ノンフィクションはこれを読め!

麻木 久仁子

タレント。1962年11月12日生まれ。学習院大学法学部中退。ソファーに寝そべって本を読んでいる時が至福というインドア派。好きなジャンルは歴史物。ブログはこちら

(2024年当時)

麻木 久仁子の記事

AUTHOR

57記事

もうゆり子さんの鼻歌は聞こえない。『さようならと言ってなかった』 書影

人物 / おすすめ本レビュー

もうゆり子さんの鼻歌は聞こえない。『さようならと言ってなかった』

5000万円の借入金問題を追及される猪瀬さんの姿をテレビで見たとき、見る影もなく打ち萎れた姿に愕然とした。札束に見立てた発泡スチロールを鞄に押し込もうとするとき、目は虚ろで汗が噴き出していた。400万票もの支持を得て東京都知事となり、五輪誘致も見事に成し遂げ、歴史に大きく名を残す知事になるはずだった。が、猪瀬さんの挑戦は、あっけなく終わりを告げたのである。

『誰も調べなかった日本文化史 土下座・先生・牛・全裸』 書影

教養・雑学 / 社会

『誰も調べなかった日本文化史 土下座・先生・牛・全裸』

現在に不満な人は、未来に期待せず、過去を美化して懐かしむのです。歴史の中でもっとも捏造されやすいのは、庶民史と文化史なんです ああもうマッツァリーノ先生のおっしゃる通り。 日本は豊かにはなったが、肝心の心を失ってしまった、昔は貧しくとも大家族で笑顔でくらしていた、誇り高く礼儀正しく生きていた云々かんぬんが、近年やたらと目につくのである。 昔を懐かしんで楽しく

世界は「なりすまし」で溢れている!『詐欺と詐称の大百科』 書影

人物 / 社会

世界は「なりすまし」で溢れている!『詐欺と詐称の大百科』

「なりすまし」というと、ツイッターのなりすましアカウントに釣られて真に受けてしまい、ちょいと恥ずかしい思いをする、というのは今やよくある話である。 ある選挙の際、候補者の名を騙るアカウントが現れて大勢がフォローするも「これはニセモノだ」というアナウンスがあって、「いやいやホンモノだ」という話もあって、あげく真贋騒動自体が話題作りじゃないの?といいだすものもあ

『無業社会 働くことができない若者たちの未来』 書影

社会 / おすすめ本レビュー

『無業社会 働くことができない若者たちの未来』

いつのまにか浮き世はギスギスし、何かと言えば自己責任、である。お互い様とかお陰様という「生温い」言葉は流行らないらしい。「努力するものが報われる社会を」というスローガンもよく聞いたものだが、その意も「報われない者は努力が足りないのである(だから自己責任ね)」とすり替わりつつあるようだ。そして「こんな時代に負け組になったりしたら大変だ」という恐れの気持ちは、「

『異邦人』文庫解説 by 麻木 久仁子 書影

社会 / 「解説」から読む本

『異邦人』文庫解説 by 麻木 久仁子

上原さんは、いつも旅をしているひとなのだ。日本の路地を。世界の路地を。構えたところもなく、ありのままの心で。 なぜ旅をするのか、第一章にこうある。 〈この世の中で、父と母との喧嘩ほど醜いものはない。まだ幼かった私にとって、それ は修羅場であった。〉 〈両親の修羅場は、まさに幼かった私にとって「小さな戦争」であった。私は何もできずに戸惑う、

つなげ!つなげ!『紙つなげ!』たすきを渡し、思いよ届け! 書影

社会 / おすすめ本レビュー

つなげ!つなげ!『紙つなげ!』たすきを渡し、思いよ届け!

東日本大震災がもたらした甚大な被害は、この国の物作りの基盤を揺るがした。東日本が支えていたサプライチェーンが混乱、自動車・半導体をはじめとして、さまざまな製造現場では操業停止という事態も起こった。「納豆の容器が無い」「ペットボトルの蓋が無い」など、身近な品々にも影響は及んだ。「あのときは部品調達にひどく苦労した」という記憶をお持ちの方も多いだろう。 「紙」も

『真実 新聞が警察に跪いた日』 - 栄光からの転落 書影

社会 / おすすめ本レビュー

『真実 新聞が警察に跪いた日』 - 栄光からの転落

時代がいくら変わっても、新聞には変わらない役割があります。その重要な 一つが権力監視、権力チェックではないでしょうか。権力監視の力は弱くなってきたと言われていますが、読者のためにも権力監視の役割を放棄するわけにはいきません。北海道警察の裏金問題の報道は、まさにそうした、新聞本来の役割を取り戻すための作業でした。 2004年10月、本書の著者・高田昌幸氏が北

『悪い奴ほど合理的』 世界を少しずつよくするために。 書影

社会 / おすすめ本レビュー

『悪い奴ほど合理的』 世界を少しずつよくするために。

時代劇が好きで、よく観るのだが、『 神谷玄次郎捕物控 』(NHK BS時代劇金曜午後8時)を観ていたら「おっ?」と目を引くシーンがあった。 探索中の定廻り同心・神谷が、事件とは何の関わりもなさそうな某藩上屋敷に入っていくので何かなと思いきや。三宝に載った袱紗が出てきて、開けてみれば黄金色。それを神谷は悪びれもせずしれっと受け取って懐に入れる。江戸詰めの藩士が

NO PHOTO

教養・雑学 / アート・スポーツ

『金田一耕助映像読本』でテンション上げてポチりまくり

あけましておめでとうございます。2014年もHONZをよろしくお願いいたします。 さて、今回ご紹介するのはMOOKです。HONZのルール上、MOOKはアリなんだったかどうだか忘れましたが、コンビニのワンコインBOOKSがオーケーなんだからMOOKだっていいだろうということです、はい。なにしろ年末年始、わたくしはこの本でたっぷり楽しみました。実に「使える」本だ

うちは絶対かつお出汁! 『かつお節と日本人』 書影

教養・雑学 / 社会

うちは絶対かつお出汁! 『かつお節と日本人』

みなさんのお宅には「かつお節削り器」はありますか? 木製の箱型で、蓋を開けると鉋の歯があり、削ったかつお節は下の引き出しに溜まるという、あれです。 わたしが子供の頃は、毎日のようにかつお節を削らされたものだ。どうも滑らかに削るには向きがあるらしく、粉々になってしまうのを何度も持ち替えてみたり、消しゴムくらいに小さくなったやつを削っていて、指まで削りそうになっ

『誰も知らなかったココ・シャネル』 書影

人物 / 新刊超速レビュー

『誰も知らなかったココ・シャネル』

シャネルNo.5。1921年に売り出されて以来90年以上、香水の代名詞である。現在でも「30秒に1本」売れ続けているのだそうだ。 貧しい行商人の子として生まれ孤児院で育ちながら、その美貌と才気で上流階級の男たちの心をつかみ、「フランスのエレガンス真髄」にまでのし上がったココ・シャネル。「自分で稼ぎ、自由に愛し、男の指図を受けずに望むままに生きたい、という女性

『台湾海峡一九四九』 書影

世界史 / おすすめ本レビュー

『台湾海峡一九四九』

教科書の記述はこうだ。侵略、対立、反攻、維持……しかし、人々を襲った嵐はそんな言葉では表しきれないものであった。本書は、兵役によりまもなく入営しなくてはならない十九歳の息子・フィリップに「家族の歴史を知りたい」と求められた母・龍應台さんが、それに応えるべく、父母の漂泊の人生をたどり、父祖の地を訪ね、あるいはまた今は年老いたかつての少年たちなど数多くの人々に聞

『未完のファシズム』 書影

日本史 / おすすめ本レビュー

『未完のファシズム』

そもそもファシズムとは何か、というのは結構むずかしい。手法が強引な政治家あらばやたらファシスト呼ばわりもされたりするが、安易な使われ方は矮小化につながりかねないという気もする。どのような条件下でどういう状況が完成すれば「ファシズム」なんだろう。 本書においてファシズムとは「資本主義体制における一元的な全体主義のひとつの形態」だとして、「強力政治や総力戦・総動

『謎とき平清盛』 書影

日本史 / おすすめ本レビュー

『謎とき平清盛』

大河ドラマ『平清盛』は、どうやら“苦戦”しているらしい。画面が汚いとか、登場人物や人間関係がわかりにくいとか、視聴率が低いとか、喧しい。そこへまた、劇中の「王家」という表現について国会で問題にされたりと散々のようだ。しかしこれも、「大河ドラマ」という国民的話題になる作品ならでは、だろうか。 かく言う私は、ここ数年の大河ドラマの中では、実に骨太で面白いと思いな

『地図から消えた島々』 書影

日本史 / おすすめ本レビュー

『地図から消えた島々』

問題です!(SE:ジャジャン!) かつて「ロス・ジャルディン諸島」「イキマ島」「グランパス島」「中ノ鳥島」などが位置した海域はどこでしょう? さてさて。クイズ番組にこんな問題が出る日は来るだろうか。たぶん来ない。難問過ぎる! 解答解説もややこしくなりそうだし……。えっ? そんな島あったっけ、聞いたことない。地図にもない……。クイズマニアの方々からお問い合わせ

『江戸時代の天皇』 書影

日本史 / おすすめ本レビュー

『江戸時代の天皇』

昨今の「維新流行」はいったい何なのだろうか。政権交代からTPP、政治家の自己アピールまで、なにかと言えば平成維新だ、平成の開国だ、奇兵隊だ龍馬だと、幕末・維新期になぞらえる。江戸時代は由らしむべし、知らしむべからずの封建的・圧政的時代であり、「鎖国」によって激動する世界史の流れにも目を瞑った時代。それを打ち破ったのが明治維新であり、近代国家日本の夜明け、日本

『「歴史」を動かす―東アジアのなかの日本史 』 書影

日本史 / おすすめ本レビュー

『「歴史」を動かす―東アジアのなかの日本史 』

「歴史」はどんどん更新されていくもののようだ。 この数十年で新史料の発見や解析が進み、またかつてのイデオロギー的な歴史観からもかなり自由になったため、「最新の知見」が続々と更新され、学者や研究者の間では共有されていると聞く。確かに、高校生の娘の教科書を眺めても、最近刊行された選書などを読んでも、年号や時代区分の呼称ひとつにしても随分違うことに驚かされる。 そ