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出口 治明の記事

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『徳の政治 (小説フランス革命 11)』 by 出口 治明 書影

世界史 / HONZ客員レビュー

『徳の政治 (小説フランス革命 11)』 by 出口 治明

私たちは、日常、何気なく、右派や左派といった言葉を使っているが、これらの言葉が、実は、フランス革命に淵源をもっていることを知る人は少ない。フランス革命当初の憲法制定国民議会で、旧体制(アンシャン・レジーム、ブルボン王朝)の維持を支持する勢力が、議長席から見て右側の席を占めたという事実に由来するのである。フランス革命は、「自由、平等、友愛」のスローガンで知られ

『なぜ人間は泳ぐのか?――水泳をめぐる歴史、現在、未来』 by 出口 治明 書影

アート・スポーツ / HONZ客員レビュー

『なぜ人間は泳ぐのか?――水泳をめぐる歴史、現在、未来』 by 出口 治明

気軽に読めるとても楽しい本だ。何事であれ、劈頭の出会いがすべてだ、と言う人がいるが、最初のページに、僕の大好きな絵(泳者の墓。パエストゥム)が置かれていたので、これはもう読むしかありません。 この本は、2008年の北京オリンピックで正式競技に採用されたオープンウォーター・スイミング(OWS)をテーマとしている。69歳のアメリカの女性ジャーナリスト、リン・シェ

『旅立つ理由』  by 出口 治明 書影

小説 / HONZ客員レビュー

『旅立つ理由』 by 出口 治明

僕は、本を読むときは、一言一句文章を丁寧になぞって、ほぼ完全に消化してしまうまで読み込むタイプなので、滅多に同じ本を2度読むことはない。本書は、ANAグループ機内誌「翼の王国」に連載された小品をまとめたもので、いくつかは間違いなく読んでいるはずだが、再読することに全く躊躇いはなかった。それは何故か。著者の文章や門内ユキエさんのイラストレーションが大好きだった

『日本と出会った難民たち――生き抜くチカラ、支えるチカラ』by 出口 治明 書影

社会 / HONZ客員レビュー

『日本と出会った難民たち――生き抜くチカラ、支えるチカラ』by 出口 治明

楽しくて、ワクワクするような本ではない。おもしろくて、ページをめくるのがもどかしくなるような本でもない。それでも、なお、この本は、出来るだけ多くの市民に読んでほしいと思わずにはいられないのだ。 はじめに、次のグラフを見てほしい。 一般に、先進国とみなされているG7の中で、日本の次に難民の受け入れが少ないイタリアが1,803人(G7全体の3%)、これに対して日

『連続講義・デフレと経済政策』by 出口 治明 書影

社会 / HONZ客員レビュー

『連続講義・デフレと経済政策』by 出口 治明

久しぶりに、寝食を忘れて、一晩で読んでしまった。今、まさに知りたかったことに、真正面から答えてくれる本に出会ったからである。 巻頭に福沢諭吉の言葉が引かれている。 著者の問題意識が、この一文に見事に凝縮されている。そう、本書は一世を風靡しているかに見えるアベノミクスの上質で真っ当な経済分析なのだ。 本書は一問一答の形式で書かれており、文章も平易で論理的である

『月:人との豊かなかかわりの歴史』by 出口治明 書影

生物・自然 / HONZ客員レビュー

『月:人との豊かなかかわりの歴史』by 出口治明

物心がついた頃、「将来は何になりたいの?」と訊かれる度に、「ロケット学者」、「フォン・ブラウン博士(この本では、あまり高く評価されてはいないが)のようになって、月や火星に行くんだ」と答えた自分を思い出してしまった。 そういえば、本に親しんだきっかけは、「太陽はとても重そうなのに、何故落ちてこないの?」としつこく尋ねる僕に閉口した両親が、「なぜだろう なぜかし

『戦略読書日記 〈本質を抉りだす思考のセンス〉 』by 出口 治明 書影

教養・雑学 / HONZ客員レビュー

『戦略読書日記 〈本質を抉りだす思考のセンス〉 』by 出口 治明

これは、紛れもなく格闘技である。一読して、そう思った。 22冊の本が取り上げられて、一見、書評という体裁をとってはいるが、立ち現われてくるのは、楠木 建という個性豊かな研究者が、体臭をムンムン発散させて、広いリングを縦横に動き回り、汗だくになりながら、相手(読者を含む)に的確なストレートパンチを浴びせ続けている姿である。まことに小気味が良い。江戸っ子の面目躍

『メディアとしての紙の文化史』by 出口 治明 書影

教養・雑学 / 民俗・風俗

『メディアとしての紙の文化史』by 出口 治明

例えば、ひと昔前の「紙の」稟議書がデジタル化されて、会社からも消えつつある現在、本書は書かれるべくして書かれた書物であると言えよう。デジタル化の波がひたひたと押し寄せつつある中で、紙という媒体が歴史の中で果たしてきた役割を振り返ってみることは、心躍る知的冒険に他ならない。 メディアとしての紙と言えば、我々は反射的に新聞や書物を連想してしまう。しかし、著者は「

『吉田神道の四百年 神と葵の近世史 』by 出口治明 書影

民俗・風俗 / 日本史

『吉田神道の四百年 神と葵の近世史 』by 出口治明

これは、おもしろい。読み始めた瞬間に、そう思った。良書には、いくつかの必要条件があるが、中でも「おもしろいこと」は、とても大切な要件である。第一、おもしろくないものを、誰が好き好んで読むだろうか。 この本は、天児屋命(あめのこやねのみこと。春日権現。天孫降臨時に随伴)を祖先神(自称)とする京都の吉田山に鎮座する、吉田神社の400年の歴史を綴ったものである。し

『聖書考古学 - 遺跡が語る史実』by 出口 治明 書影

世界史 / HONZ客員レビュー

『聖書考古学 - 遺跡が語る史実』by 出口 治明

世界で最も読まれている書物は何か。それは、聖書において、他にはない。中でも、アブラハムの物語、モーゼの出エジプトや十戒、ダヴィデ王やソロモン王の栄華等は、果たしてどこまでが伝説で、どこまでが史実なのか、判然としない向きも多いだろう。 本書は、現地調査に従事する新進気鋭の著者が、こうした疑問に真正面から取り組んだ力作である。「1章:聖書はなぜ書かれたか」では、

『北欧モデル 何が政策イノベーションを生み出すのか』by 出口治明 書影

社会 / HONZ客員レビュー

『北欧モデル 何が政策イノベーションを生み出すのか』by 出口治明

主要欧米先進諸国を「アングロサクソン型」「欧州大陸型(ドイツ、フランス、ベネルクス等)」「南欧型」「北欧型」の4つに分類して、2010年~12年の3年何の平均実質成長率を算定すると、北欧型が唯一2%を超え、最も高くなっている。加えて、財政も健全であり、かつ、出生率も高い。本書は、気鋭の4人の研究者が、その北欧モデルの「秘密」に迫った労作である。 一般に北欧と

『わたしの名は赤』 by 出口治明 書影

小説 / HONZ客員レビュー

『わたしの名は赤』 by 出口治明

2020年のオリンピック招致を巡って、名乗りをあげた東京の最大のライバル都市は、どうやらトルコのイスタンブールであるらしい。何度か訪れたことがあるが、ボスポラス海峡から眺める夕暮れのイスタンブールのシルエットは、間違いなく世界で最も美しい光景の1つであろう。 ところで、トルコと言えばトルコ料理やトルコ絨毯、ハマーム(公衆浴場)などが連想されようが、実は、世紀

『トルコ絨毯が織りなす社会生活―グローバルに流通するモノをめぐる民族誌』by 出口治明 書影

民俗・風俗 / HONZ客員レビュー

『トルコ絨毯が織りなす社会生活―グローバルに流通するモノをめぐる民族誌』by 出口治明

トルコに旅したら、恐らくほとんどの人は、トルコ絨毯を手に帰路につくことになるだろう。そういえば、わが家にも、小ぶりのトルコ絨毯が3枚、鎮座している。 トルコ絨毯はかなり古くから、グローバルに流通してきた。ベッリーニやカルパッチョ、ホルバインの名画にも描かれているのである。本書は、このトルコ絨毯というモノと、トルコの婚姻という慣習を「経(たていと)」と「緯(よ

『日輪の賦 』by 出口治明 書影

小説 / HONZ客員レビュー

『日輪の賦 』by 出口治明

歴史を読んでいると、どのような国家であれ、その国の形・大本を設計したグランド・デザイナーがいたことに気付かされる。中国では始皇帝、ペルシャ・ギリシア(ローマ)はダレイオス1世。そして、日本(倭国ではない)は、紛うことなく、讃良大王(「さららのおおきみ」、後の人は持統天皇と呼ぶ)であり、彼女を助けた藤原不比等であろう。この時代に、日本という国号、天皇(すめらみ

『なつ 樋口一葉 奇跡の日々』 by 出口 治明 書影

小説 / HONZ客員レビュー

『なつ 樋口一葉 奇跡の日々』 by 出口 治明

墨田区向島に生まれた領家高子は、歌舞伎や遊郭等、近世情緒に関心が深い作家であるが、夭折した樋口一葉にも並々ならぬ興味を示しており、これまでにも 「八年後のたけくらべ」 、 「一葉舟」 という佳品をものしている。「なつ」は、樋口一葉の創作がピークに達した奇跡の日々、即ち1894年10月から、逝去する1896年11月までの、疾風怒濤の2年間を、残された一葉の日記

『未来の働き方を考えよう 人生は二回、生きられる』by 出口 治明 書影

ビジネス / HONZ客員レビュー

『未来の働き方を考えよう 人生は二回、生きられる』by 出口 治明

僕は、自分でビジネス書を書いているので、天に唾する行為であるということを、十分自覚した上で、なおかつ、「ビジネス書より古典を」と言い続けている。 それは何故か。2つの理由がある。まず、長期にわたって市場の洗礼を受けてきた古典は、哲学書や歴史書であれ、文学書であれ、その内容が圧倒的に優れているということである。スポーツでもプロに手ほどきを受ければ、上達も早いが

『カールシュタイン城夜話』by 出口治明 書影

小説 / HONZ客員レビュー

『カールシュタイン城夜話』by 出口治明

よくあることではあるが、先日は、この本のせいで、地下鉄を2駅、乗り過ごしてしまった。カバーも雅趣に富むが、中身はもっと雅趣に富む。1371年、時のローマ帝国ルクセンブルグ家のカレル4世が、首都プラハで毒(?)をもられ、郊外のカールシュタイン城で、静養することになった。同行した古くからの臣下3名が、皇帝の無聊を慰めるため、1週間連続して、毎夜3編ずつ、21編の