ノンフィクションはこれを読め!

早川書房の記事

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65記事

『ヴィクトリア朝時代のインターネット』 書影

世界史 / 「解説」から読む本

『ヴィクトリア朝時代のインターネット』

インターネット30周年を祝うイベントが開かれていた1999年頃、ネット関連の会議などで頻繁に話題に上る本があった。それは、その前年に出版された本書『ヴィクトリア朝時代のインターネット(The Victorian Internet)』という不思議なタイトルの本だった。これを読んだ関係者が、「たかだか数十年の歴史しかないとされるインターネットだが、実はそのルーツ

『絶海――英国船ウェイジャー号の地獄』訳者あとがき 書影

事件・事故 / 「解説」から読む本

『絶海――英国船ウェイジャー号の地獄』訳者あとがき

本書『絶海――英国船ウェイジャー号の地獄』は、2023年にダブルデイ社から刊行されたデイヴィッド・グランのノンフィクション、The Wager: A Tale of Shipwreck, Mutiny, and Murder の翻訳である。 原書は、刊行された2023年4月からこれまで40週以上連続でニューヨーク・タイムズのベストセラーリストにランクインして

『アナロジア AIの次に来るもの』アナログ王国序説ーーデジタルを超えた次の時代を読む方法 書影

社会 / 「解説」から読む本

『アナロジア AIの次に来るもの』アナログ王国序説ーーデジタルを超えた次の時代を読む方法

始まったばかりだと思っていた21世紀も、気がつけばすでに1/4が経過しようとしているが、われわれが未来の象徴のように思っていた「新世紀」は、9.11のテロで幕を開け、リーマンショック、3.11の未曾有の災害と続き、挙句の果ては新型コロナという感染症の流行と前世紀の冷戦の影を引きずるようなウクライナ戦争の勃発で先が見えない。 その一方でデジタル化やネット化が確

『脳は世界をどう見ているのか 知能の謎を解く「1000の脳」理論』訳者あとがき 書影

サイエンス / 「解説」から読む本

『脳は世界をどう見ているのか 知能の謎を解く「1000の脳」理論』訳者あとがき

本書は2021年に刊行されたジェフ・ホーキンスのA Thousand Brains: A New Theory of Intelligence の全訳である。原書は2021年のフィナンシャル・タイムズ紙のベストブックに選出されたほか、ビル・ゲイツの「今年おすすめの5冊」にも選ばれ、「人工知能はとりわけSF作家の想像力をかきたてる題材だ。真のAIをつくり出すの

『言語が違えば、世界も違って見えるわけ』文庫解説 by 今井 むつみ 書影

サイエンス / 「解説」から読む本

『言語が違えば、世界も違って見えるわけ』文庫解説 by 今井 むつみ

「ヒュッゲ」ということばをこのごろよく耳にする。ウィキペディアでは、「ウェルネスかつ満足な感情がもたらされ、居心地がよく快適で陽気な気分であることを表現するデンマーク語およびノルウェー語である」と解説している。家族や友人とおいしい飲み物やおつまみを囲みながら居心地の良いひと時をゆっくりすごす時間を「ヒュッゲな時間」と言うようである。『翻訳できない世界のことば

『冤罪と人類』精密な世界模型たる迷宮(ラビリンス) 書影

社会 / 「解説」から読む本

『冤罪と人類』精密な世界模型たる迷宮(ラビリンス)

まずは著者の紹介からはじめよう。 管賀江留郎氏は在野の研究者にして著述家である。長年、ウェブで「少年犯罪データベース」を主宰し、また2007年には、そこに集積された資料に基づいて『戦前の少年犯罪』(築地書館)を上梓した。 この本に盛り込まれた内容は、少年犯罪の“増加”や“凶悪化”に心を痛め、その元凶として、現代の薄情な潮勢から時代の風俗の病理、果ては戦後日本

『<脳と文明>の暗号 言語と音楽、驚異の起源』文化と人間の「共進化」 書影

サイエンス / 「解説」から読む本

『<脳と文明>の暗号 言語と音楽、驚異の起源』文化と人間の「共進化」

本書は、Harnessed: How Language and Music Mimicked Nature and Transformed Ape to Man(BenBella Books, 2011)の全訳である。著者のマーク・チャンギージーは、カリフォルニア工科大学、レンスラー工科大学でキャリアを積んだ理論神経科学者。しかし彼の活動はアカデミズムの枠に

『ヒトの目、驚異の進化』「視覚の進化革命」がここから始まった 書影

生物・自然 / 「解説」から読む本

『ヒトの目、驚異の進化』「視覚の進化革命」がここから始まった

著者のマーク・チャンギージーは、1969年生まれの進化神経生物学者。カリフォルニア工科大学の特別研究員、レンスラー工科大学准教授などをへて現在はヒューマンファクトリー・ラボという研究所を主宰。認知と進化についての独創的な研究で世界的に知られ、数多くの論文を学術誌に発表している。その一方で、サイエンスライター、作家、さらにとくに本書第一章とも関係の

『がん免疫療法の突破口(ブレイクスルー)』ブレイクスルーに至る100年史 書影

医学・心理学 / 「解説」から読む本

『がん免疫療法の突破口(ブレイクスルー)』ブレイクスルーに至る100年史

「ブレイクスルー」は、いい言葉だ。日本語では「突破口」。「飛躍的進歩」とも表せよう。新しい技術の開発に携わる人は皆この言葉に憧れているし、その恩恵にあずかる人にとっても大変ありがたい言葉だ。がんの治療の世界で、今世紀に入ってから、まさにそのブレイクスルーが起こった。 2018年、ジム・アリソン氏と本庶佑氏が「がん免疫療法の開発」でノーベル生理学・医学賞を受賞

『ハウ・トゥー バカバカしくて役に立たない暮らしの科学』ファイルを送るには 書影

サイエンス / HONZブックマーク

『ハウ・トゥー バカバカしくて役に立たない暮らしの科学』ファイルを送るには

大きなデータファイルを送るのは、場合によっては難しい。 ファイルを送る最も単純で、最もわかりやすい方法は、そのファイルが貯蔵されているデバイスを手に取り、意図した受け手のところに歩いていき、手渡すことだ。 コンピュータを運ぶのが難しいことがある──特に、丸々一部屋の大きさだった初期のコンピュータの場合はそうだ。だったらコンピュータ全体を運ぶのではなく、コンピ

『ハウ・トゥー バカバカしくて役に立たない暮らしの科学』 書影

サイエンス / 「解説」から読む本

『ハウ・トゥー バカバカしくて役に立たない暮らしの科学』

突拍子もない質問に科学で答える『ホワット・イフ?』、科学絵本『ホワット・イズ・ディス?』(ともに早川書房刊)に続く、元NASAエンジニアの人気ウェブ漫画家、ランドール・マンローの新しい本、『ハウ・トゥー』が登場した。『ハウ・トゥー』は、「川を渡る」、「ピアノを弾く」、「スマホを充電する」、など、一見日常的な課題を解決するために、あえて「とんでもない」方法を科

『ミヤザキワールド 宮崎駿の闇と光』 書影

教養・雑学 / 「解説」から読む本

『ミヤザキワールド 宮崎駿の闇と光』

本書は、海外における日本アニメ研究の第一人者による「宮崎駿論」決定版とも言うべき一冊である(原書はMiyazakiworld: A Life in Art, Yale University Press, 2018)。通読してまず実感するのは、著者スーザン・ネイピアの「ミヤザキワールド」に対する並々ならぬ愛情の深さだ。自身も優れたストーリーテラーであるネイピア

『138億年宇宙の旅』 書影

サイエンス / 「解説」から読む本

『138億年宇宙の旅』

この本を読んでいると、目がくらくらします。 これにはいくつかの意味があります。まず、息を呑む展開でぐいぐいと話が進んでいくので、そのままの勢いで読み続けると目が回り始めます。ときどき立ち止まって深く息をして、ちょっと戻ってからあらためて読み始めないといけません。 次に、「あなた」と呼びかけられて、いきなり星の爆発に出くわされ、ブラックホールからジェットで噴き

『140字の戦争 SNSが戦場を変えた』 書影

社会 / 「解説」から読む本

『140字の戦争 SNSが戦場を変えた』

21世紀の戦争は、戦車や大砲による物理的な戦闘よりも、主にソーシャルネットワーク(SNS)を使った情報戦が重要になった。SNSによって劇的に様変わりした新しい戦争の姿を描いたのが本書である。 ここでいう情報戦とは、相手の情報を奪い取る戦いではなく、いかに自分たちに有利な印象を信じ込ませることができるかといういわゆるプロパガンダ合戦のことだが、従来は国家権力や

『アダム・スミスはブレグジットを支持するか?』彼らはなぜ偉大なのか? 書影

社会 / 「解説」から読む本

『アダム・スミスはブレグジットを支持するか?』彼らはなぜ偉大なのか?

本書(The Great Economists, 2018)は、経済学説史上の巨人たちならば、現在私たちが直面している問題についてどう答えるか、想像をめぐらした書だ。経済学の古典を読んだ人なら、誰もが興味の湧くテーマではある。ところがそれを実現した研究者は稀だ。というのも時代は移り、国内外の政治も二転三転して、巨人たちが生きた過去と現代とでは市場環境は激変し

『幻想の経済成長』 書影

社会 / 「解説」から読む本

『幻想の経済成長』

本書は、昨年英語圏で出版されるや、アメリカのトランプ現象やイギリスの欧州連合(EU)離脱などの根底に潜む様々な要因を「幻想の経済成長」というプリズムを通して分析し、直ちに「時代精神を見事に捉えた」という高い評価を得た。著者のデイヴィッド・ピリングは、2002年から08年まで英フィナンシャル・タイムズ紙の東京支局長を務めたベテラン報道記者で、その後、アジア編集

『大戦略論』戦略論の新たなる古典 書影

社会 / 「解説」から読む本

『大戦略論』戦略論の新たなる古典

近年の中国の経済的・軍事的台頭、イギリスのEU離脱とアメリカの政治的混乱、そして貿易戦争 から始まった米中冷戦の時代を予感あるいは意識してか、この十年間に戦略書が、英語で書かれたものだけを見ても、続々と出版されている。その中でも出版国で評判が高く、日本で翻訳されたものが二冊ある。 一つはローレンス・フリードマン(2018)『戦略の世界史(上・下)』(日本経済

『ヒットの設計図 ポケモンGOからトランプ現象まで』ヒットの原動力はあなたの中にある 書影

ビジネス / 「解説」から読む本

『ヒットの設計図 ポケモンGOからトランプ現象まで』ヒットの原動力はあなたの中にある

ポップとキャッチーはまったく別の感覚だと思う 中田ヤスタカはそう言った。Perfume やきゃりーぱみゅぱみゅをブレイクさせ、日本を代表する ヒットメーカーとして脚光を浴びる彼が、2013年、自身のユニットCAPSULE のアルバムリリースに際してウェブサイト「ナタリー」でのインタビューに応えて語った言葉だ。 二つの言葉は混同されることが多い。特に音楽の分野

『意識の川をゆく 脳神経科医が探る「心」の起源』 書影

サイエンス / 「解説」から読む本

『意識の川をゆく 脳神経科医が探る「心」の起源』

本書は1933年生まれ、2015年に亡くなった、神経内科医オリヴァー・サックスの最後の本 である。サックスはイギリス人であるが、ニューヨークで医師として多くの業績を挙げ、コロンビア 大学の教授も務めた。サックスの愛読者なら、すでに彼の著作をいくつか知っているであろう。その大部分は彼自身が診 み た患者に関するエピソード的な記録である。医学的、科学的であると同

『サルたちの狂宴』 書影

ビジネス / 「解説」から読む本

『サルたちの狂宴』

IT企業やシリコンバレーの世界を描いた本は数多くあります。イノベーションを起こした企業の サクセスストーリーや仕事術について書いた本などが主流ですが、同じシリコンバレーを舞台にしていても本書はかなり異色です。著者のアントニオ・ガルシア・マルティネスは物理学の博士課程を中断し、ウォール街のトレーディングデスクで働いていましたが、2008年の金融危機を目の当たり

『新薬の狩人たち』創薬──人類最難の事業に挑む 書影

サイエンス / 「解説」から読む本

『新薬の狩人たち』創薬──人類最難の事業に挑む

NHKにて、2000年から2005年にかけて放送されたドキュメンタリー番組「プロジェクトX~挑戦者たち~」をご記憶の方は多いだろう。さまざまな困難に立ち向かい、苦闘のうちにそれを克服して、ついに成功を収める「挑戦者たち」の姿を描いた同番組は、共感を呼んで多くの支持を集めた。 中でも人気を集めたのは、新幹線、胃カメラ、液晶ディスプレイといった、新製品開発の物語

『花殺し月の殺人 インディアン連続怪死事件とFBIの誕生』 書影

事件・事故 / 「解説」から読む本

『花殺し月の殺人 インディアン連続怪死事件とFBIの誕生』

本書『花殺し月の殺人──インディアン連続怪死事件とFBIの誕生』は、2017年にダブルデイ社から刊行された、デイヴィッド・グランの最新ノンフィクション、Killers of the Flower Moon: The Osage Murders and the Birth of the FBI の翻訳である。 2017年4月18日の刊行以来、40週連続で《ニュ

『知ってるつもり 無知の科学』 書影

医学・心理学 / 「解説」から読む本

『知ってるつもり 無知の科学』

世界レベルで近年の流行語大賞を選ぶとすれば、「フェイクニュース」が有力候補に入るのはまちがいない。アメリカのドナルド・トランプ大統領は自らに不都合なニュースをことごとくフェイクニュースと称しているが、本来は虚偽の情報に基づいて作られたニュースを意味する。2016年のアメリカ大統領選挙の前には、「ローマ法王がトランプ候補への支持を表明した」「民主党のヒラリー

『誰が音楽をタダにした?』ストリーミング・サービスがもたらした「音楽シーン」の変化と現状 書影

ビジネス / 「解説」から読む本

『誰が音楽をタダにした?』ストリーミング・サービスがもたらした「音楽シーン」の変化と現状

自分も含め、音楽ジャーナリストやライターがよく用いる便利で安易な言葉の一つに「音楽シーン」という言葉がある。同時代のミュージシャンや作品の傾向だったり、音楽業界やマーケットの動向だったりを表す言葉。実際のところ、そのうちのどれを指しているのかが 曖昧な言葉で、そこを曖昧にしたまま論を先に進める際に用いられがちな言葉だ。 スティーヴン・ウィットが本書で明らかに

『津波の霊たち 3・11 死と生の物語』 書影

事件・事故 / 「解説」から読む本

『津波の霊たち 3・11 死と生の物語』

イギリスの《ザ・タイムズ》紙のアジア編集長および東京支局長のリチャード・ロイド・パリーによる最新ノンフィクションをお届けする。 前作の『黒い迷宮──ルーシー・ブラックマン事件の真実』(ハヤカワ・ノンフィクション文庫)が多くのメディアで取り上げられ、読者から高い評価を得たのは、訳者としては望外の喜びだった。この作品のもつ凄まじい"力"については私も編集者も認め

『ドビュッシーはワインを美味にするか? 音楽の心理学』 書影

アート・スポーツ / 「解説」から読む本

『ドビュッシーはワインを美味にするか? 音楽の心理学』

本書を読んで私がまっさきに思い浮かべたのは、某有名CDショップが使う「NO MUSIC, NO LIFE」(音楽なしじゃ生きていけない)というキャッチフレーズだった。調べてみると、この宣伝文句が使われはじめたのは、もう20年も前の話だという。 私は当初、この文言を「音楽大好き!」「音楽最高!」というメッセージを大げさに強調したもの

『日本の15歳はなぜ学力が高いのか?』教育の旅紀行 書影

教養・雑学 / 「解説」から読む本

『日本の15歳はなぜ学力が高いのか?』教育の旅紀行

ロンドンの貧困地区の中等学校で数学を教えていたイギリス人教師が、学校をめぐる旅に出た。OECD(経済協力開発機構)が実施しているPISA(学力到達度調査)で高得点をあげた国々を選び、学校を訪問する。この旅を通じたフィールドワークはユニークなものだ。PISAの成績上位国の学校で働く教師たちのメールアドレスをネットで探し、彼ら・彼女らの学校での手伝いをしながら、

『重力波は歌う』想いを乗せて、重力波は歌い続ける 書影

サイエンス / 「解説」から読む本

『重力波は歌う』想いを乗せて、重力波は歌い続ける

重力波は歌う。アインシュタインがそういう歌が存在することに気づいてからちょうど100年、我々はついにその歌を聞くことができたのである! 重力波の初検出は、物理・天文分野での今世紀最大の発見の一つであることは間違いない。 そして、その大発見が産み出される過程において、かくも複雑な人間模様が繰り広げられてきたことは、読者の方には大いなる驚

『子育ての大誤解 重要なのは親じゃない 』「言ってはいけない」真実が示す、親と子の幸福なあり方 書影

医学・心理学 / 「解説」から読む本

『子育ての大誤解 重要なのは親じゃない 』「言ってはいけない」真実が示す、親と子の幸福なあり方

『子育ての大誤解』は掛け値なしに、これまででわたしがもっとも大きな影響を受けた本のひとつだ。なぜなら長年の疑問を、快刀乱麻を断つように解き明かしてくれたのだから。 いまでいう「デキ婚」で24歳のときに長男が生まれたのだが、その子が中学に入るくらいからずっと不思議に思っていたことがあった。親のいうことをきかないのだ、ぜんぜん

『ホーキング、ブラックホールを語る BBCリース講義』 書影

サイエンス / 「解説」から読む本

『ホーキング、ブラックホールを語る BBCリース講義』

この本は2016年に放送された歴史あるBBCシリーズレクチャーでホーキングが二回にわたって話した講義録である。BBC科学ニュースの編集者であるD・シュックマンが講義の要所、要所に読者の目線での解説を付しており、本来、むつかしい内容を親しみを持って読めるようにしている。 ホーキングは言うまでもなく、車いすに乗った天才として、存命の物理学者としては世界でもっとも

『そろそろ、人工知能の真実を話そう』シンギュラリティ仮説の背後にうごめくもの 書影

サイエンス / 「解説」から読む本

『そろそろ、人工知能の真実を話そう』シンギュラリティ仮説の背後にうごめくもの

2010年代後半に入って、AI(人工知能)ブームの過熱ぶりは凄まじい。とりわけ、 その中核にあるシンギュラリティ(技術的特異点)仮説は、現代のグロテスクな神話と言ってもよいだろう。本書『そろそろ、人工知能の真実を話そう』(原題は Le mythe de la Singularité、 2017)は、シンギュラリティが実際に到来するかどうか

『情報と秩序 原子から経済までを動かす根本原理を求めて』 書影

教養・雑学 / 「解説」から読む本

『情報と秩序 原子から経済までを動かす根本原理を求めて』

世界でもっとも経済が洗練されている国は日本──それが本書Why Information Growsの著者セザー・ヒダルゴらの開発した「経済複雑性」という独自の指標から導き出された結論だ。 日本が経済大国と呼ばれるようになって久しい。近年になって世界第2の経済大国(GDPベース)の地位を中国に明け渡し、ひとりあたりGDPではすでに他の先進国に大きく水を開けられ

『セガ vs. 任天堂 ゲームの未来を変えた覇権戦争』 書影

ビジネス / 「解説」から読む本

『セガ vs. 任天堂 ゲームの未来を変えた覇権戦争』

本書は映画化を視野に入れたストーリー性重視のノンフィクションで、ゲームの内容やテクノロジーよりも、企業の競争戦略や個性的な登場人物たちの葛藤や苦悩、生き様などに焦点を当てた点がユニークな作品となっている。著者はゲーム業界をビジネス的観点から描くことで、マーケティングや営業の現場が創造的プロセスにどんなインパクトを与えたかを、興味深

『地下道の鳩 ジョン・ル・カレ回想録』 書影

人物 / 「解説」から読む本

『地下道の鳩 ジョン・ル・カレ回想録』

ル・カレ作品のブームが続いている。新作が各紙誌の書評欄をにぎわすのはもちろん、映画も2011年から『裏切りのサーカス』(原作は『ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ』)、『誰よりも狙われた男』、『われらが背きし者』と立てつづけに公開され、昨年放送されたドラマ(日本ではアマゾンが配信)『ナイト・マネジャー』も、エミー賞とゴールデングローブ賞ドラマ部門で合計

『ささやかな知のロウソク ドーキンス自伝2 科学に捧げた半生』 書影

サイエンス / 「解説」から読む本

『ささやかな知のロウソク ドーキンス自伝2 科学に捧げた半生』

このドーキンス自伝の第2巻は、精神の形成史を語った第1巻とはちがって、さまざまな活動を通 じて出会った人々との交友録が中心になっている。登場する絢爛豪華な顔ぶれとの交流を読みながら、 同世代の人間として、その住む世界のあまりの違いように圧倒される。 なによりも、英国を中心とした欧米には、現在でも「知的エリート社会」が厳然として存在するという

『クレイジー・ジーニアス 世界を変える天才は君の中にいる』 書影

ビジネス / 「解説」から読む本

『クレイジー・ジーニアス 世界を変える天才は君の中にいる』

ビジネスや起業で大成功をおさめるためには、「クレイジー・ジーニアス(クレイジーな天才)」でなければならない。 本書はそう説く。 起業は芸術であり、起業家は芸術家でなければならない。 本書はそうも説く。 ううむ、天才か。 でも、わたしは天才じゃないし、天才になろうとはしていない。そもそも、天才はなろうとしてなれるものではないのでは。 それにわたしは起業家ではな

『羊飼いの暮らし イギリス湖水地方の四季』 書影

民俗・風俗 / 「解説」から読む本

『羊飼いの暮らし イギリス湖水地方の四季』

本書は、イギリスの湖水地方で農場を営むジェイムズ・リーバンクスの半生と、そこで生きる羊飼いの生き方や働き方をユーモアを交えて描いた手記The Shepherd’s Life: A Tale of the Lake District の全訳です。 2015年にイギリスで発売された本書は、英国内でたちまち話題となり、アマゾンのベストセラー・トップ 10入りを何度

『あなたの人生の意味 先人に学ぶ「惜しまれる生き方」 』 書影

社会 / 「解説」から読む本

『あなたの人生の意味 先人に学ぶ「惜しまれる生き方」 』

夏目漱石に「私の個人主義」という作品がある。これは小説ではなく、大正3年(1914年)11月25日、学習院で行なわれた講演の記録である。代表作というわけでもなく、日頃あまり脚光を浴びることもないが、私は日本人全員が読むべき作品と思っている。少なくとも中学か高校の国語の教科書には載せるべきだ。『こころ』よりは絶対に教科書にふさわしい。個人主義というとすぐ、「自

『いつも時間がないあなたに』我々は欠乏の罠から抜け出せるか 書影

医学・心理学 / 「解説」から読む本

『いつも時間がないあなたに』我々は欠乏の罠から抜け出せるか

本書のタイトルを見て、「これはまさに自分のための本ではないか!」と思い手に取られた読者の方も多いことだろう。なかなか減らない労働時間、息つく暇もない育児や介護、なくならないサービス残業、改善しないワーク・ライフ・バランス……。メディアなどでしばしば取り上げられるこれらの問題が明示しているように、日本ほど「時間がない」と感じる人々がたくさん暮らしている国は、他