
『未来を築くデザインの思想』デザインは人を越えるか
コンピューターが人々の生活に浸透されたのをきっかけに、世界中のデザイナー達はその化学反応から起こりうる未来を予測してきた。本書はそこから生み出されたデザインの数々を紹介し纏められたものである。 それは「人間と非人間」をつなぐ新しい領域のデザインかもしれない。 本書に登場するのは、グラフィックデザイナー、MoMAキュレーター、書体デザイナー、インタラクションデ
(2024年当時)
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コンピューターが人々の生活に浸透されたのをきっかけに、世界中のデザイナー達はその化学反応から起こりうる未来を予測してきた。本書はそこから生み出されたデザインの数々を紹介し纏められたものである。 それは「人間と非人間」をつなぐ新しい領域のデザインかもしれない。 本書に登場するのは、グラフィックデザイナー、MoMAキュレーター、書体デザイナー、インタラクションデ

日本における最高の正装をご存知だろうか? タイトルでもある礼服(らいふく)とは、「大宝律令」および、これを改定した「養老律令」の衣服令において、皇太子以下五位以上の貴族の正装と規定されており、わが国で最も格式の高い服である。元日に行われる朝賀の他、大祀や大嘗という特別な祭祀にも用いられており、国家的に最も重要な儀礼に使用された装束といえる。 といっても明治天

住居の間取図を見て楽しめる人がいるように、地図を見てその先の光景に思いを巡らせ楽しめる人もいる。地図上から読み取れる地形や街、河川の形状などから、その場所や住む人間達を想像し、あたかも自分もそこにいるような思いを馳せれる心地よさがあるからだ。 本書はナショナルジオグラフィックから出版された地図を纏めた一冊である。太古の地図から、空想世界の地図、大遠征や探検の

ウィリアム・シェイクスピア(1564~1616)は、おそらく世界で最も知名度のある詩人であり劇作家だろう。『マクベス』や『ハムレット』などの名作は世界各国でローカライズされ読み継がれ、今でも頻繁にオペラとなり舞台となり上演を続けている。 シェイクスピアの演目は20世紀後半まで英国ロイヤル・シェイクスピア劇団が最も権威ある公演と考えられてきた。しかし時代は変わ

レオナルド・ダ・ヴィンチの名で何を思い浮かべるだろう。スフマート技法による『モナ・リザ』の作品だろうか、またはキリスト教の聖書に登場する『最後の晩餐』の画家としてだろうか?周知の通り、彼は絵画のほか彫刻・建築・科学・数学・工学・解剖学・地学・植物学など、極めて広い分野に精通していた。各分野における天才だということは確かだとしても、どのような環境で育ち、複雑な

2006年、東京国立博物館で開催されたプライスコレクションにて、初めて本物の紫陽花双鶏図を見たとき、全身に稲妻が走るような衝撃を受けた。尾長鶏はあまりに繊細かつ優美に描かれ、その崇高な姿はまるで鳳凰のようであり、口を開けて見入ってしまったのを覚えている。 本書は若冲の生誕300周年を記念し、初めての人にでも楽しく鑑賞できるポイントを紹介したフルカラー入門書だ

野生動物の世界は弱肉強食の世界でもあり、時には一口の食べ物も見つけられない場合もあり、身を寄せ合っても耐えれない寒い冬だってある。動物たちは大変厳しい環境を精一杯生き抜いているが、それでも緊張や恐怖から解き放たれて優しい表情を見せる瞬間がある。 本書は世界中の動物たちのしあわせな瞬間を集めた写真集だ。著者が求めたのは弱肉強食の世界に生きる動物ではなく、見てい

2016年の日本経済は欧州金融機関の混乱、中国経済の減速、また日本銀行のマイナス金利政策により波乱含みの年になりそうだ。それでも欧米主体の現代アート業界は不思議なもので、クーンズやハーストなどアーティストであれば安定した優良株のように、供給するたびに買い手がつくほどの市場が形成されている。 牛の輪切りをホルマリン漬けにした作品で知られるダミアン・ハーストはニ

サンマ、アジ、キンメダイ、伊勢エビ、ウニ。真夜中、港に水あげされた魚介類がトラック約8000台で運ばれてくる。 これまで約80年にわたって日本人の食を支えつづけた世界最大規模の魚市場、築地市場。その全貌を、本書は水彩のイラストとともに解説している。物品の搬入、競り、仲卸、マグロ卸などひとつひとつの流れが丁寧に説明されているので、自分たちの食卓に魚はこうして届

たまに人を紹介してもらえる時があるのだが、「あいつはいいやつだから」と紹介されるより、「すっげー変わったヤツがいるけど、会ってみる?」という誘い方のほうに魅力を感じてしまう。私の場合は後者のような人ほど興味深く、また彼等は独自のプリンシパルを持ち合わせている場合が多い。 本書の著者はみうらじゅん氏。デビューして今年で35年「ゆるキャラ」や「マイブーム」などの

表紙の帯をはずせば、平安貴族の旅装束から女性の口元が覗く。 この写真は葵祭、祇園祭とともに知られる京都三大祭りのひとつ「時代祭」のシーンである。時代祭とは京都御所から出発し、山国隊の奏する笛、太鼓の音色を先頭に約2,000名・約2キロにわたる行列をなし平安神宮を目指す伝統行事だ。常盤御前、巴御前、出雲の阿国など麗しい姿もあり、京都の歴史をしのばせる。 本書は

深遠な海の中に身を沈めれば、無重力の浮遊感。 目の前には鮮やかな魚達が横切り、好奇心旺盛なイルカや色とりどりのサンゴ礁、人間よりも遥かに大きく愛嬌のあるマンタやジンベエザメなど。ダイビングは、陸上では味わえない世界を堪能できる。 一方、太平洋戦争時の旧日本軍の重要拠点であるミクロネシア連邦チューク州。旧トラック諸島と呼ばれたこの地は空襲により 2 日で壊滅し

子供の頃、ガンダムのプラモを組み立てている際、モビルスーツとは別に飛行機であるコアファイターの部分が余っていたので、それと当時流行っていた「チョロQ」のゼンマイ機構を組み合わせていたことがある。勝手に「コアチョロQ!」と名づけ、それはウイングが格納しプルバック走行するオモチャで、我ながら本格的だと興奮していた。男の子には、変形や合体する機械を見るとテンション

日本のデザイン、イラスト、マンガにおける表現領域の拡大が国際的に注目を集めているのは言うまでもないが、これは取り立てて近年に始まったものではない。日本の美術史を紐解けば、これら造形美は古来より断絶期なく続いていた。その要因は何かを考えると、やはり線の表現に対する尋常ならざる取り組みが世界でも類を見ない多様な作品を残しているのが特徴的である。 本書は6世紀以降

本書は史実を丹念に追いながら、チャップリンとヒトラーのメディア戦争の実相を暴く一冊だ。 同時に、それはネット社会の現代を生きる私たちにとって非常に切実な課題を突き付ける。 はたして、迫り来る全体主義の恐怖の中で「笑い」という武器しか持たないチャップリンはいかにして悪夢の独裁者と闘ったのか。 「喜劇王」と呼ばれるチャールズ・チャップリンは1889年4月16日に

1980年代、週間少年ジャンプは『ドラゴンボール』、『キャプテン翼』、『聖闘士星矢』、『キン肉マン』など黄金タイトルが並んでいた。その中で『ジョジョの奇妙な冒険』は異色の漫画に思えた。しかし十数年の時を経て、それは大きな間違いだと気づいた。著者の荒木飛呂彦は連載当時から王道漫画を描いていたのだ。 本書は全く人気が衰えることのない長期連載漫画『ジョジョの奇妙な

現代社会において、親の年収、生まれ持っての美貌、また育つ環境など本人の努力では埋められない格差は確実に存在する。 それでも生き方の自由は保持されており、美貌を持つ人がさらに戦略を持って生きるのも自由だし、反対に美貌を持たざる人が徒手空拳的に人生に臨もうが、生き方自体は(程度によるが)否定はされず自由に選択できるといえる。 よく「ブサイクは意外と性格が悪いよ」

一戸一戸は住み手の欲望を満たすべく、あらゆるメーカーの部材と部品の満艦飾となって妊を競い、隣家の日照を無視せざるを得ない狭小敷地に法を犯していっぱいに作り、4mに満たない道路ギリギリに、コストが安いというだけで味気ないブロック塀を立て列ね、ミニ開発と称する倭小住宅が人びとの持家意識にこびてのさばり、公園も緑もほとんどなく、子供たちは狭い道いっぱいに走り去る車

パリでいうならルーブルやオルセー、 ニューヨークであればメトロポリタンやMoMA、グッゲンハイム といった各都市にはこれだ!という代表的美術館がある。 対して日本には「これが日本の美術館だ!」と言えるようなものが無いような気もする。英国データ(The Art Nespapaer:2013.3.28)によると美術館の動員数世界1位は38万点以上のコレクションを

日銀の黒田東彦総裁がデフレマインドからの脱却を試み、異次元緩和の2弾目を唱えたせいで日経平均は17,000円代となった。2009年のリーマンショックから、再び驚くべき上昇を見せている。黒田氏は為替を意識したものではなく、国内経済のことだけを考えて緩和をした、と主張した。 日本の未来は非常に不透明と言われ続けたが、その結果、世の中にはファイナンスに関する本が無

ふだんから活字を読みすぎている方に、ここでちょっと一息。 本書は生涯忘れられない「一生に一度の極上の旅」を体験するために、今行くべき魅惑的な大都市や美しく雄大な大自然の数々を紹介している。ということは、残りの人生でどれだけの海外旅行にいけるか逆算できるガイド本でもある。 ナショナルジオグラフィックが誇る旅の達人とカメラマン達がつくるだけあって、世界400箇所

最近は、小学生からクリティカルシンキングを教える学校もあるらしい。 批判的思考能力とも訳されるが、これは複眼的にものを見て、それぞれのケースを批判的に読み込み、その上で自分の意見を作って、他人に伝えられる能力といった発展的な思考法だ。よく単純な計算練習とか書き取りとか、反復練習に対する反対概念として言われることが多い。あるものの受容よりも理解が大切なのだ。
村上隆さんの著書 『芸術闘争論』 では、こうした現実に対しての方法論が書かれています。アーティストがどう理論武装してその世界で生きていくか。僕はこの本から多く教わりました。この本は、HONZに応募して勉強会に入るきっかけとなった1冊ですが、ここから先人に学ぶ大切さに気づき(開拓者は偉大)、沢山の本を読むようになりました。たしか小学校の美術の時間、先生がよく「

芸術家にも色々なタイプがいて、ミケランジェロのようにルネサンスのギルドでその腕を発揮する人もいれば、ゴッホのように耳を裂き苦悩しながらも純朴に内面美を追求する人もいる。またピカソのように頭脳と腕を駆使し、王座に君臨する人間もいる。ジャクソン・ポロックはというと、若い頃は病的なまでのシャイであり、何よりも生涯アルコール依存症だった。 こちらはDVDでポロックの

小学校の写生大会の時間は、先生がよく「感じたままに描きなさい」とか言っていた気がする。私はひとりで好き勝手に描けるのは嬉しかったが、先生にとっては生徒を放っておけるので今考えるとラクな授業だったかもしれない。

まず一冊目は 『現代アートの舞台裏』 。 モノ・カネといった人間の欲が動きまくり、かつ秘密主義のアートの世界を暴きます。その中でタフに生きる人達を取材し、生々しく描写している点で、国内本にない魅力ある内容です。アート・バーゼルといった世界最大のアートマーケットの話もありますが、世界中の著名人・芸能人がステイタスとして美術品を購入するのは事実のようです。ちなみ

素材はチョコレート、無塩バター、卵、グラニュー糖のみ。 これが最高級のガトーショコラ職人であり、またケンズカフェ東京のオーナーである著者が公開しているレシピである。 紆余曲折の末にたどり着いたレシピ、そして斬新な経営戦略を包み隠さず公開している潔さには感服するばかりだ。 デフレが長引く日本で、逆張りの発想で売上をひたすら伸ばすお店が、この「ケンズカフェ東京」

我ながら素晴らしいアイデアを思い付いたときに、「これ特許にしたら儲かるかな」などと想像した経験はないだろうか? 私はある。しかし、そのアイデアを具体的に特許にするやり方は、ほとんどの人が知らないはずである。 本書は一般的な特許出願方法から、常識では考えられないような特殊特許まで、笑えて学べる特許の入門書になっている。この本のポイントは「笑えて学べる」にある。
先日、帰郷した際に美術展「ジパング展」を観てきた。展示内容は、会田誠や山口晃など現代美術作家30名以上が参加した豪華ラインナップであり、500円という入場料金にもかかわらずほぼ貸し切り状態でとても堪能できた。 その中のラインナップに、異色の作品があった。一見すると絵画だが、よく見るとゆっくりと雪が降りつもり、枝には雀がとまってくる。そのフレームの中は動画だっ

『スラムダンク』でお馴染みの漫画家、井上雄彦氏が日本の伝統行事である「遷宮」行事を通じて人々が体験した、先祖または神から受け継いできた歴史を、筆絵とエッセイで解き明かした一冊だ。 また本書には、神宮司庁の河合真如広報室長、出雲大社の千家和比古権宮司、式年遷宮で総棟梁を務めた宮間熊男棟梁、建築家の藤森照信教授との対談も収められている。 絵描き(職人)だからか、

あるチームに異分子を投入することで、そのチーム全体がゆさぶられ成長するのであれば、はみでた人間は強力なカンフル剤と言えるだろう。 映画『スティーブ・ジョブズ』の主演男優アシュトン・カッチャーが、 技術企業Lenovoのエンジニアになった。 もちろんアシュトンを招いたLenovoが期待するのは、技術的なスキルや専門知識というよりも、画期的イノベーションに必要な

最近、無心の力についてよく考える。人が没頭して作られた作品から、すごいエナジーを感じるようになったからだ。作品の完成度の解釈は人それぞれだが、私はその対象物にどれくらいのエネルギーと時間をかけ、没頭して創ったかによると考えている。無心状態で創られた作品は高い完成度に直結し、作品に対する思いは見る人へとダイレクトに伝わっていくだろう。 本書には宮城県の被災地、
今から30年前、都内郊外の精神病院の保護室にマリアの絵を描く患者がいたそうだ。 保護室とは、東京足立病院の閉鎖病棟は最奥に位置し、簡単な台座と布団だけが置かれ、コンクリートの床に穴が空いただけの便器が備え付けられている構造だった。実際に入った患者によると、当時この場所を「牢獄よりもひどい」と伝えていた。保護室という鉄格子の威圧感がもつ物理的かつ象徴的な閉鎖性

本日はHONZ金魚奨励デーである。「金魚なんか興味ないし、今後も好きにならなそう」という人にとっては全く価値のない話かもしれない。かくいう私も金魚といえばアートアクアリウム展に足を運んだものの、可愛いな~程度しか感じない人だった。 すっかり夏も終わり中秋の名月も訪れたが、個人的な話では、8月の終わりに地域の夏祭りに家族で参加してきた。出店の屋台に金魚すくいが

「アンティーク・ディーラー」 なんと心地よい響きだろう。アンティークにディーラーである。この言葉の組み合わせに強く惹かれる。ただいきなり残念なことを申し上げると、アンティーク・ディーラーは世界で年々減少傾向にある。フェアの開催頻度・規模でいえば文句無しでイギリスが一位だが、一方で日本も1980年代にヨーロッパから大量に取り入れたお宝がワンサカある。のれん分け

本書を発見し手にとると、帯にはこう書いてあった。 あ、コレ買うなと思った瞬間である。 本の購入には「ジャケ買い」ならぬ、この本絶対面白い!と確信する瞬間があるはずだ。 それは著者だったり、装丁だったりもするが、それ以上にビビっとくる直観だったりする。 ちなみに本書は昨日(8/6)に購入したばかりである。翌日にレビューを書いているのは一気に読んで面白かったから

イルカやハワイの海をモチーフに、バブル期を一世風靡した米画家クリスチャン・リース・ラッセン。 日本では1980年から90年代にかけて異常なほど人気が高まり、多くの版画・ジグゾーパズルなどの商品が消費されてきた。しかし、これまで新聞を含め美術マスコミは「コメントに値しない」と彼の作品が正面から論評されることはなかった。本書はラッセンが受容される心理と欲望、彼の

表紙を見た時の衝撃は、どう表現したらよいだろうか?紫色した髪の忍者のインパクトは凄まじいものであった。 今どき忍者ごっこをしている子供たちなんて見かけもしないし、私と同世代の人でも戦国時代に活躍した忍者は、小説や漫画の世界だけだと思っているに違いない。 だが現代においても生きた忍法を継承している一人の忍者がいた。戸隠流忍法34代宗家、初見良昭が著者である。

修復家という職業がある。58億円で落札されたゴッホの「ひまわり」は、今も鮮明な色彩を放っており、モネの「睡蓮の池」も、完成当時の風合いを留めている。それは全て修復家のおかげなのだ。 これらゴッホやモネの絵は、著者の修復家である岩井希久子さんの仕事によるものだ。本書では世界でも有数の腕を持つ岩井さんが、見事な医術により名画を再生し、真摯に仕事に向き合う姿を開示

近年、どうも「シュール」という言葉自体がひとり歩きしている。 日本語でシュールと聞くと、多くの人が「虚しい」とか「説明し難い」とか「空しい」という感想を持つ。それに伴い、シュルレアリスムは超現実主義などと訳されるので、よけい小難しいものに感じてしまう。 本書では、シュルレアリスムにおける本来の意味を代表的な作品とともに理解できる。登場作家はシュルレアリスムを