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おすすめ本レビュー

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ブレたっていいんです!『すごいヤツほど上手にブレる』 書影

ビジネス / おすすめ本レビュー

ブレたっていいんです!『すごいヤツほど上手にブレる』

信念を曲げる、ブレる、一貫性がない。どれも否定的なニュアンスで使われることが多い言葉だ。政治家が変節しようものなら、多くのメディアや、敵対する政党がそのことを一斉に叩くだろう。アメリカでは政治家の過去の発言と、それとは食い違う最近の発言を交互に放映する番組が人気を博しているそうだ。日本の週刊誌や新聞でも、その類いの記事はよく見かける。 リーダーには確固たる信

埼玉でスッポン、都内でエイを『捕まえて、食べる』アドベンチャーは自転車で! 書影

生物・自然 / おすすめ本レビュー

埼玉でスッポン、都内でエイを『捕まえて、食べる』アドベンチャーは自転車で!

夏休みシーズンが到来し、海へ山へと出かける計画を立てている最中の方も多いかもしれない。しかし夏休みには、いつか終わってしまうという最大の欠点がある。これを回避する方法が、一つだけ存在するのだ。それは、毎日を夏休みのように生きるということである。 本書の著者は、まさにそんな生き方を体現している人物だ。スッポンを自分で捕まえて鍋にする、エイを捕まえてフォンオフェ

『発想法 改版 - 創造性開発のために』半世紀前を温ねて新しきを知る 書影

サイエンス / 教養・雑学

『発想法 改版 - 創造性開発のために』半世紀前を温ねて新しきを知る

国民総生産(GNP)が西ドイツを抜き、第2位になるのが1968年、その前年に本書は出版された。高度経済成長期の真っ只中であり、急速な成長の裏返しとして公害や環境破壊が世間の注目を集め、公害対策基本法が制定された。そこから版を80回以上重ね、現在までに80万部以上を売り上げている。 発想法とは、アイディアを創り出す方法である。問題提起から記録、分類、統合にいた

『世界からバナナがなくなるまえに 食糧危機に立ち向かう科学者たち』 ロペスのハチ、チョコレート・テロ、現代版ノアの箱舟 書影

サイエンス / 生物・自然

『世界からバナナがなくなるまえに 食糧危機に立ち向かう科学者たち』 ロペスのハチ、チョコレート・テロ、現代版ノアの箱舟

バナナがなくなってしまうだって!? 多くの人にとっては寝耳に水であろうが、しかしこの話、けっしてありえないことではないようである。 現在、人々が口にしているバナナは、その大半が単一の品種、すなわちキャベンディッシュバナナである。そしてそのバナナには、遺伝的な多様性がまったくない。というのも、キャベンディッシュは種子がなく、株分け(新芽を移植すること)をとおし

『生きる職場 小さなエビ工場の人を縛らない働き方』そこには、最低限の秩序だけがあった 書影

ビジネス / おすすめ本レビュー

『生きる職場 小さなエビ工場の人を縛らない働き方』そこには、最低限の秩序だけがあった

「出勤日も、出勤・退勤時間も自由」 「欠勤の連絡をしなくてよい」 「嫌いな作業はやらなくてよい。好きな作業だけやればよい」 著者の武藤北斗さんが経営している水産加工会社のルールである。こんな職場、本当にあるの? のっけから驚かされる。理想主義も行き過ぎて、意識高い系の実験的な試みはいいけれども「生き生き働く笑顔」のうらになにか無理が潜んでいるんじゃ…。などと

なんと明るいチ〇コ本 『日本男子♂余れるところ』 書影

民俗・風俗 / おすすめ本レビュー

なんと明るいチ〇コ本 『日本男子♂余れるところ』

『余れるところ』の平均長は8.3センチメートルらしい。ん、余れるところって?その由来は古事記にまでさかのぼる。かのイザナギが自らの男根を「成り成りて成り余れる処」と呼んでいるのだ。そして仏教では「魔羅(まら)」、すなわち修業の邪魔になるものという意味である。そんなこんなで秀実(ヒデミネ)さんは考えた。そこには真理があるはずだと。 序章  仏説男根 ぶっせつだ

『息子が殺人犯になった コロンバイン高校銃乱射事件・加害生徒の母の告白』わかりやすい原因などない、という現実 書影

事件・事故 / おすすめ本レビュー

『息子が殺人犯になった コロンバイン高校銃乱射事件・加害生徒の母の告白』わかりやすい原因などない、という現実

コロンバイン高校銃乱射事件。1999年4月20日、コロンバイン高校の学生2人が無差別に発砲を行い最終的に自殺、教師1人と生徒12人が死亡し、24人が負傷した傷ましい出来事だ。発生から15年以上が経った今なお学校銃乱射事件の代名詞的存在とされるのは、犯人であるエリックとディランがそれぞれ卒業を間近に控えた、18歳・17歳の少年だったという若さだけが理由ではない

『かくて行動経済学は生まれり』人間は間違える。劇的に、そして規則的に 書影

医学・心理学 / おすすめ本レビュー

『かくて行動経済学は生まれり』人間は間違える。劇的に、そして規則的に

マイケル・ルイスといえば『世紀の空売り』や『マネー・ボール』をはじめ、一攫千金の舞台裏をゲームのようなスリリングさで描く作家として記憶されている方も多いかもしれない。ところが本作は行動経済学がテーマ、しかもルーツとなった2人の心理学者の評伝形式になっている。 ここで一抹の不安を覚えた方には、予め声を大にして言っておきたい。「心配無用である」と。まるで、これま

ダマされても憎めない『ananの嘘』 書影

教養・雑学 / 社会

ダマされても憎めない『ananの嘘』

雑誌はその時代のトレンド、社会の流れを掴むもの。だから1冊の雑誌の来歴をたどれば、自ずと、時代ごとの社会の変遷を読み取ることができる…。 そんな普段とは異なる「雑誌の楽しみ方」をみせてくれるのが本書『ananの嘘』。創刊から45年を迎えた雑誌『anan』(以下、アンアン)の2000号に及ぶ誌面を、『負け犬の遠吠え』他の著者である酒井順子氏が分析した一冊である

『復讐者マレルバ 巨大マフィアに挑んだ男』 生きるために殺し続けた男。それは現代版の『罪と罰』なのか? 書影

人物 / 社会

『復讐者マレルバ 巨大マフィアに挑んだ男』 生きるために殺し続けた男。それは現代版の『罪と罰』なのか?

「マレルバ」とは雑草のことである。雑草こそが本書の主人公のアントニオ・ブラッソことジュゼッペ・グラッソネッリの少年時代のあだ名である。雑草の名から連想できると思うが、彼は生粋の不良少年だった。本書はイタリアのシチリア島出身である「雑草」の数奇な半生を綴った自伝である。 日本では無名といっていいジュゼッペ・グラッソネッリとはどのような男で、いかなる人生を歩んだ

痛快!『女子プロレスラー 小畑千代』81歳にして現役 書影

教養・雑学 / 人物

痛快!『女子プロレスラー 小畑千代』81歳にして現役

昭和43年11月6日、IWWA(国際女子プロレス協会)世界選手権がおこなわれた。超満員の蔵前国技館で、32歳の 小畑千代 が対戦したのは米国の ファビュラス・ムーラ 。一本目は、いきなり反則攻撃をしかけたムーラがフォール勝ち。二本目は、必ずとると決めた小畑が攻めまくる。ドロップキックからキーロック、空手チョップから、跳び蹴り、ハンマー投げ。最後は、20キロほ

『世界一訪れたい日本のつくりかた』観光の基本は「楽しい」にあるべき 書影

社会 / おすすめ本レビュー

『世界一訪れたい日本のつくりかた』観光の基本は「楽しい」にあるべき

去る6月19日、東京大学の伊藤国際学術研究センターで行われた、東京大学政策ビジョン研究センター主催の『 文化を基軸とした融合型新産業創出研究ユニット キックオフシンポジウム「日本の文化政策の新たな姿を探る」 』に参加して来た。 その基調講演がデービッド・アトキンソン氏で、日本の観光政策についての中身がある非常に良い講演だった。アトキンソン氏のポイントは幾つ

数奇な運命をたどった本 『ある奴隷少女に起こった出来事』 書影

事件・事故 / おすすめ本レビュー

数奇な運命をたどった本 『ある奴隷少女に起こった出来事』

新潮文庫のラインナップに、新たな古典名作が加わった。しかし、『小公女』や『若草物語』のようなフィクションではない。著者自身が序文で「読者よ、わたしが語るこの物語は小説ではない」と言明している通り、「ある奴隷少女」本人が奴隷制の現実をつづった世にも稀なる手記なのである。アメリカでは、すでに大ベストセラーになっているが、日本でも長く読み継がれる本になるに違いない

『もし文豪たちがカップ焼きそばの作り方を書いたら』本好きにしか判らないこの楽しさとおかしさ 書影

教養・雑学 / おすすめ本レビュー

『もし文豪たちがカップ焼きそばの作り方を書いたら』本好きにしか判らないこの楽しさとおかしさ

もしあなたが軽度の活字中毒を自任しているとしたら、おススメの一冊だ。 内容はじつに他愛もない。カップ焼きそばの作り方、すなわちお湯をいれて3分待って湯切りし、ソースを混ぜて完成させるまでのことを書き起こしたものだ。 それをもし村上春樹や太宰治、ドストエフスキーやコナン・ドイルが書いたらどうなるかというパロディである。 登場するのは人物ばかりではない。『暮らし

まさに龍ブーム『百龍めぐり 関東編』 書影

教養・雑学 / アート・スポーツ

まさに龍ブーム『百龍めぐり 関東編』

仏像や阿修羅ブームとは一線を画す、本書は龍に特化したガイドブックである。 龍の彫刻は、とくに江戸期の超絶技巧による寺社装飾でモチーフにされてきた。掲載される各寺社は、所在地、最寄り駅からのアクセス、宗派、祭神、御朱印、後利益など実用的なデータだ。全国の寺社の由緒とともに、フルカラーで龍の美しい造形と歴史を堪能できる。 どんな龍像でも良いわけではなく、本書では

『銀座の夜の神話たち 1万8250日の物語』「文壇バー」の50年 書影

民俗・風俗 / おすすめ本レビュー

『銀座の夜の神話たち 1万8250日の物語』「文壇バー」の50年

1967年、銀座にひとつのクラブが誕生した。「数寄屋橋」という、銀座の象徴のような名のクラブを仕切るのは弱冠二十歳のママ、園田静香。熊本から上京し、奇跡のようにわずか3カ月で店を立ち上げた。思い込んだらひとすじなのは、熊本生まれで、女ながら肥後もっこすの血かもしれない。 月日は流れ「クラブ数寄屋橋」はこの春50周年を迎えた。今も変わらない美貌と人気の静香ママ

歴史的偉業を世界に知らしめよ 『ライト兄弟 イノベーション・マインドの力』 書影

サイエンス / 人物

歴史的偉業を世界に知らしめよ 『ライト兄弟 イノベーション・マインドの力』

「全米ベストセラー」だという。ときとしてあまりにも軽く使われてしまうこの宣伝文句であるが、しかし、この本に関してはその言葉に嘘偽りはないようだ。 原書は2015年5月に刊行され、5月下旬から7月上旬の7週に渡ってニューヨーク・タイムズのベストセラーリスト(ノンフィクション部門)の1位を記録。また本邦訳書の刊行時点で、 Amazon.comの書誌ページ には5

すべてが調節されている──『セレンゲティ・ルール――生命はいかに調節されるか』 書影

サイエンス / おすすめ本レビュー

すべてが調節されている──『セレンゲティ・ルール――生命はいかに調節されるか』

「果てしなく広がる平原」の意味を持つセレンゲティ国立公園ではキリン、シマウマ、ヌー、ライオン、など様々な動物の群れをみることができる。そして、そこで暮らす動植物たちは普遍的な法則に支配されている。たとえば牛疫が取り除かれヌーの生息数が増加すると、ヌーの主食である草は減少する。そうすると今度は乾季に燃える可燃物が減って火災が減少し、樹木が増加し、それを餌とする

『愛人形 LoveDollの軌跡』人形には魂が宿る 書影

民俗・風俗 / おすすめ本レビュー

『愛人形 LoveDollの軌跡』人形には魂が宿る

今回はスマホに保存してある美しい女性たちの姿をこっそりお見せしよう。家族はもとより友人や同僚にも見せたことのない秘密の画像である。満員電車の中などでご覧の方はどうぞご注意を。 こちらがその画像である。 実はこの美しい女性たちの正体は「ラブドール」。そう、性具の一種として、あるいは愛玩用などのためにつくられた人形なのだ。 先日、渋谷で『今と昔の愛人形』展という

『会社苦いかしょっぱいか 社長と社員の日本文化史』通勤電車は今も昔も地獄 書影

教養・雑学 / おすすめ本レビュー

『会社苦いかしょっぱいか 社長と社員の日本文化史』通勤電車は今も昔も地獄

父は国際スパイ、母はナポリの花売り娘。自称イタリア生まれの謎の論客「パオロ・マッツァリーノ」という設定で著者がデビューしたのは2004年の『反社会学講座』。以降、統計や過去の新聞記事から人びとが「常識」と信じ込んでいる慣習や振る舞いを徹底的に嗤ってきた。食傷気味の読者もいるかもしれないが、多くの人が無縁ではない「企業社会」が本書の題材とと知れば、読まずにはい

『Mr.トルネード 藤田哲也 世界の空を救った男』嵐のような天才気象学者の生涯を追う 書影

人物 / おすすめ本レビュー

『Mr.トルネード 藤田哲也 世界の空を救った男』嵐のような天才気象学者の生涯を追う

とにかく私の人生は面白い。安定とは無縁だった 気象学者、藤田・テッド(セオドア)・哲也は、自身の歩みを回顧して、そう語った。本書は、彼の生涯をつぶさに書きとめた評伝であるが、この引用の言葉どおり、とんでもなく面白い。なにせ、気象学者ながら、ひじょうに多彩な顔を持ち、絶えず変化する気象現象のように数奇な道のりをたどってきたのだから。 最初に略歴を書いておこう。

出版業界と同じ構図『誰がアパレルを殺すのか』 書影

ビジネス / おすすめ本レビュー

出版業界と同じ構図『誰がアパレルを殺すのか』

国内の衣料品(アパレル)業界がかつてない不振にあえいでいる。バブル崩壊直後や、リーマンショック後ではなく、なぜ「今」なのか? アベノミクスは一定の成果を上げ、マクロ経済は比較的安定している。にもかかわらず、今になって突如、深刻な不振に見舞われているのはなぜなのか? ということを、川上(生地を生産している企業)から川下(小売店)までを縦断的に取材してその原因を

『おどろきの金沢 』伝統工芸と現代アートの狭間で 書影

教養・雑学 / おすすめ本レビュー

『おどろきの金沢 』伝統工芸と現代アートの狭間で

本書を読んで、金沢21世紀美術館について長年抱いてきた素朴な疑問が氷解すると同時に、過去10年間にわたり、金沢という場を巡って、伝統工芸と現代アートの世界で稀に見る革新的なことが行われてきたのだというのを初めて知った。 これまでずっと疑問に思っていたのは、「なぜ金沢21世紀美術館が作られたのか?」「金沢の伝統工芸と現代アートの関係はどうなっているのか?」とい

『裁判所の正体 法服を着た役人たち』三権分立でさえ幻なのか 書影

社会 / 事件・事故

『裁判所の正体 法服を着た役人たち』三権分立でさえ幻なのか

これは一人の元裁判官と一人のジャーナリストの対談である。しかし、元裁判官である瀬木比呂志があとがきで語っているように、対談集という枠では収まらない本に仕上がっている。裁判官とジャーナリストというプロフェッショナルな世界でお互いの技量を競いあった男たちが作り上げた共同作品といって差し支えない代物だ。 まず著者たちの経歴を見てみよう。著者の一人、瀬木比呂志は東京

『PC遠隔操作事件』警察、メディア、犯人、その誰もが踊らされた 書影

事件・事故 / おすすめ本レビュー

『PC遠隔操作事件』警察、メディア、犯人、その誰もが踊らされた

事件ノンフィクションと呼ばれるジャンルの醍醐味が、存分に味わえる一冊だ。この事件の何に対して自分が釈然としない思いを抱いていたのか、その正体が嫌というほど見えてくる。その実像は、事件当時に見知っていた情報とは大きく異なる印象があった。 PC遠隔操作事件とは、2012年6月から9月にかけて14件もの殺害・爆破予告がなされた事件である。JAL便の爆破予告から、小

『図書館100連発』さりげない緻密な工夫がいっぱい 書影

教養・雑学 / おすすめ本レビュー

『図書館100連発』さりげない緻密な工夫がいっぱい

図書館の創意工夫を100種類紹介する書籍である。子供の頃から図書館につれられ、その工夫にひとり微笑んでいた私のような人間には面白おかしく読める本であるが、他に読者が存在するのだろうか。疑問に思って、本書を途中で閉じて、図書館に関する統計データを探ってみた。 2016年時点で公共図書館の数は3,300館弱、専任職員は1万人を超える程度である。他に私設の図書館も

円城塔、田辺青蛙による夫婦読書リレー──『読書で離婚を考えた。』 書影

社会 / おすすめ本レビュー

円城塔、田辺青蛙による夫婦読書リレー──『読書で離婚を考えた。』

円城塔、田辺青蛙の小説家夫婦が、課題本を出し合い交互にその本についてのエッセイを連載することによって、夫婦の相互理解につとめる。そんなコンセプトではじまったWeb連載が一冊にまとまったのが本書である。かたや理系で、わけのわからない抽象的な小説を書くと評判の円城塔さん、かたやホラー・怪談作家で読む本としては実話に近いものを好む傾向がある田辺青蛙さんと、 書くも

『復讐者マレルバ 巨大マフィアに挑んだ男』獄中で本を読み漁るうちに… 書影

人物 / おすすめ本レビュー

『復讐者マレルバ 巨大マフィアに挑んだ男』獄中で本を読み漁るうちに…

フランク・シナトラがシチリアのパレルモに到着したのは、1963年10月のことだった。マフィアの新しいドンであるジェンコ・ルッソを表敬訪問するため、アメリカのマフィアから親善大使として送り込まれたのだ。 ところが世界的大スターであるにもかかわらず延々と待ちぼうけを食わされ、ドン・ジェンコの自宅での昼食会に招かれたのは2日後のことだった。大広間に案内されると、そ

『「東京DEEP案内」が選ぶ 首都圏住みたくない街』だけど、行ってみたくなる街 書影

社会 / おすすめ本レビュー

『「東京DEEP案内」が選ぶ 首都圏住みたくない街』だけど、行ってみたくなる街

「絶対に○○してはいけない」というニュアンスの言い方には、言外に反対の意味が含まれることも多い。「絶対に笑ってはいけない」「絶対に電車の中で読んではいけない」といった枕詞の後には、大抵笑いが待ち受けているものだ。いわゆるフリという奴である。 しかし本書の「住みたくない」は、どうも本気と書いてマジと読ませるタイプのようである。吉祥寺、自由が丘、下北沢は「甘すぎ

『THINK WILD あなたの成功を阻むすべての難問を解決する』みんながあっちで、自分はこっち 書影

ビジネス / おすすめ本レビュー

『THINK WILD あなたの成功を阻むすべての難問を解決する』みんながあっちで、自分はこっち

"If people aren't calling you crazy, you aren't thinking big enough." (もしまわりの人から「クレイジー」と言われていないのなら、あなたは"まだまだ大きく考えていない"ということだ。) この『THINK WILD あなたの成功を阻むすべての難問を解決する』(原題:Crazy is a Com

『大不平等』 グローバリゼーションは格差をもたらしたのか? 書影

世界史 / おすすめ本レビュー

『大不平等』 グローバリゼーションは格差をもたらしたのか?

グローバリゼーションにブレーキがかかり始めた。欧州での右派政党台頭、トランプの保護主義的政策だけでなく、これまで移民を優遇してきたシンガポールやオーストラリアなどでも就労ビザの厳格化が進み、国境を隔てる壁は日々高くなっている。世界は、グローバリゼーションの何を恐れているのか。絶望的なほどの格差を生み出した真犯人は、グローバリゼーションなのか。グローバリゼーシ

二次元世界の住人から、三次元はどう見える?──『フラットランド たくさんの次元のものがたり』 書影

サイエンス / おすすめ本レビュー

二次元世界の住人から、三次元はどう見える?──『フラットランド たくさんの次元のものがたり』

フラットランド。そこは二次元の世界。立体が存在しない、いわば紙の上の世界だ。 そんな世界にも住人は存在する。まず女性は直線で、兵士や下層階級の労働者は二辺の長さが等しい三角形。中産階級は正三角形と、それぞれ形で身分が決定されている──そんな特殊な世界を描きながら、自身の今いる次元の世界から、一つ上、あるいは下の世界がどのように見えるのかを物語として描き出した

差別、貧困、食肉、利権、金、そして『路地の子』 書影

人物 / 社会

差別、貧困、食肉、利権、金、そして『路地の子』

食肉についての本といえば、なんと言っても講談社ノンフィクション賞を獲ったこの一冊。 日本中の『路地』を巡る、上原善広の大宅壮一ノンフィクション賞受賞作。 上原善広といえば、旧石器捏造事件を追ったこの一冊もオススメです。『石の虚塔 発見と捏造、考古学に憑かれた男たち』からの改題。

『虹色のチョーク』働く喜びをチョークにのせて 書影

ビジネス / おすすめ本レビュー

『虹色のチョーク』働く喜びをチョークにのせて

粉の飛散が少なく人の肌にやさしい「ダストレスチョーク」と、ガラスやホワイトボードなどつるつるした素材に発色良く書くことができ、濡れた布で簡単に消すことができる筆記具「キットパス」。活気的な2つの文房具を開発したのは、日本理化学工業という会社だ。 チョークは0.1mm単位の品質基準が求められる。JIS規格に適合するチョークの太さは11.2mmで、許されるのは±

『働きたくないイタチと言葉がわかるロボット』 「言葉が分かるとはどういうことか」を人工知能から考える 書影

サイエンス / おすすめ本レビュー

『働きたくないイタチと言葉がわかるロボット』 「言葉が分かるとはどういうことか」を人工知能から考える

なんという僥倖だろう。この人の新作をこんなにも早く目にすることができるなんて。しかも、今回の作品もこんなにも個性的で、こんなにも心地よいものであるなんて。 ご存知でない方のためにまず説明しておこう。著者の川添愛は、 『白と黒のとびら』 『精霊の箱』 というふたつの作品で熱狂的なファンを生み出した言語学者である。ふたつの作品は、「オートマトンと形式言語」「チュ

『復刻版ラフカディオ・ハーンのクレオール料理読本』小泉八雲のこだわりを堪能せよ! 書影

教養・雑学 / おすすめ本レビュー

『復刻版ラフカディオ・ハーンのクレオール料理読本』小泉八雲のこだわりを堪能せよ!

ラフカディオ・ハーンと聞いてピンと来なくても、『怪談』を書いた小泉八雲という外国人だと言えば分かる人は多いだろう。 1890年(明治23年)に来日し、日本の文化に魅入られ亡くなるまでの14年間、英語教師をしながら日本の物語を欧米に紹介し続け、晩年には帰化して日本人となった。 来日する以前、ハーンはアメリカで新聞記者として活躍する傍ら、物語やエッセイなども精力

『せいきの大問題 新股間若衆』 早く元気出して、あの笑顔を見せて 書影

アート・スポーツ / おすすめ本レビュー

『せいきの大問題 新股間若衆』 早く元気出して、あの笑顔を見せて

公の場で「股間」という言葉を連呼するご無礼をお許しいただきたい。ただ何分、この本のテーマが「股間」なのだから仕方がない。できればレビューなど書かずにすませたかったのだが、面白かったのだから、これもまた(股?)仕方がない。著者は東大大学院教授で雑誌「芸術新潮」から生まれた本だから、最初は、私には難しすぎると思った。子供の図鑑のように図版だけ見ようと思っていた。

いざとなったらコレがある?『偽装死で別の人生を生きる』 書影

社会 / 事件・事故

いざとなったらコレがある?『偽装死で別の人生を生きる』

あぁもう何もかもイヤになった、生まれ変わってやりなおしたい。誰だってふとそう考えることはあるだろう。残念ながら、生まれ変わるのは生物学的に不可能だし、よしんばできたとしても、それまでの記憶がなくなってしまうのだから意味がない。しかし、死んだことにして、別の人生を歩み始めることならばできるかもしれない。そんな可能性を探っていく一冊だ。 著者のエリザベス・グリー

『ルポ 絶望の韓国』経済格差、学歴社会…どの側面も韓国は「生きにくい」 書影

社会 / おすすめ本レビュー

『ルポ 絶望の韓国』経済格差、学歴社会…どの側面も韓国は「生きにくい」

はじめにお断りしておくが、評者は嫌韓派でも親韓派でもない。あえて称するならば無韓派だ。たった1カ国の外国に対する好き嫌いで国を二分してはならないと思う。良きにつけあしきにつけ、いまは見て見ぬふりをすることが、両国関係にとっても良いと思うのだ。 しかし、それでは無責任にすぎるかもしれない。ならば分析や議論は専門家に任せよう。ただし、現場を冷静に取材し、中立的な