先月出た本 2024年6月
文庫化されたら世界が滅びる、とまで言われていた『百年の孤独』の文庫版発売に世が沸き返っています。この大作が話題になったことで、読書案内や読書術の本にも注目が集まっているようです。ではノンフィクションジャンルの6月はどうだったのでしょう。まず押さえておきたいのがジャック・アタリの新作 もともと種の保存のために行われた「知識の受け渡し」。歴史の中では、一神教によ
(2024年当時)
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文庫化されたら世界が滅びる、とまで言われていた『百年の孤独』の文庫版発売に世が沸き返っています。この大作が話題になったことで、読書案内や読書術の本にも注目が集まっているようです。ではノンフィクションジャンルの6月はどうだったのでしょう。まず押さえておきたいのがジャック・アタリの新作 もともと種の保存のために行われた「知識の受け渡し」。歴史の中では、一神教によ

最近の世の中は、なにかにつけ“○○パフォーマンス”と言われるようです。みんなそんなに急いで何になろうとしているのかしら…と思ったりしつつ、ぼーっとするのが何よりの楽しみです。出版業界においても「本の返品」という壮大なムダがあり、それを巡っていろいろな人が苦闘をしています。「ムダ」はこんなに嫌われるのに、どうして減っていかないのか。という悩みに答えてくれそうな

今、『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』が話題になっています。確かに自分も…という心当たりのあるビジネスパーソンも多かったのでしょう。これが読まれたことで、読書量がどーんと増えたらものすごく嬉しい話です。で、話題沸騰中の著者、三宅 香帆さんが早くも新作を発売しました。それが『娘が母を殺すには?』です。 昨今大きなテーマとなっている母と娘の関係。それはフィ

先日このコーナーで取り上げたバーツラフ・シュミルの『Invention and Innovation』には大きな反響がありました。さすが人気作家!その熱もさめやらぬなか、6月末にはもう新刊の発売が予定されています。 テーマはサイズの科学、米国では昨年発表された本ですが、早くも邦訳が登場します!『Numbers Don't Lie』などと一緒に楽しむのが良さそ

コロナ禍が終わった初のGWの行楽地はどこも盛り上がりを見せているようです。そしてノンフィクション売場も盛り上がってきました。5月も大物が続々!という月になりそうですが、4月も豊作です。新しい期が始まる月ということもあってか、4月は面白い企業ものが目立ちました。 まずは『ゴールドマン・サックスに洗脳された私』 日本では三五館シンシャの日記シリーズでの様々な仕事

今や世の中はフェイクニュースにまつわる話題が大盛り上がり。ニュースもそうですが、陰謀論の流布も大きな問題となっています。そんな中で注目しておきたいのが「科学否定論者」についての考察でしょう。荒唐無稽な物語を信じ、エビデンスから目を背ける人たちがなぜ出てくるのか、その否定論者に迫り謎を探っているのが、リー・マッキンタイア。4月、5月と連続して本が刊行されるので

新学期が始まりました。考えてみたら昨年の4月はまだまだコロナ禍の中。4月特有の電車や会社の混み方を見て、コロナ前が戻ってきたことを感じています。この時期は対人関係やコミュニケーション、人の心の動きに関する本が手に取られる時期でもあります。そんな季節にぴったりな1冊が登場しています。 それが『夢を叶えるために脳はある』 『進化しすぎた脳』などで話題になった池谷

新型コロナ感染症の五類移行からそろそろ1年になろうとしています。街中に多くの旅行者の姿を見るようになりましたが、ノンフィクションについても、人や事件の動きを追うルポルタージュや海外での取材や研究成果が増えてきた気がします。『バッタを倒すぜアフリカで』もそういった1冊。 前作『 バッタを倒しにアフリカへ 』は25万部突破のベストセラーとなり、新書大賞を受賞した

冬はどこに行っちゃったの!と言いたくなるような暖かい日が続く2月でした。新学期に向けて、いろいろなジャンルで動きが激しくなってきています。特に投資をめぐる動きは非常に大きく、バブル超えの日経平均や新NISAへの流入などが連日ニュースとして報じられています。とすると気になってくるのが株式市場を支える側の人たちの姿。ということで、今回最初に注目したのが金融ノンフ

ビル・ゲイツは毎年、自身のブログ「Gates Notes」で、夏や冬の休暇時期に読む本数冊をオススメしてくれています。これからの世界を読み解くための本、今の世の中を考える本が多く紹介されており、ノンフィクション読みとしては必読のコーナーになっています。ただ、紹介された本を邦訳で読めるまでには時間がかかりがちなのですが、今年は大変ラッキーなことに紹介された3点

芥川賞・直木賞が決定し、本屋大賞のノミネート作品も発表。1月は小説の売れ行きがよい1ヶ月となりました。また、新NISAのスタートも相まってか、お金や投資に関する本がよく動いているようです。ではノンフィクションではどんな本が登場しているのでしょうか。 大きな話題となったのが、映画化の原案としても話題の『オッペンハイマー』でしょう。米国で公開された映画の日本公開

2024年のはじまりは大きな悲劇で幕を開けることになりました。見たことのない規模の海岸隆起、航空機事故。これらは近いうちに様々な分析本が出てくることになるのではないでしょうか。こういうときに、ノンフィクションの役割を感じさせられます。 今年紹介する1冊目はこちら。 トヨタに関する本はノンフィクション、フィクションとも数多く出版されていますが、ここに大きな話題

2024年のスタートは、大きな災害、事件とともに幕開けすることになってしまいました。いつもであれば、年のはじまりとその年の幸せを祈る穏やかな日になるはずが、恐怖と悲しみが続く日々に変わってしまいました。 こういった危機の時には改めて「人を助ける仕事をしている人」が様々なところにいらっしゃる事に気づかされます。今回紹介する1冊は、山岳救助、しかも難易度が高く最

いよいよ年の終わりが見えてきました。ここからの季節、年末年始は重厚なノンフィクションの読み時、ということで今年も多くの本が出版されそうです。1月は1年の始まりということで、今後の世界を予測するノンフィクションなどが目立ちました。 は以前話題となった『人口で語る世界史』の著者、ポール・モーランドの新刊です。少子化は政策の影響より個人の思想の影響の方が大きい、高

2023年もあと残すところ1ヶ月となりました。毎年恒例のベストセラーランキングなども発表され、一挙に年末モードが盛り上がって来ました。 今回の先月出た本は『夜明けを待つ』をまずご紹介します。『紙つなげ!』など数々のノンフィクションを送り出して来た佐々涼子さんの『夜明けを待つ』が発売されています。 実は、この本“これから出る本”でも紹介するかどうかを悩んだ1冊

いよいよ年の終わりが見えてきました。年末年始は重厚なノンフィクションの読み時、ということで今年も多くの本が出版されそうです。 12月のはじめには『大阪の生活史』が登場します。この姉妹版とも言える『東京の生活史』はベストセラーになったほか、多くの賞も授賞し話題になりました。150の人が聞き、語った膨大なインタビュー集。人の経験やまなざしを通じて大阪という街が描

読書週間が始まっています。今は読書週間が拡大して読書月間になって、読書の秋を盛り上げています。そんな今月の先月出た本。1冊目は『なぜ私たちは燃え尽きてしまうのか』から。 最近「バーンアウト症候群」という言葉がよく聞かれます。まさに“燃え尽き”ですが、耳慣れた言葉に思えて、この意味は正確に理解されていないのだそうです。この文化を終わらせるためにはまずは知ること

昨年の11月、『笑い神 M-1、その純情と狂気』が発売され、ノンフィクション業界では大きな話題になりました。気づけば11月~12月はお笑いの季節として定着してきたようです。今年もいくつか気になるお笑い本が出てきます。中でも注目したいのが『M-1はじめました。』です。 著者、谷良一さんはM-1グランプリをつくった元吉本社員。そこにはお笑いブーム、漫才ブームを立

9月は『イーロン・マスク(上・下)』の発売が大きな話題となりました。レビューのほか口コミでも、その面白さが話題になっていますが、ノンフィクションがベストセラーランキングの上位にいるのも久しぶりのこと。読書の秋のスタートに相応しい号砲が鳴らされた感があります。大物新刊として忘れてはならないのが『万物の黎明』。私たちに“ブルシットジョブ”という便利な言葉を教えて

まだまだ暑い日が終わらない日本列島。アツい、と言えば店頭は「厚い」本で(が?)盛り上がっています。イーロン・マスクの自伝上下巻、文芸書では製本の限界に挑んでいるように見える『鵺の碑』などなど、今年は厚い本選手権をやっても面白そうです。 ようやく秋に突入しそうな10月、ノンフィクションも気になる本が盛り沢山。注目作品の筆頭は『遺伝と平等:人生の成り行きは変えら

先月「暑い暑い7月が終わりました。」と書いたのに、暑さは9月スタートになっても変わらず、クーラー猛稼働の日が続いています。とはいえ、秋はもうすぐ、読書の秋に向けて気になる本の発売が相次いだ8月でした。本好きにオススメしたいのが『索引 ~の歴史』です。本読みだったら当たり前に目にしている「索引」には、ものすごーい歴史と多くの人々の努力が隠されていた、という索引

お盆を過ぎたら残暑、と教わったはずですがいまだ暑さ真っ直中といった感のある日本列島です。この分だと9月も涼しいところで読書がいいね、という季節になりそうです。9月のノンフィクション界はそんな時間にぴったりの重厚なラインナップが揃いました。筆頭は『イーロン・マスク(上下)』 TwitterからXへ、日々お騒がせの存在になっているイーロン・マスクの評伝。著者は『

暑い暑い7月が終わりました。海外旅行に行く人も多くなる一方で、国内はとにかく外国人観光客で大盛り上がり。世界が近くなったのを改めて感じています。 そんな時に読みたくなるのが旅行記でしょう。辺境作家として大人気の高野秀行さんの新作『イラク水滸伝』が発売と同時に注目を集めています。イラクにある謎の巨大湿地帯〈アフワール〉に挑む旅模様。この夏、旅行に行く人も行かな

この1ヶ月、ワグネルの乱によって大きく世の中が揺れました。これにより、民間軍事会社が戦争を行っている、ということが改めて白日の下にさらされ、この反乱によってワグネルという存在を知った人も多かったのではないでしょうか。 世の中を見回してみると“こんなことも民間が!”という話が沢山あります。そしてそんなノンフィクションも多く出ている中、ひっかかったのがこの『民間

ノンフィクション業界の6月の話題といえば、なんと言ってもハヤカワ新書の創刊でしょう。先が見えない時代、SF的な発想が必要になっていると言われている中で、どんな書籍が産まれてくるのか楽しみです。6月創刊は5点、中でもフィクションとノンフィクションが混ざり合ってきたような時代に「現実」とは何かを考えた『現実とは?―脳と意識とテクノロジーの未来』に注目しました。

著者の田中ひかるさんは、以前にも『明治を生きた男装の女医-高橋瑞物語』というノンフィクションを書かれています。こちらについては、 仲野先生がレビュー を書いていらっしゃるのでそちらをご参考にどうぞ。 今回は自ら看護婦となり、その制度を整え後進を育てることに尽力した女性の物語です。 今作の主人公、大関和(ちか、と読みます)は、幕末の下野国で藩の家老の娘として産

6月だというのに、もはや夏日が続出。今年の夏はどうなってしまうのでしょうか、そして逼迫するエネルギー問題はどのような影響を与えることになるのでしょうか。 世界のこれからを考えるために外せないのがトマ・ピケティの新作でしょう。『自然、文化、そして不平等 ―― 国際比較と歴史の視点から』がいよいよ登場します。 世界は第二次ピケティブームが到来しているとのことです

AIの進化が止まりません。出版業界でもChat GPTの特集記事が出た雑誌が爆発的に売れるなど、売行き傾向にも影響が見られるようになってきました。一方で、人間とAIの違いについて考えるような本も人気です。そんな流れもあって“ことば”について考える『言語の本質』が話題になっています。 なぜヒトは言葉を持つのか、どうやっておぼえるのか…などなど今の時代に知ってお

訃報には本来大きいも小さいもないのですが、「亡くなった」と知らされることによって「社会が揺れる」ような感じをおぼえることがあります。最近では坂本龍一さんの訃報がそんな感じでした。 坂本さんにはすでに『音楽は自由にする』という自伝があります。09年に出版されたこの本(新潮文庫刊)を継ぐ形で最晩年までの思いを綴った決定的自伝が発売されます。 最期まで新たな曲を作

4月は西加奈子さんの『くもをさがす』が発売され、大きな話題となっています。滞在先のカナダで宣告された乳がん、その発覚から治療を終えるまでの8ヶ月間を克明に描いたノンフィクションは、ガン罹患というニュースと、コロナ禍中、そして海外での闘病という衝撃もあり大きく報じられました。発売前重版、累計20万部突破と大きな話題が続いています。 その他にも気になる作品がいく

4月に入り、文芸書コーナーは大型新刊や本屋大賞受賞作品などで賑わっています。ノンフィクションジャンルでは以前もこちらで紹介した西加奈子さんの『くもをさがす』が大ヒット。乳がんの告白という衝撃のニュースとともに、多くのメディアなどでも取りあげられベストセラー街道まっしぐらの活躍を見せています。 これから話題になりそうなのが『沖縄の生活史』でしょう。 2021年

球春到来!例年この時期は、野球やサッカーの選手名鑑が店頭を賑わしているものですが、今年はWBCの影響でさらなる盛り上がりを見せているようです。選手から監督まで多くの本が注目されています。その中で注目したい本といったらやはりこれ『アンビシャス 北海道にボールパークを創った男たち』でしょう。 『嫌われた監督』で各賞を総ナメした鈴木忠平さんの最新作、そして先日オー

年々桜の開花が早まっています。今年も早い春が始まったようです。AIの急激な進化を目の当たりにし、これからの世の中について、人間の心と脳について考える本に注目が集まってきているようです。そんな中大きな話題になっている本があります。それが『くもをさがす』 直木賞作家の西加奈子さんが初めて描いたノンフィクション作品がこちら。そしてテーマは自らを襲ったがんとの戦いで

2月は上旬に発売された『安倍晋三 回顧録』が大ベストセラーになりました。日本では政治家の回顧録がここまで売れるのは珍しい事。ここからどのような動きになるのかが楽しみです。その他にも評伝が豊作で『同和のドン 上田藤兵衞 「人権」と「暴力」の戦後史』などがランキング上位を飾っています。 他にはどんな本が発売され、売れていたのでしょうか。 気になる作品をいくつか紹

2月に入り発売された『安倍晋三回顧録』がベストセラー街道をひた走り、ノンフィクション業界も賑やかになっています。国際社会が混沌としている中、不穏な動きを見せるのが北朝鮮です。2022年10月には、警察庁をはじめとした国家機関が名指し非難をしたとして話題になった「ラザルス」というハッカー集団をご存じでしょうか?その裏側に迫る本『ラザルス: 世界最強の北朝鮮ハッ

2023年のスタートの月は全国的に荒天に苦しめられた月になりました。とはいえ、芥川賞・直木賞が両方ともダブル受賞になるなど業界にとってはプラス要素も。ノンフィクションジャンルでは大物作家が続々と本を出しています。そんな中、『ネット右翼になった父』という新書が話題を呼んでいます。老いとともに「ネット右翼」のような発言を繰り返すようになった父。そのまま親子は分断

ヘンリー英王子の回顧録『スペア』の発売は世界的にも大きな話題になっています。発売1週間で320万部を突破など勢いはまだまだ途切れなそうです。今のところ日本での発売は発表されていませんが、いつ、どのようなタイミングで登場してくるのか気になります。日本では2月には『安倍晋三 回顧録』という大きな回顧録が発売になります。 凶弾に倒れた、憲政史上最長の在任期間となっ

12月は国内ノンフィクションの意欲作が次々と発表された月となりました。年末年始にかけて話題になった本も多数。その中でも 先日レビューでも取りあげられた『国商』 などが好調に動いています。 年末になって発売され注目を集めている1冊が『黒い海 船は突然、深海へ消えた』です。2008年に太平洋上で起きた漁船転覆事件、原因不明ながら17人もの犠牲者を出す事故となった

12月に入り書店店頭はクリスマスと年末年始商品で盛り上がっています。さらに12月に盛り上がりを見せたのがサッカー。ワールドカップ関連の本も多く発売されてきています。 サッカーに関しては、ノンフィクションジャンルでも様々な本の出版が相次いでいます。1月には『オシムの言葉』などを送り出した木村元彦さんの最新作が発売になります。 これまでも、サッカーと民族問題に切

ノンフィクション新作の当たり月だった11月。初旬には『ゲノム編集の世紀』と『コード・ブレーカー』というクリスパー革命を描いたノンフィクションが立て続けに発売され書店店頭を賑わせました。11月末には『笑い神 M-1、その純情と狂気』が発売となり、直後から大きな話題となっています。 そんな豊作の11月。他にはどんな本が発売され、売れていたのでしょうか。 注目した