ノンフィクションはこれを読め!

村上 浩の記事

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『逆転の大戦争史』 平和を求めた国際主義者たち 書影

世界史 / おすすめ本レビュー

『逆転の大戦争史』 平和を求めた国際主義者たち

21世紀を生きる我々にとって、戦争が違法であることは、地球が太陽の周りを回っていることと同程度に自明のことに思える。しかし、17世紀にガリレオが望遠鏡を手にするまで多くの人が天動説を信じていたように、20世紀初頭まで戦争は合法的な政治手段だった。戦争が合法であった旧世界秩序においては、借金取り立てのために他国を征服することすら合法的な行為だった。 著者は本書

『さいはての中国』 あなたの知らない中国 書影

社会 / おすすめ本レビュー

『さいはての中国』 あなたの知らない中国

ノンフィクションを読む醍醐味である未知の世界を知る喜びをこれでもかと与えてくれる一冊だ。中国の地を這う現実を伝え続けるルポライターの著者が選んだ行き先は、途方もなく広い中国の“さいはて”。本書に登場するのは、発展著しい深圳のネトゲ廃人、広州のアフリカ人街、内モンゴルのゴーストタウンや北米の「反日」華人組織などという、旅行者やビジネスマンはもちろん、大手メディ

『民主主義の死に方 二極化する政治が招く独裁への道』 民主主義が民主主義を殺す 書影

社会 / 世界史

『民主主義の死に方 二極化する政治が招く独裁への道』 民主主義が民主主義を殺す

世界各地の独裁政治を研究してきたハーバード大学教授である著者が、民主主義がどのように、そしてなぜ死ぬのかを追求する。著者はあらゆる場所、時代の民主主義が死んでしまった事例を紹介しながら、当たり前に享受している民主主義がいかに微妙なバランスのうえで成り立っているものなのかを教えてくれる。幅広いケースを考慮する本書だが、議論のフォーカスはアメリカおよびトランプ現

『未来をはじめる 「人と一緒にいること」の政治学』で新しい未来をはじめるための第一歩を踏み出す 書影

社会 / おすすめ本レビュー

『未来をはじめる 「人と一緒にいること」の政治学』で新しい未来をはじめるための第一歩を踏み出す

この本は、東京大学社会科学研究所教授で政治思想史・政治哲学を専門とする著者が、東京都の豊島岡女子学園中学・高等学校で行った全5回の政治を考えるための講義を取りまとめたものである。大学教授による政治講義とはいっても、本書は学生との対話形式で平易な語り口で進められるので、幅広い層の読者が楽しみながら読み通せるはずだ。本書の魅力は分かり易さだけではない。著者は、政

『NETFLIXの最強人事戦略 自由と責任の文化を築く』で働き方を見直す 書影

ビジネス / おすすめ本レビュー

『NETFLIXの最強人事戦略 自由と責任の文化を築く』で働き方を見直す

会社は、顧客を喜ばせる優れた製品を時間内に提供できるように努めることを除けば、従業員に何の義務もない 会社には、従業員の長年の功績に報いる義務も、中長期のキャリアパスを用意する必要性もない。元ネットフリックス最高人事責任者である著者パティ・マッコードはそう主張する。過激な発言に思えるが、これはまだ序の口。彼女は、人事考課連動型の報酬や仲間意識を育むためのイベ

『交雑する人類』 古代DNAが世界史を書き換える! 書影

サイエンス / 生物・自然

『交雑する人類』 古代DNAが世界史を書き換える!

ゲノム革命は我々の想像を超える速度で進行している。ワトソンとクリックが生命のセントラルドグマを解き明かしてからわずか半世紀と少しの間に、 PCR や CRISPR−Cas9 などの革新的な技術が次々と開発され、SFの世界にしか存在しないと思われたような成果を次々と現実のものとしている。 遺伝子共有サイトのデータが迷宮入りしていた凶悪犯罪の犯人を追い詰めたとい

『経営戦略原論』で理論と実践のギャップを埋める 書影

ビジネス / おすすめ本レビュー

『経営戦略原論』で理論と実践のギャップを埋める

理論と実践の間には大きなギャップが存在する。どれだけ明晰な頭脳で組み立てられた瑕疵のない理論でも、現実の世界で役立てるためには様々な困難立ちはだかる。原子核分裂が発見されその原理が明らかになった後も、原子爆弾が開発されるためには、マンハッタン計画による世界中の叡智の結集と膨大な費用を必要とした。 自然科学分野においては、理論の実践にどれだけ困難が伴ったとして

『政治の衰退 上 フランス革命から民主主義の未来へ』 民主主義は政府運営を非効率にするのか? 書影

世界史 / おすすめ本レビュー

『政治の衰退 上 フランス革命から民主主義の未来へ』 民主主義は政府運営を非効率にするのか?

著者フランシス・フクヤマは『 政治の起源 』で、人類誕生以前からフランス革命までの歴史を振り返りながら、「国家」、「法の支配」、「政府の民主的説明責任」という3つの重要な政治制度がどのように生み出されたのかを巧みに説明した。この『政治の衰退』は『政治の起源』の姉妹編であり、フランス革命以降の過去2世紀の間にこの3つの制度がどのように相互作用しながら発展してき

『あなたを支配し、社会を破壊する、AI・ビッグデータの罠』 数学破壊兵器は知らぬ間にあなたをの運命を決めている 書影

サイエンス / 社会

『あなたを支配し、社会を破壊する、AI・ビッグデータの罠』 数学破壊兵器は知らぬ間にあなたをの運命を決めている

アメリカのワシントンDCで教師をしていたサラ・ウィソッキーは、突然の解雇通知に驚いた。教師歴はまだ2年と浅かったものの、懸命に仕事に向き合い、生徒や保護者から高い評価を得ていたから解雇はより大きなショックをもたらした。 彼女を解雇に追いやったのは、IMPACTと名付けられた教師評価ツール。生徒の学力向上に対する教師の貢献度を計算するIMPACTは、業績の低い

『歴史は実験できるのか 自然実験が解き明かす人類史』 比べることで歴史の”なぜ”に答えを出す 書影

世界史 / おすすめ本レビュー

『歴史は実験できるのか 自然実験が解き明かす人類史』 比べることで歴史の”なぜ”に答えを出す

歴史に“もし”はない。もし奴隷制がなければアフリカはもっと経済発展を遂げただろうか、もしイギリス統治がなければインドの識字率はもっと高くなっていただろうか、もしフランスではなくスペインに支配されていればハイチはドミニカよりも豊かになっていただろうか。想像力豊かに刺激的な虚構のストーリーを作り上げることはできても、時計の針を巻き戻し、ありえたかもしれない結末を

『知の果てへの旅』 ヒトの知に限界はあるのか? 書影

サイエンス / おすすめ本レビュー

『知の果てへの旅』 ヒトの知に限界はあるのか?

科学はあらゆる謎を暴き続けている。数万年前の遺物から人類がネアンデルタール人と交配していることを突き止め、山手線ほどの大きさにもなる巨大な実験装置を駆使してヒッグス粒子という極微小な存在を確認し、簡単なオペレーションで体細胞を多能性幹細胞にリプログラミングする方法まで編み出した。 巨人の肩の上に積み上がっていく科学の進展スピードはいや増しており、いつかはどん

『ニュルンベルク合流「ジェノサイド」と「人道に対する罪」の起源』にはノンフィクションを読む喜びの全てが詰め込まれている 書影

人物 / 世界史

『ニュルンベルク合流「ジェノサイド」と「人道に対する罪」の起源』にはノンフィクションを読む喜びの全てが詰め込まれている

ハンス・フランクはひざまずき、傍らの神父に十字を切ってくれるよう願った。そして、微笑みを浮かべながら歩き出した。彼の人生の終着点となる絞首台へ向かって。 1939年からドイツ占領下のポーランド総督府総督としてユダヤ人虐殺を進めたフランクは、ニュルンベルク裁判で「戦争犯罪」と「人道に対する罪」に対する有罪で死刑判決を受けた。今では当たり前の存在にも感じる「人道

『思想的リーダーが世論を動かす』アイデアはこうして創られる 書影

教養・雑学 / 社会

『思想的リーダーが世論を動かす』アイデアはこうして創られる

世界はアイデアに溢れている。限られた時間で優れたアイデアを伝える TEDの動画 を検索すれば、優れたプレゼンテーションを大量に見つけることができる。そのどれもが、世界を良い方向に変える力を持つかにみえる。象牙の塔に閉じこもっていた学者がビジュアルイメージを巧みに使いこなし、利益の追求に血眼になっていた起業家が平和への道を語る。TEDだけではない。 ダボス会議

『鳥! 驚異の知能 道具をつくり、心を読み、確率を理解する』 鳥を知れば人間の本質が見えてくる 書影

サイエンス / おすすめ本レビュー

『鳥! 驚異の知能 道具をつくり、心を読み、確率を理解する』 鳥を知れば人間の本質が見えてくる

21世紀の今、人類は世界のあらゆる場所にまで生息範囲を広げ、多くの生物を絶滅に追いやり、地球環境そのものを変えるほどの力を持つにいたった。どのような能力が、人類をこれほど繁栄させたのか。持続的な二足直立歩行も人類の特徴ではあるが、何よりその知能が私たちを特別な存在としたことは間違いない。意図的な核融合、宇宙への旅行、地球の裏側との瞬時のコミュニケーションを可

『教養としてのテクノロジー』でテクノロジーを駆動する哲学を知る 書影

サイエンス / 教養・雑学

『教養としてのテクノロジー』でテクノロジーを駆動する哲学を知る

ほんの十数年前に登場したばかりのスマートフォンがそうしたように、新たなテクノロジーは私たちの生活を一変させる。AI、仮想通貨、ブロックチェーンのような新たなテクノロジーが誕生する速度は加速度的に増し、1つのテクノロジーが与える影響もより大きなものとなっている。グローバル化の進展によって小さくなった世界では、破壊的テクノロジーの影響は一瞬にして世界中を駆け巡り

『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』 AI研究が明らかにした人間の弱点 書影

サイエンス / 社会

『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』 AI研究が明らかにした人間の弱点

書店で、テレビで、ツイッターで、AIの二文字が踊っている。創造性あふれる小説の執筆や複雑なビジネスオペレーションの効率化など、これまで人間にしかできないと思われていた知的活動を、最新のAIが軽々と成し遂げたことを伝えるニュースは引きも切らない。 特に、将棋や囲碁のトッププロをAIが打ち破ったニュースは驚きとともに世界に伝えられた。ウサイン・ボルトより早く走る

『トヨタ物語』 世界を制したトヨタ生産方式誕生秘話 書影

ビジネス / おすすめ本レビュー

『トヨタ物語』 世界を制したトヨタ生産方式誕生秘話

世界に最も影響を与えた日本発のものや文化は何だろうか。葛飾北斎の浮世絵や黒澤明の映画は諸外国の多くの芸術家たちを魅了し、彼らの作品にその影響を色濃く残している。次々と生み出される日本発のゲームや漫画も、若者に限らない、世界中の老若男女を今でも虜にし続けている。少し注意深く目を凝らして見れば、世界のあちこちに日本から生まれた何かを感じることができる。 思想や文

『我々はなぜ我々だけなのか』 人類はアジアで大いに進化した 書影

サイエンス / おすすめ本レビュー

『我々はなぜ我々だけなのか』 人類はアジアで大いに進化した

人類進化の大きな流れを概説しながら、かつてのアジアにどれほど多様な古代型人類が存在したかを、最新の研究結果を踏まえながら教えてくれる一冊だ。現在の地球でホモ属に分類されるのはわたしたちホモ・サピエンスだけだが、数万から数十万年前の世界がどれほどバラエティ豊かな人類によって彩られていたかにワクワクせずにはいられない。本書で特筆すべきは、これまで人類進化を語る上

『宗教国家アメリカのふしぎな論理』 矛盾だらけのアメリカを宗教から読み解く 書影

社会 / 世界史

『宗教国家アメリカのふしぎな論理』 矛盾だらけのアメリカを宗教から読み解く

その男は酒もタバコもしない。ギャンブルに手を出すこともない。刺激物はコーヒーすら飲まないのだ。キリスト教の教会に通い、積極的思考(ポジティブシンキング)を実践することで世界一の大国アメリカで人もうらやむ成功を手にした。この禁欲的に思える男の名前は、ドナルド・トランプ。そう、現アメリカ大統領のトランプには奇妙な信心深さがある。 テレビから伝わるトランプのイメー

『世界を変えた6つの「気晴らし」の物語』 本気の遊びが世界を変える 書影

教養・雑学 / 社会

『世界を変えた6つの「気晴らし」の物語』 本気の遊びが世界を変える

現代の世界は数え切れないほどのイノベーションが連鎖することでかたちづくられた。本書の著者スティーブン・ジョンソンが前著『 世界をつくった6つの革命の物語 』で示したように、ある分野のイノベーションは全く別領域でのイノベーションを誘発し、ときに想像すらできない変化をもたらしうる。印刷機の発明はインターネットを、衛生観念の発達はマイクロプロセッサを生み出した。著

『こわいもの知らずの病理学講義』 病は理から、理は言葉から 書影

サイエンス / 医学・心理学

『こわいもの知らずの病理学講義』 病は理から、理は言葉から

「十分に発達した科学は、魔法と見分けがつかない」とはSF作家アーサー・C・クラークの言葉だが、現代社会は魔法としか思えない科学であふれている。急速に発達し続ける科学は生活をより便利なものにしてきたが、深化した科学の中身はより理解が困難になっている。生活必需品となったスマートフォンを例にとってみると、その魔法のような機能の全てを科学的に説明できる人などほとんど

『ブレグジット秘録』 心地よい嘘と不快な現実の争い 書影

社会 / 世界史

『ブレグジット秘録』 心地よい嘘と不快な現実の争い

2016年6月23日、イギリスの国民投票の行く末を世界中が固唾を飲んで見守っていた。英国のEU離脱(ブレグジット)というまさかの結末は、世界中に大きな衝撃と混乱をもたらした。なぜ、英国民は多くの専門家が反対するブレグジットを選択したのか?そもそも、国民投票などする必要があったのか?EU離脱派がアピールし続けた、「EUを離脱すれば、毎週3億5000万ポンドの分

新装復刊『大気を変える錬金術』 世界を変えた化学 書影

サイエンス / 人物

新装復刊『大気を変える錬金術』 世界を変えた化学

歴史上もっとも人口の増加に貢献した科学的発明は何か?それは、多くの病気から命を救った医薬品でも、世界中のあらゆる地域へ人類を移動させた航海技術でも、機械化による効率化をもたらした産業革命でもない。もちろん、これらの発明も多くの命を支えており、現代生活に欠かせないものではあるが、その発明のおかげでこの世に存在している人命の数では、ハーバー・ボッシュ法には及ばな

『デザイナー・ベビー ゲノム編集によって迫られる選択』 デザイナー・ベビーの誕生は避けられない? 書影

サイエンス / 医学・心理学

『デザイナー・ベビー ゲノム編集によって迫られる選択』 デザイナー・ベビーの誕生は避けられない?

ヒトが生殖以外の方法で新たなヒトの命を生み出す、改変するというアイディアは、数千年にわたって人類の想像を掻き立て続けてきた。科学者による理想の人間の創造を目指した『 フランケンシュタイン 』や遺伝子操作による優生学的な階級社会を舞台とした映画『 ガタカ 』など、このテーマを扱った作品は数え切れない。これらのフィクションが描き出すディストピアとクローン羊ドリー

『芸術・無意識・脳』 科学と芸術の対話が人間の本質を明らかにする 書影

サイエンス / 医学・心理学

『芸術・無意識・脳』 科学と芸術の対話が人間の本質を明らかにする

1900年前後のウィーンにはあらゆる分野の才能を引き寄せる力があった。哲学ではクルト・ゲーデルやルートヴィヒ・ヴィドゲンシュタイン、音楽ではグスタフ・マーラーやベートーヴェン。その他の芸術や自然科学分野でも、挙げきれないほど多くの偉人たちがこの街に集まっていた。特筆すべきは、その天才たちが個々の分野毎に活動していたのではなく、科学者・作家・芸術家の垣根を越え

『大不平等』 グローバリゼーションは格差をもたらしたのか? 書影

世界史 / おすすめ本レビュー

『大不平等』 グローバリゼーションは格差をもたらしたのか?

グローバリゼーションにブレーキがかかり始めた。欧州での右派政党台頭、トランプの保護主義的政策だけでなく、これまで移民を優遇してきたシンガポールやオーストラリアなどでも就労ビザの厳格化が進み、国境を隔てる壁は日々高くなっている。世界は、グローバリゼーションの何を恐れているのか。絶望的なほどの格差を生み出した真犯人は、グローバリゼーションなのか。グローバリゼーシ

『「維新革命」への道 「文明」を求めた十九世紀日本 』 日本は西洋に何を求めたか 書影

日本史 / おすすめ本レビュー

『「維新革命」への道 「文明」を求めた十九世紀日本 』 日本は西洋に何を求めたか

グローバリズムが加速度的に世界を覆っていくにつれ、世界各地で文明の衝突が激しさを増している。イスラム過激派によるテロ活動は収束する気配を見せず、北朝鮮の孤立化はより深刻なものとなり、アメリカのトランプ政権は他文化との壁をより高いものにしようとしている。多文化が平穏に共存する道を、人類は見つけることができるだろうか。それとも、文明の衝突は歴史の必然なのだろうか

『平均思考は捨てなさい』 みんなちがって、みんないい 書影

医学・心理学 / 教養・雑学

『平均思考は捨てなさい』 みんなちがって、みんないい

2017年5月に経済産業省が若手・次官レポートとして発表した「不安な個人、立ちすくむ国家」は、「結婚して、出産して、添い遂げる」、「正社員になり定年まで勤めあげる」という「昭和の標準的人生」が21世紀には一般的ではなくなったため、この標準に基づいて設計された日本の制度や価値観が現代社会のあちこちに大きなひずみをもたらしているのだとしている。しかしながら、19

『Xプライズ 宇宙に挑む男たち』 現実的な理想主義者たちが本気で宇宙を目指した 書影

人物 / 社会

『Xプライズ 宇宙に挑む男たち』 現実的な理想主義者たちが本気で宇宙を目指した

こちらはバッタへの情熱で突き進む男の話。クマムシ博士によるレビューは こちら 。 ビックバンから生命誕生まで、宇宙はどのように変化してきたのか。高価で読み通すのにはかなりの体力を要する大部だが、科学がどのように宇宙の謎を解き明かしてきたかの全体像を知るためのベストな一冊。レビューは こちら 。 アメリカ政府、その中でも特にペンタゴンは科学の力を大いに利用し、

『ダイエットの科学』 ダイエットを始める前に先ず読むべき一冊 書影

サイエンス / おすすめ本レビュー

『ダイエットの科学』 ダイエットを始める前に先ず読むべき一冊

ダイエットは現代人の最大の関心事の一つだ。多くの国で肥満が野火のように広がっていくに連れ、ありとあらゆるダイエット方法が世界中で発明されてきた。あまりにも大量のダイエットが開発されたため、その中から相反する2つを見つけるのは難しいことではない。脂肪の摂取を控えるべきだと訴えるダイエットもあれば、脂肪は好きなだけ摂ってよいというものもある。三食を規則正しく食べ

『ペンタゴンの頭脳 世界を動かす軍事科学機関DARPA』 SFを現実に変換する科学集団 書影

サイエンス / 社会

『ペンタゴンの頭脳 世界を動かす軍事科学機関DARPA』 SFを現実に変換する科学集団

1962年10月16日、ソ連が密かに核ミサイルをキューバに設置していることを発見したアメリカ大統領ケネディは、ソ連首相フルシチョフにミサイルの撤去を迫り、拒否された。この日からフルシチョフがミサイル撤去の決断を下すまでの13日間ほどに、人類が核兵器による全面戦争に近づいたことはない。キューバ危機で核ミサイルが攻撃に用いられることはなかったが、実はこの危機の最

『日本ノンフィクション史 ルポルタージュからアカデミック・ジャーナリズムまで 』 虚構と現実の境界 書影

社会 / 日本史

『日本ノンフィクション史 ルポルタージュからアカデミック・ジャーナリズムまで 』 虚構と現実の境界

ノンフィクションとは、なんともとらえにくいジャンルだ。字義通りにみればそれは、フィクションではないものなのだが、もう一歩踏み込んで「フィクションではないもの」とはつまりは何なのかと考えてみよう。「ノン」という否定形ではなく、肯定系でその存在を描写しようとすると、途端にその輪郭はあいまいなものとなる。立花隆ですら「ノンフィクションとは何か、ノンフィクションとは

『ヒルビリー・エレジー アメリカの繁栄から取り残された白人たち』 ドリームのないアメリカ 書影

社会 / おすすめ本レビュー

『ヒルビリー・エレジー アメリカの繁栄から取り残された白人たち』 ドリームのないアメリカ

2016年6月に出版された原書はアメリカでベストセラーとなり、世界中で高い評価を受けた。英エコノミストは「2016年に出版された本の中で、アメリカを知るために最も重要な一冊」と評している。1984年生まれの若き白人のアメリカ人である著者J.D.ヴァンス自身が述べるように、彼はイェール大学ロースクールを卒業し経済的成功を収めてはいるものの、「人生で何か偉業成し

『1984年のUWF』 最強という幻想 書影

アート・スポーツ / おすすめ本レビュー

『1984年のUWF』 最強という幻想

プロレスラーは本当は強いんです 総合格闘技黎明期の1997年、今や世界最大の格闘技団体となったUFCが初めて日本で開催した大会 アルティメット・ジャパン で優勝した 桜庭和志 は、日本人選手の勝利に熱狂する観客にこう語りかけた。恵まれた体躯を厳しいトレーニングに晒し、筋肉の鎧をまとったプロレスラーが弱いはずがない、何を当たり前のことを、と思うかもしれない。と

『ダメな統計学 悲惨なほど完全なる手引書』で科学の基盤をより確かなものにする 書影

サイエンス / おすすめ本レビュー

『ダメな統計学 悲惨なほど完全なる手引書』で科学の基盤をより確かなものにする

世界は数字であふれている。政治家の支持率から健康食品が病気のリスクを下げる確率まで、ニュースや広告を介して、新たな数字が次々とわたしたちに届けられる。しかしながら、その数字がどのようにつくられ、どのような意味を持つのかを真に理解することは容易ではない。特に、数字の送り手に悪意がある場合には注意が必要だ。50年以上前に出版された世界的ベストセラーの『 統計でウ

『ブレイクスルーへの思考』と『つながる脳科学』で知の広大さと深遠さを堪能する 書影

サイエンス / 教養・雑学

『ブレイクスルーへの思考』と『つながる脳科学』で知の広大さと深遠さを堪能する

東大の異端児的存在である東京大学先端科学技術研究センター(先端研)に所属する11名の研究者へのインタビュー集だ。「これまでの大学の殻を破るまったく新しい研究機関」として設立された先端研だけあって、インタビュイーの研究分野は多岐にわたる。ある者は情報と社会の関わり方のあるべき姿を語り、ある者は産学連携を推し進めるために必要となる科学者の姿を説き、またある者は障

『教育劣位社会 教育費をめぐる世論の社会学』教育には税金を使いたくない日本人 書影

社会 / おすすめ本レビュー

『教育劣位社会 教育費をめぐる世論の社会学』教育には税金を使いたくない日本人

自然科学分野で多くのノーベル賞受賞者を輩出し、 公立中学校に通う生徒の7割以上が学習塾に通う 日本を、著者は教育劣位社会と呼ぶ。それは、日本のGDPに占める公財政教育支出の割合がOECD諸国の中で最低水準にあり(一般政府総支出に対する割合でも同様)、国民の世論も限りある財源を教育に配分すべきだとは考えていないからだ。 本書は、教育学と経済学の狭間に埋もれてし