ノンフィクションはこれを読め!

足立 真穂

東京生まれ。大学を卒業後、「矢来町」のとある出版社に勤務。国内外の実用書から学術系の本まで、幅広いテーマの本作りを手がけている。書籍編集のかたわら、趣味はシブく能楽と習字。

(2024年当時)

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76記事

すごい印刷、触れます! 『デザインのひきだし27』 書影

教養・雑学 / おすすめ本レビュー

すごい印刷、触れます! 『デザインのひきだし27』

いまや、毎号、見るのは、いや、手にするのがいちばん楽しみといっても過言ではないのが『デザインのひきだし』。印刷や本まわりのプロの間では有名な「プロなら知っておきたいデザイン・印刷・紙・加工の実践情報誌」。 10年目を迎えるというこの雑誌、今回の27号の特集は「現代・印刷美術大全」と題して、すごい充実ぶり。厚さをはかったみたところ36ミリ(当方調べ)。でも、途

『数学ミステリー X教授を殺したのはだれだ!  容疑者はみんな数学者!?』ギリシャ発の数学漫画 書影

サイエンス / おすすめ本レビュー

『数学ミステリー X教授を殺したのはだれだ! 容疑者はみんな数学者!?』ギリシャ発の数学漫画

と、いきなりですが、まえがきから。 いま、あなたが手にしているこの本は2種類の読者を想定している。数学について知識が少しある読者とまったくない読者だ! これは実際の事件に基づいたフィクションで、登場するヒーローたちは数学の歴史に足跡を残した実在の人物たちだ。舞台は1900年、パリ。容疑者が史上最高の数学者たちという、殺人事件ミステリーだ。容疑者たちの警察への

世界最強の姑さん『ヤマザキマリのリスボン日記』 書影

教養・雑学 / おすすめ本レビュー

世界最強の姑さん『ヤマザキマリのリスボン日記』

ついつい出れば買ってしまう、ヤマザキマリさんの新刊。今回は「リスボン日記」とやら。あれ、リスボンにもいたんだっけ? そう、いらしたそうなんです。時代は遡ること、2004年の夏の終わり頃。あの『テルマエ・ロマエ』の着想を得て、描き始めた時期なのでした。 何気なくページを開いたら、いつのまにかの一気読み。解説を書いている女優の本上まなみさんの帯の言葉の通り「爆笑

「鳶」兼「写真家」 『解業』 書影

教養・雑学 / おすすめ本レビュー

「鳶」兼「写真家」 『解業』

独自の視点で、質の高い写真集をいつも紹介してくれる出版社、赤々舎。今度は、「鳶」として日本を駆け巡りながら、休みを利用して撮影をする「写真家」の作品を刊行するという。しかも、なんと1年間、毎月、月刊体制で連続刊行するとのこと。見れば強烈な生命力を感じる写真が並ぶ一冊だ。撮影したのは鈴木育郎さん、1985年生まれ。いったいどんな人なのだろう。 「この鈴木さんの

ぬくもりあるガラスの世界 『はじまりのコップ 左藤吹きガラス工房奮闘記』 書影

ビジネス / おすすめ本レビュー

ぬくもりあるガラスの世界 『はじまりのコップ 左藤吹きガラス工房奮闘記』

次のレビューどうしようか。そんなことを考えながら眠りについての翌朝、6時少し前に大きな地震で揺り起こされた。で、落ちてきたのがこの本。少し前に読もうと思って本棚の手前に出しておいたのだった。落ちてきたのはこの一冊だけ。そのまま二度寝もできず、ええいと読み始めたらあっという間に見知らぬガラスの世界へ……どの本を手に取るかは、いつもこんなところから始まる。 そも

ラオスで昆虫採集だ! 『虫の虫』 書影

生物・自然 / おすすめ本レビュー

ラオスで昆虫採集だ! 『虫の虫』

虫好きで知られる養老孟司さんはきょうも命がけで昆虫採集中(これ、ほんとうにそうなのです)。まだ見ぬゾウムシを追いかけて、はるかラオスの山奥へ! 軍用トラックに乗り込み、蝶採り達人でもある現地ガイドのナビでやたらと走り回る、虫のことしか考えていない変な人たちの道中記。爆笑必至「貴重映像74分のDVD付き」というのだから、さあ大変。 いやはや、ほんとうに大変なの

全米が泣きそう『紋切型社会』 書影

教養・雑学 / おすすめ本レビュー

全米が泣きそう『紋切型社会』

「若い人は、本当の貧しさを知らない」「会うといい人だよ」「うちの会社としては」「誤解を恐れずに言えば」……う、言っちゃってるよ。使っちゃってるよ。そう自らを反省してしまうあなたこそ読むべき一冊。さて、「言葉で固まる現代を解きほぐす」とはどういうこと? 決まりきったフレーズがいかに思考を硬直化させているか。よくあるフレーズを例に挙げて、それぞれの言葉の背景にあ

日本語って、深い 『辞書編纂者の、日本語を使いこなす技術』 書影

教養・雑学 / おすすめ本レビュー

日本語って、深い 『辞書編纂者の、日本語を使いこなす技術』

『舟を編む』 (三浦しをん著)が本屋大賞を受賞したのが2012年。そのころだろうか、「辞書ブーム」が来たのは。本書は、その立役者のひとり、 三省堂国語辞典 (「三国」[さんこく]とも呼ぶ)の編纂者が語る、人間関係をスムーズにすることばの作法集。ちょっとした一言で伝わり方が違う。絶妙だ。 NHKの「 どうも!にほんご講座です。 」や Twitter でもおなじ

珍書の時代 『ヘンな本大全』 書影

教養・雑学 / おすすめ本レビュー

珍書の時代 『ヘンな本大全』

「珍書」。それは、気がつけばいつのまにか成立していたよくわからないジャンル。「本好きが選んだ、思わず笑える怪書ガイド」とのうたい文句の通り、愛すべき奇書150冊を取り上げた本への偏愛ぎっしりの一冊だ。珍書時代がやって来た! のか? とにかくは本の海へダイブ! 毎年8万という点数の新刊が生み出される日本の出版ワールド。「巻頭言」で“珍書プロデューサー”ハマザキ

羊をめぐる食の冒険 『東京ラムストーリー』 書影

教養・雑学 / おすすめ本レビュー

羊をめぐる食の冒険 『東京ラムストーリー』

羊齧協会。ひつじかじりきょうかい、と読むらしい。年末の忘年会で、最近SNSが羊肉で満ちている友人に教えてもらったのだが、聞いた事のある人はいるだろうか? この羊肉LOVERの団体による羊レストラン71店のガイド本を紹介しよう。 「あの日あの時あの店で もしも羊を食べなかったら 僕らはいつまでも 食わず嫌いのまま だった」という、あの主題歌のサビに似た帯の文言

刑事の凄みが匂い立つ 『張り込み日記』 書影

事件・事故 / おすすめ本レビュー

刑事の凄みが匂い立つ 『張り込み日記』

実際の殺人事件を捜査する刑事たちに密着・撮影した、実録写真集。時代は、戦後まもない昭和33年、モノクロの陰影がバラバラ殺人の謎を深めていく――神保町でイギリス人に「発見」され、フランスの出版社を経て、日本でも刊行された評判の写真集をもう見ましたか? 評判の写真集なので、すでにご存じの方も多いのではないか。 と思いきや、意外に周囲に知らない人がいたので、紹介し

大作家のすごい顔 『文士の時代』 書影

教養・雑学 / おすすめ本レビュー

大作家のすごい顔 『文士の時代』

坂口安吾が、ちらかった部屋で原稿用紙を前にこちらを睨む。バーのカウンターで明るい表情の太宰治が談笑している。めったにないクローズアップの川端康成の瞳が何かを見据えている……記憶にある、印象的な日本の大作家の顔は、この人の手によるものがほんとうに多い。その人物こそ、「文壇の篠山紀信」こと(と勝手に命名してみたが)、写真家の林忠彦だ。 この林さん自身が、大正7(

目をむき、声を失う写真 『トランクの中の日本』 書影

社会 / プレミアム・レビュー

目をむき、声を失う写真 『トランクの中の日本』

仕事で必要があり、終戦直後の日本を映した写真を探していて出くわしたのが、この写真集だった。その時に「スミソニアンで実現しなかった幻の写真展をここに再現。」という帯の言葉に思い出したのが、在郷米軍人の圧力でキャンセルされた、ワシントンのスミソニアン博物館での原爆写真展のニュースだ。なにしろ20数年前のことなのでうろ覚えだが(子供だったんで……)、新聞でニュース

行ってきました、日本製紙石巻工場! 『紙つなげ!』 書影

社会 / おすすめ本レビュー

行ってきました、日本製紙石巻工場! 『紙つなげ!』

話題の『紙つなげ!』がついに7万部突破とのニュースが入ってまいりました。おめでとうございます。そこで、勝手に応援団を名乗るHONZも石巻工場におじゃますることに。ついに、あのマシンに会える――まずは東北新幹線で仙台へ! 胸アツ取材のはじまりです。 すでにHONZでもレビューが何本かあがっているので、事情はご存知かもしれません。 日本製紙の石巻工場が、あの震災

ようやるわ。でも、よくやった! 『東京大学の学術遺産 捃拾帖』 書影

教養・雑学 / おすすめ本レビュー

ようやるわ。でも、よくやった! 『東京大学の学術遺産 捃拾帖』

ようやるわ。もうこの一言に尽きるでしょう、この本は。東京大学図書館の貴重書耐火地下倉庫に眠っていたお宝資料を、ひたすらめくり続け読み込んでのセレクト面白資料集。集めた方も集めた方なら、拾った方も拾った方。で、それがカラーの新書で読めるのです。 幕末から明治・大正時代にかけて、当代きっての「なんでも蒐集家」が集めたチラシ、領収書、お菓子の包み紙、あとほかなんで

神に近い存在『鳶』 書影

民俗・風俗 / おすすめ本レビュー

神に近い存在『鳶』

上空数百メートルを自由自在に飛び回る、リアル「鳶」職人ライフ。姿を見かけたことはあってもよく知らない――内実が書かれているのだけれど、とにかく、鳶の人たちは、熱い! 写真を見ているだけでドキドキしてくる。 とはいっても、そもそも鳶というのはどういう職業なのか。曖昧に捉えている人が多いのだろう。「鳶=ドカタ」ではない。そう、初っ端に書いてある。 鳶職人視点では

天才数学者の青春 『定理が生まれる 天才数学者の思索と生活』 書影

サイエンス / おすすめ本レビュー

天才数学者の青春 『定理が生まれる 天才数学者の思索と生活』

数学のノーベル賞と言われる「フィールズ賞」を受賞した天才数学者による、定理を証明するまでの舞台裏と日常――この本の内容を一言でいうと、そうなるだろう。ただ、ほとんどの人が、なんとも不思議で神秘的な瞳を持つ、本の帯の著者写真( こちら でどうぞ)に目を奪われるように思う。 写真では、肩まで下りるワンレングスの漆黒のストレートヘアと、細面の顔に浮かぶ深い黒の瞳が

豚をめぐる冒険 『イベリコ豚を買いに』 書影

教養・雑学 / おすすめ本レビュー

豚をめぐる冒険 『イベリコ豚を買いに』

「イベリコ豚はスペインの黒豚だ」。ブッブー。「イベリコ豚はいつもどんぐりを食べている」。またまた、ブッブー。それじゃ、イベリコ豚ってなに? というわけで、実物を見たことのある日本人の紹介で、現地へと取材に……。 向かうはずなのだが、そうは問屋がおろさない。口蹄疫の発生である。そして、スペインへの取材がうまく行くようなら、この本はこれほど面白くはなかったに違い

『縄文人になる!』こんなことできちゃうよ 書影

教養・雑学 / 民俗・風俗

『縄文人になる!』こんなことできちゃうよ

このタイトルとカバーの写真……縄文人に「なる」といきなり言われても、いったい? 緊張感があるような、まったくないような、私もよくわからない。のだけれど、淡々と縄文人のライフ・スキルを紹介するこの一冊、まったくもって本気なのである。 サブタイトルに「縄文式生活技術教本」とあるが、章ごとに「火」「石」「角」「土」「木」「衣」「食」「住」と分けられており、それぞれ

タイムトリップしてみたい 『芸人の肖像』 書影

民俗・風俗 / プレミアム・レビュー

タイムトリップしてみたい 『芸人の肖像』

ここ10年くらいでしょうか。そういえば、ちんどん屋さんを街で見かけることがほとんどなくなりました。ましてや、個人宅の玄関先で歌や舞いを披露するべく、別の土地からやってくる人たちも、それを待つ人もいなくなってしまったようです。そんな身近にいた「芸人」の姿を写真で紹介するのが、この新書です。 「芸人」といっても、テレビで活躍しているお笑いの方々を思い浮かべてはい

カラス♫ なぜ来るの? 『カラスの教科書』 書影

おすすめ本レビュー

カラス♫ なぜ来るの? 『カラスの教科書』

窓を開けてベランダに降りる。と、どこからか熱い視線が刺してくる。振り向くと、部屋から漏れる細い光の輪の外に、真っ黒なヤツらが――カラスである。 数日前のとある夜、突然の雨は、日付が変わるころには大降りになっていた。ベランダにおいてあるペットボトルを取りに行こうとしたのは、そんなときだ。 雨か、あしたのHONZの朝会は六本木で7時から。早く寝なくちゃ。と思いつ

奇人変人大好き。『解剖医ジョン・ハンターの数奇な生涯』 書影

医学・心理学 / プレミアム・レビュー

奇人変人大好き。『解剖医ジョン・ハンターの数奇な生涯』

「やっと、文庫化だよ」 「これは一気読みでした」 「ロンドンにあるハンターの博物館、行ってみたいんだよね」 「原題って、the knife manなんだ。迫力あるなあ」 好き勝手なことを口々にHONZメンバーがつぶやき合ったのは、2013年の8月7日、午前8時25分。早朝7時から9時まで、自分の読みたいお勧め本を持ち寄り、語り合う 「朝会」 でのことだ。 単

へうげものワールド全開! 『黄金とわび』 書影

教養・雑学 / おすすめ本レビュー

へうげものワールド全開! 『黄金とわび』

話には聞いていたこの豪華全集。えいやっとついに購入してみた。 ただし、10巻『黄金とわび』を、一冊だけまずはとりあえず。 直接申し込むと、特製のダンボールに入り、袋がついてきた。函入りの布張り、B4判で、月報(関連情報をまとめた別刷)も挟まれており、なんだかお得な気分になってくる。 企画自体は、小学館の創業90周年記念事業の一環だそう。 1966年に刊行され

そうだ、京都、まわろう。『京都の平熱』 書影

民俗・風俗 / おすすめ本レビュー

そうだ、京都、まわろう。『京都の平熱』

バスに乗ってまわると、京都はいいよ。 友人にそう教えてもらったことがある。歩くには広すぎる。地下鉄では、景色も見えないし、寄り道もしにくい。タクシーでは、お財布具合もあるけれど、運転手さんに気を遣ってしまうしね。バスだと、勝手に動いてくれる割には、自由でしょう? 友人はそんなことを言っていたが、本数も多い京都の市バスは確かに便利だ。そんな背景もあるのか、本書

人を優しくする本 『内臓とこころ』 書影

医学・心理学 / おすすめ本レビュー

人を優しくする本 『内臓とこころ』

ストンと身体に入っていき、「腑に落ちる」という表現がしっくりくる…… 私には、そんな感覚がある。 三木さんの言葉の意味はひとそれぞれだろう。 音楽のようなリズムもそこに加わる。 さて、三木さんの処女作である本書は、あなたにどう響くだろうか。 生前の三木成夫を知るひとが、その出会いや人柄を語る場面に何度か遭遇したことがある。 文庫版解説を書かれている養老孟司さ

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社会 / HONZ活動記

レトロ印刷、行ってきました(後編)

気になる印刷会社、 レトロ印刷に乗り込んだHONZ 。 全国から注文が入ってくるという、その成功の秘密は紙にも? レ 印刷する紙を探すのがまた大変なんです。 H どうするんですか? レ 毎年紙を探しに何ヶ所かいろいろと回るんです。たとえば、愛媛県四国中央市(製紙工場が多い)で“発見”した紙。ギザギザの電球を包む工業用の紙で、印刷用ではもともとなく、「印刷する

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社会 / HONZ活動記

レトロ印刷、行ってきました(前編)

最近気になる印刷会社、ありますか? はい。ずばり、それはレトロ印刷です。 気のきいたカフェなんぞで見かけるイベントのチラシや、おしゃれな人からもらう名刺にいいなあと思うものがあり、「どこで印刷したの?」と聞くとそろって「レトロ印刷!」と嬉しそうに返事をされる。どうにもたまらなくなり、HONZの『ノンフィクションはこれを読め!』刊行記念パーティーの挨拶状作成の

いがらしみきお自伝 『ものみな過去にありて』 書影

人物 / おすすめ本レビュー

いがらしみきお自伝 『ものみな過去にありて』

いま、私は困っている。 この本、どうやって紹介すればいいのだ? HONZの成毛代表も言っていた―― 「世の中には、レビューしやすい本と、しにくい本がある」。 そして、この本はレビューしにくい。なにしろ、こんな具合だ。 (映画 『ノー・カントリー』 について、ハビエル・バルデム演じる殺し屋が酸素ボンベの圧縮エアガンを武器として一瞬にして人殺しをすることや、この

引用するとしたら、全部。『洟をたらした神』 書影

人物 / おすすめ本レビュー

引用するとしたら、全部。『洟をたらした神』

頁を開いた瞬間にひきこまれる―― そこに広がる異空間とは。 東京、千駄木の往来堂書店は、本好きには有名な「町の本屋さん」だ。偶然出かけた先週のこと、なにやら大きく展開している本がある。なんだろう。 吉野せい? 洟って、読み方は「はな」でよかったよね。 そんなことを思いながら手に取り、本の面構えを眺めてみる。本にはどうも「面構え」とでも呼びたくなるものがそれぞ

「ユダヤ」を知るならこの一冊 『ユダヤ人の歴史』 書影

世界史 / おすすめ本レビュー

「ユダヤ」を知るならこの一冊 『ユダヤ人の歴史』

ユダヤ人のことを知りたいけれど、いろいろとありすぎてわからない。 どの本を読んだら、よいのやら。 そんなあなたが読むべきはこの一冊だ。そもそも、翻訳者の入江規夫さんがこの本に興味を持ったのも、同様の素朴な疑問からだった。 海外の出版社と仕事をしていた入江さんは、フランクフルト国際ブックフェアに参加する。毎年秋に開かれる、世界最大の本の見本市である。フェア開催

夢中になって読んでしまった 『精神病者私宅監置の実況』 書影

医学・心理学 / おすすめ本レビュー

夢中になって読んでしまった 『精神病者私宅監置の実況』

座敷牢の調査報告書。 一言でいえばこんなところだろうか。ただし、100年前の話。 著者の呉秀三は、「日本精神医学の父」と呼ばれる、明治から昭和のはじめにかけて活躍した医学者だ。精神病患者の看護法を刷新したことで知られる。つまり、本書は看護や治療のやり方を一新すべく、当時の精神病患者がおかれた状況を実地調査したレポートなのである。 明治43(1910)年から、

「九州国」の列車で行こう! 『幸福な食堂車』 書影

教養・雑学 / おすすめ本レビュー

「九州国」の列車で行こう! 『幸福な食堂車』

「食堂車」――この言葉に私はそそられた。 動く乗り物でなにかしら食べるのが好きなのだ。乗車が2時間以上となれば、必ずなにか食べねばと思う程である。なにしろ列車で駅弁を食べたりビールを飲んだりすると、なぜなのか得をした気持ちになる。 九州新幹線のデザイナー水戸岡鋭治の「気」と「志」——サブタイトルはこの通り。水戸岡さんってNHKの「プロフェッショナル」に出てた

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教養・雑学 / おすすめ本レビュー

「あの作家」の秘密とは?  『推理作家の家』

作家はどんな家に住んでいる? 本棚や書斎には何が並んでいる? こんなことを知りたい人に捧げられた本が、世の中には数多くある。 たとえば今回あげるこの一冊。タイトルのままに素直に作られているのだが、取り上げている顔ぶれの豪華さには驚いてしまう。ジェフリー・アーチャー、トム・クランシー、パトリシア・コーンウェル、マイクル・クライトン、ロアルド・ダール、ジェームス

コラムの醍醐味ここにあり。『小田嶋隆のコラム道』 書影

教養・雑学 / おすすめ本レビュー

コラムの醍醐味ここにあり。『小田嶋隆のコラム道』

よくぞここまでたどりついたものだ。 これは、本書の「あとがき」の最初の一文だ。読者はここで叫ぶ。「その通り!」。 もちろん読むのが大変なのではない。簡単に本の説明をしてしまえば、「コラムとは何か」から、書き出しや会話の入れ方、落ちや推敲、文体と主語にまつわることまで、コラムについてのもろもろがまとまっている。 版元であるミシマ社のホームページなどでオダジマさ

『幻聴妄想かるた』――こんな「かるた」があるのです 書影

医学・心理学 / おすすめ本レビュー

『幻聴妄想かるた』――こんな「かるた」があるのです

今回は「かるた」を紹介しましょう。「かるた? なんのこっちゃ?」と思われた方も多いはず。医学書院の知り合い編集者のツイートで知ったこの一冊(いちおう書籍コードがついているのです)、私もまったく同じ感想でした。昨年末の刊行なので少々時間が経っていますが、「これを紹介していないなんて、HONZじゃない」とのことで、紹介いたします。おもしろいのでご容赦くださいまし

生まれ変わった聖書とは?『ケセン語訳 新訳聖書』 書影

教養・雑学 / おすすめ本レビュー

生まれ変わった聖書とは?『ケセン語訳 新訳聖書』

「聖書? ホテルに置いてあるよね」それがほとんどの人の感想かもしれません。けれども――岩手のケセン地方に住むとある医師は、ひとりこつこつと「翻訳」をしてしまったのです、なんと、自分のふるさとの言葉に。その医師の名は、山浦玄嗣(はるつぐ)さん(1940年生まれ)。 と、その前にこれ、誰が書いているんでしょうね。自己紹介をしておきましょう。私は、HONZの新人、