
天下無用のお手引き書 『武士マニュアル』
世にマニュアルはあふれている。Amazonで「マニュアル」というキーワード検索をしたら、1万8千件近くもヒットした。世間の人たちはかくもマニュアルを欲しているのであり、あまたあるマニュアルたちも、その人達に役立とうとがんばっているのである。しかし、ここに画期的なマニュアル本が登場した。今の世にまったく役にたたないマニュアルなのである。武士が跋扈した時代、我々
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世にマニュアルはあふれている。Amazonで「マニュアル」というキーワード検索をしたら、1万8千件近くもヒットした。世間の人たちはかくもマニュアルを欲しているのであり、あまたあるマニュアルたちも、その人達に役立とうとがんばっているのである。しかし、ここに画期的なマニュアル本が登場した。今の世にまったく役にたたないマニュアルなのである。武士が跋扈した時代、我々

奥付では4月13日初版第1刷発行となっている本書が、Amazonから届いたのは金環食の5月21日だった。5月22日朝にはすでにAmazonで売り切れており、たった1冊の出品されている中古品は8106円という値付けになっている。判型はB5版。いわゆる週刊誌サイズだが、美しいカラー写真や紙質にもこだわって作られた平綴じの立派な本だ。価格も2500円とお高いのだが

「科学」という言葉は明治初期の啓蒙家である西周(にしあまね)によって発明されそうだ。発明されたと言っても何も無いところから西がその概念まで含めて考え付いたわけではなく、scienceの訳語として発明されたのだ( Wikipediaによると 、「哲学」「技術」「芸術」なども西の手による訳語のようだ)。この「科学」という訳語こそが、“日本の科学”と“欧米のsci

世界で最初の壺は日本でつくられた。1万4千年以上前、縄文人たちがつくりはじめたのである。地中海世界などでみつかる最古の壺は早期縄文時代から数千年後につくられたものだ。これらの地域では農耕が定着してから、穀物の保存などの目的でつくられはじめた。農耕以前の移動する狩猟生活では壺は持ち運びにくいため、つくられることはなかった。 いっぽう縄文人たちは定住型だが狩猟採

ヒトをヒトたらしめていることの一つに、農業を営むということがあげられる。狩猟採集から農耕定住へと進化することで、食料の安定性を確保し、文明への新たな一歩を踏み出しのだ。 しかし動物の中にも農業を営むものがいるとは、知らなかった。しかも農業を始めたのが、人類よりも何千万年も早いのだというから驚く。それが本書で紹介されているハキリアリという生物だ。 もしも生物学

「毒にも薬にもならないやつ」とは目立った短所も長所もない退屈な人を揶揄した言葉だ。ときに毒は薬にもなり、短所は長所にもなる。 薬剤開発において毒が薬になるためはLD50とED50が大きく離れている必要がある。LD50とは毒を与えた動物が50%死亡してしまう量(letan dose)のことだ。いっぽうED50とは薬を与えた動物の50%に薬効があった量(effe

プロ野球のエースといえば、誰を思い浮かべられるだろう。古くは沢村、そして、金田、村山、江川、鈴木、佐々木、野茂、ごく最近ではダルビッシュ。年齢と時代によってそれぞれに自分のエースがいるに違いない。わたしにとってのエースはなんといっても江夏である。オールスターゲームでの9連続奪三振、延長11回を投げきって自らのサヨナラホームランで仕上げたノーヒットノーラン、そ

Facebookなどを眺めていると、定期的にスパムアプリらしきものを見かけることがある。今でこそ簡単に引っかかる人も少なくなってきたが、最初のころは友人達が軒並み引っかかっているのを見て戦慄に近いものを覚えた。人間関係を利用した手法がいかに強力であるか、視覚的に確認することが出来たからである。 そんな人間関係を悪用したソーシャル型犯罪、そのはしりとなったのが

長かった冬もようやく終わり、東北にも春が訪れたようだ。この冬は、いつにも増して寒く雪が多かったと聞く。東日本大震災から1年以上経過しても、多くの仮設住宅に住んでいる方は、ほっと胸を撫で下ろしているのではないか。しかし今度はまた暑い夏がやってくる。 2004年から2007年にかけて、水害や中越地震、中越沖地震に見舞われた新潟県では多くの人々が仮設住まいを余儀な
イラン人は面白すぎる! (光文社新書) 著者はイラン人の吉本芸人だという。テレビで見たことはない。ググってみるとラジオでも放送できないほどのイラン自虐ネタを持ち出すため、主にステージで活躍しているという。本書はそのステージを見た編集者が、こりゃあ売れるとまさにネタを膨らましてまとめたのであろう。たしかに大笑いできるのだがテレビでは放送できそうにもない。それど

品川駅構内の書店で購入したのだが、店員に冷ややかな視線を浴びせられるのでは…とドキドキしたが、同時に購入した『 帝国ホテルの流儀 』で印象も薄まったのだろう。まだ、20代、何を気にしているのだ、突っ込まれそうだが、やっぱり湿度の高い電車で横の席に座った男性が臭くて耐えられないことは多くの人の悩みであり、その発信源にいつの日か自分もなるのだろうと心配してしまう

著者の職業は漫画家である。ドラマ化、映画化された著作、『ブラックジャックによろしく』、『海猿』の名前は、普段漫画を読まない人でも聞いたことがあるだろう。10万部に届けばドル箱と呼ばれるコミックス市場において、『ブラックジャックによろしく』は初版で100万部を超えることもあったそうだ。傍から見れば、大成功者、夢の印税生活、という姿を想像してしまうが、著者が感じ

今月号の「芸術新潮」は大友克洋特集だ。ボクはほとんどマンガを読まないのだが、大友作品だけは美術書として、本として買っている。大友と同様、非常に緻密に人物や建築物などを描き込む画風で人気の高い山口晃が画家と呼ばれるのに対して、その山口に大きな影響を与えた大友は漫画家と呼ばれる。まあ、ご本人はどっちでも良いと思っているのだろうが、この違いを不思議に思っていた。「

ビジネスの世界では、時として組織や専門性の壁が邪魔になる時がある。世の中全体が垂直統合から水平分散へと大きく構造を変えていく中で、既存の受け皿では解決できない課題というものが増えてきているのだ。 医療の世界も、また然りのようである。本書に登場する12人。大学病院の運営に経営的な視点を持ち込み黒字化を果たした男、Aiという死亡時の画像診断で死因究明の仕組みを変

知る人ぞ知る「文人」シリーズ第三作である。『文人悪食』、『文人暴食』で、多くの文人を「食」の観点から描き出すという斬新なアイデアですさまじいまでの能力を見せたあの嵐山光三郎氏、こんどはどうくるかと思ったら、なんと『文人悪妻』である。そして嵐山氏、期待通りに、まえがきの冒頭から早くも全開で暴走してくれる。 “人妻という言葉ほど男心をコトコトと煮込み、ムラムラと

ともかく「ぞわぞわ」しているのである。足が無数に生えていて、ぞわぞわしているのである。ほぼ全ページにそのぞわぞわした生き物のイラストが掲載されているのである。そのすべてがすでに絶滅しているとはいえ、本当に気持ち悪い。 人間は人種や民族を超えて、2つの種族に分類できると言っていたひとがいた。すなわち「ヘビ嫌い」か「ムカデ嫌い」かである。自分たちが4本の手足を持

まずは成毛代表のお許しをちょうだいいたしまして、ここにご挨拶申し上げたく存じます。HONZファンの皆々様から「新刊ちょい読み」という名でかわいがっていただいてまいりましたが、「ちょい読み」と申しますと、一字違いの「ちょい飲み」みたいな腰掛け感があるのではないか、というようなことが議論されるにいたりました。つとにお知りおきのこととは存じますが、HONZのメンバ

現代の子ども達、いや幼児はiPadやiPhoneを言語を活用する前から器用に利用している。Appleがつくり込んだ直感的に理解できるユーザーインターフェースの賜物だ。そんなデジタルネイティブ幼児たちが小学生になり、思春期を迎え、高校生となったときに、コンピュータの向こう側の世界で子どもが何を行い、誰とコミュニケーションを取っているのか、それは親の想像を遥かに

これまでにも ダムマニア だとか 団地団 だとか、いろいろ見てきたのだが、「 ガード下学会 」なるものまで存在するとは、知らなかった。 本書の著者が、その「ガード下学会」の一員。普段からさまざまなガード下を訪ね歩き、「あの現し(あらわし)、いいね〜」などと熱く語り合っているそうだ。ちなみに「現し」とは、本来化粧仕上げするところを、あえて化粧仕上げせずに、下地

著者からの献本である。小林祥一郎氏。1928年生まれ。海軍兵学校をへて名古屋大学卒業。1952年新日本文学会事務局に入る。1954年花田清輝編集長解任に抗議して辞職。同年平凡社入社。『世界大百科事典』編集部に配属。1959年『日本残酷物語』編集部。1964年雑誌『太陽』編集長。1966年『新文学』編集長。1980年平凡社取締役編集局長。1985年平凡社を退社

書名にある利己的遺伝子とは、リチャード・ドーキンスの『 利己的な遺伝子 』のことである。500ページを超えるこの大著を通読した人がどのくらいいるかは分からないが、このタイトルは一度は耳にしたことがあるだろう。30年以上も前に出版された本だが、この本が与えた影響の大きさは計り知れない。 高村のレビューした『文明はなぜ崩壊するのか』 もドーキンスの提唱したミーム

著者からの献本である。著者とはマネックス証券の松本大氏と3人で『トーキョー金融道』という本を出版したこともある。『トーキョー金融道』は東洋経済新報社の月刊「金融ビジネス」に連載されていたものを2003年に一冊にまとめたものだった。本書も2003年に刊行されており、こちらは版を重ねついに改定新版の登場となった。友人からの献本を手放しで褒めるわけにはいかないが、

最近HONZでは、紹介する本が3,000円を超えていると「ブルジョア本!」の掛け声がかかり、俄然、みんなのチェックが厳しくなる。要は「3,000円超える本なんだから、さぞかし良い本なんでしょうねぇ。」というわけだ。 そんな中、本書はブルジョア基準比200%を達成する6,000円(税抜き)のお値段だ。ダブル・ブルジョア本、略してダ・ブルジョア。厚さ:32ミリ、

アニメに出てくる架空の建造物を、プロの建設会社が真剣に作ろうとしたら一体どうなるのか?そんな、とてつもなく壮大なスケールの企画が実現した。 担当したのは、大手ゼネコン・前田建設のファンタジー営業部。過去にも『マジンガーZ』の地下格納庫や『銀河鉄道999」の高架橋など、各種の建造物を積算をしたことでもおなじみのプロジェクト。本書は、Webで連載していたその模様

<福島・双葉病院 患者だけ残される 原発10キロ圏内 医師らに避難指示で> そんなショッキングなニュースが配信されたのは、東北と北関東を襲った大震災から数えて6日目の3月17日のことである。病院にはたちまち非難が殺到、またたくまに「悪徳病院」のレッテルが貼られることとなった。 しかし、実態は報道されたものとは大きく異なるものであったのだという。はたしてこの時
![『仏英独=和 [新]洋菓子辞典』 新刊ちょいとも読まない 書影](/assets/recovered-covers/3d4c6cf63f9f6ebe7cf9379b347ad871b18cad4579434102df2db14450ea0cb4.jpg)
そもそも買ってもいないのだから、ちょい読みどころではない。いまさらパティシエになるつもりもないので、買うつもりもない。ここで紹介してしまったので献本もこないであろう。そもそも辞書の献本というのはあまり聞いたことはない。このたぐいの辞書は日本語の項目を眺めているだけで楽しいのだが、そのためだけに5,460円は高い。困った。 出版社の内容紹介 「パティシエ、製菓

僕は、どちらかというと「いやぁ~ 俺たちの頃はガリ版でさぁ」などと聞かされて育った「ポスト・ガリ版世代」である。それでも伝え聞く話の口ぶりなどから、ガリ版というものがその世代の人にとって懐かしい思い出を持つ、愛すべき存在であったのだろうということは容易に想像がつく。本書は、そんなガリ版文化を紡いだ謄写版と人々の物語である。 日本におけるガリ版の基礎を作ったの

塀の中の著者からの献本だ。副題は「ホリエモンの獄中日記195日」。出版社はなんと文藝春秋である。3月の文藝春秋からの新刊は『毛沢東 大躍進秘録』『藤原正彦、美子のぶらり歴史散歩』『グーグル、アップル、マイクロソフトに就職する方法』などダイナミックレンジ広すぎである。そのなかでも本書『刑務所なう』は実録マンガ付きだ。これは文藝春秋始まって以来の快挙なのかもしれ

タイトルが何ともすごい。「原発」と「アウトロー」と「青春白書」をつなげてしまったのである。ピーコのファッションチェックなら「あなた、ちょっと」と激怒されそうな組み合わせだが、内容は良い意味で期待を裏切らた。 本書は福島県の原発がある街で育ち、震災前から原発で働く3人の若者に焦点を当てている。当事者中の当事者である彼らが原発が日常にある街でどのように育ち、なぜ

2年前、与党の議員が911陰謀論を公言し、ニューヨーク・タイムズから厳しく批判された。外交感覚が疑われると同時に、なぜそのような公の場で発言するほど、胡散臭い陰謀説を信じてしまうのか?国会議員でなくとも、秘密結社のうわさ話を聞くと、裏取りの探求への道へ誘われ、いつの間にか頭が混乱して、何が真実かわからなくなることがあるはずだ。 本書では具体的な3つの事例(ユ

50年前のグルメガイドを片手に、今なお残るお店を訪ねていくという珍企画。元ネタはデイリーポータルZの「 50年前のガイドブックに載っている店巡り 」という記事だ。 グルメガイドは『味のしにせ』(1962年・北辰堂)、『東京うまい店200店』(1963年・柴田書店)、『東京横浜 安心して飲める店』(1965年・有紀書房)、『東京の味』(1968年・保育社)の4

今年もアカデミー賞が、2月26日(日本時間 27日)に発表された。「アーティスト」という白黒映画がフランス作品としては初の作品賞を受賞たり、82歳のクリストファー・ブラマーが史上最高齢で助演男優賞を受賞したりと今年も話題に事欠かない。 ところでアカデミー賞ってどうやって決まるんだろうか?そもそも数ある映画の中で、どういう映画が良い作品として認められるんだろう
出版社/メーカー: NTT出版 売れ線を狙った邦題だなというのが第一印象か。帯には「ヤバクない経済学!」ともある。この時点で『ヤバい経済学』を意識しすぎて、やばさはプンプンなんだが、原題は「FILTHY LUCRE Economics for People Who Hate Capitalism(不正利得-資本主義が嫌いな人のための経済学)」。実は、ほぼ原題

昭和40年代、札幌の小学生たちの社会科見学といえば、雪印乳業やサッポロビールの工場などが人気スポットだったが、小樽近辺にある鰊御殿もかならず訪れる場所だった。鰊御殿とは鰊漁の網元たちが建てた豪奢な自宅である。1890年代から建築がはじまり、いまでも10棟以上が文化財として保護されている。鰊漁の最盛期は1932年。それ以降漁獲高は減り続け、遠い過去の記憶となっ

人間はもちろんのこと、ヒラメとカレイのように右型の種と左型の種の両方がいるような生物でも、脊椎動物なら必ず左側に心臓があると言えるそうだ。ところが無脊椎動物には、大胆にもそっくりそのまま左右を逆転してしまう仰天の進化を遂げた生物がいる。それが巻き貝である。 サザエ、タニシ、カタツムリなど、私たちの周りにいる巻き貝はほとんどが右巻きである。しかしカタツムリなど

デザイン、幾何学、生物学に共通する内容をグラフィックデザインを学ぶ生徒に教えるために作られた本である。著者は教育の過程でデザイナーが幾何学的構図を理解していないがため、優れたコンセプトが台無しになる過程をたくさん目にしてきた。 幾何学的構図を理解するとはどういうことだろうか?本書で行われている解析を真似して試してみた。事例はtwitter。 twitterは

「そりゃそうだ」とタイトルでスルーしてしまいそうな本だ。しかし一読してびっくり。これから親になる人や小さな子供を持つ親は必読である。 本書は深代千之とスポーツジャーナリストの長田渚左の対談で話が進められる。深代は東大大学院の教育学教授。力学・生理学などの観点から身体運動の理解と向上を図る「スポーツバイオメカニクス」の第一人者である。以前『 運動会で一番になる

資生堂の初代社長福原信三についての学術研究に肉付けした本だ。著者は本書の原型となる論文で2010年に博士号を取得している。そのため読み物としては情報量が多すぎるきらいがあるのだが、それがまた本書の魅力にもなっている。そもそも資生堂は信三の父親である福原有信が明治5年(1872)に創業した薬局だった。有信は幕府医学所から大学東校(現在の東大医学部)に進んだ俊英

『 その科学が成功を決める 』などの著書でおなじみ、リチャード・ワイズマン博士の最新刊。タイトルで誤解される向きもあるかもしれないが、超常現象の信憑性を検証するという類の話ではなく、あくまでも超常現象には懐疑的なスタンスだ。そのうえで、人がなぜこうした不思議な現象を体験するのかという点にフォーカスを当てている。 非常に興味深い内容が盛りだくさんで、「ちょい読

買ってはいけないものを買ってしまった。読んではいけないものを読んでしまった。これまでは新刊ノンフィクションのみを追い続け、古本屋店頭の100円均一台など見向きもしなかったのだが、明日から鵜の目タカの目で「痕跡本」なるものを探す自分が目に映る。まさに目から鱗。著者は愛知県犬山市で「古書 五つ葉文庫」を経営しているという。1979年生まれだからセドリ親父ではない