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おすすめ本レビュー

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『岩井克人「欲望の貨幣論」を語る』「貨幣とは何か?」というシンプルで極めて難解な問い 書影

社会 / おすすめ本レビュー

『岩井克人「欲望の貨幣論」を語る』「貨幣とは何か?」というシンプルで極めて難解な問い

「貨幣とは何か?」「その価値の根拠はどこにあるのか?」 これは誰でも一度は考えてみたことがあり、古代ギリシアの哲人アリストテレス以来、多くの哲学者や経済学者によって考察がなされてきた、シンプルでありながら実は極めて難解な問いである。マルクスの言葉を借りれば、貨幣とは「形而上学的な不思議さに満ち満ちた存在」なのである。 本書は、日本を代表する経済学者で、稀代の

『探偵の現場』依頼の77%は不倫調査! 奇々怪々な日本の不倫現場ノンフィクション 書影

教養・雑学 / 社会

『探偵の現場』依頼の77%は不倫調査! 奇々怪々な日本の不倫現場ノンフィクション

探偵と聞くと、即座にユニークな名探偵たちの姿が思い浮かぶ。明晰な頭脳と驚異の観察眼を持ち、ヘビースモーカーで薬物中毒でもある世界一有名なあの顧問探偵。同じく英国発で灰色の脳細胞が自慢の小男。日本発ならボサボサの蓬髪に形の崩れた帽子を被りよれよれの着物を着た清潔感のない中年男、等々。 だが、悲しいことに彼らは架空の人物だ。実際のところ、街角で探偵社のポスターや

『震災と行方不明』喪われたつながりを求めて 書影

社会 / 事件・事故

『震災と行方不明』喪われたつながりを求めて

新型コロナウィルス禍によって東日本大震災3.11の政府主催の追悼式は中止となり、総理官邸での献花式が行われた。被災した各地方での追悼式も規模の縮小などを余儀なくされ、震災から9年目のこの日は、それぞれの胸の中であの日を思い出していた。 東北学院大学教養学部地域構想学科、金菱清ゼミナールによる震災の記録ブロジェクトから出版された震災関係の本はこれで10冊目にな

『昔は面白かったな 回想の文壇交友録』文壇を回顧する超高齢対談、見え隠れする死の影 書影

教養・雑学 / おすすめ本レビュー

『昔は面白かったな 回想の文壇交友録』文壇を回顧する超高齢対談、見え隠れする死の影

「昔よ、もう一度」とノスタルジーに浸っていては、革新は生まれない。過去よりも未来を知りたいという意見も、もっともだ。だが、1930年代生まれ、卒寿に近い方々に「思い出に浸るな」というのは酷だろう。むしろ、人生100年時代が現実になりつつある今、回顧に回顧を重ねる本書は「超高齢者による高齢者向けの書籍」という新たなジャンルを拓(ひら)く一冊になるかもしれない。

『だれもが<科学者>になれる!』って嘗めとんのかっ! 書影

教養・雑学 / おすすめ本レビュー

『だれもが<科学者>になれる!』って嘗めとんのかっ!

大学入試改革についての議論がにぎやかだ。現行の制度に多くの問題があることは間違いない。それ以前に、そもそも大学入試が目的化している教育の現状こそが問題ではないのか。 『だれもが<科学者>になれる』という書名を見た時には驚いた。科学者という生業はそんなに甘くないぞ。しかし、内容は、職業としての科学者ではなく、米国の小学校でおこなわれている「探究理科」教育につい

そうだったのか!『ウォーキングの科学』で健康に 書影

医学・心理学 / おすすめ本レビュー

そうだったのか!『ウォーキングの科学』で健康に

生活習慣病だけじゃなくて、がんや認知症の予防にまで適度な運動が望ましいとされてるらしいけど、適度な運動っていったいどれくらいやのん?よく受ける質問だが、どう答えたらいいかわからない。 ウォーキングがいいという噂なので、個人的には、3~4年前から1日1万歩を心がけている。雨の日や家に引きこもりの日もあるが、年間平均で1日あたり1万歩を超えていて、まぁ、ええ感じ

枕、本題、オチの奥深さ 『ビジネスエリートがなぜか身につけている 教養としての落語』 書影

教養・雑学 / おすすめ本レビュー

枕、本題、オチの奥深さ 『ビジネスエリートがなぜか身につけている 教養としての落語』

オギャーと産まれ、人は学校や家庭や世の中などから色々なことを学んでいきます。若いってことは美しいもので「君たちはどう生きるか」なんてことを懸命に考えながら、成長していきます。それはまるで、地球に就職しているような時期です。 やがて企業に就職すると、視野は一気に狭くなり、経済的な価値が頭の中心を占めるようになります。そんな時期を長らく過ごして定年退職すると、ほ

『戦争は女の顔をしていない 1』女たちの独ソ戦の記憶、決死の覚悟で求めたものとは 書影

社会 / おすすめ本レビュー

『戦争は女の顔をしていない 1』女たちの独ソ戦の記憶、決死の覚悟で求めたものとは

発売直後から、私のSNSのタイムラインには「あの名作がついに」「まさかのコミック化」と、賛辞のコメントが相次いだ。独ソ戦という、日本ではあまり知られることのなかった出来事が、なぜこんなに多くの人の心を動かすのか? 思わず手に取らずにはいられなかった一冊だ。 原作は、2015年にノーベル文学賞を受賞したスヴェトラーナ・アレクシエーヴィチのデビュー作である。独ソ

『2050年 世界人口大減少』と『人口で語る世界史』2050年以降の世界人口は減少に転じるのか? 書影

社会 / おすすめ本レビュー

『2050年 世界人口大減少』と『人口で語る世界史』2050年以降の世界人口は減少に転じるのか?

経営学者で未来学者のピーター・ドラッカーは、1985年の著書『イノベーションと起業家精神』の中で、未来予測における人口動態(demography)の有用性について、「人口、年齢、雇用、教育、所得など人口構造にかかわる変化ほど明白なものはない。見誤りようがない。予測が容易である。リードタイムまで明らかである」と語っている。 昨年6月に発表された国連報告書『世界

科学の歴史がこの一冊に!──『世界を変えた150の科学の本』 書影

サイエンス / おすすめ本レビュー

科学の歴史がこの一冊に!──『世界を変えた150の科学の本』

この『世界を変えた150の科学の本』は、科学の歴史上重要とみられる科学ノンフィクションを150冊以上紹介した本になる。本は270ページだが、大判のフルカラーで、150冊の本の中身だったり図版だったり表紙だったりが所狭しと並んでいて、ずっしりと重厚で、中身が詰まっている。記述がおもしろいのはもちろんだが、図版などをぱらぱら見ているだけでも楽しい。 まだ本という

『未来をつくる言葉 わかりあえなさをつなぐために』あえて、幼い子どもがいる家庭にすすめたい 書影

アート・スポーツ / 人物

『未来をつくる言葉 わかりあえなさをつなぐために』あえて、幼い子どもがいる家庭にすすめたい

物心がつく頃になると、彼が世界のあちらこちらに散在する家族と電話で話すときに口にする様々な言語の響きを聴きながら、「一体この人にはどんな世界が見えているのだろう」と不思議に感じた 著者は、遺伝学上はアジア諸国の混血でありながら、東京でフランス国籍者として生まれた出自を持つ。さらに、子ども時代の言語獲得、濁音との共生、高校時代はパリでフランス語を、大学在学中は

ドミニク・チェンって何者だ? 『未来をつくる言葉:わかりあえなさをつなぐために』 書影

人物 / おすすめ本レビュー

ドミニク・チェンって何者だ? 『未来をつくる言葉:わかりあえなさをつなぐために』

この本、HONZの、そして新潮社の編集者でもある足立真穂から送られてきた。ドミニク・チェン、最近、ときどき目にする名前だが予備知識はまったくない。「ドミニク・チェンって何者なん?」とメッセージを送ったら、「それを聞かれるので書いてもらった一冊です」と返事が来た。さすが敏腕編集者、あざといことを言う。 そして読んだ。ドミニク・チェンが何者かがわかったかと尋ねら

『クリーンミート 培養肉が世界を変える』若者たちは培養肉で新たな緑の革命を目指す 書影

ビジネス / おすすめ本レビュー

『クリーンミート 培養肉が世界を変える』若者たちは培養肉で新たな緑の革命を目指す

2013年にマーク・ポストとピーター・フェアストラータというオランダ人研究者2人が、世界初の培養肉で作られたハンバーガーを発表した。培養肉でできたパテの値段は33万ドルという高額なものだった。 わざわざ動物の細胞を採取し試験管内で高価な肉を培養する必要があるのかと、いぶかる人もいるであろう。 そんな疑問に答えてくれるのが本書だ。本書は培養肉を「クリーンミート

『シン・ニホン』未来を予測するのに一番良い方法は、それを発明することである 書影

社会 / おすすめ本レビュー

『シン・ニホン』未来を予測するのに一番良い方法は、それを発明することである

本書は10年前に発売された安宅和人氏の名著『イシューからはじめよ』の続編とも言える、ファクトベースの現状分析に基づいた、新たな時代に向けての日本社会への提言書である。 本書の主題は、冒頭にある以下の文章に集約されている。 「ほとんどの人は、あまりにも多くのことが変数として一気に動く目まぐるしさの中で、変化が落ち着く日を待っているようだ。でも、残念ながらそんな

『Gift-物語るケア』人はどう生きどう死ぬのか 看護・介護現場の貴重な証言集 書影

医学・心理学 / おすすめ本レビュー

『Gift-物語るケア』人はどう生きどう死ぬのか 看護・介護現場の貴重な証言集

昨年、一人暮らしをする88歳の母の家を大きくリフォームした。足腰が弱くなり、生活に不安が出始めて、初めて今後の希望を聞くと、ヘルパーさんの手を借りて現状のまま家で暮らしたいと強く言う。 ならばと、ケアマネ、看護師、介護士、専門業者の知恵を借り、手すりをつけ段差を解消し、介護ベッドや高齢者用の台所を一気に導入してみた。 日常の動線を見直すだけで、こんなに変わる

「知の巨人」立花隆のすべてがここに『知の旅は終わらない 僕が3万冊を読み100冊を書いて考えてきたこと』 書影

人物 / おすすめ本レビュー

「知の巨人」立花隆のすべてがここに『知の旅は終わらない 僕が3万冊を読み100冊を書いて考えてきたこと』

立花隆 といえば、誰がなんと言おうと言おうまいと『宇宙からの帰還』である。立花隆の最高傑作というだけでなく、日本のノンフィクションとして、他を全く寄せ付けない、世界に通用する空前絶後の作品だと断言できる。 1983年に出版されたその本以来、立花隆の本を何冊読んできたかわからない。それに、露出の多い人なので、ある程度のことは知っていると思っていた。しかし、この

再生可能エネルギーを前提としたインフラへと大転換するための道筋を示した一冊──『グローバル・グリーン・ニューディール: 2028年までに化石燃料文明は崩壊、大胆な経済プランが地球上の生命を救う』 書影

社会 / おすすめ本レビュー

再生可能エネルギーを前提としたインフラへと大転換するための道筋を示した一冊──『グローバル・グリーン・ニューディール: 2028年までに化石燃料文明は崩壊、大胆な経済プランが地球上の生命を救う』

『第三次産業革命』、『限界費用ゼロ社会』などの著作でこれから先のエネルギー源、都市インフラについて一貫した提言を行ってきたジェレミー・リフキンによるこの最新作は、副題にも入っている通り、化石燃料文明の崩壊に備えて再生可能エネルギーを主軸にした新しいインフラを、今こそ整備するときであるという現状の紹介とこれからについての提言の書である。 現在、地球上では温室効

『日本のアートマーケットが1兆円になる日』市場の夜明け 書影

アート・スポーツ / おすすめ本レビュー

『日本のアートマーケットが1兆円になる日』市場の夜明け

シェイクスピアの劇曲マクベスに "The night is long that never finds the day." 「明けない夜はない」という言葉がある。真意はどちらだろう。通常は「希望の朝は必ずやってくる」という例えだが、直訳すると「夜は永遠に明けない」という意味にもとれる。 いま世界の美術市場は7兆円、日本は150~200億円といわれる※。これは

『イージス・アショアを追う』国の防衛政策を徹底検証、地方新聞の戦いの記録 書影

社会 / おすすめ本レビュー

『イージス・アショアを追う』国の防衛政策を徹底検証、地方新聞の戦いの記録

発端は、読売新聞の記事だった。2017年11月11日の朝刊で「イージス・アショア」という新たなミサイル防衛システムを国が導入するにあたり、秋田と山口が配備先に挙がっていると報じた。 地元紙・秋田 魁(さきがけ) 新報の記者たちは当初、イージス・アショアがどのようなものか知らなかった。だが、自分たちの街がミサイル防衛の最前線に位置づけられそうになっていることだ

『孤塁』初めて語られた双葉郡消防士たちの「あの日」 書影

社会 / 事件・事故

『孤塁』初めて語られた双葉郡消防士たちの「あの日」

あの日、あなたはどこで何をしていただろうか。 2011年3月11日、福島県双葉郡では、多くの学校で卒業式が執り行われた。子どもたちは通い慣れた校舎に名残惜しさを感じながら、未来への希望に胸を膨らませていたに違いない。だが14時46分、巨大地震がこの地を襲った。 本書は、双葉郡の消防士たちが初めて「あの日」について語ったノンフィクションである。震災について書か

『スクエア・アンド・タワー』ネットワークと階層制組織 2軸で読み解く世界の歴史 書影

社会 / おすすめ本レビュー

『スクエア・アンド・タワー』ネットワークと階層制組織 2軸で読み解く世界の歴史

本書は『タイム』誌の「世界で最も影響力のある100人」に選ばれ、今、世界で最も優れた知性の一人といわれる歴史学者ニーアル・ファーガソンが、過去500年にわたる世界の歴史を、国家や企業など「垂直に伸びる階層制組織(タワー)」と、革命運動やSNS(交流サイト)など「ヨコに広がる草の根のネットワーク(スクエア)」という斬新な切り口で読み解いた画期的な本である。 フ

『最期の言葉の村へ──消滅危機言語タヤップを話す人々との30年』 言語とともに消え去っていくものたち 書影

民俗・風俗 / 世界史

『最期の言葉の村へ──消滅危機言語タヤップを話す人々との30年』 言語とともに消え去っていくものたち

タヤップ語。それは、パプアニューギニアの熱帯雨林の奥深くにある小さな村で話されている言語である。そして、その言語はいままさにこの世界から消え去ろうとしている。 「言語はなぜ消滅してしまうのか」。1980年代、当時大学院生だった本書の著者は、その謎を明らかにしたいと切望し、単身で熱帯雨林の奥地に潜り込む。当時、どんな地図にも載っておらず、そこを訪れた白人もほと

皆ひとしく、その時に向かっている 『エンド・オブ・ライフ』 書影

教養・雑学 / おすすめ本レビュー

皆ひとしく、その時に向かっている 『エンド・オブ・ライフ』

何もない土曜日。我が家で最初に「行ってきます」を言ったのは、84歳の母だった。朝8時、迎えに来たデイサービスの車に車椅子のまま乗り込んでいった。そしてさっき、「お年玉でオモチャを買いたい」という息子と「友達の誕生日プレゼントを買いたい」という娘を連れて、妻が出ていった。そして、私は一人リビングに残された。 早速、昨日泣きながら読んだ本書『エンド・オブ・ライフ

『息子たちよ』週1日「五時間の父親」が2人の息子に寄せた思い 書影

教養・雑学 / おすすめ本レビュー

『息子たちよ』週1日「五時間の父親」が2人の息子に寄せた思い

平成の終わりに、「子を持つ男子たる者、イクメンにあらずんば人にあらず」のような空気が一時流れたが、男性の育児休業の取得率は依然低調だ。厚生労働省の調べでは6%にとどまり、取得期間も5日未満が約6割を占める。「それでは有給休暇と変わらないのでは」という突っ込みはもっともだ。 とはいえ、世の父親は子を思っていないわけではない。時代が変わり始めたとはいえ、同調圧力

『プログレッシブ キャピタリズム』経済学が目指すべき目的とは? 書影

社会 / おすすめ本レビュー

『プログレッシブ キャピタリズム』経済学が目指すべき目的とは?

本書の著者であるコロンビア大学のジョセフ・スティグリッツ教授は、非対称情報下での市場経済理論への貢献により、2001年にジョージ・アカロフ、マイケル・スペンスと共にノーベル経済学賞を受賞した経済学の泰斗である。 研究面において優れた論文を多数発表し、米国の経済政策に大きな影響を与えたのみならず、クリントン政権で大統領経済諮問委員会委員長、世界銀行で上級副総裁

『得する、徳。』徳を積む恩恵 書影

教養・雑学 / 社会

『得する、徳。』徳を積む恩恵

ペンシルベニア大学教授のアダム・グラントは、人間を「ギバー(人に惜しみなく与える人)」「テイカー(自分の利益を優先させる人)」「マッチャー(状況によってギバーにもテイカーにもなる人)」と3種に分類した。そしてギバーこそが、成功者になれることを実験と調査で明らかにした。 本書は実際に徳を積むことで、どれだけ自分が得をするかを、渋沢栄一や土光敏夫など偉人から検証

『生まれてきたことが苦しいあなたに 最強のペシミスト・シオランの思想』人生がどうしようもないほど暗くむなしいときに悲観を楽しむ方法論 書影

人物 / 社会

『生まれてきたことが苦しいあなたに 最強のペシミスト・シオランの思想』人生がどうしようもないほど暗くむなしいときに悲観を楽しむ方法論

告白しよう。評者はずっと、なるべく他人と関わりたくないと祈りながら生きてきた。楽しいことも悲しいことも何も経験したいと思わない。誰かと揉めたり争ったりするなどもってのほかだ。人生の糧になる? 知るか。全部ストレスだ。願いは一つ、社会的接点を一切放棄して、永遠に寝床で布団にくるまっていたい……。 こんな暗い感情を披瀝したところで会話が盛り上がるはずがなく、賛同

年収が上がれば上がるほど幸せになれるのか?──『幸福の意外な正体 ~なぜ私たちは「幸せ」を求めるのか』 書影

医学・心理学 / おすすめ本レビュー

年収が上がれば上がるほど幸せになれるのか?──『幸福の意外な正体 ~なぜ私たちは「幸せ」を求めるのか』

幸福とはほとんどの人にとっての人生の目標なのではないだろうか。「いや、自分は幸福なんかどうでもいいですね。不幸になる権利が欲しいんです」という『すばらしい新世界』的な人もいなくはないだろうが、少なくとも僕は幸福でありたいと思う。自分の幸福ももちろんだが、近くにいる手の届く人たちも幸福でいてくれたらそれ以上はいうことはない。 だが、そもそも幸福とは何なのだろう

『ちくわぶの世界』を読んで悔い改めよ!喰い改めよ! 書影

教養・雑学 / おすすめ本レビュー

『ちくわぶの世界』を読んで悔い改めよ!喰い改めよ!

大阪にいると、ほとんどちくわぶなるものを目にすることもなければ、耳にすることもない。もちろん、口にすることもない。基本的にチャレンジャーなので、一度は食べてみるべきだ。と思ったわたしがアホでした。 名前から、竹輪と麩の中間的なものかと塑像していた。普通、そう思いますわな。竹輪は全国的におでん種として使われているし、麩は地域限定的かもしれないが、金沢おでんの車

『2050年のメディア』メディアの栄枯盛衰を辿る記録 書影

社会 / ビジネス

『2050年のメディア』メディアの栄枯盛衰を辿る記録

最初にパソコンを買ったのは1997年のこと。Windows95の発売で一般家庭でもコンピュータを持つことが普通になった。インターネットもダイアルアップで繋ぎ、ジリジリという音を聞きながら画像が出てくるのを待った。 思えばわずか20年ほど前のことだ。今では当たり前に手の中にスマホがあり、気になることはググれば済む。むしろ携帯を忘れると心細くてたまらない。若い世

『12人の花形伝統芸能-覚悟と情熱』を読んで古典芸能を見に行こう 書影

アート・スポーツ / おすすめ本レビュー

『12人の花形伝統芸能-覚悟と情熱』を読んで古典芸能を見に行こう

日本の伝統芸能である歌舞伎、文楽、能・狂言、演芸、それぞれから3人ずつ、計12人の「若手」が語り尽くしたインタビュー集である。 若手といっても年齢はかなりばらついている。平均年齢は38歳だが、歌舞伎の八代目市川染五郎の14歳から、文楽人形遣いの吉田玉助の53歳まで。 歌舞伎界からは染五郎と共に、尾上松也、中村壱太郎で、それぞれ34歳と29歳である。他に比べて

『映画監督 神代辰巳』読者を圧倒する重量と熱量! 日本映画史を辿る貴重な一冊 書影

アート・スポーツ / 人物

『映画監督 神代辰巳』読者を圧倒する重量と熱量! 日本映画史を辿る貴重な一冊

縦26.5センチ 横20センチ 厚さ4.5センチ。700ページ強で重さは1620グラム。価格は税別1万2000円。年末に入手してから、机の左側にずっと置かれている。持ち歩くことも、ベッドに仰向けになって読むこともできないので、家事や仕事の合間に椅子に背筋を伸ばして座り、少しずつ読み進めるほかはない。だがこの重量に見合う熱量に終始圧倒された。 1995年2月2

アフリカのエイズをなくせ! 『撃ち落とされたエイズの巨星』 書影

医学・心理学 / 人物

アフリカのエイズをなくせ! 『撃ち落とされたエイズの巨星』

『エイズの起源』(みすず書房)や『完治』(岩波書店)など、エイズ関連の優れた図書はたくさんある。その多くは、現代医学がエイズという病気に一丸となって取り組み、克服してきたかの成功物語である。 抗HIV薬が開発され、感染してもエイズの発症を抑えることができるようになった。1981年に最初の症例がNEJM(ニューイングランド医学雑誌)に発表されてわずか40年たら

『時間とテクノロジー』時間と空間、主観と客観。アイデンティティーのこれから 書影

社会 / おすすめ本レビュー

『時間とテクノロジー』時間と空間、主観と客観。アイデンティティーのこれから

ヒトはどこから来たのか? そしてどこへ行くのか? その答えを求めることは、人類にとって普遍的なテーマといえる。確かにわれわれは過去の歴史の中に答えを求め、そして行く末を夢想してきた。それは、時間感覚の中にこそ、われわれのアイデンティティーがあると固く信じてきたからだ。 しかし、この時間感覚というものは、時代によって移り変わるものである。室町時代のような中世に

『世界の起源 人類を決定づけた地球の歴史』グローバル経済を左右する地球環境のベースを正しく理解する 書影

サイエンス / おすすめ本レビュー

『世界の起源 人類を決定づけた地球の歴史』グローバル経済を左右する地球環境のベースを正しく理解する

地球上の自然環境がそこに住む人々の生き方を決定する、という考え方がある。「環境決定論」と呼ばれる思想で、四季が織りなす大自然に囲まれてきた日本人には比較的身近な見方でもある。 本書はこうした立場から、地球の誕生からさまざまな変遷を経て人間がどのように現在に至ったかを克明に論じる。副題に「人類を決定づけた地球の歴史」とあるように、地質学・地理学・地球物理学を駆

『本を売る技術』本屋における暗黙知がこの1冊に! 書影

教養・雑学 / おすすめ本レビュー

『本を売る技術』本屋における暗黙知がこの1冊に!

書店員の仕事にはマニュアルがなく、口伝や仕事を盗んで覚えるしかないと言われてきた。そんな中『本を売る技術』という本が売っていたので買ってみたところ、本書には自分が書店員になったときに口伝で教わったことや、誰からも教わることなく、働いていた間にトライ&エラーを繰り返して、最適解だと思ってやっていた技術が書かれていた。本書を読み終えたとき、書店員になったときに、

『得する、徳』は令和の「論語と算盤」だ! ということにしておきたい 書影

社会 / ビジネス

『得する、徳』は令和の「論語と算盤」だ! ということにしておきたい

この本が送られてきた時、腰が抜けるほど驚いた。あの栗下直也が徳を説くというのだ。すでに レビュー を書いているアーヤ藍ならずとも、栗下を知っている人なら全員が驚愕反応を示すはずだ。もちろん、日本中で栗下を知っている人はそう多くないだろうが、知らない人も同じくらい驚いていただきたい。 なにしろ、栗下といえば酒である。それしかない。HONZで飲み会があると、その

『21Lessons 21世紀の人類のための21の思考』急速に変化する世界をどう生きる 知の巨人が語る現代の問題21章 書影

社会 / おすすめ本レビュー

『21Lessons 21世紀の人類のための21の思考』急速に変化する世界をどう生きる 知の巨人が語る現代の問題21章

近年、急速に発展するテクノロジーと科学の進歩は、産業革命を超える社会的変化を私たちに強要しつつある。その変化は産業革命よりもはるかに大きく、そして速い。そのような現代の問題に警鐘を鳴らすのが、世界的なベストセラーとなった『サピエンス全史』の著者、ユヴァル・ノア・ハラリだ。 今作『21 Lessons』では科学、テクノロジー、哲学などの最新研究を取り入れながら

天邪鬼な人にもオススメできる、酔いどれ栗下直也が説く『得する、徳』 書影

教養・雑学 / 社会

天邪鬼な人にもオススメできる、酔いどれ栗下直也が説く『得する、徳』

年末、HONZメンバーの栗下直也から急なメッセージが飛んできた。 「新しい本を書きまして… ちなみに、酒の話は一切出てきません」 え、栗下さんから酒をとったら…(以下略)という気持ちに若干なりつつ、届いた包みを開けてみると出てきたタイトルが『得する、徳。』。 意外すぎるテーマに驚いた一方で、ちょっと啓発本っぽいタイトルに、天邪鬼な私は、少しあとずさってしまっ

『地形の思想史』岬、峠、島、麓、湾、台、半島、地形が生んだ多様な日本 書影

日本史 / おすすめ本レビュー

『地形の思想史』岬、峠、島、麓、湾、台、半島、地形が生んだ多様な日本

高畠通敏の『地方の王国』といえば、地方政治研究の重要古典である。高畠は政治学者でありながらジャーナリストのように地方に足を運び、戦後の保守政治を支えた日本各地の保守王国の実態に迫るルポルタージュを書き上げた。 なぜ田中角栄は旧新潟3区で圧倒的な強さを誇ったのか。高畠はその要因の1つに「豪雪」を挙げる。日本海から吹く湿気を含んだ季節風は、三国山脈を越える前に3