
『キム・フィルビー かくも親密な裏切り』 20世紀最悪のスパイは友情を武器にした
キム・フィルビーはすべてを手にしていた。英国上流階級出身、ケンブリッジ大学卒業、愛する妻子と多くの気が置けない友人。仕事においても、上流階級出身の特別なコネクションを持つ者だけが所属できる英国スパイ組織MI6の出世の階段を誰よりも早く駆け上っていたのだから、足りないものを探すほうが難しい。1940年に28歳でMI6入りした彼は、イスタンブール勤務などを経て、
292記事

キム・フィルビーはすべてを手にしていた。英国上流階級出身、ケンブリッジ大学卒業、愛する妻子と多くの気が置けない友人。仕事においても、上流階級出身の特別なコネクションを持つ者だけが所属できる英国スパイ組織MI6の出世の階段を誰よりも早く駆け上っていたのだから、足りないものを探すほうが難しい。1940年に28歳でMI6入りした彼は、イスタンブール勤務などを経て、

1962年10月15日から10月28日は、史上もっとも人類滅亡の危機が高まった13日間だった。なにしろ、アメリカとソ連という超大国同士の全面核戦争が、ハリウッド映画のストーリーとしてではなく、現実的なオプションとして両国首脳に議論されていたのだ。アメリカ大統領ジョン・F・ケネディもソ連第一書記ニキータ・フルシチョフも、決して望んではいなかったはずの破滅的な結

コンテンツとはそもそも何なのか、クリエイターはどのようにコンテンツを生み出しているのか、1億総クリエイター時代にコンテンツはいかにして差別化されるのか、そして天才クリエイターは通常のクリエイターと何が違うのか。スタジオジブリで「プロデューサー見習い」として過ごした著者が、「コンテンツとは何か」と問い続けた体験をもとに、これらの疑問に答えを出していく。 ジブリ

バブルの渦中にいると、自分を取り巻くものがバブルであると理解することは難しい。ハジけて初めて、それはバブルとして広く知覚される。本当の悲劇は、取り返しの付かない段階にならなければ気づくことができないからこそ、悲劇となりうるのかもしれない。それでも、リーマン・ショックが起こる前からサブプライムローンの 危険性にいち早く気づいて大儲けした人々 がいたように、人類

地球上で最も危険な生物は? サメ?ヘビ?それとも人間? 2014年4月末にビル・ゲイツが 自身のブログ で投げかけたこの質問が大きな話題を呼び、多くの ニュースサイトでも報じられた のは、その答えがあまりにも意外だったからだろう。危険の尺度を「1年間に何人の人間が殺されているか」とすれば、最も危険な生物はサメでもヘビでも人間でもなく、蚊なのだという。ある推計

失敗は絶対に許されない。1943年のノルウェーで行われたガンナーサイド作戦は、そういう作戦だった。だからこそ、クヌート・ハリケードは命に替えてもこの作戦を成功させると決意し、その口中に青酸カリ入りのカプセルを仕込んでいた。ハリケードはこの作戦の成否が世界の行末を左右すると信じていたのだ。 ノルウェーにあるヴェルモク水力発電所の破壊を目的としたガンナーサイド作

HONZ代表・成毛眞による技術探訪記『メガ! 巨大技術の現場へ、ゴー』の刊行記念として、この本のもととなった連載「 成毛眞の技術探検 」の担当編集者だった東洋経済オンライン山田俊浩編集長と成毛眞とのトークイベントが去る2月26日に開催されました。冷たい雨がしとしと降るあいにくの天候でしたが、多くの方にご参加いただき、会場は『メガ!』を支える技術に対する情熱で

無人航空機の実戦投入など実現不可能だと誰もが思っていた。2日以上飛び続ける無人機の開発プロジェクトを耳にしたアメリカ空軍の専門家は、「物理的に不可能だ」と吐き捨てた。技術的なハードルだけではない。無人航空機が戦争にもたらす意味を理解している人間もまたいなかった。1970年代にはイスラエル空軍最高司令官でさえ、「そんな無人機は、もし実現しても空軍では買わない」

テロ、紛争、無差別殺人。世界は悲劇的なニュースで溢れている。人類は自らの手でその未来を閉ざしてしまうのではないか、と不安になる。ところが、著者スティーブン・ピンカーは大胆にもこう主張する。 長い歳月のあいだに人間の暴力は減少し、今日、私たちは人類が地上に出現して以来、最も平和な時代に暮らしているかもしれない にわかに信じがたいこの説を検証し、読者に確信させる

始まりは騒々しい街中。子どもの泣き声に夫婦喧嘩の嬌声、食欲をそそる鍋を振る音。息遣いを生々しく感じさせるこの街の騒音が、男は無性に好きだった。突然、音に溢れるこの街に、ひときわ大きな太鼓のリズムが鳴り響く。音の源へ急いだ男の目は一人の少女の踊りに奪われた。その舞は、これまでに見たどんなものよりも激しく、華麗だった。衝撃的な出会いから男と少女の間に恋が芽生える

6,000円を超える価格、700ページに迫るボリューム、頻出する数式や化学反応式。この本の表面的な特徴だけに着目すれば、購入までのハードルは随分と高い。しかし、この本にはその価格以上の価値が間違いなくある。終盤まで読み進める頃には、「もっと読んでいたい」と思わずにはいられないストーリーがある。そして、この世界の成り立ちと仕組みを深いレベルで理解できる喜びがあ

ダイエットや資格の取得など、新たな1年を新たな目標とともにスターとした人も多いだろう。あなたの目標がどんなものでも、目標など設定していなくとも、本書が投げかけるメッセージ「Go Wild(ワイルドに行こう)」は人生をより良い方向へと導くためのヒントを与えてくれる。 本書の主張はシンプル。人類は600万年前の誕生から1万年前に農耕を発明するまで野生の生活を送っ

この本の編者ジョン・ブロックマンは、科学サロンである Edge.org の主宰者であり、そのサイト上で 毎年1つの質問 を知のトップランナーたちに投げかけている。本書は、2012年の質問に対する149人分の回答をまとめたものだ。 あなたのお気に入りの、深遠で、エレガントで、美しい説明は何ですか? スティーブン・ピンカーが考えたこの質問に対する回答は、物理学、

サバがマグロを産むとはなんとも信じがたいが、東京海洋大学の著者らは既に、ヤマメにニジマスを産ませることに成功している。結論から言ってしまえば、まだサバからマグロは生まれていない。それでも著者は、サバにマグロを産ませる研究は頂上までの道程の9合目に達しているという。この研究が発展すれば、人類と環境の関わり方はガラリと変わってしまうかもしれない。 本書はわずか1

天候不順によって延期が続いているものの、H-IIAロケット26号機による「 はやぶさ2 」の打ち上げが間近に迫っている(本書著者による打ち上げ延期 レポート )。東京オリンピックの興奮冷めやらぬ2020年末の日本に、「はやぶさ2」はどんな成果を持ち帰ってくれるだろうか。本書は、「はやぶさ」の大冒険から得られた成果を振り返るところからスタートし、「はやぶさ2」

なにかにつけて管理・監督されている面が多いと思います。(中略)宿題も全部提出しないといけませんでした。もっとも、自分の頭で考えたり判断したりする必要のある課題はありませんでしたが。 これは、自由の国アメリカでの留学体験を振り返ったフィンランド人学生の言葉である。ある調査によると、世界各国からアメリカへの交換留学生の6割がアメリカの親のほうが自国の親たちよりも

時代、地域や人種の壁を超えて共通する「人間の本性」とは、どのようなものなのか。そして、その本性はどのようにもたらされたのか。性の進化を理解することが、これらの謎を解く鍵であると著者は説く。 いくらでも多くの子孫を残せる男と、出産に多大なコストのかかる女。異なる戦略を持つ2つの性の軍拡競争にも似た競い合いは、人類の誕生から数百万年間休まず続いている。なにしろ、

マネーのない生活は想像すら難しい。電車に乗るためにも、ランチを食べるためにも、部屋に明かりを灯すためにも、マネーが重要な役割を果たしている。空気や水のように当たり前の存在だと思われるこのマネー、一体どのように生まれたのか。 マネーが生まれる前の社会から、マネーが発明される様子を想像してみよう。マネー以前の社会では、人々は自分が作ったモノと、自分が必要なモノを

7つのゴールデングローブ賞、11のグラミー賞、そして27のアカデミー賞。1995年の『トイ・ストーリー』を皮切りに、ピクサーが生み出した14の長編映画は、数えきれないほどの賞を獲得し、世界中の観客の心を動かしてきた。芸術面での高評価にとどまらず、どの映画も多くの人々を映画館へと向かわせ、商業的にも大きな成功を収めている。水物と言われることもあるコンテンツビジ

西アフリカでエボラが猛威を振るっている。WHOの発表によると、今回のアウトブレイクは、ギニア、リベリア、シエラレオネ3カ国での感染者が6553名、死者は3083名という史上最大の規模に発展している(2014年9月26日時点)。そしてついに、アメリカ本土での感染者も現れてしまった。アメリカ疾病対策センター(CDC)の想定では、このままの状況が続くと2015年1

死後3000年以上が経過した今も、このファラオには大国の首脳を動かす力がある。自国へのツタンカーメン来訪をエジプト大統領サダトに依頼したのは、米国大統領のニクソンだった。この直訴の結果1976年から1979年にわたって全米を回ったツタンカーメン展覧会は、100万という途方もない人数を美術館に向かわせる。来場者にはそれまで一度も美術館に行ったことのない人も多く

南米ペルー沿岸の広い範囲で海面水温が平年より高い状態が1年ほど続く、 エルニーニョ現象 。地球の裏側で起こるこの現象は、遠く離れた日本の夏をより涼しくし、雨の多いものとする。地球上の各地の気候はつながりあい、それぞれが影響しあっている。 2014年の夏は台風や局所的な豪雨などによる被害が頻発し、多くの人命が失われた。8月に広島を襲った豪雨は バックビルディン

5年ほど前、通っていた小学校が廃校になった。私が通っていた20数年前にも全校生徒数は70名弱だったというのに、30代となった同世代のうち今も地元にとどまり子どもを育てているのは数名だというのだから、当然ともいえる結果だ。小学校の次は何がなくなるだろうか。パンチパーマのオヤジがやっていた床屋だろうか、帰り道に寄っていた駄菓子屋だろうか。30年後には街そのものが

「 四大文明 」という言葉、文明のとらえ方は日本独自のものだという。エジプト、メソポタミア、中国、インダスという旧大陸の大河流域に興った一次文明(何もないところから生まれた文明)をまとめて指すこの概念は、1952年に高校世界史の教科書に登場したことから普及し始めた。この奇妙で誤った「四大文明史観」では世界史を正しく理解することはできない、と本書は説く。なぜな

ネットワークはどのように成長し、崩壊するのか。脳科学者であり、複数の企業を経営する起業家でもある 著者 は、脳科学と生物学、インターネットテクノロジーの領域を縦横無尽に行き来しながら、ネットワークを支配する理論を明らかにしていく。本書でネットワークの仕組みを知れば、SNSやインターネットだけでなく、人工知能の行く末までもが見えてくる。 アリのコロニー、人間の

あちこちを飛び回って花粉や蜜を集める働きバチと、じっと巣の中で卵を生み続ける女王バチ。同じ両親から生まれていながらも、全く異なる生涯を過ごすこととなるハチたちの運命を分けたものは何なのか。遺伝だろうか、それとも、与えられる栄養や環境の違いが彼らの運命を違えているのだろうか。 この謎を明らかにする鍵は、エピジェネティクスにある。著者は、エピジェネティクスは、ゲ



ヒトはどこから来て、どこへ行くのか。いつの時代も人を惹きつけ、現代でも問われ続けている問いである。ダーウィンの『 種の起源 』をきっかけに、生命の進化にはより一層の関心が払われ、科学の発展とともに多くのことが明らかにされてきた。 それでは、生命を生み出した地球は、そして地球を構成する鉱物は、どのように進化してきたのか。これは、これまで十分に注意を払われてこな

この10年間の最大の過ちは教育にありました。ことにイデオロギー的、政治的教育です。単に学生たちに対してのみならず、人民一般に対する教育です。 1989年に世界を震撼させた 天安門事件 を振り返り、鄧小平はこう語った。彼は、民主化を求める抗議行動の拡大を目の当たりにして、1980年代における共産党の最大の過ちは、人民に銃をつきつけたことではなく、イデオロギー教

中国から“ものづくり”を取り戻せ。こんなスローガンが聞かれるのは、かつてのものづくり大国・日本だけではない。リーバイスのようなアメリカン・スピリッツを象徴する企業までもが製造拠点の全てを海外に移し、失業率が高止まりするアメリカでも“製造業保護活動家”たちが製造業の復権を強く訴えているようだ。しかし、カリフォルニア大学バークレー校教授で経済学者の著者エンリコ・

ビズ・ストーンは、 200万ドル以上の価値をもつグーグルのストックオプションをあっさりと放棄した。貧しい家庭に育ったビズの貯金はゼロだったが、迷いなどなかった。この2005年時点で既に巨大企業となっていたグーグルで、これ以上ビジネスライクな人間と堅苦しいルールに縛られて生きていくことなど、ビズにはとても耐えられなかったのだ。グーグルを去ったビズは、憧れの人で


東京大学で知の最前線に挑み続ける6人の研究者へのインタビュー集である。インタビュイーの顔ぶれは、以下の通り。 ・素粒子物理学:村山斉 ・植物病理学:難波成任 ・イスラム政治思想:池内恵 ・情報通信工学:江崎浩 ・西洋経済史:小野塚知二 ・有機合成化学:井上将行 これほど幅広い分野の一流研究者の研究エッセンスを引き出すことは容易ではない。しかし、本書では元マッ

12万人。2006年から6年続いた カルデロン 政権下、メキシコ麻薬戦争によって失われた命の数である。異常なのは犠牲者の数だけではない。用いられる武器、残虐性も想像を超えている。けん銃やマシンガンは当たり前、手榴弾も決して珍しくはないという。メキシコが直面しているのは、マフィアたちの抗争や縄張り争いなどという言葉では片付けられない、“戦争”なのだ。 敵対集団

福島原発事故は「第二の敗戦」だった。 著者は、深い敗北感のただなかにいる。わたしたちは何も学んでいないのではないか、日本は70年前の敗戦から何も変わっていないのではないか。 民間事故調 のプログラム・ディレクターとして、ジャーナリストとして、つぶさに事故の経過を調査・検証してきた著者は、敗北感にとらわれながらも、日本再出発への道を模索する。 本書では事故を時

HONZ第2期学生メンバー募集に多くの応募をいただき、ありがとうございました。募集要領でもお知らせしましたように、私の独断と偏見に基づく書類選考及び面接を行った結果、下記1名の方に学生メンバーとして参加していただくこととなりました。 峰尾 健一さん 峰尾さんには、 3月3日の公開朝会@B&B (満員御礼)より学生メンバーとして活動いただきます。新たなメンバー

FBIとはFederal Bureau of Investigationの略称であり、日本語では連邦捜査局となる。その名前や映画で伝えられるイメージから、FBIをアメリカの州をまたがる凶悪犯罪を担当する警察、と考えている人もいるだろう。ところが、FBIの主たる目的はその誕生から今日まで、秘密諜報活動にあると著者はいう。 CIAとは異なり 、FBIには犯罪を取

飛行の夢に挑んだ人々の、技術開発の物語である。航空工学を専門とする著者が、飛行機技術進化の歴史を、多くの図版と少々の数式、そして科学者・技術者の人生とともに描き出す。技術発展の経緯を丹念に追うと、科学と技術がどのように共鳴するのか、技術がどのように積み上げられていくのか、そして技術がどのように世界を変えるのかが見えてくる。あるときは科学的真理の発見が技術を飛

失った。本書の著者、パレスチナ人医師のイゼルディン・アブエライシュは、あまりに多くを失ってしまった。それは彼が、妻を急性白血病で亡くしてしまったものの、8人の子供たちと前向きに生きていこうと決意した矢先の出来事だった。2009年1月、3人の娘と1人の姪は、二度と抱きしめることができないほどに遠くへと旅立ってしまった。奪われた、という表現の方が適切かもしれない