
『ホモ・デウス テクノロジーとサピエンスの未来』
本書『ホモ・デウス——テクノロジーとサピエンスの未来』は、イスラエルの歴史学者ユヴァル・ノア・ハラリが『サピエンス全史――文明の構造と人類の幸福』に続いて、該博な知識とじつに多様な分野の知見を独創的に結集して著したHomo Deus: A Brief History of Tomorrowの全訳だ。ただし、前作同様、最初のヘブライ語版が刊行されてから著者が行
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本書『ホモ・デウス——テクノロジーとサピエンスの未来』は、イスラエルの歴史学者ユヴァル・ノア・ハラリが『サピエンス全史――文明の構造と人類の幸福』に続いて、該博な知識とじつに多様な分野の知見を独創的に結集して著したHomo Deus: A Brief History of Tomorrowの全訳だ。ただし、前作同様、最初のヘブライ語版が刊行されてから著者が行

「スティーヴン・キングとスティーヴン・ホーキングを足して2で割ったような本」(「はじめに」より)とはよくいったものである。前者は有名なホラー作家。後者はいわずと知れた天才理論物理学者だ。そのふたりが合体するにふさわしく、本書のテーマはずばり「死に方の科学」。ここには45通りの死のシナリオが取りあげられている。今日にも起きそうな筋書きもあれば、今生では巡りあい

ランドルフ・M・ネシーとジョージ・C・ウィリアムズ著のWhy We Get Sick は、ダーウィン医学(進化医学)の概念をはじめて一般向けに紹介した本として一九九四年にアメリカで出版された。日本でも、長谷川眞理子、長谷川寿一、青木千里の翻訳により『 病気はなぜ、あるのか―進化医学による新しい理解 』として2001年に新曜社から出され、ロングセラーとなってい

本書は、イギリス人のナチュラリストであるチャールズ・フォスターが書いた『Being a Beast』の邦訳で、この地球上で人間ではなく動物として生きるとはどんなことなのか、人間の立場から考えたり想像したりするのではなく実際に動物になりきって暮らし、見て、嗅いで、聞いて、味わって、感じようとした経験を描いている。このユニークな試みは、20

本書はイギリスのGP(general practitioner)、グレアム・イーストン医師の著作『The Appointment』の日本語版である。原書の内容に加えて、日本とは異なるイギリスの医療制度やそこで活躍するGPについての解説文「日本の読者のみなさまに」が付いており、日本語版のために本文中にも若干の加筆がしてある。 グレアム・イーストン医師は私の友人


ロンドンといえば、おしゃれな大人の街。政治経済はもとより文化、芸術、ファッションにおいても世界をけん引する大都市のひとつでしょう。そのロンドンの19世紀の衛生環境を、こと細かに調べ上げて綴ったのが本書です。 19世紀というとはるか昔という印象を持ちますが、本書で取り上げているのは、およそ120~170年前のできごとが中心で、そう遠い過去の話ではありません。日

読書の醍醐味の一つは、自分の先入観や固定観念、常識を覆され、視野が拡がり、新しい目で物事を眺められるようになること、いわゆる「目から鱗が落ちる」体験をすることだろう。読んでいる本が、難しい言葉で書かれた抽象論だらけではなく、一般人でも隔たりを感じずに、すっと入っていける内容がわかりやすい言葉で綴られているものだと、なおありがたい。まさにそのような醍醐味を満喫

生物多様性の喪失と聞けば、熱帯雨林やサンゴ礁が目に浮かぶ。絶滅危惧種と聞けば、中国奥地のジャイアントパンダやガラパゴス島のゾウガメを思いつく。しかし、そうした危機的な状況は遠い異国の話とはかぎらず、もっとずっと身近なところで起こっている。私たちの体は無数の微生物からなる「生態系」であり、そこでも種の絶滅は静かに進行している。 2003年にヒトゲノム・プロジェ

私は「虫の王国」に住んでいたことがある。 場所は三浦半島の山中。といっても、JRの駅まで徒歩十数分という距離で、標高は30メートルほどしかなく、それほど山奥というわけでもない。見かけは築30年を過ぎた何の変哲もない木造の一軒家だ。小さな庭があって、早春には梅、梅雨時にはアジサイの花が咲き、秋になると柿の木が立派な実を何十個もつける。家は緑豊かな尾根に囲まれた

科学はどのように進歩するのか? 多くの人はおそらく次のようなイメージを持っていると思う。我々凡人からはかけ離れたすさまじい洞察力を持つ希代の大天才が、誰の助けも借りずにたった一人で自然界の秘密の一端を完璧な形で看破し、一瞬にして人類の知識を飛躍させる、と。さらに、科学研究は我々からは遠い世界で進められていて、我々とはまったく無縁の営みだと考えている人も多いだ

数学や科学に強くなるには、どのように取り組めばいいのだろうか。 巷にはいろいろな方法を謳った一般書が出回っているが、これといった効果を実感できなかったので、この本を手に取ってくれた人もいるかもしれない。そういう人の他にも、短期間で数学や科学をものにしたい人、問題解決のコツと学習法の要点などを知りたい人の要望に応えるのが本書である。原書A Mind for N

もしも、自らが所属する組織の不正を知ったら、あなたは、その不正を正す勇気を持てるだろうか? 幹部自衛官でありながら、自衛隊組織の不正を、正々堂々と通報した男がいる。彼の階級は、3等海佐(以下、3佐)。「自衛隊は噓をついている」と裁判所に訴えたのだ。 2014年4月23日、東京高等裁判所。21歳の自衛官・Tさんの”いじめ自殺”を巡る裁判の控訴審判決が下された。

文学の棚なのか、紀行エッセイの棚なのか、地図の棚なのか、書店が置き場に悩むような本である。できるならどこにも置いてほしい。けれど孤島のロマンティシズムにあふれたエッセイ、きれいな地図のついた秘境ガイドだと思って手にとると、ちょっと拍子抜けするかもしれない。未知の土地への憧れをかきたてるような旅の本とはいくぶん趣向がちがうのだ。原著タイトルは、『孤島の地図──

ニューオーリンズの日刊紙『ザ・タイムズ・ピカユーン』に勤務していた1997年に地球規模の魚類供給危機に関する記事を書いてピューリッツァー賞を受賞した著者は、2006年に独立し、夕食の支度を担当するようになった。そのとき苦労したのが、家族全員を満足させる献立。息子は辛い物が好きでファストフードは食べない。娘は平板な味の白っぽい食べ物一辺倒。同じ親から生まれたの

闇のきらめき──そんな言葉がぴったりの、みずからの闘病生活を綴った明るく澄んだ、詩情豊かな回想録です。なぜ「闇」なのかといえば、著者が闇でしか生きられない病気に冒されているから。なぜ「きらめき」なのかといえば、暗室で著者のつむぐ言葉が、みずみずしい感性と輝く知性できらめいているからです。 著者は大学を卒業後、国家公務員として仕事に邁進していましたが、2005

ブライアン・フェイガンが人類と動物の関係史を書いたというので、私は興味津々で本書の原書となるThe Intimate Bond──How Animals Shaped Human Historyのページをめくってみた。ところが、人類の歴史を変えた動物として彼が選んだ8種類のリスト、犬、ヤギ、羊、豚、牛、ロバ、馬、ラクダを見て、はたと考え込んでしまった。牛馬と

本書はピーター・ウォード/ジョゼフ・カーシュヴィンク著、A New History of Life: The Radical New Discoveries about the Origins and Evolution of Life on Earth(Bloomsbury, 2015)の全訳である。 著者の一人ウォードは地球科学および宇宙科学の研究のかた
![『スパム[spam] インターネットのダークサイド』 書影](/assets/recovered-covers/a48eb1be4adb4cd20eb08ee8bf768dc547ee1729f6c2da31a43768586aab4634.jpg)
本書『スパム[spam] インターネットのダークサイド』は、スパムという現象を切り口にして、インターネットの影の歴史を描いた「テクノロジーのドラマ」である。インターネットを利用する全ての人々にとって、スパムを目にしない日は存在しないはずだが、その全体像を体系的に理解する機会はあまり存在しなかったのではないだろうか。本書はスパムを正

本書はGuantanamo Diary by Mohamedou Ould Slahi, edited by Larry Siems (Little, Brown and company, 2015) の翻訳である。 キューバ南東部に位置するグアンタナモ湾にアメリカの海軍基地がある。米西戦争後、スペインから独立したキューバ新政府によって、アメリカが租借するこ

この本は、2013年11月に河出書房新社から出版された『 世界一素朴な質問 宇宙一美しい答え 』の続編です。編者も同じジェンマ・エルウィン・ハリスで、同じようにイギリスの子どもたちからの質問に、各分野の第一人者が回答を寄せています。そして同じように、子どもたちがひとりで読めるやさしい文章で書かれていますが、おとなが質問にそなえて、あるいは忙しさにまぎれて見す