
『カミングアウト』伝えられない想い。伝える希望。
「LGBT」と称されることも多いセクシュアルマイノリティ(性的少数者)。人口の3〜7%にあたると言われ、40人クラスであれば1〜3人は存在する割合だ。近年、メディアでとりあげられる機会も増え、認知度は高まりつつあるが、2015年に行われた全国調査では「自分の周りに同性愛者がいるか否か」という質問に対し、「いない」と回答した人が54.2%、「いないと思う」が3
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「LGBT」と称されることも多いセクシュアルマイノリティ(性的少数者)。人口の3〜7%にあたると言われ、40人クラスであれば1〜3人は存在する割合だ。近年、メディアでとりあげられる機会も増え、認知度は高まりつつあるが、2015年に行われた全国調査では「自分の周りに同性愛者がいるか否か」という質問に対し、「いない」と回答した人が54.2%、「いないと思う」が3

歴史というものは、常に勝者が作ってきたものである。勝てば官軍負ければ賊軍という言葉にある通り、戦いに勝った側が自身の正当性を主張するために、負けた側を貶めることがよくある。現在、日本で教えられている歴史も例外ではないのだろう。一般的には討幕を成し遂げ、明治政府を作り上げた薩長側から見た歴史(薩長史観)が学校では教えられている。 私もそのような歴史を習い、いま

本稿を執筆中の5月9日、日本経済新聞は「三菱重工は逆風下で5兆円の連結売上高目標を掲げた」と報じた。いっぽうで同記事は「達成を不安視する声は少なくない」と警鐘を鳴らすことを忘れない。さらに、成長が停滞する三菱重工の時価総額は1兆3800億円であり、日立の4兆1400億兆円と比べても見劣りし、海外のライバル各社の10分の1でしかないことを付記した。 実際、三菱

本書はそのイタリアの織物のように軽やかで、味わい深く、時には風を通すような美しい本だ。紙質、装丁など、どこを見ても丁寧に作られた一級品だ。文章は清々しくも温かい。上質のツイードそのものなのだ。 それもそのはず、内田洋子はイタリアの時空を縱橫に飛びまわり、掌編小説のようにエッセイ仕立てのノンフィクションを書く名手だ。 あくまでも著者が見たまま、聞いたままを文章

けったいなおっさんである。大阪駅から環状線で一駅目の福島駅近くにある、知る人ぞ知るフレンチレストラン『 ミチノ・ル・トゥールビヨン 』のオーナーシェフだ。つむじ風を意味する店名トゥールビヨンに込められているように、旋風をおこしたいと常にたくらんでいるおっさんが本を出した。 本の作りもけったいである。まず、表紙が普通じゃない。料理人の本なら、それらしいポーズを

『 サピエンス全史 』ユヴァル・ノア・ハラリ激賞! と興奮気味に記されている割に、赤い帯には冷徹なメッセージが書かれている。 著者らが正しければ、有権者や消費者により良い情報を与えることは無意味に等しい 本書の核となる主張を簡潔にまとめたコメントである。 そして、ユヴァル・ノア・ハラリが疑っているように、果たして、著者らの言い分は正しいのだろうか。 そんな著

この世には「ギフテッド」と呼ばれる神から与えられたとしか思えない才能を持つ凄い人間たちがいる。そのうちの一人がアメリカ、アーカンソー州のテイラー・ウィルソン少年だ。彼は9歳で高度なロケットを”理解した上で“作り上げ、14歳にして5億度のプラズマコア中で原子をたがいに衝突させる反応炉をつくって、当時の史上最年少で核融合の達成を成し遂げてみせた。 彼は核融合炉を

NHKに「100分de名著」という長寿番組がある。「趣味は読書です」などというからには、古今東西の名著も一通り知っておかなくては格好がつかない。とはいえ名著、とくに古典などは10代にでも読んでおかないと、大人になってしまえばなかなか手を伸ばせないものだ。かくして心密かに「あれも、これも読んでいない」というちっぽけなコンプレックスを抱いたりして…と、そんな心の

科学はあらゆる謎を暴き続けている。数万年前の遺物から人類がネアンデルタール人と交配していることを突き止め、山手線ほどの大きさにもなる巨大な実験装置を駆使してヒッグス粒子という極微小な存在を確認し、簡単なオペレーションで体細胞を多能性幹細胞にリプログラミングする方法まで編み出した。 巨人の肩の上に積み上がっていく科学の進展スピードはいや増しており、いつかはどん

気になって仕方がないことがある。スポーツ選手のインタビューで連発される「ネ」だ。え? 意味わからない? では以下に例文を。プロ野球でお立ち台に上がった選手にアナウンサーがインタビューする場面である。 アナ:「サヨナラホームランを打った○○選手です!おめでとうございます!」 選手:「ありがとうございます!」 アナ:「勝負どころで打てた、その理由について教えてく

福知山線脱線事故 ー 2005年4月25日、JR西日本の宝塚駅発の電車がカーブを走行中に脱線、107名の死者と592名の負傷者を出した巨大惨事である。加害企業の発表によると、事故原因は「運転手の不注意とブレーキ遅れ」。つまり、107名の命を奪ったのは、あくまでも個人の注意散漫によるミスが原因であると発表した。 少し時が経ち、国土交通省も事後原因を報告したが、

もはや毎日のように顔を合わせている人たちについての話だ。地域によって差はあるものの、都市部のコンビニでは外国人スタッフの存在はすっかり当たり前になった。自宅の最寄りのコンビニともなると7割くらいが外国人店員という印象なのだが、その割に知っていることはあまりにも少ない。タイトルを見た瞬間、自然と手が伸びた。 中身はコンビニの話にとどまらない。コンビニ店員のほと

本書の著者は『帝国を魅せる剣闘士』、『愛欲のローマ史』などの著作や漫画家ヤマザキマリがナビゲータを務めたBSフジの番組『ローマ街道物語』の監修などでも活躍した歴史学者、本村凌二だ。今回の新作は『教養としてのローマ史の読み方』。題名だけでは論点がいまひとつピンと来ないかもしれない。その点で少し損をしているように思うのだが、表紙に付いている帯で、佐藤優が本書の論

人類は誕生以来宇宙とは何か、物質とは何かを考え続けてきた。その理解が一気に進んだのは、20世紀になってからだった。 1916年 、アインシュタインが相対論を完成することで、宇宙を現代的に理解する基礎が出来上がった。27 年までに、ハイゼンベルグの行列力学とシュレディンガーの波動力学が発表され、 物質を理解するための量子力学の構築が始まった。現代物理学の基礎は

最も怖いジャパニーズホラー映画は何か。著者の沖田瑞穂がインターネット検索をした結果、総合、男性、女性すべてで『リング』シリーズ、『着信アリ』シリーズ、『呪怨』シリーズが上位3位を占めていたという(2007年オリコン調べ)。 このデータ後、2016年には映画『貞子vs伽椰子』が公開されたり、USJのホラーナイトに貞子が登場したり、『リング』のハリウッド版第3弾


再生可能エネルギーの躍進で世界中の電力構造は大きく変わろうとしている。太陽光をはじめとする再生可能エネルギー分野で技術革新がすすみ発電コストが大きく下がったことにより、供給量が大きく伸びてきた。 2000年代にも同じように電力構造の変化が起きており、その頃の主役は原子力だった。CO 2 を輩出しない電源として地球温暖化対策の救世主としてももてはやされ、原子力

小学2年生の子どもに「ジャーナリストって何する人?」と訊かれた。子どもの質問はおそろしい。ハシゴを外されるとか背中から撃たれるとか、サラリーマン生活における不意打ちには慣れているつもりだったが、思いがけない方向から簡単には打ち返せないボールを投げてくる。 真っ先に浮かんだのは、「政府が悪いことをしていないか見張る仕事だよ」といういかにも教科書的な回答である。

旧約聖書の中に「バベルの塔」という物語がある。人間たちは、天にも届かないような高い塔を作りはじめた。神は、それを人間たちの神への挑戦と受け取り、人間の驕りを戒めるべく言葉をバラバラにしてしまう。言葉が通じなくなった人間たちは、意思疎通がとれずに塔を建設することができなくなり、塔は完成を見ることなく崩れ去ったーーそういう内容である。 この物語から得られる教訓は

少し前に「世の中には500万円で買える会社がこんなにあった!」と題する「現代ビジネス」の記事が、莫大な閲覧数を集めた。本書は、その記事の筆者が書いた本である。起業を薦める本は世に数多あるが、サラリーマンに「企業買収」を薦める本はほとんど無い。画期的な本である。 著者は、事業承継や事業再生のタイミングにある中小企業を引き受ける、投資ファンドを運用している会社の

昭和48年(1973年)3月、青山学院大学で後世に残る一大スキャンダルが噴出した。「大学教授が教え子に暴行した」と朝日新聞がすっぱ抜いたのだ。 逮捕されたのは、当時の法学部教授、春木猛(63)で被害者は同学部4年生のA・T子さん。被害者の証言や警察の調べ、関係者の話を総合すると、春木教授は「卒業試験の採点を手伝ってほしい」とT子さんに声をかけ自分の研究室で乱

ZOZOTOWNを運営するスタートトゥデイの前澤友作社長が、昨年5月に行われたサザビーズ・ニューヨークのオークションで、ジャン=ミッシェル・バスキアの『Untitled』を約123億円で落札して話題になった。これはバスキアのオークション史上最高額である。 それ以前にも、一昨年5月にバスキアの作品を62億円で落札したら、世界のトップ100コレクターにも選ばれて

ハンス・フランクはひざまずき、傍らの神父に十字を切ってくれるよう願った。そして、微笑みを浮かべながら歩き出した。彼の人生の終着点となる絞首台へ向かって。 1939年からドイツ占領下のポーランド総督府総督としてユダヤ人虐殺を進めたフランクは、ニュルンベルク裁判で「戦争犯罪」と「人道に対する罪」に対する有罪で死刑判決を受けた。今では当たり前の存在にも感じる「人道

「話し上手は聞き上手」などとよく言われるが、物事の本質の多くは、その行為の内部ではなく外側に潜んでいる。生物学の分野に今、急速に訪れている変革も、それと近いものがあるだろう。 生物の研究者ならずとも、「人間とは何か」ということを深く理解したいと願うのが人間の常だ。だがここで重要になってくるのは、理解するとは何かということの定義である。 かつてリチャード・ファ

衰退はかなしいことではない…(略)…ポジティブに受け入れ、楽しむべきものなのだ。 消滅自治体、縮退都市、限界集落…。成長を追い求め続ける経済・社会の限界については、日本国内だけでなく、世界で問題視されている。本書『CREATIVE LOCAL エリアリノベーション海外編』は、そうした「限界」や「衰退」に日本より早く直面し、その状況をポジティブに変換して、新た

2005年4月25日、死者107名・負傷者562名を出したJR西日本・福知山線の脱線事故。その事故で妻を亡くし娘が瀕死の重傷を負った淺野弥三一の言葉である。「どうやって事故直後の数日間を乗り切れたかのかわからない」、「火山の噴火口に取り残された気分だった」、「当時の心境をひと言で言えば……自暴自棄、やろうね」と振り返る「感情が断ち切られた空の状態」だった淺野

はたしてうつとはどのような状態なのだろうか。 幸いにしてこれまであまり憂鬱な気分に陥いったことすらない僕は、それが実感としてはよくわかっていないのだが、うつから抜けた人たちの語る言葉を読んでいると、少なくともその恐ろしさはよくわかる。職場や自分のポジションの変動によってうつというのは一瞬で発生し得るのだから、明日は我が身である。できることならば、うつになる前

1987年5月3日憲法記念日。朝日新聞阪神支局が襲撃され、記者2人が殺傷された。目出し帽をかぶった何者かは、一言も発することなく問答無用で散弾銃を発射し、当時29歳だった小尻知博記者は死亡、当時42歳の犬飼兵衛記者は危ういところで命はとりとめたものの重傷を負ったのである。 「赤報隊」と名乗った犯人は、この事件を含め、約3年にわたり襲撃事件や脅迫事件を実行した

あの日、あなたはどこで何をしていただろうか−−。1995年(平成7年)3月20日。警察担当の記者だったぼくは警視庁にいた。 その朝の記憶は、「霞ヶ関駅構内で異臭事件発生」との一報を聞いて、駅に向かって全力で走るところから始まる。いま思えば軽率極まりないが、途中で通風口にひざまずいて臭いを確認したことを覚えている。やがて地下鉄の入口が点在する交差点が近づくにつ

ある国際学会で、若手研究者プログラムの責任者を仰せつかったことがある。世界各国から 100 人程度の優秀な若手研究者が合宿形式で集い、成果を発表する。その中から、 5 名の優秀者を投票で選んで表彰しようという趣向である。 受賞者の顔ぶれを見て、学会トップで賞のプレゼンターである英国人女性研究者が、いきなり烈火のごとく怒り出した。どうして 5 名の中に女性が入

「巨人、大鵬、卵焼き」。1960年代、子どもに人気のあったものの代名詞だ。昭和の大横綱・大鵬が入っているあたりに時代を感じるが、恐ろしいのは大鵬が忘れ去られ、卵焼きに子どもが見向きもしなくなっても巨人は長い間人気を維持していたことだろう。 1980年代後半に小学生だった私は特定の球団のファンでなかった。百貨店で広島カープのユニフォームのデザインをしたパジャマ


2006年、アメリカのテキサス州ラレドという国境の街で、メキシコ系アメリカ人のガブリエル・カルドナとバート・レタという二人の少年が逮捕された。アメリカで最も貧しい街のひとつで起きた不良少年の逮捕劇。ありふれた事件だが、この一件はアメリカ中を震撼させた。ガブリエル(逮捕当時19才)とバート(逮捕当時17才)はラレドの街の対岸にあるメキシコ側の街、ヌエボラレドを

歩くという行為に魅せられた冒険者は、世界の隅々まで足を運び、新たな発見を得る。それが未開の地であろうと、多くの人が足を運ぶ場所であろうと、日数をかけて歩くと、頭がスッキリして、自分の価値観が明白になる。本書の著者、小島聖は歩くことで何をみつけたのだろうか。 彼女が最初にトレッキングに魅せられたのは、初めて訪れたネパールでのこと。カトマンズ市内を観光し、ポカラ

2017年7月、安倍晋三首相が「将来の首相候補」として守り続けてきた政治家、稲田朋美防衛大臣が南スーダン国連平和維持活動(PKO)の 日報隠蔽の監督責任を取って辞任した ことを覚えているだろうか。廃棄された文書の存在が発覚し、関係者の嘘が晒された末のことだ。 その1年前、南スーダン首都のジュバで政府軍と反政府勢力との大規模な戦闘が勃発した。現地には約350人

「ご苦労様でした」と花束を渡され、見送りの車を断ってロードバイクで走り去る男。引退前の最後の客に深々とお辞儀をした直後、リゾートのプールに飛び込む旅館の女将。二人とも満面の笑みを浮かべている。こんなCMを覚えているだろうか。 定年のイメージを覆す楽しげな姿を、そんなはずがないと思った人は多いだろう。 フリーランスの物書き、高橋秀実には定年がない。だが同年代の

1948年の独立以来、イスラエルの特殊部隊が関わった作戦の数々を時系列で微細に入り伝えるノンフィクション。空港での人質奪還、中東戦争、エルサレム包囲戦、レバノン戦争、「テロリスト」の暗殺、原子炉空爆、ハマスとの闘い……その背景を知ることで、イスラエルの歴史や芯のようなものまでが見えてくる。 原題はNo Mission is Impossible. 『ミッショ

我々は中国をどこまで知っているのか。メディアにすり込まれたステレオタイプな中国人像で語ってないだろうか。上海の寿司屋、反日ドラマの日本兵役、山東省の田舎町にあるパクり遊園地の踊り子、上海の高級ホストクラブのホスト、爆買いツアーのガイド、留学生寮の管理人。七カ所の労働現場に入り込み、日本人が知られざる中国人の実像を描き出したのが本書だ。 「実像を描き出した」と

4月といえば入社式。今年も多くの若者たちがその舞台に立った。それに先立つ就職活動。近年も売り手市場とはいわれているが、それを遥かにしのぐ時代があった。その頃企業は、地方の優秀な学生を獲得するために、入社試験で東京に出てくる際の足代や宿泊代を全額負担していた。それはいつの時代か。1986年12月から1991年2月までの経済拡大期。そう、バブルの時代である。 一

最近でもクイズ番組などでよく見かける麻木久仁子。若々しい声の印象が強くて、50歳を超えていたとは思えないほどだ。 だが48歳で脳梗塞、50歳を目の前に乳がん、と大病を経験して、食生活を見直そうと「国際薬膳師」の資格を取ったという。高齢の母と一人娘との女だけの三人暮らし。生活の中で食が最も重要だ。だったら体に良くておいしいものを作りたい。人生のリセットを料理に