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おすすめ本レビュー

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『NFTの教科書 ビジネス・ブロックチェーン・法律・会計まで デジタルデータが資産になる未来』 書影

アート・スポーツ / 社会

『NFTの教科書 ビジネス・ブロックチェーン・法律・会計まで デジタルデータが資産になる未来』

本書はNFT(Non-Fungible Token)の特性についてアート・法律・会計・税務など各ジャンルのスペシャリストが解説し、これから拡大するビジネスと社会を提示した一冊だ。 NFTアート購入のニュースが相次いで報道されている。2021年3月、Twitter創業者ジャック・ドーシーの初ツイート画像が291万ドル(約3億円)で落札。2022年1月にはジャス

『Invent & Wander ジェフ・ベゾス Collected Writings』はるか彼方を見据える力 ベゾスの思考の本質に迫る 書影

ビジネス / おすすめ本レビュー

『Invent & Wander ジェフ・ベゾス Collected Writings』はるか彼方を見据える力 ベゾスの思考の本質に迫る

本書は、ジェフ・ベゾス自らの言葉による初めての本として発売された。 ベゾスといえば、米アマゾンの創業者であり、世界一の資産家としても有名だ(『フォーブス』「世界長者番付」2021年版)。最近は、自身が保有する宇宙開発企業ブルーオリジンの初の有人飛行に参加したことでも話題となった。 本書は、パート1に、1997年のアマゾンのNASDAQ(米店頭株式市場)上場以

『誉田哲也が訊く!警察監修プロフェッショナルの横顔』知られざるプロ集団「チーム五社」とは 書影

事件・事故 / TV・動画

『誉田哲也が訊く!警察監修プロフェッショナルの横顔』知られざるプロ集団「チーム五社」とは

他人にホラ話を信じさせるコツは、9割の嘘に1割の真実を混ぜることだという。これが刑事ドラマとなると、そうはいかない。合言葉は「3割のリアル」。7割の嘘に3割の本当が求められるのが刑事ドラマなのだ。そんな刑事ドラマのリアリティを支える知られざる職人集団。それが「チーム五社」である。 五社英雄といえば、時代劇におけるリアリティを追究した監督として知られる。肉を斬

『怪異猟奇ミステリー全史』老後の楽しみ、永久保存版ブックガイド 書影

教養・雑学 / 世界史

『怪異猟奇ミステリー全史』老後の楽しみ、永久保存版ブックガイド

私が小学生のとき、と言えば半世紀も前の話になるが、教室には必ず学級文庫があった。本の裏表紙には貸出カードが付いていて、借りた人の名前を書いて、誰がどの本を読んだかが分かるようになっていた。同じ本を読んだ友だちと内容を話し合うのがとても楽しかったのをよく覚えている。学級文庫をコンプリートすることが自分の課題だった。 その時代、本を読むことが好きな子は、みんな同

『ばらまき 河井夫妻大規模買収事件 全記録』前代未聞の買収事件を総力を挙げて追う! 書影

事件・事故 / おすすめ本レビュー

『ばらまき 河井夫妻大規模買収事件 全記録』前代未聞の買収事件を総力を挙げて追う!

発覚は文春砲だった。2019年10月末、週刊文春は7月の参院選広島選挙区を舞台にした公職選挙法違反の記事を掲載した。 初当選した河井案里議員がウグイス嬢に対し法定上限額の倍を渡しており、選挙を実質仕切っていたのは夫で現職の法務大臣、河井克行衆議院議員だと報じたのだ。発売日の翌日、克行は安倍晋三総理大臣へ法相の辞表を提出する。 『ばらまき 河井夫妻大規模買収事

『メルケル 世界一の宰相』『聖子 新宿の文壇BAR「風紋」の女主人』『アダム・スミスの夕食を作ったのは誰か?』ー彼女たちがいなかったら 書影

社会 / おすすめ本レビュー

『メルケル 世界一の宰相』『聖子 新宿の文壇BAR「風紋」の女主人』『アダム・スミスの夕食を作ったのは誰か?』ー彼女たちがいなかったら

世界経済フォーラムが昨年出した男女格差を測るジェンダー・ギャップ指数で、日本は156カ国中120位。政治に関してはなんと147位だ。 だが世界には素晴らしい女性政治家がいる。『メルケル 世界一の宰相』は様々な危機からドイツを救った首相の評伝だ。昨秋、16年続いたアンゲラ・メルケルの政権は終わりを迎えた。最後の仕事が新型コロナ対策だったのは印象的だ。素早いロッ

『大人のいじめ』それはリベラル競争社会の裏の顔 書影

社会 / おすすめ本レビュー

『大人のいじめ』それはリベラル競争社会の裏の顔

激辛カレーを無理矢理食べさせる。校内の物置小屋に閉じ込める。プール清掃時に石を投げつけたり泥水をかけたりする。殴る、蹴るは日常茶飯事……。2019年、神戸市立東須磨小学校で起きていたいじめの一部だ。子供同士ではない。教員のあいだで発生した大人のいじめである。記憶に新しい方も多いのではないか。 この不祥事の紹介を皮切りに、増加の一途をたどる職場いじめのメカニズ

『「切り札」山下泰裕は日本柔道界を変革できるか』暴力、隠ぺい、男尊女卑、反面教師の組織論 書影

アート・スポーツ / 社会

『「切り札」山下泰裕は日本柔道界を変革できるか』暴力、隠ぺい、男尊女卑、反面教師の組織論

書名をみて「ん?」と思った。 「切り札?変革できるか?答えはもう出ているのでは……」 首をひねりながら手に取ったのだが、はたせるかなこのタイトルは反語だった。 書名の脇に添えられた、しかめ面のイラストがそのことを物語っている。 著者は月刊誌『近代柔道』を主な舞台に、30年以上にわたり柔道界を見続けてきたジャーナリスト。本書は日本柔道界への渾身の提言である。

『最後の角川春樹』角川文化を生み出した “メチャクチャ”な出版人 書影

人物 / おすすめ本レビュー

『最後の角川春樹』角川文化を生み出した “メチャクチャ”な出版人

「あんなに有名な会社の社長がコカインを密輸して捕まるなんて。日本の大人は薬物まみれなのかもしれない」。1993年夏、世間知らずの12歳の私は角川春樹の「コカイン密輸事件」に衝撃を覚え、妄想を膨らませ続けていた。その1週間ほど前に角川が監督した映画『REX 恐竜物語』を見たばかりだった。一緒に見た友人は「社長だけど映画監督でもあるから薬物くらいやっていてもおか

『ドードーをめぐる堂々めぐり 正保四年に消えた絶滅鳥を追って』絶滅の鳥、最後の一羽は江戸を旅した? 書影

世界史 / 日本史

『ドードーをめぐる堂々めぐり 正保四年に消えた絶滅鳥を追って』絶滅の鳥、最後の一羽は江戸を旅した?

ドードーという鳥を知っているだろうか。『アリスの不思議な旅』に出てきた変な鳥を思い浮かべる人、あるいは「ドラえもん」で絶滅鳥類として知った人もいると思う。鳥とは思えない太って滑稽な姿は一度見たら忘れられない。17世紀半ばにインド洋モーリシャス島で絶滅した飛べないハトの仲間である。 ある日著者はロンドン自然史博物館のサイトで「ドードーが日本に旅をしていた」とい

ここまで来ている脳とAIの関係『脳と人工知能をつないだら、人間の能力はどこまで拡張できるのか 脳AI融合の最前線』と『生命知能と人工知能 AI時代の脳の使い方』をあわせ読み 書影

医学・心理学 / おすすめ本レビュー

ここまで来ている脳とAIの関係『脳と人工知能をつないだら、人間の能力はどこまで拡張できるのか 脳AI融合の最前線』と『生命知能と人工知能 AI時代の脳の使い方』をあわせ読み

脳科学はおもしろい。なにしろ新しい知見がどんどん発表されるし、それを紹介する本も目白押しだ。今回はそんな中から脳と人工知能について書かれた本を二冊まとめて紹介したい。 一冊は、『新・情報7DAYSニュースキャスター』(TBS系)のコメンテーターとしても活躍する東大薬学部教授・池谷裕二と、その共同研究者である東大附属病院の医師・紺野大地による『脳と人工知能をつ

『スノーボードを生んだ男 ジェイク・バートンの一生』一枚のおもちゃを世界的なスポーツに 書影

アート・スポーツ / 人物

『スノーボードを生んだ男 ジェイク・バートンの一生』一枚のおもちゃを世界的なスポーツに

雪の上を遊ぶおもちゃの板を、一つのスポーツ、一つのビジネス、一つのカルチャーに育てあげたアメリカ人の自伝である。泥臭く地べたを這いつくばりながら0から1を作り上げたThis is Americaとも言えるストーリーである。その男の名は、ジェイク・バートン、スノーボードのメーカーとしてもっとも有名で巨大なブランドを立ち上げた男である。 はじめに断っておくが、評

保健所の「コロナ戦記」TOKYO2020-2021 書影

医学・心理学 / 社会

保健所の「コロナ戦記」TOKYO2020-2021

混乱の記録である。同時にきわめて貴重な記録でもある。人類の歴史に残る新型コロナウイルスとの闘い。その最前線で何が起きていたのかが本書で初めて明らかになった。 著者は保健所と東京都庁の感染症対策部門の課長として、新型コロナ対策の第一線で指揮をとった公衆衛生医師である。メモ魔を自認する著者の記録は詳細をきわめる。保健所の苦境は報道などを通じ多少は知っているつもり

『古代中国の24時間』英雄たちの歴史の陰に民衆の変わらぬ日常があった 書影

民俗・風俗 / おすすめ本レビュー

『古代中国の24時間』英雄たちの歴史の陰に民衆の変わらぬ日常があった

「昼の光に、夜の闇の深さがわかるものか」という言葉がある。暗い場所から明るい場所はハッキリ見えるが、明るい場所から暗い場所は見えないだろうという意味だ。この言葉は、歴史の捉え方という観点から見ても、非常に示唆に富む。 中国古代史、中でも秦や漢の時代について語るとき、真っ先に脳裡に浮かぶのは、始皇帝、項羽と劉邦、三国志の武将など、その時代の太陽ともいえる人たち

批判、嘲笑、挫折。底をつく資金 『ディズニーランド 世界最強のエンターテインメントが生まれるまで』 書影

人物 / ビジネス

批判、嘲笑、挫折。底をつく資金 『ディズニーランド 世界最強のエンターテインメントが生まれるまで』

よくできた物語は、幸せな家庭の食卓のようなものだ。誰かの意図によらず会話が転がって、やがては笑顔でつつまれる。破格の大事業を成し遂げた人の生涯も同じように、自力だけでなく何かに導かれるものなのかもしれない。世にも稀なる遊園地、ディズニーランドについて書かれたこの本を読んで私はそう感じた。 スティーブジョブズの本を読んだときにも、同じようなことを感じた記憶があ

『SS将校のアームチェア』ユダヤ系歴史家の調査が 「一般のナチ」の姿に迫る 書影

世界史 / おすすめ本レビュー

『SS将校のアームチェア』ユダヤ系歴史家の調査が 「一般のナチ」の姿に迫る

本書の著者、ダニエル・リーは第2次世界大戦を専門とする歴史家で、ユダヤ系英国人でもある。あるとき彼に依頼が舞い込んだ。依頼主はヴェロニカという女性だ。彼女の母が故郷のチェコで購入したアームチェアを修理に出した際、座面の中からナチスに関する書類が出てきたという。依頼は、なぜそんな物が椅子の中に隠されていたのかを調査してほしいというものだった。 書類は1933〜

『言葉を失ったあとで』耳を傾け言葉を引き出す 「聞く」ことのプロの対話 書影

教養・雑学 / おすすめ本レビュー

『言葉を失ったあとで』耳を傾け言葉を引き出す 「聞く」ことのプロの対話

最高の聞き手同士が対話をするとどうなるか。本書はその希有な例である。他人から話を聞くプロである2人が、「聞く」ことの実際を語り合った。 著者の1人である信田さよ子は、カウンセリングの第一人者。原宿に開業したカウンセリングセンターを訪れる人々の話に耳を傾け、依存症やDV(ドメスティックバイオレンス)、児童虐待などの問題にいち早く取り組んできた。 もう1人の著者

「大地変動の時代を生き延びるために知ってほしい岩石の世界『岩石と文明』 書影

サイエンス / 生物・自然

「大地変動の時代を生き延びるために知ってほしい岩石の世界『岩石と文明』

地面には土と岩があり、少し掘ってみると硬い岩石がある。こうした土や岩を研究するのが地質学で、既に300年近い歴史をもつ。地質学者にとって岩石は、地球のなりたちや未来まで予測できる魅力溢れる物質なのだ。 本書は地質学の第一人者が、岩石の不思議を古今東西にわたる人類の文明に引き付けて雄弁に語る。実は、人間は地球上のあらゆる岩石から文明を創ってきた、と言っても過言

過激主義組織はどのように人を勧誘し、虜にするのか?──『ゴーイング・ダーク 12の過激主義組織潜入ルポ』 書影

社会 / おすすめ本レビュー

過激主義組織はどのように人を勧誘し、虜にするのか?──『ゴーイング・ダーク 12の過激主義組織潜入ルポ』

この『ゴーイング・ダーク』は、イスラム聖戦主義者やキリスト教原理主義者、白人のナショナリストや極右の陰謀論者、過激なミソジニストたちの組織など、12の過激な主義主張をかかげる組織に著者が潜入したさまをつづるルポタージュである。 潜入が実施された期間はおおむね2017年から18年にかけての2年間で、その間に著者はオンライン活動への参画を中心としながら、そうした

いまを生きる、すべての人に『東京の古本屋』 書影

教養・雑学 / 民俗・風俗

いまを生きる、すべての人に『東京の古本屋』

「不要不急か――不要不急です」。 得体のしれないことばに、わたしたちは振りまわされてきた。そんなことばを2年間使いつづけている日本医師会、その建物そばの書店「BOOKS青いカバ」の店長・小国貴司さんは、2020年3月、つぶやいていた。 それからおよそ2年、東京の古本屋では何が起きていたのか。 ライターの橋本倫史(はしもとともふみ)は、10軒の古本屋に3日間ず

『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー 2』、『学校!高校生と考えるコロナ禍の365日』今を生きる若者の確かな「希望」を感じる2冊 書影

社会 / おすすめ本レビュー

『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー 2』、『学校!高校生と考えるコロナ禍の365日』今を生きる若者の確かな「希望」を感じる2冊

90万部の大ベストセラーとなった 『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』 は、英国地方都市に住む、母が日本人で父がアイルランド人の、中学校に上がったばかりの少年の成長を、母親の ブレイディみかこ さんが冷静に綴った成長譚だ。 続編である 『ぼくは~2』 (新潮社)では「ぼく」は13歳になった。このころの成長は著しい。背も伸び、大人の視点で世の中を見ら

「ファイザーワクチン」誕生秘録は、疾走感あふれる奇跡のサクセスストーリーだ!『mRNAワクチンの衝撃: コロナ制圧と医療の未来』 書影

サイエンス / おすすめ本レビュー

「ファイザーワクチン」誕生秘録は、疾走感あふれる奇跡のサクセスストーリーだ!『mRNAワクチンの衝撃: コロナ制圧と医療の未来』

バイオベンチャー・ビオンテック社の新型コロナウイルスワクチン開発秘録だ。その疾走感が半端ではない。なにしろ、ワクチン開発に取り組むチームを組織した日からヒトに投与するまでわずか88日しか要さなかった。このことからだけでも、その猛烈なスピードが想像できるだろう。 え?ワクチンといえばファイザーとモデルナのmRNAワクチン、それにアストラゼネカとかで、ビオンテッ

この世の不幸が集まったような清の女性の暮らしを体験『私がクリスチャンになるまで――清末中国の女性とその暮らし』 書影

世界史 / おすすめ本レビュー

この世の不幸が集まったような清の女性の暮らしを体験『私がクリスチャンになるまで――清末中国の女性とその暮らし』

1873年から1879年、中国の田舎でキリスト教を広げる活動をしたアデル・M・フィールドというアメリカ人女性がいた。本書は、アデルが宣教先の中国人女性たちの人生を聞き取ったものだ。 日本だと明治7年、徴兵令がはじまった年、この頃の中国人女性の人生と暮らしはどのようなものだったろうか。 庶民の人生を伝える書物はどの国でも少ない。日本でももちろんそうだ。私たちが

『反逆の神話〔新版〕: 「反体制」はカネになる 』カウンターカルチャーへの愛憎相半ばする複雑な気持ち 書影

教養・雑学 / 社会

『反逆の神話〔新版〕: 「反体制」はカネになる 』カウンターカルチャーへの愛憎相半ばする複雑な気持ち

反体制はカネになる。ん、どういうことだ?、違和感があると同時に居心地が悪い。だって、反体制の人たちはおカネよりも大切なもの、例えば、自然とか文化とか、コミュニティとか、スタイルとか色々とあるから。儲かることや経済とは一線を画して、独自路線を進んでいるのであって、おカネや儲かるという言葉とは縁遠いはずだ。 だけど、読み終えると、そんなやわな考えは吹き飛んでしま

『金融庁戦記 企業監視官・佐々木清隆の事件簿』金融庁の異色幹部 多くの経済事件に対峙 書影

ビジネス / おすすめ本レビュー

『金融庁戦記 企業監視官・佐々木清隆の事件簿』金融庁の異色幹部 多くの経済事件に対峙

20世紀末の日本の金融界の大混乱は、メガバンクの誕生を経て収まったかに見え、そうした視点での金融関連本は一旦下火になった感があった。しかし近年は、2016年刊行の『住友銀行秘史』がベストセラーとなり、同書の著者・國重惇史氏のバンカーとしての告白『堕ちたバンカー』、金融庁の佐々木清隆氏の半生を描いた本書など、金融界で活躍した個人に焦点を当てた本が売れている。

『東京ルポルタージュ』東京の「いま」がわかる31の物語 書影

社会 / おすすめ本レビュー

『東京ルポルタージュ』東京の「いま」がわかる31の物語

今年は異常な年だった。いや、昨年に続いて、というべきかもしれない。 「あっという間に年末ですね」「なんだか1年が終わる手応えがないですよね」同じような会話を1年前も交わしていたような気がする。 2020年と2021年は、疫病とオリンピックの年として記憶されるだろう。 パンデミックと祭典は私たちに何をもたらしたか。本書はコロナ禍とオリンピックに揺れた日々を、

『Invent & Wander──ジェフ・ベゾス Collected Writings』イノベーターを次々と生み出すアメリカの底力 書影

ビジネス / おすすめ本レビュー

『Invent & Wander──ジェフ・ベゾス Collected Writings』イノベーターを次々と生み出すアメリカの底力

今年の夏にGAFAの時価総額が日本企業全体を上回り、大きな話題になった。そのGAFAの経営者の中でも、アマゾンの創業者で世界一の資産家(2021年フォーブス誌ランキング)であるジェフ・ベゾスの独創性と経営力は群を抜いている。 何はともあれ、そんなジェフ・ベゾスの本だから読んでおかなければと思い、本書をめくり始めたのだが、あまりの面白さに止まらなくなってしまっ

『死体格差 異状死17万人の衝撃』異状死体解剖率は1割程度 日本の死因究明が抱える問題 書影

社会 / おすすめ本レビュー

『死体格差 異状死17万人の衝撃』異状死体解剖率は1割程度 日本の死因究明が抱える問題

「死人に口なし」というが、実は死体は雄弁だ。どんなに巧妙な殺人や、事故に偽装しようとした自殺であっても、死体は嘘をつかない。ドラマや小説の中で法医学者が遺体にメスを入れて死因を調べ、殺人事件を解決に導く様子は見慣れたものだ。 だが、死者の声に専門家が耳をしっかり傾ける場面は非常に限られている。医療機関以外での死亡は、「異状死」に分類される。2020年には国内

『四国辺土』現代の草遍路に密着した比類なきルポ 書影

社会 / 民俗・風俗

『四国辺土』現代の草遍路に密着した比類なきルポ

遍路については、恥ずかしながらたいして知識がなかった。なにしろこの本を読むまで、そば打ちと同じように、「仕事をリタイアした男性が手を出しがちなもの」くらいにしか思っていなかったのだから。 弘法大師(空海)ゆかりの四国八十八箇所の札所を回る遍路は、現在年間20万人ほどいるという。ほとんどはバスや車を利用して回るカジュアルなお遍路さんだが、中には遍路で生活して

『筑紫哲也「NEWS23」とその時代』かつてジャーナリズムが元気だった時代があった 書影

人物 / 社会

『筑紫哲也「NEWS23」とその時代』かつてジャーナリズムが元気だった時代があった

本を読み終えて顔を上げた瞬間、いまどこにいるのかわからないような感覚に襲われた。一瞬とはいえ、自分を見失ったような気がしたのはなぜだろう。いましがた読み終えたばかりの本に書かれていたのは、ついこの間の出来事である。にもかかわらず、この本に描かれた時代といまとはまるで違う世界のようだ。 そうか、とようやく思い至る。文字通り世界が変わったのかもしれない。私たち

トムとジェリーも計測に大活躍!なんも知らんかった『南極の氷に何が起きているか』 書影

サイエンス / おすすめ本レビュー

トムとジェリーも計測に大活躍!なんも知らんかった『南極の氷に何が起きているか』

いうまでもなく、地球温暖化が問題になっている。気候変動、動植物の分布、疾病構造の変化などと並んで、海面上昇も大きく影響をうける現象のひとつだ。「温暖化→氷の融解→海面上昇」という流れはわかりやすい。では、そこに南極の氷がどれくらい寄与するのか?その答を知っている人は多くないだろう。 現時点ではほぼ無視できるが、いずれ大きな影響を及ぼすに違いない、というのが正

『ネイビーシールズ 特殊作戦に捧げた人生』伝説の軍人の回想録 歴史の裏で何があったのか 書影

社会 / おすすめ本レビュー

『ネイビーシールズ 特殊作戦に捧げた人生』伝説の軍人の回想録 歴史の裏で何があったのか

近年、映画や書籍で、「ネイビーシールズ」を目にすることが増えた。現実に存在する米海軍の特殊部隊で、例えば、イスラム過激派テロリストのウサーマ・ビン・ラーディン殺害作戦はこの部隊によるものだった。 本書の著者ウィリアム・H・マクレイヴンは、何を隠そう、ビン・ラーディンを捕縛・殺害するための「ネプチューンの三叉矛」作戦で司令官を務めた男である。また、イラクの独裁

インディーゲームを売り、作り続けていくための現場の知見と悩みが詰まった最良のガイドブック──『インディーゲーム・サバイバルガイド』 書影

ビジネス / おすすめ本レビュー

インディーゲームを売り、作り続けていくための現場の知見と悩みが詰まった最良のガイドブック──『インディーゲーム・サバイバルガイド』

この数年、UnityやUnrealEngineのようなゲーム開発エンジンが発展し、インディーゲームの販売に力を入れるSwitchが台頭したことで個人開発のような小規模ゲームが比較的手軽に販売できるようになった。また、ダウンロード販売が当たり前になり、スマホのスペックが上がったことなど複数の要因が重なり少人数で制作されるインディーゲームが盛り上がってきている。

信じる? 信じない?『精神科医の悪魔祓い デーモンと闘いつづけた医学者の手記』 書影

サイエンス / 医学・心理学

信じる? 信じない?『精神科医の悪魔祓い デーモンと闘いつづけた医学者の手記』

あなたは、信じるだろうか? 空中浮遊を30分もするなんて、迷信、ウソ、見まちがい、やらせ・・・そう言って、はねつけるだろうか? この精神科医は、信じている。悪魔は実在し、多くの人が、いまもなお闘っていることを、信じている。 「精神科医のなかには、おかしな人もいる」、読み始める前のわたしは思いこんでいた。 本書の版元・国書刊行会が、この本をウェブサイトで「オカ

『何もしない』注意経済の奴隷となった現代人に覚醒を促す一冊 書影

社会 / おすすめ本レビュー

『何もしない』注意経済の奴隷となった現代人に覚醒を促す一冊

「誰かを論破できる人ってカッコいいと思うんですよ」。若い友人の口から飛び出した言葉に驚いた。彼が憧れるのは、「論破王」と呼ばれる著名人だという。SNSやテレビのワイドショーで、次々に相手を言い負かす姿がたまらないらしい。そんな話を聞いて、面白いと感じる一方、ちょっと考えさせられてしまった。 実は、この著名人流の「論破」が成り立つには、舞台装置が必要だ。ツイッ

『世界を救うmRNAワクチンの開発者カタリン・カリコ』新型コロナワクチン開発秘話! 書影

サイエンス / 人物

『世界を救うmRNAワクチンの開発者カタリン・カリコ』新型コロナワクチン開発秘話!

2021年8月半ば、日本では新型コロナウイルスの感染者が5000人を超えた。その後ピークアウトして減少を続け、2021年11月15日現在、全国で感染者が100人余りという日が続いている。重症者も少なくなり、ひとまず第5波のパンデミックは落ち着きを見せている。この感染者が急減している原因は特定されてないが、ワクチン接種の普及が大きな要因であることは間違いないだ

英国コメディアンによる『税金の世界史』 書影

社会 / 世界史

英国コメディアンによる『税金の世界史』

金融所得課税や経済政策の財源論など、2021年10月の衆議院選挙でもなにかと話題になった税制度。日常生活にも、国家運営にもかかわる、大事な論点である。一方で、ひと口に税金といっても、制度は複雑怪奇で分かりづらく、とっつきにくい。税金と聞いただけでアレルギー反応を示してしまう人もおおいだろう。 ムズかしい問題に分かりやすい切り口をあたえてくれるのは、『歴史』だ

『「非モテ」からはじめる男性学』身近なヒエラルキーと支配 書影

医学・心理学 / 社会

『「非モテ」からはじめる男性学』身近なヒエラルキーと支配

「非モテ研」というものがあるらしい。正確には「ぼくらの非モテ研究会」という名前で、いわゆるモテ講座ではなく「非モテで悩んでいる人」たちで集まって開催されている。この会の主宰で、筆者でもある西井開さんは臨床心理士であり、研究者であり、そして本人も「非モテ」意識に悩むひとりだ。 たとえば人は、だれそれがモテない、と聞くと「外見が悪いのかな?」とか、「性格が悪いの

『東京の生活史』『都会の異界 東京23区の島に暮らす』『東京23区×格差と階級』暮らす人にとっての東京 書影

社会 / おすすめ本レビュー

『東京の生活史』『都会の異界 東京23区の島に暮らす』『東京23区×格差と階級』暮らす人にとっての東京

五輪の話題もようやく落ち着いた。会場となった大都市「東京」の実像について、考えてみるのも良いだろう。 150人の聞き手が150人の「東京にいる人、いた人、いたことのある人」に聞いた人生が1216ページの『東京の生活史』になった。聞き手は公募、語り手は誰だかわからない場合も多く、読み手は何の情報もないまま読み始める。年齢も性別も2人の関係性もわからないが、何か