
小説 / HONZ客員レビュー
『カールシュタイン城夜話』by 出口治明
よくあることではあるが、先日は、この本のせいで、地下鉄を2駅、乗り過ごしてしまった。カバーも雅趣に富むが、中身はもっと雅趣に富む。1371年、時のローマ帝国ルクセンブルグ家のカレル4世が、首都プラハで毒(?)をもられ、郊外のカールシュタイン城で、静養することになった。同行した古くからの臣下3名が、皇帝の無聊を慰めるため、1週間連続して、毎夜3編ずつ、21編の
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小説 / HONZ客員レビュー
よくあることではあるが、先日は、この本のせいで、地下鉄を2駅、乗り過ごしてしまった。カバーも雅趣に富むが、中身はもっと雅趣に富む。1371年、時のローマ帝国ルクセンブルグ家のカレル4世が、首都プラハで毒(?)をもられ、郊外のカールシュタイン城で、静養することになった。同行した古くからの臣下3名が、皇帝の無聊を慰めるため、1週間連続して、毎夜3編ずつ、21編の

社会 / HONZ客員レビュー
高野秀行さんといえば東南アジアの西南シルクロード踏破やケシの栽培地域への潜入といった破天荒な探検でしられる作家だ。私の大学の探検部の先輩でもある。今度の旅の舞台はアフリカの一角に存在する小国ソマリランド。無法と暴力が蔓延るソマリア国内において、どういうわけか民主主義と治安を回復し、独立を謳った「謎の国家」だという。 ソマリランドは国際的には国家として認められ

夢を語ればその動機を問われ、信念を論ずればその根拠を訊ねられる。病があれば病因を探りはじめ、事故があれば責任の所在が追及される。とかくに人の世は、結果と原因の究明に忙しい。 しかし世界は、原因と結果の連なりに回収できるほど単純にはできていない。いかにもはっきりとした原因と結果の連鎖も、それは辿っていくうちに、複雑に絡みあう世界のネットワークの中に消散してしま