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おすすめ本レビュー

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『「火附盗賊改」の正体 幕府と盗賊の三百年戦争』江戸は意外と治安が悪い? 書影

日本史 / おすすめ本レビュー

『「火附盗賊改」の正体 幕府と盗賊の三百年戦争』江戸は意外と治安が悪い?

火附盗賊改といえば、池波正太郎の小説『鬼平犯科帳』を思い浮かべる人も多いであろう。特にテレビドラマで中村吉右衛門が演じる長谷川平蔵が「火附盗賊改である!」と見得を切るシーンは有名だ。 ところが、小説やドラマなどで有名な火附盗賊改という組織がどのような組織であったのかと問われると、私をはじめ多くの人が明確には答えられないのではないか。そもそも江戸の治安を守って

今の日本を知るならこれ!『フランス文学は役に立つ!』 書影

教養・雑学 / 民俗・風俗

今の日本を知るならこれ!『フランス文学は役に立つ!』

別世界、別次元を楽しむための小説の一節に不意にドキッとさせられることがある。「これ今、私の目の前で起こっていることじゃん!?」「あの生意気小僧、この主人公にそっくりだな。」「あのおばさんも確かにこんな感じだった。」「これ今の日本の状況と同じだな。」 フランス文学の面白いところは100年以上前に他国で書かれたものなのに、現在の日本を正確に捉えていて、現実世界と

『都市と地方をかきまぜる 』 都市住民を閉じ込める、二つの「見えない檻」 書影

社会 / おすすめ本レビュー

『都市と地方をかきまぜる 』 都市住民を閉じ込める、二つの「見えない檻」

「 食べる通信 」という情報誌をご存知だろうか? これは、農業や漁業など食の作り手の情報が書かれた冊子と、彼らが収穫した野菜や魚が定期的にセットで届く、生産者と消費者をつなぐ新しいタイプの「食べ物付き情報誌」である。それに加えて、ここには生産者と消費者が直接つながる様々な仕掛けも設けられている。 この情報誌を始めたのが、本書の著者で、岩手県花巻市のNPO法人

『身体はトラウマを記録する 脳・心・体のつながりと回復のための手法』 世界的第一人者による記念碑的大著 書影

医学・心理学 / おすすめ本レビュー

『身体はトラウマを記録する 脳・心・体のつながりと回復のための手法』 世界的第一人者による記念碑的大著

戦場体験、交通事故、家庭内暴力、性的虐待、ネグレクト…。人はそうした恐ろしい経験によって、絶望的なまでに過去に囚われてしまうことがある。もともとの体験はもう何年も前のことだというのに、いまだに悪夢やフラッシュバックに襲われたり、爆発的な憤激や感情の麻痺に陥ったり。しかし、そのようにトラウマを負っている人は、正確に言ってどのような状態にあるのか。また、そうした

あなたも知りたくないですか? 『医者とはどういう職業か』 書影

社会 / おすすめ本レビュー

あなたも知りたくないですか? 『医者とはどういう職業か』

医業を営んでいるわけではないけれど、医学部で教える身として、医者関係の本はけっこう手に取ることが多い。しかし、残念ながら、どう考えても内実を知らない人が書いていたり、特殊すぎる例があげられていたり、いまひとつ実感とそぐわない本も多い。そんな中、この本は納得の一冊である。 ただし、これには、少し注意すべき点があるかもしれない。筆者の里見清一先生が4~5歳年下で

『生と死のケルト美学』アイルランド人に学ぶ、アートシンキングという思考法 書影

民俗・風俗 / おすすめ本レビュー

『生と死のケルト美学』アイルランド人に学ぶ、アートシンキングという思考法

「ケルト」という言葉は、紀元前600年頃に古代ギリシア人が、西方ヨーロッパに住む異文化集団を「ケルトイ」 (よそ者)と呼んだことに由来する。只、ケルトという言葉は知っていても、その内容を聞かれて正確に答えられる人は少ないのではないだろうか? 現在、ケルトという言葉は、インド・ヨーロッパ語族の語派のひとつであるケルト語派(アイルランド語、ウェールズ語、ブルトン

出会った、食べた、襲われた!『逃げろツチノコ』伝説の奇書、待望の復刊 書影

生物・自然 / 教養・雑学

出会った、食べた、襲われた!『逃げろツチノコ』伝説の奇書、待望の復刊

昭和34年8月、京都市北部の山中。かねてから催していた便意が高まり、山道を急ぐ男の姿があった。彼こそは本書の著者・山本素石(1919-1988年)。稀代の渓流釣り師として知られ、数多くのエッセイや紀行文を遺した。その素石のもう一つの功績は、ツチノコ探索隊ノータリンクラブの会長として世間にツチノコの存在を知らしめたことである。そのきっかけとなる瞬間が、今まさに

『住友銀行秘史』戦後最大の経済事件、イトマン事件を告発したのは私です 書影

事件・事故 / おすすめ本レビュー

『住友銀行秘史』戦後最大の経済事件、イトマン事件を告発したのは私です

本書『住友銀行秘史』は、日本における「戦後最大の経済事件」と言われたイトマン事件を、銀行側からの証言で綴った貴重な資料である。当時、自分は住友銀行東京本店の隣に位置する銀行で残業しながらヒーヒー言っていたが、まさか隣でこんな壮絶な出来事が繰り広げられていたとは…。自分はつくづく子供だったと思う。 バブルを経験していない若い人には理解できないかも知れないが、1

『竜宮城は二つあった ウミガメの回遊行動と生活史の多型』 役に立たない面白い研究 書影

サイエンス / 生物・自然

『竜宮城は二つあった ウミガメの回遊行動と生活史の多型』 役に立たない面白い研究

「将来の野外生態学を担う若者に刺激を与えるような楽しい本を提供する」ことを目的とする『フィールドの生物学』シリーズの最新作である。本書のタイトルにある竜宮城とは、ウミガメの回遊先の餌場のことだ。ウミガメの餌場が二つあるということが、なぜ驚くべきことなのか、そこからウミガメの生態の何が分かるというのか。本書では、著者が大変な苦労の末にかき集めた豊富なデータとと

『トランプ』氏の圧勝か!? ただし評伝の面白さで比べるなら… 書影

社会 / おすすめ本レビュー

『トランプ』氏の圧勝か!? ただし評伝の面白さで比べるなら…

本書が発売されるにあたり、本人はこう言ったそうだ。 買うな! 退屈な本だ! しかしこの発言こそが、より一層の好奇心をかき立て、最強の宣伝文句になってしまう。今、世界で最も耳目を集め、あらゆる面で逆説的な男、それがドナルド・トランプだ。 先日行われた、大統領選の2回目のテレビ討論をご覧になられた方も多いことだろう。人の質問にきちんと答えない、 変なところに立つ

『いま世界の哲学者が考えていること』21世紀の哲学は、現実社会の問題に対してどう向き合って行くのか? 書影

教養・雑学 / おすすめ本レビュー

『いま世界の哲学者が考えていること』21世紀の哲学は、現実社会の問題に対してどう向き合って行くのか?

哲学の本を一冊ずつ読んでも、それが大きな哲学・思想の枠組みの中でどの部分に当たるのかが分からなければ、文字を目で追っているだけになってしまうし、哲学についての解説書を読んでも大抵の場合、21世紀に入ってからの最新の動向は書いていないし、おまけに議論と実社会での出来事との関連性が希薄なので、意識が朦朧としてきてしまう。そのような読者に福音をもたらしたのが本書で

『なぜ、無実の医師が逮捕されたのか』 99.9%という有罪率の壁を乗り越えた刑事裁判 書影

事件・事故 / おすすめ本レビュー

『なぜ、無実の医師が逮捕されたのか』 99.9%という有罪率の壁を乗り越えた刑事裁判

10年ほど前に、業務上の過失により患者(妊産婦)を死亡させたとして逮捕された、産科医をめぐる刑事裁判「福島大野病院裁判」について、ご記憶の方も多いだろう。テレビカメラの前で医師が逮捕されるというショッキングな出来事から始まり、娘を亡くした父親視点のドキュメンタリー番組が作られるなど、報道は過熱した。裁判の結果、99%を超える刑事事件の有罪率の壁を乗り越え、医

宇宙における生命の普遍的特性──『生命、エネルギー、進化』 書影

サイエンス / おすすめ本レビュー

宇宙における生命の普遍的特性──『生命、エネルギー、進化』

本書は『生命の跳躍』、『ミトコンドリアが進化を決めた』のニック・レーンによる「生命の起源と来歴を語る」一冊だが、これが圧巻の内容である。前作までの内容を取り込みアップデートをかけた上で、生命の起源をめぐる問題に真っ向から挑み、多様な分野にまたがる議論を総括しながら、宇宙における生命の普遍的特性とまでいえる、説得力のある結論を導き出してみせる。 どんな法則が、

『メメントモリ・ジャーニー』アラサー女子、棺桶を買いにアフリカへ行く 書影

教養・雑学 / おすすめ本レビュー

『メメントモリ・ジャーニー』アラサー女子、棺桶を買いにアフリカへ行く

「自分の棺桶がほしい!」 これが健康なアラサー女子の切なる願い……? だがどうやら本気なのだな、これが。だって、著者は理想の棺桶を求めて、アフリカはガーナへと旅立ってしまうのだから。 タイトルにある「メメントモリ」は、ラテン語で「死を想え」の意味。そして言わずもがな、「ジャーニー」は旅、つまり本書は一言で言えば「死と旅のエッセイ」である。 旅先で、すごく完璧

『Interpreting Our World: 100 Discoveries That Revolutionized Geography(洋書)』地理学が人類にとって如何に重要であるか 書影

教養・雑学 / おすすめ本レビュー

『Interpreting Our World: 100 Discoveries That Revolutionized Geography(洋書)』地理学が人類にとって如何に重要であるか

"Interpreting Our World: 100 Discoveries That Revolutionized Geography"は、「地理学」(geography )を変えた100の発見や発明や事柄を取り上げた、百科事典のような読み物である。 英語の本だし価格も1万円近くするので万人向けではないが、専門書にしては以外に平易な言葉で書かれているの

『お墓の大問題』入るだけでも、こんなに大変! 書影

教養・雑学 / おすすめ本レビュー

『お墓の大問題』入るだけでも、こんなに大変!

墓。それは、21歳の私には想像もつかないほど遠く感じるテーマである。しかし、墓は限りなく現実的なテーマだ。 義務教育さえ終わってしまえば、進学や就職をしない人生だってある。この先、結婚できる保証などないし、子供が生まれるかもわからない。仮に結婚できたとして、離婚だってありうる。しかし、どんな人にも必ず平等に訪れるイベント、それが死なのだ。 自分の死だけではな

『スクープ! 週刊文春エース記者の取材メモ』特ダネを連発できるワケ 書影

社会 / おすすめ本レビュー

『スクープ! 週刊文春エース記者の取材メモ』特ダネを連発できるワケ

週刊文春が年明け以降、特ダネを連発している。芸能人や政治家の不倫、現役大臣の金銭授受問題、イケメンハーフ顔のニュースコメンテーターの経歴詐称まで。文春の報道を新聞やテレビが後追いするのはもはや見慣れた光景だ。 なぜ文春がスクープで快走できるのか。週刊文春の元記者による20年の取材生活をまとめた本書を読むと、鮮やかなスクープは地べたを這いずり回る地道な努力の積

『ジビエ教本 野生鳥獣の狩猟から精肉加工までの解説と調理技法』自分で獲って、自分で捌く 書影

教養・雑学 / おすすめ本レビュー

『ジビエ教本 野生鳥獣の狩猟から精肉加工までの解説と調理技法』自分で獲って、自分で捌く

ジビエレストラン「 LA CHASSE(ラシャッス) 」がどこにあるか直ぐに分かる人はかなりの通である。住所は港区六本木三丁目で、泉ガーデンの首都高環状線を挟んで向い側の、先日オープンしたばかりの六本木グランドタワー(六本木三丁目東地区計画)の直ぐそば、六本木通りから少し入った寄席坂の上の方にある。この都会の喧騒の中にポツリと佇む隠れ家レストランをわざわざ訪

アドバイスは無視しろ『BUSINESS FOR PUNKS』 書影

ビジネス / おすすめ本レビュー

アドバイスは無視しろ『BUSINESS FOR PUNKS』

パンク生誕40周年と言われている年にふさわしいPUNKなビジネス書が誕生した。その名も『BUSINESS FOR PUNKS』(ビジネス・フォー・パンクス)。全世界でクラフトビールブームを牽引しているクラフトビールのメーカーの「BREWDOG(ブリュードッグ)」創業者ジェームズ・ワットが書いた刺激的な経営の本である。PUNKが大好きでクラフトビールにはまって

『フィンランド人が教えるほんとうのシンプル』比べず、執着せず、自分らしく 書影

社会 / おすすめ本レビュー

『フィンランド人が教えるほんとうのシンプル』比べず、執着せず、自分らしく

パスコの食パン「超熟」のTVコマーシャルを覚えているだろうか。女優の小林聡美が湖畔で小さなサンドイッチ屋さんを開いていて、そばで遊んでいる子供たちにサンドイッチを作ってあげるという、どこか現実離れしていながら、それでいて懐かしさを感じさせるようなコマーシャルである。 これは、2006年に公開された、群ようこ原作、小林聡美主演の映画『 かもめ食堂 』の設定を再

『「その日暮らし」の人類学 もう一つの資本主義経済』したたかさとなまぬるさの間の生き方 書影

社会 / 民俗・風俗

『「その日暮らし」の人類学 もう一つの資本主義経済』したたかさとなまぬるさの間の生き方

「いま、ここ」に真剣に生きる。 そのような当たり前の事実をアドラー心理学やマインドフルネスで説かれる。わかっちゃいるけど、実践できないのは、ついつい過去を悔やんだり、不確実な未来に思い悩むからである。一方で、リスクを出来るだけ最小化するために予測可能性を高め、テクノロジーが予見する世界像を理解・共有しながら、未来の解像度を高めようとする。そうして、現在と未来

万物は進化する──『進化は万能である:人類・テクノロジー・宇宙の未来』 書影

サイエンス / 生物・自然

万物は進化する──『進化は万能である:人類・テクノロジー・宇宙の未来』

『赤の女王 性とヒトの進化』で魅力的に性の仕組みを解説し、『繁栄――明日を切り拓くための人類10万年史』では「現代ほど良い時代はかつてなかった」という単純な事実を、膨大な例証と共に指摘してきたマット・リドレー最新作とあれば読まないわけにはいかない。今作のテーマは『進化は万能である:人類・テクノロジー・宇宙の未来』という書名通りに「進化」である。 進化はリドレ

『触れることの科学 なぜ感じるのか どう感じるのか』 めくるめく触覚の世界とその裏側 書影

サイエンス / 医学・心理学

『触れることの科学 なぜ感じるのか どう感じるのか』 めくるめく触覚の世界とその裏側

触って、触られて――。他人とのそうした身体的接触を、人生最大の愉しみと考える人も少なくないだろう。しかし、「なぜ感じるのか」「どう感じるのか」という問いに何かしらの答えを与えられるという人は、おそらくほとんどいないのではないか。本書は、そのようなめくるめく触覚の世界とその裏側に、 『快感回路』 などの著書でも知られる神経科学者がやさしく案内するものである。

『地震イツモマニュアル』「モシモ」を「イツモ」にするために 書影

事件・事故 / おすすめ本レビュー

『地震イツモマニュアル』「モシモ」を「イツモ」にするために

日本という国で暮らすことは、地震と一緒に生きていくこと。 2007年に発行された『地震イツモノート』は、阪神・淡路大震災の被災者167人の声と工夫を集めた本だ。「モシモ」ではなく「イツモ」、地震とつきあっていくことを語りかけた同書が2010年に文庫化されてから今日までの間にも、巨大な地震は繰り返し起きてきた。今も書店の文庫コーナーや防災コーナーでは、そう苦労

『武器としての人口減社会』本当に女性が活躍できる社会になれるのか? 書影

社会 / おすすめ本レビュー

『武器としての人口減社会』本当に女性が活躍できる社会になれるのか?

著者の村上由美子氏は、上智、スタンフォード、ハーバードで学び、国連、ゴールドマンサックスなどに勤務した後、2013年からOECD(経済協力開発機構)東京センター長を務めている。しかも、内外を飛び回りながら、国際結婚して三人のお子さんを子育て中というスーパーウーマンである。 本書の紹介に当たって最初に村上氏の経歴を取り上げたのは、後述するように、こうした村上氏

『最後の秘境 東京藝大 天才たちのカオスな日常』そこは大人の幼稚園だった! 書影

アート・スポーツ / おすすめ本レビュー

『最後の秘境 東京藝大 天才たちのカオスな日常』そこは大人の幼稚園だった!

大学に関するノンフィクションは数あれど、藝大がテーマというのも珍しいなと思い読み始めたのだが、中に登場する人物たちは、もっと珍しかった。まさに珍獣、猛獣のオンパレードである。 舞台となる東京藝大は上野にキャンパスがあり、芸術家を志すものたちにとっての最高学府である。上野駅を背にして左が美術学部で、右が音楽学部。美術と音楽、二つの芸術がまさにシンメトリーのよう

『ハンセン病療養所に生きた女たち』沈黙を破った証言者の慟哭を聞け! 書影

医学・心理学 / 社会

『ハンセン病療養所に生きた女たち』沈黙を破った証言者の慟哭を聞け!

日本人の記憶から、らい病(ハンセン病)の記憶は薄らぎつつある。50歳を超えた私でも実際の患者さんを直接見ることはなく、小泉内閣のときに 国家賠償が行われるというニュースで初めてその歴史をかいま見たぐらいだ。それは遠い物語のようだった。 1873(明治6)年、ノルウェーのハンセンがらい菌を発見し、1907(明治40)年、日本に「癩予防に関する件」が制定された。

『喰い尽くされるアフリカ』天然資源に群がる謎の企業たち 書影

社会 / 世界史

『喰い尽くされるアフリカ』天然資源に群がる謎の企業たち

2000年10月、中国政府は中国-アフリカ協力フォーラム第一回会議を北京で開催し、江沢民国家主席(当時)が中国のアフリカへの「対外進出」政策の推進を高々と宣言した。天然資源を軸とした中国とアフリカ諸国の蜜月関係のはじまりである。 以降、2000年代初頭から今日に至るまで、欧米企業が主導していたアフリカでの資源開発に中国企業が次々と参入することとなる。 後世の

美しすぎて、呪われそう!『ときめく貝殻図鑑』最近、「波の音」と暮らしはじめました。 書影

生物・自然 / おすすめ本レビュー

美しすぎて、呪われそう!『ときめく貝殻図鑑』最近、「波の音」と暮らしはじめました。

化粧角折入、白帯桃色乙女筆、天使の翼、苺楊梅、雪空時鳥、竜宮翁恵比寿、艶芋、日本乙姫心……。 読み方は、ケショウツノオリイレ、シロオビモモイロオトメフデ、テンシノツバサ、イチゴナツモモ、ユキゾラホトトギス、リュウグウオキナエビス、アデヤカイモ、ニッポンオトヒメゴコロ。 えーっと、これは……中国の古典文学? 密教のおまじない? 戦隊モノの必殺技の名前? それと

『夢の新エネルギー「人工光合成」とは何か』がわかる! ホントにわかる!! 書影

サイエンス / おすすめ本レビュー

『夢の新エネルギー「人工光合成」とは何か』がわかる! ホントにわかる!!

人工光合成の技術を利用すれば、石油や石炭といった化石燃料に頼らずにエネルギーをまかなうことができる。同時に、全人類にとっての大問題となっている二酸化炭素の排出量を減少させることもできる。まるで夢か魔法の技術だ。 光合成というのは、植物や藻類、シアノバクテリウムといった細菌においておこなわれる、光をエネルギーにして水と二酸化炭素から炭水化物と酸素を作る生化学反

『ハーバードはなぜ日本の東北で学ぶのか』「知識」から「実践と存在意義」への大変革 書影

教養・雑学 / おすすめ本レビュー

『ハーバードはなぜ日本の東北で学ぶのか』「知識」から「実践と存在意義」への大変革

ハーバード・ビジネス・スクール(HBS)の日本リサーチセンターは、江川雅子前所長(現一橋大学大学院教授)の時代には丸の内にあったのだが、アカデミズムにおける場所の重要性という観点から、佐藤信雄現所長や竹内弘高教授の意向もあり、数年前に今の六本木ヒルズ49階のアカデミーヒルズ内に移転した。 当時、私はアカデミーヒルズの担当役員だったことから、ここに勤めていた山

『プライベートバンカー カネ守りと新富裕層』これは格差拡大が生み出す、人類社会の未来の姿なのか? 書影

ビジネス / おすすめ本レビュー

『プライベートバンカー カネ守りと新富裕層』これは格差拡大が生み出す、人類社会の未来の姿なのか?

とてもおかしな連想かも知れないが、本書を読んで映画「ロード・オブ・ザ・リング」を思い出した。実際に見た方も多いと思うが、この映画は闇の冥王サウロンが自らの残忍さ、邪悪さ、そして生きるもの全てを支配したいという欲望を注ぎ込んだ、世界を滅ぼす魔力を秘めたひとつの指輪を巡る壮大なドラマである。 邪悪なものだと知りながらも、一度サウロンの指輪を手にすると、その怪しげ

『サピエンス全史 文明の構造と人類の幸福』 認知・農業・科学 書影

サイエンス / 生物・自然

『サピエンス全史 文明の構造と人類の幸福』 認知・農業・科学

わたしたちは孤独だ。人口が70億を超え、世界中に生息域を広げたとしても、現在の地球上にはホモ属に分類される種はサピエンス、つまり現生人類であるわたしたちだけ。ライオンにはジャガーやトラのように同じヒョウ属に分類される仲間がいるのに、サピエンスは系統樹上で一人ぼっちなのだ。 かつて、人類は孤独ではなかった。そもそも「人類」とはホモ属に分類されるすべての動物を指

読書会の楽しみが十全に詰まった一冊──『プリズン・ブック・クラブ コリンズ・ベイ刑務所読書会の一年』 書影

社会 / おすすめ本レビュー

読書会の楽しみが十全に詰まった一冊──『プリズン・ブック・クラブ コリンズ・ベイ刑務所読書会の一年』

あなたは読書会に参加したことがあるだろうか? 読書会とは言ってみれば、本を読んで、集まって、語り合うというただそれだけの会のことだが、これがなかなか奥が深い。本はどうしたって読むのはひとりだが、3人いれば3通りの読み方があり、たとえ「この作品がおもしろい/つまらないのはなぜなのか?」ということであっても突き詰めて話し合うことで読みの違いが明確になる。友人同士

集団はどうして愚かな結論に至ってしまうのか 『賢い組織は「みんな」で決める リーダーのための行動科学入門』 書影

サイエンス / ビジネス

集団はどうして愚かな結論に至ってしまうのか 『賢い組織は「みんな」で決める リーダーのための行動科学入門』

「三人寄れば文殊の知恵」という。たしかに多くの場合、何人かでアイデアを出しあえば、ひとりで考えるよりいい決断に至ることができる。しかしその一方で、いつもそうとはかぎらないこともわたしたちはよく知っている。みんなで考えたのに愚かな結論に至ってしまった、いやむしろ、みんなで考えたからこそ愚かな結論に至ってしまった――そんなケースに誰もが思い当たるふしがあるのでは

『ルポ ニッポン絶望工場』 メディアが報じない便利さの裏側 書影

社会 / おすすめ本レビュー

『ルポ ニッポン絶望工場』 メディアが報じない便利さの裏側

世の中には「知っておくべきだが、知らされていない事実」がたくさんある。本書が伝えるのは、日本で過酷な労働を強いられている「留学生」や「実習生」の実態である。出稼ぎベトナム人と、彼らを食い物にする日本語学校、低コストで彼らを雇う企業という三すくみの構図がメインだ。また、中国人や日系ブラジル人減少している理由や、外国人介護士が定着しない理由についても書かれている

認知力が生み出す虚構の力!『サピエンス全史 文明の構造と人類の幸福』すべては7万年前に始まった。 書影

サイエンス / 世界史

認知力が生み出す虚構の力!『サピエンス全史 文明の構造と人類の幸福』すべては7万年前に始まった。

私たちは自らをホモ・サピエンスと名づけた。自分達を「賢い人」と呼ぶ私たちは、アフリカ大陸で捕食者に怯える、取るに足りない動物であった。なぜ、その取るに足りない動物である「サピエンス」が現在のような食物連鎖の頂点に立ち、地球を支配するような存在になったのどろうか。 15万年ほど前に東アフリカで細々と暮らしていたサピエンスは7万年ほど前になると突如、地球上のあら

『地図の物語』創造力の拡張 書影

アート・スポーツ / 世界史

『地図の物語』創造力の拡張

住居の間取図を見て楽しめる人がいるように、地図を見てその先の光景に思いを巡らせ楽しめる人もいる。地図上から読み取れる地形や街、河川の形状などから、その場所や住む人間達を想像し、あたかも自分もそこにいるような思いを馳せれる心地よさがあるからだ。 本書はナショナルジオグラフィックから出版された地図を纏めた一冊である。太古の地図から、空想世界の地図、大遠征や探検の

『堤清二 罪と業 最後の「告白」』堤家の愛憎の深さに背筋が震える大宅賞受賞作 書影

人物 / 社会

『堤清二 罪と業 最後の「告白」』堤家の愛憎の深さに背筋が震える大宅賞受賞作

私は堤清二が作り上げたセゾン文化の恩恵にあずかった世代だ。音楽、ファッション、美術と、清二のおかげで知ったことは数知れない。だが同時にビジネス上での異母弟、義明との相克も報道で知ってはいた。 著者の児玉博は2000年の“セゾングル―プ”解体の折の記者会見で、淡々と答える清二に対峙していた。財界を退いて9年、清二は小説家、辻井喬として生きてきた。だがその5年後

『〆切本』あの大作家は書かないのか、書けないのか 書影

人物 / おすすめ本レビュー

『〆切本』あの大作家は書かないのか、書けないのか

この原稿は本来は2016年8月30日の午前7時までに公開しなければならなかったのだが、現在、9月1日の午前9時をまわろうとしている。このまま沈黙を守るわけにもいかず、無理矢理書き出したのだが、原稿用紙5枚程度の分量に過ぎなくても、すんなり書き終える自信がない。いや、延べ90人の作家の〆切に関する文章を集めた本書を読むと、そんなにすらすらと書いたらいけない気す