
『くらしのための料理学』「手を抜く」のではなく「力を抜く」
毎週『おかずのクッキング』を楽しみに見ている。献立の参考になるのはもちろんなのだが、それ以上に、土井善晴さんの「家庭料理への向き合い方」や料理しながら溢れる言葉の端々に刺激を受け、料理の楽しさを知ることができるからだ。同じ思いで見ているファンは多いだろう。 家庭料理は日常生活の料理。無理せず、自然が与えてくれた恵みを信じて。余計なことはしなくても良いんだよ。
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毎週『おかずのクッキング』を楽しみに見ている。献立の参考になるのはもちろんなのだが、それ以上に、土井善晴さんの「家庭料理への向き合い方」や料理しながら溢れる言葉の端々に刺激を受け、料理の楽しさを知ることができるからだ。同じ思いで見ているファンは多いだろう。 家庭料理は日常生活の料理。無理せず、自然が与えてくれた恵みを信じて。余計なことはしなくても良いんだよ。

大好きな2時間ドラマの再放送を見ていると、必ずと言っていいほど「過払い金の返還請求をおすすめするCM」が流れる。一時は消費者金融の過払い金返還請求を進めるものが多かったが、最近はクレジットカードでも過払い金がある可能性があるらしく、「もしかしたらあなたにも」とひっきりなしに流れてくる。ラジオも同じだ。半日も聞いていれば一度はその類を聞くことになる。よほど需要

病気、それも大きな病気を経験した人の多くは「食べることの喜び」をしみじみと感じる瞬間を経験したはずだ。手術をすれば何日も食事が許されないことがある。慢性の病なら様々な食事制限もある。カロリー制限、塩分制限、糖分制限、脂肪制限、たんぱく質制限云々。がんで抗がん剤治療を受けると、吐き気や食欲不振などに苦しんで「食べていい」と言われても食べられないということもある

数年前のこと、ツイッターで奇妙な動画を見た。揃って白いシャツにジーンズを身につけた大勢の若者たちが、「リア充爆発しろっ!」と大声で叫んでいる動画だ。声を揃え息を合わせ、大声で唱和している。「なんだこりゃ?」。 どれどれと検索してみると、ある大学で行われている「ファシズムの体験学習」だという。どうやらその動画は、周りで見物していた学生が撮ったものらしいが… 甲

私が料理なるものをやり始めたのは高校生の時だった。ずっと専業主婦だった母が、離婚を見据えて働き始めた頃で、弟や妹の食事の支度は私の仕事になったのだ。といっても別に料理好きでも何でもなく、とにかく食べ盛りの弟妹の空腹を満たすものを作るのだ。 年中作っていたのが炊き込みご飯。残り物の野菜だのツナ缶だの適当に放り込んでしょうゆ入れて炊く。ほぼ毎日作っていた。炊き込

「中村喜四郎」という名を聞いて何を思い浮かべるだろうか。もはやかすかな記憶…「なにか汚職で捕まった人じゃなかったかしら」。若い人たちなら思い出す記憶もなく「だれ?」というだろう。 その「キシロー」の名を最近なぜか、チラチラと見かけるのである。それも思いがけないところで。「え?このキシローさんは、あのキシローさん?」 中村喜四郎氏は1949年生まれ。大学卒業後

映画プロデューサー・奥山和由といえば、強烈な個性とリーダーシップで数々のヒット作品を世に送り出す手腕が映画史に残る人物だ。 『丑三の村』『海燕ジョーの奇跡』『恋文』『ハチ公物語』『226』『遠き落日』『無能の人』『うなぎ』『地雷を踏んだらサヨウナラ』などなど。 これまでに100を超える作品を世に送り出した。 「世界の北野」を生み出したのも奥山さんである。『そ

家族の形とはどうあるべきか。なかなか難しい。もちろん個人としてならば、自由に好きにすればいいのだ。その家族が納得しているのなら端がどうこういう問題ではない。私自身は、それが例えば娘であっても、口を出すつもりもない。成人して一人前になった娘が、この先どんな形の家庭を築こうと、あるいは築くまいと、一度きりの人生なのだからまあなんなりとやってみるべしと思う。 が、

現在日本に在留する外国人の数は約264万人。日本の総人口が約1億2659万人で、在留外国人数はその約2%ということになるそうだ。ちなみに統計の取り方や外国人の定義に若干の違いはあるが、フランスは約12%、イギリスが約13%、ドイツが約9%というから先進国の中では日本はやはりまだまだ外国人が少ない国だろう。 だが一方で入国管理法が改正され新たに外国人労働者の受

タレントの仕事はといえば、その日その日で「現場」へ向かい、その日限りの仕事をこなすのが日常です。わっと集合して、どっと収録して、さっと帰る。日々多くの人に出会いますが、プライベートでも付き合うような間柄の人は(まあ人にもよるでしょうが)あまり多くはありません。というか私はそうです。テンション高く、ひとときの「祭り」を演じ、終われば次へ行くのです。 若林さんは

銭形平次、人形佐七、三河町の半七…テレビドラマや小説で人気の親分たち。近年では中村梅雀さん演じる黒門町の伝七がよかったなあ。かつて同じ伝七を演じて大ヒットを飛ばした父上・中村梅之助さんから、亡くなる直前に秘蔵の十手コレクションを託されていたとか。劇中で使われていたのがその十手なのかどうかは定かではないが、紫房の十手を大切に神棚に祀る姿は、亡き父上への敬意を胸


NHKに「100分de名著」という長寿番組がある。「趣味は読書です」などというからには、古今東西の名著も一通り知っておかなくては格好がつかない。とはいえ名著、とくに古典などは10代にでも読んでおかないと、大人になってしまえばなかなか手を伸ばせないものだ。かくして心密かに「あれも、これも読んでいない」というちっぽけなコンプレックスを抱いたりして…と、そんな心の

1987年5月3日憲法記念日。朝日新聞阪神支局が襲撃され、記者2人が殺傷された。目出し帽をかぶった何者かは、一言も発することなく問答無用で散弾銃を発射し、当時29歳だった小尻知博記者は死亡、当時42歳の犬飼兵衛記者は危ういところで命はとりとめたものの重傷を負ったのである。 「赤報隊」と名乗った犯人は、この事件を含め、約3年にわたり襲撃事件や脅迫事件を実行した

カレーライスを一から作る。そう聞けば「ふむふむ、市販のルーを使わずに、スパイスをアレンジするのかな」と、まずは思うのが普通のリアクション。で、隠し味とか一手間とか、なにか工夫やアイディアがあって、と。実際「カレーライスをつくる」「カレーライスを語る」という本は数多ある。なにしろ国民食。美味しく作るために、どれほど多くの人々が、どれほど多くの情熱を傾けてきたこ

9.11後、アフガニスタンに派兵したアメリカは、パキスタンとの国境地帯で反乱の急増に悩まされていた。そこで2006年夏、この急峻な山地帯に前線基地を点々と連ねて敵の補給線を分断するとともに、現地の村人には不足している物資を供給し人心を勝ち取るという作戦を立てた。これにより谷間の川沿いにくねくねと伸びている狭隘な道沿いに十数箇所の前哨基地が作られていった。奥へ

ただいま子育て真っ最中の脳研究者・池谷裕二さんが、親バカぶりを遺憾なく発揮しつつ、一方で科学的な視線で子供の成長を分析する。そのバランスが素晴らしい。「あるある!そんなこと!」と引き寄せられつつ、いつの間にか知識を得られるのだ。 出産時に大量に分泌されるオキシトシンというホルモンは母親を「何があってもこの子を守ろう」という気持ちにさせ仲の良い人をより強く信頼

「なんておもしろいの!」 この本を読んでいると、ページをめくるたびにこの一言が口をついて出る。 戦国時代を専門とする著名な学者・小和田哲男氏が時代考証にあたった大河ドラマ『江〜姫たちの戦国』で、こんなことがあったそうだ。浅井長政の小谷城が織田信長に攻め落とされる場面。 最近の研究では、小谷城は実際には燃えていなかったことが判明している。小和田は炎上シーンは描

「出勤日も、出勤・退勤時間も自由」 「欠勤の連絡をしなくてよい」 「嫌いな作業はやらなくてよい。好きな作業だけやればよい」 著者の武藤北斗さんが経営している水産加工会社のルールである。こんな職場、本当にあるの? のっけから驚かされる。理想主義も行き過ぎて、意識高い系の実験的な試みはいいけれども「生き生き働く笑顔」のうらになにか無理が潜んでいるんじゃ…。などと

私のプロフィールには「趣味:万年筆集め」と書いてある。特に珍しいものを持っているわけではないが、新しい番組に携わるとき景気付けにとか、自分なりに課題をクリアしたと思った時に自分へのご褒美とか、とにかく折々買い集めて、いま30本くらいある。 MCやキャスターの仕事が多かった頃は、台本に書き込みをしたりメモを取ることが多く、すべて万年筆で書いていた。フリップを指

今年の受験シーズンも終わろうとしている。納得のいく結果を得た方も、思い通りにいかずに悔しい思いをした方もいただろう。が、若い時期に一時でも夢中で勉強し、公正な判断を受けるという経験はきっと意義があるはずと思う。すべての受験生の皆さん、すばらしい未来がありますように! さて本書は東大・京大・一橋・慶応・早稲田といった難関大学の歴史の試験の記述問題を、著者の片山

22年前、娘を産んだ。が、体つきが細く胸の小さかった私は、母乳がほとんど出ずに悩んでいた。妊娠中から母親学級などで母乳について学ぶのだが、とにかく「母乳にまさる栄養はない、母乳にまさる愛はない」といわれる。しっかり母乳マッサージをして出産に備えましょうということで、まあ随分と強くもまれて、痛かったものだ。 そうやってできる限り準備したつもりでも、母乳はほとん

陰惨としか言いようのないような児童虐待事件が報道されるのをみるとき、なんとひどい親がいるものかと怒り呆れる。実の父に、母に、あるいは実父母のパートナーに、殴られ、閉じ込められ、飢えさせられ、亡くなる子どもたち。性的虐待に心身ともに深く深く傷つけられた子どもたち。なんとかならないものなのかと誰しもが思うだろう。 中には周囲の人々が子どもの危険を察知していたとい

食育では、一緒に食べることの大切さ、家族揃って食卓を囲むことの大切さが説かれます。けれど、商売をやっている家庭や、親が働いている家庭では、一緒に食卓を囲めないのは当然で、親が用意した汁を自分たちで温めて、子どもだけで食べる。そんな家庭はたくさんあると思います。それでも、大切なものはもうすでにもらっています。それが手作りの料理です、愛情そのものです。だから、別

内澤旬子さんが乳癌の体験の経緯を書いた『身体のいいなり』を読んだのは、私がたまたま軽度の脳梗塞を発症したときだった。独立した存在だと思っていた精神も、所詮、脳という機能の一部であって、身体の物理的な影響を逃れることはできない。まさに身体のいいなりになることこそ肝要。そう淡々と、しなやかに綴られたエッセイだった。 検査検査で病院通いの日々の中にあって、「素直に

著者の木下斉さんは「まちビジネス事業家」であり「地域経済評論家」である。16歳の若さで早稲田の商店会活性化に取り組んだのを皮切りに、以来18年、日本各地で地域活性化事業に取り組んできた。 木下さんが携わった事業のなかでも知られているのが、岩手県紫波町のオガールプロジェクトである。図書館など公共の施設を集客装置と位置づけ、それに民間の施設をドッキングさせ、民間

マナーに関する話題は尽きない。テレビ番組でも「あなたのマナー、ここが間違い!」とか「芸能人マナーチェック!」とかの類いはつい見てしまう。「知ってましたよ」という顔をしながら内心ドキッとしたりしながら見る。そうだったのか!と。 納得いかないこともある。ある番組で「ティーカップのソーサーを手で持つのはマナーに反します」と言っていたがいやいや、日本茶の茶托は持ち上

日本の歴史の基礎を一冊で総覧する本と言えば、高校の教科書がまず浮かぶ。高校時代は試験のために仕方なく開き、太文字を拾って闇雲に暗記するものの、短時間で詰め込んだものは短時間で記憶の彼方へ。教科書なんて無味乾燥、淡々とした記述の羅列…。子供たちはみんなそう思っている。 だが、大人になってみると分かってくる。実は、教科書ほど基本的な教養を網羅しているものはない。

かつてよく「インタネット空間では多くの人々が発言の機会を得、メッセージを発信できる。言論の幅が広がるだろう」と聞いたものだ。時がたち、なるほど確かにスマホなどが行き渡ったこともあり、多くの人々が様々なメッセージを発するようになった。 が、発信される情報の量は、必ずしも豊かで健やかな言論空間を補償しない。見渡せば中傷、人格攻撃、炎上…。傍目八目、人の争いだと「

日中戦争当時、傀儡国家・満州国の最高学府として設立された国策大学が「満州建国大学」である。満州国の将来の指導者たる人材の育成と、満州国の建国理念である「五族協和」の実践の場として、日本人・中国人・朝鮮人・モンゴル人・ロシア人といった様々な民族から選抜された若者たちが6年間寝起きを共にしながら切磋琢磨する。すべて官費で賄われ授業料も免除という条件の良さもあり志

1933年1月、ヒトラーがヒンデンブルク大統領の任命により首相になってから、翌1934年8月、ヒンデンブルクの死と同時にあらゆる権能を掌握し、絶対的な権力者・総統となるまでの2年弱。ヒトラーとナチスの「権力掌握の総仕上げ」が成され、日常生活に潜んでいた恐怖政治の実体が一気に表面化して世を覆い尽くすこの時代を、ヒトラー政権下で初めてベルリンに赴任したアメリカ大

戦後70年。この年月は、長いのだろうか。短いのだろうか。記憶をとどめる時として。記憶を伝える時として。 「まだまだ忘れてはならない」という声と、「もうそろそろ忘れたい」という声と。 そもそも何を記憶し何を忘却すべきなのだろうか。あの時代になにが起こっていたのかを総覧するのに、70年は長いのか、短いのか。 有史以来、庶民がもっとも貧困に喘いだのは、このときであ

書店で料理本のコーナーをのぞくと百花繚乱。単身者向け、若いご家庭向け、年配の御家庭用。あるいは節約、時短、作り置き。目についたものを買ってみるのだが、実際に使うとなると決まった料理研究家のものになるから不思議である。 私にとって「作ってみる度」が高いのが土井善晴さんのレシピだ。シンプルで、なんの衒いもない、誤解を恐れずにいえば「ありふれたレシピ」なのに、出来

本書は「週刊朝日」2009年1月2・9日号から2010年4月16日号に連載されていた自伝的エッセイである。連載開始当初から「アイドルが赤裸々に思いを語る」と評判だった。当時どれどれと読んでみたら、あまりの面白さに驚いたのを覚えている。 バラエティ番組や情報番組などで何度か東山さんに会ったことはある。その印象はとにかくクール、パーフェクト、さわやか。立ち居振る

平成19年の都知事選に、黒川紀章はなぜ立候補したのだろう。メディアはシボレーのキャンピングカーを改造した選挙カーやクルーザーを駆使した派手なパフォーマンスを話題にしたが、黒川氏が何を訴えようとしたのかは一向に伝えなかった。 功なり名を遂げた有名な建築家の戯れのようにさえ見えた。もちろん結果は惨敗だった。直後の参院選にも立候補、妻で女優の若尾文子さんも街頭に立

“耳鼻削ぎ”とは穏やかではない。というか、野蛮。現代人はそう感じるだろう。日本の歴史上で耳や鼻を削ぐといえば、戦国時代の話かな。敵の首をいくつとったか戦功を証明するのに、首だと持って帰るには重いから耳。いや耳だと左右二つ削いで数をごまかせるので鼻になったんだっけ。いやはや、戦国時代は血腥い…。 著者は日本各地の“耳塚”“鼻塚”を訪ね歩き調査する。無惨に討たれ

1972年5月15日の沖縄返還に先立つ、1971年8月15日。アメリカ合衆国大統領ニクソンは、ドルと金の交換停止を発表する。ニクソン・ショックである。 敗戦から急速に立ち直り未来へと時計の針を進めていく本土をよそに、なおも四半世紀にわたるアメリカの支配に耐え、ようやく返還の日を迎えようとしていた沖縄の人々の生活は、危機に瀕する。沖縄返還にともないドルから円へ

何年か前に私が出演したあるバラエティ番組で、"豚"が大議論になったことがある。お題は「肉じゃがに入れる肉は何ですか?」。スタジオの出演者は出身地別に東西に別れ、全国の視聴者から寄せられたアンケートの結果も交えつつ、正しい肉じゃがとは何かを語り合うという趣向。まあバラエティだし、それぞれのご家庭の味の思い出なんぞ も披露しなが

ホッケの干物といえば居酒屋メニューの定番。大皿にもおさまらないくらい大きくて、仲間たちとワイワイつつく魚。家で焼こうとしようものなら、魚焼きグリルからしっぽがはみだしてしまうような。 ところが、そのホッケがいま、年々小さくなっているという。それこそアジの干物ほどの大きさに。しかも値段は高騰、居酒屋メニューのような庶民の味ではなく高級魚になってしまったというの

来年の大河ドラマは『花燃ゆ』。吉田松陰の妹・文を主人公に、松蔭はもちろん、久坂玄瑞や高杉晋作など長州の志士たちが、その生き様をたっぷりと魅せてくれるであろう。大河ドラマで幕末物は当たらないなどというジンクスはいつのことやら、『篤姫』『龍馬伝』『八重の桜』、そして今回の『花燃ゆ』とつづくのも、近代日本の立ち上がりを振り返り、このところの閉塞感を打破するヒントを