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新井 文月

現代アーティスト。法螺貝を吹き宇宙の声を描く「銀河文字」を提唱。ニューヨーク個展開催。オマーン/パレスチナ大使より日本アラブ友好感謝賞受賞。信濃毎日新聞書評委員。週刊朝日書評掲載。HONZではアートやデザインなどクリエイティブ本を紹介。アトリエ新井文月オフィシャルサイトhttps://araifuzuki.com/

(2024年当時)

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おすすめ本レビュー

『日本最後のシャーマンたち』/霊魂との対話

本書はベルギー生まれの日本学者、ミュリエル・ジョリヴェが著した一冊だ。フランス語圏の読者に向けて出版したものを、逆輸入で日本語に翻訳し発刊された。日本の伝統的なシャーマニズムに焦点をあてており、現代社会においてシャーマンと呼ばれる存在がどのように変遷してきたかを説明している。 タイトルに「最後の」とあるのは、実際に彼女達(ほぼ女性)が生きている世代が今で最後

『千年の歓喜と悲哀 アイ・ウェイウェイ自伝』 書影

アート・スポーツ / 社会

『千年の歓喜と悲哀 アイ・ウェイウェイ自伝』

艾未未(アイ・ウェイウェイ)は、中国の現代美術家、活動家、建築家である。彼の作品は、社会的・政治的批判、人権、文化的アイデンティティをテーマとすることが多く、作品はインスタレーション "Remembering" など、2008年の四川大地震に関連した一連の作品で国際的に有名になった。 "Remembering"は四川大地震で娘を亡くした両親の文章を、通学カバ

『新井文月 作品集 銀河文字』すべてはつながっている 書影

アート・スポーツ / 著者自画自賛

『新井文月 作品集 銀河文字』すべてはつながっている

すべてはつながっている ミクロからマクロ 闇から光 いつの日か銀河の理を 知ることができるだろう 現代アーティスト新井文月。新井は幼少より足の病気で非常に内向的な性格であった。生まれ育った群馬では、友人達が大自然の中で走り回る一方、ひとり黙々と広告のチラシ裏に鉛筆で絵を描いていた。不思議なことに原因不明の足の病は絵を描くことで治癒され、大人になるにつれ見えな

『終止符のない人生』ピアニスト反田恭平 書影

アート・スポーツ / おすすめ本レビュー

『終止符のない人生』ピアニスト反田恭平

ショパンコンクールとはショパンの故郷のポーランドで5年に1度開催される、世界三大ピアノコンクールのうちの1つだ。16歳以上30歳以下のピアニスト達が世界中から集まり、予備選を含めファイナルまで計5回のステージで審査される。 1次予選からファイナルラウンドまでの日程は3週間弱。演奏はYouTubeにて配信されるため、世界中の観客が生の感動をチャットで綴る。粛々

『苔のむすまで』 書影

アート・スポーツ / プレミアム・レビュー

『苔のむすまで』

著者は現代美術作家の杉本博司。ロサンゼルスのアート・センター・カレッジ・オブ・デザインで写真を学び、その後ニューヨークに移住し今も第一線で制作を続ける。代名詞である「海景」「劇場」「建築」シリーズは、メトロポリタン美術館をはじめ世界有数の美術館に収蔵されている。 経済学科出身ということもあり、エッセイの中には資本と欲望についての考察がある。マルクスの『資本論

『考えて生きる 合理性と好奇心を併せもつ』 書影

教養・雑学 / 新刊超速レビュー

『考えて生きる 合理性と好奇心を併せもつ』

人は本来、自分自身が成長したいという願望がある。それが学習でも仕事でも、一生に打ち込めるライフワークを見つければまだいい。ただ目指すべきロールモデルとなる人が、まわりにいないのでないか。 たとえば貴方が会社員であれば、友人は同じく会社員であることが多い。似たような環境、似たような考え方であることも多いし、本当の意味で刺激的な人と出会うのは少ないだろう。その方

『NFTの教科書 ビジネス・ブロックチェーン・法律・会計まで デジタルデータが資産になる未来』 書影

アート・スポーツ / 社会

『NFTの教科書 ビジネス・ブロックチェーン・法律・会計まで デジタルデータが資産になる未来』

本書はNFT(Non-Fungible Token)の特性についてアート・法律・会計・税務など各ジャンルのスペシャリストが解説し、これから拡大するビジネスと社会を提示した一冊だ。 NFTアート購入のニュースが相次いで報道されている。2021年3月、Twitter創業者ジャック・ドーシーの初ツイート画像が291万ドル(約3億円)で落札。2022年1月にはジャス

『スピリチュアルズ 「わたし」の謎』 書影

サイエンス / 生物・自然

『スピリチュアルズ 「わたし」の謎』

ベストセラー『言ってはいけない 残酷すぎる真実』の著者である橘玲氏が、最新の心理学と脳科学の観点から「わたし」とは何かを説く一冊だ。 人の性格は無意識のうちに決定され、あらゆる行動の基盤となる。それらを「内向的/外交的」や「楽観的/悲観的」など8つの項目に定義していく。 たとえば経済的に成功者が多いのは内向的な人種である。人には最適な覚醒度があり、それぞれの

『目の見えない白鳥さんとアートを見にいく』主観の調和 書影

アート・スポーツ / おすすめ本レビュー

『目の見えない白鳥さんとアートを見にいく』主観の調和

2021年9月5日、新型コロナウイルスの影響により1年の延期を経て開催された東京パラリンピックの閉会式が行われ、13日間にわたる大会が幕を下ろした。 テレビ観戦で感じたことは、あたりまえかもしれないが、車いすバスケでも、ゴールボールも、車いすテニスも、障害ある選手達がプレーとして成り立っていたことだ。見る前は概念として理解していたのだが、実感がなかった。それ

『両義の表現』アートの神髄 書影

アート・スポーツ / おすすめ本レビュー

『両義の表現』アートの神髄

芸術家として国際的に活動する李禹煥(リ・ウファン)によるエッセイだ。 著者は1936年に韓国で生まれ、活動拠点を日本へ移し、1970年代からは「もの派」運動の支柱として芸術を解体構築してきた。世界中のビエンナーレに出展し、アンディ・ウォーホルやヨーゼフ・ボイスなどアート史に痕跡を残す作家達との交流を経て、ヴェルサイユ宮殿の彫刻プロジェクトも手がける現役のアー

『百田尚樹の新・相対性理論』 書影

教養・雑学 / 新刊超速レビュー

『百田尚樹の新・相対性理論』

著者は放送作家であり、『永遠の0』(累計400万部)や『海賊と呼ばれた男』(累計450万部)などを手がける小説家だ。タイトルに相対性理論とあるように、本書では新たな時間の概念について考察している。 その特徴は「時間」を全ての基準に置き、社会を「時間の売買」で成り立っていると捉える点だ。人は赤ちゃんとして生まれた瞬間から時間を与えられ、時間を失った瞬間に死に

『国道16号線―「日本」を創った道―』多数アーティストも輩出 書影

民俗・風俗 / 日本史

『国道16号線―「日本」を創った道―』多数アーティストも輩出

国道16号線は、神奈川県の三浦半島から千葉県の房総半島まで、首都圏を中心にぐるりと環状に結ぶ道路だ。 私が卒業した多摩美術大学は神奈川の橋本駅と東京の八王子駅の間の鑓水にある。16号線沿いで、養蚕が栄えた場所でもある。1960年代、学生運動が激しかった大学を都市部から引きはがす目的で東京の郊外へ移転させたと本書にはある。そのとき都心から通える距離として選ばれ

『最後のダ・ヴィンチの真実』13万の絵が、なぜ510億に? 書影

アート・スポーツ / おすすめ本レビュー

『最後のダ・ヴィンチの真実』13万の絵が、なぜ510億に?

アートの価値は誰がどのようにして決めるのだろうか。そして価値と値段は比例するのか。 限りなく正解に近い答えが本書にある。まず作品の価値は、コレクターが貴族など高い地位である場合や、高名な作家がどの経緯で描いたものかなど複雑な要因が絡まり決定する。もちろん偽物については論外だが、ビル・ゲイツが所持するレオナルド・ダ・ヴィンチのレスター手稿などは、英貴族レスター

『美術展の不都合な真実』新聞社やテレビ局が主催する現状 書影

アート・スポーツ / おすすめ本レビュー

『美術展の不都合な真実』新聞社やテレビ局が主催する現状

フェルメールを歩きながら観るような企画展がまかり通っている。 正確にいうと新型コロナウイルス以前は、話題の企画展が開催されれば連日混雑していた。2018年に開催されたフェルメール展は産経新聞の一面に《牛乳を注ぐ女》の絵とその会期が掲載された。日本の企画展は新聞により大々的に宣伝され、1日平均6千人もの入場者を動員する。実際に足を運んでみると1日3千人という数

『北斎になりすました女 葛飾応為伝』歴史の闇に隠れた鮮やかな生涯 書影

アート・スポーツ / おすすめ本レビュー

『北斎になりすました女 葛飾応為伝』歴史の闇に隠れた鮮やかな生涯

葛飾北斎は「為一」や「卍」など30以上画号を変え、90回以上も住居を変え(近所でぐるぐると回る説もあり)、描くテーマも浮世絵から漫画、さらに春画まであらゆるジャンルを描いてきた。私は北斎に強く影響を受けており、何より晩年作品の繊細さと完成度には、人の表現はここまで進化するのかと驚いた。 画家といえば、ピカソも長寿で多作である。その数は生涯14万点を超える。青

自分だけの答えが見つかる『13歳からのアート思考』 書影

アート・スポーツ / おすすめ本レビュー

自分だけの答えが見つかる『13歳からのアート思考』

唐突ですが、少し芸術史の話をします。 かんたんなアートの歴史です。本書の要約でもありますが、私個人の見解を入れさらに圧縮しています。アートって苦手と思う人ほど、ためしに読んでみてください。 タイトルにある「13歳」というキーワードですが、これは学校の好きな教科アンケート※で美術の時間がワースト1位になるタイミングだそうです。 ポイントは3人の芸術家になります

『日本のアートマーケットが1兆円になる日』市場の夜明け 書影

アート・スポーツ / おすすめ本レビュー

『日本のアートマーケットが1兆円になる日』市場の夜明け

シェイクスピアの劇曲マクベスに "The night is long that never finds the day." 「明けない夜はない」という言葉がある。真意はどちらだろう。通常は「希望の朝は必ずやってくる」という例えだが、直訳すると「夜は永遠に明けない」という意味にもとれる。 いま世界の美術市場は7兆円、日本は150~200億円といわれる※。これは

『得する、徳。』徳を積む恩恵 書影

教養・雑学 / 社会

『得する、徳。』徳を積む恩恵

ペンシルベニア大学教授のアダム・グラントは、人間を「ギバー(人に惜しみなく与える人)」「テイカー(自分の利益を優先させる人)」「マッチャー(状況によってギバーにもテイカーにもなる人)」と3種に分類した。そしてギバーこそが、成功者になれることを実験と調査で明らかにした。 本書は実際に徳を積むことで、どれだけ自分が得をするかを、渋沢栄一や土光敏夫など偉人から検証

『今、評価され続けているアジアのアート』現代美術の動向 書影

アート・スポーツ / おすすめ本レビュー

『今、評価され続けているアジアのアート』現代美術の動向

現代アーティストとして世界中で活躍する草間彌生のコラージュ作品は30年前、原画が約15万円であった。それが現在では、版画作品で1000万円の値段がつくものもある。 資産として考えた場合、平山郁夫など巨匠の作品を購入するよりも単価が安かった彼女の作品を当時に大量購入しておけば、その利益率で莫大な富を得られたであろう。 ただ、これは結果論である。当時こうした結果

バイリンガル・アート情報紙『ON BEAT』 書影

アート・スポーツ / 新刊超速レビュー

バイリンガル・アート情報紙『ON BEAT』

本書は最先端のアートや展示など、世界への発信にフォーカスした美術情報誌だ。 vol.11となる今回では、森美術館で来場者数60万人以上を記録した塩田千春の展示会と、アートにおけるブロックチェーンの特集。また元サッカー日本代表の中田英寿による紀行や、メディアアーティスト落合陽一による新連載がスタートしている。 なにより特筆すべきは和英併記で、全項目に英文が記載

『「カッコいい」とは何か』しびれる体験 書影

教養・雑学 / おすすめ本レビュー

『「カッコいい」とは何か』しびれる体験

先日、現代アートのコレクター会に参加した。特に予備知識も無く参加してみたら、これがとにかく面白い。 例えば多摩美術大学の先輩(50代)であるアートコレクターに、何故この作品を購入したのですか?と聞くと、「これは一見、絵の構成に思えるけど写真なんですよ。見たことない画面でしょう」と言う。なるほど、一見それは抽象画のようだが、近づいて見ると実はNASAの建物であ

『シェアする美術 森美術館のSNSマーケティング戦略』アカウントの品格とは 書影

アート・スポーツ / おすすめ本レビュー

『シェアする美術 森美術館のSNSマーケティング戦略』アカウントの品格とは

先日、ある人のフェイスブック投稿をきっかけに森美術館で開催されている〈塩田千春展:魂がふるえる〉を鑑賞した。 作家の作品は、2019年3月の香港アートバーゼルでいちど観ていた。そこからSNSを通じて東京展があることを知り、その日に足を運んだ。森美術館でのレイアウトは代表的な糸のインスタレーション作品に加え、作家自身が作品の一部となるパフォーマンスや、手がけた

『レオナルド・ダ・ヴィンチ』天才 その二面性 書影

アート・スポーツ / 人物

『レオナルド・ダ・ヴィンチ』天才 その二面性

唇を制御する神経の考察。 友人に先を越され苦悩する姿。 天才の反対を凡才とするなら 、レオナルド・ダ・ヴィンチはその両面を持っていた。 本書は7200ページにわたる自筆ノートから、本人を検証した評伝だ。ノートには唇を制御する神経のスケッチから、友人たちに先を越され落ち込んだ気持ちまで記されている。天才で片付けられてきた彼も、わたしたちと同じ感情を持つ人間だと

『ゆるカワ日本美術史』日本独自のアート 書影

アート・スポーツ / おすすめ本レビュー

『ゆるカワ日本美術史』日本独自のアート

笑う埴輪の兵士。 相撲をとる蛙とウサギ。 シャボン玉を吹く金魚。 本書に登場する作品は、とにかく可愛く、とにかくユルい。 アートの文脈をひもとくと、西洋では19世紀半ばのルネサンス以降、より実物に肉薄するリアリズムの追求が芸術の目標だった。ミケランジェロの彫刻は肉体をリアルに再現し、遠近法をふまえた絵画は実際の風景があるかのように見せた。そこからセザンヌやゴ

『ソッカの美術解剖学ノート』全クリエイターにおすすめ 書影

医学・心理学 / アート・スポーツ

『ソッカの美術解剖学ノート』全クリエイターにおすすめ

韓国では著名なイラストレーターである著者が、31歳から40歳まで9年をかけて完成させたのが本書『ソッカの美術解剖学ノート』である。 骨や筋肉や内臓など、人体構造について「なぜ今の形になったのか」に言及されているのがポイントであり、その知識をふまえイラストで絵の描き方を伝えている。本書では人体の仕組みを知れるのと同時に、各部位がどう動きその形状になったのかが楽

『ビジネスの限界はアートで超えろ!』右脳と左脳が融合 書影

アート・スポーツ / おすすめ本レビュー

『ビジネスの限界はアートで超えろ!』右脳と左脳が融合

絵を描くことで、新たな知覚と気づきが手に入る。 眠っている自分の才能が目覚め、開花する。 はたして本当だろうか。この疑問に対し、本書は一つ一つ実例をあげて答えていく。 「絵が描けることは、0から1を生み出せることにつながります」 アートアンドロジックを主催する著者の増村岳史はそう説く。デッサンを書くことで、右脳と左脳のバランスを生かした思考能力を高める講座だ

『ならず者たちのギャラリー 誰が「名画」をつくりだしたのか? 』 書影

アート・スポーツ / おすすめ本レビュー

『ならず者たちのギャラリー 誰が「名画」をつくりだしたのか? 』

レンブラント、ピカソ、シャガール、モディリアーニ。絵画で名高い作品は多数あるが、その作品自体どのようにして仕掛けられ、世に出ていくのだろうか。 当然ながら、作家1人の力で作品全てを売りさばくことは不可能であり、その歴史の裏側で動く画商と呼ばれる人物像に興味がいく。 著者のフィリップ・フックは、世界最大級のオークション会社サザビーズの取締役である。イギリス出身

『ムンク展 共鳴する魂の叫び』公式ガイドブック 書影

教養・雑学 / アート・スポーツ

『ムンク展 共鳴する魂の叫び』公式ガイドブック

ムンクといえば《叫び》というほど、この絵はあまりにも有名です。 ただ、絵の中の男は叫んではいません。実は耳を塞いでいるのをご存知でしょうか? 実はムンクの《叫び》は、作家自身の精神的変化とともに、手法を変え4種類が描かれてます。ムンク展にも登場する《叫び》は、テンペラと油絵を組み合わせであり、これら素材はふつう色が褪せず永続的に良い発色をするのが特徴です。た

『武器になる哲学 人生を生き抜くための哲学・思想のキーコンセプト50』芸術的思考 書影

教養・雑学 / アート・スポーツ

『武器になる哲学 人生を生き抜くための哲学・思想のキーコンセプト50』芸術的思考

芸術的な一冊だ。 私達は、さまざまな問題を解決しようとするとき、ついつい今ある意見をまとめがちになる。ただその意見自体が的を得ているのかどうか気づかない場合、粘り強く思考し続けて解決に導くプロセスが、哲学と芸術で非常に似ている。 ドイツの現代アーティスト、ヨーゼフ・ボイスは思想・政治・教育に精通し、政治経済と環境問題の常識を問い直しつづけた。彼の表現自体、フ

『印象派への招待』絵画の見方 書影

アート・スポーツ / おすすめ本レビュー

『印象派への招待』絵画の見方

印象派の影響力は強い。かつわかりやすい。 他の芸術ムーブメントである新古典主義やロマン主義、ダダイズムなどは聞いても私達はピンとこないのではないか。しかし印象派だけは誰もが知っている。それだけ人の心に訴えかける共感力や、ぱっと見た時の色彩の心地よさがあるのだろう。数字の面でいうと、75万円の絵が一気に2億円以上に跳ね上がるなど影響力もある。 本書は初心者が印

『運慶への招待』一門を纏める仏師 書影

アート・スポーツ / おすすめ本レビュー

『運慶への招待』一門を纏める仏師

2017年11月、東京国立博物館にて開催された運慶展は入場者数が60万人を超え終了した。 運慶といえば平安末期~鎌倉時代にかけて活躍した仏師だ。東大寺南大門の金剛力士立像はその代表作だが、全身で8m以上もある。重さは7t。制作年は1203年と制定され、つまり800年が経過しているが、今だもって見る者を畏怖させる。当時の人達は阿吽の仁王から凝視されたら、度肝を

『麿赤兒自伝』憂き世 戯れて候ふ 書影

アート・スポーツ / 人物

『麿赤兒自伝』憂き世 戯れて候ふ

著者は舞踏家の麿赤兒(まろあかじ)。劇作家である唐十郎の状況劇団に参加し、それから土方巽に師事した。その後に舞踏集団「大駱駝艦」を立ち上げ、国内外に舞踏を知らしめた人物だ。 舞踏は日本で発祥した半裸で踊るスタイルだが、疾走する身体というよりむしろ動かなかったりする。一見、死を匂わせる静止した肉体かと思いきや、いきなり生に執着する表情をとり、口を全開させ呼吸音

『PHOTO ARK 動物の箱舟 絶滅から動物を守る撮影プロジェクト』 書影

生物・自然 / アート・スポーツ

『PHOTO ARK 動物の箱舟 絶滅から動物を守る撮影プロジェクト』

パンダ・トラ・ゾウ・ライオン・ゴリラ。 これらはふだん動物園で見ることができる動物だ。そのせいかあまり意識しないのだが、じつは国際自然保護連合(IUCN)が作成する絶滅の レッドリストカテゴリー にすべて該当してる。 カテゴリー「CR:近絶滅種」「EN:絶滅危惧種」「VU:危急種」に分類された動植物は、特に絶滅寸前種と考えられ、哺乳類1194種、鳥類1460

『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?』コンサルティングの終焉 書影

アート・スポーツ / ビジネス

『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?』コンサルティングの終焉

筋が通った正論に対して、直観が納得しないときがある。 本書タイトルでいう美意識は、デザインや広告などクリエイティブに関する領域かと思われがちだが、ポイントはそこではない。 近年、英国ロイヤルカレッジオブアート(RCA)など世界有数の美術系大学は、フォードやビザ、製薬会社グラクソ・スミスクラインといったグローバル企業の幹部に対して美術プログラムを提供している。

まさに龍ブーム『百龍めぐり 関東編』 書影

教養・雑学 / アート・スポーツ

まさに龍ブーム『百龍めぐり 関東編』

仏像や阿修羅ブームとは一線を画す、本書は龍に特化したガイドブックである。 龍の彫刻は、とくに江戸期の超絶技巧による寺社装飾でモチーフにされてきた。掲載される各寺社は、所在地、最寄り駅からのアクセス、宗派、祭神、御朱印、後利益など実用的なデータだ。全国の寺社の由緒とともに、フルカラーで龍の美しい造形と歴史を堪能できる。 どんな龍像でも良いわけではなく、本書では

すべて捨てろ!『死してなお踊れ 一遍上人伝』 書影

アート・スポーツ / 人物

すべて捨てろ!『死してなお踊れ 一遍上人伝』

本書は、鎌倉時代の「踊り念仏」で知られる時宗の開祖・一遍上人の評伝だ。 開祖といっても本人は死ぬまぎわまで、こんな活動は一代限りでやめろと門弟に釘をさしている。 仏教本でお堅いのかと思いきや、全くそんなことはなく、著者は口語で語りかけてくるので読みやすい。そして一遍の怒涛を体感するだけでもエンターテイメントとして成立している。 一遍は、伊予水軍で名高い河野家

『教養バカ』会話が通じない人へ 書影

教養・雑学 / 社会

『教養バカ』会話が通じない人へ

4歳の息子がお腹が猛烈に痛いと叫び、15分おきに下痢するので緊急で病院に行った。 ひととおり受診し、「先生、何の病気だったのですか?」と私が尋ねると先生は、 「カンピロではないと思います。その場合は一週間出血しますし、ノロ、ロタの類でもないでしょう。今は症状のジュウトク化を防がないといけません」 えと、それで…。私の質問に答えていないと判断したので、思わず