてももてはやされ、原子力

『北極がなくなる日』極地研究者の奮闘記 書影

サイエンス / 生物・自然

『北極がなくなる日』極地研究者の奮闘記

この冬、最強寒波が世界各地を襲っている。日本の北海道・東北・北陸地方では記録的な豪雪となっているし、世界各地でも年初よりアメリカ北東部やロシアの東シベリアは猛烈な寒波におそわれている。ついには北アフリカのサハラ砂漠にて異例の積雪が観測されたという。いったい全体、何がおこっているのか。 どうやら北極の温暖化がその原因のようである。北極の海氷が溶けたことが中緯度

核兵器よりもたちが悪い『人類史上最強 ナノ兵器』 書影

サイエンス / おすすめ本レビュー

核兵器よりもたちが悪い『人類史上最強 ナノ兵器』

昆虫サイズの超小型ロボ兵器ナノボットによる毒殺攻撃。まるでSFのような話だが、超小型ナノ兵器の開発状況をつぶさに調べていくと各国がこのナノボットの開発に注力していることがうかがれる。2014年時点で 米軍は 重量1gにも満たない「ハエ型ドローン」の製作に成功している。しかも、これを偵察用に使うだけでなく、攻撃を加えられる兵器にするよう開発中という。SFのよう

現代版「生類憐みの令」『おクジラさま』 書影

生物・自然 / 教養・雑学

現代版「生類憐みの令」『おクジラさま』

(HONZ 東えりかとのクロスレビュー:東えりかの書評は こちら ) イルカとクジラの問題について日本人としてのアカウンタビリティ(説明責任)を問う一冊だ。 捕鯨問題に対して自分なりの意見を表明できるようにすることは、日本人のアカウンタビリティと著者はいう。捕鯨への反感は日本人が想像もつかないほど広く根深く世界に浸透しているからだ。 たしかに筆者も海外で経験

一級の事故事例集『大惨事と情報隠蔽』 書影

事件・事故 / ビジネス

一級の事故事例集『大惨事と情報隠蔽』

情報隠蔽。誰もが、「情報隠蔽=悪」であり、起きてはならないと認識している。情報隠蔽が悪いのは、なにも不正につながるからだけでない。必要な情報が共有されずに恐るべき大参事を招いてしまうからである。 本書は多くの歴史的大惨事を引き起こした主な原因が情報隠蔽でだったという新しい視点を提示する一冊だ。原発事故、大規模リコール問題、金融危機に至るまで情報隠蔽が問題を深

『金融に未来はあるか』金融危機の必読書 書影

社会 / 世界史

『金融に未来はあるか』金融危機の必読書

今年これまでで、もっとも面白かった本である。書評を書くと決めた本を読むときには、引用したいページに付箋を張りつけるのだが、今回は付箋を張りすぎて、読み終わった後にさらに厳選して別の付箋を張りつけるはめになったほどだ。今年の金融読み物ナンバーワンだろう。 リーマン・ブラザーズ破綻に端を発した世界金融危機。これまで幾多もの書籍が出版されているが、そんな中でも必読

『20 under 20』シリコンバレーの奇才たち 書影

社会 / ビジネス

『20 under 20』シリコンバレーの奇才たち

シリコンバレーの起業プログラムに参加する若者たちを描いたノンフィクション。冒頭の「主な登場人物」を見るだけで本書の面白さをすぐに理解できる。荒唐無稽な人物たちのオンパレードだ。 2011年から2016年までの6年間、とある物議を醸した若者向け起業プログラムを密着取材したのが本書。プログラム名は「20 under 20」。20組の20歳以下の学生がシリコンバレ

『ゼロデイ』国家主導型サイバー攻撃の実態 書影

社会 / おすすめ本レビュー

『ゼロデイ』国家主導型サイバー攻撃の実態

2016年のアメリカ大統領選挙でトランプ氏を援護射撃するようなサイバー攻撃を ロシアが しかけていたことには驚いたが、その後、アメリカが分かりやすくサイバー空間で反撃していたのにも驚いた。ロシア政府高官のメールが暴露されたり、ロシアの銀行が大規模なサイバー攻撃を受けたりと、次々とロシアがサイバー攻撃を受けている。しかも、 バイデン前副大統領がロシアへの反撃を

トランプ政権の理論的支柱となる一冊『米中もし戦わば』 書影

社会 / おすすめ本レビュー

トランプ政権の理論的支柱となる一冊『米中もし戦わば』

2017年2月10日、日米首脳会談が実現し、両首脳は日米の友好関係を大々的にアピールした。米国のドナルド・トランプ新大統領にとって、日本との友好関係を内外に示すことはどのような狙いがあるのか。日米同盟強化によって何に対峙しようとしているのか。大手メディアではあまり語られない米国の真意が本書に書かれている。 トランプ新政権の中枢に入る経済学者 ピーター・ナヴァ

『最高機密エージェント』10億ドルのスパイと呼ばれた男 書影

人物 / 世界史

『最高機密エージェント』10億ドルのスパイと呼ばれた男

時は1980年代前半、ソ連の最高機密文書をアメリカに提供しつづけた男がいた。「10億ドルの(価値ある)スパイ」とアメリカ政府の中枢から呼ばれていた人物だ。 この大物スパイの活躍は長年機密扱いとされ、これまで表舞台で語られることはなかった。最近のCIA(アメリカ中央情報局)機密解除をうけ、本書でその全貌がはじめて明かされている。ワシントン・ポストの敏腕記者が、

『喰い尽くされるアフリカ』天然資源に群がる謎の企業たち 書影

社会 / 世界史

『喰い尽くされるアフリカ』天然資源に群がる謎の企業たち

2000年10月、中国政府は中国-アフリカ協力フォーラム第一回会議を北京で開催し、江沢民国家主席(当時)が中国のアフリカへの「対外進出」政策の推進を高々と宣言した。天然資源を軸とした中国とアフリカ諸国の蜜月関係のはじまりである。 以降、2000年代初頭から今日に至るまで、欧米企業が主導していたアフリカでの資源開発に中国企業が次々と参入することとなる。 後世の

エネルギー界の池上彰が『原油暴落の謎を解く』 書影

社会 / ビジネス

エネルギー界の池上彰が『原油暴落の謎を解く』

ガソリン、ジェット燃料、ペットボトル、プラスチック、アスファルト、化粧品、チューインガム、レジ袋。一見、何の関わりも無さそうだが、これら全て石油を原料としている。様々な場面で活用され、私たちの生活の基盤となっている原料はどのように価格づけされているのか。 2014年後半から下落し始めた原油価格。高値で推移していた頃の1/3以下までに一時価格は下落した。今回の

『恐竜はホタルを見たか』光る生物の進化の歴史 書影

サイエンス / 生物・自然

『恐竜はホタルを見たか』光る生物の進化の歴史

サイエンスの面白さが存分に味わえる一冊だ。 タイトルに惹かれてつい手にとった一冊だったが、ホタルを題材にここまで科学の不思議さと面白さを紹介できるポピュラーサイエンス本の作者がいるとは想像だにしなかった。流麗で平易なことばで科学の謎を解き明かす著者の文章力は、『ワンダフル・ライフ』の著者でポピュラーサイエンスの巨匠スティーブン・グールドを彷彿とさせる。 白亜

新入社員に贈りたい一冊『無敵の仕事術』 書影

人物 / ビジネス

新入社員に贈りたい一冊『無敵の仕事術』

「少なからず世の中にインパクトを与えたい」「真のエリートやリーダーになりたい」そう熱い思いをもってビジネスの門を叩く若者は多い。ただ、 思い描いていたような仕事をするためには どのボタンを押せばいいのかは 分かりづらく、苦労しがちである。 大きな組織に入ればなおさらだ。国や企業はまるで走行する巨大機関車のようで、歯車にはなれども自分で思いどおりに動かすことは