
『大阪ソースダイバー』にソース文化の真髄を学べ!
あまり知られていないかもしれないが、大阪人はソース好きだ。東京では中濃ソースが一般的らしいが、大阪の家庭ではとんかつソースとウスターソースが常備されているのが普通である。 天ぷらにだってウスターソースをかける。少し古い、たぶん10年ほど前の データ だが、野菜と魚の天ぷらソースで食べる人は、関東では1%以下であるのに対して、近畿では 45 %もいる。アジとか
(2024年当時)
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あまり知られていないかもしれないが、大阪人はソース好きだ。東京では中濃ソースが一般的らしいが、大阪の家庭ではとんかつソースとウスターソースが常備されているのが普通である。 天ぷらにだってウスターソースをかける。少し古い、たぶん10年ほど前の データ だが、野菜と魚の天ぷらソースで食べる人は、関東では1%以下であるのに対して、近畿では 45 %もいる。アジとか

『余れるところ』の平均長は8.3センチメートルらしい。ん、余れるところって?その由来は古事記にまでさかのぼる。かのイザナギが自らの男根を「成り成りて成り余れる処」と呼んでいるのだ。そして仏教では「魔羅(まら)」、すなわち修業の邪魔になるものという意味である。そんなこんなで秀実(ヒデミネ)さんは考えた。そこには真理があるはずだと。 序章 仏説男根 ぶっせつだ

昭和43年11月6日、IWWA(国際女子プロレス協会)世界選手権がおこなわれた。超満員の蔵前国技館で、32歳の 小畑千代 が対戦したのは米国の ファビュラス・ムーラ 。一本目は、いきなり反則攻撃をしかけたムーラがフォール勝ち。二本目は、必ずとると決めた小畑が攻めまくる。ドロップキックからキーロック、空手チョップから、跳び蹴り、ハンマー投げ。最後は、20キロほ

食肉についての本といえば、なんと言っても講談社ノンフィクション賞を獲ったこの一冊。 日本中の『路地』を巡る、上原善広の大宅壮一ノンフィクション賞受賞作。 上原善広といえば、旧石器捏造事件を追ったこの一冊もオススメです。『石の虚塔 発見と捏造、考古学に憑かれた男たち』からの改題。

あぁもう何もかもイヤになった、生まれ変わってやりなおしたい。誰だってふとそう考えることはあるだろう。残念ながら、生まれ変わるのは生物学的に不可能だし、よしんばできたとしても、それまでの記憶がなくなってしまうのだから意味がない。しかし、死んだことにして、別の人生を歩み始めることならばできるかもしれない。そんな可能性を探っていく一冊だ。 著者のエリザベス・グリー

あなたは植物にエロスを見出したことがおありだろうか?あるのなら、この本の魅力をすでにご存じなのだから、読めばますます植物官能の深みにはまり込んでいかれるに違いない。それよりも、そんなことは考えたこともないごく普通の人にこそ、ぜひ手にとってもらいたい一冊である。読み終わった時、もはや植物の官能から逃れられなくなっているはずだ。 いきなりだが、このサボテンはどう

HONZの成毛代表、何を考えているのか、忙しいとぼやきながらも、今年はめったやたらと本を出すらしい。大丈夫か。しかし、いちばん気合いがはいってるのはこの本だ。なんせ、ADHDを誇る成毛代表が、国立科学博物館という同じテーマに固執して二冊目の本を出すのだから。ただし、本人に確認した訳ではありませんので、まぁ、いま巷に流行る忖度いうやつですわ。 しかし、相当に力

不便益と書いてフベンエキ、聞き慣れない言葉である。便をしなかったら御利益がある、という話ではない。あたりまえか。便利は益をもたらすが、反対に「不便であるからこそ得られる益」もあるのではないか、という発想だ。なんじゃそれは、と思われるかもしれんが、著者の川上浩司さんは歴とした京都大学教授で、専門はデザインユニット学。あの、何に使ったらいいのかようわからん『 京

僕ね、文楽とか義太夫とかあんまり好きやないんです。怒られるのがいややから、越路師匠が怖いから修業してきたのかもしれません。 なんと正直なんだ。この言葉には、腰が抜けそうに驚いた。古典芸能に限らず、スポーツでもなんでも、トップレベルの人たちは皆、好きだから辛くてもやってこられました、というのがお約束だろう。しかし物は考えようだ。好きで続けられた人よりも、あまり

ため息が出た。大学人として、である。うまくいっている大学には、それだけの理由があるということがよくわかった。今をときめく近大、近畿大学の本である。関西圏以外で近大の知名度と評価はどれくらいなのだろう。しかし、いまや、いくつもの指標で、押しも押されもせぬ日本の私立大学の雄であることは間違いない。 少し前まで、近大のイメージといえば、ちょっと垢抜けしないバンカラ

まったくの私事で恐縮だが、このレビューをHONZにアップする日に還暦を迎える。せっかくなので、還暦らしく赤い本をレビューすることにしようと思った。『 赤本 』といえば、教学社の出す大学入試過去問集だけれど、さすがにそんなもんレビューするわけにはいかないし、その能力もない。 行きつけの本屋さんをうろついて探すと、平積み本の中にひときわ目をひく一冊があった。中国

俗語、それも使われなくなった俗語が五十音順に百個あまり並べられている。トップはアイス。アイスクリーム?なわけはない。高利貸しのことらしい。わっかるかな?わかんねぇだろうなぁ~(©松鶴家千とせ)、これもほとんど死語ですけど。アイスクリーム⇒氷菓子(こおりがし)⇒高利貸し(こうりがし)とのこと。なるほどね。あれ?、どこかで聞いたことがあるなぁと思ったら、金色夜叉

天才とは何だろう? 一般的には「とくに創造的活動において発揮される、すぐれた知的才能」と定義されている。『優生学』を打ち立てたフランシス・ゴルトンのように「世界中がその功績に対して大きな恩義を感じるような人物」としたほうがより実際的かもしれない。 ダーウィンのいとこであったゴルトンは「天才とは遺伝の産物」と考えていたが、はたしてそうだろうか。いみじくもそのゴ

超ひも理論である。HONZ代表の成毛眞とともに挑んだが、まったく歯が立たなかった難攻不落の理論である。まぁ、ひょっとしたら、挑んだ相手というか、説明してくれた人が悪かったのかもしれない。我々を十分に納得させてくれんかったのだから。その敗北記は、東洋経済オンラインの『天才物理学者・浪速阪教授に聞く、その1、その2』に詳しい。 その浪速阪教授こそ、小説『超ひも理

大病というのは人生の意味を明確にするはずだったが、私にわかったのは自分が死ぬということだけだった。でも、そのことは以前から知っていたのだ。 誰もがうらやむような経歴を持つ若き脳神経外科医が、不治の肺がんとの診断をうけた。それまでに学んできた哲学と医学を最大限に活かし、自らの人生と病いを深く洞察し、奇跡など決して信じることなく、行く末にある死を冷徹に見つめ、生

大崎善生は大好きな作家の一人である。もちろん最初の一冊はあの『聖の青春』で、いきなりファンになってしまった。以後、著作のほとんどを読んでいる。どの本も面白いのだが、なかでも、稀代のSM作家・団鬼六を描いた『赦す人』などは、誰にでも勧めたくなる出色のノンフィクションだ。 いちばん好きな作品は、短編集に収められた『優しい子よ』である。重い病に冒された子どもとの交

はばかりと呼ばれることがあるほどに、口にすることが憚られがちなトイレである。毎日必ずお世話になるにもかかわらず失礼なことだ。そのトイレを巡っての、うんこ話じゃなくてうんちく話が、うんこ盛りじゃなくててんこ盛りの一冊だ。編著者は『屎尿・下水研究会』である。会員は20名ほどだが、その職種が便器の設計者や紙の研究家、屎尿処理行政担当者など多岐にわたっているだけあっ

医業を営んでいるわけではないけれど、医学部で教える身として、医者関係の本はけっこう手に取ることが多い。しかし、残念ながら、どう考えても内実を知らない人が書いていたり、特殊すぎる例があげられていたり、いまひとつ実感とそぐわない本も多い。そんな中、この本は納得の一冊である。 ただし、これには、少し注意すべき点があるかもしれない。筆者の里見清一先生が4~5歳年下で

人工光合成の技術を利用すれば、石油や石炭といった化石燃料に頼らずにエネルギーをまかなうことができる。同時に、全人類にとっての大問題となっている二酸化炭素の排出量を減少させることもできる。まるで夢か魔法の技術だ。 光合成というのは、植物や藻類、シアノバクテリウムといった細菌においておこなわれる、光をエネルギーにして水と二酸化炭素から炭水化物と酸素を作る生化学反

人間にとってただ一つ確実なことは、いずれ死ぬということだけだ。しかし、いつ死ぬのか、どのように死ぬのかはわからない。年老いて不自由になった時、不治の病にかかった時、あなたはどのような人生を望むつもりだろう。医学が発達しているからなんとかしてもらえると思っている人がほとんどではないか。しかし、その考えは、この本の冒頭にある文章を読んだだけで打ち砕かれる。 わず

脳外科医のやり甲斐と厳しさ、イギリスの医療制度のひどさ、マーシュ先生の清々しい生きざま、そして、こういった内容が流れるように綴られる美しい文章。読みながら、さまざまな感慨を込めた溜め息をなんどもついた。素晴らしい本だ。 タイトルどおり、イギリスの有名脳外科医・マーシュ先生のエッセイ集である。25のエピソード、それぞれにマーシュ先生の思い出がつまっている。タイ

その存在は古代エジプトの世から知られていた。存在が知られる前からも、多くの人の命がそれによって奪われていたはずだ。ずっと名前はなかったが、ギリシア時代になってようやく、あの医聖ヒポクラテスによってつけられた。しかし、人々はその本質を見誤っていた。ありもしない『体液』の異常によるものであると思い込まされていたのだ。その実体が、細胞の異常な増殖による、と正しく理

高野秀行といえば、押しも押されもせぬ未確認動物探索家である。まぁ、そのような探索家をまともに名乗る人はそうそういないので、名乗ったが勝ちという気がしないでもないが、なにしろ第一人者である。『幻獣ムベンベを追え』(集英社文庫)をはじめ、それに関する書物も出版しているので、決して「自称」ではなく、れっきとした未確認動物探索家なのである。 この『未来国家ブータン』

老人の万引きが増加しているというのは聞いたことがあった。しかし、まさか、ここまでとは思っていなかった。驚いただけではなく哀しくなってしまったが、こういう現実を直視せずに現代社会を論じることはできないはずだ。 あちこちのスーパーに出向く保安員、現役の万引きGメンによって書かれた実録集である。20件あまりの事例が紹介されているが、それぞれに、あきれるような、腹立

カッコウ、である。見たことがあるような気もするが、記憶は定かでない。しかし、「♪静かな湖畔の森の陰からもう起きちゃいかが」と鳴くという童謡のおかげで、その名前はよく知られている。なんとなく爽やかだが、そんなイメージとは裏腹に、カッコウは『托卵』という眉をひそめたくなるような方法によって繁殖することで有名な鳥でもある。 托卵というのは「鳥が他種の鳥の巣に産卵し

何でもいいから本を読みたい、意味なく読書を楽しんでみたいという人には格好の本だ。なんの目的がなくとも、ほとんど意味がなくても、本を読むということをこんなに楽しめるというのは、読書における醍醐味といっていいはずだ。 タイトルのとおり、50の孤島が紹介されている。『ドイツのもっとも美しい本』に選ばれただけあって、とても綺麗な本である。しかし、その印刷と造りは極め

あらためて進化というのは面白いものだと感動した。なにをいまさらではあるが、百聞は一見にしかず。巨大生物の解剖と生理を目の当たりにすると、誰もがそう思わずにいられないだろう。 動物の大型化には、たとえば、キリンの首が長くなるとより多くの餌を食べることができるようになるというように、メリットがあるはずだ。しかし、大型化にはメリットだけではなく、何らかの不都合が生

ムハンマド、あまりに人間らしさにあふれているではないか。といえば、不謹慎になるのだろうか。抜群に面白い伝記であった。イスラームの開祖、より正しくは、アラブにおける唯一神アッラーの言葉をつたえた預言者ムハンマドの伝記である。その啓示は、クルアーン(コーラン)としてムハンマドの死後20年たって公式に編纂され、聖典となった。いかにたくさんの人が、クルアーンの朗読に

生命がどのようにして誕生し、進化してきたのか?だれもが興味をいだくテーマだ。完全にわかるということはありえない。しかし、あたらしい技術が開発され、あらたな発見がなされ、次第に議論が収斂してきている。全地球凍結=スノーボールアース仮説の提唱者である地質生物学者著者ジョセフ・カーシュヴィンクと古生物学者ピーター・ウォードによるこの本は、最新データを網羅してまとめ

いまや、アルツハイマー病という疾患名はあまねく知られている。しかし、何がアルツハイマー病の原因なのか、どんな人がなりやすいのか、そして治療は可能なのか、となると、ほとんどの人は知らないだろう。恥ずかしながら、医学部で病理学を教えている私もよく知らなかった。研究が日進月歩であり、その原因や治療法についてはまだ確定的なことがわかっていないからだ、と、とりあえずの

地図を見るのは楽しい。行ったことがある場所なら、あぁこんなだったと思いだせるし、行ったことがない場所なら、どんなところだろうかと想像力がかきたてられる。いまや、世界中、地図のないような場所はない。しかし、そんな時代になったのは、それほど昔のことではない。 古代バビロニアに始まり現代で終わる、地図についての物語集だ。それぞれの地図が作られた時代が語られ、その意

山岳雑誌の老舗『 山と渓谷社 』に勢いがある。2010年に刊行がはじまった ヤマケイ文庫 では、山岳本でこれを読まねばどうするというような、ヒマラヤの難峰ギャチュン・カンからの決死の脱出を描いた山野井泰史の『 垂直の記憶 』や、死に至る過程がこまかに記録されている松濤明の『風雪のビヴァーク』から、 HONZイチオシ伝説の記念的作品 である『くう・ねる・のぐそ

大村智先生、ノーベル医学生理学賞ご受賞、まことにおめでとうございます! この本、3年前の出版当時、HONZデビューでとりあげた思い出の本だ。全面改訂にしようかと思って、本をもう一度読んでみたのだけれど、書き加えるとすると、すでに受賞報道で聞いたようなことになりそうだ。それならば、初読の時の驚きを伝えたほうがよかろう。ということで、メインの本文にあまり手を入れ

自動車の追突事故。幸いなことに外傷はなく、CTスキャンなどの検査でも異常は認められなかった。しかし、さまざまな神経障害で生活に大きな支障をきたす外傷性能損傷(脳震盪症)患者となった著者・クラーク・エリオットは人工知能を専門とする大学教授。ほんとうにそんなことがあるのかと思えるほどに複雑な症状だ。つらかっただろうに、よく自らの症状をこれだけ克明に記録したものだ

『 フィラデルフィア染色体 』と聞いても、医学関係者以外は何のことかわからないだろう。血液細胞の「がん」のひとつである 慢性骨髄性白血病 (CML)において認められる異常な染色体の名前である。その染色体の発見から、CMLに対する夢の特効薬がどのようにして開発されたかを丁寧に描いたのがこの本だ。 1959年、フィラデルフィアのがん研究者と「染色体おたく」が共同

「死ぬ前に何を食べたいですか?」ありがちな質問だ。誰もが考えたことがあるかもしれない。しかし、それはあくまでもフィクションとしての質問にすぎない。遠からず死ぬという状況の中で考えるのと、元気な状態でフィクションとして考えるのは根本的に違うのではないだろうか。この本は、フィクションではなく、そのリアリティーが描かれた本だ。 淀川キリスト教病院 といえば、日本で

「あなたも悪魔になってしまう可能性がある。」と言われても、自分は大丈夫だ、と思う人がほとんどだろう。しかし、この本を読めば考えが変わるに違いない。いや、この本を読んで考えを変えたほうがいい。 1971年におこなわれた『 スタンフォード監獄実験 』の責任者フィリップ・ジンバルドーが、その全貌とその後の展開を著した本だ。きわめてシンプルな実験である。夏休みに大学

ブラジルへ飛ぶ。逃げ得は許さないと、日本で事件をおこして出国逃亡した三人のブラジル人の犯人を追って。警察関係者ではない、一人のジャーナリストだ。居所の手がかりは多くなかったが、現地テレビ局の協力を得て、見事に犯人 を見つけ出す。彼らは何ごともなかったかのように暮らしていた。うち二人は交通事故による死亡事故容疑者。残る一人は強盗殺人犯。最後の男と対峙した時、命

この本、一度は書店でやりすごした。タイトルも装丁も地味。目次を見たら、脈絡のないトピックスが、年代順に並べてある。ぱらぱらっとめくったが、なんとなく読みにくそうな気がしたので、パス。 しかし、次に書店に行ったとき、また、この本が呼ぶのである。一度捨てた本に呼びかけられることはめったにない。そこまで迫ってくるのならと、ちょと目を通したら、むちゃくちゃおもろい。

言わずもがな、DNAの構造を明らかにした、いや、より正確には、DNAの二重らせんモデルを考えついた二人のうちの一人、 ジェームズ・D・ワトソン の著書『The Double Helix』の新訳である。初版は1968年、DNAの構造発見から15年後のことで、以来、20カ国もの言葉に翻訳されている。 日本でも原著と同じ年に翻訳が出ているので、読んだことがある人も