ノンフィクションはこれを読め!

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『これを英語で言えますか? デラックス』 書影

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『これを英語で言えますか? デラックス』

外資系に20年近く勤務したため、英会話の秘訣を聞かれることが多い。リスニングやスピーキングなどは後回しでよい。まずは日常会話に必要な英単語を覚えることが先決だと答えている。日本の英語教育はいわゆる文学部系の文献を読むことに力点がおかれるため、CNNのニュース番組を理解したり、ウォールストリートジャーナルを読んだり、日常会話に必要な単語などはほとんど教えていな

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『文藝春秋 2002年4月(今月買った本)』

2002年から2009年まで月刊『文藝春秋』のコラム、「今月買った本」に年数回の割合で原稿を載せてもらった。このコラムはその月に買った本を十冊リストにして紹介し、そのうちの数冊の書評めいたものを書くというものだ。それでは、以下本文である。体裁は横書き用にしている。 人はウソをつくときには早口多弁になるという。淑女は齢を重ねると身に付ける宝石が増えるらしい。こ

『宇宙の果てを探る』 書影

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『宇宙の果てを探る』

1000円の新書版の本だが、これはお買い得だ。美しい宇宙のカラー写真が100点ほど掲載されている。宇宙誕生、銀河系、太陽系、地球、銀河系の天体、地球外生命の6章で構成され、説明・写真ともに過不足ない。 株価バブル後最安値とか、呆れるばかりの馬鹿政治家たちとか、完成しない船舶プラモデルとか、最近は足元ばかりを見ている気がする。子供のころは宇宙の果てのさらにその

『超撥水と超親水』 書影

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『超撥水と超親水』

完全な工学書であるから、よほどこの二つの事象に特別な興味がないかぎり読む必要はないだろう。これ1冊で二つの事象を俯瞰的に理解することができる。ある程度の科学の素養がないと読むのは難しい。 わずか3ページの第1章につづく、第2章の1ページ目で「バネやゴムの張力なら、その起源は原子間力や高分子鎖のコンホメーション・エントロピーと明確にわかっている」などと、この程

『徹底抗戦』 書影

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『徹底抗戦』

本書は著者本人から昨夜届いた献本である。著者ホリエモンとは宇宙航空研究開発機構、JAXAの宇宙オープンラボのアドバイザー会議で初めてお会いした。ライブドア事件の前年のことである。世の中の多くの人々と異なり、ボクにとってのホリエモンは宇宙ビジネスの人なのだ。 著者は基礎的なロケットエンジンを開発中だ。いつかは必要になるであろうと、昨年にはアマチュア無線の専門家

『ゴム銃 オフィシャルガイドブック』 書影

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『ゴム銃 オフィシャルガイドブック』

まずは、表紙を良くご覧いただきたい。本書で紹介されているさまざまな銃の中でも傑作が写真で紹介されている。この銃の名前は「サイドワインダー」。発射方式は電動ストリングリリース式。全長470mm、全高250mm、装弾数は200発だ。なんと適合装弾は16番なのだ。この16番の銃弾は一般的に入手しやすい銃弾であり内径38mm、切幅1.1mm、厚み1.1mmだ。 つま

『幕末明治の肖像写真』 書影

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『幕末明治の肖像写真』

文字どおり幕末から明治にかけての肖像写真集である。天皇家、皇族、公家、志士、軍人、経済人などあらゆる分野から200人、450点の写真を収録している。装丁は良いのだが、本文デザインがダメすぎる。写真のレイアウトにインパクトも工夫もないし、文字が小さすぎるので、主要な読者層であろう中高年にはじつに読みにくい。各ページにインデックス風の飾りがあるのだが全く意味をな

『江戸の数学教科書』 書影

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『江戸の数学教科書』

和算とは江戸時代に日本人が独自に生み出した数学のことだ。この和算は寺子屋とは別の塾で教えられていたらしい。以前、紹介した『幕末下級武士のリストラ戦記』の主人公も7才から寺子屋に、8才からは算術塾にも通い始めている。寺子屋を描いた絵にソロバンをはじく子供がでてくるのだから、算術塾では足し算引き算ではなく、いわゆる数学を教えていたことが予想できる。 現代の学校で

『裁判官が見た光市母子殺害事件』 書影

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『裁判官が見た光市母子殺害事件』

さすがに読了までの時間がかかった。元裁判官である著者が「法律のみを基準とし公正を旨として」本書をまとめたと記しているように、大量の判決文が生のまま引用されている。これがじつに読みにくいのだ。法律文は正確性を期すためなのであろうか、文章中の漢字比率が異常に高い。さらに文そのものが長いので理解しにくい。本書で引用されている「永山基準」の最初の文は600字あまり、

『世界がわかる理系の名著』 書影

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『世界がわかる理系の名著』

帯には「京大で受けたい授業No.1の名物教授が教える、14冊の革命的な書物」とある。たしかに、本書は授業そのものだ。14コマの授業を受けているような気になる。紹介されているほとんどの本は誰でも素性は知っているが、じっさいはあまり読まれていない本だ。 ダーウィンの『種の起源』ファーブルの『昆虫記』はいうにおよばず、カーソンの『沈黙の春』まで押さえてある。1冊の

『人を殺すとはどういうことか』 再掲 書影

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『人を殺すとはどういうことか』 再掲

書評を書くにあたり、この本だけは担当編集者に電話をし、出版意図を確認した。なにしろ著者は二人の人間を殺め、現在も無期懲役刑で服役中なのだ。著者が隠しているかもしれない、なんらかの目的に利用されてはならないと考えたのだ。 編集者がいうには著者は担当者を指名して、刑務所の中から原稿を送りつけてきたという。出版を決意したのは、面会などを通じて著者の更正が見てとれ、

『死体の経済学』 書影

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『死体の経済学』

タイトルがどこかしっくりこないのだが、これ以外の題名はつけようのない本だ。内容は葬儀だけの話ではない。防腐処理だけでも、腐乱死体の処理の話だけでもない。死体にまつわるビジネスの総合的なノンフィクションなのだが、最後まで読むと金儲けだけだと割り切るには抵抗が生まれる。ゆえに経済学と名付けたのであろう。 第1章は葬儀ビジネスのからくりについてで、この章だけを立ち

『なぜ、中国は「毒食」を作り続けるのか』 書影

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『なぜ、中国は「毒食」を作り続けるのか』

中国叩きの本は数があまりに多いため、読む気にならなかった。本書は例外である。本屋で品定めをしたのだが、最後のページでの著者の主張が気に入ったのだ。いわく「日本を敵国と仮想している中国に食糧調達の多くを依存している現状を正すべきであろう。(中略)たとえばアメリカの穀物を買うことは、一時のような異常な価格高騰さえなければ、「防衛」上の戦略として一定の意義がある。

『森林の崩壊』 書影

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『森林の崩壊』

言いたいことはわかる。しかし本書を一読すると、どうにもお行儀が良すぎる気がしてしまう。本書はタイトルである森林の問題だけでなく、伝統木造建築の問題にも触れている好著だ。このままでは日本の森も木造建築も滅びるという警告の書だ。しかし、テレビという見世物小屋で、激しい言葉を使ってお役人を糾弾するコメンテーターに馴れてしまった読者としては、なんとも心もとない告発の

『歌麿 抵抗の美人画』 書影

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『歌麿 抵抗の美人画』

優れた評伝である。歌麿の生涯と作品の見方を上質な推理小説を読むがごとく学ぶことができる。じつは歌麿の全盛期は風紀に煩かった寛政の改革と重なる。本書のテーマは幕府による度重なる狂歌や浮世絵に対する出版禁止こそが、皮肉にも歌麿を当代一の浮世絵師にまで押し上げたことを検証することだ。 2007年、ボストン美術館は秘蔵していた6500点の浮世絵を公開した。浮世絵は植

『城のつくり方図典』 書影

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『城のつくり方図典』

これからお城を建てようと考えている人にとって、これほど役に立つであろう書籍も珍しい。まあ、そんな人はめったにいないだろうな。本書は5章立て、フルカラー250ページで城のつくり方を、いちから教えてくれる。第1章は縄張りの章だ。城を置く場所の決め方、曲輪とその入り口である虎口の開きかたなどの基本を、こまごましく説明してくれる。 第2章はいよいよ普請の章だ。まずは

『竜の卵』と『星を継ぐもの』 書影

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『竜の卵』と『星を継ぐもの』

コメントにも記したのだが、これからハードSFを読んでみようと思われる方にはこの2冊がお勧めだ。『竜の卵』の著者は物理学者でもある。地球の生命体は炭素を核としているが、理論的には元素周期表で炭素の真下にあたるシリコンを核としても生命体は形成される可能性がある。ボクも宇宙のどこかにはそのような生命体がいると思っている。 驚いたことに『竜の卵』の著者は、中性子を核

『自爆する若者たち』 書影

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『自爆する若者たち』

ともかく読みにくい本である。おそらくドイツ語の原著も読みにくいのだろうが、翻訳の出来についても疑いがある。イギリス人などがいったん英語版に翻案し、それを日本語に翻訳したものを読んでみたいものだ。しかし、内容は驚くべき視点で構成されており、戦慄を覚える。 ある国や地域で人口が爆発的に増加することによって、外向きの人口移動の圧力が発生し、地域の不安定化や戦争の原

『警視庁捜査一課長 特捜本部事件簿』 書影

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『警視庁捜査一課長 特捜本部事件簿』

時間がかかった科学物のあとで、気軽に読める感触があったので本書を手にとってみた。著者は日本テレビの夕方ニュース番組に出演中の田宮榮一コメンテーターだ。ご本人は警視庁の警ら部長やヤマト運輸の代表取締役専務なども勤めているのだが、その長いキャリアのなかで1年半ほど在任した捜査一課長時代の思い出を語っているのが本書だ。 昭和57年から58年にかけての話だから、全編

『日本は原子爆弾をつくれるか』 書影

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『日本は原子爆弾をつくれるか』

少なくともタイトルを見る限り、中東で読むにはふさわしくない本かもしれない。内容は文字通り原子爆弾の作り方を解説した本だ。中高生でも理解できるように書かれているのだが、物理学マニアや兵器マニアでも知らなかったことが多数記載されている。原子爆弾だけでなく、原子炉の違いについても理解を深めることができるであろう。 本書はじつに丁寧に書かれており、原子の構造や放射能

『ハチはなぜ大量死したのか』 書影

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『ハチはなぜ大量死したのか』

ブログ更新が遅れたのは、この本に手間取っていたからだ。読みにくかったわけではない。唖然とするほど内容が膨大で、理解しながら読むためには時間がかかったのだ。アメリカで蜂が大量に失踪していることを知ったのは一昨年の2月のことだった。テクノバーンの記事で読んだのだ。本書はその蜂の大量失踪の謎を追った本である。 2007年春までに北半球から1/4の蜂が消えた。アメリ

『スパイと公安警察』 書影

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『スパイと公安警察』

いま読み終えた。じっくり読んだ。なんともいえない切ない気分である。日本はこの本の著者や佐藤優など、見えない公務員の努力によって支えられきたことだけは間違いない。本当にありがたいことだ。ちなみに佐藤優はいまだに刑事被告人だし、本書の編集者に聞いたところ、著者は一人の飲んだくれの警官退職者だという。 本書は日本において異例な防諜活動の赤裸々な記録だ。すなわちスパ

『幕末下級武士のリストラ戦記』 書影

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『幕末下級武士のリストラ戦記』

1984年に『元禄御畳奉行日記』という本が出版され話題となった。著者は後に『縛られた巨人』で南方熊楠を世に知らしめた神坂次郎だ。この『元禄御畳奉行日記』は尾張藩のある侍があまりに詳細で、赤裸々に身の回りを書いた日記を紹介した本なのだが、とんでもなく面白いものだった。この本を読んでから、少なくとも江戸後期は近世というより近代だという感覚を持ったものだ。近代とし

『もしも月がなかったら』 書影

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『もしも月がなかったら』

科学の入門書にして思考実験の教科書でもある、ロングセラー本だ。原書は1993年に書かれている。日本での翻訳本の出版は1999年だ。原書が書かれてからすでに15年以上にいなるのだが、陳腐化していない。 それもそのはずで「もしも月がなかったら」「もしブラックホールが地球を通り抜けたら」「もし可視光線以外の電磁波が見えたら」などのありえない地球の姿を仮定し、科学的

『なほになほなほ』 書影

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『なほになほなほ』

竹本住大夫の自伝である。おなじみ日本経済新聞「私の履歴書」の書籍化だ。ちなみに近年「私の履歴書」で最も面白かったのは李香蘭すなわち山口淑子だった。本書は次点だが、経営者の自叙伝の何十倍も面白い。何万倍かもしれない。つまり経営者の自叙伝などはことごとく面白くない。そういえば佐野眞の『甘粕正彦 乱心の曠野』などは李香蘭の自伝を読んでからのほうがはるかに面白いはず

『ラテン語の世界』 書影

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『ラテン語の世界』

ラテン語についての入門書を読んでみようと買っておいた本だ。ラテン語を読めるようになりたいなどと、大それたことを考えているわけではない。本書はけっして難しい語学の教科書ではなく、読み物として非常によく書かれていると聞いていた。 「はじめに」ではラテン語がいかに現代でも利用されているかを説明するにあたり、「bit」を例示する。つまり「bit」は「binary」と

『明治のお嬢さま』 書影

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『明治のお嬢さま』

本書によれば、明治三七年に創刊された『婦人画報』の半分近くは光沢のある紙を使ったグラビアページだったという。そこに掲載されている写真の多くは上流階級の貴婦人とご自宅拝見だったらしい。編集長は国木田独歩だった。 じっさいに明治天皇の側室として大正天皇の生母になる柳原愛子や東伏見宮の写真が掲載されている。のちに大正天皇の后になる九条節子などの超セレブも堂々とポー

『人を殺すとはどういうことか』 書影

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『人を殺すとはどういうことか』

年が明けて間もないのに、驚くべき本が出てきた。というよりも驚くべき書き手が出てきたというべきであろうか。著者は2件の確信的殺人を犯した無期懲役囚である。もちろん服役中だ。 裁判では著者の性格鑑定が行われているのだが、その報告書において鑑定人は「当職は、30年の職歴の中でこのような奇跡的な知能レベルに遭遇するのは初めてであり、他の症例を調査しても前例がないこと

『モーセと一神教』 書影

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『モーセと一神教』

10年ほど前になるであろうか、エジプト考古学者である吉村作治先生の発掘現場にうかがったことがある。もちろんエジプトだ。発掘中の墳墓は公開中のものと違い、盗賊用の落とし穴を埋めていないし、照明も整っていないため、「インディ・ジョーンズ」そのままだった。その夜、エジプトビールを飲みながら吉村先生が不思議な話を聞かせてくれた。 紀元前14世紀ごろアメンホテプ4世が

『新説 桶狭間合戦』と『桶狭間・信長の「奇襲神話」は嘘だった』 書影

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『新説 桶狭間合戦』と『桶狭間・信長の「奇襲神話」は嘘だった』

両方ともに新書である。前者は2008年9月刊、後者は2008年12月刊だ。じつは両者、桶狭間の戦い以上に熱い戦いを出版物で展開中なのだ。前者の著者である橋場氏は本人のブログによれば40+α歳、後者の藤本氏は1948年生まれの60歳だ。桶狭間のときの信長は26歳、義元は42歳だった。年齢差も信長と義元に近い。 藤本氏は現在主力となっている「正面攻撃説」の提唱者

『描かれた技術 科学のかたち』 書影

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『描かれた技術 科学のかたち』

上等な科学の講義である。100枚ほどの目を惹く図像をつかい、その図像を読み解きながら、歴史的な背景を探るものだ。 デカルトといえば高校の教科書で読んだだけだから、「我思う、ゆえに我あり」であり『方法論序説』であり、すわなち哲学者なのだが、晩年に書かれた『人間論』には眼球を動かす筋肉や松果体などの細密な図像が使われていることを知り驚いた。じつは『宇宙論』にも『

『鵤工舎の仕事』 書影

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『鵤工舎の仕事』

正月中このあまり分厚くもないこの本にかかりきりになった。普段は気になるページの肩を折って印とするのだが、その箇所があまりにも多くなりそうなのでポストイットのブックマークを使った。肩を折っていては本の厚みがそこだけ2倍になりそうだったからだ。 著者は法隆寺最後の宮大工といわれる故西村常一氏を紹介した『木に学べ』などこの分野では多数の著書がある作家だ。読み手も宮

『遠い海からきたCOO』 書影

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『遠い海からきたCOO』

12月25日付けの『いま恐竜が生きていたら』の書評にあわせて紹介しようと思っていたのが本書である。若い人は著者の景山民夫を知らないかもしれないが、一時は売れっ子の放送作家だった人だ。より知的なテリー伊藤という感じだった。1998年に不可解な死をとげる。生前新興宗教に激しくのめりこみ、マスコミはいまも彼の存在を拒絶しつづけている。このブログでも紹介するべきか否

『すごい空の見つけかた』 書影

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『すごい空の見つけかた』

写真集である。しかも版形は小さく95ページで1600円もする。ページあたり単価が高すぎる。元日でなければ紹介しない本かもしれない。お屠蘇気分で眺めるとじつにおめでたい空の写真で満載なのだ。 まずは「飛行機雲」という写真がすごい。普通の白い雲の中を1機の飛行機が飛んでいる。その飛行機のあとにはオレンジ色と赤の2色の飛行機雲がきっぱりと引かれている。著者は高校教

『機密指定解除』 書影

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『機密指定解除』

本書を読み通すにあたり、目論見の何倍もの時間がかかってしまった。本書はアメリカに実在する機密文書を紹介する本だ。この場合の機密文書とはスパイ活動に関連する文書である。なにしろ国際スパイ博物館のエグゼクティブ・ディレクター、ピーター・アーネスト氏なる人が巻頭の推薦文を書いているほどだ。こころなしかチープな感じの名前の博物館だが本筋ではない。 本書で紹介されてい

『連邦刑務所から生還した男』 書影

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『連邦刑務所から生還した男』

「自称」FBIの囮捜査で罪を着せられ、カリフォルニアの重罪刑務所をふりだしに11年投獄されていたヤクザの組長の本である。アメリカの司法は日本の常識では推し量れないところがあるが、それを主張しているのはヤクザなのだから、あえて「自称」と紹介した。著者はプロのノンフィクション作家であり、筑摩書店の本である。本書の印税が主人公のヤクザの手に渡らないことを信じて紹介

『いま恐竜が生きていたら』 書影

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『いま恐竜が生きていたら』

A5版フルカラー191ページの本である。まさに「いま恐竜が生きていたら」というシミュレーションを合成写真でしてみせる本だ。 まずは草食恐竜の紹介だ。最初はウロポセイドンと象の群れである。人間が象の脚の間を通り抜けれるように、象が恐竜の脚の間を通り抜けれるほどの大きさだ。ピラミッドを背景にした砂漠ではラクダとオウラノサウルスが並んで暑さに耐えている。可愛い。空

『追跡・アメリカの思想家たち』 書影

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『追跡・アメリカの思想家たち』

本書をきちんと紹介できるだけの知識を持ち合わせていないが、現代アメリカを批判するためには読まなければならない本であることはわかる。アメリカのキリスト教原理主義の奇妙さとその戦慄するべき影響については、なかば面白おかしく書いた本が多数出版されているが、そのほかの主要な思想について網羅的・体系的に紹介しているのは本書だけだ。 ネオコン、リバタリアン、ファンダメン

『大峯千日回峰行』 書影

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『大峯千日回峰行』

まずは帯を引用する。「想像を絶する破天荒な荒行、大峯回峰行。断食・断水・不眠・不臥、死の極限の四無行。五穀断ち、塩断ち、炎の八千枚大護摩供。知られざる修験の超人的修行の実際と、その真実とは。」じつはこれで本書の紹介は充分である。以下は補足だ。 著者は大峯千日回峰行大行満大阿闍梨・塩沼亮潤師である。師は19歳のときにお坊さんになってから、今年で40歳である。本

『カバに会う』 書影

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『カバに会う』

えーと、日本全国のカバに会う本である。巻末の著者略歴をさらに略すと、俳人にして歌人、佛教大学教授、1944年生まれ、研究の対象は日本文学のほか、あんパン、柿、そしてカバとある。 「はじめに」の1ページ目からでいきなり、「総入れ歯そう嫌でない河馬の馬鹿」「河馬の馬鹿成功せずとも性交し」などの句の紹介がある。左党放犀という俳人の句集「河馬の馬鹿」からの転載だ。こ