
月刊『PEN 3/1号』 特集「キリスト教とは何か。」
キリスト教や宗教画の初心者にとっては、この号は買いだと思う。26ページからキリスト教の基礎知識、34ページから63ページまではこの特集の目玉である「西洋絵画で読み解くキリスト教の世界」、途中に旧約聖書と新約聖書の系図をはさむ。 66ページからはヴァチカンと見どころ、古今東西の教会建築、キリスト教のシンボル博物学、そして音楽と映画までで99ページの出来上がりだ
HONZ代表
(2024年当時)
583記事

キリスト教や宗教画の初心者にとっては、この号は買いだと思う。26ページからキリスト教の基礎知識、34ページから63ページまではこの特集の目玉である「西洋絵画で読み解くキリスト教の世界」、途中に旧約聖書と新約聖書の系図をはさむ。 66ページからはヴァチカンと見どころ、古今東西の教会建築、キリスト教のシンボル博物学、そして音楽と映画までで99ページの出来上がりだ

帯には「日本橋は、なぜNihombashiと書かれているのか?」「日本語最大のミステリーを解く!」とある。帯の裏にも「西洋人は『んー』が大嫌い」「古事記には『ん』はなかった「「空海も創造主のひとり」などなどじつに面白そうなコピーが並んでいる。しかも、本のタイトルは直球勝負で『ん』これで売れないわけがない。 ところだ。本書はじつに難しい。よほどこの分野に高い関

おそらく若いアーティストを対象として出版された本である。帯には「ムナーリに学べ!ピカソから盗め!千利休に尋ねよ!」とある。見開き1ページで1人のアーティストが登場する。右のページにはそのアーティストの代表的な作品が、左にお言葉が載っている。 まずは帯がお勧めするピカソだ。「アヴィニオンの娘たち」の左には「芸術家とは 何処からともなく現れる インスピレーション

医薬品における「2010年問題」とその背景についてていねいに解説したのが本書『医薬品クライシス』だ。2010年問題とは、ここ数年のあいだに大型医薬品の特許が切れ、大手製薬会社の収益が激減することをいう。 たとえば武田薬品は2007年から2011年の間に3つの主力製品の特許が切れる。この3剤の売上合計は1兆円を超えているのだ。ほかの製薬会社も大同小異で、すでに

新潮社のY編集者からいただいた本だ。そろそろ準備しろということであろうか。四捨五入するとまだ50歳である。無礼者。ぞろ目になる9月になってから読んでみるかと一旦は書庫に入れた。じつはおとめ座なのだ。 とはいえ、ヒマ人にとっては目を逸らすことができない本だ。正直「青春18きっぷ」はどうでもよいのだが、紹介されている50あまりの旅のプランをつい見入ってしまう。各

本年のMYBEST10の一冊に残る本かもしれない。なにしろ、たいがいの自己啓発書やセミナーは間違いであるばかりか、人の自身や幸福にまで悪影響を与えかねないというのだ。そこで、著者はちゃんとした自己啓発書を書いたというのが本書だ。厚顔にも、ビジネス書は役に立たないので読むな、というビジネス書を書いた人が日本にもいたことを思い出した。 まずは本書が否定する、「は

週刊「東洋経済」が2月6日特大号で読み応えのある特集をしている。「2020年の世界と日本」だ。社内記者による週刊「エコノミスト」のような記事づくりが成功しつづけているようだ。面白そうなので、記事のいちいちにコメントしてみる。 「5人の賢人が描く2020年」というサブ特集ではジョージ・フリードマン、エズラ・ボーゲル、大前研一、金燦栄、中西輝政の5人が登場する。

特集パート1はこのあと「日米同盟」「アメリカ保守主義」「アメリカ経済」「中国経済」「EU」「北朝鮮」「ロシア」と国別に語られて「食料問題」で締めくくられる。なかなか面白い。 パート2は「激変するビジネス環境」で、そのトップ記事は「トヨタはナンバー1を維持できるか」だ。妹尾堅一郎と延岡健太郎が対論している。 妹尾はガソリン車から電気自動車に移行すると、垂直統合




この本一冊で、たとえばホーカー・ハリアーのGR.MR1からF/A.Mk2まで14タイプの違いを理解することができる。たとえば、TAV-8AハリアーはAV-8Aをベースにした複座訓練型だ。普通の人にはまったく存在そのものが不明な本かもしれない。以上。


じつはお薦めの歌舞伎入門書というのがあまりみあたらないのだ。多くの歌舞伎に関する本が「ストーリー紹介」であったり、「役者リスト」であったり、立派な「演劇論」であったりするばかりで、「歌舞伎ってマジ面白いんだよ」という、共感を求めるように書かれている本が少ないのだ。 江戸時代から歌舞伎ファンの多くは「役者」を見に来ている。自分が贔屓にする役者がどう演じるかを見


じつは『本は10冊同時に読め』の続編を執筆中である。そのために何冊か最近の読書本を読んでみたのだが、やはり本書が面白かった。佐藤優は相変わらずの衒学趣味の匂いがする「知の怪物」なのだが、あくまでも「文系の知」でしかないように思えてしまう。つまり世界の半分しか知らないということになる。しかし、その世界の半分について佐藤はまさに比類なき「怪物」だ。 それに比べて




単行本だけで読みかけの本がこれだけある。読みかけとは本文を少なくとも10ページは読んでいるということだ。この2倍以上の本に目を通したのだが、12月の予選を通過したのはこの12冊である。発注中の科学読み物などが追加されるので、年末年始は大変なことになりそうだ。 さすが年末だ。そこへファイナル・ファンタジー13とゼルダの伝説の新作が届いたのである。FF13につい

5人の江戸学者たちの論文集である。それぞれの学者はこの分野の出版活動では有名である。ボク自身が最近読んだ本をあげて紹介すると。『天下人の一級資料』の山本博文、『首都江戸の誕生』の大石学、『殿様の通信簿』の磯田道史、『幕末日本の情報活動』の岩下哲典の4人を江戸東京博物館館長の竹内誠がたばねている。 竹内による序論によると、2005年に竹内の呼びかけで「日本人再


専門家からは批判があろうが、著者はアナール派というよりも、ブローデル派とでもいうべき歴史学者だ。気候がどのように歴史に影響を与えたかというアプローチであり、それはフェーブルとは異質で、まさにブローデル的である。 ともあれ、本書は「11世紀以降」の「ヨーロッパ史」に気候が与えた影響、または気候変動が作りだしたヨーロッパ人の活動史についての入門書だ。けっして「地

タイトルで買った本だ。この新書の「みんなが知りたいシリーズ」の一冊なのだが、「ええーっ!みんな、そんなにペンギンのことを知りたいのか」「もしかすると、オレだけがペンギンにさほど興味を持ってなかったのか」「ところでみんなって一体誰なんだ」など、ペンギンについてではなくタイトルのほうに気がそそられてしまう。 読みすすめると、たしかにペンギンは可愛い。シュレーター

『北斎漫画』が好きだ。何千人もでてくる人物はそれぞれに可笑しみがあり、当時の風俗を知る画像情報でもある。 『洛中洛外図屏風』も好きだ。金箔を使った狩野派による屏風絵だ。もちろん、諸国の大名などが京を知るための画像情報が本分である。 ところで本書の著者である山口晃によれば「イギリスが狩野派を讃えるのをあてこすって、フランスが「北斎がすごい」と持ち上げた」のだと


読みながら「ふーん」「へーっ」「はぁー」「ほーっ」と感嘆詞が止まらない。帯には「大名行列はなぜ長い? 派遣・アルバイト・格差社会・・・」などとあるから、面白江戸読み物だと思うとさにあらずだ。 著者の主要著書は『近世武家社会の形成と構造』などであるから、けっして歴史読み物作家ではなく、立派な史学の先生なのだ。「あとがき」でも大名行列に注目している理由として「近

非常に要領よくナノエレクトロニクスの進展とそれに関わる日本人研究者について書かれた本である。テーマの選択も妥当であり、この分野の啓もう書としてはもっとも優れた本であろう。6つの主要技術についてそれぞれ1章をつかって説明したあとに、これからのナノエレクトロニクスについて語るという構成だ。 第1章は集積回路についてだ。キャパシタとMOSFETなどを使って視覚的に

東芝の現役エンジニアが書いた本である。専門は工業用CTだ。CTの工学的な入門書というようなものはなく、CTで人体以外のものを見たら意外と面白かったという感動を伝えたかったらしい。 前半ではレーシングカーのエンジン、メロン、牛、マンモス、異物発見、文化財などを、それぞれの依頼人の要望に合わせて切ってみせる。メロンの味は糖分だけで決まらず、意外にもCTで判るとい

本書のタイトルは『キリマンジャロの雪が消えていく』と抒情的だし、副題も「アフリカ環境報告」で、地球温暖化を恨むばかりの、ありふれた書籍の一冊であるように見える。 しかし、本書において温暖化問題は議論の一部でしかない。人口爆発とその影響、天然資源とガバナンス、先進国の援助とその光と影など、多様な観点からアフリカの現在が描き出されている。 これからは本書を読んで

kiokadaさんからいただいたコメントに対するレスポンスである。本書は20才の時に読んだ。読了後、日銀に入りたいと熱望した、外務省でももちろん良いと思った。しかし、学力が全くついていかなかった。本当に悲しかったのは覚えているが、結局すぐ忘れて別の本を読んでいたのだろう。もちろんお会いしたことはないが、服部正也さんはいまでもボクのヒーローである。 1965年

著者は数理生態学を専門とする進化理論の研究者である。5年ほどまえに『素数ゼミの謎』という本で科学好きの間で話題になった学者だ。 アメリカには13年や17年という長周期で大発生するセミがいる。その周期がなぜ素数なのかという理由を進化の観点からつきとめたのだ。 本書はいよいよ著者の本職である生物の進化について、一般人にも分かりやすく書き下ろした本だ。著者によれば

帯は小山薫堂氏だ。「すべてを手に入れた男こそ、読むべし!これから夢に向かう男も読むべし!料理の腕があがる分だけ。人生はもっと豊かになる。」本書はミシュラン3ツ星シェフによる料理指南書だ。 紹介されているレシピは「鶏のむね肉の炭火焼」「大根のステーキ」「目玉焼き」「オムライス」など材料も手ごろで挑戦できそうなものもあるが、「特上サーロインステーキのたれ焼き」「

まだ発売されていない本の書評だ。じつは本書の監修をしている伊藤正治はボクの元コーチである。自宅から一番近い打ちっぱなし練習場、武蔵グランドゴルフで開業している独立レッスンプロだ。一昨年、レッスンを受け始めたのだが、2ヶ月後に腰痛で入院してレッスンは中断した。入院したのはボクではなくプロのほうだ。 しばらくしてホリエモンとゴルフをしているときにゴルフ本を出すこ


先週、ロンドンのシティを歩いていたら、いきなり9・11が激しくフラッシュバックした。9・11の夜は赤坂のイギリスパブのようなところで友人たちと飲んでいたからかもしれない。 第1報は当時財務省から経産省へ出向していた岸本周平(現民主党衆議院議員)の携帯に入った。WTCの飛行機が激突したという。彼は慌てて役所に帰っていった。次々と役人たちの携帯が鳴る。このときば

新刊自著の紹介-自信作です-いくつかの章を丸ごと抜き書きしてみます ■失敗しないためのただ一つの方法 挫折や失敗を知らない人はダメだと言われることがあるが、私はそんなことはまったく信じていない。私自身これまでに挫折をしたことはないし、これからもしたくはない。それでも自分がダメだとは決して思わないのだ。 マイクロソフトで部長をやっていたとき、ある人から「君は失


『世紀の新薬発見 その光と影の物語』は二つのまったく異なる自伝をまとめた本だ。ひとつは結核の特効薬ストレプトマイシン発見の物語。もうひとつはナチによるホロコーストの幼児生存者の物語だ。今回はその前半を取り上げてみたい。 ストレプトマイシンが発見されるまで肺結核は死の病であった。1950年までは日本においえる死亡原因の一位である。 数億人もの人類を救うことにな

今月号はお買い得だ。これで1400円は安い。素晴らしい写真と文章による冷泉家と家宝についての特集だ。現在、東京都美術館で開催されている「冷泉家 王朝の和歌守展」とリンクした特集なのだが、東京在住の人にとってもこの号を読むだけで満足してしまいそうだ。 ともかく美しい。定家の「拾遺愚草」も美しいが、俊成の「日野切千載集」には圧倒される。まさに「仮名のきわみ」だ。