
『私はすでに死んでいる──ゆがんだ〈自己〉を生みだす脳』 「自己」という感覚を脳はどのように構築しているのか
「私はもう死んでいる」(コタール症候群)、「この足は断じて自分の足ではない」(身体完全同一性障害)、「目の前にもうひとりの自分が立っていた」(ドッペルゲンガー)──わたしたちが「自己」と呼んでいるものに歪みを生じさせるような、驚くべき症例と経験の数々。本書は、それらの症例と経験を手がかりとしながら、「自己とは何か」という大問題に迫る挑戦的な一書である。 挑戦
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「私はもう死んでいる」(コタール症候群)、「この足は断じて自分の足ではない」(身体完全同一性障害)、「目の前にもうひとりの自分が立っていた」(ドッペルゲンガー)──わたしたちが「自己」と呼んでいるものに歪みを生じさせるような、驚くべき症例と経験の数々。本書は、それらの症例と経験を手がかりとしながら、「自己とは何か」という大問題に迫る挑戦的な一書である。 挑戦

この冬、最強寒波が世界各地を襲っている。日本の北海道・東北・北陸地方では記録的な豪雪となっているし、世界各地でも年初よりアメリカ北東部やロシアの東シベリアは猛烈な寒波におそわれている。ついには北アフリカのサハラ砂漠にて異例の積雪が観測されたという。いったい全体、何がおこっているのか。 どうやら北極の温暖化がその原因のようである。北極の海氷が溶けたことが中緯度

印象派の影響力は強い。かつわかりやすい。 他の芸術ムーブメントである新古典主義やロマン主義、ダダイズムなどは聞いても私達はピンとこないのではないか。しかし印象派だけは誰もが知っている。それだけ人の心に訴えかける共感力や、ぱっと見た時の色彩の心地よさがあるのだろう。数字の面でいうと、75万円の絵が一気に2億円以上に跳ね上がるなど影響力もある。 本書は初心者が印

書店で、テレビで、ツイッターで、AIの二文字が踊っている。創造性あふれる小説の執筆や複雑なビジネスオペレーションの効率化など、これまで人間にしかできないと思われていた知的活動を、最新のAIが軽々と成し遂げたことを伝えるニュースは引きも切らない。 特に、将棋や囲碁のトッププロをAIが打ち破ったニュースは驚きとともに世界に伝えられた。ウサイン・ボルトより早く走る

東証一部に上場以来破竹の快進撃でグローバル企業になりつつあるリクルート。わたしはその会社で毎年開かれるNew RINGという社内起業ピッチ大会の審査員を務めている。聞けば車の売買情報誌「カーセンサー」や、結構情報誌「ゼクシー」。最近だと日本の教育界を大きく変えようとしているネット動画教育サービス「スタディサプリ」などはこのピッチ大会から生まれたのだという。

物質と電気的・化学的反応の集合体にすぎない脳から、なぜ意識は生まれるのか。本書は、この謎に気鋭の脳神経科学者が迫った一冊だ。現代科学の最前線の知見を手がかりに、「人工知能」ならぬ「人工意識」の可能性に切り込む。「幼少期が終わり、大きな転換点を迎えている」この分野の現状をまとめ、これからを見通した非常にエキサイティングな本だ。 私は近ごろ、女性を見て、オンナを

2017年12月11日、最高裁は浄水設備導入を巡る収賄などの罪に問われた岐阜県美濃加茂市長、藤井浩人被告の上告審で市長の上告を棄却する決定をした。懲役1年6月、執行猶予3年、追徴金30万円とした二審の有罪判決が確定し、公職選挙法の規定により失職した。 (朝日新聞記事) この事件は藤井が美濃加茂市の市会議員だった13年4月に、地下水供給設備会社社長から設備導入

いまもっとも話を聴いてみたい人物といえば、なんといっても白鵬である。昨年の九州場所を前に発覚した暴行事件以来、相撲界が揺れに揺れているのはご存知の通りだ。メディアはわかりやすい対立の構図を仕立て上げ、それぞれの陣営の応援団を買って出た関係者が次から次にワイドショーに登場してはもっともらしい背景を語ってみせる。相撲界をめぐる空騒ぎは一向におさまる気配がない。


久しぶりに画期的な組織論の本に出会った。 この『ティール組織 ― マネジメントの常識を覆す次世代型組織の出現』は、単なるビジネス書ではなく、インターネットなどテクノロジーの進歩により可能になった個人の自律を前提とした会社のあり方、即ち、自己組織化する組織「ティール(Teal)」を提唱する、進化論と発達心理学を基礎とした社会変革の啓蒙書である。 本書の原著"R

世界に最も影響を与えた日本発のものや文化は何だろうか。葛飾北斎の浮世絵や黒澤明の映画は諸外国の多くの芸術家たちを魅了し、彼らの作品にその影響を色濃く残している。次々と生み出される日本発のゲームや漫画も、若者に限らない、世界中の老若男女を今でも虜にし続けている。少し注意深く目を凝らして見れば、世界のあちこちに日本から生まれた何かを感じることができる。 思想や文

東京オリンピック・パラリンピックの大会運営費用や会場整備費用は、当初見込んでいた3013億を遥かに超えて総予算の計上は現時点ですでに2兆円を超えている。東京都民としては「おいおい、話が違うじゃねえか」と呆れるほかないところだが、いったい”オリンピックを運営する”、その裏側ではどのような力学が働いていて、”なぜこうなってしまうのか”。 本書『オリンピック秘史:

文字通り「ストリップ産業の帝王」となった男の評伝だが、タイトルだけで敬遠すると損をする一冊かもしれない。 冒頭から過激だ。ストリップ劇場に刃物を持って押しかけてきたヤクザを、病院送りにするところから物語は始まる。殺人2件、殺人未遂7件のヤクザを失神させる男とはどんな男かと想像は膨らむ。ストリップという産業からしても主人公はチンピラ崩れかと思われるかもしれない

私はフェスが大好きだ。春夏秋冬、1年中様々なフェスに参加している。フェスに行くために仕事をしているといっても過言ではない。ところでHONZの読者の中で、夏フェスに行ったことがある人というのはどれくらいいるのだろうか?夏フェスはいまや大衆化し、花火や祭りと同様、夏の風物詩となっている感があるので、全くいないということはないだろうが、あまり多くはいない気がする。

ここまでわかったのか。あらためてゲノム科学のインパクトを感じる一冊だ。 ゲノムとは、ある生物の全遺伝情報を指す。地球上の全生物の遺伝情報はDNAに蓄えられている。うんと簡略化して言うと、ゲノム情報とはACGTという四つの文字が延々と書き連ねられた書物のようなものである。そのサイズは生物によって異なるが、人間の場合は30億文字だ。 その配列を決定する方法は猛烈

この原稿を書いている最中に、想定外のニュースが飛び込んできた。Facebookが新しい時間の単位を発表したというものだ。人類(のほとんど)は秒を共通の使用しているが、Facebookが提案した新しい時間の単位「フリック」は、7億560万分の1秒で、映像コンテンツを制作する際に、有用な単位となるらしい。 確かに時計の技術的な進歩により、時間の単位は変わっていな

爆弾が降りしきる中、私と同じように生活を営む人がいる。そんな当たり前のことを、本書を読むまで忘れかけていた。銃撃戦がひどい地域の住民は全員避難して、住居のなかは空っぽになっているというのは自分勝手な思い込み。バナは爆撃と銃撃戦が日々繰り返される街で生活していた。 バナの家族は、お父さん、お母さん、弟のモハメッド、戦争の最中に生まれた弟のヌール(光という意味)

「東日本大震災当時、自衛隊トップの統合幕僚長を務め、映画『シン・ゴジラ』の財前統合幕僚長のモデルとされる伝説の自衛官が、アカデミズムが取り上げない戦史研究の意義、危機の現場で人と組織を動かす極意、地政学を超える地経学の重要性、戦略の成功確率を上げるための戦力回復の真髄まで、ビジネススクールでは教えてくれない戦略の本質を明らかにする。」 こんなうたい文句の本が

神成大尉は、二一〇人の兵隊を凍死させたのは自分の責任であるから自分は自殺する、舌を噛んで自殺すると。…… ベッドの上で正座して話す老齢の男性――その人は、世界最大級の山岳遭難事故の最後の生存者・小原中三郎元伍長であった。 1902年(明治35年)1月。日露戦争を前に陸軍は寒冷地での行軍を調査・訓練するため、青森の陸軍歩兵第五聯(れん)隊と弘前の第三十一聯隊が

カレーライスを一から作る。そう聞けば「ふむふむ、市販のルーを使わずに、スパイスをアレンジするのかな」と、まずは思うのが普通のリアクション。で、隠し味とか一手間とか、なにか工夫やアイディアがあって、と。実際「カレーライスをつくる」「カレーライスを語る」という本は数多ある。なにしろ国民食。美味しく作るために、どれほど多くの人々が、どれほど多くの情熱を傾けてきたこ

本書は「見せびらかし消費」についての本である。高級な車や時計、ファッションなどの典型例を出すまでもなく、機能というよりはステータスを手に入れようとする消費行動は世の中のあらゆるところに存在している。 では、わたしたちはそうした消費を通して、具体的に「何を」見せびらかしているのか? あらためて問われると、はっきりとした回答は案外浮かばない。富の多さ、社会的地位

昨年末、編集部から新年早々に取り上げる本を選べといわれ、おもわず本書を推薦した。最後まで読み通す責務を自分に課したかったのだ。 酒好きにとって酒量がもっとも増えるのは年末年始であろう。そして中高年の酒好きにとって、自分の身体が心配になるのも年末年始だ。このまま酒を飲み続けると、本当に寿命が縮まるのではないかと不安になる。 しかし、盃を持つ手は止まらない。クリ

「正義の反対は悪ではなく、また別の誰かの正義である」という言葉があるが、それをまざまざと感じさせるインタビューだ。 日頃のニュース報道をどれだけ注意深く見ていたとしても、プーチンの実像など、なかなか見えてこない。元KGBの工作員であり、独裁者であり、言論の弾圧や人権の侵害でも、よく批判される。だが時に起こす大胆な行動に、世界は度々驚かされてきた。このミステリ

1941年12月8日に始まり、45年8月15日に終結した、アジア・太平洋戦争は日本だけでも軍人・軍属230万人、民間人80万人、計310万人もの犠牲者を出した。当然ながらこの戦争は様々な視点から多くのことが論じられてきた。本書は過去の議論を踏まえた上で、3つの問題意識を重視しながら先の大戦を見直すことを目的としている。では三つの問題とは何か。一番目が、戦後歴

著者のジャンシー・ダンと夫のトムは10年一緒に暮らした後に娘を授かった。仕事は二人ともライターで大人しいタイプ。だから上手くやっていけるに決まっている。だがその思いは赤ちゃんが生まれた直後に裏切られた。ゴミ箱の中の使用済みオムツを片付けない夫にキレたのだ。 クソ野郎。この野郎。死んじまえ。 それから6年が経ち、家事をほぼ一人で担当するジャンシーは、夫に怒りを

2017年11月29日未明、北朝鮮が発射したミサイルは、日米の防衛当局に衝撃を与えた。なぜならこの時発射された「火星(ファソン)15型」は、アメリカ本土に到達可能な大陸間弾道ミサイル(ICBM)だったからだ。 ミサイル発射を受け、国連安全保障理事会は12月22日、北朝鮮への新たな経済制裁決議を全会一致で採択した。新たな制裁の柱はガソリンやディーゼル燃料、灯油

世界各地で展開される「国境なき医師団」(MSF)のプロジェクトの現場を、作家のいとうせいこうが、訪ねて、考えて、書いた、という一冊。シンプルに、活動内容や現場を知る面白さもあるのだが、久しぶりに「読んでおいてよかった」と深く思う読書となった。自分の世界が少し変わる。ぜひこれは読んでほしい。 「国境なき医師団」の広報から取材を受けた際に、なぜこんなに活動内容が

人類進化の大きな流れを概説しながら、かつてのアジアにどれほど多様な古代型人類が存在したかを、最新の研究結果を踏まえながら教えてくれる一冊だ。現在の地球でホモ属に分類されるのはわたしたちホモ・サピエンスだけだが、数万から数十万年前の世界がどれほどバラエティ豊かな人類によって彩られていたかにワクワクせずにはいられない。本書で特筆すべきは、これまで人類進化を語る上

本書のタイトルだけ見るといわゆるJKビジネス的な何かを連想してしまう人もいるかもしれないがそれは全くの誤解だ。制服メーカーのマーケッターが「なんでこんなヘンテコな着こなしや改造を施すのだろう??」と現場に張り付いてこれでもかと聞き込んでたどり着いた、制服を着る中高生の実態である。様々な読み方ができるがとりわけ改造と着くずし視点からの観察と分析、そしてメーカー

ブロックチェーンとは何かを正確に理解するのは難しい。 ブロックチェーン と ビットコイン や イーサリアム の関係、ビットコインというのは一般名称なのか固有名詞なのか、電子マネーと仮想通貨の違いは何なのかなど、個々に考えてみるとよく分からないことだらけである。 冷静になってみればそれも当然で、ブロックチェーンは生まれたての技術であり、AI(人工知能)と同じよ

著者はベストセラー『「平穏死」10の条件』などの著書をもつ医師だ。病院で1000人、在宅で1000人以上を看取った経験から、在宅で死ぬ方が「平穏死」できると訴え続けてきた。近年、増加の兆しがでてきた在宅死。実はその約半分を占めるのが、孤独死である。そして本書は、さらにその約7割を占める「男の孤独死」に焦点を絞った本邦初の本である。 それにしても、身につまされ

ときに歴史は恐ろしいほどに陰惨な物語を生み出す。民主カンプチアでおきた出来事は、ナチスのホロコーストや、毛沢東の大躍進政策、文化大革命にも匹敵する人類史上稀に見る惨禍であろう。民主カンプチアという名前でピンと来なければポル・ポト政権と呼んでもかまわない。 この政権での、極端な共産主義思想に基づいて行われた虐殺と飢餓で、全国民の四分の一にあたる二百万人以上が殺

先日のペットフード協会の発表によると、全国犬猫飼育実態調査で、調査開始以来、はじめてネコの推定飼育数が犬の数を上回ったという。人類の相棒は犬じゃなくてネコだった──というわけではないけれども、少なくともペットの王は今やネコに移り変わりつつあるといえるのではないだろうか。飼いやすいというのもあるが、ネットをみればネコの画像や動画はいつだって大流行で、あっという

周りのみんながやっているから、乗り遅れないように私もやる――誰しも一度はこうした経験をしたことがあるのではないか。仲間外れは怖いものだ。多少ヘンな流行であっても、ついつい乗ってしまうのが人間の性である。 だが、そうして広まったブームも、時間が経つにつれて一つの風習・行事として根付く場合がある。「伝統」だなんて言葉がついていれば、説得力倍増だ。「古くから伝わる

デザインのやり方一つで、人が死ぬこともある。まさかと思うかもしれないが、世の中を見渡せばそのような事実は多々見つかる。そして何より問題なのは近年「デザイン」というものの意味が拡張しており、もはや「世界はデザインで出来ている」といっても過言ではない状況にあるということだ。 本書『悲劇的なデザイン』は、このようなデザインにまつわる悲惨な出来事を事例としてまとめ、

『世界をつくった6つの革命の物語』 (朝日新聞出版)、 『世界を変えた6つの「気晴らし」の物語』 (同前)、 『ピア PEER』 などで知られるスティーヴン・ジョンソン。彼の過去作が10年越しに文庫化された1冊である。 舞台は19世紀のロンドン。劣悪な衛生環境の中で、人びとは繰り返されるコレラの流行に苦しめられていた。本書は中でも集中的な被害をもたらした、1

プリーモ・レーヴィはユダヤ系イタリア人。トリーノ大学を主席で卒業した科学者だ。彼は24才の時にパルチザンとして活動中に逮捕される。1943年の事だ。翌1944年にアウシュヴィッツに移送され、開放されるまで強制収容所で地獄のような日々を送った。彼が送られたのはアウシュヴィッツの中の第三強制収容所モノヴィッツである。この収容所は強制労働を主目的としており、囚人は

タレント本の位置づけというのは、どういうところなのだろう。大型書店には必ず「タレント」の棚があるけれど、なんとなく近寄るのは気恥ずかしいような感じがする。しかし、振り返ってみると、タレント本の書評を結構たくさん書いている。 最近もドラマ化された黒柳徹子の『窓際のトットちゃん』は、本邦ベストセラー史上1位の堂々たるタレント本だ。さらに ランキング を見てみると

昆虫サイズの超小型ロボ兵器ナノボットによる毒殺攻撃。まるでSFのような話だが、超小型ナノ兵器の開発状況をつぶさに調べていくと各国がこのナノボットの開発に注力していることがうかがれる。2014年時点で 米軍は 重量1gにも満たない「ハエ型ドローン」の製作に成功している。しかも、これを偵察用に使うだけでなく、攻撃を加えられる兵器にするよう開発中という。SFのよう

退屈すれば脳はひらめく、というのはなんとなく、直感的に、そうだなぁと思えることである。例えば、皿洗いをしているとき、ベビーカーを押しているとき、シャワーをあびている時、車を運転しているときなどはよくちがった考えや新たな気づきが浮かぶ。 退屈で心がさまよっている状態を、心理学の用語でマインドワンダリングと言い、心がさまよっている状態の神経科学分野での研究ははじ