ノンフィクションはこれを読め!

仲野 徹

1957年、「主婦の店ダイエー」と同じ年に同じ町(大阪市旭区千林)に生まれる。大阪大学医学部卒業後、内科医から研究の道へ。京都大学医学部講師などを経て、大阪大学大学院・生命機能研究科および医学系研究科教授。専門は「いろんな細胞がどうやってできてくるのだろうか」学。
http://www.fbs.osaka-u.ac.jp/labs/nakano/
ノンフィクション、とりわけ伝記が好き。それが昂じて専門誌に「なかのとおるの生命科学者の伝記を読む」を連載。単行本(学研メディカル秀潤社)として上梓したところ、成毛代表の目にとまりHONZに参加。書籍購入費の抑制、および、仕事と飲酒と読書のバランスとれた鼎立、が永遠の課題。

(2024年当時)

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”史上最強の女犯罪者”  『別海から来た女』 書影

事件・事故 / おすすめ本レビュー

”史上最強の女犯罪者” 『別海から来た女』

「これは、私の書いた『東電OL殺人事件』を超える事件だ」と帯に書く佐野眞一、怒りに燃えた渾身の一冊である。その怒りが読む側にもひしひしと伝わってくる、死刑判決も記憶に新しい「首都圏連続不審死事件」、毒婦・木嶋佳苗についての本である。ワイドショー的事件はけっして嫌いではない。しかし、この事件だけは、何故か見聞きするのが忌まわしいような気がして避けていた。しかし

師匠のために死ねますか?  『師弟』 書影

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師匠のために死ねますか?  『師弟』

日々、喜怒哀楽の中で、笑ったり泣いたりしながら生きているが、泣き笑いすることはめったにない。そのためだろうか、私だけかもしれないが、落語や演劇を見て、泣き笑い状態に陥るのがものすごく好きである。しかし、なかなかそのような芸を見せてくれる芸人さんはいない。東の立川志の輔、西の藤山直美、というのが私的にはイチオシなのであるが、本を読んで泣き笑いということは、相当

そこにしかないものの魅力 『京都の中華』 書影

民俗・風俗 / おすすめ本レビュー

そこにしかないものの魅力 『京都の中華』

レンズもないのに、小さな穴を通った景色は、あわい色合いでほんのりと確実に像を結ぶ。でも、じっとしているものしか写せない。ピンホールカメラをはじめて知った時、不思議でたまりませんでした。この本は、中華料理、という、京都にとっては小さな針穴、そして、おそらくこれまでは誰も気にしなかった針穴、を上手に使って、優しくそして静謐に京都を描き出した本なのです。 とりあげ

天下無用のお手引き書 『武士マニュアル』 書影

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天下無用のお手引き書 『武士マニュアル』

世にマニュアルはあふれている。Amazonで「マニュアル」というキーワード検索をしたら、1万8千件近くもヒットした。世間の人たちはかくもマニュアルを欲しているのであり、あまたあるマニュアルたちも、その人達に役立とうとがんばっているのである。しかし、ここに画期的なマニュアル本が登場した。今の世にまったく役にたたないマニュアルなのである。武士が跋扈した時代、我々

生き方はサルに訊け! 『サルたちの遺言 -宮崎県幸島・サルと私の六十五年-』 書影

サイエンス / おすすめ本レビュー

生き方はサルに訊け! 『サルたちの遺言 -宮崎県幸島・サルと私の六十五年-』

徒然草ではないが「すこしの事にも先達はあらまほしきこと」なのである。日々の生活、最後は自分で納得して決断していかなければならないけれど、迷ったり悩んだりした時は、つい誰かに教えてもらいたくなる。誰にたずねることができるか、で、その人の人生は大きくかわっていくだろう。かつて、開高健は『風に訊け』という連載で、多くの若者の人生に見事な指南を与えていた。三戸サツヱ

江夏豊の『エースの資格』 書影

アート・スポーツ / 新刊超速レビュー

江夏豊の『エースの資格』

プロ野球のエースといえば、誰を思い浮かべられるだろう。古くは沢村、そして、金田、村山、江川、鈴木、佐々木、野茂、ごく最近ではダルビッシュ。年齢と時代によってそれぞれに自分のエースがいるに違いない。わたしにとってのエースはなんといっても江夏である。オールスターゲームでの9連続奪三振、延長11回を投げきって自らのサヨナラホームランで仕上げたノーヒットノーラン、そ

不丹 賛嘆 探検譚 『未来国家 ブータン』 書影

民俗・風俗 / おすすめ本レビュー

不丹 賛嘆 探検譚 『未来国家 ブータン』

なにをかくそうブータン(漢字表記は「不丹」)のファンである、といってもたいしたことはない。2年前、ブータンがブームになる前に、「そうだ、ブータン行こう」と訪ブーし、すっかり魅せられてしまったのである。それでも縁あって、岩波書店の「科学」の「ブータン:<環境>と<幸福>の国」という特集では、なぜか「ブータニスト宣言」という、どう読んでも「科学」とはまったく関係

『文人悪妻』 新刊超速レビュー 書影

人物 / 新刊超速レビュー

『文人悪妻』 新刊超速レビュー

知る人ぞ知る「文人」シリーズ第三作である。『文人悪食』、『文人暴食』で、多くの文人を「食」の観点から描き出すという斬新なアイデアですさまじいまでの能力を見せたあの嵐山光三郎氏、こんどはどうくるかと思ったら、なんと『文人悪妻』である。そして嵐山氏、期待通りに、まえがきの冒頭から早くも全開で暴走してくれる。 “人妻という言葉ほど男心をコトコトと煮込み、ムラムラと

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まずは成毛代表のお許しをちょうだいいたしまして、ここにご挨拶申し上げたく存じます。HONZファンの皆々様から「新刊ちょい読み」という名でかわいがっていただいてまいりましたが、「ちょい読み」と申しますと、一字違いの「ちょい飲み」みたいな腰掛け感があるのではないか、というようなことが議論されるにいたりました。つとにお知りおきのこととは存じますが、HONZのメンバ

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はじめまして、『 なかのとおるの生命科学者の伝記を読む』 で、ごく一部ではおなじみの、浪速大学・仲野です。ここしばらくHONZ被害者同盟の暫定代表を務めておりましたが、このたび訳あって、読み手から書き手へ、すなわち、被害者から加害者へ、あっさり転向することになりました。よろしくお願いいたします。って、よろしくないですね、すみません。ところで、すっかり忘れてい