ノンフィクションはこれを読め!

おすすめ本レビュー

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『森瑤子の帽子』「女であること」と向き合い続けた作家の生涯 書影

人物 / 社会

『森瑤子の帽子』「女であること」と向き合い続けた作家の生涯

確かあれは夏木マリさんの舞台を番組スタッフと観に行った帰り道だった。 「カッコいい女の人、というと誰を思い浮かべます?」 若いスタッフに訊かれた。たぶん彼女は夏木さんのパフォーマンスに圧倒されていたのだろう。質問のかたちをとってはいるけれど、言外に「夏木さんほどカッコいい女性はいないですよね」というニュアンスが込められていた。 もちろん夏木マリは文句なしにカ

身近なれど未知なる障害『吃音 伝えられないもどかしさ』 書影

医学・心理学 / おすすめ本レビュー

身近なれど未知なる障害『吃音 伝えられないもどかしさ』

魂の一冊である。『吃音 伝えられないもどかしさ』は、自らも吃音に悩んだ近藤雄生が80人以上の吃音者と対話し、その現実に迫る渾身(こんしん)のノンフィクションだ。 吃音について何も知らなかった。8割は自然に治るとはいえ、幼少期に悩む子どもは約5%にも及ぶ。だから、吃音のある人は約1%、日本だけで約100万人もいる計算になる。 近藤によると、吃音には「曖昧さ」と

生産性をあげるための必殺技 ”どんな仕事も「25分+5分」で結果が出る ポモドーロ・テクニック入門” 書影

ビジネス / おすすめ本レビュー

生産性をあげるための必殺技 ”どんな仕事も「25分+5分」で結果が出る ポモドーロ・テクニック入門”

ポモドーロ・テクニックをご存じだろうか。生産性をあげるための必殺技である。なんら難しいものではない。25分を一単位にして仕事を区切る。ただし、その25分の間は、これをやると決めたテーマに集中する。電話に出たり、メールをチェックしたり、ネットで遊んだり、といったことは絶対にしない。そして5分休憩。それだけだ。( 詳しくはここを ) そんな方法で生産性があがるの

『1日3時間だけ働いておだやかに暮らすための思考法』 書影

ビジネス / おすすめ本レビュー

『1日3時間だけ働いておだやかに暮らすための思考法』

著者の山口揚平氏は、軽井沢と東京に居を構えながら一日3時間だけ働くというおだやかな暮らしを実践しているコンサルタントであり、またこれからのあるべき社会の未来を提示する思想家でもある。 HONZの紹介としては若干遅ればせながらという感じだが、各方面で余りに評判が良いのでとにかく読んでみたところ、期待をはるかに上回る内容だった。 本書の結論は、冒頭に出てくるアル

本のない原初の図書館から空想上の図書館まで──『図書館巡礼 「限りなき知の館」への招待』 書影

世界史 / おすすめ本レビュー

本のない原初の図書館から空想上の図書館まで──『図書館巡礼 「限りなき知の館」への招待』

図書館巡礼という名の通り、本書は世界各地の図書館について、本のない時代からボルヘスによって想像されたバベルの図書館のような空想上の図書館まで、幅広く取り扱っていく一冊である。原題は『THE LIBRARY A CATALOGUE OF WONDERS』。 『何にもまして私たちが痛感したことは、図書館は物語にあふれているという事実だ。生と死の、渇望と喪失の、信

『もっと言ってはいけない』社会でタブー視される残酷な真実を問い直す 書影

社会 / おすすめ本レビュー

『もっと言ってはいけない』社会でタブー視される残酷な真実を問い直す

知能は遺伝する、精神疾患は遺伝する。このような話を聞くと多くの人は拒否感を抱く。こうした感情的な拒否反応とナチスが支持した優生学の歴史的な過ちが重なり、遺伝決定論は社会的タブーとされてきた。このタブーに異を唱えようものなら差別主義者のレッテルを貼られ、社会的に葬り去られることさえある。 しかし遺伝決定論を否定し、環境決定論に偏った思考をとれば、問題児扱いされ

『生命科学クライシス─新薬開発の危ない現場』着実に進むために、急がば回れ 書影

医学・心理学 / 社会

『生命科学クライシス─新薬開発の危ない現場』着実に進むために、急がば回れ

「科学が正道を踏み外すさまざまなパターン」について迫る1冊だ。生命科学の歩みは決して止まってはいないが、無駄な努力のせいで進展は遅れている。単に時間や税金を無駄にしているだけでなく、人を欺く基礎研究の研究結果が、病気の治療法の探索を実際に遅らせているのだ。「人を欺く」と聞いてまず思い浮かぶのは研究不正の問題だが、ないものを「ある」ように見せるため故意に手を加

『クリエイティブ・ラーニング 創造社会の学びと教育』学ぶことの遠い将来を見定める 書影

医学・心理学 / 教養・雑学

『クリエイティブ・ラーニング 創造社会の学びと教育』学ぶことの遠い将来を見定める

学びや教育を題材にした書籍に多いパターンは、起こっている問題を分析した後に、あるべき姿や改革案を提案する本である。しかし、本書はそのような種類の書籍とは一線を画し、理論的な背景とそれを具体化したアイデアとその実践で敷き詰められている。 クリエイティブ・ラーニングの前提は、時代の変化である。消費社会(Consumption)、情報社会(Communicatio

『両利きの経営』二兎を追いながら、双方を高いレベルで実現していく 書影

ビジネス / おすすめ本レビュー

『両利きの経営』二兎を追いながら、双方を高いレベルで実現していく

本書で言う「両利き(ambidexterity)」とは、あたかも右手と左手の両方が利き手であるかのように使えることであり、特に、会社経営における両利きとは、「探索(exploration)」と「深化(exploitation)」という活動が、高い次元でバランスが取れている状態を指す。 両利きという概念は、認知心理学の研究に由来するものである。人間の認知には一

二度と帰らない 昭和ノスタルジー『夜間飛行』 書影

人物 / 民俗・風俗

二度と帰らない 昭和ノスタルジー『夜間飛行』

「夜間飛行」という言葉を目にした時、ある人はサン=テグジュペリの『夜間飛行』を、ある人はちあきなおみの「夜間飛行」を、そしてある人は街の一角に佇むバー「夜間飛行」を思い浮かべるかもしれない。本書のタイトルは、主人公がずっと身につけていたゲランの香水の名前からヒントを得たものだ。「女性らしさを失うことなく、男性中心の社会でも自分の立場を貫き、冒険的で志のある女

『政治に口出しする女はお嫌いですか?』独裁者が恐れた「女の武器」とは? 書影

社会 / おすすめ本レビュー

『政治に口出しする女はお嫌いですか?』独裁者が恐れた「女の武器」とは?

性差別や憲法改正などについて積極的に発言している女性の議員や弁護士に対して、注文した覚えのない代引き商品が送りつけられるという嫌がらせが相次いでいる。 彼女たちは記者会見を開き、「女性の声を封じようという意図を感じる。嫌がらせには屈しない」と声を上げた。 こうしたことをする卑劣な人物は、どうやら政治に口を出す女性が嫌いらしい。残念ながら似たような考えの者が少

『山口晃 親鸞 全挿画集』五木寛之「親鸞」連載で全開になった山口晃ワールド 書影

アート・スポーツ / おすすめ本レビュー

『山口晃 親鸞 全挿画集』五木寛之「親鸞」連載で全開になった山口晃ワールド

厚さは約4.5cm、総ぺージ数696の大型本だ。重さは1kg以上。我が家のキッチンスケールの針が振り切れたので計測不能だった。 2008年9月から2014年7月まで1052回にわたって地方紙に連載された五木寛之の長編小説『親鸞』に添えられていた挿画の総集である。もちろん1052点の挿画は原画通りフルカラーで収録されている。 若い世代には、五木寛之の小説を読ん

『地磁気の逆転』地球に刻まれた歴史を読み解く 書影

サイエンス / おすすめ本レビュー

『地磁気の逆転』地球に刻まれた歴史を読み解く

NHKの紀行番組「ブラタモリ」が絶好調だという。2月第3週の関東視聴率は13.3%。これを全国に敷衍すると600万世帯以上が視聴していたことになる。スタート当初は歴史の痕跡をメインテーマにしていたが、いまでは岩石や地形の成り立ちなどにもタッチする世界でも稀な地学紀行番組になってしまった。日本は火山と地震の国だ。それだけ視聴者の関心が強いということなのだろう。

ご近所助け合いをする『樹木たちの知られざる生活』 書影

生物・自然 / おすすめ本レビュー

ご近所助け合いをする『樹木たちの知られざる生活』

仲間内で互いに助け合うこともあれば、コミュニケーションもとっている――ドイツの森林管理のプロが長年見てきた樹木の驚愕の生態がここに! 最新のサイエンスの知見で、樹木の持つ驚くべきコミュニケーション能力や社会性を解き明かす。知らないことだらけの森の世界へ、ようこそ。 ドイツで2015年に出版されて以来ベストセラーとなっている本書の著者、ペーター・ヴォールレーベ

『宇宙の覇者 ベゾスvsマスク』アマゾン創業者とテスラ創業者。宇宙ビジネスの覇者になるのは? 書影

ビジネス / おすすめ本レビュー

『宇宙の覇者 ベゾスvsマスク』アマゾン創業者とテスラ創業者。宇宙ビジネスの覇者になるのは?

アマゾン創業者のジェフ・ベゾスと電気自動車製造会社テスラ創業者のイーロン・マスク。太陽が昇るどこかの惑星(または衛星)を背景に2人が対峙している表紙は鮮烈だ。どちらかがほかの星に降り立つ日も近いことを暗示しているようだ。 それぞれの個人資産は十数兆円と2兆数千億円。政府機関を凌駕する力をもつといわれる55歳と47歳。二人は人類にとってどんな存在になるのだろう

『1%の富裕層のお金でみんなが幸せになる方法』高邁な理想主義がなぜ失敗するのか? 書影

社会 / おすすめ本レビュー

『1%の富裕層のお金でみんなが幸せになる方法』高邁な理想主義がなぜ失敗するのか?

本書は、今でもなお残されている、古き良き「アメリカの良心」を代弁する、社会変革のための提言書である。 なぜ5億ドルもの資産を持つ大富豪である本書の著者が、上位1%の超富裕層への課税強化を提唱するのか。本書の後書きに出てくる彼の言葉に、その思いが集約されている。 資本主義の潮流は否応なしに不平等へと向かうため、市場を富裕層だけでなく万人のために機能させるには、

『吃音 伝えられないもどかしさ』吃音者の著者が当事者たちの現実に迫る 書影

医学・心理学 / 社会

『吃音 伝えられないもどかしさ』吃音者の著者が当事者たちの現実に迫る

思い起こせば何人も「吃音」の人に出会っている。小学校の同級生、部活の仲間、会社の同僚、仕事先の担当者。だからと言って不快になることはなく、会話の仕方に気を付けるだけだった。彼らがこんなに悩んでいたということを全く知らなかった。 マリリン・モンローが吃音であることは、何かで読んだ記憶がある。セクシーなしゃべり方は吃音が関係していた可能性があるという。 『英国王

『日本の「中国人」社会』在日中国人が映し出す 日本の課題と可能性 書影

社会 / おすすめ本レビュー

『日本の「中国人」社会』在日中国人が映し出す 日本の課題と可能性

73万人。日本に住む中国人の数だ。鳥取県、島根県の人口よりも多く、高知県とほぼ同数というから驚きだ。横浜市には全校児童の約4割が中国籍の公立小学校もある。 日常的にも中国人と接する機会は増えている。コンビニエンスストアや居酒屋の店員の多くは中国人だ。 日本の大企業が中国籍の大卒社員を積極的に採用し始めて久しい。繁華街でも店員と客の大半が中国人という料理店を目

柔らかな白い部分に触れる 『イベントの教科書』 書影

ビジネス / おすすめ本レビュー

柔らかな白い部分に触れる 『イベントの教科書』

モノ消費よりコト消費。呪文のように、そう言われた時期があった。その切札が「イベント」だった。並べているだけではモノが売れなくなり、イベントなどの体験を売ることでお得意さんやコミュニティを作ることの重要性を説く主張である。 当時、私もそれに大いに共鳴し、50件以上のイベントを企画してきた。ただ、私自身そうだが全体的な勢いは、弱くなってきた印象がある。その真っ只

『ソッカの美術解剖学ノート』全クリエイターにおすすめ 書影

医学・心理学 / アート・スポーツ

『ソッカの美術解剖学ノート』全クリエイターにおすすめ

韓国では著名なイラストレーターである著者が、31歳から40歳まで9年をかけて完成させたのが本書『ソッカの美術解剖学ノート』である。 骨や筋肉や内臓など、人体構造について「なぜ今の形になったのか」に言及されているのがポイントであり、その知識をふまえイラストで絵の描き方を伝えている。本書では人体の仕組みを知れるのと同時に、各部位がどう動きその形状になったのかが楽

『9つの脳の不思議な物語』脳が脳自身を理解できた日はきっと最高にロマンティック 書影

サイエンス / おすすめ本レビュー

『9つの脳の不思議な物語』脳が脳自身を理解できた日はきっと最高にロマンティック

変だと思われるかもしれないが、評者は自分の人生より他人の人生に興味がある。自分の中では考えもしなかった生き方や着眼点、思考法を知ることにえもいわれぬスリルを感じるのである。読書が好きなのもそういう理由だ。 本書の著者も、人々の人生にずっと関心を持ってきた。その好奇心が高じて、イギリスのブリストル大学では脳の研究に没頭し、神経学の学位を取得。卒業後は科学雑誌で

『京料理人、四百四十年の手間「山ばな 平八茶屋」の仕事』料理とは手間の文化、修業とは手間を学ぶこと。 書影

教養・雑学 / ビジネス

『京料理人、四百四十年の手間「山ばな 平八茶屋」の仕事』料理とは手間の文化、修業とは手間を学ぶこと。

四条河原町から京都バスに延々と乗って20番目の停留所。そこが平八前になる。若狭街道、通称、鯖街道は交通量が多く、バスから降りたらすぐに道のわきに寄らないと危ない。 「平八茶屋」の暖簾がはためく大きな家があるのだけど、最初は入り口に戸惑う。向かって左側の鬱蒼とした木の下を通ると、そこから広く「山ばな平八茶屋」のお庭が見通せる。お部屋に通されると、外には高野川が

進化の方向性を支配してきた「移動運動」というテーマ──『脚・ひれ・翼はなぜ進化したのか: 生き物の「動き」と「形」の40億年』 書影

生物・自然 / おすすめ本レビュー

進化の方向性を支配してきた「移動運動」というテーマ──『脚・ひれ・翼はなぜ進化したのか: 生き物の「動き」と「形」の40億年』

今年読んだノンフィクションの中で最高の一冊だ。人間は、鳥は、魚は、なぜ今のような形をしているのか? 偶発的な進化の賜物であって、非機能的で意味をなさない機能の集積が大多数を占めているのか? スティーヴン・ジェイ・グールドは、仮に進化の過程を再現したならば、今とは異なる生物界が現れるだろうと断言したが、本当にそうなのか? 今の生物世界は、進化の偶然性に支配され

『西洋の自死 移民・アイデンティティ・イスラム』欧州社会を覆いつくす「欧州疲労」とは何か 書影

社会 / おすすめ本レビュー

『西洋の自死 移民・アイデンティティ・イスラム』欧州社会を覆いつくす「欧州疲労」とは何か

本書は、西洋社会の行く末を悲観的に予測してベストセラーとなった『The Strange Death of Europe』の邦訳である。 ここには、いま西洋社会が直面する「奇妙な死」について書かれている。 ここでいう「死」には、2つの意味が込められている。 1つは、欧州が大量の移民を受け入れたことにより、各地で西洋固有の文化的・歴史的な風景が失われ、いくつかの

ビジネスと恋愛って似てる?『ブスのマーケティング戦略』 書影

教養・雑学 / おすすめ本レビュー

ビジネスと恋愛って似てる?『ブスのマーケティング戦略』

この本はブスの自虐エッセイではない。れっきとした実用書である。 という前書きから始まるこの本を私はビジネス書コーナーでみつけた。『ブスのマーケティング戦略』完全にタイトル買いだ。帯には入山章栄氏推薦との文字もあり興味を引いた。入山氏は2016年に『 ビジネススクールでは学べない 世界最先端の経営学 』でベスト経営書を受賞している。ブスのマーケティングとはいっ

完璧なるガイドブック『ニッポン47都道府県 正直観光案内』を片手に旅に出よう! 書影

教養・雑学 / おすすめ本レビュー

完璧なるガイドブック『ニッポン47都道府県 正直観光案内』を片手に旅に出よう!

これまで隠していたが、ガイドブックを読むのがうまいと自負している。多くの人は、旅行に出かける前と旅行中に読むだけだろう。わたしの場合は違う。旅行から帰ってきて、再度、必ずガイドプックを熟読する。 そうすることによって、ガイドブックに書かれていた怪しげな情報がわかる。それ以上に、自分が発見した、ガイドブックに載っていなかったことが浮き彫りになる。この経験を繰り

齢90を超えてなお新しい作品を生み出し続けた芸術家の人生──『スタン・リー: マーベル・ヒーローを創った男』 書影

人物 / おすすめ本レビュー

齢90を超えてなお新しい作品を生み出し続けた芸術家の人生──『スタン・リー: マーベル・ヒーローを創った男』

映画『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』の後編『アベンジャーズ/エンドゲーム』公開が間近に迫り、今か今かと待ちわびている昨今。そんな現在も活躍するマーベル・ヒーローの多くの生みの親であり、基盤を作り上げてきたスタン・リーの伝記が本書『スタン・リー: マーベル・ヒーローを創った男』である。昨年11月に95歳で亡くなったスタンリーだが、その年齢が示すとおり

『天才を殺す凡人』会社を舞台装置にした物語論としての面白さ 書影

ビジネス / おすすめ本レビュー

『天才を殺す凡人』会社を舞台装置にした物語論としての面白さ

天才について書かれた本を読むことにはもどかしさが伴う。天才とは何かがわかるという理解と引き換えに、自分が天才ではないという事実も受け入れなければならないからだ。 しかし本書はセンセーショナルなタイトルとはうらはらに、このセンシティブな部分のさばき方が非常にうまい。 この世界は天才と秀才と凡人で出来ているという語り口から始まるのだが、その3つの「人格」を、「創

『最後の頭取 北海道拓殖銀行破綻20年後の真実』銀行の本分 書影

ビジネス / おすすめ本レビュー

『最後の頭取 北海道拓殖銀行破綻20年後の真実』銀行の本分

2008年の世界的な金融危機、いわゆるリーマンショックから10年が過ぎ、その記憶も風化し始めている中、今から20年前の1997年から1998年にかけて我が国で起きた未曾有の金融危機を覚えている人はどれだけいるだろうか。 今や、大蔵省銀行局・証券局、長期信用銀行(興銀、長銀、日債銀)、北海道拓殖銀行(拓銀)という組織があったことさえ知らない若者も多い。 199

『お金の流れで読む日本と世界の未来』歴史は少しずつ形を変えながら、似たような形で反復する 書影

社会 / おすすめ本レビュー

『お金の流れで読む日本と世界の未来』歴史は少しずつ形を変えながら、似たような形で反復する

ジム・ロジャーズは言う。 私は常に、歴史の流れを踏まえながら、数年先を見るようにしている。歴史の流れは、先を読む力、とりわけお金がどう動くかという未来を教えてくれる。 成功したければ、将来を予測しなければならい。 ロジャーズは、「イングランド銀行を潰した男」の異名を持つ、かの有名なジョージ・ソロスのかつてのビジネスパートナーであり、ソロスと共にクォンタム・フ

楽しくてためになる『胎児のはなし』 書影

サイエンス / 医学・心理学

楽しくてためになる『胎児のはなし』

胎児の神秘。人類誕生過程の最先端であり、生物学的にも面白いトピックであるにも関わらず、いまだ多くがベールに包まれています。女性の体の中で受精卵がどのように胎児に発育していくのか、羊水はどのような役割を果たしているのか、多くの謎が残されたままです。 そんな胎児を知る上で、我々人類が編み出したのが、「子宮の中を見る」ことと「遺伝子を分析する」という手段でした。た

原爆投下の決断者は『まさかの大統領』だった 書影

人物 / 世界史

原爆投下の決断者は『まさかの大統領』だった

誰一人として、こんな普通の男が大統領になるなどとは思っていなかった。妻はおろか、本人さえも。しかし、それが現実になった。1945年4月12日、フランクリン・ルーズベルトの急逝に伴い、副大統領から大統領に昇任した『まさかの大統領』ハリー・トルーマンがその人だ。 貧しい農家に生まれ育ったトルーマン、若い頃は失敗の連続だった。しかし、40歳を前にして、地元のボスの

『シドロモドロ工作所のはじめてのお彫刻教室』豆腐とちくわとそうめんを彫ってみよう! 書影

アート・スポーツ / おすすめ本レビュー

『シドロモドロ工作所のはじめてのお彫刻教室』豆腐とちくわとそうめんを彫ってみよう!

昨年秋、仕事に飽きてネットをあちこち見ていた時に変なものを見つけた。イカらしきものがぐったりとしたパンダを抱いている木像だ。「 イカピエタ 」とタイトルされている。 ピエタ?ピエタ?あれ、知ってるぞ。以前、 大島真寿美『ピエタ』 を読んだときに調べたっけ。 ピエタ (イタリア語:Pietà、哀れみ・慈悲などの意)とは、聖母子像のうち、死んで十字架から降ろされ

『めんそーれ!化学 おばあと学んだ理科授業』本当の学びとは何か? 書影

サイエンス / 生物・自然

『めんそーれ!化学 おばあと学んだ理科授業』本当の学びとは何か?

2018年12月17日、文科省は夜間中学を、全都道府県に少なくとも1カ所ずつ開設するとの目標に向け、関係者による検討会議の初会合を開いた。今後、外国人労働者の受け入れ拡大が見込まれる。現在でも公立夜間中学校の生徒の約8割が外国籍だ。不慣れな日本で暮らすために夜間中学校がかけがえのない学びの場であり、居場所となっているようだ。 本書『めんそーれ!化学 おばあと

『宇宙の覇者 ベゾスvsマスク』歴史を加速させる男たちの熱いストーリー 書影

ビジネス / おすすめ本レビュー

『宇宙の覇者 ベゾスvsマスク』歴史を加速させる男たちの熱いストーリー

アポロ計画から50年ほどたった今、宇宙開発は明らかに停滞している。 アポロ11号の月面着陸ミッション当時のNASA管制室スタッフの平均年齢は26歳。恐れ知らずの若者たちが活躍する活気ある組織であった。しかし、今の平均年齢は50歳ほどで、リスクを避けようとする傾向が強く、官僚気質の組織へと変貌している。 加えて、ロッキード・マーティンとボーイングの2社が政府か

『吃音 伝えられないもどかしさ』誰にでも居場所がある社会をつくるために 書影

医学・心理学 / 社会

『吃音 伝えられないもどかしさ』誰にでも居場所がある社会をつくるために

自分が体験したことがないことを想像するのは難しい。 かつて我が身に降りかかってきたことや、常日頃から感じていることなどをもとに他者に共感することはできるが、体験したことがなく、ましてや関心すら持ったことがないことについては、なかなかイメージすることができない。 だが本書はあなたに驚くべき体験をもたらすだろう。 この本を読み終えたあとは、世界の見え方が変わるは

予測精度の向上が、ビジネス戦略に破壊的な転換をもたらす──『予測マシンの世紀 AIが駆動する新たな経済』 書影

ビジネス / おすすめ本レビュー

予測精度の向上が、ビジネス戦略に破壊的な転換をもたらす──『予測マシンの世紀 AIが駆動する新たな経済』

人工知能の発展・普及のすさまじい昨今だが、すっかりバズワード化してしまって「ここでいう人工知能って何を指しているわけ??」がわかりづらいケースも増えてきてしまっている。そんな中にあって本書は、人工知能とはいっても実際にはそれらは「知能」そのものではない点。また、現在の人工知能と呼ばれているものの多くが提供しているのが、知能の重要な構成要素のうちのひとつ、「予

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人物 / おすすめ本レビュー

ちばてつやの見た中国 『ひねもすのたり日記』

ちばてつや。そう、あの『あしたのジョー』などの傑作を描いた、漫画家だ。最近はどうされているのかと思いきや、「18年ぶりの最新作」とうたっての自伝が刊行されていた。文字が多めの漫画、という風で、往時が生き生きと蘇る。描かれているのは、少年時代の中国での出来事だ。今では想像することができない、たった70年前の、中国での体験。 漫画としては18年ぶりの最新作という

『堀江貴文VS.鮨職人 鮨屋に修業は必要か?』いよいよ新時代に突入か! 寿司の世界と世界の寿司 書影

教養・雑学 / おすすめ本レビュー

『堀江貴文VS.鮨職人 鮨屋に修業は必要か?』いよいよ新時代に突入か! 寿司の世界と世界の寿司

ホリエモンこと堀江貴文氏が、ツイッターで、寿司職人になるために何年も修業するのはバカだと発言して炎上したのが、今から3年前のことである。 ホリエモンは、2014年12月の「ホリエモンチャンネル」の中で、寿司職人になるには10年くらいかかると言われてきたが、今や半年でプロを育成する専門学校もあり、長い修業が必要なのは「1年間ずっと皿洗いをしていろ」などと言って

『NHKラジオ深夜便 絶望名言』明けない夜もある 書影

教養・雑学 / おすすめ本レビュー

『NHKラジオ深夜便 絶望名言』明けない夜もある

本書は、NHKの『ラジオ深夜便』の人気コーナーである、『絶望名言』を書籍化したものである。 著者の頭木弘樹氏は、大学3年の時に難病にかかり、その後13年間の入退院生活を余儀なくされ、宮古島に住むようになった今でも完治はしていない。ベッドに寝ているだけの状態になり、完璧に無能な存在になった時に出会った、「ぼくは人生に必要な能力を、なにひとつ備えておらず、ただ人