ノンフィクションはこれを読め!

栗下 直也

SM編集長

1980年生まれ、東京都出身。大学院修了後、半年間の無職生活を経て、産業専門紙に記者職で拾われる。現在は電機業界を担当。HONZでは新橋ガード下系サラリーマン担当を自認する。紹介する本は社会科学系、人文系、ルポ、お酒の本が中心。

(2024年当時)

栗下 直也の記事

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189記事

『ルポ 中国「潜入バイト」日記』絶望もなければ希望もない 書影

社会 / 民俗・風俗

『ルポ 中国「潜入バイト」日記』絶望もなければ希望もない

我々は中国をどこまで知っているのか。メディアにすり込まれたステレオタイプな中国人像で語ってないだろうか。上海の寿司屋、反日ドラマの日本兵役、山東省の田舎町にあるパクり遊園地の踊り子、上海の高級ホストクラブのホスト、爆買いツアーのガイド、留学生寮の管理人。七カ所の労働現場に入り込み、日本人が知られざる中国人の実像を描き出したのが本書だ。 「実像を描き出した」と

『ラーメンを科学する』つけ麺はなぜ「ぬるい」のか 書影

教養・雑学 / 新刊超速レビュー

『ラーメンを科学する』つけ麺はなぜ「ぬるい」のか

いまや国民食となったラーメン。多くの人が、一度は病みつきになったラーメンがあるだろう。なぜ我々はそのラーメにはまったのか。麺の食感か、スープのうま味か、匂いか。なんとなく好きなのかもしれないが、そこにはおそらく本人も自覚していない理由があるだろう そうなのだ。あのラーメン店に行列ができるのも、飲み会の帰りにラーメンを食べたくなるのも理由があるのだ。本書はその

月1億8000万円稼いだ『ストリップの帝王』の栄枯盛衰 書影

人物 / 社会

月1億8000万円稼いだ『ストリップの帝王』の栄枯盛衰

文字通り「ストリップ産業の帝王」となった男の評伝だが、タイトルだけで敬遠すると損をする一冊かもしれない。 冒頭から過激だ。ストリップ劇場に刃物を持って押しかけてきたヤクザを、病院送りにするところから物語は始まる。殺人2件、殺人未遂7件のヤクザを失神させる男とはどんな男かと想像は膨らむ。ストリップという産業からしても主人公はチンピラ崩れかと思われるかもしれない

大きいことはいいことか?『巨乳の誕生』 書影

教養・雑学 / おすすめ本レビュー

大きいことはいいことか?『巨乳の誕生』

大きいことは、いいことだ。 高度経済成長期、チョコレートのCMでこのフレーズが流行ったの を年配の人は覚えているかもしれない。20世紀は大きいものが正 義の時代だったのだ。なんせ、野球は巨人、 プロレスはジャイアント馬場である。名前からして、デカい。 ビジネスの世界を見渡しても、米ゼネラルエレクトリ ックのようなコングロマリット(複合的多角化企業) が成功事

『どん底名人』最後の無頼派棋士の栄光と転落 書影

人物 / おすすめ本レビュー

『どん底名人』最後の無頼派棋士の栄光と転落

名人4期、碁聖6期、タイトル獲得数35。「最後の無頼派」と呼ばれた囲碁棋士である依田紀基氏の自伝だ。ギャンブルで借金を背負い、家族が離散した「どん底」時代のエピソードまで赤裸々に明かしながら、プロとして勝ち続けるために必要な考え方について語る。勝負師の言葉は全ての職業人に通じる普遍性と重みがあるだろう。 学生時代の著者は絵に描いたような劣等生だった。通知表は

『全員死刑』父も母も兄も弟も死刑確定 書影

事件・事故 / おすすめ本レビュー

『全員死刑』父も母も兄も弟も死刑確定

2010年11月に刊行された『我が一家全員死刑』(コアマガジン、後にコア新書で再刊)は衝撃的な一冊であった。「人は見た目が9割」ならば確実にお近づきになったらヤバそうな4人の家族の顔写真が表紙にならんでおり、実際、見た目通りヤバかった北村実雄、真美、孝、孝紘の4人は強盗殺人の罪などに問われ、全員死刑が確定している。 本書は、次男の孝紘の獄中手記を中心に構成さ

『〆切本2』言い訳する二葉亭四迷、逆ギレするドストエフスキー 書影

教養・雑学 / おすすめ本レビュー

『〆切本2』言い訳する二葉亭四迷、逆ギレするドストエフスキー

表紙の切迫感が凄い。赤色には気分を高揚させるだけでなく、時間を早く感じさせる心理効果があるらしいが。それを後押しするように文字が並ぶ。「猿に邪魔されても〆切はやってくる」、「とうとう新潮社社長の私邸に監禁」。意味がわからない。普通、日常生活を営んでいて、猿に邪魔されないし、監禁されない。せめて軟禁である。そういう問題ではないのか。いずれにしろ、相当にヤバい状

性欲は関係ない?『男が痴漢になる理由』 書影

社会 / おすすめ本レビュー

性欲は関係ない?『男が痴漢になる理由』

都市部で電車を使って通勤している男性ならば誰もが思ったことがあるはずだろう。いつか、痴漢に間違われるんじゃないか。両手はつり革が基本ポジションで、なるべく、手を上げた状態を保っていても、一時たりとも安心できない。思わぬ揺れでその手が人混みの中に潜り込んでしまったときに、「キャー」とか言われたらどうしようなどと妄想は絶えない。頼むよ、さっさと車内に監視カメラで

『無冠、されど至強』影のナンバーワンと呼ばれたサッカー集団 書影

アート・スポーツ / おすすめ本レビュー

『無冠、されど至強』影のナンバーワンと呼ばれたサッカー集団

著者は『オシムの言葉』をはじめとしてサッカーを題材にしたノンフィクションを手がけてきた。サッカーを描きながらも大半の作品に通底するのは、政治や組織に翻弄された個人がその矛盾に対峙する側面を切り取る姿勢だ。 大文字の歴史で語られることは少ないが、戦後サッカー史で在日朝鮮人のチームは「影の最強チーム」と称された。 例えば社会人などで結成された「在日朝鮮蹴球団」は

『文春にバレない密会の方法』サラリーマンの護身術 書影

教養・雑学 / 新刊超速レビュー

『文春にバレない密会の方法』サラリーマンの護身術

大型書店のレジ前に本書が置かれており、不覚にも手に取ってしまった。児童書を買うのに並んでいたはずなのだが。 「文春にバレない」。政治家も芸能人もアスリートも、ことごとくバレてしまっている今、「文春にバレない」は「誰にも知られない」と同義だろう。知りたいではないか、そんな術。 「いや、あんた、一般人だから別に文春に狙われないだろ」と多くの人は突っ込むだろうが、

『会社苦いかしょっぱいか 社長と社員の日本文化史』通勤電車は今も昔も地獄 書影

教養・雑学 / おすすめ本レビュー

『会社苦いかしょっぱいか 社長と社員の日本文化史』通勤電車は今も昔も地獄

父は国際スパイ、母はナポリの花売り娘。自称イタリア生まれの謎の論客「パオロ・マッツァリーノ」という設定で著者がデビューしたのは2004年の『反社会学講座』。以降、統計や過去の新聞記事から人びとが「常識」と信じ込んでいる慣習や振る舞いを徹底的に嗤ってきた。食傷気味の読者もいるかもしれないが、多くの人が無縁ではない「企業社会」が本書の題材とと知れば、読まずにはい

『全国版 あの日のエロ本自販機探訪記』失われる光景を求めて 書影

教養・雑学 / おすすめ本レビュー

『全国版 あの日のエロ本自販機探訪記』失われる光景を求めて

ガソリン携行缶10リットルを2缶、救急セット(傷薬、消毒薬、包帯、ガーゼ、絆創膏など)、非常用食料(カロリーメイト、乾パン、栄養ゼリー、アルファ米など)、非常用飲料水(2リットルを4本)、結束バンド、ダクトテープなど車両トラブルの際の応急修理用品。 まるで被災地に救援に向かうような持参品だ。その他にも簡易トイレやトイレットペーパーや乾電池などなど。実際、著者

『豪腕 使い捨てされる15億ドルの商品』 書影

アート・スポーツ / おすすめ本レビュー

『豪腕 使い捨てされる15億ドルの商品』

肘の靱帯再建であるトミー・ジョン手術。野球好き以外には聞き慣れない言葉かも知れないが、ダルビッシュ有や松坂大輔、古くは村田兆治などが受けている。かつては成功率1%とも言われたが、現在は8割近くが復帰に成功している。 本書はトミー・ジョン手術を中心に米国や日本の野球投手の「腕」の故障に関する問題を検証しているが、その背景にあるのは、野球界に限らず抱える古くて新

『無冠の男』マグロを釣らない松方弘樹 書影

人物 / 新刊超速レビュー

『無冠の男』マグロを釣らない松方弘樹

3月14日に多臓器不全で亡くなった俳優の渡瀬恒彦は最近では『おみやさん』や『タクシードライバーの推理日誌』などで柔らかい印象を視聴者に与えていたが、「芸能界喧嘩最強」とも噂された。実際、かつて『仁義なき戦い』シリーズで見せたギラつきぶりには思わず震えてしまう怖さがあった。その『仁義』には名優が多く出ているが、中でも怪演が光ったのが、1月に死去した松方弘樹だろ

『紀州のドン・ファン』美女4000人に30億円を貢いだ男 書影

人物 / 事件・事故

『紀州のドン・ファン』美女4000人に30億円を貢いだ男

どんな目標でもいい、目標を持って本気でやれば年齢なんて関係ありませんし、いつかその目標は適うはずです 本書の結語である。ビジネス書では見慣れた台詞だ。夢を持て、できない理由を探すな、きっと適うのだから。その通りかも知れないが、本書の著者が十代から現代まで変わらず抱き続ける「目標」はシンプルだ。成功して、多くの女性と性交したい。 記憶に残っている方も多いかもし

『仁義の報復』腹心を惨殺された元ヤクザの親分が語る、埼玉愛犬家殺人事件の真実 書影

事件・事故 / おすすめ本レビュー

『仁義の報復』腹心を惨殺された元ヤクザの親分が語る、埼玉愛犬家殺人事件の真実

1993年、埼玉県大里郡で起きた「埼玉県愛犬家殺人事件」。若い人は記憶がないかも知れないが、ペットショップを営む関根元と風間博子の夫妻(姓が異なるのは偽装離婚済み)が判明しているだけで客など4人を殺した事件は当時、世間を震撼させた。この事件を下敷きに、鬼才・園子温が映画『冷たい熱帯魚』を制作しているが実際の事件の残忍さはかなり抑えられている。 80年代後半の

『全裸監督 村西とおる伝』真珠湾でAVを撮ったビジネスマン 書影

ビジネス / おすすめ本レビュー

『全裸監督 村西とおる伝』真珠湾でAVを撮ったビジネスマン

安倍晋三首相が28日に米・ハワイの真珠湾を訪問した。当初は、今回が現職首相として初の真珠湾訪問とされていたが、吉田茂、鳩山一郎、岸信介も首相在職時に訪れていたとの報道も出てきた。突如、過去に3首相の訪問が浮上してきたわけだが、真珠湾上空で男女の情事を撮った男は日本どころか世界でも一人であろう。 村西とおる。もはや過去の人かもしれない。十数年前に息子が超有名難

『みうらじゅんと宮藤官九郎の世界全体会議』オマンが欲しければロマンをちょうだい 書影

教養・雑学 / おすすめ本レビュー

『みうらじゅんと宮藤官九郎の世界全体会議』オマンが欲しければロマンをちょうだい

世界全体会議とのタイトルだが、本書には新興国の経済減速もトランプ現象も日銀の金融政策の枠組み変更も出てこない。 三部構成で第一部が「男と女について」、第二部「日本人について」、第三部「人生について」。計30のテーマについて、奥が深そうな議論が展開されていそうな見出しが並ぶが、話すのが脚本家の宮藤官九郎とみうらじゅんの二人。期待を裏切らない。 例えば、「男と女

『スクープ! 週刊文春エース記者の取材メモ』特ダネを連発できるワケ 書影

社会 / おすすめ本レビュー

『スクープ! 週刊文春エース記者の取材メモ』特ダネを連発できるワケ

週刊文春が年明け以降、特ダネを連発している。芸能人や政治家の不倫、現役大臣の金銭授受問題、イケメンハーフ顔のニュースコメンテーターの経歴詐称まで。文春の報道を新聞やテレビが後追いするのはもはや見慣れた光景だ。 なぜ文春がスクープで快走できるのか。週刊文春の元記者による20年の取材生活をまとめた本書を読むと、鮮やかなスクープは地べたを這いずり回る地道な努力の積

『〆切本』あの大作家は書かないのか、書けないのか 書影

人物 / おすすめ本レビュー

『〆切本』あの大作家は書かないのか、書けないのか

この原稿は本来は2016年8月30日の午前7時までに公開しなければならなかったのだが、現在、9月1日の午前9時をまわろうとしている。このまま沈黙を守るわけにもいかず、無理矢理書き出したのだが、原稿用紙5枚程度の分量に過ぎなくても、すんなり書き終える自信がない。いや、延べ90人の作家の〆切に関する文章を集めた本書を読むと、そんなにすらすらと書いたらいけない気す

『上野アンダーグラウンド』昭和の怪しさを訪ね歩く 書影

社会 / おすすめ本レビュー

『上野アンダーグラウンド』昭和の怪しさを訪ね歩く

戦後、上野に葵部落と呼ばれる最貧スラム街があった。世帯数は143。住民数は750人。住民の4割が路上やゴミ箱に捨てられている廃棄物を集める「バタヤ」と呼ばれる職業に従事していた。現在、その地は我々にとって非常に身近な存在だ。7月に世界文化遺産登録が決まった国立西洋美術館本館が建っている。 タイトルから想起されるように歴史を辿りながら、上野の表と裏を描いた一冊

『一投に賭ける 溝口和洋、最後の無頼派アスリート』常識を嗤い続けた男 書影

人物 / おすすめ本レビュー

『一投に賭ける 溝口和洋、最後の無頼派アスリート』常識を嗤い続けた男

1989年、日本人がやり投げで「幻の世界記録」である87メートル68センチを投げたことを覚えている人はいるだろうか。「疑惑の再計測」の結果、87メートル60センチに記録は改められたが、当時の世界記録に6センチ差にせまる大記録であった。その後はWGP(ワールドグランプリ)シリーズを日本人で初めて転戦し、総合2位の成績を収めた。 男の名は溝口和洋。世界記録更新も

『不自由な男たち』サラリーマンにならなきゃだめですか? 書影

社会 / おすすめ本レビュー

『不自由な男たち』サラリーマンにならなきゃだめですか?

主夫になりたいと思ったことがある。2日ほどひとりで育児を朝から晩までして、断念した。育児の不条理さの前に呆然と立ちすくし、思いつきで指示されたり、理不尽に切れたりする職場の上司の方が子どもよりもよほど御しやすいと逃げ出したわけだ。 そうした過去もあり、主夫には敬意を払うが、世間の主夫への視線は厳しい。本書でも女子学生の主夫に対する「向上心がなさそう」という感

『昭和芸人 七人の最期』舞台が終わっても、人生は続く 書影

人物 / 新刊超速レビュー

『昭和芸人 七人の最期』舞台が終わっても、人生は続く

登った山が高ければ高いほど、下るのは大変だ。一世を風靡した芸人たちにとっても、栄光が去った後の人生は長い。 喜劇王として歴史に名を残したエノケンこと榎本健一。人気に陰りが出た頃、病気で片足を失い、芸風であった軽やかな動きが舞台では見られなくなる。「同情されたらおしまい」とぼやき続けた彼だが、晩年のエノケンに向けられたのは笑いでなく憐憫だった。 エノケンをライ

『されど人生エロエロ』人生の3分の2はいやらしいことを考えてきた 書影

民俗・風俗 / おすすめ本レビュー

『されど人生エロエロ』人生の3分の2はいやらしいことを考えてきた

タイトルの「されど」が良い。人には仕事や趣味、家庭、習い事などいろいろあり、エロは「しょせんエロ」とされがちだ。だが、結局、人生はエロに行き着く。エロは人生の主食にはならなくても、副菜ではないのだ。 週刊文春の人気連載コーナーの書籍化第二弾。大概、シリーズものの第二作は映画にせよドラマにせよ小説にせよコケる。連載物の書籍化も勢いが落ちるのが定番だが本書はそう

『村に火をつけ、白痴になれ 伊藤野枝伝』恋も仕事も、わがまま上等 書影

人物 / おすすめ本レビュー

『村に火をつけ、白痴になれ 伊藤野枝伝』恋も仕事も、わがまま上等

アナキスト大杉栄のパートナーで、関東大震災後に大杉とともに虐殺された伊藤野枝の評伝だ。 過激なタイトルだが、ページをめくって腰を抜かす。いきなり「あの淫乱女!淫乱女!」と太字で書いてある。岩波書店が心配になるほど、冒頭から衝撃的だ。 野枝は福岡県の地元ではいまだに逆賊扱いで、十数年前にテレビ局の取材を案内した人によると、同年代の存命のおばあさんが「地元の恥を

『犯罪の世間学』なぜ日本では略奪も暴動もおきないのか 書影

社会 / おすすめ本レビュー

『犯罪の世間学』なぜ日本では略奪も暴動もおきないのか

90年代末以降、刑事司法の厳罰化が進んでいる。80年代からは量刑はざっと見て倍になり、00年の少年法改正を皮切りに法律改正のラッシュが続いた。10年には時効も廃止された。 犯罪が増加したわけでも、凶悪化したわけでもない。むしろ諸外国と比べても日本の犯罪率は低い。東日本大震災時に被災者が避難所で整然と行動していたことは海外メディアにも絶賛された。 治安の良さと

『性風俗のいびつな現場』支援か搾取か 書影

社会 / おすすめ本レビュー

『性風俗のいびつな現場』支援か搾取か

女性の貧困がメディアを賑わして久しい。働く単身女性の3人にひとりが年収112万円以下との統計もある。こうした貧困女性の中でも福祉の網から漏れ落ちた人々のセーフティーネットとして機能してきたのが性産業だ。 性産業の現場で何が起きているのかに迫ったルポは少なくない。本書でも母乳を欲しがる男性向けの風俗店や30分3900円で違法行為ありの激安風俗店、熟女専門店、他

『エロ本黄金時代』Wikipediaではわからない歴史がある 書影

社会 / おすすめ本レビュー

『エロ本黄金時代』Wikipediaではわからない歴史がある

表紙とタイトルから想像できないが、 文体も内容も驚くほど硬派だ。 エロ本を論じているのに全くエロくない。 確かに小中学校のPTA会長のお母様が白目をむくような内容も含 まれるが、 XVIDEOSで毎日が絢爛豪華のエロのフルコース状態の21世紀 の男女には時代を切り取った、 ひとつの産業ノンフィクションとして楽しめるはずだ。 エロ本が存亡の危機に立たされて久し

『巨人軍の巨人 馬場正平』ジャイアント馬場への助走 書影

アート・スポーツ / おすすめ本レビュー

『巨人軍の巨人 馬場正平』ジャイアント馬場への助走

プロレスに興味が無い、若い世代にとってジャイアント馬場の印象とは「動きが緩慢な巨人レスラー」程度かもしれない。だが、1960年代、馬場は日本人離れした209センチの長身を武器に「東洋の悪魔」として恐れられ、全米のマットを席巻した。ニューヨークの「マジソン・スクエア・ガーデン」でメーンを張り、目の肥えた米国のプロレスファンを熱狂させた。 帰国するまでに、稼ぎ出

『殺人犯との対話』人は人をなぜ殺すのか 書影

社会 / おすすめ本レビュー

『殺人犯との対話』人は人をなぜ殺すのか

本書では北村孝紘、松永太、角田美代子など平成の凶悪殺人事件の主犯10人に迫っている。凶悪という言葉がかすむほど、彼らの犯行は理不尽で壮絶だ。 被告である家族4人全員に死刑判決が下った「大牟田4人殺害事件」。残虐性からマスコミが報道を自主規制した「北九州監禁殺人事件」。「大阪養子縁組連続殺人事件」は養子縁組や結婚、離婚を繰り返した保険詐欺グループの周りで交通事

『エラい人にはウソがある』 中国の出川哲朗?ダメっぷりこそ孔子の魅力 書影

教養・雑学 / 世界史

『エラい人にはウソがある』 中国の出川哲朗?ダメっぷりこそ孔子の魅力

「昔は良かったよねー」とぼやき、ノスタルジーという名のお花畑に住む老人や、世にはびこる非科学な通説を統計を使って切り捨ててきた謎のイタリア人、パオロ・マッツァリーノ先生。今回ぶった切る対象が生きた時代は「昔は良かった」と懐かしむこともできない2500年前の中国。「昔は良かった頃の偉大な人」で、もはや誰も突っ込むことができない「孔子」と彼の言動をまとめた『論語

『たのしいプロパガンダ』 大衆煽動は娯楽の顔をしてやってくる 書影

社会 / おすすめ本レビュー

『たのしいプロパガンダ』 大衆煽動は娯楽の顔をしてやってくる

タイトルに違和感を持つ人は多いかもしれない。政治宣伝を意味する「プロパガンダ」と聞けば、権力者を讃える映像や音楽を嫌々に観たり聞いたりする印象が強い。そして、その映像は退屈きわまりなく、楽しいわけがないからだ。 本書を読めばその考えは一変する。ナチスはもちろん、欧米や東アジア、そして日本でかつて展開されたプロパガンダの実例が豊富に並ぶが、「プロパガンダの多く

『世界のしゃがみ方』-便所ナショナリズムをこえて 書影

民俗・風俗 / おすすめ本レビュー

『世界のしゃがみ方』-便所ナショナリズムをこえて

「小用も座ってしてください」。先日、親族宅でこのような張り紙を見て、怒りを爆発させた。なんで一般家庭にこんな張り紙があるんだ!馬鹿野郎、日本男児は立ってするんだよ!女性や外国人が座ってしても、俺は立つぞ、立つんだ。 本書を読むと、自分の認識が浅はかであったことを思い知る。立ってすることにこだわったことに対してではない。日本男児でなくても、ついこの間まで、女性

草食系インドア派でも楽しめる『秘島図鑑』 書影

民俗・風俗 / 日本史

草食系インドア派でも楽しめる『秘島図鑑』

「どこか遠くの島にでも行きたい」。そんなことを今夏も考えていたが、行けぬままにすでに9月も半ば。そんな悶々とした気分をさらに悶々とさせてくれるのが本書だ。離島にまつわるエピソードを交えながら、写真が並ぶガイドブックなのだが、紹介する33の島々は実は行きたくても、行けない島々。定住者もいないし、定期船など交通機関も存在しない。近づくことすら難しい島もある。 「

『はたらかないで、たらふく食べたい』年収80万円で生きていく 書影

教養・雑学 / おすすめ本レビュー

『はたらかないで、たらふく食べたい』年収80万円で生きていく

著者は35歳、独身。職業は大学の非常勤講師。借金は635万円。日本学生支援機構から借りた奨学金だ。年収は80万円だが、これでも収入は上がってきた。大学院を出た09年から13年までは10万円だった。もちろん、現在も自力では暮らせない。埼玉県の実家で、親の年金に寄生して生きている。 「ろくでなし」、「ひとでなし」、「いいかげん働け」 と批判が飛んできそうだが、著

『「昔はよかった」病』日本人はなぜ過去を美化するのか? 書影

社会 / おすすめ本レビュー

『「昔はよかった」病』日本人はなぜ過去を美化するのか?

あつい、あつい。あつい。暑すぎる。総務省消防庁によると7月20ー26日の1週間で熱中症で搬送された人は全国で7392人。これは前週の約1.2倍。8月に入ったらどうなるのか。「近頃の若い者は軟弱だ!」とご老人たちに説教を喰らいそうだが、暑さで若者が搬送されるのは今に始まった話ではない。 昔の新聞記事を読むと当時の人びとが、実にバッタバッタと暑さで倒れていること

『ひとり飲み飯 肴かな』 酒と食の最強のコンビネーションを探る 書影

教養・雑学 / おすすめ本レビュー

『ひとり飲み飯 肴かな』 酒と食の最強のコンビネーションを探る

誰の目も気にせず、飲みたい酒と食べたいものの組み合わせを心ゆくまで味わいたい。至福の時を過ごしたい。それが「外飲み」では得られない、「ひとり家飲み」の醍醐味だ。本書は「ひとり家飲み」の素晴らしさに触れながら、著者が多様な酒と飯の組みあわせを楽しむ。酒飲みをうらなせる。

『女装して、一年間暮らしてみました。』マッチョな俺に、さようなら 書影

社会 / おすすめ本レビュー

『女装して、一年間暮らしてみました。』マッチョな俺に、さようなら

「変態!」 「目立ちたがり屋!」 突然のカミングアウトに、著者の妻は罵る。罵りまくる。驚きは隠せないだろう。楽しい外食中に夫から「ガーターフリーのストッキングを履いている」と告げられたら。若くしてテレビ業界で成功して名声と富を得た夫がいきなりストッキングを履いて興奮している姿は、地獄絵図である。 だが、ストッキングを履くことは著者の壮大な実験の序章に過ぎない

『ルポ 居所不明児童』 消えた2万4000人の子どもたち 書影

社会 / おすすめ本レビュー

『ルポ 居所不明児童』 消えた2万4000人の子どもたち

383人。 2014年の所在が分からない小学生と中学生の数だ。文部科学省では「居所不明児童」と呼び、居場所もわからず、就学の確認もできない子どもを指す。 昨年厚木市で男児の白骨化遺体が発見された事件で「居所不明児童」が突如、メディアをにぎわすようになったが、文部科学省が「居所不明児童」の調査を始めたのは1961年。50年以上たつのだ。 著者が文部科学省の学校