ノンフィクションはこれを読め!

新刊超速レビュー

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292記事

『成功はゴミ箱の中に 億万長者のノート』新刊超速レビュー 書影

人物 / ビジネス

『成功はゴミ箱の中に 億万長者のノート』新刊超速レビュー

ここ最近のビジネス書のトレンドの一つに、名著を噛み砕いた本というのがある。きっかけは200万部を超えるヒットとなった『もしドラ』あたりにあるのだと思うが、おととし発売された『 プロフェッショナルマネジャー・ノート 』がヒットしたことなども要因の一つになっているのかもしれない。今年に入ってから出たものだけでも、『 「超」入門 失敗の本質 』、『 企業参謀ノート

『ワケありな本』 新刊超速レビュー 書影

教養・雑学 / 新刊超速レビュー

『ワケありな本』 新刊超速レビュー

本一冊で人が死ぬこともある。嘘だと思うかもしれないが、本当の話だ。 『 悪魔の詩 』の翻訳者が筑波大学の構内で殺された事件は鮮烈に記憶に残っているし、ジョン・レノンを殺害した犯人が事件直後に『 ライ麦畑でつかまえて 』を読んでいた話もあまりにも有名である。しかし「事件・災いを引き起こした本」は、この他にもまだまだ沢山あるのだ。 例えば『ピーター・パンとウェン

『女子とニューヨーク』新刊超速レビュー 書影

民俗・風俗 / 新刊超速レビュー

『女子とニューヨーク』新刊超速レビュー

B&Bで開催した 公開朝会の2週目 で副代表の東えりかが紹介していた『女子とニューヨーク』を紹介する。なぜ東ではなく新人のお前がレビューしているのだ!と東のレビューを心待ちにしていた人から非難の嵐が予想されるので、先に謝罪をしておこうと思う。もうしわけない。東えりかのレビューはきっとどこかで見られると思うのでそちらをぜひご覧頂きたい。 ただ 「 HONZには

『本当は怖い昭和30年代』新刊超速レビュー 書影

教養・雑学 / 新刊超速レビュー

『本当は怖い昭和30年代』新刊超速レビュー

映画「ALWAYS三丁目の夕日」が公開されて以降、昔を懐かしむ声をよく聞くようになった。社会学者の宮台真司などは「当時ってあんなに町並み綺麗じゃないだろ。ドブくさくてたまらないだろ」と突っ込みをひたすら入れ続けているが、ノスタルジーに浸りたい人びとは意外と多いのだろう。05年に一作目が公開されて以降、人気は根強く今年初頭には第三作目が封切られた。高齢者の方が

『こんな僕でも社長になれた』新刊超速レビュー 書影

人物 / ビジネス

『こんな僕でも社長になれた』新刊超速レビュー

家入一真をご存知だろうか?レンタルサーバーのロリポップ!などを手がけるpaperboy&co.(以下ペパボ)の創業者であり、JASDAQの史上最年少上場社長である。 その彼が高校中退、ひきこもりといった過去を赤裸々に告白し、『こんな僕でも社長になれた』と宣言する本著作は、暗い過去を持つたくさんの人に勇気と希望を与えるに違いない。 彼を救ったのは山田かまちの絵

『明治の企業家』 新刊超速レビュー 書影

日本史 / 新刊超速レビュー

『明治の企業家』 新刊超速レビュー

ご存じ三菱グループを創った岩崎弥太郎にはじまり、知る人ぞ知る優れた建築家であり、メンソレータムの近江兄弟社を興したヴォーリズまで、明治時代に活躍した48人の企業家についての図説集である。いいかえると、ふんだんな写真がちりばめられた48人の簡略な伝記集でもある。そう、伝記読みには何ともそそられる本なのである。 こういうオムニバス形式の本というのは、拾い読みには

『「調べる」論―しつこさで壁を破った20人』新刊超速レビュー 書影

人物 / ビジネス

『「調べる」論―しつこさで壁を破った20人』新刊超速レビュー

インタビュアーの肩書きを持つ著者による、『文藝春秋』や『週刊文春』でのインタビュー連載をまとめたのが本書である。20人へのインタビューは5つの章から成っており、終章では著者本人が考える、「インタビュー」論が展開されている。 本書の目次にある20人のインタビューイーの名前を見ると、ノンフィクション好きは本書を購入しないわけにはいかなくなる。なにしろ、1人目から

『朽ちる鉄の美』 書影

アート・スポーツ / 新刊超速レビュー

『朽ちる鉄の美』

鉄は朽ちる。特に日本のように湿度の高い土地では少し油断するとたちまち錆が生じ朽ち果てる。本書は朽ち果て行く鉄の道具を集めた写真集である。 鉄の美を語る上でよく引き合いに出されるのは日本刀である。本書には日本刀は登場しないが、日本刀にも錆を鑑賞する部分がある。それは茎である。日本刀の刀身は木製の柄にはめ込まれており、目釘という竹の釘で固定されている。目釘を抜き

『「銀行マン」のいない銀行が4年連続顧客満足度1位になる理由』 - 新刊超速レビュー 書影

ビジネス / 新刊超速レビュー

『「銀行マン」のいない銀行が4年連続顧客満足度1位になる理由』 - 新刊超速レビュー

本書の表題を一目見て、ふと思わなかっただろうか。 そういえば、最後に銀行マンと会ったのはいつのことだったろうか、と。 そしてそれは、おそらく極めて普通の感覚だ。 事業家でもなければ企業で財務部門に勤務している訳でもなく、個人として住宅の購入も特に考えていないとすると、日常生活において銀行マンと会うことなどまずないだろう。特別な事情がないのに銀行マンと頻繁に会

『誰も知らなかったココ・シャネル』 書影

人物 / 新刊超速レビュー

『誰も知らなかったココ・シャネル』

シャネルNo.5。1921年に売り出されて以来90年以上、香水の代名詞である。現在でも「30秒に1本」売れ続けているのだそうだ。 貧しい行商人の子として生まれ孤児院で育ちながら、その美貌と才気で上流階級の男たちの心をつかみ、「フランスのエレガンス真髄」にまでのし上がったココ・シャネル。「自分で稼ぎ、自由に愛し、男の指図を受けずに望むままに生きたい、という女性

『生きる悪知恵 正しくないけど役に立つ60のヒント』 新刊超速レビュー 書影

教養・雑学 / 新刊超速レビュー

『生きる悪知恵 正しくないけど役に立つ60のヒント』 新刊超速レビュー

人生相談が好きである。どれくらい好きかというと、伝記を読むのと同じくらい好きである。他人の人生を覗いてみたいというお下品な趣味ねと人は嗤うかもしれない。が、ちょいと言い訳をさせてもらうと、私にとっては、伝記と同じように、人生相談も、ある意味で人生のテストパターンなのである。 悩みというのは、もちろん、フィリピンと台湾とポーランドに愛人がいて、それぞれに7人ず

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医学・心理学 / 新刊超速レビュー

『おもかげ復元師』新刊超速レビュー

おもかげ復元師 (一般書) 大きな絶望に出会ったとき、人は「せめて」という希望にすがる。“せめて生きていて”が、“せめて見つかって”になるまで、どれほどの心の葛藤があるだろうか。2011.3.11、東日本大震災の直後、津波にさらわれた家族や恋人を探し、多くの人たちはその“せめて”という言葉を口にした。 『おもかげ復元師』の著者であり主人公である笹原留似子は、

『現代ミリタリー・ロジスティック入門』 新刊超速レビュー 書影

教養・雑学 / 新刊超速レビュー

『現代ミリタリー・ロジスティック入門』 新刊超速レビュー

マイクロソフトのOBにはいろいろな人がいる。初代研究所長だったネイサン・ミアボルドの場合はシェフになり、史上最大の料理本を出版した。この史上最大の料理本の重量は19.3kg、インクの重量だけで1,9kgもある。マッド・サイエンティストならぬ、マッド・シェフだ。この人は2000年の時点で少なくとも5つの学位を持っていた。ビルゲイツが提唱する次世代原子炉テラパワ

『Encyclopedia of Flowers–植物図鑑』 新刊超速レビュー 書影

アート・スポーツ / 新刊超速レビュー

『Encyclopedia of Flowers–植物図鑑』 新刊超速レビュー

書棚に置いておくべき本がある。人生のときどきに読み返したくなる本はもちろんだが、書棚の持ち主の問題意識やセンスを一瞬で感じ取れるような本もある。ボクにとって前者の究極は『ご冗談でしょう、ファインマンさん』であり、問題意識という意味での一冊はセバスチャン・サルガドの『Workers』だ。この軽いエッセイと重い写真集の2冊があれば、目の前に高い壁が見えてきても勇

『アメリカは今日もステロイドを打つ』新刊超速レビュー 書影

社会 / 新刊超速レビュー

『アメリカは今日もステロイドを打つ』新刊超速レビュー

本書は、現在休刊となっているスポーツ雑誌『Sportiva』に2001年から連載されていたコラムをまとめて2009年に発売された単行本を文庫化したものである。単行本発売後に雑誌に掲載されたコラム7本と巻末に大きなオマケが追加されているのに、たったの599円である。これは、単行本所有者にとっても買いの一冊だ。 副題に“USAスポーツ狂騒曲”とあるように、五輪で

『精子提供 : 父親を知らない子どもたち 』 新刊超速レビュー 書影

医学・心理学 / 新刊超速レビュー

『精子提供 : 父親を知らない子どもたち 』 新刊超速レビュー

おもしろいノンフィクションを紹介するという『HONZ精神』にのっとり、手に取るや置くにあたわず一気読みした本をレビューする、というのを原則にしている。が、今回だけは例外である。内容の重さに、何度も何度も天井を仰ぎ見なければならなかった。しかし、それでも皆さんにご一読をお薦めしたい。親子とは何か、という、おそらく多くの人は気にしたこともないが、根源的な問題を真

『ウェブはグループで進化する』 新刊超速レビュー 書影

ビジネス / 新刊超速レビュー

『ウェブはグループで進化する』 新刊超速レビュー

タイトルだけを見れば、多くの人にとって異論の挟む余地はないだろう。個人的にもFacebookが本当に面白くなってきたのはグループという機能が付いてからだったし、ブログにしてもHONZというグループに入ってから手にしたものは、計り知れないものがあった。 その背景には、かつて文書を結びつけるものであったウェブが、人を中心とした構造へ変化したということがある。いく

『水危機 ほんとうの話』新刊超速レビュー 書影

サイエンス / 新刊超速レビュー

『水危機 ほんとうの話』新刊超速レビュー

本書は水文学の第一人者である著者による、何とも意外な水のほんとうの姿を教えてくれる、水文学の入門書である。水文学の研究対象は水にまつわる森羅万象であり、本書の範囲も経済、気候、災害等と多岐に渡る。これほど身近な水にこれほど知らないことが多いとは知らなかった。どうやら世の中には、水に関する“ほんとうではない話”が溢れているようだ。 石油、天然ガスやレアメタルは

『月刊誌セレクト7月号』 書影

新刊超速レビュー

『月刊誌セレクト7月号』

『日経サイエンス』8月号の特集は「太陽異変」である。黒点数が減りはじめていることは2010年あたりから ネット上でも話題 になっていた。この太陽の静かさは少なくとも百数十年ぶりだ。もちろん黒点数は太陽活動の結果であり、太陽の中では壮大な変化が起こりつつある。結論を急ぐとこれまで太陽は地球と同様、南極がS極と北極がN極に分かれているのだが、現在は南極・北極とも

獄中の老スナイパー 『警察庁長官を撃った男』 新刊超速レビュー 書影

事件・事故 / 新刊超速レビュー

獄中の老スナイパー 『警察庁長官を撃った男』 新刊超速レビュー

驚愕の一冊である。老スナイパーの名は中村泰(ひろし)。1930年生まれのこの男、岐阜刑務所に服役中。しかし、この本のタイトルになっている1995年の国松警察庁長官狙撃事件による服役ではない。その罪状で訴追され、「救国」のために狙撃したことを世に知らしめたいという中村。しかし、自らの「救国」の行動により「チェ・ゲバラ」になりたかったというその夢はかなえらてはい

『カブトムシとクワガタの最新科学』 新刊超速レビュー 書影

生物・自然 / 新刊超速レビュー

『カブトムシとクワガタの最新科学』 新刊超速レビュー

幼い頃にカブトムシやクワガタを捕まえてワクワクした経験なら、誰しも持っているものだろう。そんな昆虫界ではメジャーな両雄も、研究対象としては非常にマイナーな存在であるそうだ。理由は海外(特に西欧)で、全くと言っていいほど生息していないからである。 本書は、そんな知っているようで知らない昆虫たちの生態を、進化論的な見地から解き明かした一冊だ。 カブトムシが角をぶ

『完全自殺マニア』 新刊超速レビュー 書影

事件・事故 / 新刊超速レビュー

『完全自殺マニア』 新刊超速レビュー

非常に書評しにくい本である。編集者はHONZの身内とも言って良いハマザキカクだ。本人からの献本でもある。テーマがテーマだ。しかも「まえがき」では「本書の目的」は「本書では自殺について『問題』として『現象』としてとらえている」と宣言しているように、日本のおける自殺年表人名データベースなのである。 2473件の自殺を1880年以降10年毎に分章して収録してある。

『わたしが出会った殺人者たち』 新刊超速レビュー 書影

事件・事故 / 新刊超速レビュー

『わたしが出会った殺人者たち』 新刊超速レビュー

二日連続で、殺人者本のレビューである。しかし、この本、すこしも「超速」レビューになっていないのである。すみません。遅れたのにはいささかの理由がある。以前、沢木耕太郎訳、というのにつられて、『 殺人者たちの午後 』という本を買った。英国での殺人者たちへのインタビュー集である。怖かった。最後まで読み切れなかった。そんな経験があったので、この本、出版されてすぐに購

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サイエンス / 新刊超速レビュー

『冥王星を殺したのは私です』新刊超速レビュー

冥王星を殺したのは私です (飛鳥新社ポピュラーサイエンス) カルフォルニア工科大学に、冥王星キラーの異名を持つ、マイケル(マイク)・ブラウンという天文学教授がいる。世界で初めて冥王星よりも大きな海王星以遠天体を発見し、「冥王星は惑星ではない」と天文学界で大論争を生んだ男である。2006年8月24日、遂に国際天文学連盟は、マイク・ブラウンの主張を受け入れ、冥王

『論語なう』 新刊超速レビュー 書影

教養・雑学 / 新刊超速レビュー

『論語なう』 新刊超速レビュー

6月のHONZ朝会で高村和久が「今月読む本」の一冊として取り上げていたが先手必勝。超速レビューしてみよう。表紙を一目見て、論語を無理やりツイッター風味にし、現代日本の四方山を皮肉る、お手軽な風刺本であろうと思っていたのだが、意外にも違っていた。たしかにツイッター言語は生きている現代語だから、本書は正統な論語の現代語訳になっているのだ。 こういうやつって、なん

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人物 / 新刊超速レビュー

『お宝発見!ナンシー関」 新刊超速レビュー

お宝発掘! ナンシー関 ナンシー関が亡くなって10年になるという。正直、もうそんなに経つのかと少し驚いた。人が本当に亡くなるのはその人のことを誰も思い出さなくなった時だ、と何かの本で読んだことがあるが、もしそうならナンシーは未だに現役で私の心に生きている。年に何回かは、ワイドショウや週刊誌のタイトルを見て「ナンシーならなんていうだろう?」と考えてみる。そう

『「地球のからくり」に挑む』 新刊超速レビュー 書影

サイエンス / 新刊超速レビュー

『「地球のからくり」に挑む』 新刊超速レビュー

本書は月刊誌「新潮45」に連載されていた4本の記事を改稿したものだ。元記事のタイトルは「石油はどこから来たのか」「石炭が輝いていた昭和」などで、本書はそれらを改編して11章建ての科学エッセイ集のような趣に仕上がっている。章が独立しているため読みやすく、トリビアにも満ちていて、期待通りおおいに楽しめる一冊だ。 第1章ではエネルギーと生物界を概観する。エネルギー

『おやじダイエット部の奇跡』 書影

教養・雑学 / ビジネス

『おやじダイエット部の奇跡』

175センチで60キロ台半ばの私がダイエットに関する本を取り上げるのは出すぎた真似かもしれない。だが、私は怖いのである。油断すると70キロをらくにこえ、増量がとまらなくなる自分が。日常的に運動をしている身でもないので、筋力が増すわけでもなく、腹の周りにだらしなくつきまとう肉の重みが増すだけである。風呂の鏡をみて「これが俺か」と愕然として節制に励むが、このぎり

『地図で読む未来世界』 新刊超速レビュー 書影

ビジネス / 新刊超速レビュー

『地図で読む未来世界』 新刊超速レビュー

著者のヴィルジニー・レッソンは国境なき医師団の理事も務めている地政学者だ。フランス人女性である。これまで著書は2007年に草思社から『地図で読む世界情勢』が、2009年に河出書房新社から『地図で読む世界情勢―衝撃の未来』が、それぞれ2部構成で出版されている。この4冊ともに世界地図をいろいろな方法で色分けをして世界情勢を説明するものである。 草思社版の第1部は

『ドイツのキッチン・ルール』 新刊超速レビュー 書影

教養・雑学 / 新刊超速レビュー

『ドイツのキッチン・ルール』 新刊超速レビュー

本日は土屋敦が『ナチスのキッチン』をレビューしている。仲間内ながら素晴らしい書評である。しかも本書で言及されている料理を手作りし、その写真を掲載するという前代未聞の所業である。他のHONZメンバーがこの実践主義に感化され、村上浩がマスクを被ってリングに上がったり、鈴木葉月が人生これ勉強の旅に出発したり、など無謀をしないことを祈るばかりである。栗下直也だけはま

『ビジュアルディクショナリー英和大事典』 新刊超速レビュー 書影

教養・雑学 / 新刊超速レビュー

『ビジュアルディクショナリー英和大事典』 新刊超速レビュー

このジャンルで最高・最上の一冊の改訂版がやっと出版された。このジャンルとは図鑑である。子供のころ、桜の花が大きく描いてあって、花弁・おしべ・がくなどの名前を知ることができる図鑑に夢中になったことがある人も多いはずだ。本書はその大人版であり日本語と英語は併記されることで英和辞典の役も果たしている。 もともとこのジャンルは同朋舎の得意分野であった。本書の初版も1

師匠のために死ねますか?  『師弟』 書影

人物 / 新刊超速レビュー

師匠のために死ねますか?  『師弟』

日々、喜怒哀楽の中で、笑ったり泣いたりしながら生きているが、泣き笑いすることはめったにない。そのためだろうか、私だけかもしれないが、落語や演劇を見て、泣き笑い状態に陥るのがものすごく好きである。しかし、なかなかそのような芸を見せてくれる芸人さんはいない。東の立川志の輔、西の藤山直美、というのが私的にはイチオシなのであるが、本を読んで泣き笑いということは、相当

『独裁者プーチン』新刊超速レビュー 書影

社会 / 新刊超速レビュー

『独裁者プーチン』新刊超速レビュー

テレビ・スポーツ紙はとにかく選挙一色の一週間だった。国民的行事とばかりにあらゆる媒体で、選挙結果に涙する姿が大写しで報じられていた。全身全霊をかけた勝負が数字という言い訳のできない具体性を伴って示される選挙には、いつの時代も涙がつきもなのか。ネットの一部で“完璧超人”とまで呼ばれるこの男でさえ、選挙後の涙から逃れることはできなかった。 異例の涙が見られたのは

『日本百名山を眺めて歩く』 新刊超速レビュー 書影

教養・雑学 / 新刊超速レビュー

『日本百名山を眺めて歩く』 新刊超速レビュー

就活生と話していると、面接で語るエピソードがないという人が多い。あったとしてもせいぜいサークルやアルバイトでのチョロッとした武勇伝で、これではほかの凡百とカブってしまうのだ。そこで極端な例として「日本百名山を麓から眺めた」などというエピソードを無理やり作ればいいじゃん、などとアドバイスしてきた。海外旅行より安上がり、発想はおもしろいが、どこかバカバカしく、と

『月刊誌セレクト』 6月号 お試し版 書影

新刊超速レビュー

『月刊誌セレクト』 6月号 お試し版

最近読んだ月刊誌を何冊かセレクトして紹介する『月刊誌セレクト』お試し版である。お気に召すであろうか。 『芸術新潮』6月号の特集は「創刊750年号記念大特集―貴重永久保存版 古事記」である。150ページを超える特集の分厚さにいささかたじろぐ。まあ、おっしゃるとおり保存しておいて、いつか読もうかという態度で良かろう。以前はその月の特集に興味があれば買ったのだが、

『銀輪の巨人』 新刊超速レビュー 書影

ビジネス / 新刊超速レビュー

『銀輪の巨人』 新刊超速レビュー

著者は朝日新聞国際部デスク。社会部、厦門大学客員研究員、イラク・アフガンでの戦場取材、台湾支局長などを歴任したいわば非ビジネス分野のエキスパートだ。そのような現役記者が著した本書は事実とインタビューにこだわった、読み物風に仕上がっているビジネス書だ。経営学特有の流行り言葉の乱発や無理なこじつけもなく清々しい。 かつて世界一の自転車輸出国であった日本が凋落し、

『進化論の何が問題か』 新刊超速レビュー 書影

サイエンス / 新刊超速レビュー

『進化論の何が問題か』 新刊超速レビュー

本書の主役は、『 利己的な遺伝子 』のリチャード・ドーキンスと『 ワンダフル・ライフ 』のスティーブン・J・グールド。言わずと知れたサイエンス界における大ベストセラー作家であり、研究者でもある2人は互いの著作を巡って激しく議論を闘わせていた。そのものズバリのタイトル、『 ドーキンスVSグールド 』という本も出版されている程に白熱した論争である。本書はこの2人

『書斎探訪』+『作家の本棚』 新刊超速レビュー 書影

教養・雑学 / 新刊超速レビュー

『書斎探訪』+『作家の本棚』 新刊超速レビュー

2冊の書斎本がほぼ同時に発売された。 『書斎探訪』は月刊『男の隠れ家』に連載されている「男の書斎」という記事を収録した1冊だ。書き手はフランス料理本の第1人者である宇田川悟だから文章が流麗で、とろみながらゆったりと読める。まさに日曜の午後の書斎で読むのにうってつけの本なのだ。逢坂剛、村上龍、北杜夫などの作家たち、滝田栄、秋山裕徳太子、渡部昇一などのちょっとク

『<癒し>のダンス』 新刊超速レビュー 書影

医学・心理学 / 新刊超速レビュー

『<癒し>のダンス』 新刊超速レビュー

最近仕事に忙殺されており、癒しを求めて手に取ったはずの一冊だったのだが、癒されるどころかギンギンに興奮してしまった。 主人公はボツワナの北西部にあるカラハリ砂漠で狩猟採集を営むクンの人々。このクンの成人の1/3以上が、薬物を使うことなしに、日常的に変性意識状態に入ることができるのだという。 変性意識状態とは、通常の日常的な意識状態とは別レイヤーに存在するもの

『アダプト思考』 新刊超速レビュー 書影

ビジネス / 新刊超速レビュー

『アダプト思考』 新刊超速レビュー

著者は英国Financial Times紙で Undercover Economist という人気コラムを担当している経済記者だ。このコラムと同名の書籍は邦訳され『まっとうな経済学』として2006年に発売されている。当時はスティーヴン・レヴィットの『ヤバい経済学』が世界的に売れていたため、日本の出版社はそれにあやかった邦題をつけて2匹目のドジョウを狙ったのだ