
沖縄に行きたい! また行きたい!! 垂見健吾『めくってもめくってもオキナワ』
はいさい。 ヤンバルクイナを見たい。当初の予定はそれであった。 「HONZ生きものがかり」の塩田春香と軽い腰をあげて南へ飛んだのはこの秋のこと。沖縄への自然探索の旅である。 そして、無事にヤンバルクイナを見ての、その帰りの最終日の夜のことだ。 私たちはとある那覇の人気店でアグー豚を食べていた。隣では愉快な地元のおじぃが楽しそうにやはり、アグー豚を食していた。
(2024年当時)
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はいさい。 ヤンバルクイナを見たい。当初の予定はそれであった。 「HONZ生きものがかり」の塩田春香と軽い腰をあげて南へ飛んだのはこの秋のこと。沖縄への自然探索の旅である。 そして、無事にヤンバルクイナを見ての、その帰りの最終日の夜のことだ。 私たちはとある那覇の人気店でアグー豚を食べていた。隣では愉快な地元のおじぃが楽しそうにやはり、アグー豚を食していた。

コロナに右往左往させられるこのご時世、ロクに会えなかった父親が逝ってしまったとしたら。そんなとき、自分なら何ができるだろう? 父親を葬るという、誰にでも起こりうる人生の1ページを、『国道16号線』などの著作でも知られるメディア論の教授が綴った。こんな見送りの方法もあるのだ、と優しい気持ちになるエッセイのような一冊だ。 2020年の9月、著者の柳瀬さんは、故郷

NJBを知っていますか? って知らないだろう。私も初めて知った。 人形浄瑠璃文楽、のことだ。 普通の入門書ならまず最初に、文楽とは何か、という定義があるのかもしれない。が、そこは、ただいま現在舞台で声を張って活躍する人がまとめた本だけあって、そうはならない。14歳ってこんなことあるよね、という呼びかけから始まるのだ。 著者の竹本織太夫(おりたゆう)さんのこと

こんな本を待っていた! そんな一冊に挙げられそうな、あの超絶ベストセラー『嫌われる勇気』の古賀史健さんの新刊だ。3年間かかりっきりだったとも聞く内容は、タイトル通りの「取材」「執筆」「推敲」という対象に、真正面から取り組んでいて、圧倒される。 現物を手にすると、書籍でよくある四六版のサイズよりも大ぶりだ。カバーには、シンプルにタイトルや著者名がポンと載せてあ

「この赤はリンゴの赤だね」と言うとき、どんな赤色を見ているかは、実は人それぞれだ。そもそもヒトがどんな色を視ているかを科学的に考えたことがあまりない。ところがその色覚について、「正常」と「異常」に線引きする時代もあった――それなら色覚とはいったいどういうものなんだ? 猛然と、最先端のサイエンスの知見に挑む著者による、新たな色覚原論の決定版! 著者の川端裕人さ

自分の携帯番号を公開し、悩める誰からの電話でも受け止める人物がいる。その「いのっちの電話」で2万人の声を耳にしながら、「坂口医院0円診察室」を開設! 「0円ハウス」の次はこう来たか。コロナ禍でどうも気落ちしがちなあなたへの応援歌になるやも。読んで損なし、0円で気持ちが楽になる一冊を紹介したい。 あの坂口恭平さんが、なんだか奇天烈な本を出したらしい。 そう、1

小学生男子的な好奇心のままに、日常にある目の前の身近な食べ物を掘り下げる不思議な人がいる。「これなに?」と思ったら猪突猛進、栽培したり採集したりして、食す! 食べることに旺盛な人は楽しく生きている気がするぞ。よくわからないタイトルなのだけれど、その実践指南書の、ご紹介。 著者の玉置標本さんは1976年、埼玉県生まれ。山形で大学時代を過ごしたころに野山の楽しさ

舞妓さん? 京都で歩いているのを見たことがあるかな。そう、多くの人にとっては、観光の景色のひとつか、映画の世界だろう。そこになんと、リアルな舞妓さんの世界を京都5ヶ所、東京7カ所、ほか全国各地を含め合計25カ所の花街で追究し、写真満載で紹介する豪華本が登場だ! 掲載された写真は、ざっと数えて630点は優にある(地図と図版を入れるともう少し増える)。しかも、大

東京屈指の人気の街、代官山。おしゃれなイメージを持っている人も多いだろう。実はこの街は、丹念に手入れされ、長年の努力の積み重ねでできあがっている。重要文化財指定の和風建造物があり、街自体が建築の有名な賞を受賞した、と聞けばどうだろう。その歴史と成り立ちは、都会に生まれた奇跡かも――街の秘密をとじこめた一冊を、今回はご紹介したい。 本の監修者は「ヒルサイドテラ

ロンドンの王立学院に通う20歳の音大生が、あの大英自然史博物館から、死んだ鳥の羽を盗んだ――なぜ、前途有望な若者が300羽近い鳥の美しい羽根を? 世にも不可思議な盗難事件の顛末を追った犯罪ルポ。ページをめくる手が止まらない、思いがけない快作登場! 世界でも有数の音楽院にアメリカから入学したフルート奏者。裕福で、整った品のいい顔立ちの20歳の青年。その青年が、

はーい、こんにちは。ブラHONZ、はじめます~。 メンバーが“ブラブラ”と本世界を巡りながら、知られざる本の歴史や成り立ちに迫る「ブラHONZ」。迫る前に泥酔してしまうかもしれませんが、誰もやらないので、深い意味も展望もなくスタートしちゃうことにしました。今回は、地形もバラエティに富む箱根へ。なんと本がたくさん詰まったホテルが箱根にできたというのです。 さて

「難民」というと、ヨーロッパへと海を越えていく怒涛のごとき難民の写真や映像に驚いた記憶も生々しいが、実際は、9割がアフリカや中東など当事者の国の近隣国にいる。しかも、長期化が甚だしく、その年数の平均はなんと26年! 世界の難民の数は2500万人強、となると、どう考えればよいものか。その経済生活のリアルを、住みこみリサーチし、レポートしているのが本書だ。 とに

コンビニのレジの人、どこの国の人だろう? 技能実習生が失踪って、なぜそんなことに? 移民に関する政策ってどうなっている? 日本に「暮らす」在留外国人はすでに263万人、日本の人口の約2%だ。ただ、その内訳は思った以上に複雑だ。周りに外国人は増えていくのに、自分は対応できていないような。この、大きすぎてわからない問題をクリアに「見える」化してくれる、しなやかな

仲間内で互いに助け合うこともあれば、コミュニケーションもとっている――ドイツの森林管理のプロが長年見てきた樹木の驚愕の生態がここに! 最新のサイエンスの知見で、樹木の持つ驚くべきコミュニケーション能力や社会性を解き明かす。知らないことだらけの森の世界へ、ようこそ。 ドイツで2015年に出版されて以来ベストセラーとなっている本書の著者、ペーター・ヴォールレーベ
ちばてつや。そう、あの『あしたのジョー』などの傑作を描いた、漫画家だ。最近はどうされているのかと思いきや、「18年ぶりの最新作」とうたっての自伝が刊行されていた。文字が多めの漫画、という風で、往時が生き生きと蘇る。描かれているのは、少年時代の中国での出来事だ。今では想像することができない、たった70年前の、中国での体験。 漫画としては18年ぶりの最新作という

『こわいもの知らずの病理学講義』が7万2千部に! ということでウハウハだという大阪のおっさんこと、ナニワのレビュワー仲野徹先生の新刊登場! 「2匹目のドジョウを狙う」と公言する今回は、ダイエットフェチとしての極意から、お酒との賢い付き合い方、風邪をひいたらどうするか、そしてがんにならないための生き方に至るまで、病気と健康をテーマに笑い語ります。 あのナカノ先

分厚いのに一気に読んでしまった! 迫力の一冊。著者は誰かって? そう、あの『東京アンダーワールド』のロバート・ホワイティングだ。60年代初頭、アメリカの軍の仕事で19歳で来日。いつしか日本に住み着くようになって、野球と相撲を語る現在に到るまでの、破天荒な自伝だ。1964年から2020年へ、オリンピック開催を背景にした「東京」が時代とともにあぶり出される。 著

かわいくてたまらん出版賞受賞決定! と勝手に叫びたくなる「かわいい」のオンパレード。七五三のあの初々しさ、節句の飾りの華やかさ、と日本の子どもの可愛らしさが凝縮されている、昔ながらの子ども着物。年中行事や年齢に応じた装い、文様、結び方など「日本子ども衣服史」にもなっている。B5判に写真等400点が満載で、「やっぱりかわいい」と後で読み返して頷くこと必至だ。今

14世紀、21歳のイブン・バットゥータは、巡礼とイスラーム法の研究のため、現在のモロッコを旅立ち、30年間におよび、北アフリカ、中東、インド、中国を巡る。その旅は『大旅行記』(東洋文庫)全8巻となっているが、道中に滞在したインドの王様との8年間を後に語り、まとめられたのがこの5巻だ。稀代の旅人と「インドの織田信長」が織りなす、展開が予想の斜め上どころか別次元

1948年の独立以来、イスラエルの特殊部隊が関わった作戦の数々を時系列で微細に入り伝えるノンフィクション。空港での人質奪還、中東戦争、エルサレム包囲戦、レバノン戦争、「テロリスト」の暗殺、原子炉空爆、ハマスとの闘い……その背景を知ることで、イスラエルの歴史や芯のようなものまでが見えてくる。 原題はNo Mission is Impossible. 『ミッショ

「自家焙煎はやっぱり違う」「豆はエチオピアでね……」なんぞと最近、コーヒーをめぐる話は細かいことになっている。そもそも「こんなに苦いものをなぜ?」と最初に飲んだ時に思った人も多いのではなかろうか。コーヒーがこれほど愛されるようになった背景を知りたい――そんな人は、この文庫から入ると良いかもしれない。アメリカで1935年に出版された『All About Cof

360年続く稀有で貴重な出版社に乗り込んだHONZ! 大火に見舞われながらも続いてきた版元、その名は「檜書店」。能の謡本を出し続けてきた。江戸時代の大、大、大ベストセラーとなった「謡本」とはどんなものなのか。檜書店の内部にさらに迫ってみよう。久しぶりの出版社訪問レビューは続く。(※前編は こちら ) ここで、実際に謡本を見せてもらうことにしよう。 檜 これで

日本の出版社の数は3370社もあるそうだ。数は最近減ってはいるものの、それでもまだまだ世界的に見れば、出版活動が盛んな国だと言えるだろう。そんな出版社の中で一番古いのはどこか? と言われれば諸説あるのだけれど、360年続くという出版社が東京にあり、しかも書店を開いている! と聞き及び、これは行かねばなるまいぞ。ということで、今回は久しぶりの出版社訪問レビュー

世界各地で展開される「国境なき医師団」(MSF)のプロジェクトの現場を、作家のいとうせいこうが、訪ねて、考えて、書いた、という一冊。シンプルに、活動内容や現場を知る面白さもあるのだが、久しぶりに「読んでおいてよかった」と深く思う読書となった。自分の世界が少し変わる。ぜひこれは読んでほしい。 「国境なき医師団」の広報から取材を受けた際に、なぜこんなに活動内容が

奇僧はまだしも、快僧……? 道鏡、西行、文覚、親鸞、日蓮、一遍、尊雲(護良親王)、一休、快川、天海……お坊さんの名前が10人ずらり。共通点は、歴史の教科書で名前を見たことがあること、それから人物がとんでもなくて、おもしろいこと。この10人について、それぞれコンパクトに評伝がまとめてある。醍醐味は、読み通すと日本史が俯瞰できることだろう。 著者の今井雅晴さんは

すし。 言葉にすると同じなのだけれど、こんなに違うのだね。 そうため息をつくばかりの、お腹が空いてくる、旅をしたくなる、この『すし』。 全国いろとりどり、工夫さまざまの写真が並ぶ様子は壮観だ。なにしろ企画・編集を担ったのは50周年を迎えるという日本調理科学会。こちらの会員(大学・企業・公共機関などの研究者1300名ほど)が47都道府県の聞き書き調査を行った上

著者の経歴から紹介しよう。 ジェイムズ・スタヴリディスは、1976年にアメリカ海軍兵学校を卒業し、35年以上を海軍軍人として過ごした。航空母艦エンタープライズなど、有名艦を軒並み指揮した後に、2009年から13年まで、NATO(北大西洋条約機構)の欧州連合軍最高司令官をつとめる。退役後の2013年からは、国際関係の研究では全米でもトップクラスを誇る私立の名門

変形菌、それは粘菌のことだ。粘菌、それは南方熊楠が愛し、昭和天皇が新種をいくつも発見され、2度もイグ・ノーベル賞に貢献した生物だ。「梅雨時のじめっとした林、あるいは真夏の暑い公園で、粘り気があって色あざやかなアメーバ状のものが倒木や切り株に広がっている」、そのアメーバ状のものこそ、そいつだ。植物でも動物でもキノコでもない単細胞生物。なのに、色も形も、多様で興

ダイオウイカ以来の深海ブームは、この夏もまだまだ熱く続行中だ。新たな南極の深海調査の結果が続々と出てきているのだ。あの震災時に三陸沖の海の下で何か起こったかも、だ。国立科学博物館での展示、NHKスペシャル「ディープ オーシャン」の放送……最新の深海情報をまとめた一冊を紹介しておこう。 深い海の中は、その特異な環境があるからこそ、見たことのないような形や色の生

「虎屋」。ほとんどの人が聞いたことがある……どころか、食べたこともらったこと贈ったこと、なにかしらお世話になっているに違いない。室町時代後期の創業以来、500年以上にわたって日本の和菓子業界をリードしてきた老舗だ。その虎屋には、和菓子を研究する部門「虎屋文庫」がある。 創業以来、約500年の歴史を持つ虎屋は、現在の黒川光博社長で17代目、売り上げは約186億

家臣が同時代に書いた、織田信長の一代記『信長公記』。これを歴史小説家が現代語で訳したのが本書だ。本能寺の変で自害するまでの15年間がつぶさに記された、歴史資料としても、読み物としても第一級の一冊。これがまあ、おもしろくて一気読み! 時には歴史の海へ身を投げ出して、戦国時代にタイムトリップをしてみるのもいいぞ。 著者の太田牛一は、尾張の田舎(といっても、現在の

お好み焼き、きつねうどん、押し寿司、ホルモン焼き、カレー、玉子トースト、ドーナツ、いか焼き……これは、私のアタマに読後浮かんだ食べたいものリストである。うーん、新幹線に飛び乗りたい。あの「食い倒れ」の街、大阪を知り尽くす著者が、街の人や場を堪能しながら、飲み、食う。さて、いちばんの御馳走はなんでしょう。 著者は、京阪神の街を紹介するあの『Meets Regi

地球上で、家を建てるのが大変な場所はどこだろう? ジャングル? 砂漠? ツンドラ? 南極や北極? 極地観測のために建てられた南極基地の建築物を、写真と丹念な解説で見せてくれるこの一冊。昭和基地をはじめとする、極限環境での建築の数々は、こんな技術や人に支えられていた! こんなにすごいことをしていたなんて、知らなかった。 この本の感想はこの一言に尽きるかもしれな

変なかたちの本なんである。そして、やたらとたくさん、韓国料理の写真が出ているんである。発行元は「国立民族学博物館」。115項目にわたって、隣の国の「食」についてまとめられている。そういえば、知っているようで知らない韓国のごはん。たとえば、韓国ドラマで食べていた「ワカメスープ」はなんだったのか? 変なかたちのこの本、幅220ミリ×高さ185ミリで、普通よりも幅

毎朝ご覧の方も多い、NHK朝の連続ドラマ小説『とと姉ちゃん』。そのヒロイン、小橋常子のモチーフになったのが、戦後の暮らしを明るくし、70年代には100万部を超え国民的雑誌となる『暮しの手帖』を創刊した大橋鎭子(しずこ)さんという女性だ。この「しずこさん」の唯一の自伝がとっても面白いので、ご紹介しておきたい。 この「しずこさん」。 本にあるプロフィールはこんな

阪急、南海、阪神、近鉄、京阪。この5つの私鉄の存在は、関西を「私鉄王国」と言わしめてきた。歴史から技術、列車デザイン、沿線文化に至るまで、なぜこんなに個性派揃いになったのか。なんで? そのミステリーを解き明かしつつ、個性ぶりをカラーの写真と図版満載で、各電車びっちりとまとめてある。「知らなかった〜」と何度もうめきながら読める、熱のこもった一冊だ。さて、出発進

あの日あのときあの本屋で、この本に出会わなかったら〜♫ と思わず歌いたくなる面白さ。読んでいなかったら、今日という日は寂しいものになっていたでしょう。物好き(失礼!)な著者が、日本どころか海外までも珍スポットに出かける漫遊記。なんですがこれがもう…… この本を書いた、金原みわさんの紹介から始めよう。 「珍スポトラベラーとして、全国の珍しい人・物・場所を巡りレ

東京、品川駅から電車で1時間半、終点の三崎口駅から歩いて30分。小網代は、都心からおよそ60キロの三浦半島にある自然の楽園だ。コンクリートで固められていく首都圏にありながら自然がまるごと残っており、しかも、誰でも歩ける身近な場所として大人気だ。なぜそんな「奇跡」が起きているのだろう? 「奇跡の森」。首都圏でも可能な環境保全の好例として、そう評される小網代の森

W杯の南アフリカ戦勝利で、にわかファンが増えている。なにを隠そう、私もそのひとりだ。あの南アフリカ戦のトライには、テレビを見ていて飛び上がってしまうほど興奮した。それほど単純でもないつもりだったが、その後何度も映像を再生して見ているほどだ。 ついには先月のこと、秩父宮ラグビー場でサンウルブズのスーパーラグビー試合も観戦した。結果は残念だったものの、私なりに発

映画になりそうな犯罪ノンフィクションはいかが? 主人公は一癖もふた癖もある本泥棒とガッツのある図書館司書たち。あの手この手の知恵をしぼる泥棒組織と、それに対して、「図書館特別捜査員」として奮闘する司書。「稀覯本」をめぐる攻防の舞台はニューヨーク! アメリカ経済が上り調子となった1920年代、1929年の大恐慌を経てしばらくの間1930年代まで、図書館史上最悪