
子ども靴業界のプロジェクトX。『開発チームは、なぜ最強ブランド「瞬足」を生み出せたのか?』
イノベーションの必要性が叫ばれて久しい昨今の産業界だが、この言葉を耳にすると、ITのように最先端のテクノロジーを駆使した業界ばかりを思い浮かべてしまうものだ。でも実際には、思いもよらないほど身近なところにも、その種は眠っているらしい。なにせ、テクノロジーの匂いもしなければ、新たな潜在ニーズが喚起されることも一見なさそうな「子ども靴」というプロダクトに、業界地
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イノベーションの必要性が叫ばれて久しい昨今の産業界だが、この言葉を耳にすると、ITのように最先端のテクノロジーを駆使した業界ばかりを思い浮かべてしまうものだ。でも実際には、思いもよらないほど身近なところにも、その種は眠っているらしい。なにせ、テクノロジーの匂いもしなければ、新たな潜在ニーズが喚起されることも一見なさそうな「子ども靴」というプロダクトに、業界地

その男は今、エルサレムの墓地に眠っている。 日本人として初めて審問を受けて正統派ユダヤ教に改宗し、74歳で永眠すると、彼を慕う多くのユダヤ人たちの手によって、その遺体はイスラエルに埋葬された。 彼こそが「命のビザを繋いだ男」、小辻節三だ。 「命のビザ」といえば、杉原千畝だ。1940年、ナチスの迫害に追われてリトアニア日本領事館に逃げ込んだ多くのユダヤ難民たち

ポジショントークというものがある。 何かについて意見を言うときに、客観的な視点からみて正しいと思うことではなく、自分自身の所属する業界や組織、役職といったポジション(立ち位置)にとって有利な主張をするのがポジショントークで、ビジネスの世界は勿論のこと、日常の至るところに溢れ返っている。意見の対立というのは、主義・信条の対立もあれば、感情的な諍いも、明確な優劣

みずほ銀行出身の経営コンサルタントがいた。 そして、彼が顧問を務める中小企業は、粉飾決算によって銀行融資を受けていた。 もちろん、彼もその事実を知っており、ある意味では、粉飾決算に関与していた。 その結果、彼は東京地検特捜部に狙われ、2012年3月、懲役2年4ヶ月の実刑判決を宣告される。 すべて事実だ。飾らず淡々と書いてしまえば。しかし、幾つかの補助線を引い

プロ野球が、本当の意味で国民的スポーツだった頃の記録だ。 1994年10月8日。セ・リーグのペナントレース最終戦、巨人vs中日。この日までに129試合を消化した両軍の戦績は、共に69勝60敗。勝敗数が全く一緒の同率首位でピタリと並んでいた。そして、残された最終戦。リーグ優勝の行方を決める運命のカードは、ナゴヤ球場での直接対決となったのだ。最終戦で、同率首位の

ソムリエという存在を、私は完全に誤解していた。 グラスに注がれた高級ワインに、ポエティックな表現と薀蓄を添えてサーブしてくれる少々気障な存在。恥ずかしながら、そんな先入観を持っていた。 でも、本書を読んで心の底から理解した。 己の知性と感性の全てを賭けてワインと対峙する本物のスペシャリスト。経験に裏打ちされた華麗な技術を次々と繰り出す究極のサービサー。そして

ロッカールームには、本当にあらゆるものがある。 夢。希望。挫折。苦悩。汗。涙。友情。信頼。時に怒号。そして感謝。 青春を彩るものたちは、いつだってそこに。 本書は、全国高校サッカー選手権で惜しくも敗れ去っていったチームの監督が、試合終了後のロッカールームで選手たちに語りかけたメッセージを集めたものだ。1971年(第41回大会)から中継を行っている日本テレビの

2012年12月26日。 その日は今後の日本史において、どのように語り継がれていくことになるのだろうか。 その日から遡ること10日前の12月16日。この日行われた第46回衆議院議員選挙において、安倍晋三総裁率いる自民党は圧勝。過半数を大きく超える議席を獲得し、民主党を与党の座から引き摺り下ろすと、その後、安倍氏が第96代内閣総理大臣に就任。政権交代が果たされ

正月三が日も終わり、昨日が仕事始めだった方も多いだろう。いよいよ本格的に幕を開けた2013年だが、そのイントロを飾りそうなのが1月6日(日)スタートの大河ドラマ 「八重の桜」 だ。HONZを読まれている方は書店を訪れる頻度も多いと思うが、書店の棚は昨年の暮れから見事なまでの「八重ブーム」だ。日本史のコーナーは勿論のこと、新書にも「八重の桜」に関連した新刊書が
IKEAモデル―なぜ世界に進出できたのか 低価格の北欧風デザイン家具販売店として、グローバルで成功を続けるIKEA。本書『IKEAモデル』は、2009年までCEOを務めた著者が、その経営モデルを網羅的に綴ったものだが、読んでみて非常によく分かった。「IKEAモデル」とは、要するにコスト削減の王道を極めることなのだと。 王道は、極論すればつまらない。でも、王道
戦国の貧乏天皇 なかなか刺激的なタイトルだ。 わずか7文字の中に、知的好奇心を刺激してやまない「違和感」が内包されている。 まず「戦国」と「天皇」がうまく結びつかない。日本史で習った天皇を思いつくままに挙げてみても、古代であれば神武、推古、聖武、桓武といった有名ドコロがすぐに浮かぶし、中世になると、後に院政を敷いたことで知られる白河、鳥羽といったあたりが思い
エンジェルフライト 国際霊柩送還士 誰もがいつかは、死を迎える。 あなた自身も、そしてあなたの愛する人も。 もちろん私も、そして辛いことだけれど、私の愛する人もいつか。 死とは何だろうか。 死に行く人にとってそれは、命の終わり。現世という旅路のいちばん奥にそっと置かれたベッド。 ならば、残された人にとって、死とは何だろうか。 愛する人の命は、もうそこにない。
督促OL 修行日記 督促という言葉を聞いて、良い印象を持つ人はいないだろう。 督促って、要するに借金の取り立てだ。借金をしている人は督促なんてされたくもないだろうけれど、督促する方だって、しなくて済むなら本当はしたくない。貸したお金を返してもらうために、仕方なくやっているだけ。返さない方が悪いわけで、何も悪いことはしていない。それなのに、むしろ逆切れされて文
世界で勝たなければ意味がない―日本ラグビー再燃のシナリオ (NHK出版新書 392) 私は心の中で、7年後の長期休暇を予約している。 理由はもちろん、オリンピック、サッカーW杯に続いて世界で3番目に規模の大きい国際的なスポーツイベントが、ここ日本で開催されるからだ。 そう、2019年はラグビーワールドカップ日本大会なのだ。 日本ではあまり知られていないが、ラ
スターリンのジェノサイド こういう著作を、良書というのかなと思う。 名著や傑作ではないかもしれない。HONZで紹介される多くのノンフィクションのように、キャッチーでもない。みすず書房らしい至ってシンプルな装丁は、版を重ねることを戦略的に狙っているとも思えない。原文で176ページとテキストも短く、ハードカバーにしては物足りないと感じる向きもあるかもしれない。

ある意味、とびきりのリークだ。 「公開こそ正義」という強烈な信念を持った異端児の姿を、剥き出しにしたのだから。 この自伝が「本人非公認」、つまりリークとして刊行されることになったのは、運命の皮肉だろうか。 ジュリアン・アサンジ。言わずと知れたウィキリークスの創設者は今、ロンドンのエクアドル大使館に滞在している。2010年12月、スウェーデンでの婦女暴行容疑で

かつてニクソン大統領の経済顧問を務めたハーバート・スタインの言葉だ。アメリカが抱える双子の赤字が急増しているのは問題だとする論者達への返答として発せられたこの言葉は、現在でも語り草になっているそうだ。どのみちストップするのは分かりきっている。問題はどのようにストップさせるかだ。スタインがこの短い一節をもって示唆したのは、そういうことだった。 著者はこのエピソ

最近、歴史を意識させられることが多い。竹島でも尖閣でも、結局のところ歴史的経緯から紐解いていく必要が生じている。尖閣問題では中国国内で大規模な反日暴動が発生し、多くの日本人が心を痛めたのは記憶に新しいが、日本側が「領土問題など存在しない」と主張したところで、中国や台湾にとっては歴史問題であって、最後はどうしても同じ場所、つまり「日本の近現代史」に行き着いてし

リーダーとは、つまり何だろうか。本書を読みながら、そんなことを考えてみた。 そして、私なりに辿り着いた(暫定的な)答えを、この場に書きとめてみたい。 人によって中心に据えられ、人を中心に据えることでそれに報いる存在。 それこそが、リーダーではないかと。 ネビル・イズデル。2004年6月、当時泥沼に喘いでいたコカ・コーラのCEOに就任し、5年間の在任期間中に見

街と町は、違う。 私とあたしも、違う。 そして空地と空き地も、きっとどこか違う。 最初の1冊が取り扱うのは、「(公ではない)私が変えていく街」だ。 そこでは、空地は地価と収益性でシビアに評価され、市場の論理に翻弄される。 2冊目は「あたしがぶらつき、シャッターを切った町」の物語だ。 そこには、そもそも空き地がほとんど残っていないけれど、残された数少ない空き地

本書の表題を一目見て、ふと思わなかっただろうか。 そういえば、最後に銀行マンと会ったのはいつのことだったろうか、と。 そしてそれは、おそらく極めて普通の感覚だ。 事業家でもなければ企業で財務部門に勤務している訳でもなく、個人として住宅の購入も特に考えていないとすると、日常生活において銀行マンと会うことなどまずないだろう。特別な事情がないのに銀行マンと頻繁に会

「ところで―」 男が問いかけてくる。「君は1日に、どのくらいテレビを見るのかね。」 そして、諭すような口調で続ける。「30分未満がいい。長いことテレビを見ていると不幸になる。2時間半も見ようものなら、もはや両脚をどっぷりと不幸に埋めているようなものだ。」 すると、別の男が横から口を挟む。 「それでも、仮に君が左利きだったとするならば、運命は変わってくるかもし

想像してみてほしい。 産まれて間もない息子が眠るベビーベッドの上からテニスボールのモビールを吊るし、息子の右手に卓球のラケットをくくりつけて「ボールを打ってごらん」と語りかけたというテニス狂の父親に育てられ、テニスをしたいかと誰からも問われることのないままに、テニスが人生そのものとなっていった少年のことを。 わずか7歳にして、「ドラゴン」と名づけられた改造ボ