
民俗・風俗
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『イスラム飲酒紀行』 プレジデント9月12日号掲載
イスラム圏ではエジプト、モロッコ、新疆ウイグル自治区などに行ったことがある。それぞれヨーロッパ人の避暑地であったり、シルクロード観光の拠点であったりと、じつは家族旅行向きなのだ。これらの国ではホテルの中は欧米だから、酒は飲み放題である。日没時に町中のスピーカーから聞こえる、礼拝を促す詠唱「アザーン」を聞きながらビールを飲むことほど気持ちの良いものはない。 乾

『東方女人国の教育―モソ人の母系社会における伝統文化の行方―』
本書によれば、「民族」という単語は1900年頃日本から中国に輸入された和製漢語らしい。清末民初の政治家の梁啓超が、亡命先の日本から送った文章にこの表現があり、ここから「中華民族」という概念に繋がった。孫文が「民族之統一」と言った当初は、漢・満・蒙・回・蔵の5族を1つにすることを意味したが、その後、全ての少数民族を含めた「中華民族論」となった。この「少数民族」


『ヌードルの文化史』
ヌードルと言えばやっぱりラーメンだ。学生時代、研究室で煮詰まった時には皆でラーメンを食べに行った。時には先輩におごってもらった。自分が先輩になった時には、一緒にゲームをやってあげた。リラックスと言う意味では同じだ。それにしてもラーメンは随分とブランドになった。1000円くらいしても全然驚かない。ちょっとした贅沢っていうやつでしょうか。 著者のナイハードさんは

『江戸の春画 江戸人の性愛を描く』
日本の春画は海外で高い評価を受けている割に、残念ながら国内での評価は低い。春画といえばポルノと誤解され「異端」の扱いを受けてる。こうした現状に疑問を持ち、長年地道な春画研究を続けてきた著者は、「江戸人はそんなに野暮じゃねえ」と言い放つ。 国際浮世絵学会常任理事である著者は、春画こそ「遊び絵」「笑い絵」として粋な江戸人の間で流行していたと主張する。現在のポルノ

『なぜ人妻はそそるのか?「よろめき」の現代史』
出版社/メーカー: メディアファクトリー 「人妻」と聞くと少し変な想像をしてしまうのは私だけだろうか。人妻、人妻とつぶやいていたら、もやもやしてきたので、広辞苑を開いてみたが、我が家にある昭和43(1968)年発行の広辞苑には「ひとづま」という言葉は見あたらない。 仕方がないので、新明解国語辞典(1993年発行)をめくってみると、「すでに他人の妻になっている

アニエス・ジアール『エロティック・ジャポン』@ミステリマガジン4月号
書店の平台でひと際目を引いていた。しかし手に取るのは躊躇われる。女ならばなおさらだ。しかし、どうしても気になって取り上げ中をパラパラ見て「これは買いだ」と直感した。で、値段を見て仰天、3800円!一度は戻して家に帰ってきたものの、どうしても欲しくて手に入れた本が『エロティック・ジャポン』である。 著者のアニエス・ジアールは新進気鋭のフランス人女性ジャーナリス
『社会調査史のリテラシー -方法を読む社会学的想像力-』
図書館で借りざるを得なかった本書。今和次郎の考現学を思わせる装丁、600頁超の分厚さ、そして税込6,000円超。サブタイトルにある社会学的想像力という社会学者ミルズの言葉に浪漫を感じ、見つけた本書。社会学的想像力とは一般的に「ミクロな問題とマクロな社会構造との連関を、洞察できる能力」のこと、つまりは世界の大局との関係を意識しながら、目の前の小さな問題に取り組

『ご先祖様はどちら様』
この本は将来、自分の名前を世に打って出よう、有名になろうと思っている方は必読である。テレビに出たり、有名になると急に親戚が増えるというではないか。物理的に増えるのではなく、希薄だったつながりを、有名になったと同時に無理やりにでもこじつけて、親戚だ!とでも言いたいのだろう。遠い親せきに有名人がいる輩が、有名人と血のつながりにあることを誇りに思って、公言している
吉岡逸夫『白人はイルカを食べてもOKで日本人はNGの本当の理由』(講談社+α新書)
昨年のアカデミー賞ドキュメンタリー部門を受賞した『ザ・コーヴ』は和歌山の太地で行われているイルカ漁をセンセーショナルに撮影した作品である。先祖代々受けついできた漁業をやめろと声高に叫んだこの映画は、上映問題でもめたので、記憶にある人も多いだろう。 実際、ドキュメンタリーやノンフィクションは撮影者や監督、作者の意図によっていろいろな見方があるから、作品を作るこ

『ご先祖様はどちら様』
著者の髙橋秀実(ひでみね)氏はノンフィクション作家である。かつてフリーペーパー『R25』でも巻末コラム「結論はまた来週」を担当しており、私も街頭で何気ないタイトルに気を取られて読み進めるうちに、いつの間にか橋ワールドに引き込まれてしまったこともしばしばあった。 「情報」を使いこなす弥生人に取り残された、行き当たりばったりの縄文人タイプの人間・・・・・・。本
『ご先祖様はどちら様』
自称・根無し草の私が思いますに、高橋さんはプロフェッショナル・根無し草の薫りがします。 おそるべきフットワークの軽さ。ご先祖様の話だけじゃなかったのか。まずは手始めに古墳について調べ、「自宅が古墳の上だった!」と感動する。ここで言う高橋さんの“ご先祖様”って縄文人だ。雰囲気が縄文人ぽいと言われたからだ。随分遡った。そうかと思えば、奥さんに「女の人って、前世と

『シャネルN°5の秘密』
畏敬を込めて「モンスター」と呼ばれ、30秒に1本、世界の何処かで買われる永遠の名香、シャネルN゜5。そのロングセラーの神話が、ココ シャネルの生い立ち・愛の遍歴を縦糸に、時代・文化のシンボルとなりうる歴史背景を横糸に解き明かされていくストーリー展開は、読み応え抜群。 お粗末な香水をつけている女性に、未来はないわ —— ココ シャネル シャネルN゜5はココ シ

『ご先祖様はどちら様』
09年の東京都議会議員選挙を控え、私はそわそわしていた。テレビで私の苗字が連呼されていたからだ。「くりした氏」、「くりした氏」と。テレビを注意して聞くと、「くりした ぜんこう」という26歳の若者らしい。くりしたという苗字はありそうだが、実は少ない。自意識過剰なのかも知れないが、何とも落ち着かない。くりした氏の連呼がピークになったのは選挙の翌日以降だ。自民党盤

『華麗なるフランス競馬』 大串久美子
装丁が格好良かったので買った一冊だったが、内容も面白い。フランス史を競馬という視点から再構築しなおす本だ。まず筆者の仮説を紹介する、「競馬のせいでフランス大革命も七月革命も起こり、ナポレオンはサラブレッドを否定したのでイギリスとの戦争に負け、産業革命は競馬への情熱によって促進された」。奇論のようだが、本書を読みすすめると妙に納得させられる。 まずもって冒頭の

『名前とは何か なぜ羽柴筑前守は筑前と関係がないのか』
『名前とは何か なぜ羽柴筑前守は筑前と関係がないのか』小谷野敦 青土社 好き嫌いが別れる著者であろうが、私は小谷野敦が好きである。「東大を出たのに何でもてないのだ、おかしいじゃないか」など大人は思っていても言わないものだが、言っちゃうところがよいじゃないか(『もてない男』『帰ってきたもてない男』)。大学院時代、自分より早く脚光を浴びた先輩やらに嫉妬を隠さない
『日曜日のアイデア帖』
本書は、季節のイベントを豊富なイラストとカラフルなページで紹介する、とてもカジュアルな本だ。季節のイベントの話や、由来が書かれていておもしろい。 例えばエイプリルフールは、「起源は、聖書説、十六世紀のフランスの新暦制定時のトラブル説、インドの仏教修行説などいろいろある。日本では、江戸時代から不条理の日と言われ、日頃の不義理を詫びる日とされていた」ということだ
ブラジル67の秘密 『ブラジルの流儀』 和田昌親
★★★★☆ ブラジル好きの人はもちろん、沈んだ気分を吹き飛ばしてクスッと笑いたい人におススメ 佐々木俊尚氏によると、外食に行っただけで、「不謹慎だ」などと罵られるらしい (Togetter) 。近所のレストランに潰れてもらっては困るので、私もせっせと外食にでかけたが、西麻布近辺のレストランはこの連休中は大抵がらがら。被災地とは比べられるはずもないが、東京にも
みうらじゅん『ムカエマの世界』(ちくま文庫)
私たちの世代は、全共闘から一回り下で、共通一時試験はまだなく国立大学が一期校、二期校と2度受験できた時代だ。思えば遠くに来たものだ、と感慨深いが、それといって特徴のない世代だとも言われてきた。「しらけ世代」だの「新人類」だのと呼ばれたが、人ごとのように聞いていた。校内暴力で学校の窓ガラスを全部割った世代を子供だなあ、と見ていたし、今ほどではないが就職難の時代
宮田珠己『だいたい四国八十八ヶ所』(本の雑誌社)
友人からブログの名前がなんで 『本読みの理不尽』 なの?と聞かれた。 いままでブログの ブ の字も考えてなかったのだけど、タイトルはかっこよくしたい。 おお、そうだ、ワタシは仕事に行き詰るとこの本を開いて笑い、心を和ませていたのだ。 昨年 『旅の理不尽』 が復刊されたのだった。 宮田珠己のエッセイはワタシの心のカンフル剤だ。 ここからタイトルをお借りしよう。

『パチンコがアニメだらけになった理由』
著者の安藤健二氏はノンフィクション作家である。パチンコにアニメとは、一見大衆誌のサブ・カルチャー特集のようなテーマではある。しかし侮ることなかれ、この本ナカナカ良くできている。パチンコ・宝くじ未経験はおろか、ラスベガスですら一度もギャンブルに手をつけなかった私が一気呵成に読破してしまった。 テレビではアニメのものと見紛うパチンコのCMを目にし、街ではアニメ・


『日本の路地を旅する』
本書の「路地」とは被差別部落の意味である。著者は中上健次の小説に習い、被差別部落に「路地」という言葉をあて、部落が身近に存在することを指摘したかっという。確かに東京の外れに住む私は、関西と違い同和問題とは無縁で、被差別部落と聞いても、白土三平『カムイ伝』の印象しかないが、それは差別されない側の無自覚、無責任さなのだろう。 著者は大阪の被差別部落で生まれ育った
他人の立場にたつということ 『黒檀』 カプシチンスキ著 工藤幸雄/阿部優子/武井摩利訳
採点:★★★★★ 2010年のベスト1。2010年どころか、アフリカもの、ルポルタージュものでもNo.1。どんな人にも手放しでおすすめ!! 2010.9.26付けの日経書評で知り直ぐに購入したが、読み終わるのがもったいなく、3ヶ月くらいかけてちまちま読んだ。池澤夏樹氏による世界文学全集の中の一冊だが、本書はフィクションではなく、ポーランド人ジャーナリストのリ