
泥棒稼業も楽じゃない『空き巣なう』
闇夜を駆け、密かに忍び、大金をせしめて逃げる。 普段、私達は空き巣の稼業など想像もしないだろう。タイトルがあまにりにポップなので侮っていたが、事実は小説よりも奇なり。本書は空き巣家業50年余の著者による体験録である。 著者が犯行におよんだ場所は、滋賀、奈良、三重など実際の現場が登場している。パトカーから逃走した国道42号線、ナンバーを控えられた津市など具体的
(2024年当時)
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闇夜を駆け、密かに忍び、大金をせしめて逃げる。 普段、私達は空き巣の稼業など想像もしないだろう。タイトルがあまにりにポップなので侮っていたが、事実は小説よりも奇なり。本書は空き巣家業50年余の著者による体験録である。 著者が犯行におよんだ場所は、滋賀、奈良、三重など実際の現場が登場している。パトカーから逃走した国道42号線、ナンバーを控えられた津市など具体的

たとえば、干上がってしまった池があるとして、その乾いた池の底には、わずかな水しか溜まってないとする。一見、乾ききって水が失われたように思えても、わずかな水の穴の底には、もしかすると地下水脈とつながっているかもしれない。 これは本書を読み終えた後のイメージだ。会社員として働き、日常生活でこんなものか、と現実的かつ半ば落としどころを探しながら働いている人、もしく

著者の息子オスカーの質問だ。子供は本物の哲学者だとよくいわれる。こんなことを実際に聞かれたら思考が一瞬、停止してしまうかもしれない。 本書は魅力的な哲学の本だ。哲学といっても、まったく固くならずに読める内容である。著者はドイツ人作家で哲学者のリヒャルト・ダーフィト・プレヒト。 原書 はドイツ語版『Warum gibt es alles und nicht n

AKB48、ももいろクローバー、KARA、少女時代…2013年現時点でのエンタテイメント業界はその役者の揃いぶりからアイドル戦国時代とも呼ばれる。確かにPerfumeのライブは完成度も高く「アイドル=見習い」というイメージから逸脱している。単純に可愛く歌って踊るだけのプロトタイプのユニットは終焉し、これからは視覚的パフォーマンス、とりわけダンス部分がもっと重

本書には2013年現在、最も高度な最新技術で撮影された画像が掲載されている。月刊 コマーシャル・フォト に連載された人気連載「特殊撮影見聞録」の4年間分をまとめて1冊に再編集したものだけあって、内容が濃密だ。 撮影ジャンルは最先端技術による宇宙撮影から限界ギリギリの深海、超望遠から超マクロ、X線や赤外線撮影に至るまで多岐にわたり紹介しており、超最先端画像のこ

オフセットなど印刷技術が発達したおかげで、今ではポスター・チラシ・名刺など業者に発注すれば美しく仕上がる。ところが、この流れとは全く逆に進むやり方があった。 大阪にある印刷会社「レトロ印刷JAM」が提案するレトロな風合いを可能とする「レトロ印刷」。この印刷方式だと色落ちはする、裏面には透ける、精密な写真の描写もできないなど多くの制限があるのだが、その代わり一

表紙のイラストは、ゴルフ本を読んでいる男性が“ スイングを我慢してはいるが、身体が微妙に揺れている ”図である。 本屋が好きな人なら、この一冊は終始笑えて楽しめる。あるあるネタとは、日常生活で身の回りの些細なことを挙げ、読む人に共感を得て笑いを誘う技術である。古くは枕草子もこの形式を採用し原稿を書いていた。書店員からすればゴルフ姿のおじさんは話のネタであり、
続・群馬の逆襲 (笑う地域活性化本) HONZメンバーが最近熱く注目している大阪などは、名産名所が山ほどあるので御当地ランキングなんか気にもしないだろう。 しかし私の出身である群馬県は、2008年度47都道府県「地域ブランド力」調査で、なんと最下位だった。地元話をしても群馬については「えと…東北?だっけ?」みたいな反応も少なくない。地方出身が多いHONZメン

タイトルに「ヘンな」とあるように、ちょっと変わった美術本だ。 アートに興味を持つ人ならば、表紙でピンとくるかもしれない。帯の上を眺めると、絵師であろう様々なおじさん達が絵を描いているが、タッチが柔らかいせいか、みんな楽しそうで宴会のようにも見える。なんだか最初から力が抜けている。その奥でムム!っと唸っている男性がひとり。本書の著者である。 著者は画家の 山口

2009年に他界した平山郁夫といえば、東山魁夷、岡本太郎と並び日本で最も高名な画家の一人として知られる。本人の絵を飾っている方もいるかもしれない。 国内において一番知名度があり、値段が高く、画壇ヒエラルキーの頂点にいた事実でいえば「平成の国民的画家」は間違いなく平山郁夫だろう。なにより「芸術家は貧乏だ」という常識を覆す美術界のモンスターだった。 平山自身は画

本書は美の歴史100年を俯瞰したものだが、冒頭のワードマップに驚いた。その年表は世界の出来事と、アーティストの登場/主義と歴史がディケイド(十年)ごとに分けて整理している。ありそうで見た事がなかった。すでに〈ワードマップ〉シリーズではロングセラー『現代美術─アール・ヌーヴォーからポストモダンまで』(1988年)があるが、半世紀経過した今のタイミングで改良し本

真面目な本の紹介ばかりをしていると、たまにシュールな図版ものを挟みたくなってしまう。前書は2011年に発売された『図解!! やりかた大百科』。この本はさまざまな「やりかた」をイラスト付きで紹介している。たとえばテーブルの下で足でいちゃつくには、やぎの乳の搾り方など私にとってシュールな内容たっぷりの本であった。今回紹介するスピンオフ版は、生き残る事に特化した『
◆本を読まない人間 HONZはめでたく1周年を迎えたが、その裏で、私の人生は劇的に変化した様子を綴ろうと思う。 名前は新井文月といい、女性を想像する方も多いと思うが、残念ながら男である。 特技は絵を描く事とダンス。HONZと出会う前は女性にだらしなく、将来計画もしない、ゲームと漫画が大好きで金銭感覚ゼロの人間だった。画集や図版は好きなものの、本は読まなかった

多くの人間が国を語る光景を見ると三国志のマンガ『 蒼天航路 』の場面を思い出す。関羽がモンゴルの少年と出会い、それまで儒の思想一辺倒から脱却し、これからの中華の未来を描くなかで少年は「辺境の地に生まれた俺がこの壮大な中華の政を考えてもいいのか?」と問う。関羽は君もこの中華のひとつだと返す。少年は「あんたの魂は受け取った、俺はこの種を故郷にまく!」と天に向かい

住居空間は生きる上でかなりの時間を費やす非常に重要なスペースだ。普段の生活も環境さえ整えば、住んでいる当人はとても豊かになっていく。デザインも日々進化しているのと同様に、住居もそれに伴い住んでいる人の用途に合わせて生き物のように変化していいはずだ。 2012年現在では単純に新しい空間がよいと思える時代は終わったのではないだろうか。これからは、すでにある空間や

マイブームではないが、いつも本を探す時に気になるワードがある。それを一度意識しだすと、不思議なことにその言葉を何度も目にするようになるのは私だけだろうか。 最近は「至福」という言葉だった。意味を調べると、単純に「幸せ」という言葉にも段階があり、中でも至福は最上位における愛で満たされている状態らしい。偶然にも本書を購入した後にそのキーワードは各所に入っていた。

「たけしの誰でもピカソ」の北野武さんは、以前アーティストについて「芸がよければ王様ですら言うことを聞く」と言っていた。ヨーロッパの宮廷には王の側近に道化がいた(宮廷道化師)。城の中にはイエスマンしかいないので、道化はその組織と制度に属さず、一歩離れた視点から国や王の行動を観察し、冗談を装いながら批判し、時には王をいさめていた。これは豊臣秀吉に対する千利休と同

「アート」とか「味」という類の言葉は結構便利で、世の中の大部分はそれでどうにかなってしまう。それらを口にさえすれば、え?と思うようなものも、え?と思う側の人を無粋にしてしまう、なんとも魔法のような言葉でもある。 本書は以前、芸術新潮に掲載されていた「股間若衆」と「新股間若衆」の連載と、追加で書き下ろされた「股間漏洩集」が纏められ単行本となったもので、日本の近

タイトルの如く武術に特化した本だ。武器甲冑系の図説本はストライクすぎて購入するとキリがないのだが、本書は必読に値する。ロングソードやダガー、スピアなど武器毎の戦闘方法を豊富なイラストつき(師匠と弟子が戦闘する設定)で解説されている。それも甲冑同士の格闘戦、転倒した場合の床技からトーナメントでの効果的なランス突撃法まで紹介しており、日本語で西洋武術をここまで網

図版のある本が大好きなので、本屋ではいつもチェックしているのだが、HONZに参加する事でさらに輪をかけて調べるようになった。今回はその中でも上位に属する「鳥系の本」だ。 私は都内の大学に入学する迄は田舎で育ったので、周りは田んぼと山ばかりだった。子供の頃、そんな景色の中で大きな鳥を見れば「あれは鷹だ!」とか言い張っていたが、実際はトンビだった。同じように高い

今回紹介する本は、かなりロマンチックだ。 いつも本気でオススメ本を紹介しているが、HONZを閲覧していただいてる方(8割の男性)には、一見かなりのロマンチック風で違和感ある場合もあると思うので、あらかじめご了承願います。 著者の占いサイト「 筋トレ 」は口コミで広がり、今では3600万アクセス(2012年3月)を誇る超人気サイトとなった。サイト上ではホロスコ

色の本については、HONZ朝会で頻繁に話題になっていたが、またまた面白い本を発見した。 本書は一見、図説系資料本と思いきや、脳生理学による科学的根拠に基づき、色の原理を解き明かしている。特定の色を見た時、それから引き出される生理現象、刺激部位、分泌物、効果を解説している。なので、例えば30代を過ぎて魅力をもっと出したい人には、ファッションに活用していくのはど

ロベール・クートラス(1930~1985)という画家は生前、現代のユトリロと評されていた。フランス存命中にも熱心なファンがいたものの、美術界で光があたる評価はあまりされなかった。しかしその作品達が没後四半世紀を経て、現在故郷パリから遠く離れた日本で注目をあびている。 舞台はフランスなので、物語にはパリの町並み、アルザス、ブルターニュのカテドラルなどが背景であ

日本文化における「かたち」を読み解く事典だ。「かたち」は直接的に目に飛び込んでくるものありながら、独自の文化や思想を含んでいる。つまり「かたち」とは、かた【型】+ち【魂】であり、本書は独特な日本文化の「かたち」を解説している。 発刊元である「形の文化会」の活動は、文化領域に括られる「かたち」を、科学・文化・歴史の視点で総合的に新しく研究し、人類思想上における

本書は雑誌『暮しの手帖』に連載の人気コーナー「考えの整とん」6年間分が編纂され、書籍化されたものだ。著者はNHK教育番組『ピタゴラスイッチ』の企画・監修を務める佐藤雅彦。東京藝大大学院で映像の教鞭をとる表現の研究者である。 著者は電通勤務時代、CMプランナーとして湖池屋「ポリンキー」、「ドンタコス」、NEC「バザールでござーる」など、様々なヒットCMを手がけ

「ウチは無宗教です」と言う人がいるが、日本は八百万の神達が集まる国であり、初詣は神道、葬式は仏教、結婚式はキリスト教といった調子で宗教のフィールドをうまく住み分けているのが現状だ。 ペンブックスシリーズは茶の湯、神社仏閣、戦国武将など知的好奇心をくすぐられる特集が多いが今回はキリスト教。現在の世界人口は約70億人であるが、その内キリスト教徒の数はローマ・カト

昨今の美術館は、どこも休日は大人気で鑑賞者で一杯だ。都内の根津美術館などは平日でも込み合っているし、伊藤若冲の展示を観るため東京国立博物館まで足を運んだ事もあったが、最終日という事で館内は満杯で鑑賞どころではなかった。そんな経験から、晴耕雨読ではないが人の少ない雨の日を狙って、美術館に行く事に決めた。入場すれば白い壁に囲まれ、天井の高い部屋に入り、日常と切り

アイ・ウェイウェイの名前はそこまで日本では浸透していないだろう。艾未未、日本語読み(がい びび)中国読みで(アイ・ウェイウェイ)という彼は現代美術家・キュレーター・建築家・詩人・都市計画家であり、父であるアイ・チンは1930年代のパリでアートを学んだ詩人である。父アイ・チンはランボーやボードレールといった詩人の影響を受け、中国に帰国した後は最高の現代詩人と称

私事で恐縮だが、順調であれば来年の春に父親になる予定だ。最近は子供の名前を考えたり、将来どういった人間になってほしいか人並みに考えたりもしてしまう。それでも、最終的にはなるようにしかならないと思いつつ、キラリと何か1つでも輝けるもの持ってもらえたらと密かに期待したりもする。本書はそういった私の子育て哲学を後押ししてくれる一冊だ。 今、20~30代の多くは自分


2011年10月5日、アップル社の会長スティーブ・ジョブズが他界した。 ジョブズは自身の死を予測し、伝記作家ウォルターアイザックに生前から「内容に文句を言わないから伝記を作成してほしい」と依頼しており、本書はインタビュー嫌いな著者の唯一の公認本となった。10月24日に世界同時出版されたこの本には、ジョブズの強さ/弱さを含めた生の声が詰まっている。 私は大型

タイトルからして何やら怪しい内容だが、あなた様が想像しているものとはきっと違います。 田中 泯はダンサーであり、舞踏(ぶとう)の人物だ。 舞踏は日本で発祥し、半裸で踊るスタイルである。疾走する身体というよりむしろ動かなかったりする。しかし死を匂わせる静止した動作かと思いきや、いきなり生に執着する表情をとり、口を全開させた呼吸音が胸に響く。その支離滅裂な行為に

運動不足の人が本当に多い世の中だ。 デスクワークでパソコンの仕事をする人は、ほとんど目と指と大脳以外は動かしていない。両手をポケットにつっこんで歩いている人は、手は動かさず、足の前後運動だけで前に進もうとしている。そして現代人は、そこまで動いてないのに時間がきたら3食きちんと食べようとする。それでは病気になるのもあたりまえだ。 私もひとつの作業に没頭してしま

ものづくりが好きだ。 ナチュラルなカフェ空間が好きだ。 アンティークが好きだ。 日曜日なんかペンキで家具を塗りたくなる。 以上が当てはまる人達に、強くオススメするのが今回の本。タイトルはさておき、この DIY 本を侮るなかれ。インテリアの本には珍しく、味わい深い木製窓や、銅管でつくるシェルフ、壁一面の本棚をセンスよく仕上げる方法が紹介されている。本が好きな人


高級ブランドのロゴはなぜ高そうにみえるのか?そんな文字にまつわる素朴な疑問に答えてくれる本である。デザインに少しでも興味ある人なら、ちょっと中を見れば興味が湧くだろう。 中を覗けば美しい文字の組み合わせと、フォントのサンプルであるブランドショップや海外の写真がフルカラーで掲載されている。フォントの本は数多く販売されているが、本書は見ているだけでも楽しい。 著

日本の春画は海外で高い評価を受けている割に、残念ながら国内での評価は低い。春画といえばポルノと誤解され「異端」の扱いを受けてる。こうした現状に疑問を持ち、長年地道な春画研究を続けてきた著者は、「江戸人はそんなに野暮じゃねえ」と言い放つ。 国際浮世絵学会常任理事である著者は、春画こそ「遊び絵」「笑い絵」として粋な江戸人の間で流行していたと主張する。現在のポルノ

HONZ新井文月です。このコーナーはHONZメンバーにより、マニアックなテーマに添った本を紹介します。初回テーマは「これじゃあ世の中わたっていけないだろう著者 ベスト3冊」です。はじめに断っておきますが、本の内容は素晴らしいものです。 まず1冊目『狩猟サバイバル』服部文祥。著者は登山家であり、本書では食べ物を現地調達しながら南アルプスを目指します。装備は次第
荒木飛呂彦の奇妙なホラー映画論 (集英社新書) 荒木飛呂彦の奇妙なホラー映...の他のレビューをみる» 荒木 飛呂彦 集英社 (2011-06-17) 岸辺露伴 ルーヴルへ行く (愛蔵版コミックス) 岸辺露伴 ルーヴルへ行く (愛...の他のレビューをみる» 荒木 飛呂彦 集英社 (2011-05-27) ホラーの魅力を伝達 荒木飛呂彦といえば『ジョジョの奇