ノンフィクションはこれを読め!

成毛 眞

HONZ代表

元マイクロソフト社長。インスパイア取締役ファウンダー。元早稲田大学ビジネススクール客員教授。産経新聞、週刊新潮、日経ビジネスなどに書評寄稿多数。代表的著書に『面白い本』『大人げない大人になれ』。雅号は「半覚斎」

(2024年当時)

成毛 眞の記事

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583記事

『雪男は向こうからやって来た』 共同通信10月配信書評+早稲田大学探検部出身作家レビュー 書影

おすすめ本レビュー

『雪男は向こうからやって来た』 共同通信10月配信書評+早稲田大学探検部出身作家レビュー

著者は探検家である。ご自身のブログでそう宣言しているのだから疑う余地はない。じっさい、第8回開高健ノンフィクション賞を受賞した著者の前作『空白の五マイル』では、チベットの奥地にあるツアンポー峡谷を命からがら探検している。峡谷とはいえ全長5百キロメートル、最大深度が6千メートルもある巨大峡谷だ。 今回の探検はそのような人類未踏の地ではなくヒマラヤに雪男を探しに

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NEWS

HONZ 「第1期学生メンバー」 募集!

2011年1月に「本のキュレーター勉強会」としてスタートしたHONZが、2012年学生メンバーを募集します。 【学生メンバーとは】 毎月1本の書評(対象はノンフィクションのみ)を書いていただきます。 書いた書評のHONZへの掲載可否については正規メンバーが協議して決定します。 原則として1年間に5回以上掲載された場合は、正規メンバーに推挙されます。 毎月第1

『大停滞』 書影

ビジネス / おすすめ本レビュー

『大停滞』

この夏から「日本化」という言葉が世界の経済ジャーナリズムやマーケットなどで飛び交うようになってきた。7月には英国『エコノミスト』誌が、和服姿のオバマ大統領とメルケル首相のイラストを表紙に登場させ、先進国の「日本化」を懸念する特集を組んだほどだ。 「日本化」とはデフレによる経済停滞だけでなく、政治のねじれ現象による混迷や、返済不能とも思われる国債発行残高を抱え

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医学・心理学 / おすすめ本レビュー

『こころの免疫学』 週刊朝日9月30日号 「ビジネス成毛塾」掲載

うつ病と双極性障害(躁うつ病)を含む、気分障害患者数がとめどもなく増加しつつある。厚労省の調べでは1996年の患者数は43万人あまりだったが、2008年には100万人を突破した。とりわけ30代のうつ病が増えてきているというのだ。団塊の世代と役割を交代するべき世代がダメージを受けている。会社組織だけでなく国家をも危うくする事態だといってもよいかもしれない。 そ

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アート・スポーツ / おすすめ本レビュー

『フェルメール 光の王国』 産経新聞9月10日号 書評欄掲載

著者の本職は分子生物学者だが、昨今最高の美文家の一人でもある。本書でもその才能はいかんなく発揮され、「ニューヨークの振動」という文章の冒頭などは、一篇の詩として自立して余りあるほどである。本書は絵を見る目においても才能をもつ著者が、フェルメールの絵を鑑賞するためにオランダ、米国、フランス、英国、ドイツ、オーストリアを4年間かけて巡った美術紀行だ。 それぞれの

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サイエンス / おすすめ本レビュー

『南極海ダイナミクスをめぐる地球の不思議』

非常に完成度の高い「地球気候システムにおける南極海の役割」について書かれた本だ。50の読み切りのサブセクションで6つの章を構成している。それぞれの章は「南極海のダイナミクス」「極域で起きている異変」「海洋循環のメカニズム」「極域の氷かわかること」「気候システムのダイナミクス」「南極海を調査する技術」だ。 全ページ2色刷りの図版が豊富に使われていて、太陽、海、

『イスラム飲酒紀行』 プレジデント9月12日号掲載 書影

民俗・風俗 / おすすめ本レビュー

『イスラム飲酒紀行』 プレジデント9月12日号掲載

イスラム圏ではエジプト、モロッコ、新疆ウイグル自治区などに行ったことがある。それぞれヨーロッパ人の避暑地であったり、シルクロード観光の拠点であったりと、じつは家族旅行向きなのだ。これらの国ではホテルの中は欧米だから、酒は飲み放題である。日没時に町中のスピーカーから聞こえる、礼拝を促す詠唱「アザーン」を聞きながらビールを飲むことほど気持ちの良いものはない。 乾

成毛流 「トイレにおいておく本」 書影

マニアックな3冊

成毛流 「トイレにおいておく本」

『本は10冊同時に読め』という本を上梓していらい、断続的に「トイレで本など読めるわけないじゃん」というお小言を頂戴する。たしかにトルストイだの源氏物語だのはトイレでの読書に不向きである。ビジネス書でも『もしドラ』あたりが限界であり、『失敗の本質』となると力みすぎるかもしれない。 じつはボクがトイレにおいてある本はトリビア系や辞典系の本なのである。見開き1ペー

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サイエンス / おすすめ本レビュー

『これからどうなる海と大地』 週刊朝日9月2日号「ビジネス成毛塾」掲載

著者は40年以上にわたり、原子力発電所による放射能汚染と漁業への影響について警告を発しつづけてきた。東京海洋大学の名誉教授である。大震災直後から無数にあらわれたニワカ原発問題専門家ではない。今回の原発事故では多くの原子力関連の学者たちが馬脚をあらわしただけでなく、門外漢の経済学者や経営者までもが専門家を気取っていて気味が悪い。 本書『これからどうなる海と大地

『毛沢東の大飢饉』 書影

世界史 / おすすめ本レビュー

『毛沢東の大飢饉』

本書は2011年のBBCサミュエル・ジョンソン賞を受賞した。同賞は英国でもっとも権威のあるといわれるノンフィクション賞だ。過去の授賞作には、2010年は6人の北朝鮮脱北者に7年間も向き合って紡ぎだした『密封国家に生きる』(邦訳2011年6月)。2008年の『最初の刑事』(邦訳2011年5月)はミステリーファンでも楽しめる壮大なヴィクトリア朝時代のノンフィクシ

新刊ノンフィクションを選ぶ方法 「8月2日に買った本」 書影

おすすめ本レビュー

新刊ノンフィクションを選ぶ方法 「8月2日に買った本」

東えりかさんが、HONZメンバーによる「8月のこれから読む本」をまとめてくれている。 今回も面白そうな本だらけで悔しかったので、これとは別にあらたな本を仕入れたのである。予想してない反撃をされたHONZメンバーの悔しがる姿が目に浮かぶというものだ。愉快である。今回はなぜその本を選んだのかについて少し紹介してみよう。 『リーマン侍 江戸語の世渡り』はタイトルで

『国債クラッシュ』 週刊朝日8月5日号 「ビジネス成毛塾」掲載 書影

ビジネス / おすすめ本レビュー

『国債クラッシュ』 週刊朝日8月5日号 「ビジネス成毛塾」掲載

石原都知事は東北大震災について「日本に対する天罰だ」と言い放って顰蹙を買った。あまり知られていないことだが、都知事は名古屋の減税党を引き合いにだしながら、財政破綻しつつある国であるにも関わらず、国民はまったく理解していない、それゆえに天罰が下ってもしかたがないと言っていたのだ。 『国債クラッシュ』は日本にその本物の天罰が下るプロセスを解説した本だ。すなわち国

『友達の数は何人?』 書影

おすすめ本レビュー

『友達の数は何人?』

今年これまでで、もっとも面白かった本である。書評を書くと決めた本を読むときには、引用したいページに付箋を張りつけるのだが、あまりに数が増えたため、さらに厳選して別の付箋を張りつけたほどだ。おそらくボクにとって今年の科学読み物ナンバーワンだろう。 著者はオックスフォード大学の認知・進化人類学研究所所長だ。「気のおけないつながりは150人まで」という「ダンバー数

成毛眞(今のところ)オールタイムベスト10 書影

成毛眞 オールタイムベスト10

成毛眞(今のところ)オールタイムベスト10

あくまでも「今のところ」ベスト10です。この並びは面白い順ではありません。たまに入れ替わります。絶版本はリストから落ちて行きます。 成毛眞レビュー 『眠れない一族』 成毛眞レビュー 『チェンジング・ブルー』 成毛眞レビュー 『コンテナ物語』 成毛眞レビュー 『馬車が買いたい』 成毛眞レビュー 『ノアの洪水』 成毛眞レビュー 『毛沢東の大飢饉』 成毛眞レビュー

『すばらしい人間部品産業』 週刊朝日7月8日号 「ビジネス成毛塾」掲載 書影

医学・心理学 / おすすめ本レビュー

『すばらしい人間部品産業』 週刊朝日7月8日号 「ビジネス成毛塾」掲載

著者のアンドリュー・キンブレルはアメリカの市民運動家にして弁護士である。どこかの国の総理大臣と官房長官のイメージが重なり、胡散臭さを感じてしまう。企業や官僚は悪ときめつけ、大衆の漠とした不安を煽り、ことが成就すると権力の亡者となる、という印象が強い。 実際、本書『すばらしい人間部品産業』では最先端科学であるバイオテクノロジーなどに対し、無責任な科学界や強欲な

『幻のドイツ空軍』 書影

アート・スポーツ / おすすめ本レビュー

『幻のドイツ空軍』

本書の著者リチャード・クー氏は野村証券のチーフエコノミストである。氏の経済分析については賛否両論だ。たとえば2008年、池田信夫氏は「あらゆる経済学者から小便や大便をかけられても、同じようなバラマキ政策を主張するリチャード・クー氏の脳は、両生類以下なのだろうか。」と罵詈雑言だ。 クー氏はバランスシート不況という概念を持ち出した。資産バブルの崩壊を経験した多数

『マッチラベル パラダイム』 書影

おすすめ本レビュー

『マッチラベル パラダイム』

著者の肩書は「燐票家」である。燐票とはマッチラベルのことだ。念のために言っておくが、マッチとは火を付けるためのアレである。19世紀半ばに発明されたマッチの用途は薪やガスコンロ、タバコなどに火を付けるものであったはずだ。もちろん、人々は便利な道具として、雑貨屋などで買い求めたはずだ。 日本では明治8年に生産がはじまり、第一次世界大戦終結のころには、スウェーデン

『江戸のお金の物語』 プレジデント 6月13日号 掲載 書影

おすすめ本レビュー

『江戸のお金の物語』 プレジデント 6月13日号 掲載

本書は東京都水道局の現役課長による、江戸時代をテーマとした経済書である。著者は法学部を卒業後、東京都に就職し、45歳を過ぎてから経営学の分野で博士号を取得した。2007年には「M&Aと提携が財務業績に及ぼす影響」という論文で日本管理会計学会論文賞を受賞している。謹厳実直な御役人の趣味は、奔放な経済学だということなのだろうか。 本書の「あとがき」では「“一物多

『ご先祖さまはどちら様』 産経新聞 6月11号 「書評倶楽部」掲載 書影

おすすめ本レビュー

『ご先祖さまはどちら様』 産経新聞 6月11号 「書評倶楽部」掲載

誰でも両親は2人である。祖父母は4人、曾祖父母は8人と、世代を遡るにつれ、先祖の人数は倍増する。1世代20年とすると、20代前には100万人を超え、30代前には20億人を超えてしまう。それぞれたった4百年前と6百年前のことである。 もちろん、そんな数の日本人が住んでいたわけでない。ぎゃくに一人の祖先から何100万人もの子孫が生まれたと考えるべきである。つまり

『直す現場』 週刊朝日6月10日号 「ビジネス成毛塾」掲載 書影

おすすめ本レビュー

『直す現場』 週刊朝日6月10日号 「ビジネス成毛塾」掲載

不景気も20年続くと、どこか貧乏くさいことが当たり前になってきた。身の回りのものを最小限にして生きるミニマリストや、モノへの執着から離れる「断捨離」が、一過性のものではなく、日本人の特性になる日も遠くないかもしれない。 その結果、少ない持ちものを大事に長く使うという、昔ながらの生き方こそが、未来に繋がるという風潮になりそうだ。『直す現場』百木一朗著はその昔な

『稀で特異な精神症候群ないし状態像』 書影

おすすめ本レビュー

『稀で特異な精神症候群ないし状態像』

6月のHONZ定例会で濱崎さんから紹介された本である。版元の星和出版はおもに精神医学の専門書を取り扱う出版社だ。本書の医学書であり、けっして娯楽のために書かれた本ではない。それゆえに興味本位で読むべき本ではない。患者と医療従事者にたいするリスペクトを持って読むべき本である。 本書はタイトルどおり「稀で特異な精神症候群ないし状態像」を取り扱った33人の医師によ

『指輪 88』 書影

おすすめ本レビュー

『指輪 88』

一昨日まで銀座ミキモト本店で「指輪-その饒舌なる小宇宙の物語」展が開かれていた。世界有数の指輪の収集家で知られる橋本貫志が所蔵する約850点の指輪の中から約60点を選び、それらを紀元前1900年から1400年代まで、1500年から1600年代、1700年代から1930年代、1945年から現代と大きく4つの時代に分けて展示していた。 本書は展示物を含め88点の

『江戸の卵は1個400円!』 書影

おすすめ本レビュー

『江戸の卵は1個400円!』

江戸時代とは1603年から1868年の265年間を指す。現代を含めた日本の歴史のなかで、もっとも安定していた時代だ。書店にいっても江戸時代コーナーがあり、歌舞伎や浮世絵もいまでも大人気である。両国の江戸東京博物館やお台場の大江戸温泉物語などにも人が集まってくる。いかに現代人が江戸時代を憧れているかがわかる。 医療の未発達などを除くと、日本人はじつに幸せに暮ら

『BRUTUS 6月1日号』 書影

おすすめ本レビュー

『BRUTUS 6月1日号』

本好きにとってこの号は間違いなく買いだ。特集は「本屋好き。」記事の1本目「わざわざ行きたい新しい本屋のカタチ」では品川駅ecuteの「PAPER WALL」、下北沢の「DARWIN ROOM」などの本屋を紹介している。 続いての記事は「なぜ、京都の〈恵文社一乗寺店〉は、わざわざ全国から客が訪れる本屋なのか?」。店内の写真に見入ってしまう。もはや本屋そのものが

『闘う日本』 東日本大震災記録 書影

おすすめ本レビュー

『闘う日本』 東日本大震災記録

各新聞社や出版社が大地震発生から1か月の記録を出版しはじめた。いろいろと物色したのだが、本書をおススメとしたい。内容はもちろんだが、マットな紙質と短いキャプションが入った写真、淡々とした記録型レイアウト、網羅的で意図的な強調がない編集など、いつまでも記憶して、長く支援するために手元の置いておくべき、良い本だと思う。柴田トヨさんの書き下ろしの詩も掲載されている

『球体のはなし』 週刊朝日5月6日号 「ビジネス成毛塾」掲載 書影

おすすめ本レビュー

『球体のはなし』 週刊朝日5月6日号 「ビジネス成毛塾」掲載

福島原発事故のニュースが毎日途絶えることがない。科学技術用語が巷でも飛び交い、なんとかそれを理解しようとする人が増えてきた。政府だけでなく専門家も信用できないということが、皮膚感覚で判ってきたからだろう。原子力は人間が作り出した究極の複雑技術のひとつだが、球は人間が作り出すもっとも単純な技術のひとつである。 『球体のはなし』柴田順二著は、球にまつわる技術エッ

『ウォールストリート・ジャーナル式 図解表現のルール』 書影

ビジネス / おすすめ本レビュー

『ウォールストリート・ジャーナル式 図解表現のルール』

戦略コンサルタントにとっては「いまさら」感があるかもしれないが、図解表現の基本をウォールストリートジャーナルのグラフィック部門の責任者が解説した本だ。基本だから、いまウケている、すなわちすぐに古臭く見えてしまうようなテクニックは紹介されていない。WSJだから、USA Today的なフルカラーの図解も扱っていない。 たとえば円グラフの項では、パイの一部分を切り

『日本復興計画』 書影

ビジネス / おすすめ本レビュー

『日本復興計画』

編集部からの緊急献本である。著者とも古くからの知り合いだ。著者が代表をしている株式会社ビジネス・ブレークスルーの設立当初からの株主の1人でもある。ちなみにまだ1株も売却していない。若干の損失が出ていることになる。 本書は著者が「ビジネス・ブレークスルー 大前研一ライブ」で3月13日と3月19日に語った福島原発を中心とした現状分析と予測、および5年から10年先

『TSUNAMI』ほか 書影

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『TSUNAMI』ほか

『TSUNAMI』は2005年に書かれた小説だ。東海・東南海地震が同時に発生し、20メートル以上の津波が沿岸を襲うという物語だ。物語のなかで津波は原発におよび、メルトダウンを引き起こし、ヨウ素131等価で数万テラベクレルの外部放出でレベル7のダメージが予想される。(単行本の374ページに詳述)気味が悪いほど現実は小説の予測を追いかける。小説では原発の当直長が

『京都の流儀』 書影

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『京都の流儀』

あらかじめお断りしておくが、本書の著者はボクのお師匠さんである。祇園町の遊び方は極めて特殊であるから、このお師匠さんなしでは、楽しめなかったに違いない。というよりは、お茶屋さんに上がることすらできなかったはずだ。ボクより若いのだが、もちろん大人だ。けっして「おとな」ではないが、「たいじん」なのである。 帯の賛辞は日本画家の千住博さんが書いている。「私が祇園の

『アフリカ』 資本主義最後のフロンティア 書影

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『アフリカ』 資本主義最後のフロンティア

1994年、アフリカの小国ルワンダで民族対立が発生し、総人口780万人のうち80万人以上が100日間のうちに虐殺され、210万人が国外へ流出した。しかし、2000年に現在のカガメ大統領が就任すると、一転して急速な経済復興を始めたのである。いまやIT立国をめざし、アフリカのシンガポールとも呼ばれるルワンダ復興の秘密はどこにあったのだろう。 『アフリカ』の著者で

『工学部ヒラノ教授』 プレジデント2月28日発売号 書評欄掲載 書影

おすすめ本レビュー

『工学部ヒラノ教授』 プレジデント2月28日発売号 書評欄掲載

自身をビーラカンスと呼ぶベテラン工学部教授の長編エッセイである。20代の学生からみると60歳の教授はシーラカンス。70歳はその上をいくビーラカンスだというのだ。失礼だが、そもそもシーラカンスを持ち出してくるだけでも年代を感じる。 しかし、理工系の大学の内部について、これほど具体的に語りつくした本を読んだことがない。しかも、筆致は軽やかで、ユーモアも上等だ。一

『戯れ歌三昧』 書影

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『戯れ歌三昧』

『くじけないで』の販売数が150万部を突破したという。素晴らしい詩集だ。時代を超越した魅力がある。こんなに新作の詩集が売れる国が他にあるのだろうか。万葉集の太古から、日本は詩歌の国なのである。 しかし、生まれつきの天邪鬼なので、別の歌集を紹介しよう。著者は京都在住の75歳の女性である。柴田トヨさんから見ると娘のような年回りということになるが、当然お目は老眼で

『潜入ルポ ヤクザの修羅場』 週刊朝日3月11日号 「ビジネス成毛塾」掲載 書影

おすすめ本レビュー

『潜入ルポ ヤクザの修羅場』 週刊朝日3月11日号 「ビジネス成毛塾」掲載

文藝春秋のような出版社からの刊行物でなければ、手を伸ばさなかった本である。『潜入ルポ ヤクザの修羅場』は普通のノンフィクション作家が、暴力団に数か月ほども潜入して書き下ろした、というようなお気軽なものではないからだ。 著者は15年もの間、ヤクザとまさに寝食を共にしてきたヤクザ専門誌の編集者だ。マル暴の刑事がそうであるように、半分ヤクザだろうと疑われても仕方が

『フェイスブック』 5億人をつなぐソーシャルネットワークはこう生まれた 書影

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『フェイスブック』 5億人をつなぐソーシャルネットワークはこう生まれた

トルストイは『アンナ・カレーニナ』の冒頭で「幸福な家庭は皆同じように似ているが、不幸な家庭はそれぞれにその不幸のさまを異にしているものだ。」だといった。 ザッカーバーグとフェイスブックは、古(いにしえ)の覇者、ビル・ゲイツとマイクロソフト、スティーブ・ジョブスとアップルの相似形である。中流以上の家庭に育ち、見てくれをまったく構わないプログラミングの天才。不遜

『キュレーションの時代』 産経新聞 2月19日号 書評欄掲載 書影

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『キュレーションの時代』 産経新聞 2月19日号 書評欄掲載

著者は冒頭で、本書のタイトルにもなっている「キュレーション」の定義をしている。すなわち「無数の情報の海の中から、自分の価値観や世界観に基づいて情報を拾い上げ、そこに新しい意味を与え、そして多くの人を共有すること。」だ。 この機能がツイッターやフェースブックなどのソーシャルメディアに組み込まれることで、とりわけメディアや広告業界を取り巻く環境は大きく変わるのだ

『ビジネス英語 類語使い分け辞典』 書影

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『ビジネス英語 類語使い分け辞典』

日本人の90%に英語は不要である。極論だと思われるかもしれない。しかし、逆に言うと日本人の10%は英語が必要なのだという意味である。10%とは1270万人であり、東京都の人口とほぼ同数だ。 外務省の海外在留邦人統計によれば、3か月以上外国に滞在している長期滞在者数は2009年時点で76万人だ。ちなみに非英語圏の代表である中国には12万7000人、ブラジル6万

『ジョークで読むロシア』 週刊朝日2月11日号 「ビジネス成毛塾」掲載 書影

おすすめ本レビュー

『ジョークで読むロシア』 週刊朝日2月11日号 「ビジネス成毛塾」掲載

もっとも好きだったエッセイスト、米原万里さんが亡くなってから、もう5年になる。同時通訳者にして作家であり、駄洒落やジョークでロシアを身近に感じさせてくれたものだった。『ジョークで読むロシア』はその米原万里さんが経済の専門家になったような錯覚を覚えるような本だ。本書から、プーチンが大統領に就任した2000年に流行ったジョークを引用してみよう。 プーチンが首相に

『錯覚の科学』 解説 書影

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『錯覚の科学』 解説

文藝春秋編集部の了解を得て、本書の付録である「解説」を全文掲載します。解説というよりは要約のようになってしまうのは、ボクの書評の味です。しかし、本体はこの要約をはるかに超えていますからご安心を。 -------------------------------- 心理学や脳科学という学問は、物理学や数学などに比べると、どこか胡散臭く感じてしまう。理論が数学で表

『大日本行程大絵図』 書影

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『大日本行程大絵図』

第2回「本のキュレーター勉強会」で紹介した復刻地図である。37㎝x2m54㎝もの巨大なものだ。これでなんと2000円。初版は天保14年5月、安政4年5月に改版が行われ、この版は慶應元年5月とある。天保14年は168年前、慶應元年は146年前だから、22年間のロングセラーだった。 人文社からはこれ以外にも面白そうな復刻古地図が、意外な価格で販売されている。サイ